本会議会議録


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令和7年2月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:和田 篤夫 議員
質疑・質問日:03/06/2025
会派名:自民改革会議


○和田委員
 分割質問方式で3点ほど伺います。
 まず、産業委員会提出案件の概要及び報告事項34ページにスタートアップ支援の戦略の見直しがまとめてあります。
 今の知事になってからスタートアップという言葉を何回も聞いております。
 日本のスタートアップは、諸外国に比べて急激に伸びてはいません。その大きな理由が資金調達ですが、起業しようとする人への調達支援だけではなくどう支えていくか。サポートをするにもなかなか人材が多いとは言えない。静岡県でもいろいろな中小企業があり、特に製造業が多いですが、事業承継さえもなかなかうまくいかない状況の中で難しいと感じております。
 この事業は将来にとって大事な事業であることを前提に質問させていただきます。
 戦略の見直しとしてKPI目標値をかなり大胆に変えた。現状値が令和5年で目標が令和10年ですから、今の知事の一任期が終わる4年間ぐらいです。簡単に言うとスタートアップ企業を約100社増やし、資金も100億円以上投入する等々が掲げられております。
 まさか意気込みを書いたというわけでもないでしょうから、目標値を掲げた根拠についてお伺いします。

○山家産業イノベーション推進課長
 現行の戦略は、県内に本社を置くスタートアップ数、資金調達総額、評価額100億円以上のスタートアップ数の3つのKPIを掲げております。
 このうち、県内に本社を置くスタートアップ数につきましては、民間のスタートアップデータベースであるスピーダの数値を使っております。
 昨年度、戦略策定時に毎年20社程度スタートアップを増加させる目標値を設定したところです。過年度でスタートアップの増加数が最高で15社だったことから、今後スタートアップ戦略をさらに充実させていくことを踏まえ年間20社、令和10年度の目標値を250社に設定しました。来年度はスタートアップ施策をさらに充実させていくことで上方修正いたしました。
 資金調達総額につきましても、スタートアップの増加数に合わせて、1社当たりの資金調達総額と過去平均の0.9億円を掛け合わせた数字を目標値として設定しました。
 また、評価額100億円以上のスタートアップを令和10年度に3社創出することにつきましては、今現在、評価額が50億円以上のスタートアップが県内にいませんので、他県状況を踏まえ3社と設定いたしました。

○和田委員
 いずれにしてもスタートアップの増加には、説明資料36ページにある支援をしないとできないだろうということで新規事業が書いてあります。
 一番上に資金調達支援として4億5000万円が計上されております。
 新しい事業を起こすために必要な資金を県が2分の1ほど支援するとのことですが、県民の貴重な税金を投入するので、県として事業成果が上がったことを県民に納得してもらえる指標を持っておかなければならないと思います。
 資金を渡したがうまくいかなかった事業が出てきた場合、誰がその責任を取るのかと言われたときに、県としても指標にちゃんと現れていますので御心配なく、県が元気になった証拠はこういうことですよという指標を持っておく必要があると思うのですが、事業が成功したと言える指標があればお聞かせください。

○山家産業イノベーション推進課長
 KPIの設定につきましては、他県のKPI等を参考に設定しました。
 県でもスタートアップの数を増やすことと併せて、質の面でも成功事例を増やしていきたいと考えており、これを戦略の重点施策の1つとして位置づけています。このため成功事例の創出を目的に昨年度ビジネスプランコンテストを開催しました。
 昨年度のコンテストで2位を獲得した富士市の株式会社トヨコーは、高出力のレーザーを使って鉄橋や鉄塔などのさびを除去する革新的な技術を有するスタートアップであり、今月28日に東京証券取引所グロース市場に上場する予定です。
 こうした成功事例を増やすことが必要だと考えていますが、成功事例を何社増やすという指標の設定はなかなか難しいので、まずはこうしたスタートアップの数を増やし、質の面でも成功事例を増やしたいと考えています。

