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委員会会議録

質問文書

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令和4年9月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:阿部 卓也 議員
質疑・質問日:10/05/2022
会派名:ふじのくに県民クラブ


○阿部委員
 それでは、分割質問方式でいかせていただきます。
 まず、各委員から出ていますけれども、台風15号関連で幾つかお聞きします。
 まず、先ほど来お茶等の被害が出ていますが、我が会派の小長井議員は全国のワサビの組合の副会長を務めておられて、静岡市内そして川根のワサビの被害は甚大とのことであります。これを把握しておられるか、また把握しておられれば、今後その被害に対する対策はどのようなことを考えておられるかお聞きしたいと思います。

 それから、産業委員会提出案件の概要及び報告事項の79、80ページで関連の被害をある程度まとめておられます。まだとてもこの説明資料にまとめ切らないと思うんですが、経済産業部の所管する、いわゆる保安林及び防災林でも被害が出ていると思っています。どの程度現状被害があったのか、把握している分で結構ですので確認をしたいと思います。
 私の選挙区浜松市浜北区では、高根山の保安林が大規模に崩落しました。ここは複雑で保安林の下には民家群がありますが、保安林の上に高根神社という神社があり築500年の社殿が落ちる寸前まできていますので地目をこれから早急に整理して、直していただくことになると思います。多分、県内には保安林部分だけじゃなく関連、隣接する地域の崩落なんかもあったと思いますが、その辺も把握をしておられればお聞きしたいと思います。

○中村農芸振興課長
 御質問のうち、ワサビの被害についてお答えいたします。
 今回の台風第15号により静岡市葵区内に特に大きな被害が出てございます。状況につきましては情報収集しておりまして、数値もワサビ田での被害、土砂の流入がヘクタール単位で出ていると承知してございます。あと苗が流出したとか、共同で利用しているモノレールが特に長い距離で被害を受けていることも承知してございます。
 それから、清水区内でも発生していると伺っているんですが、こちらの詳細は大変申し訳ございませんがまだ十分に収集できてはおりません。
 対応ですけれども、苗の流出につきましては補植するための支援事業、ただいま林野庁と早速情報を情報を共有いたしまして、対応を取ってもらえないか調整を進めております。あと土砂の流入であるとかモノレール関係につきましても、所管が農地保全課で早速現地の情報を収集して、対応していただいていると伺ってございます。

○大川井森林保全課長
 御質問のうち、説明資料79ページの資料につきましては、9月末時点の数字となっております。2(1)災害発生状況の山地災害の欄を見ていただきますと、台風第15号に関連したものは30件と書いてございますけれども、昨日夕方時点で各農林事務所から上がってきた報告が61件となっております。順次、急ぎ災害の状況を把握し対策を検討したいと考えております。
 御質問の中にありました高根神社につきましても状況を把握してございますので、対応を検討していきたいと思います。

○阿部委員
 それぞれ御答弁ありがとうございます。
 ワサビについても、この保安林についてもそれぞれ早急な対応をお願いしたいと思います。特に保安林は、今日からまた雨が予想されています。二次災害等が起きないように既に対応はしていただいていると思いますが、警戒を怠らないようにお願いをしたいと思います。

 次の質問に入ります。
 台風第15号関連の質問を続けますが、農業水利施設についてです。先ほど5番委員からも質問が出ましたが、実は浜北区に新原下善ポンプ場というポンプ場があります。これは県管理の馬込川と市管理の五反田川が合流する場所にあるんですが、ここは毎回水没いたしますが、今回中に人が閉じ込められて脱出不能になる事態に陥りました。県内、ポンプ場は特に水がたまるところで、それを排水するためにあるんですが、あまりに水量が多くてこういう事態に陥っているところが多くあると思います。
全県でそういうところがほかにもあったかの確認と、人命に関わるような場所については、遠隔操作ももちろんですが、土木や関係市町と連携しなきゃいけない。抜本的な構造、例えば遊水池を設けることもしっかり考えていくべきと思いますが、所見を伺います。

