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委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


平成30年11月多様な働き方推進特別委員会
関東学院大学経営学部講師 谷俊子氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/28/2018 会派名:


○谷俊子氏
 私はもともと企業で20年ほど人事部の中で働いてきました。夫の転勤などがあって会社をやめざるを得なくて、たまたま近所に大学院があって、大学院に修士、博士と行き、戻ってきたら、東海大学から声がかかりまして、教員をやっています。今は、関東学院大学に移っております。雇用に関してずっと歩いてきましたので、きょうはお役に立てるかどうかわかりませんけれども、私の知識の範囲内のことでお伝えしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では、座って説明をさせていただきます。
 こちらA4の用紙のほう、趣旨を2枚にまとめてありますので、こちらも御参考にしてください。
 きょうはテーマを2ついただいております。労働環境とワーク・ライフ・バランス、そして働き方改革と若者への働き方支援です。双方は因果関係が絡み合っておりますので、重複する部分もあることを御了承ください。上記を踏まえ、後半では多様な働き方推進の実際の施策についてもお話ししたいと思います。
 では、最初に、労働環境とワーク・ライフ・バランスです。
 今、静岡県の中でどのような問題意識があるのかを事前に伺っておりませんでしたので、私のほうで神奈川県や平塚市の委員をやっている中で、同じ課題を抱えていらっしゃるのかなと思いながら、それを前提としてお話をさせていただきたいと思います。
 まず、「労働環境とワーク・ライフ・バランスを整備する必要 自治体としてなぜ」ですけれども、やはり地域の活性化のため、働く人をふやし、税収を確保しなきゃいけないことがあります。労働力減少を食いとめるために環境を整えないと、企業、そして自治体に人材が集まらないという課題があります。もう既に日本は人口減少に移っております。特に地方は顕著になってます。
 そして、オリンピックが終わった後、仕事が減って、人手不足は解消するのではないかと楽観視する方もいらっしゃいますけれども、どんどん人口が減りますので、多分、人手不足は変わらないだろうと推測ができます。人口全体だけではなくて労働人口がマイナス、減少、そして若手だけではなくてミドル層も減少している危機的状況にございます。
 人手不足解消のために何ができるかですけれども、もう若い人は人口がそもそも少ないので、そこにこだわっていると採用できないという課題があります。今現在、失業率2.3%になっております。3%を切ってしまうと、働ける若年層はほぼ全員働いている状態にあります。ですので、さらに若年層をどうにかして雇用しようと努力しても、そもそも来ないと。ただ、女性やシニアはまだ採用できるチャンスがあると言えると思います。
 そこで、女性とシニアに注目して前半はお話させていただきますけれども、いわゆるM字カーブ、これは以前よりも回復はしているという結果が出ております。子育て中は仕事をしていなかった人、これから復帰して働きたい人はM字カーブ、回復しておりますけれども、まだまだいると言えるかと思います。
 そして、シニアですけれども、静岡県のことも確認させていただきましたが、60から65歳で定年を迎えて、無業になる方がふえます。でも定年、シニアといっても、今の方々、とても若いです。そして実力もありますし、培ってきたノウハウもあります。さらにずっとフルタイムで働いてきた方が多いので、これからもできれば家にいないで、奥さんの迷惑にならないようにと、フルタイムで働きたい意欲もある方が多いです。そういった意味では、企業にとってはお買い得と言えると思います。
 そこで、女性とシニアをどう活用すればいいのかという話になりますけれども、やはり家庭や趣味に重きを置いている方が多いので、両立ができるように勤務時間の柔軟性の整備が必要かと思います。
 ただ、女性、シニアといっても、個人によって希望はさまざまです。例えば毎日短時間で月曜日から金曜日まで働きたい人がいたり、週3日だけフルタイムで働きたい、週5日全部フルタイムで働きたい、さまざまな方がいらっしゃいます。
 あと長時間労働が常態化している企業があります。体調を崩してやめてしまう人が多いと。そして労働力不足なので、どこの企業でも人が欲しい。若い欲しい人材がすぐ転職可能ということがありますので、ここもやっぱり考えなくてはいけない課題だと思います。長く健康に働き続けてもらうには、長時間労働をさせない仕組みが大切になってきます。
