本会議会議録
質問文書
令和6年12月定例会厚生委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 伴 卓 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 12/13/2024 |
![]() | 会派名: | ふじのくに県民クラブ |
○伴委員
分割質問方式で2つ質問させてください。
まず初めに、ヤングケアラー関連について質問します。
静岡県では、令和3年11月24日から令和4年2月3日までの期間でヤングケアラー実態調査を行っていただきました。これは国からの指示もあって全国一律で取り組んだものと思います。
県内の調査対象は、小学校5、6年生、中学生、高校生延べ約25万7000人であり、このうちの9割の25万5000人から回答を頂いたと報告にあります。結果を見ますと25万5000人の回答者のうち約1万人の児童からケアをしているとの回答があり、率にして4.6%、子供たちの割合でいくとおおむね20人から20数名に1人になります。
これを受けて県も相談窓口等を設置していただいているかと思いますが、まず相談窓口の稼働状況、相談状況について報告をお願いします。
○村松こども家庭課長
ヤングケアラーの相談窓口ですけれども、本県におきましてはこども家庭110番という電話での相談窓口、しずおかこども・家庭相談というLINEでの相談窓口を設けております。こちらの稼働状況、実績ですがこども家庭110番は昨年度に5件ヤングケアラーの関係で相談があり、本年度につきましては10月末時点では電話相談はゼロ件です。
続きましてLINEですけれども、昨年度は10件ございましたが、今年度におきましては10月末時点で5件となっております。
○伴委員
ありがとうございます。
プライベートなことでもあるので、あまり聞けるか分かりませんが令和5年度でそれぞれ5件と10件、今年度が5件とありますが実際にその対応に当たっているケースがあるのか伺います。
○村松こども家庭課長
かなりプライベートなお話になるものですから、具体的に細かいことは申し上げられないのですが、実際に相談に来たものについては学校のスクールソーシャルワーカーや市町の支援窓口につなげているケースはあります。
○伴委員
ありがとうございます。
少しデリケートな話で恐縮なんですけれども、割合からしたら先ほどの1万人に対して困っているというSOSを出せた方が約20名と思います。あってほしくないんですけれども、まだまだ潜在的にはSOSを出したいお子さんがいると思います。
県に実施していただいた調査結果を見ますと、小学生がケアをしている対象は母親が多く、高校生になると兄弟、姉妹が傾向として多いことが分かります。
私の勝手なイメージですが、もともとお父さん、お母さんが共働きの家庭でおじいちゃん、おばあちゃんといったいわゆる祖父母に当たる方をケアしていると思っていたのですが、アンケートを見ますと特にお母さんのケアをされているケースが多いのかなと思います。お母さんが傷病されていたり場合によっては障害をお持ちかと思いますが、県としてもこの認識は同じでしょうか。
○村松こども家庭課長
9番委員御指摘のとおりそのようなケースがあります。
○伴委員
ありがとうございます。
この調査結果を踏まえて、よりSOSへの対応としてこれをつかむんだよとロープを投げ込むイメージの支援策が何か検討できるのかなと思いましたし、プライベートなことなのでこの20件の細かい内容までは聞きませんけれども、照らし合わせていくとヤングケアラー支援対策ではなくて、小回りの利いた支援策が講じられるのでないかなと思ったんですが、何か取り組まれていることがありましたら教えてください。
○村松こども家庭課長
ヤングケアラーそのものといいますか、お子さんの負担を軽減するための施策としては、国の補助事業になり実施主体そのものは各市町の形になりますが、家事を代行していただける支援員を派遣する事業もございます。
○伴委員
ありがとうございます。
調査は教育委員会等の協力もあって当然できていると思うのですが、各市町の教育委員会や県教育委員会も含めて何かアンケート結果だったり、ここ1、2年で対応策として取り組まれていることはありますか。
○村松こども家庭課長
9番委員御指摘のとおり、子供が一番長く生活している場所は学校です。
学校において、ヤングケアラーを発見しスクールソーシャルワーカー等を通じて市町の重層的支援体制といったサービスにつなげていく体制が非常に大事なものですから、本県におきましてはアドバイザーを派遣してヤングケアラーについての理解を深めるために学校等で研修等を行うとともに、昨年度はヤングケアラーの理解促進のために漫画を作成し学校で生徒や先生に周知し理解促進を図っています。
○伴委員
ありがとうございます。
最後に意見したいと思いますが、ヤングケアラーの本当に辛いところは、あなたはヤングケアラーでしょうと言えないところだと思います。先生だったり行政がいろんな話を聞いて、あなたはどうと言える関係があればいいのかもしれませんけれど、言えないところが辛いと思います。
