本会議会議録


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令和6年7月人口減少社会課題対応特別委員会 質疑・質問
質疑・質問者:中沢 公彦 議員
質疑・質問日:07/18/2024
会派名:自民改革会議


○中沢委員
 1問でお願いします。
 この人口減少社会の課題対応の特別委員会というのは、私は今日一連の委員皆さんの質疑、答弁を聞いて思ったんですが、極めて政治的判断、政治的要素が大きい分野だと思います。少なくとも10番委員が言っていることと、私は全く違う、全くずれているなと思いました。
 そのことでまず一例を取り上げると、一言で言うなら、企業が今一番困ってるのは人材の確保だと思っています。先ほど、建設土木の業界についての例で取上げがありましたが、私は実は静岡県というのは、まあまあしっかりとした仕組みをつくっているので、他県よりも優れていると思っています。具体的に言うならば、落札率が先ほど95%という話がありましたけれども、東京都はもう既に99%ですよね。積算単価、見積り、予算、ほぼ同額で公共事業が行われています。もう今、落札率で不満があるというのは本当に特殊事例だと思います。
 低入に関しても、今年度から静岡県は低入に対する罰則規定を見直して厳しくしましたよね。低入調査が入った場合の1か月のおざなりな調査から、低入期間の1か月調査の中で、例えばそれが複数回続いたり、もしくはそれが過度にある場合の罰則規定があって、低入が厳しい環境下に置かれて、今のこの御時世、低入を入れるということはなかなか考えにくい体制であります。
 一方で、公契約条例をつくりましたから、公契約条例で下請・孫請に対しても元請がしっかり金額の管理をしながらやるという話になっていますので、そのパーセンテージも具体的に決められているわけですから、過度に安い単価ということは、基本的に県内の企業に対しては出しづらくなっているはずです。問題は、入り口と出口の問題だと思っています。
 入り口は何かというと、まず公共事業の量が圧倒的に減っている。公共事業の量が多かった時代から商売をやっている人からすれば、それは人材確保をしたくたって、また仕事が減ったら人材が余るからなとか、今の状況が続いた場合、今のところもうかるけれども、10年後はどうなるか分かんないから、現状維持にしといたほうが無難だなとか、つまり、いいときの公共事業の量から比べれば圧倒的に公共事業の量が減っているわけですから、人材の確保や賃金の上昇など、下手に手が出せないですよね。それをどう行政や政治が、中長期ビジョンの中でこれぐらいの量のこれぐらいの仕事が担保できるような展開をつくるということを示せるかどうか。これは実は、総合計画にも大きく関わってきますけれども、中長期においてどれぐらいの公共事業が、どれぐらいの量、どの地域でどうやって展開していくから、それに見合った投資、それに見合った人材確保、それに見合った社内の体制を整えてほしいということを明確にしないと、毎年毎年綱渡りでやっている人たちに、はい、賃金上げろ、はい、人増やせって、できっこないんです。この入り口論をどうするかという問題。
 もう1つは出口の問題として、先ほど私は静岡県は優秀だと言いました。制度も仕組みも優秀だと言いました。ところが公契約条例に対して、この条例にのっとった形をどれぐらい下請、孫請、三次、四次に対して監視できてるかというと、実はこの監視機能が非常に弱い。だから、下請、孫請、三次、四次に対してどれぐらいの金額で、どういう仕事をやらせて、労務管理はしっかりとできているのかの管理の仕組みが、実は自治体はどこでも非常に弱いので、そこが見えてないから、末端のいわゆる建設土木に関わる中小零細企業の人たちの疲弊度が変わらないという話になるんです。でも仕組みはあるんです。公契約条例をつくってますから。他県にはないような、なかなかすばらしい条例をつくっているわけですよ、我が県は。それを生かし切れてないという話になります。
 具体的にどうなのかと言ったら、単価が安くても商売になる人たちが他県から来て、潜り込んで仕事をやります。例えば愛知県とか神奈川県とか山梨県とか、そういうところから静岡県内の企業ではとても受注できないような金額でずばっと入ってきて、三次、四次でも仕事を取ります。そうすると仕事もお金も漏れていきます。これを防ぐための公契約条例だったはずなんです。
 つまり、仕組みはあるけどそれが機能していないという課題があるんだと思います。まずそこを直さないと、企業の本質を見失うんだと思います。何回も言いますが、賃金も人材確保もやりたくてもできないんです、怖くて。綱渡りみたいになってしまうから。それを中長期の中でいかにしっかりと示すのかということだと思います。
 そういう意味で、今からお話しさせていただいて、皆さんに考え方を聞いたり、質問させていただくのは、やはり人材確保が一番私は目の前の課題としてあると思います。その人材確保について具体的に言うならば、外国人、特に特定技能実習制度に関しての話をまずしなければいけないと思っています。
 経済産業部から出てきた資料4の外国人技能実習制度の見直し、いわゆる入管法は、6月の13、14日あたりで国で決まりました。自民党、公明党、国民民主党、維新の会等の賛成、立憲民主党と共産党の反対によって成立した法案です。先ほども言ったとおり、政治的な要素が多分に入る分野なので、ある意味では私、やむを得ないと思っています。どういうことかというと、一方で日本の産業を、日本人を守るという観点で議論をする人、一方は外国人にも人権があるではないかという議論で語る人、語る材料が全然別の議論を語っているもんですから、この法律に両方を集約させることに無理があるんです。一方は日本のための議論をしているのに、一方は外国人の人権のための議論をしているわけですから、この話がかみ合うわけがない。これが特徴的な入管法の問題だと思います。
 今回は、外国人の人権の問題は人口減少社会の課題対応には関係ないので、これは一旦置いときます。日本の産業、日本人を守る、そういった観点から特定技能の在り方として、具体的に聞いていきますけれども、実は静岡県はこの法律そして制度にのっとった特定外国人技能に対する体制が、知識も情報も仕組みも私はないと思っています。具体的に言えば、先ほどインドネシア、モンゴル、ベトナム等で何かあったという話を聞いたんですが、東南アジア諸国を中心にこの分野のことが制度化されている国の何がどうメリット・デメリットがあって、国の特徴が何が違って、どの分野にたけている国民性で、どの分野だったらこっちの国のほうがいいだろうなどという詳細情報や状況など、そういうのを把握している部署もしくは把握している方はいますか。まずそれを教えてください。

