• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 委員会会議録 > 委員会補足文書

ここから本文です。

委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


令和4年10月移住・定住等促進特別委員会
株式会社三菱総合研究所地域イノベーション本部 主任研究員 横山聡氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/17/2022 会派名:


○横山参考人
 三菱総合研究所から参りました横山聡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に自己紹介を簡単にさせていただきます。横山聡と申します。私は千葉県の市川市出身で、今も市川市内に住んでおります。ですので、移住の話をするんですが、私は実は市川市以外に住んだことはありません。大学を卒業した後、三菱総合研究所に入社しまして、主な業務経歴をこちらに書いてございます。私は1997年に入社し、最初の頃は道路の仕事を専ら3年ぐらいしておりまして、その頃は政策評価も国で導入されていました。主に道路、当時建設省道路局、その後も国の霞が関の仕事中心に、その後都道府県、自治体の仕事もしてきております。内容的には交通社会資本を最初の頃はやっていまして、その後、国土計画。2006年から2009年まで国土交通省の国土計画局、今国土政策局に名前が変わっていますけれども、そちらに出向しておりました。戻ってきてから観光ですとか、地域計画、それから都市と地域間の交流というテーマもこの頃から増えてきておりまして、地方創生、生涯活躍のまちですとか、関係人口の業務を担当してきております。趣味を下に書いてありますけれども、テニスです。中学からやっていますが、しばらくやっていなかったのですが、テレワーク、在宅なんかであまりに最近運動不足で再開しました。登山も年一、二回、釣りはここ3年ぐらい始めたんですけれども、そんな横山でございます。
 では、中身に入らせていただきます。
 本日、お題をいただいた内容に沿って、こういう項目で進めていきたいと思っております。
 最初に、国土・地域の現状ということで、現状はいろいろありますけれども、今回、特に人口のことを改めて振り返りたいと思っています。皆様も何度も御覧になっているかと思いますが、これだけの人口の変化が起こる最中に我々はいることを改めて認識しているところでございます。2015年以降、この図は推計値になっていますけれども、推計人口というのは御存じのとおり、出生率を前提としてこれまでの何年間かの実績を基に設定して推計しておりますので、今の低い出生率がこのまま続いた場合を推計しているわけです。その結果、2050年に1億人ちょっとまで減って、2100年には今の半分ぐらいまで減ってしまう予測になっているわけです。
 出生率が回復すると、ここまではいかないだろうとも思えるんですが、出生率が回復してもその効果が出るまでに長い時間がかかるわけでして、国で出生率が回復した場合の予測もしていまして、このグラフには載っていないですけれども、人口の置換水準、その出生率が続くと人口が増えも減りもしない2.07に、仮に2030年までのこの数年間で回復したとした場合でも、2090年までは減り続けることになるのです。ですからそれでも2090年に安定する、そのときの人口が約1億人弱、9600万人ぐらいと推計されていますので、仮に急速に出生率が回復したとしても1億人ぐらいまでは減ってくということですので、この数十年間、急激に減っていく人口の中でしのがなければいけないというのが今置かれている国土・地域の現状、最重要の課題と言えると思います。
 次のページですけれども、出生率は御存じのとおり、東京が一番低くて、地方の都道府県によって大分凸凹ありますけれども、いずれも2.07にはほど遠い状況ですので、これは地域によって差はありますけれども、国全体の課題と言えると思います。
 そういう中でも、人口の動向の変化を見ていただきますと、地域によってかなり状況に差があることは御存じのとおりかと思います。
 こちらの図はちょっと小さいですけれども、これは2015年に対して2050年の人口がどう変わるかを分析したもので、全国1キロメートル四方のメッシュに区切って計算した結果を集計した図になっています。増えるのは少し赤くなっている東京、名古屋、大阪の三大都市圏、それから沖縄が少し増える予測になっていますけれども、それ以外は減っていく。右上のグラフですが、そのメッシュごとに集計した場合に、2015年に対して2050年に向けて半分以下に人口が減ってしまうメッシュを数えると、全国の居住地域の半分ぐらいは2050年に向けて人口が半減する状況です。これも先ほどの推計人口を基にしたものです。さらに右下は、自治体の人口規模に応じてどれぐらい減りが激しいかを表したものですけれども、このグラフの右のほうほど人口規模の小さい自治体に属しているメッシュの減少率でございます。人口規模の小さい自治体ほど人口の減りが激しい。なぜかといえば、これは人口減少が早いうちから始まっていたということでございます。高度成長で全国的には人口が増えていた時期からも地方部では減少が始まっていますので、若い人も出ていって高齢化が進んでいる中でより今激しく人口が減少しているということでございます。
