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委員会会議録

質問文書

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平成28年2月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:平賀 高成 議員
質疑・質問日:03/08/2016
会派名:日本共産党静岡県議会議員団


○平賀委員
 どうぞよろしくお願いします。日本共産党の平賀高成です。一問一答方式でお願いします。
 篠原経済産業部長を初めとしまして、いろんな局長の御報告を受けまして、ファルマバレープロジェクトを初めとしてフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトやフォトンバレープロジェクトの取り組みなども県内で本当に多様な形で進められているなと思っています。
 それで、私は特にこの経済の問題について、数の点でいいますと99%を占め、雇用の問題でも7割を占める中小零細企業の人たちの予算が一体どうなっているんだろうかというところが、やっぱり気になっているんです。
 そういう意味で予算を見ますと、静岡県の商工費が121億1244万4000円計上されております。原発周辺地域企業への電気料金の一部助成の9億5541万1000円を除くと、実質的には111億5703万3000円になります。その内訳は、新成長産業分野育成推進費13億1950万円、それから企業立地対策費が40億円、中小企業向けの制度融資促進費22億2441万8000円、中小企業経営力強化支援事業では商工会議所や商工会、静岡県商工会連合会などの各種団体への補助金が27憶7088万円計上されています。それ以外の商工業費の予算は、わずか8億4223万5000円。これは商工業費の大体8%弱ぐらいになるんですかね。ですから、これでは本県の経済を支えている中小零細企業の皆さんのさまざまな活動を支えていくにはなかなか不十分ではないのかなと思っていまして、この点でもっと予算をふやすべきではないのかなと。そういう一番大変な人たちのところにこそ、やっぱり手厚い支援が必要なのではないのかなと思いますが、お考えを伺いたいと思います。

○渡辺経済産業部商工業局長
 商工業局費はことし121億円で、先ほど6番委員からクラスターの話とか成長分野の話とか数字を伺いましたが、県のやっている商工業対策は、基本的には中小企業で全てでございます。先ほど22億円という話がございましたけれど、中でも中小企業が一番頼りにしているのは制度融資でございまして、それと商工会議所の経営指導員等の活動費、それから経営革新の支援という形も計上させてもらいまして、専ら中小零細企業向けの事業費が121億円のうちの67億円と我々は認識しております。
 一方、ファルマバレープロジェクトとか新産業集積クラスター関連とか成長分野の兼ね合いについては、大体まとめますと54億円ぐらいでありまして、比率からすると中小零細向けが67億円で全体の55%、それから成長産業とかクラスターのような新分野に関しては45%ぐらいの比率で今予算が組み立てられております。それはそうすることを決めてるわけではございませんで、あくまでも中小企業の皆さんの要望を踏まえて、我々は事業を組み立ててきておりまして、それから県がプロジェクト的に進める新しい分野についても継続してやっていく。2本立てで予算をやってきておりまして、この傾向はことしに限らず過去も大体そのぐらいの割合で、中小企業向けが6割で新産業が4割ぐらいの形で今までも推移してきたという形がございます。
 実際のところ、特に制度融資でございますけれども、2万8000件の企業の方からお借りしていただいているんですが、そのうち零細と言われる1人から9人ぐらいの事業規模の方が2万3000人も借りているということで、比率からすると90%はいわゆる零細の企業の方にお借りしていただいている形が現実でございまして、それはそれだけの需要に我々が応えて、制度融資の枠を取って予算計上させてもらっているということがございます。
 もう1つ、例えば経営革新とかも一生懸命取り組んでございますけれど、例えば経営革新計画の実際にどのぐらい零細の方が申請されて承認されているかというと、大体6割の零細の方が承認されている形でございまして、我々としては十分零細企業対策も規模的にもとっているし、また内容的にも十分対応していると思っておりまして、そこを中心に、それから新しいプロジェクトも両輪でやっていかないと県の経済の発展もなかなか難しいものですから、そういう意味で両方にらみながら予算をつくっているのが現状でございまして、決して数字が少ないということはございませんので、ぜひその点だけは申させていただきます。

