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委員会会議録

質問文書

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平成30年2月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:阿部 卓也 議員
質疑・質問日:03/08/2018
会派名:ふじのくに県民クラブ


○野崎委員長
 それでは、休憩前に引き続き委員会を再開します。
 発言を願います。

○阿部委員
 分割質問方式でお願いします。
 まず、労働委員会事務局に質問させていただきます。
 労働委員会の提出案件及び報告事項の2報告事項(1)事件の取り扱い状況のうち、今年度の2月までの概況を見ると労働争議の調整事件の取り扱い件数が前年度の4件に対して9件と増加しています。
 この調整事件は、労働組合と使用者である会社との労働争議のあっせん等の処理ということで承知しているんですが、労働組合の組織率は減少の一途をたどっています。そういう中でこの件数が増加した要因並びにそれに関する現状についての藤原労働委員会事務局長の所見をお伺いします。

○藤原労働委員会事務局長
 労働争議の調整ということで、この場合は労働組合の加盟ブロックと使用者との紛争を労働委員会であっせんしてくださいということです。9件の中身を見てみますと、うち7件は個人の方が使用者と争議にあって、その解決する手段として個人で加入できるユニオン合同労組に入りまして、そこで組合としてあっせんを依頼する形です。中身を見ていきますと極めて個別的労使紛争に近い形になっております。
 ですので、逆に言いますと実際に企業内組合と使用者との紛争は2件だけとなります。
 こういう場合に気をつけているのが、実際の中身は個人ですけれども申請人は合同労組ですので、組合の考え方ももちろんありますし実際にお困りなのは個人の方です。申請人は組合ですので我々は組合を通してお話を聞くわけですけれども、その後ろには困っている個人の方がいますので、そこに齟齬があっては最終的な解決にならない可能性がありますので、本当に困っている従業員の方の気持ちを聞きながらあっせんをしております。
 それがうまくいって和解となれば、必要に応じて労働組合と個人の従業員の方と会社で三者の協定を結んでいただいて、そうするとそれぞれ納得した形になります。そういうことをあっせん員を務めてくださっております委員が随分気をつけている、事務局も含めて留意しております。
 実際には、ここの個別的労使紛争がふえているのは事実ですので、その1つの要素になっているということです。

○阿部委員
 ありがとうございました。
 組合がないということで、少しデリケートな形になってきているのかなと感じますけれども、現状の労働組合組織率を見ているとこれはいたし方ないことでありますので、ぜひ今後も藤原労働委員会事務局長がおっしゃったように本当に困っていらっしゃる個人の方が解決に結びつかないのではわざわざこの争議を起こす意味がないので、そこら辺はよく労働委員会として留意していっていただきたいなと思います。

 それからあわせて、それに関連することでありますが、まさに答弁にあられたように労働組合を介さない労働者個人からのあっせんがふえているということなんですけれども、紛争当事者に労働委員会のあっせん制度のメリットを周知していくことが重要だと思います。
 これは、本会議での鈴木利幸議員の質問でもあられて答弁でもあられましたけれども、その際の藤原労働委員会事務局長の答弁が、各種媒体を通じてあっせん制度のPRを行い、利用拡大を図って労使紛争の円満な解決支援に努めていくということでありましたけれども、これに対して平成30年度はどのような形で解決支援、PRを図っていくのか、具体的にお聞きをします。

○藤原労働委員会事務局長
 広報というのは難しくて、本当に困っている人が目に見えていればその方に直接お伝えすればいいということでターゲットを絞ることが原理原則なんですが、実際に働いていて困られている方が今どこにいるか非常にわかりづらいのが、PRの難しさだと思っております。
 実際に、広聴広報課のツールを使ってテレビで5分間の番組を流して、それで何人かが相談にお見えになりました。事務局でつくったんですが、それをホームページに入れ込んでいつでも見れるようにしたということです。
 我々は多くの場合、県民生活センターの労働相談の中からあっせんにしたほうがいいケースを上げていただく、PRすることが多いので、労働相談に見えられた方にPRするのが一番直接的なんです。
 その背後にいらっしゃる方へということで、相談者にはホームページで知った方が多く、あるいは連合が労働相談をやっていますけれども、多くはホームページかチラシが多いのはわかっていますので、とりあえず県民生活センターのホームページからリンクさせて我々のところに来たときに難しい言葉を使わないように、わかりやすくということで当面はホームページを優しい言葉に直す作業中です。
 今は、大学生のブラックバイトがあったりして、既に大学の何校かから新入生に教えてあげたいという話があったのでQRコードをチラシにつけて入学式で配っていただけるという話があったのでそういうことをできるだけ具体的にやろうと思っています。
 公労使の委員は実際に相談を受けられている方も多いので、そういった方と相談しながら少し考えていきたいと思います。
 とりあえず、ホームページの充実と学生向けのチラシを考えたところで、これからみんなで相談してみたいと思っております。

○阿部委員
 ありがとうございました。
 まさにおっしゃるように、連合はもとより大学に配られるということでしたけれども、大学だけじゃなくて高校から就職される方もいるので高校、専門学校、人材派遣会社などにも広報をお願いすると有効かと思います。働き方改革が叫ばれる昨今であり、その根本の解決になる1つのツールでもあるので、しっかりとPRに努めていただきたいと思います。

 次の質問ですが、景況感、景気情勢についてお伺いをいたします。
 報道で、12月、1月の日銀の短観や信用金庫業界の調査、それから西部の信金研究所等々の調査機関の景況判断を見ると、大部分が景気判断を引き上げています。一方で現在は春闘が行われている時期ですが、春闘での賃上げ要請に対して、県内企業を見ると慎重な企業が多いのが現状です。政府も経済3団体も賃上げ要請をしているんですが、これは賃上げをできる企業が大企業のみだという証左ではないかと思っています。
 静岡県は、中小零細企業が多い産業構造上、表面上の好況感につられて静岡県として事の本質を見失ってはいけないと思っています。
 西部地域信金経済研究所のDIを例示すると、製造業66社中、自動車部品関連会社の数字がいいんですけれど、これの内実を裏返してみると西部地域におけるスズキ自動車が年末に相次いで新型車を投入したこと、それからスズキに限らず各自動車メーカーが海外向けの部品供給を海外でつくり切れなくて国内からもつくって送っていることが好調の背景にあると。
 一方で、今忙しいからということで人手不足の問題もあると分析されていますが、これを冷静に考えると、スズキが新型車を投入したとか、海外向けの部品供給が好調ということは、いろんな状況からこれがしぼんでしまうと好況感がなくなって、人手不足で人をふやしていると逆に人余りがすぐ生まれてしまうのが静岡県の多くの企業の構造だと思っています。
 あわせてもう1つだけ例示すると、工作機械の会社も数字がよいんですけれども、これもよくよく見るとやっぱり自動車業界からの受注が好調ということでもあると思います。
 ちょっと長く解説しましたけれども、これらを鑑みて、静岡県は目先だけじゃなくてしっかりと中長期ビジョンを持って産業政策を考えていかなきゃいけないと考えますが、それについての経済産業部としての所見をお伺いしたいと思います。

○古屋政策監
 景気の景況についてお答えいたします。
 県の月例経済報告の2月におきましては、個人消費の緩やかな持ち直しや設備投資の増加、あるいは輸出の増加などから、平成29年12月を中心とした本県の経済は回復しつつあると判断したところであります。
 9番委員御指摘のとおり、現在の景況については今お話しいただきました日銀の短観、それから西部信金の研究所等の調査でもDIが改善していることは我々でも確認をさせていただいてあります。
 これらのDIは確かに好調なんですけれども、実際にはさまざまな場面でいろいろお話をさせていただきますが、人口減少の進行による人手不足の顕在化とか、あるいはIT、ロボットの技術などに代表されるテクノロジーが急激に進展しております。あるいは電気自動車や次世代自動車なども世界的な状況が変わっておりますので、本県の経済も当然、これを取り巻く社会情勢に的確に判断、調整をしていかなきゃならないと考えております。
 そのために、現在策定中の次期経済産業ビジョンにおきましても産業人材の確保・育成、次世代産業、あるいは今いらっしゃる中小企業、小規模企業の経営強化などの6つの柱を戦略として本県の経済を持続的に発展させていく中長期ビジョンを考えております。
 ただ、これらの指標は9番委員御指摘のように、個別のDIを見ても指標が見えにくかったり、あるいは調査時点から公表までにそれなりのタイムラグが出てしまったりということで、リアルタイムの部分は少し弱いのかなと思います。
 先ほどお話ししたように、現在はテクノロジーが急激に進展している中では、やはり統計データだけではなくさまざまな場面で産業界の生の御意見、あるいは現在の非常にリアルな景況感などの情報を産業界からいただきながら、それも政策に反映していく形をとって中長期のビジョンについてだけでなくさまざまな政策についても検討していきたいと考えております。

