本会議会議録


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令和6年9月定例会文教警察委員会 質疑・質問
質疑・質問者:佐地 茂人 議員
質疑・質問日:10/03/2024
会派名:自民改革会議


○佐地委員
 分割質問方式でお願いします。
 まず、特別支援教育の聴覚特別支援についてお伺いします。
 1点目は手話の活用ですが、数年前に聴覚特別支援学校に行った際に国語力の底上げが非常に難しく課題であると伺ったことがあります。そうした中で学校の先生が生徒の国語力を上げていくためには口語と手話が重要になると思うのですけれども、学校の先生が口語と手話をどの程度活用して授業をされているのか教えてください。

 2点目ですが、新しく来た先生など学校内で先生が十二分に手話を活用できない場合、手話サポーターといったボランティアや多少の費用で賄いながら人材を活用していただくと授業力や学校内の生活支援の向上につながると考えますが、このような手だてについてはいかがでしょうか。

 3点目は、児童生徒の個別支援計画は福祉関係になると思いますが、保護者、医師、社会福祉士、言語聴覚士、学校の先生などが話し合いながら児童生徒の将来を考えていくのが理想だと認識しています。そうした連携を現状はどのように行っているのか教えていただきたいと思います。

 4点目ですが、教員採用等について先ほど説明がありましたけれども、採用試験において手話ができるなどの専門能力の取扱いはどうなっているのかを教えてください。

○山村特別支援教育課長
 聴覚特別支援学校では、聴覚障害により言語発達に課題がある幼児、児童生徒が通っており、一般的にロジャーと言われるデジタル集団補聴援助システムを教室に設置して言語が入りやすくしたり聞こえにくさを補うためにキューサインや手話などのコミュニケーション手段を活用しています。
 また、教員が口語と手話を活用している状況としては幼児、児童生徒と日常的にコミュニケーションを図ったり授業を実施する手段の1つとして当然ですが手話を学び、実際に使う中で教員も身につけています。

 2点目については、手話サポーターという名称のスタッフが入っているわけではございませんが、聴覚特別支援学校では職員研修のプログラムとして手話学習会を定期的に開催しています。その学習会には聾者――耳の聞こえない方を外部講師として招いたり、聴覚障害者である教員が指導役をしたりして手話を学びスキルを高めています。

 3点目の連携については、聴覚特別支援学校が言語聴覚士を年10回程度招いて幼児、児童生徒の聞こえの状態や支援方法について研修を行っています。
 また、教育現場で作成している個別の教育支援計画の作成に当たっては、保護者や教員だけではなく言語聴覚士や相談支援事業所の担当者等に参画頂いて卒業後を見据えた支援の充実に努めています。

 4点目の教員採用ですけれども、今年度実施した静岡県公立学校教員採用選考試験から、これまでなかった理学療法士、作業療法士のほか言語聴覚士の経験を持つ専門性の高い方を教員として採用する取組を始めたところです。

○佐地委員
 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門職の先生を採用しているとの御答弁は数年前にお伺いしたときから変化はありますが、あとは大体今までと同じように進めているのではないかなと感じました。
 耳が聞こえない子供たち、児童生徒が将来どういった形で社会で活躍する場面があるのか、社会で生き抜くことができるのかは非常に重要なことです。そのためには言語能力を得ることが大事であり、それを進めていくのが義務教育であって高校へとだんだんレベルアップしていくと思うんです。前回の委員会でも言いましたが、言葉が通じなかったり、国語力がつかなくて学年が上がるごとに健常者との話が難しくなって勉強についていけなくて聞くこともできずそのままの状態になってしまうことを一番心配しています。そうしたことがないように気配りをしていただきたい。また昨今の障害者差別解消法やインクルーシブと言われている中で聴覚の不自由な方々が一般的な学校に行けるよう、先ほど言ったとおり将来会社に勤められるよう希望をかなえてあげたいと思っています。そうした意味で手話であれ口語であれキューサインもそうですけれども、社会で通用する言語を獲得させていただきたいと意見、要望をさせていただきます。

 そういう意味合いで考えていくと、ICTやタブレットの活用は非常に有効な手段だと思っております。聴覚特別支援学校でのICTやタブレットの活用による授業と家庭学習についてはどういう指導をされているのかお伺いします。

