本会議会議録
質問文書
令和6年9月定例会文教警察委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 佐野 愛子 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 10/03/2024 |
![]() | 会派名: | ふじのくに県民クラブ |
○佐野委員
分割質問方式でお願いします。
文教警察委員会説明資料には記載がないのですけれども、今全庁を挙げてこども計画を策定しています。県教育委員会としては社会教育課、健康福祉部こども家庭課やスポーツ・文化観光部の教育部門などとの連携が必要だと思いますが、今回は子供たちや若者から意見を聞いて反映する新しい試みがなされています。その進捗状況や横のつながりがスムーズに進んでいるかをお答えください。
○藤ケ谷参事兼社会教育課長
策定についてお答えいたします。
静岡県こども計画――仮称ですが――はもともと健康福祉部が所管しておりましたふじさんっこ応援プラン、それから教育委員会が所管しておりますふじのくに若い翼プランを統合してつくるものであり、両部局が連携を取りながら昨年度来、策定作業を進めております。
現在の進捗状況ですが、計画の理念それから骨子案についての検討を内部で進めているところです。それから静岡県こども・若者施策推進本部が計画をつくることになっており、8月の終わりに体制ができ今月中に第1回本部会議が開かれるとのことで全庁体制で取り組んでおります。現在の見込みとしましては12月には計画案を一旦作成し、パブリックコメントを経て3月に策定するスケジュールで進めていますので報告いたします。
連携でございますが、昨年度から社会教育課と健康福祉部こども未来課、こども家庭課、それから教育政策課とで2週間に1度程度の頻度で担当者レベルの打合せを行っております。
また、子供の意見聴取が必要であり、昨年度に意見交換会を実施しました。これは学校関係は教育委員会で、それ以外の児童養護施設などは健康福祉部で役割分担を行って進めています。
また、本年度から本格的に子供の意見聴取を行うため、こえのもりしずおかというオンラインプラットフォームを健康福祉部が作成し、教育委員会では周知広報を役割分担いたしました。7月の夏休み前というかなりぎりぎりのタイミングだったのですが、1,000名以上が登録できました。
今後も、健康福祉部と一緒に意見聴取等を進めていきたいと思っています。
○佐野委員
国にはこども家庭庁があってどんと方針が下りてくるわけですが、県にはそれに相応する部局がないため多少懸念するところもありました。しっかり連携を取っているとのことですので、またすばらしい内容の計画を期待しています。
次に、総合教育会議について伺います。
昨年、これまでの在り方と大きく変わって理想の学校教育具現化委員会や才徳兼備の人づくり小委員会等がなくなり、諮問機関もなくなりました。教育委員と全庁を挙げての総合教育会議になると思います。教育長は委員ですので伺いますが、新しい形での総合教育会議に期待すること、またどのような気持ちで臨んでいくのかについてお考えをお聞かせください。
○池上教育長
総合教育会議に関する御質問にお答えいたします。
総合教育会議は、首長である知事と教育委員会という対等な執行機関同士が調整、協議する位置づけの会議であります。しかしながら決定機関ではございません。とはいうものの本県においてはかなり踏み込んだ議論を重ねながら、知事部局と教育委員会相互の連携を図りながらよりよい教育行政の推進のために貴重な協議を重ねてきたと認識しております。
これまでの総合教育会議においては、例えば教職員や高校生の国際化、子供たちが生き生きと学べる環境の整備なども含めて社会情勢や人材育成を見据えた議論あるいは教育現場の課題解決に結びつく議論を展開してきたと考えております。
一方で、川勝前知事の方針もあり知事の発言は基本的には個人の発言ではなく「人づくり・学校づくり」実践委員会の議論を総合教育会議の場に載せるスタンスで臨まれておりました。
今回全く新しい形になる総合教育会議が10月9日を初回として年度内に3回予定されております。その場では今後も現場が抱える様々な具体的な課題を視野に入れながら、子供たちの未来を見据えた教育につながる議論ができればいいなと思っております。