 それから、今は、どこでも採用される状況、人手不足がありますので、退職する方が多いんですけれども、そういう方にリクナビでアンケートをとったところ、人間関係の不満、労働時間、環境の不満が多いという結果が出ました。これは年齢を問いません。ただ、ネット上で集計をしておりますので、どちらかというと40代以下という感じはいたします。これも考えておかなくてはいけない状況です。ですので、人を入れる、採用につなげるためには、そういった退職理由についても考えていかなくてはいけないという課題があります。
 一般的に退職する方は、会社から、ちなみに退職する理由は何なのと聞かれても、本音は言いません。聞かれたくないので、無難にちょっと親が調子悪いのでとか、家庭の事情でとか、子供が受験なのでとか、そういうことを答える人が多いです。そうすると、それ以上突っ込まれないからだと言われてます。でも、これを本当だと信じてしまうと、真の改善はできないということです。ですので、企業にとっては人間関係、長時間労働を改善していかなくてはいけません。
 まさにこれがワーク・ライフ・バランスの実現になるわけですけれども、安心して働ける職場が理想だとアンケートの結果に出ております。具体的にはコミュニケーションが良好だということです。これは年齢問わずです。
 例えば若い人も、最近、すごくコミュニケーション重視で、私などは、今、50代で、若いときは企業で社員旅行などありましたけれども、一時期、それが不評で、随分なくなっている期間が長いと思うんですが、逆に今、若手は社員旅行だとか、職場でのバーベキュー大会とか、そういうのを希望するようになってきているそうなんです。それはやはりコミュニケーションをよくしたい、上司と人間として仲よくしたいという状況があるのかなと思います。そういうふうに上司、同僚と理解があって仲よくしていると、突発的な休みがとりやすいという状況もあります。仕事も頑張るけれども、生活も大切にしたいと。
 例えば女性、シニアであれば、家庭の都合で、子供の病気で急に休むとか、そういうときにも、上司の理解があれば休みやすいと、気兼ねがないと思います。
 ですので、制度は国でありますし、企業でも随分進んでおりますけれども、制度だけ整備しても不足だということです。休暇を取得しにくい職場もだめだと。イクボス的な存在、配慮が大切。イクボスとは御存じだと思いますけれども、ワーク・ライフ・バランスに配慮できる上司、みずからもワーク・ライフ・バランスを実践する上司です。
 私も3年前にワーク・ライフ・バランスとケアの倫理、副題でイクボスの研究というのを出しておりますけれども、ここにも具体的にどういう配慮をしているのか、これ、博士論文なんですけれども、調査をして本にしております。もしよろしければ、御参考にごらんください。
 それから、もう1つ大きなテーマがあります。介護です。今後、各企業で、これは育児よりも問題は大きくなると言われております。介護する人は50歳以上の1割になるのではないかと。
 介護は育児よりダメージが大きいと言われております。一番脂が乗っている40代、50代、こういった世代が抜けてしまいます。そして、育児は、いつ生まれるとか、何年間お休みするとか、事前の予測が可能です。そして、数年で復帰できることがわかっています。介護はいつまで続くかわからない。そして、介護生活が長く続くと、心身ともに疲弊した従業員が増加してしまいます。こういったベテラン従業員、働き手を失うことで経営上のリスクも出てきます。生産性の低下、技術や技能の継承の断絶、マネジメント機能の低下、こういったことが企業の課題となっていくと思います。
 こちらは「介護との両立の困難性」で、総務局でも調査がこのように出ております。
 介護離職を避けるために企業でできることというと、やはり育児と同じで、制度があってもだめということです。介護をしていることを打ち明けやすい雰囲気、これが職場にあることが大事だとか、悩みを分かち合える場づくりだとか、そして会社の中で介護を積極的に支援しているのだというメッセージとしてさまざまなハンドブックの作成、セミナーや交流会の開催など、こういったことも大切になってくると思います。
 要は、介護も育児も、会社をお休みする期間があるわけです。ですけれども、成果を出していることが本来は大事だという、そういう原点に戻ってほしいです。これもワーク・ライフ・バランスの大切な趣旨になります。長時間会社にいる人が評価される時代はもう終わりです。かけた時間ではなく、成果を出した人を評価していく。突発的なお休みがあっても、成果を出せる人は評価をしていく。こういったことをきちんとやっていくと、休職していても申しわけないという気持ちもなくなります。大切な人材の流出も防げると思います。