○山村特別支援教育課長
 ICTの活用については、聴覚特別支援学校の小学部、中学部では国が整備した1人1台端末を積極的に活用しており、デジタル教科書、デジタル教材等を端末に導入し授業で日常的に使用するとともに、端末を家庭に持ち帰って家庭学習に取り組んでいる児童生徒もおります。
 聴覚障害のある幼児、児童生徒にとって視覚的情報を獲得することは大変有効な学びと認識しており、個別最適な学び、協働的な学びの両面でICTを活用しています。

○佐地委員
 うちの子供は耳が聞こえるんですけれども、健常者でもタブレット活用の有効性が非常にあると思っています。こうした媒体を上手に使ったカリキュラムや指導マニュアルを他県よりも一歩先んじて考えていくことをぜひお願いします。
 目が見えない方々にもそうですが、パソコンやタブレットはすごく大事だと思いますので、ぜひ考えていただきたいと思います。

 次に、静岡県立高等学校の在り方検討について先ほど説明がありましたが、240人から320人を適正規模としクラス編制されていると伺っておりますので大体40人のクラスで6クラスから8クラスになります。この先例えば15年間で生徒数は約4割減りますので、今後10年後、15年後を踏まえて高等学校の在り方を検討すべきだと思っており、どの程度の定数でクラスが削減されるのかは気になるところです。
 今後のクラス編制について、今まで9クラスあったのがだんだん8クラスになってきて、例えば何年後かには7クラス、また何年後かには6クラスとなっていくと学校の存在も含めて全体のクラスがどれぐらい減るのかが気になります。以前は5クラスが学校存続のぎりぎりのラインとの話もありました。そこら辺の考え方と、今回の在り方検討会で考えられている6から8というクラス編制の適正規模はもうすぐ変わっちゃうと思うので、適正規模の根拠も併せて説明していただきたいと思います。

 2点目ですが、統廃合を含め各地域での学校編制は全体または地域別でどのように考えているのか。全体で九十数校の高校が今あると思いますが、どのぐらいの学校がなくなっていくと予測されているのか。

 3点目ですが、学校の再編、統廃合、環境整備については、先ほど6番委員からも話がありましたが設備投資等は財政的観点からも重要であり、計画では全ての地域協議会が終わる令和8年度までにどうしていくのかについて本会議で教育長から御答弁を頂きました。選択と集中ではありませんが建て替え以外の修繕、補修等をどう進めていくのかも法令に関係すると思いますのでお伺いします。

 4点目ですが、専門学校は県内の地域産業界が欲しがる生徒を育成し、それから県内に若者が残ってもらうために非常に重要だと思います。私がここで言っている専門学校はいわゆる農業高校であったり工業高校、商業高校のことですが、これから新しい専門学校を考えていく上でどのように進めていくのかお伺いします。

 5点目ですが、高校の公私間の生徒比率は――公私間というのは公立と私立ですね――およそ2対1と伺っています。今後東京など都市部の流れを考えると私学が増えていくのではないか、教育無償化が広がっていけば静岡県でも選択肢として私学が増えていくのではないかと推測されるわけです。協定を結んでいる公私比率も1対1など少し比率を変えていくなど公立普通高校の今後の存続も含めて見直しが必要かと思っており、私学協会とのお互いの立ち位置も含めて子供が減ることに関してどのような話をされているのかお伺いします。

○桑原学校づくり推進室長
 静岡県立高等学校の在り方検討に関する質問にお答えします。
 1点目ですが、適正規模が240人から320人で学級数にすると6学級から8学級であり、今後どのように学級数が変わっていくのかについてですけれども、例えば5番委員がおっしゃったように生徒数が4割減ると想定しますと学級数はおおよそ4割程度減ると考えております。以前は5学級が学校存続のラインとのお話がありましたが、静岡県立学校第三次長期計画においては6学級から8学級を適正規模とし、1学年4学級以下の高校は新構想高校への改編等の検討となり、5学級の高校は一応存続となっておりました。
 3月に策定した静岡県立高等学校の在り方に関する基本計画では適正規模は6学級から8学級、人数に直すと240人から320人と変わらない状況であります。
 ただ、それ以外の学校、例えば地域の教育の選択肢を確保するための学校、あるいは教育空白域を回避するための学校は設置に配慮することとしており、5学級以下も全て対象となり、最終的には地域協議会において地域の実情に鑑み検討していくと思っております。

