• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 委員会会議録 > 質問文書

ここから本文です。

委員会会議録

質問文書

開催別議員別委員会別検索用


平成30年2月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:鈴木 澄美 議員
質疑・質問日:03/08/2018
会派名:自民改革会議


○鈴木(澄)委員
 おはようございます。お願いします。
 分割質問方式で何点かお聞きしたいと思います。
 最初に、委員会資料の提出案件の概要及び報告事項41ページ、ふじのくにCNFプロジェクトの推進と静岡県の試験研究機関に係る基本戦略案2018〜2021の55ページ、工業技術研究所の人材育成等について質問したいと思います。
 平成30年度は、CNFを活用した製品開発の支援を重点化、新たに試作品開発への助成制度を創設するなどで製品化に取り組む企業を支援すると。また県内企業から設置要望が強い機器を整備し、製品や試作品などの評価、測定を支援する。これらを実現するための人材育成についてお聞きしたいと思います。
 1つ目は、委員会資料41ページの企業向け実習、技術講習会における新規参入を図る企業等の技術者育成ですが、誰が先生になって教えるのか。また育成内容や育成期間についてお聞きしたいと思います。
 2つ目は、ふじのくにCNF寄附講座における人材育成とは誰を対象にするのか。また育成内容についてお聞きしたいと思います。

○三須商工振興課長
 まず、人材育成のうち企業向け実習あるいは講習会についてであります。
 実習につきましては、県の工業技術研究所本所と富士工業技術支援センターが実施主体となって行っております。
 主にCNF産業に新規参入しようという企業を対象としておりまして、具体的にはそれぞれの研究所が持っている機械を使いまして実際にCNFを製造してみたり、あるいは作ったCNFについての測定機器もございますのでその測定を実際にやってみるということで、主に研究所の研究員がサポートする形になっております。
 それから、講習会につきましては主催が県産業振興財団であります。産業振興財団が主体となって、県の工業技術研究所が技術的サポートをしながら講習会を行っております。
 主には、各大学の研究者、あるいは各メーカーでその研究をやっている技術者に来ていただきまして、学術的な面とメーカーの取り組み状況などのお話を聞いていただくということであります。これまでには一般論や製紙、それから樹脂という分野を中心にやっておりましたが、今年度は特に樹脂に力を入れてテーマを設定しております。県内企業の皆様に御参画いただいています。
 それから、寄附講座につきましては主に研究部門と人材育成部門があります。そのうち人材育成につきましては――特に来年度からになりますが――静岡大学大学院に設置しておりますので、大学院生を対象にCNFの講義を開講する予定になっております。もちろん単位を付与する形での講義をやることになっておりますので、メーンの対象は大学院生です。大学院生にCNFの知識を提供することによって、将来県内企業へ就職してもらえればCNFの技術革新も一層進むだろうと考えています。
 それに加えて、県内企業の皆様にも聴講という形で講義に参加できないかと大学で検討していただいている状況であります。

○鈴木(澄)委員
 わかりました。企業関係の技術者育成について了解いたしました。
 寄附講座については、大学院生を対象にして専門的知識を得た人たちが県内企業に就職するという教育機関としての役割と。
 それから、検討中というお話でしたけれども企業関係者も聴講できるので、非常に大切かなと思っております。以前お邪魔した愛媛大学でも、そういう流れをつくっていくということでありました。この寄附講座をきっかけにした静岡大学の流れは非常に期待されるものかなと思っております。

 そこで、静岡大学でやっている寄附講座の人材育成の連携の中での可能性について、何か方向性があるのであれば説明を聞きたいと思います。

○三須商工振興課長
 講習会につきましては、ただいま申し上げましたように大学の研究者やメーカーの技術者を講師として呼んでおりますが、来年度からはその1つに静岡大学の青木特任教授を講師としてウエートを持って講義をしていただこうと考えております。
 そこに、県内の企業の方々が集まりますので、そこで静岡大学の寄附講座との関係をつくっていただいて、その関係の中で静岡大学でもいろんな形で技術協力や相談に来てもらうという流れが第一にあるかと思います。
 その次に、この寄附講座の研究室では、研究室ということで県内企業からの研修生ですとか、あるいは受託研究員という形で企業からの派遣が期待されますので、そういう形に持っていければ両者の関係がつながっていくんだろうなと思っております。