 その次のページで、人口減少に伴う地域の課題で、改めて人口が減るとどういうことが起こるのかを本当に簡単ですけれども整理しています。大きく3つあるかと思っています。
 1つは産業面です。人手不足、あるいは人手だけではなくて専門人材がいないこと、地方の企業では黒字経営をしているのに後継者がいないので廃業せざるを得ないという会社も多くあるというお話も聞きます。人材面の問題を解消していくことがこの人口減少化でも大きな課題になっているということです。
 2つ目に生活サービスの面です。人が生活する上でどうしても人口が減ると需要が減る。それによって維持できないサービスが出てくる。路線バスなどが典型的ですけれども、需要が減ると頻度が下がって利便性が下がる。さらに不便になるので若い人たちも出ていってしまう。それでどんどん減っているという悪循環です。これを少ない人口でも何とか生活サービスを維持していくことが大きな課題です。
 3つ目に共助、いわゆるコミュニティの問題です。行政の公助のサービスでできないものも財政悪化で増えてきているかと思います。そういう中で地域の相互扶助、共助関係、そういったコミュニティを維持していくことは、これから非常に重要になってきますけれども、それさえも困難になっていくのが大きな課題。これに対して何らかの共助関係を強化して、コミュニティをうまく維持していくことが求められるということでございます。
 移住・定住に取り組む目的ですとか関係人口に取り組む目的、デジタル田園都市構想の推進もそうですけれども、こういった地域の課題を解決するために取り組んでいるのが大きく捉えた場合の問題の構造と言えるかと思います。
 次に、国・地域の政策動向で、特に移住・定住、人口減少に対する政策でございます。この辺り皆様も御案内のとおりかと思いますが、過疎問題はかなり古い問題です。過疎地域対策緊急措置法、いわゆる過疎法が最初にできたのは1970年ですからもう50年以上前です。それから過疎の問題はずっと政策としては継続してきています。ただ、最近、特に大きな転機になったのがいわゆる増田論文、元岩手県知事の増田さんの論文で集落が消滅するという人口推計を基にした分析が改めて公表されて周知されて、これをきっかけに国も非常に大きくかじを切ったのかなと思います。いわゆる地方創生が2015年頃から始まっていますけれども、その少し前から個別の政策としては移住・定住の取組を進めてきているところなのかなと思います。具体的にはその頃、次のページですけれども、地域おこし協力隊が有名な政策としてあると思います。これは2009年から総務省で行っている施策ですけれども、都市部から地方部に住民票を移して地域支援活動を行う協力隊を募りまして、その人件費ですとか活動費を支援する。国が財政措置をするというものでございます。これ以外にも、次のページの地域プロジェクトマネージャー。これも外部人材を使って地域に何かプロジェクトをするときに間を取り持つ、橋渡しをするマネージャー的な役割の方を任用する制度であったり、次のページの地域活性化企業人という企業の方が出向のような形で、地域に入っていってプロジェクトを担うという人的支援の取組が2008年、2009年ぐらいから始まってきているというのが、国の政策で大きく人的支援が始まったのはその頃からかと思います。
 次の都道府県の移住相談窓口の取組でして、これは当然、県、各地域で移住相談の窓口を置いているかと思います。東京と大阪など大都市でもこういった窓口を置いているところはここ数年どんどん進んできております。東京の有楽町駅前の交通会館にふるさと回帰支援センターがありまして、私も移住の調査をやっていたときに何度かヒアリングもさせていただきましたけれども、10年ぐらい前のときはまだフロアに各地域のパンフレットが置いてあるだけだったんです。北海道のブースの幅があってパンフレットが置いてある。10年ぐらい前だったかと思いますが、その頃、常駐の相談員を置いているのは山梨県と広島県ぐらいだったんですけれども、今大阪を除く46都道府県の相談員が常駐しています。私もこの講演のお話をいただいた後、週末にちょっと見に行ってみたんですけれども、ここへ行けば全国のどこに移住希望があっても大体情報がそこへ集まっているという状態です。それぐらい各県力を入れて常駐の相談員を置いています。当然静岡県さんも置いている。