 2点目ですが、各地域の学校編制で具体的にどれぐらいの学校がなくなるかについてです。
 先ほどの生徒数が4割減ることから考えますと、単純に計算すると学校数も4割減ることも考え得るわけですが、先ほどお話ししたとおり5学級以下の学校については地域の様々な実情に応じた選択肢の確保や教育空白域を回避する学校が必要になってくるため、単純にそうならないと考えております。生徒数が4割減るからといって学校数もそのまま4割減ることにはならず、もう少し膨らむ可能性はあると考えております。

 3点目ですが、学校の再編、統廃合について地域協議会が終わる令和8年度までの対応についてです。
 令和8年度まで地域協議会は随時実施していきますが、既に地域協議会が終了している地域もございます。例えば賀茂地域ではおおよそ令和10年度を目途としてキャンパス制への移行を決めており、令和7年度までに各市町等と個別協議をしながら具体的な検討を進めることとしております。
 小笠地区は隣接地域の地域協議会あるいは産業審議会が今年度に行われますけれども、そちらの審議を受けながら改めて地域での在り方を再検討することとしており、令和10年度頃までには再検討を終わらせたいと考えております。
 また、沼津地区は説明資料にも記載しておりますが、今回グランドデザインが出たことを受けて地元市町等と協議を重ねながら令和8年度までに個別検討をしてまいります。
 さらに、再編しない高校の整備については本会議で教育長の答弁にもありましたけれども、やはり生徒が安心して通える学校が非常に大事になってきます。安全をしっかり重視し最優先して整備することを考えております。

 5点目の公私比率についてですが、確かに私学の授業料の一部無償化によって公立の割合が近年下がってきていることは事実であります。ただ今年春の入試結果を見ますと昨年春よりも若干割合が上がっており、公私比率の実績はいろいろと動いている状況です。
 現在も公私立間で毎年公私立協議会を開いて互いの募集定員について確認し合っているところですが、基本的には公立高校の募集計画の策定時に公立高校の受入れ実績に基づいて検討していくこととしております。
 県立高校でも行きたい学校づくり推進事業により魅力化を進めているところでございますけれども、私学がかなり勢力を伸ばしていることも把握しています。
 公立と私立が切磋琢磨する中、魅力化を支援しながら学校改革を進め、募集定員の受入れについては実績を踏まえながら公立、私立の間で協議しつつ検討していくことを考えております。

○大澤高校教育課指導監
 新しい専門高校をどのように考えていくかについてお答えします。
 今世の中を見回してみますと、社会や産業構造の変化に対応できる、例えばデジタル人材や新産業の創出に貢献できるスタートアップ人材の育成、それから深刻な少子化の中で地域の産業を担う人材の確保が課題になっていると認識しています。
 これからの専門高校におきましては、例えばデジタル化、スマート化に対応した学習、スタートアップのための教育、データサイエンスの活用あるいは地域の成長産業やグローバル化に対応した教育カリキュラムに取り組んでいく必要があると考えております。
 このような状況の中、今後の専門高校におけるこれからの時代に対応した産業教育の在り方につきましては本年度に外部有識者会議である静岡県産業教育審議会で検討していただくよう開催に向けて現在準備を進めているところです。

○佐地委員
 公立高校は、毎年多少の波はあるけれども倍率が下がっていますよね。1倍を切っているところもあります。そういう状況の中で早急に考えていかないと駄目だと思っています。教育委員会がしっかりと芯のある考え方を持って将来の教育を今後どうしていくのか、子供たちのためにどういう教育をしていくのかを真摯に考えてやっていってほしい。今話を聞いていて地域や世情の流れに任せ過ぎているのではないかなと感じました。

 再質問ですけれど、地域協議会がもう終わっているところもありますとのお話でした。では地域協議会との協議が終了した後、実際に再編制される高校、心が痛いですけれども要するになくなってしまう高校は実際にあるのですか。

 それから、先ほど新しい専門高校等のお話がありました。スタートアップ、ICT、デジタルなどは行きたい学校づくり推進事業につながるわけです。
 行きたい学校づくり推進事業について、指定校をどのように決めたのか。

 また、生徒たちの意見をどのように取り込んでいくのか。

 それから、スタートアップ、デジタルなどの新しい専門学科については明確ではないですよね。例えば先日の本会議で質問した漫画家などについてはどういう生徒を育成したいかは大体分かる。行きたい高校が欲しがる内容や地域が欲しがる内容も分かる。ではどういう学科なのかが明確ではなく分かりづらいので、そこは意見とします。
 行きたい学校づくり推進事業によって、今言った具体的な内容や昔で言うところの理数科や英語科の設置につながっていくのか伺います。