○平賀委員
 ありがとうございました。
 私もいろんな交渉などでお話をするわけですけれども、やっぱり中小零細企業の皆さんへの対策という点では、制度融資といろんな仕事の上での相談活動といいますか、商工会議所なんかを中心にしてやっていらっしゃることはよく承知しているんです。ただいろんな融資制度があっても借りたら返さないといけないし、融資を受けることさえもなかなかできない実態にあることをよく理解していただいて、つかんでいただいて対応していただけたらなと思っています。

 次に、県内経済の現状認識について、きょうも報告事項で県内の景気状況について緩やかに回復しているというお話がありまして、これは提出案件の概要及び報告事項20ページのところにあります。私は緩やかに回復しているというお話を伺うと、どうも違和感があって、本当だろうかと思うんです。大体いろんな人と話をしても、景気がよくて困っているというか笑いがとまらないみたいな人は今ほとんどいないのが実態じゃないでしょうか。
 それで、ここに内閣府の月例経済報告もあわせて載っているんですが、県の経済状況の認識は、こういうのも参考にされているんでしょうか。変なことを聞くかもしれないんですけれど、大体そういう思いがあるもんですから、一度ちょっと聞いてみようかなと前々から思っておりまして、ぜひ篠原経済産業部長にお聞きしたいと思います。

○長田管理局政策監
 今、6番委員に見ていただいた委員会資料は、私たち静岡県の経済産業部が静岡県月例経済報告ということで、レポートにコメントを付して出しているものをベースに作成した資料であります。
 私たちが月例経済報告をつくっていくときにはデータを全て集めまして、それから国の関係機関、いろいろなところから発表されていますデータを並べまして、大勢で議論をしながら決めていくところになります。ですので、お尋ねの他の機関、国が発表したもの等を参考にしているかというのは、まさにそれを参考にして作業しているところであります。

○平賀委員
 この間、景気は緩やかに回復していることを政府自身もずっと発表してきました。それで例えば2014年の1月から3月期にGDPが535兆円ありましたが、これが4月から6月期には525兆円に減って、さらに7月から9月期には521兆円に2期連続で減ったんです。そのときも国全体のGDPが減っているときにやっぱり緩やかに回復基調だということを20カ月ずっと言い続けてきたわけですが、しかし締めてみたら逆にGDPは減ったままだったということがあって、やっぱり政府のこういう経済報告についても、よく吟味してみる必要があるなと。特に今首相は、雇用は回復したんだとかふえてるんだと言いますけれども、中身を見たら例えば非正規の雇用がふえて、逆に正社員が減っている状況もあるし、株が上がったといいましても逆に私たちの年金で買い支えている状況がありまして、ですからそこの辺をよく見ていく必要があるのではないのかなと思っているんです。

 それで同じような問題で、今TPPが大筋合意となって、先日県の影響額の試算と農協中央会の試算が出まして、これが大きく違っていたことが新聞で報道されておりました。一体なぜそういうことが起こるんだろうか聞きたいと思います。

○平松農林業局技監
 JAグループのTPPによる影響試算と県の試算の違いについてお答えします。
 まず、JAグループと県の試算とでは前提条件が違うということで、この違いがあらわれたということです。県では、平成27年12月に国が公表したモデルを参考にして試算をしております。農産物の競争は価格だけではなくて品質とかそういったもので加味されるということで、県の試算では本県の農産物の品質を考慮して、輸入品と競合するものと競合しないものと仕分けした上で、県で持っている統計数値を使って計算しております。
 それから、もう1つ違いは生産量の問題なんですけれども、これも国のモデルの考え方を使いまして、県では体質強化対策ですとか経営安定対策といったものを講じて、引き続き生産量は維持されるという国の考え方を評価して、そういう形で今後いくだろうと、生産量に影響はないということで試算しました。そういったこの2点がJAグループの試算との違いにあらわれたと考えています。

