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委員会会議録

質問文書

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平成30年6月定例会文化観光委員会 質疑・質問
質疑・質問者:平賀 高成 議員
質疑・質問日:07/03/2018
会派名:日本共産党静岡県議会議員団


○平賀委員
 日本共産党の平賀高成です。よろしくお願いします。一問一答方式でお願いします。
 最初に、静岡空港の運営権譲渡の問題で伺います。
 今、全国の地方空港が赤字で苦しんでいるのは皆さん御承知のとおりです。それは日米構造協議で年間50兆円の公共事業を行っていくということで、1県1空港などとして地方空港が次々と建設されてきたわけです。静岡空港もその流れの中で2009年6月に完成しました。その過程の中でつくらんがために、過大な現実離れした需要予測を行って開港後9年が経過しましたけれども、いまだかつて目標達成はされておりません。
 私がはっきり覚えておりますのは、浜松の市民が中部国際空港に行く場合、非常に時間がかかってどうしようもないから静岡空港を使うんだ、そういうふうな想定がされています。その中身は浜松市役所を起点にして中部国際空港に行く場合、当然、西に行くわけですが、浜松西インターを使うかと思ったらそうじゃなくて、逆に東の方向に向かって浜松インターに行って、そこから名古屋のほうに向かって行くんだという、そういう想定がされています。当時でも直接東名から中部国際空港に行けたんですけれども、想定では岡崎インターでおりて、あとは国道1号線で行くと非常に時間がかかるから、だから浜松の人は静岡空港を使うんだと、こういう想定がされていたんですね。ですからこれは、そういう現実を無視したような需要予測があって、当初は500万人を超える需要予測とか、それが178万人とか124万人と次から次へと下方修正されてきました。しかし下方修正はされたんですけれども、今現在目標としている70万人、これがなかなか達成できないという状況になっています。ですから非常にこういう赤字空港に苦しんできたわけですけれども、それが運営権を民間に譲渡して運用を全部民間に任せていけば黒字になるという、私からすれば手品のような、こういうことが果たして本当にいくんだろうかと疑問の目で見ているわけです。
 最初に、空港の民営化を始めるに当たって、これまで過大な需要予測をしてきた反省点というか、そういう検討が今回の民営化に当たってどういうところに生かされているのか、特に注意した点とかがあったら、最初に伺っておきたいと思います。

○板垣空港政策課長
 過去に行われました需要予測との関係で御質問いただきました。
 平成15年に公表いたしました需要予測につきましては、138万人という利用予測で出されています。これは有識者等により審議されたものでありまして、当時の予測としては妥当なものであったという認識でございます。
 一方、現実との乖離があることは事実でございまして、そこは真摯に受けとめなければいけないと思っていますし、より多くの方に空港を利用していただけるように運営権者とともに取り組んでいく必要があるかなというふうに認識しております。
 なお、今回の公募に当たっては公募の資料として開港以来の空港の実績なども示しまして、優先交渉権者にはこの開港以降の実績をベースにした提案がなされているものというふうに考えております。
 したがいまして、需要予測時については開港前でございましたのでさまざまな想定でやられておりますけれども、空港はもう開港して実績も重ねてきておりますので、それをベースに今回の提案がなされているというものでございます。

○平賀委員
 説明ありがとうございました。
 それでは、今回の運営権譲渡、民営化の趣旨はどこにあるのかということですが、これは民間企業への仕事起こしということなのか、それとも赤字を解消して県民負担をなくしていくという、どちらなんでしょうか。伺います。

○板垣空港政策課長
 今回の公共施設等運営権制度につきましては、我々としては目的を3つ掲げておるところでございまして、1つには空港のさらなる活性化と県内の経済へのプラスの効果を発揮していただく、それから2点目としましては県民の利便性、利用者の満足度の向上を上げていくという点でございます。それから3点目としましては、今委員からもお話がございましたけれども、県民の負担を軽減していくというところも目的の1つとして掲げているところでございます。これは目的とともに運営権者への期待であるというふうに考えております。

