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委員会会議録

質問文書

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令和3年9月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:森 竹治郎 議員
質疑・質問日:10/11/2021
会派名:自民改革会議


○森委員
 それでは、分割質問方式で質問を申し上げます。
 最初に静岡県の農業振興、その次に静岡県の林業振興、3番目に静岡県の水産漁業振興について3項目お尋ねしたいと思います。
 まず、農業振興についてお尋ねします。
 静岡県の農業産出額は昭和45年には1698億円あった。全国47都道府県の中で4位。昭和60年になると産出額が3424億円と大分増えてきましたが、全国順位は12位になりました。それから平成30年になると産出額が2120億円、全国順位が16位。そして先般与えられた資料を見ますと2020年から21年は1979億円に下がっている。
 このことを農業関係の皆さんはどのように考え、今後の目標として掲げている農業産出額2400億円をどのように達成していくか。先ほど9番委員もお茶の問題を提示しておりましたが、残念ながらお茶も鹿児島県に生産額で首位を奪われてしまったと。ここのところ静岡県の農業が停滞しているんじゃないのかなと心配している1人であります。
 以前と比べて、産出額や全国順位が下がっている原因はどこにあるのか、そして2400億円の目標を達成するにはどういう取組を考えているのかお尋ねする次第であります。

 次に、食料自給率についてです。
 先般国から食料自給率がカロリーベースで37%程度との発表がありました。私の記憶ですと昭和45年ぐらいの日本の食料自給率は75%ぐらいだった。これがだんだん減ってきて37%になった。そして政府の目標としては2030年ぐらいには何とか45%まで取り戻したいとのことですけれども、翻って我が静岡県は資料がありませんが、恐らく20%を切っているんじゃないのかと。
 このことについて、どのように理解し、国の目標値45%に対してどのように取り組んでいけばいいのかお尋ねしたいと思います。

○遠藤農業局長
 まず、本県の農業産出額の過去からの経緯について考え方を述べたいと思います。
 日本の農業生産の中心はお米であり、今も昔もその体制は変わらないと考えております。それに比べて本県は古くから高収益が期待できる園芸作物やお茶などの生産を主体に行ってまいりました。首都圏、中京圏といった大消費地に近いため昭和40年代は茨城県、千葉県と並んで全国上位の産出額を上げていました。
 1つの転機は昭和45年から本格的にお米の生産調整が始まったことだと思います。これにより米からより高収益が期待できる野菜に代わっていきました。その結果本県も産出額を伸ばしましたが、それ以上に他県が産出額を伸ばしてきまして本県の全国順位が下がったと考えております。
 また、食の洋風化が進展しました。具体的には肉類、乳製品、卵といった畜産物の需要が増大しております。現在の農業産出額上位の県を見てみますと、多くが畜産県と言われるところで、それらの県は現在も産出額を伸ばしております。昭和45年から令和元年までの全国の畜産物の産出額は、全国平均で2.7倍になっております。本県は昭和60年には約2倍近くまで増加しましたが、現在は1.1倍とほぼ増加していない状況です。一方で現在農業産出額が上位の10県を見てみますと、愛知県を除いていずれも2倍以上になっております。鹿児島県は9倍、宮崎県は8倍、岩手県は6倍といったように畜産で農業産出額を伸ばしていることが分かります。本県は混住化が進んだことにより畜産に取り組む産地が限られ、昭和60年以降畜産の産地拡大が進まなかったことが産出額を伸ばせていない要因の1つであると考えております。
 他県での高収益作物の生産拡大や交通網の整備、コールドチェーンといった流通技術の発達により園芸作物が中心であること、大消費地に近いことといった本県の優位性は薄れているように感じておりますが、本県の強みは精度の高い技術による高品質の農産物生産でありますので、そこをもって今後2400億円に向けて取り組んでいこうと思っております。
 具体的には、お茶に関しましてはドリンク需要や有機栽培を増やし、その先には輸出も見据えていきたいと思います。ミカンに関しましては近々新しい品種を出す予定でございます。その品種等を使って県内の産地活性化を図り産出額も伸ばしていきたいと思います。また施設栽培に関しましては複合環境制御技術により同じ面積でも収量を伸ばすことができますので、そういった技術を積極的に入れていきたいと考えております。そして大切なのはやはり人でございます。農家に関してこれからは後継者だけでなくがんばる新農業人支援事業を活用し、県外から人を呼び込んで農業従事者を増やしていきます。このようなことを含めて農業産出額2400億円の目標を達成していきたいと考えております。