 移住・定住促進の現状と課題ということで、私の認識も含めてですけれども書いています。移住・定住の取組は、ここずっと続いてきておりましていろいろ好事例みたいなものも出てきています。有名になっている徳島県の神山町とか、よく名前を聞く地域もあるかと思いますけれども、そういった好事例も出てきて事例集などもできていますので、そういう意味ではいろんな情報が入手しやすくなっていると思います。一部、特にもともと過疎先進地域だった中国地方の中山間地域の一部では、転入超過に転じている地域もあったり、あと北海道の上士幌町はかなり早いうちからふるさと納税に取り組んでそれを上手に使って人口増に転じていたりという好事例もあります。
 それから2点目に、普通の人が移住・定住を考える時代になってきた。10年ぐらい前はわざわざ東京から地方に移住するってちょっと変わった人というか、例えばITの仕事を独立でやっている方とかがやっぱり多かったと思いますけれども、今、私も含めてテレワークできるようになっていまして、当社でも地方移住の制度もできて、実際に山梨県に移住して今仕事をしている者とか、福岡県に移住している者とか、実際にいたりするんです。そういう普通のサラリーマンも移住できるようにハードルが下がってきている。ですので、そういう意味では変わり者ではない普通の人が移住するとなると、やっぱり普通の生活のサービスは気になりますので、子育てですとか、医療とか、そういう細かいサポートがありますと安心感が移住・定住の増加につながるのかなと思っています。
 それから3点目に、地方生活圏としての魅力の向上と書きましたけれども、地方移住といっても山奥にいきなり移住する方って本当にまれでして、やっぱり地方の都市です、まずは。自然のたくさんあるところを魅力に感じて移住する方も、いきなり山奥というのは非常にハードルが高いので、まずは都市部に賃貸で住宅を借りて、それでどこへ移住できるかをじっくり見極めるような二段階移住みたいなことも多いです。そういうことを考えると、まずはやっぱり移住先としては、例えば都市部で都市機能があって安心して住めるところを求めますので、そういう都市機能を安心に思ってもらえるような移住先であるというアピールが必要であると思っております。
 あと少し、関係人口について整理をしていますので、お話をさせていただきます。
 関係人口は委員会のテーマで出たこともあるかもしれませんが、少し理解しにくい概念だったり、いろいろなところで最近使われているので、私の理解をまずは共有させていただこうと思っています。ここに書いてあるのは総務省のポータルサイトにあるものですけれども、そのまま読み上げますと、関係人口は移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない。地域と多様に関わる人々を表す言葉ということで、地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、関係人口と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。
 この下の図にあるように、関係人口に取り組むことが移住・定住者を増やすためにと理解されることがありますが、必ずしもそうではない。この図の左上から右下にある領域が関係人口を表していますが、この右のほうへ行くほど地域との関わりへの思いが強い。縦軸が実際に地域との関わりという図になっています。交流人口はたまたまその地域に観光で来たということで、それほど強い思いが地域に対してあるわけではない。右のほうに行ってそれほど地域と関わっていなくても思いのある人を関係人口と整理しています。ですので、この思いがあるかどうかは結構重要です。関係人口の行動パターンみたいなものも幾つかあるかと思うんですけれども、一つは資料にはないですけれども、分かりやすいのは地域の農産品とか、農家のこういう思いでつくったおいしい野菜なりお肉なりをその物語に共鳴して買い続ける方がいたり、あとはふるさと納税もそうですけれども、ふるさと納税の場合は、どこでもいいので単にお肉が食べたいという方もいらっしゃって、その地域への思いがあるかどうかが違います。ですからその地域に思いとか、その地域への愛みたいなものがあるかどうかが少し違うのかなと思います。
 それから何度も地域の活動に参加する、お祭りに毎年行ってお手伝いするいう方もいるかと思います。これも単に観光ではなくて、人に会いにいくというふうに地域と少し関係を深めていくということです。それから働く人、仕事もそうですけど、ボランティアで毎年行くとか、決まった時期に行って、例えば農作業のお手伝いをするとかです。そういう人も若者の中には結構増えてきています。