 以上で、1つ目のテーマ、労働環境とワーク・ライフ・バランスについて、簡単ではございますけれども、ざっと大切なポイントをお話いたしました。
 続きまして、2番目、働き方改革と若者への働き方支援です。
 こちらは、まず若者の思考の変化が上げられると思います。リクルートの調査なども見ますと、もちろんワーク・ライフ・バランス、これを理想としていますけれども、仕事のやりがいや成長意欲も高いです。仕事中心の生活を希望する人は1割ですが、めり張りが大事ということを心がけてるということです。長時間残業はしたくない。ですけれども、多忙時であれば、30時間程度までならオーケーだという結果が出ています。ただ、やりがいをすごく重視しますので、自分の希望する働き方ができなければ、すぐにやめる、転職先もあるということです。
 我々は会社の生活がわかっておりますけれども、まだ学生というのは、仕事自体どういうふうに回っていくかもわかっていません。ですが大学生なんかは、私が授業でやると、入社前から、ワーク・ライフ・バランス、ワーク・ライフ・バランスと、それが一番大事だとなってきている状況があります。
 このやりがいに関して、ちょっと蛇足ですけれども、私、今、知り合いの人材育成の会社を一緒に手伝っておりまして、都内でやっているんですけれども、本当にちっちゃい会社なんです。企業の人材育成、通信教育などを手がけている会社ですけれども、大体は雇用されている形ではなくて、私のように手伝う、請負みたいな感じで働く、40代、50代が多かったんですが、最近、20代から30代の若手3人ぐらいを採用したんですね、正社員で。そうしましたら、例えば、某市役所をやめて来たとか、名立たる企業をやめて、給与は低いけれども、ここの会社のほうが小さくて、自分の力で頑張っていけそうだから転職してきたとみんな言ってるんですね。ですので、私の身近の話だけですけれども、本当にやりがいを重視する若手がふえているなとひしひしと感じるところでございます。
 あと、就活の学生モニターの調査ですけれども、先ほど雰囲気がよく思える職場というアンケート結果がありました。じゃあ具体的に雰囲気がよいというのはどういうことなのかと聞いたところ、一番最初にワーク・ライフ・バランスを重視しているという数字が出てきたということなんです。本当に会社のことをまだわかってないのに、ワーク・ライフ・バランス、ワーク・ライフ・バランスと言っている状況があります。あとは役職、年齢に関係なく自由に物が言えるとか、アットホームだとか、そういうことが上に上がってきております。
 あとは就職先、企業を選ぶ際に重視する点です。将来性があるというのは昔から定番でありますけれども、それに続くのが、給与、待遇がいいとか、福利厚生が充実しているとか、あと職場の雰囲気がいいというのは、ワーク・ライフ・バランスを重視しているということで、一番上に来ています。こんなことをすごく重視しているので、今の若者に受ける、採用できる会社になるためには、こういうところに力を入れていかなくてはいけないという状況があると思います。仕事よりも働く環境を重視ということです。やりがい、成長も重視しますが、転職で実現したいことは、仕事のやりがいを感じられる、経験や能力を生かせる、そして仕事を通じて成長できる、この3項目に関して9割以上の人が当てはまる、どちらかというと当てはまると答えました。勤務条件等の改善や趣味の時間の確保といった項目よりも高いです。やりがいがなく、自分の希望する働き方ができなければ、すぐにやめてしまうと。やめてしまっても、転職先は幾らでもあると。先ほどの私の知り合いの都内の会社の若者もそうですけれども、そういった状況があるように思います。
 一方でブラック企業、これを若者はとても恐れております。就活の際に、どこどこ会社はブラックという書き込みがあるかどうかまずチェックするということです。そういうところを避けても、間違えてブラックな会社に入ってしまったら、すぐやめてしまいます。とにかく長時間残業のない、休日がきちんととれる会社、これでないと人は集まりません。
 あとは管理職になりたがらない若者がふえています。出世よりも子育てのために転勤を断る正社員も最近ふえてきているとも聞きます。これはもちろん休職の制度でも、もし転勤を命じられて、それを無理やり子育てがあるのに転勤させられたら、それは不利益ということで法的に罰せられるという改正の法律もあります。こちらもできましたので、社会も実際に働く人も、こういうふうに家族、それから生活を大切にする方向に来ていると言えると思います。