 もう1点の質問は、地域協議会についてです。
 今年から静岡地区の地域協議会を進める予定になっています。私の地元である静岡地区の地域協議会はどの程度まで立ち上がっているのか、またどのような形でやっているのか今後の細かなスケジュールを教えてください。

○桑原学校づくり推進室長
 まず、地域協議会終了後に再編される高校は現在個別協議をしている最中であり、まだ決まっているところはございません。

 続いて、行きたい学校づくり推進事業の御質問のうち、1点目の指定校をどのように決めたのかについてです。
 行きたい学校づくり推進事業については、県立高等学校の在り方に関する基本計画を具現化するため魅力化に取り組むべき項目として様々な事項を基本計画に記載しており、その様々な事項に基づいてテーマを設定しております。文教警察委員会説明資料の18ページに事業名を記載していますが、その事業ごとに県教育委員会が候補校を指定する場合と各高校からの公募を経て候補校を決定する場合に分けております。候補校から提出された計画については教育長をはじめとする教育委員会幹部で厳正に審査を行って決めたところであります。また公募に複数校が手挙げした場合は改めて審査し、より高い事業効果が期待される高校を指定校として決定しております。

 次に、生徒たちの意見の取り込みに関する御質問については、先ほど県立高等学校の在り方に関する基本計画で魅力化に向けて取り組むべき項目を基にテーマを設定したとお答えしました。基本計画に立ち戻って考えますと基本計画の策定時に策定委員会を開いており、メンバーとして例えば教育学を専門とする大学教員や県立高校の校長あるいは高校のPTA代表などが参加して御意見を頂いているため、高校生の考えを踏まえた意見を頂けたとも考えており、そちらを踏まえて基本計画を策定しているため生徒たちの意見を取り込み進められていると考えております。

 次に、学科設置については行きたい学校づくり推進事業のゴールイメージとして学科やコース等の設置につながり得るものもあると考えております。また最終的には各高校が取り組んだものをさらに他校に横展開することも考えており、行きたい学校が県内全体に広がりながら魅力化が進められていくところを最終のゴールイメージとしているところです。

 次に、静岡地区の地域協議会については、まず年内には第1回目を開催したいと考えております。
 今後の細かなスケジュールについては、今年度中に地域協議会を2回程度実施し、翌年度は2回から3回実施する予定です。現在清水地区も先行して地域協議会を行っておりますが、隣接しているため流入、流出もあるので連携しながらやるほうがいいとの御意見も頂いております。
 今後そのようなことも視野に入れながら、地域協議会を進めていきたいと考えております。

○小沼委員長
 ここでしばらく休憩とします。
 再開は13時30分とします。

( 休 憩 )

○小沼委員長
 休憩前に引き続いて委員会を再開します。
 ここで、当局から発言を求められておりますのでこれを許可します。

○金嶋新図書館整備課長
 午前中の7番委員の質問に対する追加答弁1件と発言訂正1件についてお願いいたします。
 石川県立図書館の整備における国費の充当についての質問に対してお答えいたします。
 金沢大学工学部の移転に伴って図書館周辺地域の金沢城東地区の整備に対して国土交通省の社会事業整備総合交付金の都市構造再編集中支援事業のメニューで交付を受けていることが確認できました。ただしこちらは図書館整備事業への交付金ではなく周辺地域の整備を基幹事業とし、その他周辺道路の整備と図書館の一部である文化交流機能の整備を合わせて関連事業として申請しているものであり、この関連事業に対して8億5200万円の助成を受けていたことが確認できましたので追加答弁とさせていただきます。

 次に、総事業費の増額に伴う県負担額について、全体で106億円の増額に対して交付金ベースで2分の1の約50億円が交付される想定で県負担も同額程度の負担軽減になると答弁いたしましたが、さらに残りの部分につきまして将来的に交付税措置のある有利な起債を活用することによって県負担が10億円程度減少することから、7番委員から県負担は40億円くらいになる理解でよいかとの問いに対しましては、御指摘のとおり県負担を最大で約42億円まで削減できると試算できますのでおわびの上、発言を訂正させていただきます。

○小沼委員長
 それでは質疑等を継続します。
 では、発言願います。

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