 その関係人口と交流人口の違いということ、これも資料に入っていなくて、今、画面に映しています。恐縮ですけれども、分かりやすい例で、島根県邑南町というところが、関係人口に取り組んで、結構うまくいってる地域です。この地域、JRの三江線というローカル線が2018年に廃線になったんです。その廃線になった鉄道施設をJRから町が譲り受けて、トロッコ列車を週末に運行することをやっています。そういう取組をするときに、地域に本当に人が少ないんですけれども、地元の人は頑張って江の川鐵道というNPOを作って運営している。これに乗っている人は、遊びに来た観光客なんです。ここにいる関係人口と書いてあるのが、運行する週末に、わざわざ広島県とか松江市から来て、ボランティア的にお手伝いをしてくれる人たちがいるので、こういう取組も継続できる関係になっているということでございます。
 先ほどの人口減少と地域の課題という7ページの図を、もう1回ここに上げましたけれども、今の関係人口をこういった課題と照らし合わせてみると、地域に必ずしも住んでいない人、移住者を増やさなくても、外から応援してくれる人がいることで、こういう課題ってある程度解決できることってあるんじゃないかって思うわけです。産業面でも、さっきのトロッコも観光事業と言えますが、その観光産業の人材が足りないけれども、外から来る人が手伝ってくれることで維持できる、事業ができることもありますし、後は生活サービスって、例えば、これはちょっといろいろ制約があると思うんですけれども、物販なんかで言えば、それこそふるさと納税とか、ネット販売で外のファンが買ってくれるので、その事業が継続できる、農業を継続できるみたいなこともあります。そういう販売が継続できることで、地域の方にも物販のサービスが維持できるということもございますし、コミュニティの維持についても、例えば高齢者のケアみたいなものを、今どき、デジタルツールを使えば必ずしも地域にいなくても、ある程度ケアができるかもしれないので、そもそも取り組んでいる課題解決のためということを考えると、移住者でなくてもできることって結構あるだろうと思うわけです。
 それを少し違った見方をすると、ある意味、関係人口というのは、人口のシェアリングをしていると言えるのかなと思います。東京に住んでいる、住民票は東京にあるけれども、思いを持って、例えば、静岡市に何度も来て、地域のお祭りに毎回参加する人というのは、東京に住民票はあるけれども、静岡の地域の取組の一翼を担う、担い手にもなっているということです。人口減少で、人口のシェアリングということを、どこの地域でも共通で考えなければいけないと思いますし、考えることで人口減少化を乗り切る、しのぐ、いろんな手法が考えられるんじゃないかなと思うわけです。
 その関係人口の効果って何かが、行政の施策として取り組むときには問われます。総務省の関係人口の実証事業をやっていても、自治体とお話ししていて、その実証事業をやっている年はいいけれど、その次の年に継続したいと思っていて、予算取りをするが、なかなか説明するのが難しい、効果を説明しにくいという話をよく聞きます。庁内で予算要求をするときに、関係人口って結局移住者増えるのかという問い方をされたりするというんですけれども、先ほど来、御説明しているとおり、必ずしも移住につながらなくても、地域にとって効果がある、メリットがあれば、取り組む意義があるだろうと思うわけです。ただその成果が見えにくいのは、課題なのかなと思っています。
 この図の左側が関係人口と地域がどう関係を深めていくかを表していて、それに応じて、地域側にどんなメリット、効果があるかを表した図にしています。移住すれば人口増加という分かりやすい効果が出る。先ほどの雇用に関しても、地域にいなくても、地域の仕事をしてくれたり、地域の産業を盛り立ててくれることがあれば効果がありますし、何か物を買ってくれれば税収になるという話です。
 この関係人口の効果については、2年前に総務省の調査で有識者も交えて研究したんですけれども、そのときに、このあたりに書いたんですけれども、地域の内発的なエネルギーが引き出される効果がやっぱり結構大きいんじゃないかという議論がありました。これは何かというと、さっきの邑南町の事例で言いますと、廃線になるちょうどその少し前から、地域で毎年イベントをやっているんです。鉄道ファンが結構集まる。山から峠へ出てきて、こっちの山へ入っていくまでの間、急流になってるんですけれども、橋の上に駅があるんです。そういう珍しい駅なんですけれども、廃線になるっていったら鉄道ファンが結構集まってきて、その最後の日に人口よりも多い人たちが集まってきた。人が来てくれるのはうれしいんだけれども、その毎年やっているイベントを、もう地域の人たちが非常に少ないんです。ここはメンバー10人となっていますけれども、そういう少ない人数でイベントをやると、週末終わって片づけて、日曜日の夜に片づけが終わると、もう夜中の12時回って、打ち上げをする元気も残っていない状態で、この2017年を最後にイベントをやめようかという話もありましたが、関係人口の創出事業という、総務省の実証事業に応募して、関係人口という人たちに来てもらって1回やってみようとやったら、結構それがうまくいって、その後、継続している。イベントはコロナで中止したりしていたと思うんですけれども、その後うまく継続している事例でもあります。