○村松経済産業部長
 補足ですが、県内企業を訪問すると、スタートアップを支援しているが中小企業の支援はしてくれないのかとよく言われます。
 これは県の説明不足だと反省しているのですが、そもそも何のためにスタートアップを誘致しているかというと、スタートアップが持つ革新的な技術やサービスを使い、中小企業が困っている隘路を突破して社会的な問題を解決するためです。
 例えば、アサリは過去最低の漁獲水準でみんな困っています。ここにスタートアップの技術を使うことでアサリをもっと増やすことができるのではないかと。
 中小企業が困っている課題をスタートアップの革新的な技術で突破することが、スタートアップを呼び込む主眼になっていますが、ベンチャーキャピタルと連携した資金調達は、どんなスタートアップでもよいとはなっていません。2つの要件のどちらかに該当しないと採用しないことになっています。1つは、ファルマバレーやMaOIなど県が進める様々なプロジェクトに資する取組で、もう1つは、市町村が持つ課題や県内の社会的課題解決を条件にしています。これを専門家や県も入った審査会の中でしっかりと審査して、県民にも納得していただくものを採択していきます。
 成果については、県が最後に説明責任を負うところですので、数字で言わなければいけないと思います。浜松市は経済波及効果として出しておりますが、目に見える形で出せるよう努力していきます。

○和田委員
 今の村松経済産業部長の御発言は、何も驚くことでもうれしいことでもなくて当たり前の話だと思います。県民の税金を使うわけですから、そのことを考えないわけがないと思っていた内容をお聞きしただけで、感動も何も覚えません。

 説明資料では金融機関の二人が戦略推進委員としておられますが、会社を興そうとすれば地元の金融機関に企画書を持って行って、説明内容により融資を決定するのが普通のやり方ですよね。自分の会社の金を出す判断基準と、県から言われて金があるからやったらどうだという判断基準は、当然変わってくると感じます。
 県職員も入っていますが、委員の判断基準がもし間違って捨て金になったときの責任は何もないのかと言われた場合、委員たちの責任を説明ができるのか伺います。

○村松経済産業部長
 説明資料に不足があり申し訳ありませんが、説明資料に載っている戦略推進委員は、ベンチャーキャピタルを採択するのではなく、戦略をつくる方でございます。
 採択は、利害関係者を除いた審査員とさせていただきます。

○和田委員
 分かりました。
 いずれにしても、この事業については絶対やってほしいのですよ。やってほしいからこそ、県は県民の税金を使ってしっかりと成果を上げなければ意味がないと思っていますので、あえて質問させていただきました。

 次の質問に移ります。
 説明資料69ページのAOIプロジェクトです。
 今回、オープンイノベーションによる事業化支援として2つの新規事業を立ち上げております。このことについてもう少し具体的に聞かせていただきたいと思います。

○荻島農業戦略課先端農業推進室長
 新規事業として2つございますが、1つ目の農業のスタートアップ支援の強化については、地球温暖化の気候変動対策や農業従事者の高齢化や減少などに対応した省力化、生産性向上、環境対策などの農業を取り巻く課題解決に向けてスタートアップの持つ革新的なアイデアや技術が重要だと考えています。
 このため、AOIプロジェクトでは、来年度の取組として、産業イノベーション推進課などと連携し、スタートアップの多い首都圏等からの参画を促進し、県内企業との協業を推進してイノベーションの創出に努め、本県農業の直面する課題解決に資する取組を支援してまいります。
 もう1つが、国のプロジェクトと連携した域内資源循環システムの構築強化です。
 国は、現在肥料等の農業資材を多く海外に依存している状況を考え、安定的な農業資材の供給に向け、下水汚泥からリンを回収し肥料などの農業資材を創生する研究開発を実施しています。
 本事業では、国のプロジェクトと連携してその研究成果を本県に応用することで、AOIプロジェクトに参画する多くの企業や研究機関と連携した先端技術を活用し資源の域内循環の構築を目指しています。
 来年度は、1つ目として、国の研究成果では大豆をメインターゲットにしていますが、本県は大豆がメインではないので、本県の主要産品に応用できるように検証を行ってまいります。
 2つ目として、将来的な民間による事業化を目指し、AOIプロジェクトに参画する企業と一緒に連携、協業を模索してまいります。
 そして3つ目として、技術の現場実装に向けた経済性調査の検証もしてまいります。

○和田委員
 この事業は日本にとって本当に大事だと思っています。
 シンガポールに行かせてもらった際に、国土も小さく当然農地もない、水は隣の国からもらっていて必死ですよ。
 日本も農家がどんどん減って自給率も上がらないので、この事業は非常に大事です。引き続き頑張っていただきたいと思っております。

 最後の質問に入ります。
 今年度、人口減少社会課題対応特別委員会の委員長を務めさせていただきました。人口減少はいろいろな産業に影響を及ぼしており、人手不足を補うため外国人の活躍は欠かせないと思っております。
 説明資料55ページの多様な人材の活躍推進に外国人材の話があります。今回県庁に外国人材受入企業相談窓口を設置していただいたことは非常にありがたいし、ようやくできたかと思っているのですが、改めてこの窓口を設置した理由と具体的な支援内容についてお伺いします。

○山根経済産業部理事(産業人材確保・育成担当)
 人手不足を背景に、県内企業で働く外国人が増加傾向にあることは御承知のとおりだと思います。さらに国の制度として育成就労制度の創設と特定技能制度分野の拡大等もあり、今後もますます多くの企業の方が外国人の受入れに取り組むことが予想されます。
 ただ、外国人を雇用したことのない企業は、どのような手順で雇用を進めていくのかも分からず、外国人雇用はまだハードルが高い認識です。また雇用された後も社内の職場環境整備が不十分であることを理由に離職してしまうなど、外国人材の定着に課題を抱えている企業もあると言われております。
 こうした状況を踏まえ、来年度新たに外国人材受入企業相談窓口を設置し、企業等で外国人材の受入れ実務の経験がある相談員を配置して、外国人の受入れや定着に関する相談に対応する予定です。
 また、外国人雇用に対する理解を促進するため、来年度は令和9年までに施行される育成就労制度をテーマに企業向けセミナーを行う予定です。

○和田委員
 お聞きしたところによると、山根経済産業部理事は今年で役職定年とのことです。産業人材確保・育成担当としていろいろ御苦労されたと思うのですが、せっかくですから後輩職員にこれだけは言っておきたい外国人の人材育成確保に係る激励の言葉があれば、ぜひお聞かせ願います。

○山根経済産業部理事(産業人材確保・育成担当)
 外国人の関係で2年ほどこの部署を担当させていただきました。この2年間でモンゴル、ベトナム、インドネシアの3か国に計7回ほど伺い現地の学生はもちろん、政府関係者にもお会いしております。そうした中で感じたことも踏まえ、受入れや定着のポイントが幾つかある中で、特に重要だと考えていることを述べさせていただきます。
 まず、受入れ側の文化的な理解と促進です。
 外国人材が企業に溶け込むためには、まず文化的な違いを理解して尊重することが重要だと考えます。受入れ側が異文化のコミュニケーションの研修や多様性を尊重する環境をつくることで安心して働けるようになると考えます。
 次に、長期的な定着を望むために重要と考えているのが、キャリアプランの外国人材と受入れ側との相互理解です。高度人材の方々は、キャリアビジョンを明確に描いている方が多いため、お互いの認識とすり合わせておくことが、リアリティーギャップを埋める大きな要素であると考えます。
 最後に、実はこれが一番重要ではないかと考えておりまして、特に外国の方とのお付き合いの中でいかにウェットな関係を築けるかだと考えております。自分の国を離れて寂しく感じる心に寄り添うことが、実は非常に大切なことだと考えます。
 恐らくこの業務が最後ですので、次世代の担当者に贈る言葉として、お話しさせていただきました。ありがとうございました。

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