○鈴木(澄)委員
 わかりました。特に最後の部分についてです。
 企業から静岡大学に来て、聴講だけではなく学生に準じた形で学ぶ機会をぜひともつくっていただけるように後押しをお願いしたいと思います。

 次に、CNF関係です。
 ことしから次年度にかけて、県がCNFに対し非常に熱心に取り組んでいらっしゃることはわかっております。それを受けて、今後は県、あるいは企業という関係の中に地元の関係自治体はあるのでしょうか。地場と言いますか、実際にCNF企業が集積する地域の1つとして私の地元である富士市があるんですけれども、富士市のCNFに対する取り組みも非常に市長さんが積極的で、ちょうど今開催中である市議会でもその辺のテーマも含めて議論されているということです。県と地元の市町との関係の中での連携、政策的にもある程度流れがつながっていくようなものが必要かなと思いますが、そのあたりの取り組みについてお聞きしたいと思います。

○三須商工振興課長
 特に、県と富士市との関係でお話をさせていただきたいと思います。
 これまでも、県と富士市は連携していろいろな事業に取り組んでまいりました。例えば富士市が設けておりますCNF研究会につきましては技術的なアドバイスという観点から富士工業技術支援センターの研究員がオブザーバーで参加しております。それ以外に私どもの講習会やセミナ―につきましては富士市内で開催するケースが多く、会場の関係ですとか御案内についても協力をいただきながら、まさに一緒になって取り組んできている状況でございます。
 来年度につきましては、富士市からもかなり事業を拡大して取り組みをしていくというお話を伺っておりまして、それに当たりましても富士市から私どもに事前の協力依頼をいただいております。
 例えば、来年度はCNF関連産業の推進構想の作成を予定をされていると伺っておりますが、その構想の策定に当たりまして、県職員と富士工業技術支援センターの職員も委員として参画をいただきたいと御要望をいただいております。また富士市のCNF研究会も技術的に充実した形でやるということで、それについても富士工業技術支援センターの一層の協力依頼でお話をいただいております。
 今後とも、CNFの取り組みにつきましては静岡県と富士市で連携してやっていくことが非常に重要でございますので、これまで以上に協力をしてやっていきたいと考えております。

○鈴木(澄)委員
 ありがとうございます。
 富士市で基本構想を検討しているということで、県とのかかわりを強めているということです。
 今までは、補助金といった部分が表からは見えがちでしたけれども、一歩その中の体制に踏み込んで、例えば県、市の役割、あるいは国に対するかかわりが明記されていけばいいなと思いますが、そういう意味で今まで県が持っているノウハウをしっかりと市のほうに伝えていただきながら、いい構想ができるようにお願いしたいと思います。

 次の質問に移ります。
 委員会資料の46ページになります。
 静岡新産業集積クラスターの推進のうち、フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトです。
 あわせて、資料は経済産業ビジョンの13ページですが、下に主な取り組み等が記述されております。
 次年度も、第2次戦略計画に基づく施策の推進が図られると。経済産業ビジョン2018〜2021の案では第2次戦略計画が2019年で終了することから次期の第3次戦略計画の策定が明記され、次年度はその準備に入る時期に差しかかるのかなと思います。その取り組みスケジュールと第2次戦略計画を踏まえた戦略の展望について、あるいは課題についてお聞きしたいと思います。