 さっきの効果の話の中で、この内発的なエネルギー、まさに住民が少し諦めてもう無理だと思っているところで、外からこれだけこの地域を手伝ってくれる、来てくれる人もいるので、もうちょっとやってみようかという地域の人たちの内発的なエネルギーというか、やってみようという気が高まってきた。関係人口は、そういう意味では、比較的短期に出る効果はありますが、そこは見えにくいです。数字ではなかなか表しにくいところはあると思います。
 このあたりは国で骨太の方針に位置づけられていることを説明したものですので、はしょっていきたいと思います。
 総務省の関係人口ポータルサイトが出てきますけれども、関係人口に取り組んでいる事例など結構情報が出ていますので、そういう各地域の情報などはここを見ていただければと思います。
 関係人口をうまく地域の担い手につなげてあげるといいのは分かったとして、どれぐらいいるのかという話です。これを把握するのはなかなか難しいんですが、国交省が比較的大規模な調査をやって推計しています。二、三年前です。そのときに結果として、3大都市圏には全体で860万人ぐらいの人が自分の地域とは別の地域を訪問したりする活動をしている人がいるという推計をした結果です。
 全国で言うと、1800万人ぐらいという推計で、これはアンケートをして、その結果を全国の規模に拡大して推計したものなので、もちろん誤差があるとは思いますが、これぐらいの人が自分以外の地域に比較的関心を持って通ったり、思いを持ったりしているということです。
 先ほどの全国の人口の減りです。出生率が回復したとしても、2090年では1億人ちょっと下がるぐらい、2000万人ぐらい減る中で、こういう関係人口の数が2000万人弱いることの意味を考えると、やっぱりインパクトは結構大きいんだろうなと思うわけです。
 現状と課題は、今、申し上げたことの少しおさらいになりますけれども、関係人口創出の効果がちょっと分かりにくいのは課題です。何のために関係人口に取り組むのか、改めて共通の理解として持つ必要があるだろうと思います。さっき産業とか、生活サービス、コミュニティとお話ししましたけれども、やっぱり目的はそこであって、ただ、ファン、お友達を増やす、その先がないと意味がないということになります。しかも、その効果の見える化も、うまくしていく工夫が必要だと思います。
 それから2点目に、総合政策と書きましたけれども、関係人口って、移住定住を担当している部署だけの仕事ではないと私は思っていまして、その目的、例えば、産業であれば商工であったり、観光であったり、環境とか災害とか福祉とか、いろんな施策とうまく施策の効果につなげることができる取組だと思っていますので、そういう意味では、分野横断的、施策横断的な取組と認識したほうがいいんだろうと思っています。予算確保の仕方についても、移住定住予算を振り分けるだけではなかなか厳しいんだろうと思っています。
 それから、関係人口の想いをかたちにというのは、今申し上げている話で、持っているその想いを地域側のメリットにうまくつなげていく必要がありますので、その地域側でのテーマ設定は、先ほどの鉄道資産をうまく活用して交流事業をする、あれも乗っている人からお金を取ってやっているので、地域側にメリットがある形で、いろんな取組をしていく。そのテーマ設定をうまくしないと、関係人口がたくさんいても、地域側に利益がないことになってしまいますので、その辺のテーマ設定をうまくしていく必要があります。
 それができると、今、関係人口を募集したり、マッチングとか、実は結構いろいろなツール、サービスが出てきているんです。副業、兼業のマッチングのサイトですとか、お手伝いをする代わりに宿泊ただで来れますみたいなことを地域側で作るおてつたびとかです。そういうサービスも幾つか出てきています。そういうツールをうまく使いながら、集めることは結構できるようになっているので、そういうテーマ設定をうまくしていくことが必要かなと思ってます。
 ここから先、県の役割について少し御提案的なことをお話しできればと思っております。
 繰り返しになりますけれども、地域の課題を整理したときに、その課題解決に向けて、立ち戻って考えて、2点挙げさせていただきました。
 1つは、取組。具体的な取組というよりは、こういう視点でという御提案になるわけですけれども、産業人材戦略としての移住・定住促進、関係人口創出・拡大への取組という視点で、進めていったらどうかというのが1点。
 2点目が、共助コミュニティを形成する手段としてのデジタル基盤とは何なのか考えていく、この2点をお話ししたいと思っています。