○平賀委員
 私も事前にいろいろ教えていただきまして、ありがとうございました。
 それで今のお話ですと、国のそういう試算を参考にしながら県独自の検討をして出しているということと、それから競合する部分と競合しない部分を分けてきちっと対応するんだというお話だったと思うんです。それで国は影響評価の問題で生産額10億円以上で、なおかつ関税率が10%以上のものに限定して19品目で試算をしましたという報告でしたね。
 それでなぜそういう限定をするのか、例えば今の10億円の出荷額と10%以上の関税のところに限定するのかということなんですけれども、私はこの限定から外れる部分に一体どういうものがあるのかを調べてみました。そうしましたら、国内生産者が心配している今回のTPPで、即時ないし関税撤廃となる野菜にはバレイショやトマト、タマネギ、ニンニク、ネギ、カリフラワー、芽キャベツ、ブロッコリー、ざっといくんですけれども全部で25品目あります。こういうものが対象外になっているんです。
 それから、さらに牛肉や豚肉の問題で調整品というものがありますね。これはハムやベーコンに加工したものが調整品ですけれど、例えばこういう調整品は対象外になっています。驚くべきことに、牛肉や豚肉の調整品は2014年には牛肉調整品58万トン、豚肉の調整品が85万トンも輸入されているんです。それは牛肉輸入量の73万8000トンの78.5%、それから豚肉輸入量121万6000トンの70%に及ぶ輸入量です。これだけの調整品を審査の対象からといいますか影響額の評価の対象から外して試算しているんです。ですから、そもそもそういう試算は、本当に実態を正しくつかむことができるんだろうかと思うんです。
 そういう試算をやって、引き続き生産や農家所得が確保されて、国内生産量が維持されるものと見込めると県は試算されているわけですけれども、私はもっと実態に迫るべきではないのかと思うんですよ。しかも関税が下がるんですけれど、下がった分だけ当然価格が下がっていきますよね。だけどその下がる分については2分の1しか認めないといいますか、そういう前提に立って影響を調査しているわけですけれども、これもやっぱりなぜ2分の1になるのか、この点についてちょっと説明していただけますか。

○平松農林業局技監
 試算をしなかった6品目以外のものについてです。
 例えば、野菜ですと今幾つか言われた品目の中で輸入品で来るのは、TPP加盟をしていない非加盟国の中国ですとか、そういうところからの輸入品が多いものですから、今回のTPPの合意の対象から外れていますので、そういったものは影響から外す。それから特に野菜の場合ですけれども、本県の野菜は生鮮品で、生でスーパーで売られて消費者に買っていただけることになりますので、品質的に確実にここは差別化されているので、そこで輸入品に取ってかわることは想定できないということで、影響はない形で考えております。
 それから、価格が2分の1に下がるというお話ですけれども、競合するものはどう試算したかといいますと、競合するものについては関税が相当分は下がることにしています。例えば10%の関税が最終年度になくなるとすれば10%分関税が下がる、価格が下がるという試算をしておりまして、2分の1という形のものは競合しない部分についてある程度価格が引っ張られることで、その半分ぐらいだろうということで、国からも教えてもらってその数字を使っておりますので、そういった中で試算させてもらっています。

○平賀委員
 国はそう言われておりますけれども、私はやっぱり実態を本当につかむんでしたら、そもそも影響が少なくなる前提条件をつけて試算するべきではないと思うんです。
 それで、例えば3月7日付の朝日新聞では、重要品目の中に入っておりますが米の影響はゼロだと、本当なのかと新聞の記事でも出ていまして、青森県では独自の試算をやっているという記事が出ていますけれども、やっぱり本当に農業を自分たちの県の産業としてやっているところでいえば、政府の試算は非常に実態を無視したものだと言わざるを得ないと思うんですね。