総合教育会議は法律に定められた会議ですけれども、自治体によってはなかなか実現していないところもあるやに伺っています。その点で本県においては年に3回、場合によっては4回と継続的に開かれていた実績がございますので、そこに学校現場の課題感をしっかりと俎上にのせて議論を進めていきたいと思っております。
○佐野委員
安心したというか期待したいと思います。これまでのよさもあったのですけれども、外部の方からいろいろ御指摘やイベントの提案が重視されたように見受けられました。
今後は、全庁を挙げて課題は何なのかについてしっかりと実態を見据えて具体的、自発的な取組をされることを願いたいと思います。
教育委員も今議会で刷新されて大分若返るようですので、また新しい形で県行政の牽引を期待したいと思います。ぜひ教育長も率先して御発言して教育委員会の思いを伝えていただきたいと要望します。
次に、中央教育審議会の答申に対する受け止め方等については8番委員が先ほど質問してくださったので、それを踏まえながら義務教育の課題に特化して伺います。
中央教育審議会の答申では、県も国も自分事として権限と責任に基づき主体的に取り組むなど必要な予算措置を含め主体的な役割を果たすと書かれています。先ほどのお答えでもそのような意気込みを持って答えられていましたので、それを踏まえながら義務教育の課題について伺います。
まず定数ですが、いまだに未配置や定数が足りていないところがあります。昨年度は七十数名、今年度当初も五十数名でしたが、今の時点でどのように改善されているのか。新年度になってから休職や退職された方もいらっしゃいますが、実態はいかがでしょうか。
○植松義務教育課人事監
定数未配置の状況につきましては、年度当初は52名からスタートいたしましたが、9月末現在で残念ながら68名と増加している状況です。こちらにつきましては御指摘のとおり年度途中に新たに発生した特休者等に対する代替教員の確保が大変難しいことによるものです。
○佐野委員
義務教育に対する県教育委員会の役割や責務は、任命権があって定数を確実に確保する、人的配置をすることですよね。けれども休職により途中で休んでしまう先生や辞めてしまう先生がいても、未配置のままで代わりが来ない穴埋めやフォローを今いる教職員でやらなければならないのはあまりにも理不尽だと思います。先ほどの皆さんの答弁では働き方改革や定時に帰ることなどを推進していましたが、人がいなくてその穴埋めをやらないといけないし仕事量は莫大なので帰れるわけがないですよね。
先ほど申し上げたように、定数の配置は県教育委員会の責務であり、県教育委員会の役割だと思うのですが、義務教育標準法で決められた定数を配置していないのは法律違反というか義務教育標準法違反になると思います。
さらに重ねて申し上げますと、教職員の仕事の適正化や労務管理が言われていますが、定数が満たない中では仕事が多くなるに決まっていますよね。労務管理や労働安全衛生管理を果たしていないと捉えますが、そのような責務について教育委員会が今行っている法律違反や責務違反についてどのように捉えているでしょうか。
○植松義務教育課人事監
9番委員御指摘のとおり、現状として教員不足が続いている状況については大変申し訳なく思っています。
教員の不足分ですが、9番委員から御指摘がありました義務教育標準法における基礎定数分については充足していると捉えており、加配教員分と代替職員等について補充できていない状況です。
我々としましては、今までも何とかしようと様々なことに取り組んでまいりましたので幾つか御紹介させていただきます。
これまでも人材バンクをやっていたのですが、なかなか成果が上がらないため、昨年度末に経験と実績がある退職OBの力を頂きたいとのことで関係団体の協力で新たにOB人材バンクを立ち上げ、昨年度末で888人の退職OBに登録していただきました。マッチング状況としましては149人が臨時または任期つきのフルタイムで、237人が会計年度任用職員として活躍していただいている状況です。ただそれ以上にお休みされる先生や特別支援学級等の増加によって必要教員が増える状況があり、なかなか厳しい状況が続いております。
