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委員会会議録

質問文書

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令和6年6月定例会文教警察委員会 質疑・質問
質疑・質問者:佐地 茂人 議員
質疑・質問日:07/01/2024
会派名:自民改革会議


○佐地委員
 分割質問方式で質問します。
 学校運営の将来と先生に求める理想像について、ちょっと大きな話かもしれませんし市町、小中学校の義務教育的な部分も含まれておりますが、できる範囲で御答弁をお願いしたいです。
 ここ最近、勉強は塾で、部活動は地域クラブで、地域との連携等についてはコーディネーターの配置であったりコミュニティスクール等でという形で、先生方が忙しいというお話もありまして学校と地域、保護者、児童生徒との関係性が希薄化してきていると個人的には感じております。保護者としても学校や先生たちを応援していきたい気持ちは持っているわけですが、一方でこれからどうなるか心配しております。
 そこでお伺いいたしますが、学校運営については勉強、部活、地域との距離が離れていると感じますが、どのように保護者、児童生徒、地域の期待に応えていくのか。また先生については勉強、いわゆる授業力、部活等で期待されないとなれば先生自体の存在意義にも関わってくると思いますが、先生の役割をどこに見いだしていくのか。
 先生という人材ですので、人間力を高めていくとか、児童生徒の好奇心、勉強に関する取組に興味を持たせていくといった形で将来の夢や希望を指し示していける人材を私は期待していますが、どのような形でこれをやっていくのか改めてお伺いしたいと思います。

○中山人権・教員育成室長
 まず学校運営についてですが、これからの学校は社会と連携協働した教育活動を充実させることが求められております。現在各学校は開かれた教育課程の下、学習面でも部活動においても保護者や地域の方など様々な人に支えられております。しかしそうした中でも教員の果たす役割は非常に大きいと考えております。
 学校の授業では、子供たちが主体的に学びたくなる学習課題を設定し他者と協働しながら課題を解決する授業を構想したり、修得した知識や技能を実生活や新たな課題に応用して使う場を設定したりと工夫しているところです。
 また、学校の教育活動全体を通して人との関わりの中で豊かな人間性を育むこと、子供たち自らが学びに向かう力を育成することも重視しております。変化の激しい社会において、子供たちが困難を乗り越え未来に向けて進む希望や力を育成すること、子供たちの伴走者として夢の実現へと導くことが教員の役割だと考えております。
 こうした役割を果たしていくことで、子供、保護者、地域の皆様の期待に応えていきたいと考えています。

○佐地委員
 ありがとうございます。
 改めてお伺いしますが、先生が地域や保護者からだんだん離れて距離ができているように個人的に感じているんですが、先生の存在意義に対する危機感についてはどうお考えですか。危機感を持っていらっしゃるのかどうかですが。

○中山人権・教員育成室長
 個人的な意見ですが、危機感はある程度感じております。しかし一方で文部科学省は教職に必要な素養として教員自身の豊かな人間性、社会性、教育者としての使命感や責任感、教育的愛情、倫理観、人権意識等を挙げております。こうしたことを基に教員は授業力や生徒指導力等を積み上げていく努力をしております。
 教員たちと過ごす中で憧れの教員を見つける子供も多いことが挙げられます。教員自身が魅力的な人間であることが子供にとっての学びの環境を整えていく上でも重要であると考えております。

○佐地委員
 またこれからお話をしていきたいとは思うんですけれども、これから子供も減ってくるし、教育委員会、義務教育、学校の在り方がどこかで大きく議論されるときが来るんじゃないかなと思っています。
 そうなる前から、本県は市町と連携しながら小学校、中学校、高校、私学も含めて大きな形で分かりやすく提示していただきたい。
 子供を持つ保護者からすると先生方に頼るというのは最後のとりでなんです。勉強もそうだし家の中でうまくいかないことなどの相談もそうです。人間力と授業力についてはいい事例があると思うので、それをもっと広めてほしいと思います。

 次の質問ですが、教員採用試験の応募者がだんだん減ってきて、またすぐに辞めちゃう新人の先生がいることも課題になっています。そうした背景の中で改めて伺いたいのですが、国は給料の上乗せ分を月給の10%に引き上げると言っておりそれはそれで大賛成ですが、私は残業時間を減らしていただきたいと思っていますし、もう1つは子供たちと同じ形で夏休みとして一括したお休みを頂いて自身の人間形成をしてもいいんじゃないかと思っています。
 まず現在の先生の残業時間はどのようになっているのか教えてください。