 県の畜産でいいますと、TPP対策として畜産クラスター事業を始めましたね。この概要といいますかポイントは規模拡大、それからブランド化。地域が一体となっていろんな効率的な生産をすることができる事業計画をつくったところには、国が2分の1の財政的な支援をしましょうという事業が始まっているわけですけれども、この点について大体概略はどういうものなのか。
 それから、今畜産クラスター事業をやろうということで、県にどれだけの協議会があり、つくった事業計画がどれぐらい認められているのか、この点について伺います。

○浅倉畜産課長
 まず、畜産クラスター事業の概要でございます。
 畜産クラスターとは、地域の畜産の収益性向上に向け、畜産関係者が有機的に集結、連携した体制を言います。地域の畜産農家や農協、飼料会社、行政などが連携しまして、まずは畜産クラスター協議会を設立いたします。その中で地域の政策課題とか収益力を向上するための取り組み、それから連携体制を策定しましてクラスター計画をつくります。この計画について県が認定することになってございます。このクラスター計画の中で、中心的経営体に位置づけられました畜産農家については、施設整備とか、機械のリースなどの関連事業の活用が可能となります。この施設整備につきましては県の補助金として交付されますが、機械リースにつきましては、県を経由せずに直接助成される制度となっております。
 それから、現在の協議会でございますが、県内で9つの協議会が設立されてございます。それ以外にも、協議会設立に向けて、今検討しているところが何カ所かございます。

○平賀委員
 今、協議会が9つあって、去年とことしで実際に国で事業計画が認められて支援を受けている件数を伺います。

○浅倉畜産課長
 先ほど申しましたように、2つの事業に分かれておりまして、まず施設整備でございます。施設整備につきましては、平成27年度2件が実施中でございます。来年度は2件が計画をしてございます。機械リースにつきましては、今年度46件が採択されておりまして、現在のところ来年度は76件の要望が上がってございます。

○平賀委員
 今の実態について、どうそれを評価されているのか伺います。

○浅倉畜産課長
 今までの例を見てのとおり、まず畜産農家が取り組みやすい機械リースにつきましては、かなり先行していると思っております。それから施設整備については、いろんな計画、それから資金の確保等がございますので、各農家がそれについて検討しておりまして、出先の農林事務所でもその支援をしている最中でございます。今後、畜産農家が施設整備等を計画する際は、計画実現に向けて支援していく所存でございます。

○平賀委員
 ありがとうございました。
 実際に、畜産農家の人たちは、今の畜産クラスターや政府のTPPに大筋合意をしたもとで、どういう方向に行けばいいのか疑心暗鬼で見ているのが実態ではないでしょうか。それで私も畜産農家の方たちにいろいろ聞いてみまして、例えばAさんという61歳で120頭乳牛を飼っている方がおります。この方はフリーストール方式で牛を縛らないで自由に動けるようにして、それで搾るのはパーラー方式で柵に誘導し、牛が自分で入ってきて、あと機械で搾るという方式の設備を15年前につくったと。外国からの輸入で最近は円安でどんどん高くなっていて、頭数をふやしてもなかなか利益率が悪くなっております。奥さんと息子さんとそれから従業員、本人も含めて4人でこの畜産をやっていまして、120頭の規模ですけれど、これぐらいの規模でしたら何とかやっていけると言っていました。
 実際に乳牛は3年ごとにサイクルがあって、3年たつと老廃牛で肉牛として出すんですね。牛乳を搾るものですから常に牛は妊娠していて、毎年120頭なら120頭分の子牛が生まれるんですけれど、これも肉牛として出荷すると。ですから乳を搾って、大体1頭でこれは年間94万5000円、それから餌代が1日当たり1,710円で年間62万4150円、大体1頭当たり7万円の利益が出るそうです。ですから、120頭で840万円ぐらいあって、それで毎年40頭買い入れをするんですね。それが今上がっておりまして1頭75万円ぐらいしますので、40頭といいますと3000万円ぐらいありますので、大体差し引きすると1600万円行くか行かないかぐらい。それを4人で割ると大体300万円から400万円の間ぐらいという状況を話していました。
 もう1人、Bさんという人は牛の肥育農家で84頭を飼育していると言っておりましたが、毎月4頭買い入れをして4頭出荷していると。10カ月の子牛を1頭71万円で長崎から買ってくると、運賃だけで消費税含めて1頭2万5000円かかり、それがざっと80万円ぐらいになる。20カ月餌を食べて大きくして、1頭の餌代が40万円かかるそうですね。120万円ぐらいで売るそうなんですけれども、本人が言うことには、この5年間ぐらい所得税を払ったことがないと言っていましたので、なかなか厳しい状況にある。ですから今の畜産クラスター事業で規模拡大をやって、なおかついろんな地域との協同でいろんな事業計画を立ててやっていこうということなんですけれども、今のような状況ではとても怖くて、そういうお金を借りて規模拡大はなかなかやれないのだと言っていたんですね。
 それで、今、規模拡大と言いますけれども、例えば規模をふやしたらそれだけ収益、利益率が上がるのかといいましたら、逆に規模拡大をすると下がっていくことがありまして、例えば20頭未満といいますと、これは農業所得率が11.7%、30頭から49頭までが18.5%で、例えば100頭以上になりますと12.7%で、規模拡大をしてもそれだけコストがかかって、なかなか思うように収益が上がらないというのが現地の実際にやっていらっしゃる方たちの意見でした。ですから、実際に畜産クラスターで事業計画を立てる場合に、例えば畜舎といっても、大体相場でいいますと60頭、70頭でも1億円ぐらいかかるそうですね。それだけの規模をやっていこうとしたら本当にたくさんの資金が要るわけで、これを背負って返しながら、あと一体何年やっていけるんだろうと。
 こういう農業や畜産もそうなんですけれども、今、主力は60代、70代ですよね。ですから本当にやれる人は極めて限定されていくと思うんですね。私はこの前、実際に畜産クラスターをやるに当たって、畜産をやっている人たちの年代構成、例えば20代に一体何人畜産をやっている方がいるか。30代は何人、40代は何人、こういう資料があるんですかと聞きましたら、そういう資料の統計はとっていないということですけれども、これは本当にそうなんでしょうか。

○浅倉畜産課長
 統計という意味でいくとございません。
 ただ、農業の担い手となります認定農業者につきましては、市町が経営改善計画等をつくる際に、いろんなデータを集めてございますので、その計画には農林事務所も技術支援してございますので、必要とあればそういうところから出た集計という形はできます。ただ統計数字という意味でいくと、農業全般ではありますが、畜産に限ってという形ではございません。

○平賀委員
 今、畜産に限ってということで言われていましたけれども、2015年の農林業センサス結果の概要(概数値)、それから2010年の世界農林業センサス結果(確定値)という資料をいただきましたけれど、これを見てもどういう作物をつくったり、どういう畜産などをやっているのかという業種ではなくて、全体で年代ごとの人数があるわけで、ですから本当にこういう巨額の設備投資などがかかる事業について、やっぱりもっと地元の実態を正確につかめる資料に基づいて事業計画などを考えたらどうなんでしょうかと、私はいろいろ話を聞いたり、実際にやっている方たちの意見などを聞くと思わざるを得ないんです。
 この畜産クラスターの問題で、農家の人たちが思っているのは、規模拡大じゃなくて、もっと適切な規模でそういう畜産や農業をやれることにならないのかというところが、大きな問題として言われるんですね。大規模なことをやっていても、しかし実際に小規模に切りかえることも政治の責任でやってもらえないだろうかと言う人もおりまして、実際に現場の人たちの望んでいることと、今政府がやろうとしている、県もやろうとしている規模拡大はなかなか大変なことではないか。これは要望ですけれども、もっと実際に現場の人たちの願いが通るような、そういう畜産業などの事業も考えていただけたらとお願いしておきたいと思います。