 1点目は、このあたりは移住・定住の促進の取組で、実は静岡県は先ほどのふるさと回帰支援センターでも、相談に来る人たちの希望地域が1番だったんです。少し前まで山梨県とか長野県とか福島県とかが上位だったんですけれども、静岡県が2021年1位で、取組が盛り上がっているのかなとお見受けしています。さらに、県のビジョンを拝見していましても、政策レビューでしょうか。移住・定住の取組も進んでいて、2020年度は過去最高ですので、成果も出ているのかなと思います。このようにある程度成果がうまく出ていってるときに、さらに戦略的に、来てほしい人にターゲットを絞ってという戦略も立てやすい状況にあるのかなと思っていたりする次第です。
 来てほしい人に来てもらう戦略って何だろうと考えたときに、幾つか事例ですけれども、まずは市町村レビューの事例です。先ほど申し上げた、よく好事例で出てくる徳島県の神山町ですけれども、あそこは県が光ファイバーをかなり早い段階で全県で整備して、それが結構大きかったと思うんですが、IT系の事業者が神山町に今もう20社近く来ていると聞いています。ただ、そういうIT系の事業者だけでなくて、ビストロ、レストランとか、パン屋さんとか、ピザ屋さんとか、こういうお店があったら、地域の人たち、あるいは移住してきた人たちもうれしいだろうなというサービス、仕事をやっている、そういうことで起業したい人を指名して来てもらって、そういうお店をみんなでちゃんと支えていく。オーガニックのものを出すんだったら、農家さんとうまくつないであげるとか、そういうことをしながら、来てほしい人に来てもらって、地域でもその人たちを支える関係がうまくできているということです。
 もう1つの事例は、今度は鳥取県の南部町ですけれども、ここは生涯活躍のまち構想を作って推進していて、若い人だけでなく、元気なシニアの方も誘致の対象にしている。シニアの方も、介護の対象とかケアの対象ではなくて、健康なシニアの方に健康なうちに来てもらって、いろいろな地域の活動に主体的に参加してもらう。そういう主体的な存在として位置づけて、ここに書いてあるような鍼灸やマッサージなど、あるいは鳥獣被害の対策といったハンターみたいな人も来てくださいというように、来てほしい人に来てもらう取組をしているところです。
 市町村の単位で言うと、直接その課題解決に直結する人に来てほしいということで考えるわけですけれども、そうすると県としては、どういうことを役割として考えたらいいかお話ししたいと思います。
 34ページの図は、今後、産業、人材のニーズと供給のギャップが広がっていくことを当社で分析した結果です。2015年に対して、どれぐらい過剰と不足が起こっているかを、人材の種別ごとに分析したものです。今、2022年ですから、一番下の線がへこんだあたりですけれども、今の時点では、生産とか輸送とか建設の分野で人が足りていない。これは実感できると思います。さらに、青い色でいくと、販売とかサービス、飲食店の状況を見ると不足していることもある程度実感できるかと思います。
 ところが、自動化がどんどん進んでいるわけです、今現在でも。そうすると、この灰色のところの事務職は、ITを使ったり、AIで自動化して、どんどん自動化が進んでいますので、近い将来から過剰になってくる。販売サービスはまだ不足しているんですね。緑色の生産職も、AIとかIoT、ロボットによる自動化で、いずれ今の不足が解消されて、逆に過剰になっていくことが、今後、数年のうちに起こっていくという分析、予測です。
 これは全国を対象に分析したものですけれども、県レベルでもこれをやってみたいというお話をいただいて、分析したりしています。やっぱりある程度データがそろって分析できる単位というと、県ぐらいだと思うんですけれども、それぐらいの単位でその県の特性も踏まえて、今後、長い目で見たときに、どういう人材が不足して余っていくかを分析していく、戦略的にその人材のための取組をしていくことが必要であると思います。当然、これはその県に住んでいる方を対象にまずは考えますが、先ほどの関係人口、移住・定住、外部の方にある程度入ってもらうことも、今後の人口減少社会の中で1つの手段になると思いますので、こういう戦略の中に関係人口とか移住・定住の施策ともうまく連動させていく戦略を立てることが必要であると思っています。
 つい最近ですけれども、岸田総理が、新しい資本主義の中で、人材が大地の橋を上げるというお話をしていたと思いますが、まさにこの話です。リスキリングの話というのは、過剰になる人材が、不足している人材を埋めるためには、新しいスキルを身につけなければいけない。そのためにある程度シニアになってからでも学び直して、足りていない職に就くという構造の転換をしていくための施策を、国としても取り組んでいますので、当然各地域、県でもそのあたりはこれから必然になってくると思っています。そういった戦略を立てた上で、例えば静岡県ですと、ビジョンには4つの地域で地域の在り方を示していますけれども、その地域ごとの戦略を考えることも必要になってくるかと思います。その地域の分け方も、地域局で言うと4つであったり、そのビジョンの4地域は少し重なったりしていましたけれども、医療であれば二次保健医療圏という圏域設定がありますが、これも目的によって圏域は少し柔軟に考えていく必要があると思っています。