○大澤教育DX推進課長
 残念ながら県内における全ての教職員の残業時間そのものの把握はできておりません。代わりに時間外在校等時間――割り振られた勤務時間外に勤務に従事している時間――が月当たり45時間を超える教職員の割合を把握しておりますが、昨年度の実績で例えば小学校であれば28%、中学校であれば45.4%となっております。ただこの数字は前年度と比較して減少している傾向にございます。

○佐地委員
 先生方は忙しいしやることがたくさんあるとよく伺っています。我々もいろいろな人材をサポートしスタッフ等も提示しながら御支援しているつもりでいます。時間内に終わればそれはそれで能力の高い方とか整理整頓が得意な先生方だと思うので、ぜひそういう方々を見習う形でうまく残業時間がもっと減っていくといいなと思ってます。

 次の質問ですが、先生たちの残業をなくして17時――例えば県庁、市役所だと17時15分ですけれども――に下校するルールをつくり、部活動に参加しないで一度学校から帰り地元のボランティアで地域貢献をする形も1つの方向としてはありかと思っています。
 例えば、消防団や部活動に代わる地域クラブチームのコーチなどで貢献していただきたいと思うんですが、教師や教育委員会で消防団へ参加している人はどれぐらいいらっしゃいますか。また地域活動参加について教育委員会より教師の皆さんに通達とかメッセージを送っているか伺います。

○中村高校教育課長
 教員個々がプライベートでどのような地域活動に参加しているかにつきましては、プライベートな事項でもあり教育委員会として調査等を行っていないため把握しておりません。そのため消防団への加入状況についても分かっておりません。
 また、地域活動は自発的に参加するものであることから、教育委員会から特別に先生方に対して通知やメッセージを送っていることもございません。ただ自治会活動や地域のお祭りなどにも積極的に参加している教員がいて、多様な人々と交流することで自分の幅を広げている、人間力を磨いていると聞いていることは確かですので、地域活動に参加している教員が一定数いるとは考えております。

○佐地委員
 お祭りは基本的に我々の地域では当番長になったり町内会の班長や組長になると必然的に参加することになると理解しています。なので自らが率先して社会の他の人たちの中に入っていきながら人間形成というか自己向上をしていくこともいいことかなと思ってます。
 分かる範囲で結構ですが、もしできたら消防団に参加されている方がどの程度いらっしゃるのか、あれば後日資料等の提出をお願いしたいです。あればです。アンケート調査でもいいので。

 それでは次の質問に入ります。
 現在、夏休みについてはお盆が完全休暇になりました。先生方には先ほど申し上げたとおり長期休暇を取っていただき自己研さんに努めることも1つではないかと思います。
 そこでお伺いいたしますが、現在夏休みや例えば春休みや冬休みなど学校の長期休みのとき、児童生徒がいない中で先生は何をやっていらっしゃるのか教えてください。また夏休みなどに長期休暇を取ってはどうかと私は考えますが、それについてはどのようにお考えですか。

○大澤高校教育課指導監
 私は高校の校長の経験がありまして、その経験を踏まえて御説明させていただきます。
 まず、静岡県の県立学校につきましてはお盆の時期は休暇促進日に設定されていて、できる限りそこで休暇を取りましょうとなっています。教員はふだん生徒が学校に登校している期間は授業のやりくりをしなくてはならないため、休暇を取得しにくい状況です。一方で夏休みなどの生徒が登校しない長期休業期間につきましては、教員は勤務日ではありますけれども生徒がおらず授業もないため比較的休暇を取得しやすい状況です。私が校長のときには職員会議などにおいて、ぜひその期間に積極的に休暇を取ってくださいと伝えてまいりました。
 生徒のいない夏休み期間は、教員にとっては2学期や3学期の授業の準備、いわゆる教材研究を進める絶好の機会でもあります。そして部活動などの指導にも集中して取り組める期間でもあります。私の3年間の校長経験を通しまして、長期休業中には各教員が各自の業務のバランスを考えながら積極的に休暇を取得していた印象です。

○佐地委員
 今は新人研修で非常に苦労されたり、教科担任制を取るなど工夫されたりもしていますが、いい人材を本県もしくは各市町に採用したいのなら、夢というか自分の時間を上手に工夫して組み立てられるのは1つの売りになると思うんです。夏休みの長期休暇や17時15分、30分には学校を出られますよみたいな内容でやり取りして募集をかけてもいいのではないかと感じておりますので、またぜひ考えていただければと思います。