○水口新産業集積課長
 まず、戦略計画のスケジュールでございます。
 現在の戦略計画は、平成27年から5年間の計画となっておりまして残りは2018年度、2019年度になります。
 ですから、2020年度から新しい計画がスタートする形になりますので、5番委員のおっしゃるとおり2018年度の後半から準備に取りかかり、2019年度から本格的に策定作業を進めるスケジュールで考えております。
 課題でございますけれども、第2次戦略計画におきましては機能性食品の製品開発に注力して、そのプラットホームを整備したりサイエンスアドバイザーや販路開拓拡大アドバイザーを配置しております。この第2次戦略計画を進める中である程度の成果が生まれつつあるんですけれども、やはりそれをもっと加速していかなければならないと認識しているところでございます。
 さらに、計画の中では化成品とか食品加工機械の振興も掲げております。そちらについてはこれまで機能性食品に注力していることもございまして、若干取り組みが弱いこともございます。化粧品等を含む化成品はこれからアジアを中心として市場が非常に伸びていくということもございます。
 また、食品加工機械は食品産業の生産性向上には欠かせないものになりますので、そちらの機能強化をしていくこともございまして、本年度もコーディネーターを配置するなど取り組みを強化しているところです。
 次期の計画につきましても、やはり機能性食品と化成品、食品加工機械、そうした3つの柱をさらに進めていくという観点の中で、産学官金の連携を強化した中で進めていければという課題認識を持ってございます。

○鈴木(澄)委員
 わかりました。
 弱いところを補うということであれば、先ほど説明がありました化成品とか加工機械開発支援強化ということで資料にもうたわれています。これはこれで必要かなと思っております。
 先ほど機能性食品の話がありましたけれども、調べてみましたら地元の富士市を初めとする岳南地域は結構それに関連するものが非常に多いということで、改めてこの事業展開に大きな期待をしていきたいと思っています。

 そこで、第3次戦略計画も含めて、あるいはその前になるかもしれません。もう再来年ですから、例えば2020年東京オリンピック・パラリンピックも含めていろんな食に対する期待が高まっている中で、経済産業部の農業分野でも食の安全、国際基準との整合性という話が課題として出てくると思います。
 日本の場合だと、基本的には食品衛生に関する法律等の絡みが出てくる中で、多分それが最上位にあって、このプロジェクトもどんなふうに進めていくのか大きく左右されるものと思っておりますが、県でこういうプロジェクトを立ち上げていく中で、食品衛生関係の法律等の改正等も包含しながら体制を整えていくことも必要だと思うんですが、その辺の情報収集の取り組みについてはいかがでしょうか。

○水口新産業集積課長
 食品を生産する上で、まずは第一に安全がくることは認識しているところでございます。その中で、食品衛生法が15年ぶりの大きな改正を目指して進めていることも承知しております。その中では食の安全性を担保する品質管理についての改正がなされると聞いております。
 ただ、大枠は示されているんですけれども詳細はまだ示されていないので、具体的にそれが最終的にどのような形になるのか十分に注視しながら、健康福祉部の食品衛生担当と連携をとりながら進めてまいりたい。
 経済産業部では、総合食品講座を持っておるんですけれども、その中でも食品の安全性の担保をするような講座を持っておりますので、そういうところで新しい情報を皆さんにお伝えしていきたいと思ってございます。

○鈴木(澄)委員
 企業経営の中でも、まさにそこの部分が大きく影響すると思います。まだ曖昧な状態でアウトラインしかわからないということでありますけれども、その技術的なものも含めて影響が出るようであれば早目に業界とのコンセンサスを得るような形にして、準備に取りかかってほしいなと要望したいと思います。

 次に、委員会資料57ページに行きます。
 AOIプロジェクトの推進であります。
 今回整備する施設等の説明がなされていますけれども、ここには研究室と執務室と書かれています。実際に研究施設、研究開発の中枢の施設として箱物的なものだけではなく、恐らく研究を推進するために必要な備品類とかさまざまな装置とかが必要ではないかなと思いますが、その辺は今回のこの事業の中ではどういう位置づけになっているか、まずお聞きしたいと思います。