今後も、働き方改革を加速させながら人材発掘や人的支援だけではなく環境整備を図りつつ努力を続けてまいりたいと思います。
○佐野委員
888人もいれば、休職した人の分はすぐ来るじゃないですか。実際の学校の様子について聞き取りをやっているのですけれども、休みの先生や産休に入る先生、退職される先生へのサポートがなく本当にみんなが悲鳴を上げています。
風邪で休んだり、子供の都合で休んだり、そういうところを穴埋めする職員もいないわけですよね。約800人もいる人材バンクが本当にあるとおっしゃるのでしたら、そういうことは起きないはずですよね。あまりにも現場とミスマッチのお答えだと思います。
先ほども申し上げたように人材を確保するのは県教育委員会にしかできません。校舎建設やエアコンを入れることができないとしても人材は必ず補充する。もちろん年度初めに担任がいないということはなかったけれども、途中で辞めちゃって定数が欠員になった学校もあるわけですよね。県教育委員会として最低限の責務を果たしていないと言えると思います。人を確保するのが仕事のはずです。校長や教職員にも責任はありません。それは行政である教育委員会の責務です。ほかの仕事をやるよりも、ほかに予算をかけるよりも最低限の人数をそろえるのが責務だと思います。穴を開けておかないで、幾らかかろうとお金に糸目をつけないで人を探してくるべきだと思います。それを人がいないとか、声をかけているとの未来形であったり、できないという言い訳は許されないと思いますが、いかがでしょうか。
○植松義務教育課人事監
9番委員のおっしゃるとおり、今のところ責務を果たせていない状況があると思います。我々として諦めずにできることを全てやっていきたいと思っています。
○佐野委員
植松義務教育課人事監の意気込みだけでは県教育委員会全体の意気込みにはならず、担当だけの努力では解決できないからこういうことになっているのですよね。もう少し責任のある上の方は県教育委員会としてどのように責務を考えているのか。ほかの仕事や予算などを放っぽり出してでも、人を確保するのが県教育委員会の一番の仕事だと思いますがいかがでしょうか。
○水口教育部長
9番委員のおっしゃるとおり、やはり教育にとって人が一番重要だと私どもも認識しているところです。制度上定数が未配置の場合、定数を埋める努力が必要になります。ベースの予算を取って何々というよりも、定数を埋める努力をまずしなければならないと思っております。そのためにできることを今やらせていただいています。定数未配置だけではなくて、それ以外にも定数を増やす対応も別の議論としてあると思います。定数増に対しては国に物を申して、しっかりと予算を措置していただくことと併せながら、教師にとって一番負担になっている部分、例えば特別支援学級の先生の対応もしくは幼、小の接続など先生にとっていろいろと負担になっているものに対して、未配置の部分とは別に何かできないかと予算要求を常にしているところです。その努力を引き続き行っていくことが必要だと認識しています。
○佐野委員
これまで様々な活動の成果で定数増や育休、部分休業の権利を獲得してきたのですよね。しかし人がいないためにその権利も行使できない。幾ら予算要求して加配定数をつけても人が来ないじゃないですか。なのでそことは別次元のことを聞いています。せっかく獲得した権利であっても、学校で部分休業なんかを取る人はいないですよね。取りたいと言っても校長が無理だやめてくれと言う事態が生じているんです。それらは人を探せない県教育委員会の怠慢と言いたいです。採用試験で様々な工夫もされましたが、あまり成果が出ていないようです。教職員確保についてはどのような手を打つつもりでいらっしゃるのでしょうか。
○植松義務教育課人事監
9番委員御指摘のとおり、採用等につきましては今年度は2か月の早期化で全国で一番早いスケジュールでやらせていただきました。小学校、中学校とも微増でしたが増えたという点では一定の効果があったと思っております。ただ劇的に人を集めるには至らなかった事実もございます。
また、来年度は国が基準日を今年度の静岡県のスケジュールに大体合わせてきており、他県と日程が違うインセンティブはなくなると捉えております。9番委員に御指摘頂いたことも含めまして今後もさらに魅力的でよりよい採用制度について考える余地がまだあると思っており、改善を進めていきたいと思っております。