 それで、次に県内の中小企業対策について伺います。
 報告でもありましたけれども、小規模企業振興条例で今年度中に、静岡県も策定をいたしますという報告がありました。それで現在、全国では39道府県、145市区町が制定をされまして、都道府県段階で制定されていないのは、我が静岡県を初めとして、栃木県、山梨県、東京都、岐阜県、広島県、高知県、佐賀県の8都県と今なっています。それで、今年度中に振興条例をつくるということなんですけれども、具体的に一体どういう中身をつくっていこうとされているのかもうちょっと詳しく報告をしていただけないでしょうか。

○野村経営支援課長
 本県が制定する条例でございます。
 小規模企業振興基本法の基本理念であります小規模企業の持続的発展を踏まえたものにしたいと考えております。法律では、多様な需要に応じた商品、サービスの販路拡大、創業、事業継続をにらんだ個人の能力の発揮の機会の創出、地域ブランドやにぎわいを創出するといった事業が示されております。そういうことでありますので、今後このような施策が行える内容とする条例にしたいと考えております。

○平賀委員
 全国では、この振興条例がいろいろつくられてきておりまして、いろんな特徴があると思うんですね。5つぐらい特徴があることが全国のいろんな商工団体などの調査によっても明らかになっているわけですけれども、例えば1つは小規模企業振興基本法を踏まえて小規模企業についての位置づけがなされている。例えば新潟県の条例でいいますと、前文で特に経営資源の確保が困難な小規模企業においては、成長発展のみならず事業の持続的発展を図ることが重要であると述べて、とりわけ小規模企業の振興を通じて、地域経済の活性化及び県民生活の向上に取り組むことを決意し、この条例を制定するということで、位置づけがぱしっと書かれた条例となっているそうです。島根県も同様の条例がある。
 2つ目に、小規模企業振興基本法に倣って、小規模企業に関する基本的施策を規定しているという特徴があります。基本的施策として、どの条例でも金融機関や大学研究機関の役割が規定されるようになってきているのも特徴です。
 それから3つ目の特徴として、基本計画を策定する上で、審議会などを置く条例もふえていまして、これは福岡県とか三重県でそういった審議会をつくっているわけですが、三重県では地域ごとに推進協議会の開催、その他必要な措置を講じるとしておりまして、審議会の設置は住民や業者の要求に基づいた施策を具体化していく場となることが報告されております。
 4点目には、これまでの企業誘致のような外来型ではなくて、内発型や地域内の経済循環の創出など、内発型の発展を志向するものもふえていることです。これは長崎県の条例第15条で県内経済循環の促進を掲げて、県や市町村、県民、企業に県内経済への波及効果を考慮して県内製品や県産品の積極的な活用を呼びかけております。
 5つ目に、制定後の条例の普及と活用について、取り組みの状況を点検して次の施策に生かすサイクルを明確にしている例もふえてきています。これは福岡県の条例では3年ごとに見直しを定めています。こういうふうに全国で取り組まれておりますので、ぜひそういう中身を静岡県の条例に反映させていただきたいと思いますが、この辺はどうでしょうか。

○野村経営支援課長
 現在、小規模企業振興基本法を踏まえました11件の条例が制定済みであります。その条例を見ますと、6番委員御指摘の内容が含まれておりまして、これは他県の条例を参考にしながら今後の小規模企業の振興につながる施策展開について、なるべく具体的に取り組めるように努めたいと考えております。

○平賀委員
 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 次に、小規模企業を元気にするためには、一体どういう対策が必要なのかということで、これは全国で小規模企業振興条例などによって、審議会などの議論を通じて明らかになっている小規模企業者の要求は、1つは事業の持続への支援で、2つ目は仕事の確保、3つ目に後継者問題、この3つが三大要求となっていまして、この要求に正面から応えることが必要であると思いますけれども、この点についてどうでしょうか。