○平松農業戦略課先端農業推進室長
 AOI−PARCの中に拡張整備する施設についてお答えします。
 まず、現状のAOI−PARCは1階と2階を整備させてもらっています。そのうち今回は主に2つの拡張整備がありまして、1つは3階の実験室、執務室です。今は中核機関として慶應義塾大学、理化学研究所が入っておりますけれども、想定以上に研究体制を充実させていただけまして、非常に研究スペースが足りなくなってきています。そこを今回補うということで、拡張するために3階の一部を研究室にすると予定しております。
 それからもう1つですけれども、実験装置がAOI−PARCの建物の中にありますけれども、その実験結果を現場で活用する実用化に近づけるために実証用の施設、温室をつくろうと検討しております。環境複合制御による太陽光事業の温室をつくろうと思っております。そこには実験で得られたデータを実験ベースからより現場に近い、実用化ベースにするための実証研究ということで、高度な環境制御を行う温室をつくろうと思っています。
 例えばですけれども、入居企業はトマトの苗の研究テーマを持っています。例えば夜と昼間の温度が逆転すると、非常にコンパクトで丈夫な苗ができると言われております。そういった実証をやれる施設ですとか、あとは光技術でもって実験栽培マニュアルをつくっていますけれども、特定の光を使って実験のできるベースを、それを温室の中で、実際に現場に近づけるところで環境整備のできる施設を実用の施設として整備する予定でおります。

○鈴木(澄)委員
 1つわからなかったので、確認させてください。
 研究室の中身については、慶應義塾大学とか理化学研究所の名前が出ました。研究で入ってくる機関が、そこの施設を自分たちで整備するということなんでしょうか。ちょっとよくわからなかったので、もう一度確認します。

○平松農業戦略課先端農業推進室長
 慶應義塾大学と理化学研究所は、我々が研究委託として研究業務をお願いしております。それをしていただくための研究用の実験室ではなくて、研究するために論文を書いたり、実験データをまとめたりといった研究室と言われている場所、要するに実験スペースじゃなくて研究分析をするスペースが足りなくて困っていました。それを新たに用意して充実した環境を整えようというのが今回の改修整備です。

○鈴木(澄)委員
 わかりました。
 同じAOIプロジェクトの関係なんですが、もう1つ質問させていただきます。
 農芸品栽培技術の開発と継承では、栽培技術の見える化を目指すということです。AI学習支援システム等々によって実現するということだと思いますが、もととなる技術――篤農家が持っている技術を集めることは、企業にしてみると企業秘密に相当するようなものもあるでしょうし、あるいは農家の皆さんが、見える化をするという県の考えに対して御理解いただけるのかという部分もあろうかと思います。このノウハウをどのように収集していくのかについてお聞きしたいと思います。

○出雲農芸振興課長
 AI学習システムですけれども、産地のすぐれた栽培技術を分析、映像化することで栽培技術等を見える化しまして、生産者が手元のスマートフォンやタブレット端末等で繰り返し学習できるという栽培技術の支援をするシステムでございます。
 御質問のありました技術の蓄積ですけれども、平成27年度から3年間でイチゴとミカン生産者の皆様の御協力を得ながら栽培技術を写真による静止画像と動画で撮影させていただき、ヒアリング調査もさせていただきながら情報をデータベース化して蓄積を図っているところです。
 最初の段階で、生産者の皆様に御協力いただく際にはそういったところを御理解いただきながら、最終的に産地のレベルアップにつながりますとか、新規就農者が年に1回しかできないような作業を繰り返し確認できますよというところで御理解を得ながら、篤農家の皆様の技術を蓄積させていただいている状況でございます。