○佐野委員
山梨県は、奨学金の免除や予算もかけてやっていますよね。川崎市は大学3年生の採用や秋採用をするとか、どこの県も必死で集めています。静岡県も医師確保のために予算を決めて月20万円を出すわけですよね。本当に現場のことを考えたら、また教育委員会の責務として考えたら、それぐらいの予算はつけてしかるべきだと思います。
実例をもう1つ言いますと、ある中学校で技術の先生が休んでしまいました。代わりの人がすぐには見つかりませんので、その中学校は技術の時間はずっと自習で未履修になって中間テストができない状況でした。
もし、学校側の不手際で未履修があったら県教育委員会が指摘して、懲罰などをする立場ですよね。しかしながら人がいないために子供たちの学ぶ権利まで奪われているのが実情です。きちんと教員を確保することに対して、教育委員会を挙げてもう少し真剣に取り組んでいただきたいと要望します。
次に、義務教育の中の特別支援学級です。
配付していただいたパンフレット資料「静岡県の特別支援教育」を見ると2019年と2024年とでは児童生徒数は約6,600人から約9,000人へと約3,000人も増え、設置学級数も約1,200学級から約1,800学級へ増え、通級指導教室も本当に増えています。このような増え方に対して全ての学校に特別支援学級があるべきだと思いますが、推測として約500学級もの特別支援学級が増えているということは、単純に約500人の正規の担任がそこに行っているわけですよね。教職員が足りなくなるのはこういうところにも原因があるかと思いますが、特別支援学級と通級指導教室の増加についてはどのように受け止めているのでしょうか。
○植松義務教育課人事監
9番委員御指摘のとおり、特別支援学級、通級指導教室等は年々増え続けている状況です。先ほど御指摘のありました数値は政令市も含めた数値かと思いますけれども、静岡県教育委員会管内におきましても小学校では毎年児童が300人程度、中学校では150人程度、学級数も小中を合わせて今年度は70学級が増えている状況です。
通級指導教室につきましては、小学校で毎年200人ほど急激に増えております。中学校では150人ほどになっています。
特別支援学級の増加傾向ですが、小学校はまだ増えてはおりますけれども以前の伸び幅よりも徐々に落ち着いてきました。ただその子供たちが卒業しますので中学校の増加が大きくなっております。
先ほど申し上げましたとおり、特別支援学級及び通級指導教室に係る教員の育成も急務と思っております。数が足りないだけではなく、その技量を持った教員を育成することも大切な仕事になってくると思っております。
人事異動方針には新採10年3校がございますが、その3校との表現を変えて3所属とし、その中には特別支援学級、それから通級等の経験も含めて若手を育成します。今県内には10学級を超える特別支援学級がある学校もございます。そういう学校につきましては配当教員数を若干増やして、その方が中心になって特別支援教育を推進する若手の教員を育成しているところです。
○佐野委員
特別支援学級の増加に伴って定数増も必要となっていく。特別支援学級のこのような増加を見越して採用を進めていたのか疑問です。
近くの学校で普通学級が10学級で特別支援学級が7学級という学校も珍しくありません。義務教育標準法にはないかもしれませんが、特別支援学級に対する級外教員などの措置はあるのでしょうか。採用については特別支援学級の増加も見込んで採用数を増やしていたのか。級外教員への手当てや特別支援教育の免許を取った人たちも見込んで採用しているのかお答えください。
○植松義務教育課人事監
まず採用ですが、ここ数年間は特別支援学級の増級及び教員不足の状況も含めて、数年前につくった計画に上乗せしてかなり増やした採用を進めております。
ただ、令和9年度以降は児童生徒数が毎年5,000人程度ずつ減ります。教員数も義務教育標準法により減少となりますので、ぎりぎりのラインで増やして採用している状況です。
なお、特別支援教育に係る免許等を持っていれば加点する制度はございます。いずれにしても特別支援教育を意識した採用も含め人材確保に努めております。
○佐野委員
