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委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


令和4年2月定例会危機管理くらし環境委員会
リニア中央新幹線建設工事に係る大井川水資源問題に関する中間報告に対する調査の説明 【 当局側説明 】 発言日: 03/08/2022 会派名:


○難波副知事
 難波でございます。
 お手元の資料に基づいて御説明いたします。
 この資料の構成ですけれども、最初の資料はリニア中央新幹線静岡工区に係る昨年12月19日の中間報告の発表から現在までの動きです。有識者会議は2020年4月27日の第1回会議以降、2021年12月19日まで13回の会議が開かれました。中間報告は有識者会議がJR東海に対して行ってきた1年8か月の助言、指導、議論の内容を総括すべく32ページで取りまとめられています。
 それとは別ですけれども、お手元にはありませんが分厚い参考資料が有識者会議の資料についております。これは有識者会議ではなくて、JR東海が作成している大井川水資源利用への影響回避・低減に向けた取組の本編と別冊となります。
 中間報告の内容とそれに対する県の見解は、後ほど別添3で御説明いたします。中間報告につきましては、今の資料の2ページ目の2に書いておりますけれども、県の認識や見解を今年の1月20日に大井川利水関係協議会で説明し、流域市町や利水関係の皆さんから意見を頂いて、1月26日にJR東海及び国土交通省宛てに見解と要請をしております。内容については後ろについておりますけれども省略させていただきます。
 別添3の資料をお開き頂けますでしょうか。A3横の折り込みになっているものです。
 これは、左側は国の有識者会議の中間報告で書かれていることが全て記載されています。右側にそれについての県の認識等を対比する形で整理しています。右側の黒字の部分は中間報告やJR東海からの資料の引用、青字で書いてある部分は県が加筆しており、赤字は県の認識または見解、緑字は専門部会の委員の個人的見解になります。
 最初に、私たちは有識者会議が出した中間報告がどういう意味を持つのかをしっかり認識しておかないといけないと思います。1ページの右上の赤字のところですけれども、この有識者会議というのはあくまでJR東海が県の専門部会や地域社会に対して適切な説明が行われるよう、JR東海の取組に対して具体的な助言、指導等を行うことを目的として国土交通省が設置したものです。あくまでこの中間報告は有識者会議がJR東海を指導、助言するもので、県を指導するものではありません。まずこの理解が必要です。
 そして、中間報告の中では大変大事なことが書かれています。1ページの右の赤の5番目のポツのところですけれども、JR東海に対して今後静岡県や流域市町等の地域の方々との双方向のコミュニケーションを十分に行うなど、トンネル工事に伴う水資源利用に関しての地域の不安や懸念が払拭されるよう真摯な対応を継続すべきであることを求めるなど、有識者会議としてJR東海の対話姿勢への助言、指導が繰り返し述べられています。このように有識者会議の報告書はあくまでJR東海への指導のためのものですから、この内容について我々がいいとか悪いとかあまり言うことではなくて、なるほどこういう指導、助言がされているのかと理解するのが大事だと思います。その上で今後JR東海が県等に双方向のコミュニケーションを取ってくると思いますので、しっかりと対応していきたいと思います。
 それでは次に、中間報告の内容と県の見解に入ります。1ページの下のほうになりますけれども、県が引き続き対応を要する事項として整理した47項目について、有識者会議ではまず水資源に関する大きな2つの論点、1つはトンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方、もう1つはトンネルによる大井川中下流域の地下水への影響について科学的・工学的な観点から議論が行われたことです。
 それでは次に、2ページの(2)有識者会議で議論を進める上での基本的な考え方です。
 これは結構長い文章が書かれているのですが、非常に大事なことが書かれています。まずJR東海が各委員の指摘を正確に理解し、それを説明資料に反映することが肝要であると考えたとされています。次にJR東海に対して必要なデータ等の提示や資料の作成を繰り返し求めた。それから利水者等に対して内容が分かりやすい資料となるように修正していくよう繰り返し求めてきた。さらに実測データを重視し、科学的・工学的な観点からの分析結果を整理することに注力したとされています。
 その結果、3ページに進んでいただきますと左側の真ん中辺りにありますけれども、水資源への影響に関しては一定の整理ができるようになったので、これまでの議論を総括すべく中間報告として取りまとめるとされています。この辺りに有識者会議の委員の皆さんの大変な苦労の跡が表現されていると思います。最初は必要な資料が出てこない、あるいはデータの見方や考え方が不適切であるとか委員の言っていることが理解されないなど物すごく苦労されていました。そしてだんだんと資料が出てくるようになって議論が深まっていって1年8か月たってようやく中間報告がまとまり、大変な御苦労があったことと思います。したがって静岡県あるいは利水者、それから自治体の皆さんの思いや苦労と有識者会議の思いや苦労は共有されたと思っています。
