本会議会議録


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令和6年9月定例会厚生委員会 質疑・質問
質疑・質問者:山田 新 議員
質疑・質問日:10/03/2024
会派名:ふじのくに県民クラブ


○山田委員
 分割質問方式で大きく5つ質問させていただきます。
 最初は、介護業界についての質問です。
 今、介護人材不足が問題になっていると思いますけれども、本年度の報酬改定で訪問介護の報酬が減額となりました。国の説明ですと、それに対して処遇改善加算を上げているのでバランスが取れているといった説明だったのですけれども、中小零細企業はその加算を取るのがなかなか難しく、その要件を満たすためのリソースが足りていないのが現状かと思います。そこで報酬減額によって県内の訪問介護の事業者にどのような影響があったか教えてください。

○加藤介護保険課長
 訪問介護につきましては、基本報酬が減額、一方で加算率を高くしてトータルでプラスといったことを国では説明しております。県内の状況を見ますと処遇改善加算のうち、最も高い加算率を取得している事業所が全体の44%、加算が未取得の事業所も12%で加算の効果がまだ得られていない事業所も多く、依然として厳しい経営状況が続いているのではないかと推測しております。
 今後、我々といたしましても、訪問介護事業所の経営状況、加算取得に当たっての課題などの実態を把握していくために、静岡県ホームヘルパー連絡協議会とも協力いたしまして実態調査を行い、施策に反映させてまいりたいと考えております。

○山田委員
 要望ですけれども、国は、全国一律で決めているかと思いますが、都市部と地方ですと全然環境が違うかと思います。静岡県としては地方の特殊性を考え、団体の御意見を聞きながら現場の声を聞いて、実態に合った対応をお願いしたいと思います。
 そして、障害福祉人材サポートセンターでも同じように処遇改善加算の取得のために専門家による相談などのサポートの実施もやられていますので、その結果も参考にしながら御対応をお願いします。

 次に、県立病院についての質問をさせていただきます。
 先ほどの厚生委員会説明資料27ページに、静岡県立病院機構の業務実績の評価で設立後初めての赤字決算となったとのことですが、その理由をもう少し詳細に説明していただけますでしょうか。

○米山医療政策課長
 令和5年度は、新型コロナの専用病床の見直しによる入院患者の増加等によりまして、経常収益は前年度比で4億7500万円増加し過去最高となったんですが、物価高騰による薬品費などの材料費、また電子カルテシステムの更新に伴う減価償却費、人事院勧告に基づく給与改定に伴う給与費の増加が収益の増加を大きく上回ったことによりまして赤字となったということでございます。

○山田委員
 ほかの病院も同じように物価も高くなり、薬の値段も上がって、なかなか大変な状況かと思いますけれども、対策としてはどのようなことを考えられていますか。

○米山医療政策課長
 経費削減の対策としては、価格交渉による薬品費の削減、診療材料につきましては共同購入組合に加盟しまして共同購入による削減、ESCO事業の導入による光熱水費の削減などを図っているところでございます。
 また、収益増を図るために医療従事者を確保いたしまして、今まで休棟していた病棟や、手術待ちの患者さんを解消していきます。
 また、県内医療機関を訪問することによりまして、紹介患者を増やす取組を現在もやっておりますけれども、今後も引き続き行ってまります。

○山田委員
 御答弁ありがとうございます。
 経営はなかなか大変と思いますけれども、健全化のために頑張ってください。

 次にがんセンターの経営状況についてお聞かせください。
 今がんセンターの経営状況も厳しい状況かと思いますけれども、経営の分析のコツとしては、数字をなるべく細かく見ていくことだと思っています。例えば事業全体ではなくて事業ごとに区分するですとか、1年間一気に見るのではなくて月ごとに見るといったことが大切かなと思っているんですけれども、そういった例えば診療科ごとに売上げや経費を集計して利益を見る取組はされていますか。
 あと、月次でも分析されていますか。

○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
 当センターでは、診療科ごと、それからDPC――診断群分類ごとに入院期間の管理、必要な診療報酬加算の算定状況確認、また定額である診断群分類ごとの収入と出来高収入との比較などによる病院資源の管理を行いまして、適切な収入を確保できるように努めております。
 支出につきましては、利益の大きい手術につきまして、その手術方法ごとに診療材料の使用実績を分析するなど適正な使用について管理しているところでございます。
 また、報告会等につきましては、毎年病院幹部が各部署の責任者からヒアリングを行いまして前年度の入院期間、それから診療報酬加算の算定、診断群分類による収入と出来高収入との比較などについて実績報告とその評価、新たな目標設定、部署内の課題確認等を行っております。このうち、より重要と考えております収入の分析につきましては、毎月各診療科の部長が出席し開催しております診療科責任者会議がございますけれども、その場におきまして具体的な事例を提示して実施をしております。