先ほどの人事異動方針で、3所属のうちで特別支援学級を経験するのは教職員としてはいい経験にはなりますが、専門性というところで疑われると思います。やはり通級にせよ、特別支援学級にせよ、少なくとも専門の知識や免許を持った人が本来だったら働くべきですよね。ですので特別支援教室がある学校は特別支援コーディネーターなど様々な連携や即応ができていると思います。専門性や育成も含めて特別支援教育は大きな課題となっていくと思いますので、育成には力を入れていただきたいと思います。
そして、通常クラスの中にも特別な支援を要する子が多いですよね。飛び出していったり、席を離れたりと学習指導支援員がつかないととてもやっていけない状況になっています。本来でしたら子供たちの勉強を重視して見てあげるはずの学習指導支援員が特別な支援を要する子供に取られている状況ですが、学習指導支援員の配置についてはどのように捉えているのでしょうか。
○植松義務教育課人事監
通常学級における特別支援の対象となるお子様のために配置する学習指導支援員は、静岡県では学び方サポーターとの呼び方をしており、91人を配置しております。人数は増やしたところですが国の補助事業であり国からの配当が減ってしまったため、昨年度は週20時間だったところを週15時間にして配置しております。御指摘のとおり十分かというとまだまだ足りないと思っています。
ただ、各市町にも支援相当の交付税が下りていますので、市町で採用されている学習指導支援員もいる状況です。
○佐野委員
普通教室には支援スタッフの配置についてさらなる充実の必要性がありますよね。そして教職員との役割分担の点では、学習指導支援員は午前中で帰ってしまうので教職員との打合せすらありません。午後までいてもらわないと困るとの声もありますので、そこら辺もお含みおきください。
ほかにも中央教育審議会の答申を見ますと、学校現場で求められるスクールカウンセラーの全校配置とあります。スクールソーシャルワーカーは学区に1人で、全校配置に向けて国3分の1、県3分の1で国もお金を出しますと予算づけをうたっています。県ももちろん積極的に手を挙げて市町と一緒になって国が出すものは全て取る。国がそのためにやると言っているんですから県はそれを活用するべきだと思います。
次に、教科担任制についてお聞きします。
教科担任制の目的は、子供たちの専門性を高めることと教職員の負担軽減の2つです。そして中学校まで教科担任制を進める。しかし今学校では、それが中1ギャップの解消みたいにどこからか話がすり替わっていて、私は国語と音楽をやるから算数と体育をやってくださいという教科担任と勘違いして学年の中で担任を回す学校がすごく多いのですけれど、県教育委員会がそう指導したのでしょうか。
○植松義務教育課人事監
9番委員御指摘のとおり、中央教育審議会等の答申により小学校高学年の教科担任制については今年度までに前倒しで配置が完了した状況ですが、中学まで増やしていく概算要求が出されたところです。
文部科学省が掲げております目的としては、御指摘のとおり教科担任制導入により専門性を持つ教師の指導による授業の質の向上があります。昔から例えば音楽の得意な先生に音楽をやっていただいて理科を私がやるよと校内の工夫による教科担任制はございました。あと専科指導の加配教員もあり、英語専科等もございます。そういうものと併せて静岡県では教科担任制について66人を現在配置しており、1人当たり20時間程度の担任のこま数低減につなげようと、質の高い教科指導と負担軽減の双方を狙っていこうとしているところです。
申し上げたとおり、静岡県では今66名が配置されている状況ですが、まだ全校に行き渡る規模ではございません。
○佐野委員
現状は聞いていません。勘違いして学年内で回すような教科担任制をしている。それが中1ギャップの解消と捉えて教科担任を回している学校があるのですが、そのような指導を県教育委員会がしたかどうかを聞いています。教科担任の在り方は十分に分かっているので説明の必要はありません。
また、専科の教員が入ってくれれば時間数削減で負担軽減になるわけですよね。そして専門性がある専科の教員が入ってくれれば子供たちにもいい。専門でもないのに学年内で担任を回すと教職員の首を絞めることにもなりますし、小学校の教科担任制は算数や国語でほかの先生が入ると宿題や家庭学習などいろいろなことに対してしっかりとした見届けができないために不登校が増えているとの事例も聞きます。