 ブラック企業と一般的によく言われますけど、じゃあ実際にはどういうものなのかはなかなかきちんとしたものが伝わっておりません。一応、ここに入れておきましたけれども、この森岡孝二さんは関西大学の先生で、かなり長くブラック企業について研究をされている方です。この方の本で確認しますと、ブラック企業とは過労死、過労自殺を起こした、労働基準法が守られていない、そして残業時間が非常に長く、サービス残業が恒常化しているところです。そして、学生から見て労働条件が悪いので、就職したくない企業。悪いうわさはあるが、就職難なので避けてもいられない企業。最近は就職難ではなくなってきましたけれども、やはり学生が就職したい企業はかなり倍率も高いので、そういったことで選べない状況は変わりないと思います。
 あとは両立制度があるだけでは不足です。制度を気兼ねなく使える環境、雰囲気づくり、こちらを管理職は目指す努力をすることです。イクボスの存在が重要です。イクボスとは先ほども少しお話しましたけれども、2つポイントがあります。みずからがワーク・ライフ・バランスを実践するということと、それから部下がワーク・ライフ・バランスを実践できるように配慮することです。こういったことを配慮していかなくては、制度があるだけでは不足だと言えます。
 ただ、こういったことも、最近、指摘をされています。家庭を持つ人のワーク・ライフ・バランス支援が進んできました。そうしますと、どこの企業も人材不足ですので、そのかわりをする人もいないと。結果として、結婚前の若い人にしわ寄せがいってしまうと。これが、最近、新しく危惧されています。休日出勤の仕事だとか、そういうのは家庭を持ってない人のところに行ってしまう。突発的な業務を丸投げしてしまうと。大丈夫、やってくれると若い人に言うと、大丈夫です、やりますと言ってくれるんですけれども、若い人はまだ経験も浅いですし、業務量の調整になれていません。結果として、頑張って潰れて退職のパターン、これが問題視されております。若手をこれから支援したいのであれば、このあたりもちゃんと見ていかなくてはいけないと思います。何か行政で仕組み、支援も必要なのかなと思います。
 あとは、若者に対する学校での教育、これも行政として何か働き方支援でお力になっていただけるのかなという感じはしております。やはり一度メンタル課題を抱えてしまいますと、回復には時間がかかります。社会的にも大切な若い人を失うことになります。ですので、私が今、東海大や関東学院大でも働き方の授業をやっておりますけれども、働き方を学ぶ場を提供する、大学などの授業に組み込むのも、1つの手かなと思います。ブラックな働かせ方から身を守るための正しい知識を学生に教えるということです。
 若者は全てネット検索で情報を得る傾向があります。常にスマホで検索してます。それはいいことでもあるんですけれども、中には間違ったワーク・ライフ・バランス、ブラック企業の知識、こういったこともうのみにしてしまう、過度に心配してしまう、本質を見失ってしまうという状況が散見されます。
 では最後に、多様な働き方推進の具体的な施策を、私から提案させていただきたいと思います。
 まず、短時間勤務の人をどんどん採用していってしまうのがいいのかなと思います。ですので、行政もそういったことを支援する、呼びかけるのがいいと思います。今まで正社員で1人でやっていた仕事を、例えば2人、3人で分ける。時間だとか内容によって分ける。それによって短時間しか働けない人をどんどん社会参加させることができると思います。正社員の長時間勤務、ブラック的な働き方も解消できると思います。今まで一般的には男性中心だった企業、業務が多かったわけですけれども、そういうことを分けて、見直しすることで女性活躍の場を拡大できると思います。
 例えばここに建築土木業と青果物卸売業を例として挙げました。ある企業では建築、土木の中で女性に危ない仕事は任せられないという先入観がありましたけれども、実際にどういう仕事をやっているのかというと、もちろん危ない、重いものを運ぶとか、そういう大変な仕事もありますけれども、中には女性ができる仕事もあるわけです。そういう部分を分ける。そして先入観を払拭してまずやってみると。できなかったらちょっと残念だけれども、結構やってみるとできることのほうが女性も多いです。まずやってみましょうと促すのも1つかと思います。そして青果物卸売業、八百屋さん系ですけれども、市場などで重量物の運搬が主な男の方の仕事だったんですが、中には野菜を仕分けして袋詰めをする仕事もあったそうなんです。その部分を、軽作業を分けて女性にやってもらう取り組みをしたそうです。割と年配の女性たち数人にお願いしたところ、逆に女性のほうが丁寧だったということで、これも女性だから丁寧とかそういうことは、さまざまな男性も女性もいらっしゃるので一概には言えませんけれども、ここで挙げる例としては、女性のほうが丁寧で、野菜を入れるときに、野菜同士がぶつからないようにきちんと入れることでロスが減ったという、よかった、メリットのほうが大きかったというケースが上げられております。