○山田委員
 診療科ごとに収入を集計して議論しているとのことだったんですけれども、コストについては診療科ごとに把握されてるんでしょうか。

○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
 コストについても、診療科ごとに診療材料の使用等を見まして分析等をしております。

○山田委員
 そうすると診療科ごとに損益計算書ではないですけれども、売上げ、経費、利益みたいなものが出るということなんですか。

○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
 診療科ごとの収支につきましては、細かい具体的なところまでではないんですけれども、手術とか診療科ごとに収支等を見まして、できるだけ診療科ごとにどのくらい黒字になっているのか、あるいはこの科では少し収益が上がりにくいのかが上がっておりますので、そういう点はもう少し細かくやっていければと思っております。

○山田委員
 診療科ごとに集計するのは、難しいことではないと思っていまして、人件費でしたらどの診療科かはもう分かってることですし薬もどこで使ったかも分かることですので、分析していただいてできれば開示していただけるとどの診療科に問題があるか分かると思います。利益だけではないと思いますけれども、それも大事な要素ですので取組をお願いしたいところです。

 次の質問をさせていただきます。
 がんセンター研究所事業のこれまでの成果について教えていただけますでしょうか。

○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
 研究所の主な研究課題としては、遺伝子解析やたんぱく質解析等の4つを統合した技術を用いたがん患者評価に基づく個別化治療と新技術開発に基づく研究、プロジェクトHOPEです。
 がんは遺伝子の変化により生じますので、その細胞遺伝子を全て調べることでがん化メカニズムを明らかにすることができます。将来より有効な治療技術を見いだせる可能性があると考えられますので、この研究の意義は大きいものと考えております。
 また、研究所の副所長を代表とする研究が日本医療研究開発機構の研究費を獲得しておりまして、プロジェクトHOPEの付随研究の1つとなっております。このほか医薬品以外にも患者家族支援としまして、がん薬物療法の説明を冊子にまとめ情報処方として活用しております。

○山田委員
 いろいろと成果があるとのことですけれども、その成果が実際売上げ、医業収益に結びついたことはありますか。

○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
 これまで企業等と共同開発した製品のロイヤリティー収入としましては、口腔ケア製品、ハンドクリーム、類似症例検索システム等がございまして、年間200万円ほどの収入を得ております。
 また、現在国内の大手検体検査会社である株式会社SRLとの共同事業としまして、プロジェクトHOPEの研究成果を基にしまして、遺伝子パネル検査の保険適用を目指して薬事申請をしております。年度内の承認が見込まれておりまして、保険診療の中で行うゲノム検査に位置づけられますので、県内のみならず全国で使用していただきたいと考えております。研究所の成果につきましては、今後も収入につながるようPRに努めたいと考えております。

○山田委員
 御答弁ありがとうございます。
 先ほど年間200万とおっしゃいましたけれども、少し金額としては小さいかなと思っていまして、もちろんこれも売上げだけが目的ではないのですけれども、一応重要な要素ですので引き続き売上げにつながるようなものも研究していただければと思っております。よろしくお願いします。

 最後の質問をさせていただきます。
 これもまたがんセンターになりますけれども、がんの治療法の1つとして放射線治療があります。その中でも核医学治療が今注目を集めていると聞きまして、放射性の薬品を注射や内服で投与して、そこから集中的にがん細胞を攻撃するのが核医学治療だと認識しています。静岡がんセンターで核医学治療をどれくらいやっているかをまずお聞かせください。

○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
 当センターでは核医学治療のうち、2023年から神経内分泌腫瘍に対しまして放射性医薬品であるルタテラによる治療を開始しております。現在までに7例の実績がございます。神経内分泌腫瘍は症例の少ないがんでございますけれども、若年を含め罹患する疾患でございまして、この治療法で病状の進行を年単位で遅らせる効果が報告されております。

○山田委員
 今お話に出ましたルタテラは簡易的なものだと聞いてるんですけれども、それ以外に何か治療例はありますか。

○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
 核医学治療につきましては、ほかに甲状腺がんに対する放射性ヨウ素の内服治療ですとか、あるいは副腎の褐色細胞腫に対する治療などがございますけれども、当センターにはこれらの治療を行うための放射線治療病室がございませんので、現状では対応ができておりません。このため、これら高用量の放射性ヨウ素治療が必要な患者さんには、放射性治療病室を有する他施設を紹介しております。
 一方で、ルタテラ治療は一般病床に適切な防護措置と汚染防止措置を講じた特別措置病室で行うことができますので、当センターとしましても、今後適用可能な患者さんがいらっしゃれば、積極的に対応していきたいと考えております。

○山田委員
 核医学治療は注目されている治療法だと思いますので、長期的に対応できるようにしていただければと考えております。
 これで質問を終わります。ありがとうございます。

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