 それから次のページは、これは少し長期的な広域の視点という意味ですけれども、リニアができると、という話です。国土政策局で示しているもので、世界唯一の大きな都市圏ができる。これは言ってみれば、東京、名古屋、大阪の三大都市圏が1時間で結ばれるので、6000万人という規模の都市圏ができるという話です。静岡県もその中に内包されるわけですけれども、静岡県として受ける影響は現況の東海道新幹線の容量が当然空くので、例えばひかりタイプの本数を増やすとか、今、時間、距離は変わらなくても、その頻度を上げることが確実にできるわけです。そういうことをどう使っていくのかも、戦略の中では検討する必要があるのかなと思っています。
 あとは、人材確保のためのいろいろな手段が最近出てきています。これもお聞きになったかもしれませんが左側です、ちょっと字が小さいですけれども、2017年に広島県の福山市で初めて、役所で副業の人材を募集したという話です。その後、各地で取り組まれていたりしますし、右側は、副業兼業人材を募集するサイトを運営しているスキルシフトというウェブサイトがありますけれども、それを見ると、各地でこういう副業の募集が出ているんです。マーケティングを取り入れた経営戦略、力を貸してくださいと。ちょっとこれには書いていないですけれども、金額が3万円って書いてあるんですね。月3万円の意味は、これだけでは条件が分からないですが、よくあるのは、月1回は直接地域に来て相談に乗ってください、それで月3万円ですという副業人材を募集していたりするんです。
 地域の事業者さんにとっては、相談相手がいない経営者だったり、本当に人手がないときに、地域の中で募集して人がいなければもうおしまいだと思ってるかもしれないんですけれども、地域外から副業という形で募集する手段があるという発想があまりなかったりするので、そんな取組をしていく。そのための県として市町村に、こういうサービスがあることを紹介することもあると思っています。
 これは和歌山特集ってあるんですけど、和歌山県がスキルシフトの運営会社とコラボというか、連携して、県下の情報をまとめて集めることをしているようですけれども、そんな取組もあり得るかなと思っています。
 今のお話を少しおさらいしますと、移住・定住、人口減少の抑制とか、コミュニティの活性化を目的に、市町村が主体となって、今取り組んでいる。それを県が相談窓口であったり、情報発信を支援して、移住希望者、関係人口を地域へという流れが一つあります。しかし、もう少しこの守りの目的のためでなくて、今後の新しい産業を創出するという攻めの視点で必要な人材を、県の目線で分析なり、方針を決めて、それを市町村と連携して、移住希望者もそうですけれども、企業や団体など、学術研究機関みたいなところも含めて対象に、地域外の力を使っていくという発想で、県の役割はそういうところにあるという御提案をお話ししたいと思っております。
 もう1つですけれども、共助コミュニティを形成する手段としてのデジタル基盤構築ということで、デジタル田園都市構想。これは社内でも我々もいろいろ議論しますが、イメージに近いと思った図がこれです。ちょっと前ですが、2021年、デジタル庁の当時の大臣の資料を引用していますけれども、デジタル田園都市構想って、こういう図がよく出てくるんです。いろいろ書いてあって、こういうデータ連係基盤みたいなものを絵に描いて、ただ、いろいろ複雑に描いてあるんですけれども、やっぱり理解としては、この背景にある地域の問題の構造は同じだと思うんです。地方創生のときもそうですし、先ほどお示しした移住・定住、関係人口の背景にある地域の問題の構造と、基本的には変わっていないと思います。ただ、それをいろんなツールを使って解決する手法が広がってきているので、そこはうまく使って解決していきましょうという発想だと思います。
 そういうことも踏まえて、ここでは3つぐらいお話ししたいと思っています。
 1つがこちらです。お配りしている資料で言うと43ページになるかと思いますけれども、これは関係人口です。これは田中さんという人の資料を引用して加工しているんですけれども、我々集団は基本的には地域、その地域側の人たち。外のいろんな形で関わってくれる関係人口がいるわけですけれども、今、画面で示した濃い青の中が実際のリアルな地域のコミュニティですけれども、関係人口まで含めれば、これだけの人を巻き込んだコミュニティになるので、こういった外の人たちも併せて地域のことに取り組める。そういうことを実現するためのデジタル基盤という考え方で必要なサービスだったり、デジタルツールとは何かをやっぱり考えていくことが必要なのかなと思っています。