○平賀委員
 どうもありがとうございました。
 今、委員会に付託をされている議案の中で、91号議案、先ほど説明がありましたけれども、20年間で債務負担行為が24億円というふうになっています。なぜこれが24億円になるのか、この辺の根拠といいますか、その説明をちょっとお願いします。

○板垣空港政策課長
 今回91号議案でお諮りしております富士山静岡空港特定運営事業等県一部負担更新投資負担金につきましては、滑走路等を除く空港基本施設の更新投資にかかる費用の9割を負担するということとしております。こちらの更新投資費用については、応募者からの提案を求めておりまして、それの9割ということになっております。提案を求める際には、こちらの対象施設におけます整備費の取得価格というものを明らかにしておりまして、応募者からはこの整備時の取得価格をもとに、それぞれの施設の耐用年数に応じた更新回数を想定して積算されているというものでございます。対象施設としては、主には場周道路でありますとか場周柵、また電源設備などが対象となっているところでございます。

○平賀委員
 今の負担ですね。このいろいろな根拠は今説明を聞いてわかりましたけれども、例えばこれまで県が負担をしてきた費用と20年間で24億円というこの負担の均衡といいますか、その辺のところは何か見ているんでしょうか。

○板垣空港政策課長
 開港以降、大きく維持するための修繕工事とかありましたけれども、こちらの24億円というのは将来にわたってこれから発生していくであろうもので、更新の回数などから算出しておりますので、将来にわたる費用を軽減しているという趣旨でございます。

○平賀委員
 わかりました。
 この6月議会で川勝知事は、代表質問への答弁の中で、空港の民営化に関して空港の管理運営にかかる費用につきましては警備や保守、点検などの運営経費と空港施設の更新のための投資的経費に大別されるということで、そのうち運営経費につきましては現在年間6億円程度の県費を投じておりますけれども、この費用は運営権者の収入で賄われることとなります、また投資的経費のうち空港基本施設等につきましては、滑走路等にかかる更新費用が全て運営権者負担となりますと。また空港の安全確保に必要な消防施設などにつきましては、更新費用の10%を運営権者が負担することとなり、さらに旅客ターミナルビル等の更新費用も全て運営権者の負担となりますと。これにより将来にわたる県の費用負担が大幅に軽減されることとなりますと、知事も空港の民営化にいろいろ大きな期待を抱いているようでありますけれども、県の費用負担のどういう項目が幾ら軽減されるのか、その点について答えていただきます。

○板垣空港政策課長
 説明資料の33ページをごらんいただきたいと思います。
 特には、今6番委員からもお話がございましたように、更新投資の部分で将来にわたる費用が軽減されます。
 2の表中の更新投資の欄に大きく分類されまして、3つの種類に大別されております。
 公募に当たりまして、表中の旅客ビル施設、これは旅客ターミナルビルなどのサービス施設になりますけれども、こちらについては現在県におきまして増築・改修工事が行われておりまして年度内に完成いたします。完成したものを運営権者の方に御利用いただくということでございますが、こちらについてはそれ以上に何か手を入れる場合、運営者側負担でお願いしますということでございます。将来にわたって修繕が発生した場合についても運営者が負担するということで、ここは県の削減がなされております。
 また、滑走路等、空港の基本中の基本の施設になりますが、滑走路やエプロンなどの施設につきましては優先交渉権者からの提案によりまして、全て優先交渉権者のほうで費用を負担するということでございますので、ここが大きく軽減されております。
 また、滑走路等を除く空港基本施設につきましても更新費用の1割を運営権者が負担するということでございます。県のほうで今、債務負担行為で24億円余の債務を上げておりますが、1割ということでございますので、2割余の費用が軽減されるものかと思います。
 これ以外に、委員のほうからもございましたように、毎年県のほうで公表しております空港の管理運営に係る収支ということで、保守等で費用がかかっている部分が五億円から六億円ございます。こちらについては今後は事業の収支一体化によりまして運営権者が全て自分たちの収入の中でみていくことになりますので、この5、6億円の支出というものはなくなってまいります。
 また、更新投資の表中、下にポツで重要備品というふうにございます。現在県のほうで、消防車等を所有しておりますが、こちらについては県が引き続き所有しますけれども、この更新が発生した際にも運営権者に1割を負担していただくことでございますので、この辺が将来にわたる費用軽減に結びついていくものというふうに考えております。