元ヤングケアラーの方と何人かお会いしたことがありますけれども、お子さんによっては当時は家の手伝いをしていたり家族を助けたことで自己肯定感を養っていたり、毎日喜びを感じていた時期もあったとの感想も聞いています。
とはいえ、度が行き過ぎて友人と過ごしたり学びの時間がおろそかになってしまうのは本末転倒ですし、SOSを出しやすかったり行政側も学校側も拾いやすい環境整備に引き続き取り組んでいただきたいなと思います。
今回少し日はたっていますが、アンケートに御協力頂いた方々に感謝を申し上げながら、少しでも改善されることを祈っております。
先ほど8番委員からも里親に関する質問がありましたが、物価上昇によって可処分所得が減ってしまっていたり、いろいろな社会事情の変化で家庭問題の不安を抱えている方が多いと思います。
こういった中で、里親の果たす役割は結構大きいのではないかなと思っていますが、令和6年6月に総務省が社会的養護に関する調査、里親委託を中心としての結果をこども家庭庁に勧告として出しています。
この勧告内容が4つのテーマに分かれていて、1つ目が委託里親に児童を委託するための短期委託やショートステイ事業の活用推進、2つ目が保育所等入所の優先利用の徹底、保育所等に係る措置費支給の検討、3つ目が障害児、被虐待児を委託している里親への専門的な研修機会の付与検討、4つ目が里親不調に関する全国の事例を把握、分析し未然防止に資する情報を児童相談所に周知しなさいとあります。
それぞれ県として、どのように取り組まれているか聞きたいと思いますが、まず1つ目の里親の確保、未委託里親への委託推進です。家庭養育優先のためには、里親の確保と登録しているけれどもまだ委託されていない里親の活用が第一歩だと思います。養育経験のない里親の質の向上が語られがちですが、養育経験を積むことや経験不足を補うサポート、相談等的確な支援なども実は十分にされていないとの声も伺います。
そこで、県として未委託里親への委託を推進するためにどのようなことを取り組まれているのか教えてください。
○村松こども家庭課長
これまでに子育て経験がない里親もいるため、取組としましては委託可能な里親の養育技術の向上が円滑な里親委託に向けて重要だと考えており、養育技術向上の研修に取り組むことが重要だと考えております。
そのため、児童家庭支援センターに里親研修担当職員を配置して未委託里親に対し養育力向上の研修等を実施するなど、まず未委託里親への委託の推進に努めているところです。
○伴委員
ありがとうございます。
実際に富士地域でも里親のつながりの会があってお邪魔させていただきますと、研修などは結構充実してきています。
でも、未委託ということは登録しているけれども実際にはお子さんの受入れには至っていない方が多いので理由があろうかと思います。
9月定例会でも取り上げたかもしれませんが、これから里親をやろうかなと思っている方がおっしゃっていたのが、メンター制度のように先輩里親と新しい里親が協力できて、実際に受け入れた際に分からないことがあった場合すぐ行政ではなく、信頼関係のある里親同士の小さな緩いコミュニティーがあったらいいかなと思うのですがメンター制度についてもう一度お考えを聞いてもよろしいですか。
○村松こども家庭課長
確かに9番委員御指摘のとおり、先輩里親と常日頃関係を密にしていろんなアドバイス、経験を聞かせていただくことでこれまでお子さんを預かったことのない里親におかれましても、受け入れる側としての心構え、注意点の知識や思いが養われていくものですから、県としましても里親の会合が積極的に開かれるよう交流活動について児童相談所とも協力していきたいと考えております。
○伴委員
ありがとうございます。
では、2つ目の質問に移りますが、共働き世帯への委託の推進で未委託里親に限らず共働き世帯は子供と十分に関わる時間が少ない状況があります。
そういった中で、新規の委託が進まない里親、まだ未委託の御夫妻もあるのかなと思います。今や共稼ぎ、共働き世帯はスタンダードな家庭像の1つと思います。
また、里親とは言え委託児童を受け入れることを理由に個人の職業選択であったり勤労時間が減ってしまうのはあってはならないかと思います。共働き世帯が里親として活動していくためには、先ほどの勧告にもありましたけれども保育所以外の手だてや支援について何らかの検討が必要ではないかと思いますが、県としてこの状況をどうとらえているか。また対策を検討されているのであればお聞かせください。
○村松こども家庭課長
実親家庭と里親家庭で子育て支援に係るサービスに差が出ることはよくないと考えております。
ただ、一時預かりや病児保育といった市町が主に実施している一般的な子育て支援サービスの提供を受ける側としては里親だからといって差があるとは伺っておりません。もし差があるようでしたら市町に理解を求めるように取り組んでいきたいと考えております。
加えて、実際にお子さんを預かっている共働きの里親家庭におかれましては、仕事の事情等で一時的に里子を預ける必要がどうしても出てくるかなと思っております。そのため一時的に里子の養育をほかの里親や施設に依頼するレスパイトケア事業があります。この事業の活用を広く里親に呼びかけるとともに、里親にとって事業が利用しやすくなるよう児童相談所や里親相談支援機関等と協議を進めていきたいと考えております。