○和田委員長
 答えられますか。

○中沢委員
 私は、これをあえて言いました。ないのを知っていて。この特別委員会の提言書でまとめたいもんですから、わざと言ったんです。どういうことかというと、国によってそこからいらっしゃる外国人の方が、どういう状況で働きに来ているかを理解しないと。例えば来たけど逃げてしまいました、行方不明になりましたという問題、転職の問題、さらにはその人たちが本当に技能を身につけて母国に帰って役立つような仕事に従事してもらえるかも含めて、全体のことで話をすると、まず国によって制度も国民性も仕組みも全く違うわけですから、十把一からげで外国人の特定技能だとやっていること自体が、まずもう全く進まないと思いますね。もっと言うならば、Aという国は、来るための経費を来る人がしょって、つまり借金をして入ってくる国もあります。Bという国は、そのお金は受け入れる日本の企業や団体がしょってください、ですからしっかりとやりに行きますからということで、無借金でしっかりと働きに来るというパターンもあります。もともと借金をしょって来る人と、借金は受け入れる会社がしょってくれているもんで、純粋に仕事で恩返しができるという考え方の人だと、もう入り口が違います。借金返済のために頑張るって人と、本当にこの技能を身につけて、国のため、日本のために俺は役に立つんだっていうのと、もうハードルスタートが全然違うわけです。それも知らずに、何人だ、何人だって言っていること自体が、もうかえって人権無視につながるぐらいの勢いだと私は思うんですね。
 つまりその各国のA、B、C、D、E、Fと全部状況だけは把握して、何が課題なのか、もしくはこういう国民性で世界を見渡したときに、どういう分野のところに需要があって、その人たちが得意とする産業があるのか、ホスピタリティの高い国から来てるホスピタリティの高いビジネスに向いてる人、建設土木などというところでがちっと仕事をすることで国のインフラ整備に役立つという考え方の国もあれば、それは全然違うんです。それを分かってなしにこの問題は、私は取り扱えないと思うんですよね。それをつかさどる部署がない。そしてそれを理解している部署もない。それから何も分からないけれども、国からこの制度が下りてきました。はい、民間の管理組合頑張ってくださいって話になると思うんです。
 ここで質問ですが、県内に外国人の特定技能を受け入れる管理組合の数が分かる方がいたら、お答えいただきたいと思います。

○佐野職業能力開発課長
 特定技能を扱える管理組合の数は、分かってなくて申し訳ないです。

○中沢委員
 だから、多分このままいくと、人口減少社会課題に対しての人材確保に対する外国人人材の受入れは、我が県はなかなか難しいだろうなということになるわけです、現状としては。少なくともそれは県がマネジメントしろとも管理しろとも言わないけれども、状況は把握するべきだし、国の特性も理解するべき。何のために外国に、うちの県は事務所を置いているんですか。シンガポール、上海、台湾、韓国いろいろ置いてますよね。そこは、他国を知るために置いているんですよね。他国を知るために置いている駐在機関がありながら、誰も知らないんです。だけど資料だけは出てくるんです。だけど、我々が何に困っているって、人材確保が困っているんですよ。その中の直近の課題として明確なのは、外国人の特定技能の実習を生かしたものだと思うんですよね。国の情報、国の企画、さらにはその人たちが何に向いているのか、どんな分野で活躍してもらえるのか、さらにはその管理組合が今どういう状況で、我が県で活躍してくれてる組合があるのか。
 その中で大企業などある程度の規模の企業は自分たちで調査して、自分たちで現地へ行って、自分たちで契約して全部やってきます。ところが、中小零細企業は情報を手に入れるのも大変です。どこからどうすればいいのかも大変です。1回行ってみようかとフィリピンへ渡航する費用だってままならないところもあるかもしれない。それを相談したら、実はお宅の業界分野だったら、この国のこういう人材だと適応しやすいかもしれません、それに当たってはこの管理組合を紹介しますから相談してください、この管理組合に行ったらこういう相談があったので、いよいよだなというところで、初めてその外国に行くこともできるかもしれない。やみくもに外国へ行くよりも、よほど高い可能性とレスポンスを秘めた展開でできると思うんです。やみくもに外国へ行ってこい、調べてこいって、とてもじゃないですが中小零細企業には言えないんです。そういうことが必要で、決して皆さんに管理しろ、マネジメントしろまでは言いません。状況を理解するだけでも、状況を分かった上でお役立ち情報が出せるだけでも、もう全く違う展開が可能性としてあるのではないかなと思うんです。
 ですから、入り口論と出口論の話をさせてもらいましたが、人材確保が大事で、そこには今言った国の問題もありますが、外国の、そもそも分かってない側が、相手のことも知らないのに何ができるんだということを、私は言いたかったわけです。
 そこから言うと、我が県は今言ったようなこともどういう取組の中で仕組みづくりをするのか、またそういう企業や団体に対して、どういう情報を提供できる体制まで自分たちが深掘りしていくのか、それが今回の協議にも一つ大きくなるのではないかと思うんで、意見させてもらいます。私はこれをぜひ提言に入れたいと思っています。

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