 ですので、本当にやってみればいろいろなことが可能になって、働き方改革に一つ一つつなげていけるのかなと思います。大上段に構えず、小さいところからやっていくところが大事なのかなと思います。
 働き方改革で大切な姿勢、考え方ですけれども、企業がいろいろな制度を決めるのではなくて、入ってもらった人、働く人のニーズに耳を傾けるということです。どうやったら働きやすいですかと聞くと、大切なヒントの宝庫がたくさんあるということです。
 あとは突発的な休職、休暇に備えるために、メーン、サブ的な担当者の制定、これも人を分けることになります。たくさんの人に働いてもらうことになります。そして、誰もが担当できるようマニュアルの整備なども進める。こういったことは、働く人のダイバーシティー、そして働き方のダイバーシティー、両方の推進になると思います。
 一方で、従来型のばりばり長時間働きたい人、これも認めてあげるのがいいと思います。ダイバーシティーの1つだと思います。否定はしないほうがいいと思います。こういう人もいないと、いろんなお休みが多い人をサポートする役割もいなくなってしまいます。ただ、健康チェックは、忘れないようにということです。
 あとは障害のある人、ブランクのある人の社会参加ですけれども、身体、知的、精神障害、さまざま障害のある方いらっしゃいます。それプラス就職氷河期世代で就労していなかった期間の長い人、こういった方もいらっしゃいますけれども、やはりここは行政が支援することで雇用の可能性が広がるのではないかなと思っております。私も企業の中で知的障害者の特例子会社をつくって、そこで3年間、指導などもして働いておりましたけれども、やはり障害のある人にはサポート役がいるのがいいと思います。一つ一つ、それによって力が出せるということがあります。
 ただ、もう20年前の話なんで、ちょっと古くなっているのかなと思ったんですけれども、そのときには定年前の年配の男性、たたき上げの優しいおじさんたちが手とり足とり障害のある若者たちを支援するという構図があったんですけれども、最近はそういうのも少し変わってきているということです。ここに私の本のタイトルを入れておりますけれども、社会的企業、こういった企業がかなり精神障害のある人のサポートをやり始めてます。
 この本にも書いてあります。一番最初にあるんですけれども、ここの社長さんというのは、見た目はホリエモンじゃないですけど、Tシャツを着て、都内のちっちゃいオフィスで働く若者でした。とても見ばえのする方でしたけれども、この企業は、いろいろな企業の中の小さい会社の社長さんのプレゼンの資料をつくったりする仕事、それからこういう会議で録音したものをテープ起こしする仕事、そういうことを請け負ってやっているそうなんですけれども、実際に精神障害のある人たちは、そういうことが結構得意な方がいらっしゃるということなんです。パソコンを使ってやる仕事で、飽きてしまうような単調な作業でもしっかりやってくれるそうです。そういうことを紹介する、サポートする社会的企業が徐々に出てきてます。そういうところと行政が連携して雇用の場を広げていくのも1つの案なのかなと思います。できる仕事の開拓、支援者の確保、育成、それによって障害の特性に配慮が可能になります。まだまださまざまな事情を抱えた人材が眠っている可能性があると思います。
 では、最後ですけれども、やはり人が集まらなければ、企業は操業が続けられなくなると言えると思います。日本全体で人の奪い合いになっています。県としての特色、ほかと違う戦略、こういったことも考えていくのがいいのかなと思います。きょういただいたお題は、若者への働き方支援という項目が入っていましたけれども、やはり若年層はそもそも人口が少ないということが言えます。ですので、若い人だけではなくて、65歳以上も雇用できる環境を整えていくことが大事だと思います。だから、むしろ若い人支援というよりも、重きを置くのは65歳以上、シニア支援なのかなと。その先陣を切るのも、ある意味、戦略的に有利なのかなと思います。
 実際、いろいろ企業にアンケートをとって採用したい人、育てたい人、こういった人材を聞くと、45歳以下までとほとんどが答えます。ですので、45歳以上を促進することも狙い目なのかなと思います。
 一応、ここで終わりですけれども、時間もまだちょっとありますよね。ここに引用したものを載せました。もしさらにいろいろ調べたいということであれば、こちらの参考文献をごらんください。