○伴委員
ありがとうございます。
1点要望してこの質問を終わりますが、レスパイトケアの機能はどの里親の皆さんも御存じです。
ただ、なかなか使い方が分からないとか、里親をしているのに一時的とは言えそのお子さんをどこかに預けることに抵抗感があるとの声も聞きました。里親がより利用しやすいように行政側からも使っていいんだよと周知を進めていただければと思います。
では、里親について3つ目の質問ですけれども、障害のあるお子さんや虐待経験のあるお子さんの委託推進について伺います。
障害や虐待を受けたお子さんの養育は難しさがあるだろうとの理由から、なかなか里親委託が進まないと聞きました。障害児や被虐待児の委託先としてより高度な知識を研修受けた専門里親がおりますが、実際は保護児童の多くが何らかのダメージを受けたお子さんであったり、多くの障害児や被虐待児が養育里親に委託されているかと思います。養育上の不調が起きることもありますけれども、一方で障害のあるお子さんは支援が整っていて育てやすく、養育しやすい。虐待の影響について知識があればお子さんを理解して対応できるとの声も聞きました。障害児や被虐待児の正しい理解と支援方法を知らされていないだけでなく、里親も専門機関も難しいとの思い込みがあるのではないかとの意見を頂きました。これらを乗り越えて障害児、被虐待児もそうでない子供と同様に家庭養育優先の原則に従って代替家庭を得られるのが理想かなと思います。
そこで、地域で障害を持つお子さんや被虐待児が育ち、育てられる環境づくりについて県としてどんな考えがあるのか伺います。
○村松こども家庭課長
障害児の里親養育を進めていくために養育里親を対象として実施している研修の中で、障害児や被虐待児の特性の理解や養育方法に関する内容を充実していくととともに、障害児入所施設等々の協力を得て入所している児童との交流機会を設けることで、全ての里親が障害児等への理解を促進できる取組を行いたいと考えております。
○伴委員
ありがとうございます。
9月定例会でも取り上げていたかもしれませんが、実際に養育されている里親から話を聞くとか、幾らSNSがあるとはいえ、匿名というかプライベートは伏せた状態のロールモデルを個人ではなかなか発信しづらいと思うんですよね。
ですので、行政として医療圏域ごとなのか児童相談所ごとなのか範囲が分かりませんけれども、オープンにできる経験者の経験や家庭モデルみたいなものが横展開されると、理解が広がるのではないかなとの声がありました。
障害のあるお子さん、虐待歴のあるお子さんを受け入れたことのある経験者が中心となって社会、地域との連携を進めてほしいとの声もあります。
例えば、自治会、民生委員、児童委員などもいますし個人情報保護の観点はいろいろ難しいところがあると思うのですけれども、地域でもう少し周りが見て共感し支え合う社会づくりが重要だとおっしゃっていました。ぜひそういったところも視野に入れて、家庭だけじゃなく御近所付き合いなどの地域も含めた養育をやっていけたらと思っております。
4つ目の質問で不調への防止対応ですけれども、先ほどの勧告によると里親不調を未然に防止できるよう全国の事例を把握、分析し未然防止に資する情報を全国の児童相談所等に周知するとあります。不調事例だけでなく、好事例についても恐らくまとめられていくのではないかなと期待するところですが、結局は地域の行政機関や支援者あるいは里親のやる気と具体的なアクションにも影響が多いのかなと思います。
そこで、県としてどのようにこの課題感を捉えられているのか。また子育てに悩む里親を支えるために何が必要なのかについて教えてください。
○村松こども家庭課長
里親不調の防止につきましては、里親にお子さんを正式に委託する前に児童と里親のマッチングを丁寧に行うことに努めております。具体的には日帰りによる交流や数日の宿泊、長期の宿泊等の段階を経たマッチングで里親と児童の愛着関係を構築していくなどの対応を行っているところです。
しかしながら、課題として例えば学校に通われているお子さんとなると通学といった問題もあり、マッチングが休日や長期休暇の期間に限られる場合が多いところが課題です。
こうした課題については、マッチングに支障が生じないよう一時保護施設や児童養護施設、あるいは学校、市町の教育委員会と連携し、平日においてもマッチングが行えるように努めているところです。
なお、里親不調など里親が抱える悩み、相談に応じる体制については、各児童相談所に里親専門の児童福祉司を1名配置し、児童家庭支援センターと協働して相談に応じる体制も整備しているところです。
また、悩みを抱えた里親に対しても先輩の里親の協力を得て体験談を伝えていく工夫も行っているところですが、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えております。
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