本会議会議録
質問文書
令和6年12月定例会厚生委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 鳥澤 由克 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 12/13/2024 |
![]() | 会派名: | 自民改革会議 |
○鳥澤委員
分割質問方式で健康福祉部について1点、がんセンターについて1点伺います。
まず最初に、健康福祉部関係でございますが、厚生委員会説明資料1、12ページの災害時を想定した保健医療福祉調整会議の訓練内容についてお伺いします。
今年1年を振り返ってみますと、1月1日16時40分に発生したマグニチュード7.6の能登半島地震を皮切りに8月8日には日向灘を中心としたマグニチュード7.1の地震があり、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が初めて発令され、県内外においても頻発化、甚大化する自然災害が多くあった年だったと受け止めております。まだ復旧・復興の半ばの被災地もございます。一日も早い復旧・復興を願っております。
その中で、平時ではなかなか得ることのできない大変貴重な行動パターンや学ぶことがあったと思っています。
今回の保健医療福祉調整会議の訓練は、冒頭に青山健康福祉部長からお話がありましたように南海トラフ巨大地震の発災二、三週間後の想定であり、10チーム12機関が参加したとあります。
今回の訓練は能登半島地震の教訓も踏まえて実施したとありますが、実施に当たりまして具体的に能登半島の地震で保健医療福祉にどのような課題があったのか、また発災後になかなか保健医療福祉についての情報が伝わりにくいところがありましたので能登半島地震で得た課題を総括して、端的にお願いします。
○村松企画政策課長
能登半島地震では、保健医療福祉分野における多くの課題がございましたが、今回の訓練実施に当たって特に留意したことは能登半島は高齢化が進んだ地域であったこと、半島のため交通アクセスが困難で支援が届きにくい地域であること、またそれらが要因となり避難生活が長期化してしまったことなどが挙げられます。
本県で大規模災害が発生した場合にも、同様の状況となることが大いに考えられることを踏まえ訓練に取り組んだものです。
○鳥澤委員
今回の地震は、海岸線を多く持ち中山間地域もある伊豆半島と酷似した場所での災害でした。
ですから、高齢化といった問題を検証項目としてどのように取り入れ、今回の訓練に生かしたか教えていただきたいと思います。
○村松企画政策課長
伊豆半島の賀茂地域を想定いたしまして、特に重点を置いて取り組んだ検証項目としては、まず十分な数の保健医療福祉活動チームが支援に入り、またそういったチームをスムーズに受け入れることができるのか。そして活動チームが情報を共有し、効率的に活動するために必要なものは何なのか。さらに災害時の福祉ニーズが少子高齢化の進行によって高まっている中、能登半島地震で行われた2次避難や1.5次避難が本県における災害においても有効かといったことなどが挙げられます。
○鳥澤委員
ありがとうございました。
能登半島地震での課題をどのように今回の訓練内容に生かしたかだと思いますが、今回訓練の場合は発災から2週間から3週間との想定です。そうすると10チーム12機関の方たちが参加して情報処理などのプロセスを全体が機能する形までは持っていけなかったのでしょうか。
○村松企画政策課長
全県的なプロセスですけれども、災害時また長期化した場合の対応のベースとなる基本的な考え方は地域防災計画をはじめとした各種防災計画の中で決めてございますけれども、この長期化したフェーズの中で実際にどう災害対応が進んでいくのかについて、発災初期以外で行った訓練としては今回の訓練が事実上初めてになります。
その中で、訓練の前に南海トラフ地震という大規模災害が発生した場合に本県の2週間後がどういった状況になっているかのシミュレーションを実施したところです。そうした中で、賀茂地域は先ほど検証項目として挙げさせていただきました保健医療福祉活動チームが多くの支援を受けられないかもしれないといった気づきがあり、もちろん今までもそうだったんですけれども、チーム数が十分じゃなく支援も入ってこない場合では2次避難を現実的に考えなければいけないのではないかといった意見が寄せられたました。
○鳥澤委員
ありがとうございます。
今回は10チーム12機関といった本当に多くの組織体がこの訓練に参加していただいています。そうなると各チームが今回の課題の共有についてどのように取り組んだのかお聞きします。
また例えば、新たにガイドラインとして何か生まれたものがあったのかも教えてください。
○村松企画政策課長
能登半島地震における保健医療福祉活動は、県単位や保健所単位、市町単位、市町よりもさらに細かい地区単位といった多くの階層で保健医療福祉調整本部による情報共有や活動調整が行われたところです。
本県では、熱海市の土石流災害時に熱海保健所を中心に同様の活動が長期的に行われた例がございますけれども、定期的に実施している訓練においてはその後も発災初期の対応が中心となっていたのが実情です。
能登半島地震に限らないことですが、近年全国各地の災害において県単位、地域単位の保健医療福祉活動の調整の考え方が定着しつつございますけれども、本県においてこのような活動の実態を把握している自治体職員が必ずしも多くない実情がありました。
このため、今回地域としてはあえて賀茂地域に限定したところがございます。
県内の他地域の関係者には、ウェブ等でのオブザーバー参加をしていただいており実は多数の地域の方がこの訓練を見ております。
その上で、活動のイメージをつかんでいただいたり、同様のフェーズを想定したシミュレーションを行い、今回はこういった形で共有させていただいたところです。
開催後、ほかの地域の関係団体や市町の職員等から具体的な活動が初めてつかめた、逆に指揮系統、情報共有、活動場所における課題の指摘など様々な反響がございました。
こういった形で、引き続き各地域において地域の実情を踏まえた訓練を開催していく中で、現在県全体として能登半島地震の振り返りを行いアクションプログラムに反映させていく最中ですので、3番委員の御指摘のあったガイドラインは具体的にどういう形になるのかまだ見えておりませんけれども、モデル的な形で整えていければいいなと考えております。
○鳥澤委員
ありがとうございました。
訓練とはいえども、能登半島地震をベースとした貴重な体験になったと思っておりますし、1,000人近い方が動いていただいたことも高く評価しているところでもあります。ぜひこの貴重な情報が静岡県の保健医療福祉関係の中で生かされるようお願いして、健康福祉部への質問を終わらせていただきます。
では、がんセンター関係で1件質問させていただきます。
厚生委員会説明資料2の6ページの高齢者のがん医療について質問させていただきます。
これからの社会で、健康寿命にしても普通の寿命にしても延伸する一方、高齢化も進み、先ほど言いました災害のリスク、病気のリスクも当然高まってくると懸念しております。
静岡がんセンターにおいては、静岡県のがん拠点の指定病院にもなっており、ゲノム医療の中核医療機関としても実績を着実に積み上げていただいていることを東部の人間としても、県民としても頼りにしているところであります。
内田がんセンター局長からお話がございましたが、がんセンターにおいては新10か年計画の重要な柱として高齢者のがん治療、ケアを捉えた対応を進めているとのお話もありました。
日頃報告も受けているわけですけれども、特に高齢者については標準治療が確立していないところもあり、その対応をがんセンターとしても取り組んでいただきたいと思っております。
高齢者といっても、健康な方や症状を抱えている方もおり各個人の諸症状は違うとは思いますけれども、静岡がんセンターでは高齢者に対する治療前のスクリーニングを行っているとあります。具体的にもう一度教えていただければと思います。
○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
高齢になりますと、加齢による体力の衰えとともに様々な治療に耐える力が弱まってまいります。
身体への負担が大きい治療につきましては、治療後の回復が遅れ、治療に伴う副作用、合併症、後遺症への抵抗力が低下し重症化することも多くなります。
このため、当センターでは75歳以上で全身麻酔を行う患者、それから70歳以上で一部診療科の患者に対し看護師が問診や説明を行い、必要な患者には治療前から多職種の医療者がサポートを行っております。
具体的に申し上げますと、例えば歯科衛生士による口腔ケアにつきましてはがんの治療時には様々な口腔内の乾燥やただれ、不快感などが起こりやすいことから正しい歯の磨き方やケア用品の使い方の指導をしております。
また、理学療法士によるリハビリ指導におきましては全身麻酔や開胸手術をする場合、術後の呼吸機能が低下し手術直後は肺活量が相当程度落ち、たんが増え合併症が起こりやすい状態となります。
このため、手術前から腹式呼吸やたんをしっかり出す練習を行っております。
言語聴覚士による嚥下訓練においては、頸部がんの手術後、むせる、飲みにくいなどの嚥下障害を起こしやすくなるため首、肩、胸の関節の可動域を広げる運動、舌、唇、ほほなどの口腔周辺のマッサージや運動を行っております。これにより術後の誤嚥性肺炎の発症率が低下しております。
さらに、栄養士による栄養指導におきましては食べ物の消化に係る部分の手術の場合、術後は消化させる部分の状態が今までと変わるため食事にゆっくり時間をかける、消化のよい食べ物にする、1回の食事量を減らして食事回数を増やすなどの指導を行っております。
○鳥澤委員
ありがとうございました。
事前のスクリーニングによって患者にとっての受診の効率化を図っていけると思います。
説明資料2の7ページになりますけれども、イ今後、実施予定の支援・治療・ケアのうち高齢者に特化したスクリーニングをされると伺っておりますが、これまでの取組と大きく差異があるのか教えていただければと思います。
また、以前に第18回日本臨床腫瘍学会学術集会のシンポジウムで、事前のスクリーニングが大切ですよと教えていただきました。高齢者の機能評価を事前にスクリーニングして点数化し、対処するべき医療体制、進捗状況を把握するのが効率的でよいとのお話も伺っているところですが、説明資料を見ますと新たなスクリーニング体制の構築とありますが、従前との大きな差異があるのか教えていただければと思います。
○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
高齢者は、複数の慢性疾患を持っていることが多く薬物の有害事象が起こりやすいこと、意思決定能力が低下していること、さらに高齢者向けの診療ガイドラインが確立していないこともあり、医療従事者にとっては対応が難しいものとなっております。
当センターでは、これまでも75歳以上で手術前の患者や70歳以上のハイリスクの患者に対して、治療前から多職種による患者サポートを実施してまいりましたけれども、新年度から実施を予定しております新たな高齢者スクリーニング体制につきましては、75歳以上の高齢のがん患者に対して一定の指標に基づいた評価を行い、その結果を治療の選択やその後のサポートに生かしていくものです。
これは、治療前や入院前等に看護師が8項目からなる高齢者機能評価に基づき、食事量、体重、自力歩行、精神状態等について評価するもので、これにより手術や薬物療法等の治療に耐えられる体力があるか等の治療方針決定に係る判断や、認知機能が低下した患者への意思決定支援体制の構築等に結びつけることが可能になると考えております。
○鳥澤委員
日本は2014年に障害者の権利条約を批准しております。その中で基本的なことがうたわれているところがあり、ぜひその点についてがんセンターとしても一人一人の患者に向き合っていってほしいと思います。嚥下能力であったり、食物についての栄養相談もされているとのことですので、よろず相談も含めて患者に寄り添った優しい社会であってほしいと願っております。
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