 次に、授業についてお伺いします。
 児童生徒、教師にとって学力の習熟度によって授業ごとにクラス分けをしたほうが効率であったり学力の向上、理解、また受皿的な意味合いでもいいと以前から私は思っておりました。その効果などをモデル的に実際に行って確かめてはどうかと思っておりますが、教育委員会の考えを伺います。

○池上義務教育課指導監
 習熟度別学習のメリットとしては、一斉授業よりきめ細やかな指導ができる、十分に個別に対応できる、そしてそれぞれのレベルに合わせた学習メニューに子供たちが興味、意欲を持って進められることが挙げられます。
 現在、指導方法の工夫改善の取組として、各学校において児童生徒の実情に応じてこの習熟度別学習は実施されております。特に算数科など習熟度が分かりやすい教科で実施されていることが多いと理解しております。
 子供たちがどのように学習を進めていくのがよいのか自分で選択し取り組んでおります。今後も指導方法工夫改善の取組の1つとして、チームティーチング等も併せながら進めてまいります。

○佐地委員
 私の周りの学校では実施されている認識がなかったものですから申し訳なかったのですが、チームティーチングと併せて進めていくのはすごく大事だと思いますし、特にコロナの時期に小学校を卒業して中学生になって、中学を卒業したときにちょうどコロナが終わった今の高校2年生の学年は非常にかわいそうだったなといまだに思っています。
 例えば小学校の授業もままならない状態で中学校に入って入り口から授業が分からなくて、例えば授業を学びたいけれども分からないからみんなに迷惑をかけないようにただ黙って分からないことを聞き流している状態はかなりあったんじゃないかと思っています。1人も取り残すことがないように行っていくと皆さんも言っていますが、それを実現していく意味合いでも習熟度別授業を行う、もしくはクラス分けをしてまたそれを半分にしてチームティーチングの先生を割り当てる形もいいのかなと思いますので、ぜひ成果等もしっかり提示できる形で施策展開をしていただきたいと思いますし、各市町にもそうした御提案をしていただきたいと思いました。

 最後に、小中学校のタブレット活用と小学生の英語についてでありますが、私も最後の子供が今小学6年生です。先ほど言った高校2年生の生徒ぐらいの年代とは全く授業の内容も変わってきていて、中学1年生の娘もいますが小学6年生の子も家の中で英語でアンダースタンドとかリアリーなど冗談で受け答えをしながらしゃべれる状態にまでやり取りしており、英語教育については高く評価しております。
 また、タブレットの活用についても家庭内でパソコンを打ちながら問題に答える形でやっていますが、タイピングもびっくりするぐらい速いです。そういう形は非常にいいと高く評価しておりますが、こうした授業などについて今後はどのように活用を進めていこうと考えているのか、展開等がありましたら教えてください。

○池上義務教育課指導監
 初めに、タブレット活用についてお答えいたします。
 小中学校では、授業だけではなくあらゆる教育活動の中で1人1台端末を活用しております。あわせて家庭に持ち帰り家庭学習や調べ学習にも活用している状況です。
 令和5年度全国学力学習状況調査の質問肢の中で、パソコンやタブレットなどICT機器を1週間に1回以上の割合で活用したかという質問について90%以上の児童生徒が使っていると回答しており、全国比でも4ポイントほど上になっております。あわせて学習の中でパソコン、タブレットなどのICT化機器を使うのは勉強の役に立つと思いますかという問いに対して、肯定的な回答は小学校で95.9%、中学校でも94.6%となっております。
 以上のことから、タブレット端末を十分に活用している実態とともに子供自身がその有用性を実感しており、ICTを活用した学習活動がさらに推進されていくことが大事だと思っております。
 今後は、各教育事務所が行っている学校訪問等を通じて授業等で効果的に活用している好事例を収集し、研究発表会等でそれらを発信していきたいと考えております。
 2点目の英語教育についてです。
 令和2年度から全面実施となった学習指導要領において、小学校3、4年生では外国語活動が週1時間、5、6年生では教科として外国語が週2時間実施されており、各学校では資格認定を受けた教職員やALTがチームティーチングなどで授業を工夫したり、子供の実態に合わせた授業展開をする取組をしております。
 また、中学校においても全国学力学習状況調査において全国7位であり学力としても定着している様子がうかがえます。これは先ほど申し上げた小学校からの学びの積み上げの成果であると考えております。
 今後は、より一層質の高い授業を展開していくために教師の授業力の向上が求められてきます。このため校内研修や外国語教育推進教師の育成が求められておりますので、小学校においてそのような授業が確実にできる推進体制をつくっていくとともに、研修を通じて教師やALTの資質向上に努めていきたいと考えております。

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