 2つ目の食料自給率についてお答えします。
 まず、本県の令和元年の食料自給率は2番委員御指摘のとおり20%を下回っており、15%であります。本県は野菜、ミカン、お茶など低カロリーな品目が多いこと、そして花の生産も多いためカロリーベースの食料自給率は低いです。
 これに関しましては、生産者が所得を上げるために選んだ品目ですので、県が推奨している面もありますが、食料自給率を高めることとは一線を画していると考えております。
 本県農業の特徴をこの品目構成から考えますと、食料自給率を急激に上げることはなかなか難しい状況です。しかしながら優良農地を守り生産性を高める技術の導入や三毛作などの農地の高度利用を通して、食料自給率の向上に寄与していきたいと考えております。

○森委員
 遠藤農業局長は、お米の生産調整により本県農業が停滞したと話したけれども、昭和45年の静岡県の米の生産額は234億円。そして平成30年は194億円。そんなに下がっていないんだよ。お茶については昭和45年は367億円。これが平成30年は308億円。これは多少下がっているかもしれない。それから畜産は昭和45年は424億円。そして昭和55年には885億円までいっている。これが現在464億円、半分になっちゃっている。
 これは紛れもないデータが表したことだから、この原因と今後の取組をしっかりと分析してほしい。先ほど人材育成などのいろいろな取組についても触れておりましたが、せっかく4年制の大学がスタートしたんだからいろんな政策を駆使して目標値2400億円を達成できるようにさらに努めてもらいたいと思う。

 次は、産業委員会提出案件の概要及び報告事項の75ページから78ページ、林業についてです。
 これは午前中に8番委員と9番委員が触れておりましたが、私も少し触れてみたいと思います。
 今年3月ぐらいからにわかにウッドショックの現象が起こり、まさに活況を呈してきましたが、これはいつまで続くのか。アメリカ国内の住宅産業がかなり好調なのが大きな原因の1つ。次は中国も木材需要が出てくるんじゃないかと。
 現時点ではアメリカの要因が大きいようでありますけれども、当局の皆さんはウッドショックによる今の活況がいつまで続く見通しを立てているのか。
 それから、これによって外材の輸入が大分減っているようですが、市場はどんな状況なのか。外材が入ってきたことにより国産材が見直されてきているようですが、外材の輸入状況なども併せてお尋ねしたいと思います。

○浅井森林・林業局長
 まず、ウッドショックがいつまで続くかについては幾つかの統計資料で推計が出ており、業界の報道もなされています。正確な情報は持ち合わせておりませんが、業界の情報筋や新聞などから少なくとも年内は国内において影響があろうと捉えております。2番委員御指摘のとおり、これがいつまでも続くものではないと認識しておりますので、供給体制の強化等については引き続き取り組む必要があると理解しております。
 外材の輸入状況については、住宅建築の主力材料であるホワイトウッド、レッドウッド、ベイマツなどを原料とする製材品と集成材は輸入が減っていて、それに依存していた住宅メーカーや工務店を中心とした住宅業界全体ではまだまだ資材不足が続いていると聞いております。