あくまでも国の目的に合った教科担任制を推進するように県教育委員会も指導していただきたいと要望します。
次に、不登校児童生徒のための校内でのスペースづくりについて伺います。
小中学校において、不登校の児童生徒ために校内にスペースをつくることを国も支援していますが、県内ではどのような設置状況でしょうか。
○戸塚義務教育課長
今年度の調べでございますけれども、管轄している学校全てに配置されている市町が5、一部済んでいる市町が19、配置していない市町が9です。
○佐野委員
校内にそのようなスペースがあることで不登校の解消につながった事例も届いており、大変効果を上げています。しかしながらスペースをつくることはできるのですが、そこに人を充てるのが難しいのですよね。空き時間の人が指導に行ったり、また級外教員が行ったりするのではかえって多忙化に拍車をかけることになります。藤枝市は人を充てて指導員を置いていますが、県として配置について人的支援をしているのでしょうか。中央教育審議会の答申を見ると国3分の1、県と市で3分の1の費用分担になっていますが、現状を教えてください。
○戸塚義務教育課長
県単独では支援を行っておりませんが、現状としては校内教育支援センターの設置促進事業があり、国3分の1、市町3分の2の負担でコーディネーター的役割を果たす支援員という条件付で措置がされており、今年度は3市町で7名程度を配置しているところです。
また、今般の国の概算要求でコーディネーター的要素はない普通に子供たちの支援ができる支援員の配置とのメニューが新たに加わり、9番委員がおっしゃったものかと思いますけれど、国、県、市町で各3分の1を負担するとのことでございます。国の概算要求に新しく記載されましたので今後は市町の意向を確認しながら事業化を検討していきたいと思っております。
○佐野委員
最後に、校内の不登校の児童生徒ためのスペースに絡めてですが、フリースクールに対する助成を今年度から義務教育課が始めました。フリースクールは公教育ではありませんよね。無認可の保育園や子供食堂みたいな任意でやっているものだと思います。私の考えとしては県教育委員会はあくまでも公教育をつかさどるところであって、公教育でできることに予算措置をしたり義務教育の中で不登校を出さないための施策をするものだと思っていましたので、フリースクールに対する助成は県教育委員会の責務か疑問です。池上教育長はいかがお考えでしょうか。
○池上教育長
率直に申し上げると、御意見は様々あろうかなと感じています。公教育にのみ注力すべきとの考え方もあるでしょうし、一方で公教育の場から漏れ落ちてしまっている子供たちの生き様に寄り添っていくのも必要な視点なのかなと思っています。
今回私どもが助成の対象としているのは、フリースクールを名のる全てではございません。一定の要件を満たし、具体的には県が設置した運営協議会にしっかりと参加して現場の状況なども私どもが足を運んで見ていくということであります。
フリースクールが恒常的な子供の居場所としてあるべきかどうかは難しいのですけれども、グラデーションとして学校の中にいる子供、学校の中で教室にはいられないけれども保健室には行ける子供、保健室すらしんどい子供、学校そのものがしんどい子供、いろいろいると思います。そのグラデーションの中で子供たちを社会的な関係にしっかりとつなぎとめておくことが、私は現状の不登校の子供たちへの対応として必要なのではないかなと考えております。
また、文部科学省も必ずしも学校の中だけが子供の学び場とは考えていないので、先ほど申し上げたように考え方にはいろいろな幅があろうかと思います。今静岡県教育委員会はそういう考え方で対応しています。
○佐野委員
ありがとうございました。また意見交換していきたいと思います。
○小沼委員長
ここでしばらく休憩します。
再開は14時55分とします。
( 休 憩 )
○小沼委員長
休憩前に引き続いて、委員会を再開します。
質疑等を継続します。
では、発言願います。
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