 そして、改めてなんですけれども、働き方改革の9つのテーマをここに上げておきました。きょうお話ししたことは、この中のほんの一部なんですけれども、きょうは時間も限られておりましたので、全ては関連づけてお話しすることはできませんでしたけれども、ここに9つテーマがありますので、このあたりともつなげて、今後、いい働き方支援が考えていけるのかなと思っております。皆様からも御意見がいただければと思います。
 あとは間接的かなと思いましたけれども、行政として労働の課題を認識するということであれば、今、上げた9つの課題の中で、同一賃金、同一労働の実現というのがありました。これは女性の年収を上げることにもつながると思います。今、なかなか見えにくくなってはいますけれども、シングルマザーの課題、やはり女性の賃金は低目ですから、日本の場合は、これは大きな課題になっていますし、次の子供の世代の育成、人材育成ではかなりネックになると言われております。何かの形で同一賃金、同一労働の実現をしていくことで、シングルマザーの底上げ、次の世代の格差の是正ということで、福祉的な取り組みにつなげることがあるかと思います。
 そして、先ほどの9つの項目の中に見ていただくと、生産性というのがあったと思います。日本は諸外国に比べると労働生産性が低いと言われております。これはなぜかというと、日本のホワイトカラーは利益を上げないのに、仕事で多くの時間を割いていると。例えば社内会議の資料づくりだとか。アメリカなどは社内データを共有して、プレゼンする本人がデータを抽出すると。日本は部下任せだということです。その部下が忙しくなるという構図があります。あと日本は会議が単なる情報共有の場になっているケースが多いと。それによって時間の生産性が低くなっているということで、この辺は意識改革が必要なのではないかと思います。
 なかなか行政も難しいところがあると思いますし、これは単体で改善していけるものではないと思います。国全体でということでもありますが、できればこういうことを推進していますよと発信するのもいいのかな、先進的な取り組みをしていると言えるのかなと思います。
 あとは外国人就労の課題があると思います。やはり静岡県は観光、製造、そういった企業が多いと思います。国としてはいろいろ問題になっておりますけれども、技能実習制度など雇用のルールの整備、これが課題です。それから転職市場の活性化、低賃金の見直し、こういったことも県としても取り組むべきところがあるのかなと思います。
 一例ですけれども、ドイツなどではデジタル化技術が発達しております。日本もドイツに似ているところがあると思うので可能だと思います。誰でも働きやすい職場づくりをこういったデジタルで推進しています。これから日本に、もしかしたら移民がふえてくる可能性ありますけれども、ドイツの移民がそれぞれの熟練レベルに合わせて作業手順、マニュアル機の言語、言語もさまざまな出身の国の方がいらっしゃいますので、それをデジタル化で全部つくっていると。その機器を操作するだけで、誰もが同じレベルの仕事ができるということをやっていると言われております。これも日本で実際にやっていけるのかなと思います。
 本当にさまざまな事例がありますので、実際に何をやっていけばいいのかとなったときに、いろんな案はあると思いますし、私のほうからも紹介できるのかなと思います。
 あとは最後に私の本から引用しました。先ほどイクボスがいることが必要ですよと申し上げましたけれども、具体的には時短勤務の人に気持ちを配慮してあげるだとか、皆さん頑張ってるのはわかってますよとちょっと声かけするとか、そういうことが大事になっていくということです。
 イクボスだけではなくて、同僚からの配慮、こういうことも大事になってきます。例えば、一般職の女性は職場でメール、郵便の配付の仕事、メール室にとりに行ったりという仕事がありますけれども、そういうのを短時間勤務の人に対して先輩たちがやっといてあげるよと配慮してくれるとか、大したことではないけれども、応援してあげてるよと。いないときにかわりにやっといてあげるよと、そういう温かい人間関係、良好な職場、そういうところが求められているし、そういう職場がある企業には人が集まるのかなと思います。本当に特別なことではないし、お金がかかることでもないんですけれども、みんなが楽しく仕事ができる環境づくり、こういったことを考えていくのが一番早道なのかなと思います。以上で私の話を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○野澤委員長
 ありがとうございました。以上で谷様からの説明は終わりました。
 これより、質疑に入ります。
 委員の方にお願いをいたします。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら発言願います。

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