○平賀委員
 ありがとうございました。概略はわかりましたので。
 それでは次に、説明資料に運営権者の事業等にかかわる提案概要があります。この提案を見ますと、これは航空路線が今までよりも11路線から17路線に拡大すると。それから乗降客も需要が61万人から135万人にふやしていくと、こういう提案が書かれているんです。この提案で言いますと、山梨県や神奈川県からも静岡空港にアクセスするバス路線の需要を開拓していくということなんですけれども、どの程度需要があると見込んでいるのか、そのアクセスバス路線の拡大に係る県の負担はどれぐらいになると想定されているのか。
どうもこの資料を見ていますと、想定される空港利用者の人数ですかね、静岡県の西部でも85万人となっているわけですけれども、どの程度この中で想定されるのかという、この辺の見通しをちょっとお願いします。

○板垣空港政策課長
 優先交渉権者からの提案の中で、キャッチメントエリアという記載がありますがそちらからの需要見込みということでございます。具体的な確保見込みということは示されているわけではございませんけれども、実際に利用者数として135万人ということでございます。これはアウトバウンドのみならずインバウンド――海外とか国内、他地域から入ってこられる方もいますので、それも含めての数字でございまして、こちらに示された人口数、全ての方が静岡空港を利用するということではございませんが、優先交渉権者の独自の市場調査などによれば、神奈川県の一部――西部のほうが中心になろうかと思います。また山梨県のほうには御案内のとおり空港はございませんので、こちらからの需要は市場調査の中では確実にとっていくのではないかということでございます。
 また、この需要をとっていくためには、今ごらんいただいているかと思いますが、優先交渉権者の提案の中の2ページにございます、「旅客需要を喚起する、覚悟ある 『供給』」の中にございますように、LCCなどの誘致なども取り込むことによって県内のみならず神奈川、山梨の利用なんかもとっていくのではないかということが示されているところでございます。
 また、これにかかります2次交通の費用負担というところでございますが、県民の利用、利便性の確保、また静岡空港にお越しになられた方々の利便性確保のために一定程度の県としての必要な施策は打っていくところがあろうかと思います。現在、優先交渉権者の方と提案をもとに役割分担など詳細を詰めているところでございまして、その中で必要な費用がありましたら、また予算要求という形で議会のほうにお諮りさせていただきたいと思っております。

○平賀委員
 はい、わかりました。
 それから、空港路線の11路線から17路線拡大となっているわけですけれども、この辺の見通しはどういうことなんでしょうか。

○板垣空港政策課長
 提案にありますネットワークにつきましては、現在の就航している路線を維持しつつ国内では北から仙台、成田、高松、それから国際線では香港、バンコク、グアムを新しく就航させるという計画となっております。仙台、高松につきましては今回、優先交渉権者となりました東急電鉄及び三菱地所が中心となって運営しているところでございまして、彼らのその事業ノウハウ、それから航空会社とのネットワークの中で確保されているのかなと思っております。
 また成田につきましても、成田空港自体は海外に119路線、116都市を結ぶということでまさにハブ空港でございますので、こちらについても県内の利用されている方が欧米など中心に出かけていくときに利便性を確保する中では、一定程度見込まれるんじゃないかというところでございます。
 また海外に目を向けますと、これまでも県が就航に取り組んできております香港でありますとか、また県内企業の進出が200社近くあるタイですね。バンコクのほうへの就航ということになっておりますし、グアムにつきましても日本旅行協会などが発表している旅行先ランクでベスト10入りしているぐらい日本人が訪れている場所だということもございます。
 こういう場所を静岡空港に就航している機材の大きさも勘案しながら、実際に路線を結べる距離でということで選択しておりますので、彼らが提案したさまざまな施策を実行する中でやっていけば決して無理なところではないんじゃないかなというふうに考えております。