○好田農地保全課長
 排水機場の被害と今後の対策についてお答えします。
 まず、冠水した排水機場はこの下善排水機場以外にもございました。
 下善排水機場につきましては、排水ポンプ自体には冠水による被害はなかったんですけれども、除じん機のベルトコンベアのモーターが故障して、それは市の単費で早急に対応して修繕しております。
 それから、流域の安全度の向上については、河川流域のあらゆる関係者が協働して流域全体で治水対策を行う流域治水の取組にこの区域も含まれてございます。そして排水機場もその一翼を担っており、流域全体で治水安全度の向上について検討を進めていきたいと考えております

○阿部委員
 好田農地保全課長に申し上げます。流域治水の設計はもちろんですが、現場に行くと流域治水の考え方だけではもうどうしようもない状況になっているところが馬込川だけじゃなくて多分県内あると思うんです。それをしっかり把握して、早急に対応を取っていただくよう、人命に関わることですので強く要望しておきます。

 次の質問に入ります。
 今回、静岡県を直撃した台風第15号でありましたが、県内の経済産業部所管の農地や山林等々に多く被害が出ています。かつて令和元年に同じ台風15号ですが、これは千葉県を直撃した台風です。この際、千葉市と千葉県の対応に大きな差が出ました。千葉市は現状把握が非常に早かった。それに対して千葉県は現状把握が非常に遅れて、覚えていらっしゃる方も多いかもしれませんが房総半島は非常に広いもんですから山林や農地等の被害が大分後になってやっと分かった状況になりました。
 千葉市がなぜ状況把握が早くできたかというと、当時は熊谷市長――現在の千葉県知事ですがSNSの発信を双方向できちんとやっておられて、市民の皆さんからのSNSの情報でどこの川があふれている、どこの水田、水路があふれているというのをリアルタイムに把握したと。ところが千葉県はそれができなかったので、この差異が大きく出たことであります。
 その反省を生かして千葉市が今年から、AIを活用したSNSのリアルタイムで解析ができる危機管理情報サービス、アプリを導入しました。こうやって言うと危機管理部門だけに思われるかもしれないんですが、実は先ほど来出ているように、農地の被害等もSNSで送ってもらったり、さっきのポンプ場や保安林をSNSでいち早く状況把握できれば対応が早くできます。もう既に千葉でこういう前例があり実績があるシステムですから、ぜひ経済産業部も、危機管理部、また県内、県庁全庁に働きかけて導入を検討していくべきだと思っています。
 これは所管課長及び田中デジタル推進官にも答弁を求めたいと思います。所見を伺います。

○田中経済産業部部長代理兼デジタル推進官
 9番委員、貴重な御指摘ありがとうございます。
 説明資料の被害の状況においても、農林それから農地含めて全域にわたって被害箇所数はかなり多いわけです。そういった被害状況を迅速に把握して、早急に対応を考えていくという点では、御紹介のありました千葉市の例もありますけれども、SNSを活用した情報把握は非常に大事だと思いますので、今後部内で千葉市をはじめほかの自治体の取組も情報共有させていただきまして、交通基盤部、危機管理部はじめ災害対応系のところと意見交換もさせていただければと思います。ありがとうございます。

○阿部委員
 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 なお、補足しておくと今回台風第15号に当たってよからぬやからが静岡県の災害画像を細工して発信し、でまが流れたことがありました。このAIはそれもきちんと判定できる能力があるそうですので、ぜひ千葉市や関係のところにも確認をして、同じものを導入するかどうかは別としてきちんと検討を進めていただきたいと思います。これは要望とします。