○鈴木(澄)委員
 理論どおりにいく部分とそうでない部分があろうかと思います。特にノウハウの部分は写真と動画でということでしたけれども、そこには感覚的なものもあるでしょうし、だからこそAIなんだろうなと思ってはおりますが、議員の立場で言うとそこらの取り組みについては本当にちゃんとノウハウが吸収できるのかなと。そこの部分の体制が見えてこないんですね。
 方向性として打ち出したことについては問題ないし、平成27年度から取り組んでいるのはわかるんですが、平成27年度からやってきた中で先ほど質問したような課題があってもいいはずなんですけれども、その部分がお話の中で聞けなかったので、もう一度お聞きしたいと思います。

○出雲農芸振興課長
 プロジェクトの課題でございますが、例えばミカンの木の剪定やイチゴの葉かき作業は篤農家の皆様が頭に描いている仕上がりの像が違いまして、それを今の技術で具体化する、映像で残して伝える部分が難しいという課題がわかっています。
 そういった意味では、産地のレベルアップとして新規就農者、それから雇用者の皆様に使っていただけるものにはなっているんですが、かなり高度なところを今の技術で蓄積していくことはちょっと難しいと考えているところでございます。

○鈴木(澄)委員
 非常に大変な事業かなと思っておりますが、やはり篤農家でも担い手がいなくて、それが消えてしまうことを今回のこの事業で支えていく、継承していく目的もあろうかと思いますので、技術レベルでいうとまだ初期の段階かなと。失礼な言い方ですけれどもそういう感覚でしかとれなかったので。
 つまり、AI学習はまさにそういうところだと思いますので、いろいろなばらつきがある中で平準的なところを捉えて仕組みの中に取り組んでいくところについて頑張っていただきたいなと申し上げたいと思います。

 次に、委員会資料58ページの新たな普及指導体制による農業経営体の支援強化であります。
 そこに、事業展開をするとあり、その下に取り組みの概要も書かれています。これまで農家の支援ということで農政の最前線である農林事務所は対応をとってきたはずなんですね。これが新しい体制になって、強調しているのは経営支援班ができてビジネス経営体の伴走型支援――外部専門家との連携をするなど書かれていますけれども、これによって農家の皆さんを今まで支援してきたものがどう変わるのか、これまでとどう違うのかについてお聞きしたいと思います。

○細谷農業戦略課長
 農林事務所の体制について、具体的に今までとどのように変わるかについてお答えいたします。
 農林事務所の体制につきましては、昨年の4月より試行的に中遠農林事務所に伴走型で支援する4人の専任チームを設置して1年間やってまいりました。この4人のチームの結果ですが、法人化、あるいは補助事業を活用した規模拡大など、個々の経営体に寄り添って支援をすることで大変な成果が得られたと考えています。この体制を来年度から賀茂農林事務所を除く6事務所に広げていきたいということで、34人の専任者を置いて個々の経営体を個別に課題解決まで導いていく体制にします。
 今までと違う点は、今までも農林事務所は重点支援経営体ということでやってまいりましたが、それぞれの担当がほかの業務を抱えており、十分に個々の経営体に入ることができていないという反省点から専任体制でやってまいりたいと思っています。

○鈴木(澄)委員
 わかりました。農林事務所の皆さんは本当に多忙で、私たちもよくお世話になっていろんなところを見せていただいたり、お話は聞くんですけれども、まさに農家の現場をしっかり支えるために試行的にやった結果、専従班をつくってというお話でしたので、従来からの県のかかわりを強くしていきたいという思いだと思います。
 農家の皆さんは特に、職員の皆さんとアイコンタクトで現場でいろんな話をする中でいろんなものを培っていく、情報を得ながら、あるいは職員の皆さんも情報を集めてということでその仕組みができていくのかなと。なかなか書き物、マニュアルどおりにはいかない部分があろうかと思いますが、まずは専従で対応してくれるのは非常にありがたい話でして、ぜひともこれは強化していただきたいなとお願い申し上げます。