○平賀委員
 ありがとうございました。
 いろんな見通しを持っていろいろ取り組まれているということはよくわかりました。
 それから、私は富士山静岡空港特定運営事業募集要項をいただきまして、その19ページに計画の策定(ア)全体計画、(イ)単年度計画というのがありまして、これはそれぞれ事業開始の30日前までに県に提出し承認を得るものとするとなっております。ですからこの全体計画や単年度計画というのは、事業は来年の4月から始まるわけですけれども、その30日前までに県に提出をして承認を得るというふうになっていると書かれていまして、この計画が一体どういう柱や、どういう項目でつくられているのか。当然県議会は関与することはできないんですね。そう理解しておりますけれども、その中身がどういう柱立てで、どのような項目でつくられるのか、その辺を教えてください。

○板垣空港政策課長
 全体計画につきましては、きょうお手元にお配りしました計画概要に、20年間で取り組むべきことが方針として示されておりますので、こういうものが中心になってこようかなと思っています。
 また、単年度計画につきましては殊さらに細かい点まで縛ってしまいますと、民間の創意工夫や経営力というのを十分生かすことができないのかなというふうに思っております。一方で空港は県が持っております航空施設でございます。提案された事業が確実に実施されて、適切に行われるか把握する必要がございますので、事業期間中に単年度計画というものを提出させて、事業終了後に事業報告書や財務情報等を報告させるようにというふうになっております。したがって単年度計画につきましては事細かな内容まで記載させて縛ることはせずに、取り組み方針でありますとか事業概要を記載していただこうと思っております。
 それから、今回債務負担行為でお願いしております更新投資につきましては県の予算が必要になりますので、年度ごと必要な予算を議会にお諮りさせていただき、議会の御承認をいただいた上での実行ということになります。内容についてどのような工事をやるのか、いつやるのか、必要性は何なのかということは単年度計画の中にしっかりと記載していただくというふうに考えております。

○平賀委員
 ありがとうございました。
 私がいろいろ聞いているのは、県や県民の負担がふえるおそれがあるんじゃないのかと、最初に申し上げました問題意識があっていろいろ聞いているわけですけれども、例えばそういう全体計画だとか単年度計画をつくるに当たって、県に承認が求められてきたときに、例えば県が承認できないような内容であった場合は制度上どういうふうな形で対応されるんでしょうか。

○板垣空港政策課長
 県にとって必要な予算については、事前協議を運営権者とさせていただきながら最終的には単年度計画というふうな形にまとめさせていただき承認ということを行いますけれども、単年度計画を策定する前に、当然運営権者の方とやりとりをしながら認められないものは認められないということでお話して、計画の修正をしていただくことになるかと思います。

○平賀委員
 ありがとうございました。
 ここでちょっと県民負担の問題で、例えば契約の中には川勝知事が言われている新幹線新駅の問題などは一切入っておりません。ですから本会議の答弁で知事は、2020年には新幹線新駅が間に合わないにしても、2027年のリニア新幹線開通に向けて前倒しで進めていくと、こういう答弁が先日あったと思うんです。県民から見たら全く今回の民営化、運営権譲渡の問題に新幹線新駅は一切かかわっていないわけですけれども、しかしこれができれば三菱地所や東急電鉄のこの会社に多大な支援をするということになっていくと思うんですけれども、そうなりますと県民負担というのは逆にふえていくんじゃないのかと心配するわけなんですけれども、この辺についてはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

○板垣空港政策課長
 今の御質問は、新幹線新駅の設置と空港の運営の関係の費用負担ということだと思うんですけれども、新幹線新駅につきましては空港の機能向上につながるという側面も確かにありますが、それのみならず防災上の観点から重要な役割を果たすものということでございまして、決して空港の利用促進や運営権者の支援のために設置を目的としているというものではございませんので、県としての幅広いさまざまな中からあそこの位置に新駅があったほうがいいんじゃないかと。国家的見地なんていうことをおっしゃられる場合もありますけれども、決して空港単体のために、特にまた運営権者の運営を支援するために設置するものではございませんので、新駅設置が運営権導入とリンクしているとか支援しているということではないというふうに考えております。

○平賀委員
 これは、運営権譲渡する以前から県が言い出していたわけでありまして、だから決してリンクしているものではないというのは、それはそのとおりかもしれませんが、ただやっぱり運営権譲渡した民間企業に支援をするということになるのは、これは誰が見てもそう見えるんじゃないでしょうか。それで実際例えば新幹線新駅と言えば400億円とか500億円とか、そういう金額になると思うんですけれども、20年間返済とすれば、大体年間20億円とか25億円とか、そういう金額になっていくと思うんですね。ですから川勝知事が、例えば五、六億円のそういう赤字繰り入れをやっていて、そういったものがなくなるとは言いますけれども、しかし客観的に見たら県民の負担、県の負担、こういうものはやっぱりふえていくんじゃないのかと心配するわけなんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

○板垣空港政策課長
 新幹線の件に関しましては、これは繰り返しになりますけれども、知事も今回答弁されておりますように、静岡空港が大規模な広域防災拠点にも認定されておって、そういう観点から設置を求めていきたいということでございまして、決して運営権の維持とか、空港の経営そのものの負担を軽減するためとか、それを支援するためというような狭度の考え方ではなくて、もうちょっと広い視野であそこの空港の直下に駅が入るべきだろうということでございますので、こちらの整備費がかかったとしても、それが空港のコストということに加わるものではないと考えております。

○平賀委員
 私としては、この民営化、運営権譲渡の問題で言えば、そういうふうに逆にその県民負担はふえるんじゃないのかという懸念を持っておりますのでよく検討して態度を決めていきたいと思います。ありがとうございました。
 
 それでは次に、観光問題で質問したいと思うんです。
 きょうは特に細かいことをあれこれ聞く予定はありませんので、大きな問題でちょっと伺いたいと思いますが、委員会配付資料――文化・観光部の概要のほうですね――この資料のところで基本理念と行動指針というのが書かれてあります。基本理念は「ひと・もの・こころを繋げる“ふじのくに”」ということで、行動指針は「私は、富士山の魅力をいかした“ふじのくに”づくりを進めます」から始まって6項目書かれております。
 私はこれを読んで、ちょっと私たちの実感から離れているというか抜けている部分があるんじゃないのかなという感じを持つんですが、例えば観光地が活性化して、そして多くの人たちが観光に出かけるような、こういう状況には何か実感から言っても、そんなにあるとは思えないんですね。なぜかと言いますと、例えば観光に行きたいと思っても長期にわたって不況が続いています。実質賃金も何年連続で後退というような状況があります。それから年金や医療や介護こういうものの制度がどんどん改悪されて、ますます将来不安があって、やっぱり観光と言えば先立つものが問題になりますので、財政的な余裕がなかなかない厳しい状況にあると。それから観光に出かける時間の問題でも、今働き方改革ということで残業時間の上限が80時間と言っていたものが100時間までOKと。それから高度プロフェッショナル制度ということで賃金は労働時間じゃなくて成果ではかるんだということで、残業を幾らやってもつかないということが国会の中でいろいろ議論されているわけですけれども、やっぱり少なくとも観光をもっと活性化させるためには、もっと働く人たちの所得をふやすような対策や、さらに観光に行く時間を、有給休暇などちゃんととれるような政策をしっかり提起する必要があるんじゃないのかなというふうに思うわけですけれども、この辺についてはどのように考えられているのか、ちょっと伺いたいと思います。

○神戸観光交流局長
 本県の観光の状況でございますけれども、観光交流客数、いわゆる日帰り客、宿泊客を含めた人数というのが過去最高の1億5294万人というような形で伸びております。ただ一方で、宿泊客数は若干減っているというような状況がございます。そこのところにつきましては、やはり6番委員からもお話がありました景気の状況というものが大きく影響しているのかなというふうに思っております。あと我々のやっていく施策の考え方の方向性として、例えば2017年のレジャー白書で余暇をどう過ごしたいかというような調査がございます。これで1番多いのが国内観光旅行に行きたいというようなものが53%という形です。そういう意味では余暇時間がふえることによって、観光業も振興するチャンスがふえてくるというような認識でおります。