 具体的には、簡単なもので言えば、例えばこういう人たちが、それぞれお互い連絡を取るための地域SNSみたいなもの、実際そういうサービスもありますけれども、それをうまく使っていくことであったり、後はその人材マッチングです。その先ほどの副業じゃないですけれども、こういう人たちの中で、その時々に必要な課題、それを実現できるスキルを持った人を、このコミュニティの中で融通し合うみたいなことであったり。あとは、共助コミュニティみたいな話になりますけれども、何かしてあげたら、それをポイントとしてカウントしておいて、今度そのポイントを使って、地域に行ったときにしてもらえる、ポイントみたいな価値交換する仕組みを作っておくと、気兼ねなくお願いできる関係になることもあると思うんです。特に以前東北に行ったときには、高齢者が隣の人に雪かきをしてもらいますが、いつもお願いばかりしていて申し訳なくて頼みにくいと。しかし、その自治体で、1回500円という仕組みでやってもらうと、そこは逆に気兼ねなくお願いできて、そちらのほうがありがたいという話もあったんです。そういう価値交換するポイント制度みたいなものも、1つの基盤であると思いますし、そんなものをこの仮想のというか、広い、関係人口まで含めたコミュニティの活動を実現するための仕組みとして考えるというのは、1つの考え方としてあると思います。
 それから、少し進みまして、今度は、地域生活圏です。これは現在、国で検討中の国土形成計画、国土計画ですけれども、この中で地域生活圏が提唱されています。こういう圏域づくりは、古くて新しいテーマというか、ずっと検討されてきているわけですけれども、やはり今の自治体の規模で、単一ではしにくいことっていろいろあるんです。観光振興の取組もそうですし、先ほどの医療圏も、例えば二次医療圏という圏域の中で、一定のサービスを確保するために、圏域を作って、その水準を確保しているわけですけれども、そういう圏域、市町村を越えた圏域の取組をしたほうがいいのは分かっていても、市町村が違うのでうまくいかないということは、結構あると思うんです。そういうことを市町村の壁を超えるために、行政界を超えるための仕組みとして、デジタルツールを使えないかという発想があってもいいと思っています。
 やはり一番大きいのは、自治体ごとに予算があって、お財布が違うので、1つのことをやるのがなかなか進みにくいというのは、大きなお話としてあると思いますが、先ほどのポイント制度じゃないですけれども、そこを共有してプールできる仕組みを、デジタル基盤上で作る話もあると思います。例えばですけれども。
 こういうリアルの生活圏を、生活圏として働く、機能するようにするためのデジタル基盤って何かなという考え方が2つ目です。
 それから、一番最後です。広域的な地域間の共助関係づくり。これが関係人口に関係する取組として、私は結構重要かなと思っているんですけれども、大規模災害のときに同時に被災しない地域の間でふだんから関係づくりをしておく。今、防災協定ってたくさんあると思いますが、その防災協定を、本当に困ったときに機能するように、平常時から関係づくりすることが非常に重要かなと思っています。県の防災対策を拝見していると、その連携協定の先で顔の見える関係づくりをしていますと書かれており、その詳細な取組を存じ上げないんですが、まさにこれは、地域単位の関係人口づくりみたいなものだと思うんですね。本当に被災して、被災先でスムーズな支援を受けられるかどうかは、今やはりデジタルツールで、例えば住民票を行った先のまちでそのまま受け取れるとか、そういう仕組みであったり、例えばもう、何も手持ちを持っていなくても、例えば顔認証でもうその人って分かって、そういう証明書を発行できるとか、思いつきでいろいろ言っていますけれども、例えばそういう地域間の共助関係、大規模災害を想定した共助関係づくりみたいなものも、こういうデジタルツールで実現できる部分というのは結構あると思っています。静岡県に限らないかもしれないですが、特に沿岸部を有している静岡県では、こういうことも必要かなと思っています。
 最後、そのデジタル基盤の話については、今、3つ申し上げたところ、ちょっとまとめのページ、資料の中に入っていなくてすみません。画面に映していますけれども、その3つを今、お話しさせていただきました。
 
○盛月委員長
 ありがとうございました。
 以上で、横山様からの説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の皆様にお願いします。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら、御発言願います。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp