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令和6年7月人口減少社会課題対応特別委員会 質疑・質問
質疑・質問者:曳田 卓 議員
質疑・質問日:07/18/2024
会派名:ふじのくに県民クラブ


○曳田委員
 では、私は交通基盤部と健康福祉部に限って、一問一答で質問したいと思います。
 まず交通基盤部ですけれども、15ページの資料6を中心に質問したいと思います。
 先ほど7番委員から労務単価の話が出ました。当然、積算上はそういうものを基準にして、いろいろな積算をされると思うんですが、我々が周りの業者にいろいろ聞くと、やはりなかなかそれに見合った落札ができないという話が聞こえてきます。建設業者というのは、社会インフラ、県土強靱化も含めて、非常にある意味では大事な業界です。この業界が人手不足になりました、道路を修繕するにしても人がいませんでは、道路が穴ぼこになってしまう。あるいは堤防が造れないなど、いろいろな問題が生じるわけですね。そういうことが今の県の予算の中では、この交通基盤部の中では、私は一番大きいと思っているんです。
 ところが、実際にはその辺がマッチングしていない。つまり先ほど来ずっと、いろいろな施策を見ていますけれども、それがなかなか実際の業者には響かない部分があるという気がしています。
 それでまず、この資料6で入札のことがございますけれども、今の県全体の平均の落札率はどのくらいか教えていただけますか。

○平山建設業課長
 すみません。記憶でお話しさせていただきますが、9割をちょっと超えると思われます。

○曳田委員
 積算している中で、人工がありますよね。例えば1万2000円とか2万4000円。その入札によって、本来ならば1,000万なら1,000万の工事が900万で取れるケースもあるけれども、ここにダンピングと書いてあるわけですね。そういう意味で、1,000万の工事が700万だとしても、今よしとしているという現状なんです、基本的に。先ほど7番委員が言っているように、せっかく単価がありながら、元請はいいかもしれない。でも、今の仕事の構造上は、元請、下請、孫請とあるわけです。そうすると、極論すれば、こういう状態の中で孫請というのは、本当に例えば社会保険も払えないかもしれない。それが実態なんです。
 何を言わんとしているかというと、人材確保という面から見たらそこが一番大事なところです。そういう意味で、あまりにも入札に対する県の姿勢が、言い方はおかしいかもしれないけれども業者側に立ってなくて、積算しました、でも、落札したのは30%ダンピングで、それでもオーケーしましたと。こういうことがまかり通っているとは言いませんけれども、私はそういうところがやはり問題だという気がするんですが、落札率が9割というのは、今びっくりしたんです。

○平山建設業課長
 すみません。先ほど落札率を9割と申し上げましたけれども、正確には令和5年の工事の落札率は95.41で、これは、いわゆる予定価格に対して幾らで落札されたかという比率になっています。実際には例えば予定価格があって、最低制限価格があってという状態の中では、当然安いほうへいく、あるいは低入札の調査制度になりますと、その調査価格を下回った場合には本当にそれでしっかりやれるのかというところを調査した上で契約する流れになっていくんです。けれども、10番委員がおっしゃりたいこととして、やはり元請と契約をします。それが今度は下請へ行き、孫請に行きという流れの中で、その元請から下請との関係や孫請との関係までは、実際問題としてはなかなか管理し切れていない実情はございます。
 そういった中で、先ほどお示しした国の今回の建設業法の改正では、資料17ページですけれども、労務費の確保と行き渡りという言い方の中で、要は一次下請、二次下請まで労務費がしっかり行き渡るようにということがポンチ絵の中でもしっかり出てきております。これは、その標準の労務費を建設業審議会のほうで算出した上で、さらにガイドラインなどどういう取扱いになるというのが国で検討された後、1年半のうちに施行されていくと聞いておりますので、国の今後の検討や情報などを見ながら県としてどんな対応ができるのかを検討していきたいと思います。

○曳田委員
 今のお話は、情報スクランブルの6月8日の産経新聞に、国交省が適正な人件費の目安「標準労務費」を示し、これを大きく下回る契約を禁じるとあります。この文章だと思うんですよ。ところが、皆さん方のおっしゃる意味はよく分かるんだけれども、本当に現場の業者というのは、それでもやはり青息吐息なんですよね。
 私がいつも不思議に思うのは、例えば災害協定を結びますよね。資料6です。これを見ると、いわゆる災害応急工事等について緊急対応が困難などの理由から出動を断られる事例が生じていると。これもまたゆゆしき問題ですよね。
 何が言いたいかというと、災害協定を結ぶんであれば、それはやはり業者とウィンウィンなわけです。ところが、そこは結んでおいて、いざ今度ほかの一般工事になったときには、先ほど言った最低制限価格を言われてもわしは知らんみたいな雰囲気があるわけですよ。私はこういうところが今回の特別委員会でも、建設業の中でやはり一番予算を持っていて、なおかつそれを反映させなければならない部分なわけです。そういうことに対しての考え方は、どう思いますか。

○平山建設業課長
 10番委員のおっしゃる意味も非常に分かります。こちらの資料にも出ておりますけれども、例えば災害で実際に協力していただいた事業者については、いわゆる総合点数で加点をする、あるいはその実績を評価するときに、加点をするというような形で、一部は手当てしているところです。ただ、今度逆に新しい工事をどこに出すかということに関して言えば、地方自治法から始まって、県の財務規則などいろいろな決め事の中で入札して、合致するところに出さなければいけないということになってきます。そういった中で先ほども説明したんですが、地元の工事は地元に出したいということで、地域を守る事業者維持・育成入札という形で、一定のルールの中で、どこか個別の者を優遇することはしませんけれども、地元の工事は極力地元に出そうという形で仕組みをつくって試行しているところです。委員のおっしゃる命題というのは、この先もどんどん改良していかなければいけない部分だと思っておりますけども、現状はそういう形になっているということでございます。

○曳田委員
 分かりました。
 去年の11月か、建設業の業界誌の中で、全中建――全国中小建設業協会の会長さんが国交省に陳情しているんです。大きい字で、落札率を上げてくれと。つまり最低制限というのをもっと引き上げてくれと、恐らくそういうことだと思うんです。私はある意味そこが、民間業者の悲痛な叫びだと思うわけですよ。それをいいわいいわで、最低制限はここだからいいということではないと思うわけです。あくまでも、先ほど言った人件費も響くわけです。元請はいいかもしれないけれども、構造上もう下請、孫請があるわけだから、そういうところに思いを寄せないと。いろいろなメニューがあります。でも最終的には賃金の問題に行き着くわけです。先ほどいろいろと絵も見ました。でもそうではないところにやはり本質があるということを、ぜひわきまえていただいて、本当に今後この資料6の地域の守り手に配慮した入札・契約制度等をぜひ遵守してもらいたいし、なおかつできるならば、最低制限という部分をもう少しいろいろな意味で配慮していただきたい。

 もう1点要望になりますけれども、先ほど8番委員も触れましたけれども、資格者の問題です。残念ながら、やはり若年化して、どんどんベテランがいなくなっている中で、有資格者というのが、正直言って、なかなか試験に受からない人もいるわけです。でも経験はあるわけですよ。今後、工事その他に対しては、どんどん人手不足が深刻化していくと思うんです。ですから、そういうところを含めて、ぜひ本当に業者に寄り添って、なおかつ社会インフラの整備のために、やはり皆さん方は知恵を絞っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、健康福祉部ですけれども、御案内のとおり、今の介護の実態というのは、本当に外国人がいないと、もう成り立たないというぐらいに深刻な状態なんですね。ところが、残念ながらこの健康福祉部の資料を見ると、人口減少対策に対して、ICTの話ばかりしか出てこないんだけれども、ほかのところについては何かないんですか。

○加藤介護保険課長
 今回の委員会での議論のテーマが、介護分野におけるデジタル技術の活用ということでしたので、資料としては、デジタルの活用の関係を御用意させていただいております。
 こちらの資料にも触れましたが、やはり慢性的な介護人材の不足ということもございます。国内人材、特に生産年齢人口が減っている中で、やはり他業種との人材の獲得も出ているという中で、10番委員御指摘になりました外国人の関係というのも非常に大事だと思っております。
 外国人につきましては、昨年の当課の調査で就労人数が1,000人を超えたということで増加しておりますけれども、雇用できている事業所はもうかなりルートを持っているところということで、小さな事業所はやはり受け入れたくても受け入れられない、定着させたいんだけどもそういった余裕がないと、そういった声も聞こえます。そのため、今年度はそういった受け入れたくても受け入れられない事業所に対する支援というものを、国際介護人材サポートセンターと呼んでおりますが、そういったワンストップ窓口をつくって総合的に支援してまいりたいと考えております。それによって、外国人の確保定着につなげてまいりたいと考えております。

○曳田委員
 そういうお話ですよね。
 先ほど八木労働雇用政策課長から、介護とは違うかもしれませんが、選ばれる県になるという発言がありました。まさに、例えば介護人材も、本来ならば日本に定着する外国人が、みんなよそへ行ってしまっているわけですよ。それでもまだ日本にいる人を今度は、日本の中で取り合いになっているのが現実です。北海道や東北は、かなり安いですよね。
 この前、今年の予算の中で、外国人に対して、例えば1事業者に年間20万円という補助が出ました。でも、これよく精査してみると、本当に焼け石に水ではないけれども、年間20万円ですよね。月に直すと、家賃も出ません。その程度の感覚で物事を考えていると、この人口減少の中で、社会保障を本当に県として維持していくには、あまりにも心もとない気がします。
 一例ですけれども、その業界誌では、これはしようがないですが、東京都が外国人材受入れを支援するという中で、要するに外国人が入る、その登録支援機関に支払う紹介料を補助もすると書いてあるわけです。これは大きいんですよね。例えば、大体20万から30万。30万だと15万補助するわけです。これは、たまたま東京都はお金があるから仕方がない。でも、先ほどおっしゃったように、本当に零細はこの紹介料すら払うこともきついわけです。そうすると、今度人がいないから当然事業所も閉鎖せざるを得ない。では、そこに入っている人はどうなるのかという。これはちょっと極端かもしれないけれども、そういうところまで想像していただいて、もう少し社会保障を担うという意味で、介護人材確保は、私はやはり非常に重要なことだと思います。ですから、年間20万円はありがたいんだけれども、あまりにもかくありきだなという気がしますんで、ぜひ引き続きその介護人材確保ということについては、またいろいろな知恵を出していただきたいと思います。よろしくお願いします。

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