○渡辺商工業局長
 今言ったような事業の承継等、新しい課題があるのは注視しておりまして、今回の条例に関してはその時代に合った施策、それから事業者が実際に必要とされるものを盛り込んだ形で、まさしく理念条例ではなくて、本当に実効性のある施策を打てる条例にしたいと思っておりまして、現在商工業局内で意見をまとめ、それから今後関係団体の皆さんにもいろいろ意見を聞きながら、まさしく小規模事業者に実際に支援できる内容の条例にしたいと考えております。

○平賀委員
 ぜひよろしくお願いします。
 今、中小零細業者の人たちの三大要求が出ておりますが、実際にこの三大要求を解決する、いわば特効薬は一体何なのかということになりますが、これはやっぱり仕事があるということなんですね。仕事があって、収入があるという問題は後継者の問題とも連動していまして、例えば自分たちの事業で年間所得が300万円未満の方で後継者がいる方は、18%ですね。年間所得が300万円から400万円の人たちで後継者のいる方は、24%いると。1000万円以上の年間所得がある方は後継者が41%いるということで、やっぱり仕事があり、事業が存続できるのだったら、こういう後継者だって出てくるわけなんですよね。
 私は今、静岡県の経済をもっともっと元気にして中小零細企業の人たちがまさに主役として輝いていけるためには、そういう中小零細業者の人たちに仕事をつくる対策が必要だと思うのですが、静岡県で何か政策があれば伺いたいと思います。

○渡辺商工業局長
 6番委員がおっしゃる仕事をつくるというのが、例えば県が公共事業をやっていないからやるという話ではない中で、今まで我々がやってきた商売を活発化させるのは、展示商談会等をやったり、技術マッチングをしたりして、なるべく商売の機会を設けるという形、そういう活動に対して支援はやっておりまして、御商売される方は自分で活路を見出すのが基本的な考え方であって、そこにチャレンジする方に環境整備するのが基本的な今までの商工業施策の考え方でございます。やはりそこには機会を与えてもらったら頑張っていただくことを期待して、我々としては基本的には仕事をつくるというか、仕事をチャレンジする場をつくる形で今後とも支援していきたいし、そういう仕事ができる場面をつくる支援をしていきたいと考えております。

○平賀委員
 ありがとうございます。
 私は仕事をつくるときに、これまで静岡県がやってきた耐震補強の工事に30万円とかそういう支援をすることが、新たな仕事をつくっていくことにつながっていくと思うんですね。それでもちろん今言われたような仕事のマッチングでいろんな販路を開いていくことも大事だと思うんですが、しかしそういう新しい仕事を次々とつくっていく点でいえば、今のような制度は大事だと思うんですね。それで、これまでもお話ししてきました、例えば住宅リフォーム助成制度、商店のリニューアル制度、こういうちょっと支援をしてやればいろいろ波及効果も大きくて、いろんな業種の人たちにも波及効果が及んでいく事業を産業政策としてぜひやってもらいたいと思うんですが、この点で篠原経済産業部長にはぜひ展望を語っていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

○篠原経済産業部長
 この住宅リフォームの問題は、これまでも何回も御質問いただきまして、実際くらし・環境部でトータルの住宅対策で所管をしております。我々のところでは県産材の利用ということで、ぜひふやしていきたいとこの対策をやっています。やはりどういう形で仕事、経済の需用をふやしていくか。あるいはどう供給をしていくかという問題をトータルで考えてやっていかないといけないと。我々としては、実はくらし・環境部には私も検討できないかという話はしておりますけれども、限られた財源の中で具体的な需要をつくっていくことをこれからも一生懸命やっていきたいと思いますので、この点については御理解いただければと思います。

○平賀委員
 大体時間も来ておりますので終わりたいと思いますが、ただTPPの問題には実態を正確に握るという点でぜひ独自の努力をしていただきたいということと、もう1つは住宅リフォーム助成制度や商店リニューアルの制度をつくるに当たっても、県産材からちょっと離れて、産業政策としてどういうリフォームでも支援をしていきますという、もっと使いやすくて広がるような制度をぜひつくっていただきたいということを要望して終わります。ありがとうございました。

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