 次の質問に入ります。
 せっかく田中デジタル推進官にお聞きしたので、もう1問、お聞きします。
 先ほど来、各委員から出ている電子食事券についてです。
 電子食事券と言う以上、電子食事券を入手して使うだろうユーザーの主たる層はSNSをちゃんと使っている人たちだろうと推測できます。さすれば静岡県として、SNSのコミュニティーの強化をこの際、電子食事券を売るだけではなくて同時に図っていくべきだと思います。さっきの災害の話だけじゃなくていろんな情報発信にも使えますし、例えば県内でも私と大石委員、良知委員も浜松ですが、浜松市の発信しているもので言うと、もともとはワクチンの接種のためにつくったものが今多機能に利用されてて、今度は浜松市は区を再編するんですが、その区名の投票を呼びかけていたりとそのアプリからできます。多機能な使い方になっていくので、ただ単品で電子食事券を出しますじゃなくて、電子食事券を出すなら今私が言ったように方程式で考えて、電子食事券を使う人はどういう人かな、その人たちはふだんどう情報を得ているのかなと。今回紙でこうやってチラシが出ていますが、その人たちに訴求効果があるのは紙よりもSNSに広告打ったほうがいいだろうとか、そういう発想の中でぜひ発信ツールを考えていただきたいなと思いますが、ぜひ所見をお聞きします。

○田中経済産業部部長代理兼デジタル推進官
 ありがとうございます。
 SNSの情報発信は非常に大事だと思っていまして、今回の電子食事券につきましても県民だけでなくて県外から来た方なども対象になっていますので、それこそ今後も引き続き静岡県に遊びに来て、おいしいものをいっぱい食べて帰ってもらいたいところです。どういった年齢層の方が来てどういったお店に来て、お帰りになられたかというデータは、当然把握していけば電子食事券の1回こっきりのイベントだけじゃなくて、別の委員からもブランド化なんていう話もありましたけれども、ほかの県の皆様方、静岡県民はもちろんですけれどもどういった好みの傾向があるとかいったものも把握していくべきだと思いますので、SNSを通した取組は今後もいろいろと知恵を絞って進めてまいりたいと思います。ありがとうございました。

○阿部委員
 ぜひお願いしたいと思います。
 今、田中部長代理がお答えになったので、ほかの課長さんには答弁を求めませんが、例えばマーケティング課長、当然ながら商工振興課長、それから土泉経済産業部参事兼スポーツ・文化観光部参事等々、所管するところが多いと思います。餅原局長はもちろんですが、ぜひこの際そういう発想でPRに努めていただくようお願いをしてこの質問を終わります。

 次の質問に入ります。
 農業関連の質問をさせていただくんですが、7月に共同通信社が、気候変動による農作物への影響調査を全国の都道府県にかけました。この中で気候変動で品質低下、収穫減になった農作物は本県は7つでありましたが内訳、詳細、報道されてませんでしたので、この内訳をお聞きするとともに、気候変動で完全に品質低下、収穫減しているのであれば、その作物の今後を考えなきゃいけないと思います。
 この調査を受けて現時点でどのような所見をお持ちなのか、所見をお伺いしたいと思います。

○中尾農業戦略課長
 まず、共同通信社の調査につきましては、51品目を示され、その中で各県で気候変動による影響を受けている品目は何ですかと問いがありました。それに対して本県ではお米、ミカン、お茶、レタス、ワサビ、バラ、カーネーションの7品目につきまして現在気候変動による影響があると回答しております。具体的には、新聞記事にも掲載されておりましたけれども、お米につきましては未熟粒の増加やウンカ等の発生といった影響が出ております。
 気候変動への対応ということで現在米につきましては、いわゆる高温に強い品種、いわゆる「にこまる」であるとか「きぬむすめ」の普及を既に図っておりまして、さらに早生品種の「虹の煌めき」という品種も一昨年度に奨励品種にいたしまして高温に耐性のある品種の導入等を進めております。
 また、ミカンにつきましても降水量が多いことと冬場の高温で浮き皮が出やすいことがありますので、浮き皮が出にくい「春しずか」という新品種などを育成をしながら高温等の気候変動への対応を進めております。