○森委員
 先ほど5番委員や9番委員から危険な盛土についての質問等がなされました。これは非常に心配の限りであることには違いないけれども、さらに私は治山事業も含めた森林の管理についてお尋ねしたいと思います。
 先般、熱海市伊豆山では大変な災害が発生しました。全国的に毎年のように各地で集中豪雨による災害が発生しており、私は2年ほど前に建設委員会の一員として九州の豪雨災害の現場を視察する機会がありました。熊本県の球磨川上流や福岡県の朝倉市などの災害現場を見ましたが、大きな共通点として林地の山腹崩壊が起きていました。その現場は人工林も間伐もされていない荒れた森林であったため雨の保有率が落ちている。そのまま大雨が降ることによって山腹崩壊が各所で起きる。そしてこれが河川の護岸を傷め、橋桁に流木がつかえて洪水を起こし、多くの生命財産が失われた。しっかりとした森林の管理がなされないと静岡県でも盛土以外に山腹崩壊等で他県で起きたような大きな災害が発生するんじゃないかと考えると、林道や路網の整備による森林の管理に力を入れて、的確な治山事業をやっていかなければいけないと痛切に感じました。
 説明資料78ページにあるように、作業道、要するに林道や路網整備をもっと進めていかなければいけないと思いますが、森林管理の計画において今年度の予算を執行していくと何%ぐらい計画が達成するのかお尋ねしたいと思います。

○浅井森林・林業局長
 今年度予算を執行した場合に基盤となる路網がどれぐらい延びるかについてお答えします。
 2番委員からお話のありましたとおり、森林の手入れや基盤整備としての林道と路網は非常に重要です。県では令和3年度の目標値を累計で5,030キロとしております。昨年度末の時点で4,740キロであり、今年度中にあと300キロほど増やす計画で予算措置をしております。
 今年度予算を順調に執行すれば、この目標値5,030キロは達成できると踏んでおりますので、残り半年で予算を着実に執行して路網延長を達成していきたいと考えております。

○森委員
 引き続いて、的確な森林管理をしていく上で、森林環境譲与税がスタートを切っていると。
 これは、市町が県と一緒に適正な森林管理に取り組んでいこうというわけだけれども、現時点で市や町との譲与に対する作業はどのぐらい進んでいるのか。市や町は初めての取組ですから、小さな市町ではスタッフが足りないと思う。これらを考えながらどのように取り組んでいるのか。

 そして、森林管理を的確にやるにはやっぱり間伐、主伐、その後の再造林が当然必要になってくる。
 再造林をしないと、前段申し上げたような山腹崩壊などの原因になってきますので、その辺の現在取り組んでいる状況についてお尋ねしたいと思います。

○浅井森林・林業局長
 市町による森林環境譲与税の事業の進み具合と県の関わり方、あわせて主伐、再造林の取組についてお答えいたします。
 まず、森林環境譲与税を活用した市町の取組につきましては、令和元年からこの制度が始まり、35市町のうち現在33市町において何らかの形で森林整備に取り組んでいただいております。
 ですが、市町には森林や林業の専門職員が配置されているところが少ないため、農林事務所が中心となってサポートしたり、森林整備のアドバイザーを各市町に派遣して具体的な助言をしております。
 このような形で、33市町では具体的な整備が始まっておりますので、今後も引き続き支援して進めていきたいと考えております。

 それから主伐、再造林につきましては、切った後に植える手間がいろいろかかるため所有者が主伐、再造林を進めるにはまだ十分に至っていない状況です。
 県としては、特に再造林のコスト縮減が課題だと考えておりまして、鹿の柵を設置してその後管理する経費を縮減する取組や、成長の早いエリートツリー苗木を採用して下刈り経費を縮減する取組など林業に新しい技術を導入して再造林のコスト縮減を図り、低コスト主伐・再造林を進めております。

○森委員
 林業については幾つか大変明るい材料が現れてきました。ぜひこの機を捉えて林業が復活する政策を力強く推進してもらいたいです

 一方、先ほど3番委員も質問された漁業については明るい材料が1つくらいあるのか、1つもないんじゃないか。板橋水産・海洋局長、どうだろう。
 そこでお尋ねしたいのは、去年から海水温調査などの資源調査をしているけれども、今どれぐらい進んでいるのか。

 あわせて、現在TACによる資源管理に向けてキンメダイが水産庁の検討材料だと。一方で現場の漁業者は自主管理をかなり進めていることはあなたが知っているとおり。
 これ以上TACによる資源管理で厳しくなると、今度はキンメダイ漁師の生活がなかなか大変になってきてしまう。現場の漁師は自主管理を大分進めているんだから、ぜひ現況の自主管理だけで何とかできないだろうかとの意見が出ておることはあなたたちが十分承知している思う。
 こういった声を踏まえて、県はどのように取り組み、水産庁はどのような作業を進めているのか、その辺の状況についてお尋ねしたいと思います。