○平賀委員
 ありがとうございました。
 私は、このいろんな行動指針などが書かれているんですけれども、やっぱり誰もが観光を楽しむ権利があると、それを保障するふじのくにづくりを進めるということで、障害となるような国の政策などに対して是正を求めていく覚悟が必要じゃないのかなというふうに思っております。
 それで、私、以前、伊東市で観光振興関係をやったことがあって、その記録を見ていますと、当時、1995年6月2日に観光政策審議会が出した今後の観光政策の基本についてという答申があって、これは当時22年ぶりに出たと。それ以後出ていないようなんですけれども、観光を考える基本的視点というところで「全ての人には旅をする権利がある」として、「旅はすべての人にとって根源的な要求である。人は旅により日常から離れ、未知の自然、人、文化、環境と出会い、そして新たな自分を発見する。」と述べておりまして、観光の権利ということが強調されております。その次に「わが国はものづくり立国からゆとり観光立国へ転換する必要がある」、あるいは「観光産業は21世紀の経済を牽引する基幹産業であり、国内雇用を新しく創出する」とあって、観光産業というのが大変高い位置づけで書かれていて、これは大事な視点かなというふうに思っているわけですが、こういう旅をする権利や観光の発展などをどう保障していくのかということが、今は問われているんだと思っています。
 この点で、世界で言いますと東南アジアの国々、今いろんな紛争があの地域は多くて、これは年1,000回というような交渉をやってるんですね。年1,000回というと、1日2回とか3回とか毎日やってもそのぐらいの回数の話し合い、交渉をやっていると。この交渉が終わった後、必ず視察に行くんだそうですよ。それぞれの人に聞くと、これは遊びに行くんじゃない。これはお互いの国をよく理解するために視察に行くんだということで、そういう交渉が終わった後は必ず、みんなでいろんな有名なところに出かけていくんだと、こういうことが位置づけられています。
 ということで、先日も文化・観光部主催の特別講演があって、その中で松下幸之助さんのいろんな観光の位置づけについて、大変高い位置づけで国のまさに根幹に据えるべき課題なんだというようなことが強調されていたと思うんですけれども、国立民族学博物館名誉教授の観光人類学の石森秀三さんという方がおられまして、この方が当時在日米軍に対する思いやり予算2700億円、それでそのときの観光予算が30数億円。これを100倍にして国際観光の振興や観光による地域活性化を図るべきだと。ジェット戦闘機を多数配備するよりも、安価で良質な外国人向けのホテルを整備して、1人でも数多くの外国人旅行客を受け入れるほうが21世紀の安全保障のあり方に適合していようと、こういうふうな提言を出しているんですね。ですからそれぐらいこの観光というのは、国のいわば防衛の柱以上に大切な柱なんだということを強調されているわけなんです。やっぱりそういう観光政策は、あれこれ行政のつけ足しでやるんじゃなくて、まさに国政や県政の中心に位置づけてしかるべき内容だと思っているわけですけれども、こういうふうな位置づけでこういう文章の中にも提案されたらどうなんでしょうか、最後にその点で部長の見解を伺っておきたいと思います。

○渡邉文化・観光部長
 幅広いお話をいただきましてありがとうございました。知事もたびたびいろんな機会でお話し申し上げておりますとおり、世の中平和でないと観光というのが成り立たないということでございまして、その意味におきまして6番委員のおっしゃるとおりのことかなというふうに思います。
 ここに書かせていただいておりますのは、縦割りの話をするわけではございませんが、県全体として取り組む中、我々が主とする項目を書かせていただいたということで、これを進めていく中におきましては、大前提といたしまして平和であるべきというふうなところもございますし、それから先ほどゆとり云々の話もございました。観光が産業として成り立っていくこと、これが所得の向上にもつながる、地域の活性化にもつながるということでございます。そこが豊かになることで、より皆さんの心にもゆとりが芽生えてくるということかなと思いまして、そういった観点からも、観光産業は極めて重要というふうに思っています。そういった志のもと、このようなことを進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくどうぞお願いをいたします。

○平賀委員
 ありがとうございました。
 ちょっとこだわるようですけれども、観光は平和にも大きく貢献するんだということを改めて強調して終わります。ありがとうございました。

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