○阿部委員
 ありがとうございます。
 現状の認識は分かりましたが、気候変動は来年から元に戻るとことはほぼ望めないと思っています。であれば農業こそやはり気候に大きく左右される産業でありますので、どんな作物が気候変動後の静岡県に適しているかを、農業者と一緒になって提示していく。またいろいろな品種改良もそうですが、チャレンジしていくことこそが求められていると思いますので、ぜひそういうスタンスでこの調査を生かしていただきたいとだけ強く要望します。

 次の質問に入ります。
 茶業の振興であります。各委員から茶業についてはいろいろ出ておりますが、2つ提案をします。
 1つは、報道を見て私はとても感心したんですが、静岡市内の高校生のアイデアで利き茶ガチャとして、駅や空港にあっていろんなフィギュアが入っているガチャガチャにお茶を選んでティーバッグにして、飲んでおいしいお茶を高校生たちがいろいろ研究して作って、静鉄さんに協力してもらってやっているということで、今高速道路のサービスエリアなんかに置いて好評を得ているということです。
 せっかく高校生が考えました。今高校生をお持ちの方はお分かりかもしれないですが、最近の高校生、みんな自分で学校に水筒を持っていきます。うちの娘も息子も持っていってました。そこで提案なんですが、学校にこの利き茶ガチャを置いて、高校生たちに半分遊び心も含めて水筒で自分のお茶を作って飲んでもらう。少しでも静岡県のリーフ茶を振興するためには、やっぱり高校生のうちから静岡県のお茶のおいしさを実感してもらえば必ず茶業の振興につながると思います。
 ペットボトルを購入するよりも多分、安く上がると思いますし、静岡茶の味を知ってもらう意味でもとてもいいことだと思います。これを計画した高校生や静鉄さんの意向もありますが、ぜひ教育委員会とも相談してそんな展開を考えたらどうかなという提案が1つ。
 それからガチャのいいところは移動できることです。今度のお茶まつりでもそうですが、いろんなイベントへ持っていって設置できないか早急に検討すべきだと思います。
 また、お茶まつりだけじゃなくて、例えばSPACとか、いろんな人が集まる県のイベントや行事にこのガチャならではの機動性を生かして、設置を進めていくべきだと思いますがこれについて所見を伺いたいと思います。

 もう1つ茶業振興です。
 輸出の状況を見ると北米がやはり一番多いんですが、最近東南アジアの展開が非常に伸びてます。価格的には北米の半分ぐらいでありますが、東南アジアは非常に人口が多く、これから消費量が見込めることもあります。せっかく静岡県は地域外交を展開しているので東南アジア戦略をしっかりと考えていくべきだと思いますが、所見を伺います。

○増田お茶振興課長
 今、御質問のありました利き茶ガチャの学校配置についてお答えいたします。
 静岡市の事業により高校生が考案した利き茶ガチャは、高速道路サービスエリアなど静鉄リテイリングが運営している4か所に設置されています。カプセルの自動販売機を学校に設置することにつきましては、機械の確保、手配、あとお金の管理、商品の補充の問題があると考えられますので、今後静鉄リテイリングさんと課題を検討してまいりたいと思います。
 学校でのお茶をマイボトルで飲むことを推進することにつきましては、今年度も国庫事業を活用してJA経済連等から学校へお茶の提供をさせていただきます。保護者の方々の協力を得て、学校でマイボトルでおいしい静岡茶を飲む習慣化を進めてまいりたいと思います。

 続いて輸出の強化でございます。
 北米、アジアともお茶の輸出のターゲットのエリアとして非常に重要と考えておりまして、海外サポートデスクを設置して海外展開や規制対応の助言といったサポートをしております。東南アジアのサポートデスクにつきましては、訪問商談支援を今後強化してまいりたいと思っております。
 また、ChaOIプロジェクトの助成事業についても、生産者と茶商さんが組んで、海外への売込みの支援を行っております。今年度も12件の海外の展開支援をしておりまして、そのうちアジアについては2つ、あと全世界も輸出支援を進めてまいりたいと思います。

○阿部委員
 分かりました。
 ぜひ静鉄さんと早急に相談していただいて、お茶まつりも含めて、県内各地に展開できるといいのではないかと思いますので、協議を進めていただきたいと思います。
 それから、輸出支援は地域外交局をしっかり使って可能性を探究していただきたいと思います。

 次の質問に入ります。
 我が会派の代表質問の中で、耕畜連携について質問させていただきました。その中で、ワーキング会議を設けて具体的に検討するという御答弁がありましたが、この具体的に検討する内容について、この際お伺いしておきたいと思います。

○中尾農業戦略課長
 肥料、飼料高騰の長期化が懸念される中で今後永続的に耕畜連携に向けた仕組みづくりをしっかりやっていく必要があることから、まずは現状把握をした上で課題を整理しそれを打開するための施策を考えていこうということで、農業局内の関係課によりワーキング会議を設置しております。
 ワーキングの中では大きく分けて2つのテーマに分けて検討しております。
 1つが国産飼料生産の拡大、もう1点が堆肥の利活用です。
 国産飼料生産の拡大ワーキングにつきましては、まずは畜産農家さん自身による生産飼料の拡大の可能性、あと耕種農家さんによります飼料生産拡大の可能性の検討をしております。
 また、堆肥の利活用につきましては、まず堆肥の流通量や、実際にどのくらい堆肥が作られるのか、それと実際に今品質がどういうものであるか現状把握をしっかりしようということと、最近は堆肥をペレット化、言わば粒状にする製造設備を持っているところもありますので、そういったところの活用の可能性を主なテーマとしまして、堆肥の利活用について検討しているところです。
 現在、ワーキングを進めておりまして、おおむね今月末をめどに現地で今後実証できるような提案を取りまとめまして、その後農林事務所を通じまして現地との調整を行い来年度から現地実証に取り組めるよう進めております。

○阿部委員
 内容について分かりました。
 今は円安なので非常に注目が集まっていますが、かつては国産飼料についてはさほど気にされていない生産者も多かったようです。
 こういう円安基調が続く以上、またSDGsの循環の中にも入っていきますので、ぜひ代表質問でも紹介したように、浜名酪農さんはそういうシステムができていますので、全県的、県東部のほうにもこのシステムを展開できるようにお手伝いしていただければと思っています。
 また、浜名酪農さんは湖西に1,000頭クラスの牧場を造られますので、せっかくノウハウがある西部地区はさらに拡充できるようにお手伝いをお願いしたいと思います。

 では、次の質問に入ります。
 農業関連について総括的にお聞きします。
 これは櫻井農林水産担当部長に答えていただきたいと思っていますが、気候変動等といわゆる農作物の消費者のニーズの変化また多様性の中で、私は農業地帯にいるもんですから農家の皆さん、農業団体の皆さんとお話しすることが多いんですが、今皆さんが口々におっしゃるのは農家数が減ってしまったと。実は大規模化、集約化は進んでいるんだよと。進んでいるけど実際数字としてうまく出てこないのはなぜかというと、今まで数字を出してきていた農協さんとか各種農業関係の組合の皆さんと一緒にやってる人たちが成功しているわけでは必ずしもないと。個人で販路を開拓した人たちが成功して規模を拡大している。今までの統計の取り方を改めなきゃいけない、農業に対する見方をもう1回ちゃんと現場目線に直さなきゃいけないという指摘をよく伺います。これは、県としても農業政策に対する改善をしなきゃいけないと思っています。
 また一方で、農地が減っていってるのも事実でありまして、これは各種開発でいつの間にか土地改良できれいにしたところがだんだんしみ出してきて宅地化されてしまったり、工場が建ってしまったところが多く見られます。また耕作しづらい農地はどんどん放棄されている実情があります。もしくは太陽光の営農型という形です。
 僕の個人的な意見ですが、多くの営農型の太陽光は実際営農をしていらっしゃるところはあまりなくて、1本だけサカキが植えてあってそれでごまかしているとか、そういうえせ営農型が多いのではないかという危惧を強く持っています。
 だから、そのような現状を見る中で、これから静岡県の農業をどうするかという大きな意味でのロードマップを描いていかなきゃいけないと考えます。
 今ロードマップを示せとは言いませんが、私が現場の皆さんからお聞きして現場の農業を見る中で感じている所感が今のようなものでありますが、それについてどのような御意見を持たれるか、ぜひ櫻井部長の所見を伺いたいと思います。

○櫻井農林水産担当部長
 まず、9番委員御指摘のとおり、確かに農地の集積、集約化は10年前に比べれば飛躍的に進んでいますから当然大規模農家の比率が増えているのは事実です。ただ一方で先ほどお話がありましたとおり、大規模になった農家がもうかっているかというと、実態としては必ずしも全てではないとと思います。
 逆に、大規模になっていない中でも、例えば生産性は低いながらも多品種のものを作って自らがレストランと直通のルートをつくることによっていわゆる収益性を高くやられている農家もある状況があると思います。統計データとして把握することが、現状として難しい部分はあったかと思いますが、これからの政策においてはその辺の実態をしっかり把握した上で、それを基に政策を組み立てることが重要になるかと思いますので、どういった形でデータが集められるか分かりませんけれども、その辺は少し県として工夫をしてまいりたいと考えております。
 それともう1点農地の問題ですけれども、荒廃農地も増えていますけれども、転用とかほかの土地利用があって、趨勢からいけばどうしても農地は減少していくと思います。特に中山間地域については非常に生産性が悪いということで、特に茶園を中心としてこれから農業として維持するのが難しい状況になっているかと思います。
 そういったときにどうするかですけれども、やはり平野部で非常に生産性の高い農地の土地利用率を高めて、特に森町であるとか中東遠地域で行われているいわゆる3倍活用のような土地利用率を高める農業をより強化して展開していくことも重要になろうかと思います。
 あわせて荒廃農地対策につきましては、先ほどの農業者の部分とつながりますけれども、大規模農家に集積、集約をしていきながらもなかなか大規模農家では借りてくれないような農地であっても、しっかり環境面で維持していかなければならないところもあろうかと思います。そういった意味では今年から進めていますけれども、半農半エックスであるとか多様な農業者の参入を得て、そういった農地もしっかり守っていくことを並行して進めていくことが重要であると考えております。

○阿部委員
 ありがとうございました。よく静岡県の状況をお分かりのようで安心しました。
 静岡県は、もう釈迦に説法ですが、いち早く国の補助金じゃぶじゃぶ政策から脱して静岡県のいわゆる商業型の農業をつくってきた県であります。やはりこの農業の転換期においても静岡県はいろんなポテンシャルを持っているので、ぜひそういう意識を持って農業政策に当たっていただきたいと思いますし、我々も現場にいる人間として一緒に考えていきたいなと思っていますので、一緒に頑張ってまいりましょう。よろしくお願いします。
 1つだけ、今の補足をしておきます。
 今回、コロナのパンデミックで分かったことは、グローバル化には限界があって食料のグローバル化はないんだということ。だから米だけに偏重した自給率の出し方はいいとは思いませんが、そうではなくてまずは静岡県の中で農産品の食料の自給率を高めていくという大きな、グランドデザインをまず描いて示していくことが県民の皆さんにも農業者の皆さんにも分かりやすいと思いますので、そういう描き方をしていただきたいと補足しておきます。でないと個別の政策はいいけど全体像が見えないということになったら結局それはうまくいかないと思いますので、まずはグランドデザインを描くことをお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。
 説明資料77ページ、ふじのくに森の防潮堤づくりの関連です。会派として宮城県岩沼市に視察に行ってまいりました。東日本大震災で防潮堤を造ってあるんですが、横浜国立大学の宮脇先生の宮脇方式、密植をしていく、俗に言う緑の森の防潮堤、緑の防潮堤を実践されているものでした。これは10年たって、かなりの森になっていまして、とてももいいなと思いました。それで市民の皆さんもそこを植えたことにより、自分たちの防潮堤を守るということでふだんの手入れや、またこの防潮堤周辺を使うことに積極的に参加されているということでありました。
 今回計画している中東遠、それからこの議会の代表質問で我が会派が提案した浜松の防潮堤の今後の管理の中でも、浜松市の防潮堤はこの宮脇方式じゃないもんですから密植をしてないので非常に植栽があまり芳しくないと思います。この際この宮脇方式も含めて森の防潮堤づくりを考えるべきと思いますが、所見を伺います。