○板橋水産・海洋局長
 まず、キンメダイの水産資源の状況についてお答えいたします。
 キンメダイの漁獲量は全国的に長期減少傾向にあり、本県の漁獲量では平成元年に6,000トン程度あったものが令和2年には1,051トンとなっております。
 全国的な資源状況についても、県と関係都府県、国の研究機関で協力して資源評価を行っております。国全体の資源状況には指標が2つあり、1つは20年以上の長期の漁獲量の推移を表す資源水準、もう一つが親となる魚の推定量の5年程度の間での短期の増減を表す資源動向です。いずれも令和2年の評価では資源水準は低位、資源動向も減少となっており、資源状況は非常に悪いと言えるかと思います。
 続きまして、成育環境調査についてはキンメダイが生育する伊豆東岸の7か所で漁場の低層水温の測定を令和元年より実施しております。
 今年度は9月末までに4回実施して、結果は水産・海洋技術研究所のホームページに随時掲載しており、漁業者からは漁場を選定する際の参考になると好評を得ております。

 キンメダイのTAC管理につきましては、2番委員も御存じのとおり水産庁が今年3月に魚種別の検討スケジュールを示し、キンメダイは令和4年度第2四半期に資源評価結果を公表して検討が始められる予定となっております。
 本県におきましては、自主的な資源管理や黒潮の大蛇行の影響、サメやイルカによる食害もあるため実際の資源量よりも見かけの漁獲量が減少している可能性があります。
 資源管理以前の問題として、こういった影響により不当に低い資源評価が出されてしまうと過度に厳しい資源管理にもつながりかねないため、資源評価を適正に実施するようにと県は様々な場で国に対して働きかけを行っております。具体的には6月17日にウェブで開催された1都3県の担当者及び漁業者向けの意見交換会や、8月11日に開催された資源評価に関する研究者の会合で国に対して働きかけを行いました。
 本県からの指摘事項を踏まえ、国から食害に関する詳しいデータなど情報提供の依頼があり、現在水産・海洋技術研究所を中心に対応しております。
 さらに、今月には水産庁と漁業者との意見交換会を県内3か所、10月13日にいとう漁協、10月25日に伊豆漁協、10月26日に南駿河湾漁協で行う手はずとなっております。こちらでも漁業者の自主的な資源管理などもきちんと踏まえてほしいといった意見も含めて、水産庁に伝わるようにしていきたいと考えています。
 さらに、県独自の取組として県内漁業者向けのキンメダイの資源状況や、TAC制度にどう向き合っていくかについての勉強会を随時開催しており、6月7日に伊東・稲取地区、10月8日に御前崎地区で開催しました。
 最後に、キンメダイに限らず国の水産資源管理に関する姿勢について、最近新たな動きがありました。
 岸田新総理の下で新たに大臣に着任されました金子原二郎農林水産大臣が、今月5日の就任記者会見の場で水産資源管理について発言されました。その中で、特に沿岸漁業者の皆さん方は管理と言われてもなかなか難しいところがある、農林水産省では資源管理の目標を立てて行っているが非常に多品種にわたる沿岸漁業においてノルウェーや北欧のような資源管理型漁業を徹底して行うことについては現場の皆さんの意見も十分に聞きながらやらなければならないという趣旨の発言がございました。この発言は国が資源評価や資源管理を行うに当たって、特に沿岸漁業静岡県は盛んでございますがの現場実態や漁業者の意見を重視して慎重に対応していく姿勢の表れであると受け止めております。
 県といたしましては、このような国の姿勢が今後も維持され、資源評価や資源管理措置が現場の実態と漁業者の意見を十分に踏まえたものとなるように、引き続き国に対して働きかけていこうと考えております。

○森委員
 国も現場の声を大分尊重し始めたというのは大変うれしいんだけれども、キンメダイ漁業の食害被害なども深刻な状況なので、こういったものも含めて現場の声を機会があるごとに水産庁等に伝えて、そしてそれを国の水産行政、県の水産行政に反映できるように努めていただきたい。

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