 次の質問に行きます。
委員会資料61ページです。
 美しい茶園deつながるプロジェクトの取り組み状況であります。
 このプロジェクトは、中山間地の茶園景観と茶業の振興を後押ししてきた事業で、具体的には地域資源の魅力の情報発信、ツアー、人材育成、新商品開発やブランド等の取り組みを支援するということで、県内7カ所がモデル地域となって進めてきたとあります。
 私の地元の富士市大淵笹葉はその1つで、毎年5月3日にお茶まつりを開催して美しい茶園と富士山の景観を売りにして、多くの観光客もみえていますし、5月3日だけではなくてほかの日にも海外からも多くの人がいらっしゃって、海外誌の「フォーブス」に紹介されたりオーストリアの大使館がこぞってプロモーションをやっているという話も聞いております。この事業としては非常にすばらしいと感じております。
 ただ、この美しい茶園deつながるプロジェクトの中には茶の振興の部分も当然あるはずなんですけれども、私が現場に行ってみると茶の振興というよりは観光振興的なものが強くて、本来の目的である茶の振興が道半ばかなと感じておりました。
 そこに対して、今後どう取り組んでいくかなという中で美しい中山間地域でつながる推進事業費が新規で出ております。これは私の解釈ですが、お茶からお茶以外の農産物にも広がりましたよという話と、それから最初7つだったモデル地域が5つの地域になって、先ほど申し上げたように茶の振興でまだまだこれからやらなきゃいけない、残されている課題の中で今回の新しい事業がどうそれを補完するのか。あるいは今までのこの美しい茶園deつながるプロジェクトがまた少し形を変えながら継続していくのか、お聞きしたいと思います。

○遠藤地域農業課長
 お答えいたします。
 5番委員御指摘のとおり、このプロジェクトをやることによって各モデル地区が誘客、観光客なりを取り込むことには成功しておりますけれども、まだそれが茶業振興まで至っていないのは我々も同じ認識でございます。
 なぜかと言いますと、今来ている方たちはやはり観光客的要素が強い。一度来てそれっきりになってしまっているということで、来年度からの事業では来ていただいた方がさらにもう一度来る、もしくはサポーターになるような形にしていきたいと。ですから地域の農業者などがお茶だけでなくほかの作物、景観などを含めて地域の魅力を来た方に説明し、サポーターになっていっていただくことによって茶業なりその地域を振興していきたいと考えております。
 お茶からほかの作物に変えるということではなくて、お茶も含め他の作物、本県には中山間地域にワサビとかソバとか魅力のあるものがあると思っておりますので、それも含めて5カ所のやる気のある地域を選んでいきたいと考えております。

○鈴木(澄)委員
 わかりました。お茶も含めてということなんですけれども、今ある7つのモデル地域について、先ほど冒頭でお話がありましたように、成果としてはお茶の振興がまだまだだという御理解もされているようなんですが、お茶を含めた新しい農業振興を考えたときに7つが5つになるということだと、今までやってきた部分について数が減ったという考え方もありますし、お茶以外のところもかかわっていくわけですから、お茶を含んでいたとしてもこの資料上から消えるところがあるのかなという懸念もあるわけですので、そこを確認したい。

 それから、リピーターやサポーターという話でした。要は地域の人たちが今までの事業の中身をどう認識して、行政だけではなくて御自分たちが地域の魅力を発信するかという切りかえの部分をちゃんと認識していただきながら御協力を求めないと、ただ言葉としてはこうしましょうと言っても、ベースになるところが揺らいでいると行く側にしてみればリピーターにはなり得ないと思うんですね。そこらについて農家の皆さんとどんな形で話を詰めていくのか、2点目の質問としてお聞きしたいと思います。

○遠藤地域農業課長
 まず、現状の7地区について来年度以降どうするかという質問です。
 聞いている中では、継続して取り組んでいきたいところ、自主的にやっていきたいところがあります。例えば両河内が後者に当たるわけですけれども、そこは今回3年間やったことによってある程度人を集める手法を身につけたから、これから自分たちがやっていこうという意見を聞いております。また農林事務所自体が中山間地域の振興を業務に持っておりますので、今回5地区に入らない地区が仮にあったとしても、見捨てるというわけではなく中山間地域の振興の一環としては支援をしていくことになろうかと思っております。

 あと、5番委員御指摘の認識の問題です。
 やはり、推進組織を明確にしていくことが大切かなと思っております。例えば大淵につきましてはNPOをつくると聞いております。そうすることによって自身たちの目的意識がはっきりしてきて、従来とは違う形になっていくのかなと。そういうふうに農業者の意識等も変えていきたいと考えております。

○白井経済産業部理事(茶と食の振興担当)
 遠藤地域農業課長からの説明に補足させていただきます。
 美しい茶園deつながるプロジェクト事業が3年間を経過して新たなものにチェンジするわけですが、お茶を振興する事業はほかにもございます。
 地元の進捗状況もさまざまで、これをもとにかなり活性化して体制が整ってきたところもありますし、このままどうなるのか心配のあるところもあります。遠藤地域農業課長が説明したとおり、要望を聞きながら、この事業だけにこだわらず別な事業をうまく組み合わせて、お茶を振興する事業は別なものがございましてこれはどちらかというと観光とタイアップして茶園景観を売り込みしながらお茶そのものを売り込む考え方でありますが、お茶そのものを使いながらお茶のブランディングをする事業もございます。そういう事業もあわせて総合的に地域の振興につながるよう進めていきたいと思います。
 5番委員の地元である大淵地区は、ここまで来た上で次のブランディングの、お茶の売り込みについては次のステップに入りたいというところで、例えば富士山とお茶をうまく合わせたブランディングということで、別の体制をつくって、我々としても縦割りにならないで一体的に検討しながら、地元の農林事務所と一緒に進めていきたいと思っています。

○鈴木(澄)委員
 白井経済産業部理事から非常に力強いお話をいただきました。あとは行政だけではなくて、地元がしっかりとそれにお応えできるような体制も必要かなと思っております。
 地域と言っていますけれども、実はその地域のさらに外側でお茶のブランド力を高めるために、例えば若い担い手や、紅茶に挑戦する人とかもいるのでそこを入り口として、地域を特定したことによって外から応援団が入ってそのブランド化に拍車をかけるような体制が十分とれていないという認識も持っているので、私たちも地元の農家の皆さんともかかわりながら伝えていかなきゃいけないかなと思いますので、ぜひとも御支援をお願いしたいと思います。

 次の質問に行きます。
 最後になりますが、委員会資料69ページです。
 そのほかには、71ページの県産材の利用拡大と経済産業ビジョン2018〜2021の143、146、151ページあたりに書かれているものを包含しながら質問したいと思います。
 県産材の増産と安定供給の実現、並びに利用拡大も含めて質問したいと思います。
 増産と安定供給は、県産材の増産と県内の木材加工施設への安定供給を掲げています。現状と課題では、さまざまな支援により丸太生産量は毎年増加していますがさらなる増産が必要であり、県内加工施設への丸太の供給は着実に伸びていますが十分供給できていないということでした。平成30年度の取り組みにおいては、県産材の流通の最適化について森林組合等の丸太生産者と木材加工施設との間で協定に基づく取引拡大を指導し、需要に応じた安定供給を促進するとしています。
 経済産業ビジョンの143ページでは、安定供給体制の確立について具体的に触れていますが、大量供給先である合板用についてのみ触れているだけです。課題解消のための取り組みは情報共有化を行うプラットホームの構築ということで触れていますが、同じく146ページでは具体的に説明しここではA材からD材までの全ての活用を促進するとしています。
 さらに、151ページでは取り組みの方向性として多様なニーズに応える製材加工施設を整備するというくだりがあります。現状はA材が伸びずB、C、D材の需要が伸びているということで、本来は価値の高いA材の活用が伸びることが重要で、さらなる利用拡大の推進が重要だと考えています。
 また、A材の加工を行うのは地元の製材所でありましたが、木材消費や価格の低迷等で消滅していき一部の施設が残っているだけです。このA材を中心に取り扱う地元の木材加工施設には原木丸太が集まらなくて仕事ができない、経営に悪影響が出始めていると聞いています。その原因の1つはB、C材の需要が伸び、A材もそちらにまじって流れていくことがあるということでありますけれども、経営規模が小さいだけに競争力は低いと。消費拡大に向けて幾つかの施設が合同で実施するなどの取り組みも、この間の新聞等には載っておりましたが原木確保というのはやはり課題が大きいかなと考えています。
 それで、先ほど触れた県の取り組みの中に多様なニーズに応える製材の加工施設整備と記述されておりますけれども、経営の厳しい状況では設備投資は困難です。規模の小さな加工施設の将来は見通せない現状があると認識しています。
 そこで質問ですが、県はこのような現状を捉え地域にあるA材を主に加工する施設の課題についてどのように認識し、対応を考えているのかお聞きしたいと思います。

○清水林業振興課長
 地域の製材工場の加工供給体制の強化についてお答えいたします。
 これまで、地域の中小の製材工場につきましてはA材の需要を担っているということで供給体制のための施設の新設、拡充について国庫補助事業を活用するなど支援してきております。具体的には無垢材の製材ラインの整備、木材乾燥機の導入、さらに製品を保管する倉庫の設置の支援を進めてまいりました。
 県内においてA材の需要を担っている中小、地場の製材工場が本当に重要な役割を果たしていると思いますので、引き続いて供給体制の施設整備の支援を継続してまいりたいと考えております。

○鈴木(澄)委員
 今まで、地域の製材所の果たしてきた役割が特にA材に絡めていえば非常に大きかったし、これからも大きいだろうなと考えています。
 その整備の過程の中では、国からの補助も含めて整備をやってきたけれども、それが現在の木材流通の環境の中でどのような位置づけになるのかなと考えたときに、例えば施設が古くなったから更新をしたい、しかし原木が入ってこない、結局売るものがないという形になっていったりすると。やはり収入がないわけですから新しい投資は基本的にあり得ないので、立ち上げのときには恐らく木材に対する国も含めた中での方向性を示したはずなんですが、現状ではそれは確かに一企業として考えたときには問題はあるにしても、木材加工の企業がどんどん減っていく現状の中ではやはり何かしらの県としての対応、後押しをしていかないとこれから減っていく方向はあるんじゃないかなと危惧を抱いています。
 例えば、私の地元である富士市は富士ヒノキですけれども、富士ヒノキとブランド化しているもとになる原木が伊豆半島まで含めた周辺にある中ですが、平成13年か14年ごろ私が市議だったころの一時期では、三重県のほうに木材がいってしまって加工されて、違う名前でそれがこちらに供給されてくることもあったし、やっぱり地元で加工するがゆえにそのブランド化は可能だと思うんですね。これはA材だから、B、C材だからと一緒くたに考えないで、A材の位置づけは非常にそういう意味で大きいと思っています。
 先ほど申し上げましたように、A材は県としてもビジョンの中でもこれからしっかりとやらなきゃいけないんだ、特に販路の確保ですけれども、それが形となってあらわれる間に零細な木材加工業者は疲弊していきますので、どこかでなくなってしまうこともあるんじゃないかなと非常に危惧しています。
 そういう意味で、県議会の農林水産・観光交流特別委員会からもA材について特に強く、市場開拓等も含めて意見書として取りまとめて出ていますので、そこらを含めてA材にかかわるところの川上だけではなくて、ブランド化をどこまで担うんだというところをしっかりと議論していただきながら支援体制をつくっていただきたいと申し上げて質問を終わります。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp