本会議会議録
質問文書
令和元年10月多文化共生推進特別委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 山田 誠 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 10/24/2019 |
![]() | 会派名: | 自民改革会議 |
○山田委員
先ほど、5番委員からも話が出たんですけれども、受け入れに介在する人、この問題点の1つは、そこにもあるんではないかと思うんですが、その点についての考え方はどうなんでしょうか。
○池上重弘氏
おっしゃるとおり、受け入れに介在するところで、さまざまな搾取やある種の欺瞞が発生するんですね。なので、そこをガラス張りにして、本当に日本で働きたいという人が、多額の借金を背負わされることなく入ってくるような制度をつくっていく、あるいは運用にしていくというのが大事だと思います。
今、私が少し把握している範囲で言うと、比較的、技能実習と比べると良好な枠組みでの受け入れが運用されているように思われますけれども、ただ、技能実習からの移行が今後も多くなるとすれば、やっぱりそこにさまざまなビジネスチャンスを見出す人も出てくると思うので、出入国在留管理庁はしっかりと役割を果たしてもらいたいなと、私は思いますね。
○山田委員
出入国在留管理庁、この体制を強化したほうがいいというわけですが、私もまさにそういうことを感じるわけです。日本に来たい人たちが、どこの窓口で来るのかという問題で、最初に窓口がこの国というものが、しっかりと窓口になるべきではないかと。そこの中で、そこに登録している、例えば介在する人たちが、例えば次のところを紹介するとか、そういう形でやっぱり、入ってくるルートを一本化というか、きちっとすべきではないかなと思うんですが、その点についての考え方というのはどうなんでしょう。
○池上重弘氏
おっしゃるとおりだと思うんですね。今回、出入国在留管理庁というのは、入国管理局から格上げされたということで、きのうもNHKか何かでしたかね、その管理庁の長官という方がね、テレビでインタビューを受けてました。その方は、長く入管行政を中枢で携わっていた方、私も知っている方ですけれども、そういう意味で言うと、しばしば、大臣は必ずしもその分野じゃない方が就任することがありますけれども、今の出入国在留管理庁の長官については、この道のプロの方が仕事についている。さまざまに目を光らせていると思います。
ただ、特定技能の仕組みは、各省ごとにいろんな条件をつくっているので、我々研究者の間でも、特定技能制度の全貌を把握している人はいないんじゃないかと、厚生労働省の案件だったり、農林水産省だったり、国土交通省だったり、さまざまなんですね。そこ、すごくわかりにくいですよ。その透明度を高めるというのは、制度がわかりやすくなっていくことも大事かなと思いますので、管理の仕組みをつくるのはもちろんなんですけれども、制度を運用していく中で、より雇う側にとっても、来る側にとってもわかりやすい制度にしていく、そういう点は大事だなと思いますね。
今、幸いなことにと私は言いますけれども、経済界も随分とこの問題、関心を持っていまして、さまざまな経済的な団体が、提言を今、出し始めているといったところですね。
○山田委員
最後に1点なんですが、この話の中では、外国から来る方々で、もう長くいる方々が、日本の文化にどんどん入ってこなきゃだめだというお話だったんですけれども、まさにそこの部分の受け入れのところであるのが、要は宗教的な問題というか、日本の場合は、そういったところを非常に仏教とかそういったものがあって、しっかりしてきている部分があるんですけれども、外国でいくと、キリスト教とかイスラム教とかいろいろあるわけですが、そういう人たちの受け入れる部分の設備も必要になるのかなという、いわゆるそういう人たちが、自分たちが望むのはどうなのかという、そこの部分についての考え方はあるでしょうか。
○池上重弘氏
大方の日本人にとって、私もその1人ですけれども、宗教という言葉が出た途端にちょっと身構えるというのがあると思うんですね。一方で、宗教というのは、とっても人を救うものでもあるんですね。例えば、ヨーロッパあるいはアメリカ、私自身はオーストラリアの研究を今から十数年前、よくやっていましたけれども、本当の最後の最後のセーフティーネットは宗教団体なんですよ。例えばカトリックの教会だとか。つまり、公的な制度からもこぼれ落ちるような人たち、もう少し具体的に言うと、いわゆる不法滞在者で、重篤な病気になってしまって、経済的にも困窮しているというときに、やっぱり宗教団体です。カトリックが救ったりするんですよね。そこを考えたいときに、私は宗教団体に関して、過度の干渉はむしろ控えるべきだと思いますが、大方の日本人が感じているような、ちょっとさわらないほうがみたいな感覚って、むしろ世界標準で言うと、明らかに例外的なものだという認識は持ったほうがいいかなと思います。
しばしば、日本の社会では、イスラムに対して強い拒否反応を示しますね。私自身は、先ほど申し上げたように、インドネシアの研究をしていて、まさにイスラムの世界の中で生活をしたこともあります。もちろん、イスラムを名乗る過激な人たちがいることも存じ上げていますけれども、大方のイスラムの人たちは、むしろそのイスラムという信仰を共有することで、つながっていくわけですね。浜松でも、最近では静岡でも、モスクができたという報道がありましたけれども、それはさまざまな互助、お互いに支え合ったり、経済的、社会的に、あるいは日本で暮らして、非常に信条的にしんどいなというときに、宗教のつながりがその人の心の支えになるという面も多々ありますので、迫害はもってのほかですけれども、彼らが何か自主的、自発的にやりたいというときに、できる範囲の支援をしてあげると。それはお金を出すとか、建物を貸すとかじゃなくてもいいと思うんです。何か人と人をつないであげるなんていうのも、大事な支援なのかなと思いますね。
大方の日本人が感じるよりも、宗教的なつながりというのは、移民にとって、外国人にとって、心の支えになっているという点は、このたび強調しておきたいと思います。
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