 福岡座長をはじめ有識者会議の委員の皆様には感謝を申し上げたいと思います。我々が幾ら言っても出てこなかった資料が出てきて、また分かりやすい説明資料が出てきていますので、やっと我々としてもJR東海の資料に書いてある中身を理解しようとすることができるレベルに来たかなと思っています。
 続きまして、3ページの左下の青線の6行のところがまた重要だと思います。少し省略しますけれども、JR東海は地域の不安や懸念が払拭されるよう真摯な対応を継続すべきであるとされています。この継続すべきであるというのは、委員会の最後のところで委員からの修正提案があってわざわざ加えられました。これは真摯な対応をJR東海がこれまでやってこなかった、これから県や地域と対話する際には着工前に対話したので終わりではなく、将来にわたってしっかり継続的にやるべきだということが明示されていると言えます。
 4ページにお進みください。中間報告の主なポイントになります。
 まず、1の大井川流域の流況ですが、全体像を見やすく理解するために、後ろから2枚目、20ページに全体像が入っています。大井川流域全体の水循環の図がまとめられていますけれども、まず右側が井川ダム上流側、中流部の神座井川ダム、そして下流部の神座下流側と上流、中流、下流の3つに分けて、それぞれ雨が降るとどういうふうに水が循環していくのかが示されています。雨が降って山の中に入って地中に入ったものが河川に出る。それから川に流れていたものが地中に入ってまた出てくる流れが示されています。
 6ページにお戻りください。
 今の水循環を頭に置いて科学的な分析が行われて、中下流域の各地点の地下水の主要な涵養源が推定されています。涵養源というのはその地下水がどこから来ているのかということです。ここでは中下流域の地下水は上流域のうち椹島地点より上流の深部の地下水が地下を流れ続けて供給されているというよりは、主要な涵養源は近傍の降水と中下流域の表流水であると示されています。
 それでは、中下流域の表流水がどこから来たのかですけれども、これは7ページの左下に上流部の浅部の地下水の上流域における地表湧出が中下流域の表流水の上流域からの主な源であると書かれています。何のことか分かりにくいんですけれども、ここで主要な涵養源と書かれていますから分かりますように、例えば上流から下流までずっと地下を浸透して流れてくる水もある、ないとは言っていないといった説明になっています。なぜこんな分析を最初のうちにしているかというと、例えばある場所、島田駅としてそこの地下水はどこから来ているのだろうかと。どこからというのは涵養源になります。島田駅の地下水の主要な涵養源が分かると、主要な涵養源の水に影響が出ると島田市にも影響が出る。それがどんどん上流に遡っていて、島田市の水はこれ、そこの水はその上、その上の水はどこからと遡っていくと、どこに何をすると下流に影響が出てくるのか分かると分析しています。
 トンネル湧水によって、大井川の中下流域の河川流量が減るかどうかと同じく中下流域の地下水が減るかどうかの評価をする必要がありますけれども、中下流域の河川水と地下水がどこから来ているのかというと、今の分析で言うと近傍の水と上流域の表流水を流れてきたものが多い、上流から下流までずっと地下深くを流れてくるものは少ないと言っています。よって上流域でトンネル湧水を全量河川に戻してやれば、中下流域の河川流量にも地下水にも影響が小さいと言いたいのだと思います。
 次に、8ページに進んでください。
 ここからはトンネル掘削に伴う大井川表流水への影響について書かれています。これについてJR東海はこの中間報告を離れて、県に対しては解析モデルによる計算結果によれば中下流域へは影響しないと解析モデルだけで話をしていました。有識者会議はそれではよくない、不十分だということで、トンネル掘削によって実際にどういう現象が起きるのかをしっかり認識して図示する形にしています。9ページ右下の図表がありますけれども、これをJR東海に作らせました。
 図表が小さくて、また現象も複雑なのでなかなか分かりにくいのですけれどもざっと申しますと、トンネルを掘るとどういう現象が起きるのかですが、トンネル湧水となる水はトンネル工事がなければもともと山の中に蓄えられて、その後ゆっくり下流に流れてきた水になります。ところが工事によって急にトンネルの中に水を出すことになりますので、そうすると4−17という左側の図ですけれども、それを導水路トンネルの椹島付近で河川吐出という形で吐き出しますので、ゆっくり出てきたはずの地下水が工事によって一気に河川に出てくることになります。そうすると当然ですけれども、工事中は即時に河川に水が出てきますので河川流量は一時的に増えます。JR東海は解析モデルによればトンネル湧水を河川に戻せば河川流量は増えると言い続けていましたけれども、それは要は一時的に起こる現象でしかないのに解析モデルと言い続けていたということです。
 では実際にどうなるかというと、今度は山体内の地下水が元の状態より一気に下がりますので、そうすると山の中から地表への地下水の湧水量は減ります。山の中のタンクが下がっているので、湧水量が減ってくることになります。そうすると地表に出てくる地下水も減りますので、右側の図は恒常時となりますけれども、山の中の地下水が下がっているので地下水の河川流量や湧出量が減っている。導水路トンネルからはどんどん出てきますので、それと合わせるとプラスマイナスゼロになります。当たり前といえば当たり前だと思います。結局は河川流量は元と同じ状態になります。したがって中下流域の河川流量を維持するためには、トンネル湧水の全量戻しが必要であると明確にこの中でも示されています。
 JR東海は、彼らの解析モデルでは工事中には一時的に河川流量が増えるという計算結果を根拠に、水が増えるので全量返さなくてもいいんじゃないかという主張を当初はしていましたが、これは完全に否定されていることになります。したがって全量戻しが必要だということが有識者会議ではっきりと書かれていると思います。ただし導水路トンネルの出口よりも上流部の河川流量は確実に減ります。
 11ページに進んでください。
 今度は、トンネル掘削に伴う中下流域の地下水への影響です。
 これは解析計算をやっていますが、水収支解析による計算によればトンネル掘削によりトンネルの直下では300メートル以上の地下水低下が出るという計算結果になっています。導水路トンネルの椹島付近の地下水はどうかというと、トンネル近傍に比べたら極めて小さい地下水量低下になります。その結果トンネル掘削によって中下流域の地下水が直接影響されることはない、椹島付近でも影響は小さいので、それよりもっと離れたところでの影響はもっと小さいだろうということになります。そういったことから中下流域の地下水への直接の影響は気にしないで導水路トンネルでトンネル湧水量の全量を大井川に戻せば、中下流域の河川流量は維持されるとしています。
 また、11ページの左下にも書かれていますが、トンネル掘削による中下流域の地下水量への影響は河川流量の季節変動等の影響に比べると小さいと書かれていますが、これは年間とか季節の河川流量の変動よりも今回のトンネルの工事の影響が小さいと言われても、とんでもない大きな幅よりも小さいと言われてもどうかと思いますが、そのような表現をしています。
 次に、13ページになります。
 工事期間中のトンネル湧水の県外流出です。
 工事期間は先進坑貫通までの約10か月です。工事期間中は県境付近で発生するトンネル湧水が県外に流出する。静岡県は工事期間中も含めてトンネル湧水の全量を大井川に戻すことを求めており、このトンネル湧水を戻さない場合は全量戻しとならないとはっきりこの中で書かれています。ここには書かれていませんが、有識者会議の見解としては影響が小さいからいいだろうという考え方はやめるべきで、返すべきものは返しなさいという指導をしていると我々は理解しています。
 その下に、JR東海からは2018年10月に原則としてトンネル湧水の全量を大井川へ戻すことを表明したことを踏まえて、工事期間中に県外流出するトンネル湧水を大井川に戻す方法として、先進坑貫通後に県外流出するのと同量の山梨県内のトンネル湧水を大井川へ戻す方法が提示されたと書かれていますけれども、有識者会議はそれについて評価をしていません。JR東海がそう言っているということだけ書いてあります。それは今後JR東海が考えて県に提出すべきでしょうということになっています。
 それから、水収支解析では中下流域の河川流量は維持されるという結果になっていますけれども、解析結果は不確実性があるとなっています。
 それから、16ページに飛んでいただいて水資源利用に関するリスクへの対応とモニタリングの実施です。県の専門部会で繰り返しJR東海にリスク問題についてお願いしました。JR東海は対応しませんでしたが、有識者会議の指導でしっかり対応するということが書かれています。推計されたトンネル湧水量は確定的なものではなくて、また突発湧水等の不測の事態も生じる可能性があるのでJR東海にはそういうリスク管理の基本的な考え方を提示させた。そしてモニタリングを含めた管理体制等の具体的な進め方について静岡県等と調整すべきであると書かれています。そして先ほどのトンネル湧水に関してちゃんと継続してやりなさいということが書かれています。
 それから17ページになりますが、今後の進め方になります。
 静岡県や流域市町等の地域の方々との双方向のコミュニケーションを十分に行うなど真摯な対応を継続すべきである。それからその下の下線が引いてある部分ですけれども、県外流出量を大井川に戻す方法については、今後静岡県や流域市町等の水資源に対する不安や懸念を真摯に受け止めた上で、関係者の納得が得られるように具体的な方策を検討すべきであると書かれています。
 それから、そのページの一番下、最後のところで生態系の問題が書かれています。生態系についてはJR東海においてはまずは関連事例や専門家等の意見を踏まえながら環境保全についての意識醸成を図り、事業主体として行える地域が納得できる回避・低減策を検討すべきであると書かれています。言い換えますとJR東海の環境保全についての意識が低いので、まずはちゃんと意識を醸成しなさい。その上で生態系についての回避・低減策を検討すべきであるとされています。そういったことから、この段階では国としては有識者会議で生態系の問題については議論するような段階に来ていないことになります。
 それから、最後に18ページに発生土置場についても書かれています。これも具体的なものは書かれていません。適切な処理、管理が継続されれば影響はないと書かれているんですけれども、それは当然で適切な処理、管理がされれば影響はないのでどうやって適切に管理するべきかが大事ですけれども、これも書かれていませんのでこれからの県の専門部会あるいは県とのリスクコミュニケーションに委ねられていると理解しております。
 以上で説明を終わります。ありがとうございました。

○四本委員長
 以上で説明が終わりました。
 では、発言願います。

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