○大川井森林保全課長
 ふじのくに森の防潮堤づくりにつきましては、9番委員の質問にもありましたように浜松市は完成しておりますけれども、今、中東遠の工事を実施しております。この森の防潮堤づくりにつきましては、自然植生による森づくりの考え方を基本に据えるということで植栽の仕方を検討して実施しております。
 潜在自然植生による森づくりという部分につきましては、今9番委員からお話がありました宮脇方式の考え方を基本に据えながらという意味合いで取り組んでおりますけれども、現状はどうかといいますと中東遠の防潮堤につきましては、順調に植生が成長している状況であると認識しております。9番委員からお話のあった宮脇方式の考え方につきましては、引き続き検討しながら整備を進めていきたいと思います。

○阿部委員
 現場を見たら我々もびっくりしたんですが、一目瞭然違いが出てました。何が原因なのか、もし宮脇方式を基本に据えてやっているならば育ちが悪いのはどういうことが原因なのかしっかりと検証していただきたいと思います。それをお願いしてこの質問を終わります。

 最後に2問、お聞きします。
 1つは、MaOIのゲノム解析についてです。
 今回、サクラエビ、シラス、タカアシガニ、キンメダイの4種から着手されたということでありますが、中間的な状況で結構ですので解析状況をお伺いしたいと思います。
 また、浜名湖のアサリ、ウナギ、ドウマンガニ、これらの解析をぜひしていただきたいと思いますがこの予定があるかどうかお聞きします。

 最後の質問は、これも会派の代表質問の内容の深掘りでありますが、カーボンクレジットの導入促進についてお聞きしました。
 その中で、ブルーカーボンについては榛南のカジメ藻場、御前崎港周辺のコアマモ等々という答弁でありました。これの詳細をもう少し細かくお教え頂きたいと思います。
 また、浜名湖のアマモ、また伊豆半島でのブルーカーボンの可能性についてもどのようにお考えかお聞かせ頂きたいと思います。
 もう1つのグリーンカーボンでありますが、これはFAOIプロジェクトが日本製紙の事業についてアドバイスをされているのでしたが、内容をお伺いしたいと思います。
 また、東京農業大学の小塩教授が花粉症飛散防止事業をやっていて、これも飛散しないとスギが太く生育が早くなるという事業であり、グリーンカーボンに寄与すると思いますので、これも連携していただきたいと思いますが所見を伺います。
 最後に確認したいのは、今後、このカーボンクレジットはどこが所管をするのかお聞きしておきたいと思います。

○遠藤産業イノベーション推進課長
 サクラエビ、シラス、タカアシガニ、キンメダイのゲノムの解析でございますが、水産海洋技術研究所とMaOI機構で連携して取り組み、解読に成功しまして、8月5日の日本進化学会で成果を発表したところであります。
 この解読によりまして、各生物が持ちます遺伝子の大きさや種類といった基本的な情報が判明したところであります。現在はこの情報の正確さを上げるところに取り組んでおります。
 浜名湖のアサリ、ウナギ、ドウマンガ二でありますが、今後水産海洋技術研究所と連携しまして解析を積極的に検討してまいりたいと考えております。

○伊藤水産資源課長
 ブルーカーボンについて、2つお答えします。
 まず、榛南のカジメ藻場については今水産海洋技術研究所で研究しているものについてはまだ分析中なので結果は出ていないんですが、榛南のカジメ藻場については今地元漁協が参加する協議会で申請を行いました。これから認証委員会が現場に来て検証を行って、最終的に吸収量が確定する予定になっております。
 御前崎のコアマモにしても、交通基盤部港湾局によると同じように申請を行っているそうなので、今年度中にでも結果が出るんじゃないかと思っております。
 浜名湖のアマモについてですが、今アサリが急激に減っている状況でその対策をしているんですが、アマモともう1個、コアマモが浜名湖にも生えております。それが、アサリの着底量等にどの程度寄与するかについて調査するとともに、また逆にアマモがちょっと減っている状況があるようなのでその阻害要因についても今度検討していきたいと思っております。
 あと伊豆半島の話があったんですが、伊豆半島にもアマモが生えているんですが、非常に小規模でしてどちらかというと磯焼けでカジメが非常になくなっている状況なので、その対策に力を入れていこうと思っております

○小池森林計画課長
 日本製紙と、FAOIプロジェクトの関連についてまずお答えいたします。
 日本製紙は、今回県が提供した3次元点群データを活用いたしまして森林吸収量のJ−クレジットを取得いたしました。残念ながらこの部分についてはFAOIはあまり絡みがなくて、県と協定を結んだ日本製紙との間で3次元点群データのやり取りがあったところにとどまってございます。
 ただ、J−クレジットにつきましてはこれからの森林経営にも、大きく寄与するものもあると思いますし、社会全体から期待されている森林吸収量の相殺、カーボンオフセットに貢献していかなければいけないという意味合いもございますので、FAOIプロジェクトを通じて、しっかりとこれは普及していきたいと思っています。
 普及の手法といたしまして技術的アドバイスをしていくことで、FAOIプロジェクトにつきましては参加されている中に3次元点群データの解析を得意とする業者さんと新しくJ−クレジットに取り組みたい方々をマッチングさせて普及を展開していこうと考えてございます。
 それからもう1点、東京農業大学の小塩先生の取組に関してです。
 近々、先生がこちらにいらっしゃると伺っておりますので、まずはFAOIプロジェクトの中核をなすふじのくに森林林業イノベーションフォーラムへ参画を促す形でお声がけさせていただこうと思っております。

○横井エネルギー政策課長
 今後のカーボンクレジットの主管についてお答えいたします。
 答弁がブルーカーボン、グリーンカーボンとあったとおり、それぞれの所管課におきまして事業は進めてまいりますが、我々が昨年度策定しましたエネルギー総合戦略におきましても二酸化炭素の吸収源対策は非常に重要な柱として位置づけております。部局横断的に取り組んでいくことが非常に重要になると考えておりますので、全庁的な所管課はくらし・環境部になると思いますが、緊密に連携を取りながら推進をしたいと考えております。
 経済産業部分野におけます制度の普及啓発、それから機運醸成につきましては、エネルギー政策課において対応したいと考えております。

○大橋総務課長
 先ほど、7番委員から御質問頂きました交通事故に関する職員の処分につきまして、追加で説明させていただきます。
 職員の処分は、事案の内容や責任の軽重によって判断されることになっており、これまでも交通事故の関係で処分されたケースもございます。全ての事案は経営管理部人事課に報告し、人事課が判断し処分を決定することになっておりますが、今回の交通事故の案件につきましては処分の伝達はございません。

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