○阿部委員
 しっかり認識をいただいているようで、安心いたしました。
 ただ、少し補足して提案をさせていただきます。
 御答弁の中にあったように、次世代産業の支援、人材育成という部分はITやロボットの急伸に伴い非常に重要だと思いますので、これからも政策の柱としてやっていただきたいと思うんですが、全体を見ていく中でサステーナブル――持続性を考えた体制づくりを常に心がけて、1つの業界のデータに引っ張られるとかではなくて、県としてトータルに県の企業群の構造が底上げされるような体制を、大局的に見てこれから経済産業部として組み立てていただきたいなと思います。
 サステーナブルと言ったのは、金融やコンサルティングが入ってこなきゃいけないので、金融で言うとプロジェクトファイナンスという考え方がありますけれども、そういう視点もこれからは持つべきだと思います。そういうこともぜひ考えていただきたいと思いますが、これは意見としてとどめます。期待しています。

 では次の質問ですが、デザインについてお伺いしたいと思います。
 12月定例会の本委員会で、デザインのことをお聞きしました。
 その積み上げとして、この産業委員会の前身が商工労働企業委員会とおっしゃったそうですが、平成13年2月議会議事録、当時、蓮池副委員長は委員でいらっしゃいましたが、そのときにデザインセンターの議論が出ています。デザインセンターが産業経済会館にあってそれを閉めたときの委員会なんですが、その議事録を見るとデザインの重要性は非常に認識していて、これからますます重要になってくる、だけれど閉めますと。よくわからないなと。それでデザインセンターは閉めるんだけれど、そのかわりネットワークで支援する形をとりますと。工業技術センターや静岡文芸大、静岡産業創造機構なんかでネットワークを組んでやっていきますと。
 今日、その形で地域産業課が連携していると思うんですが、12月議会でも議論していて感じたんですが、やはりちょっとデザインの力を生かすには体制が不十分ではないかなと感じます。12月議会でも例示したかもしれませんけれども、富山県は県を挙げてデザインの力に注目をして一つ一つの工業製品にデザイン性を非常に入れて、パッケージデザインを変えるだけとかでも非常に売れているという成功例をつくっています。これがなぜ成功したかというと、富山県のデザインセンターをきちんと独立してつくって、そこで国内外から専門家を招聘したり自前の地元のデザイナーを育てたりという形で成功していると。
 こういう事例を見ると、今回は静岡県もデザイン産業振興プランでデザイン支援センターの設置を検討するという内容がありますが、今こそぜひ設置すべきだと思います。
 特に今回、委員会は違いますけれども、静岡文化芸術大学のデザイン学部に匠領域が追加されました。実際に静岡文化芸大のデザイン学部へ行って教授や生徒たちに話を聞くと、ぜひ静岡県でデザインをいろいろ生かしたいんだけれども、彼ら彼女らがいろんな形で県のポスターをつくってくれたり企業のものを一緒につくったりしているんですけれども、なかなか就職先がないと。だから1回東京に出てデザイン事務所やその他のところで活躍しないと地元の企業が認めてくれて採用がされないと。これもったいないと。
 なので、この際ぜひ文芸大とも話していただいて、デザインセンターを文芸大のデザイン学部に併設するとか多分機材なんかもある程度そろっていると思いますので、そういうことを具体的に考えるべきだと思いますが、所見を伺います。

○影山地域産業課長兼商業まちづくり室長
 デザインのことについてお答えいたします。
 9番委員御指摘のとおり、デザインセンターが廃止して以来、現在は地域産業課と静岡県産業振興財団、そして工業技術研究所の三者のネットワークで支援しております。
 これまでは、それで一生懸命やってまいりましたがデザイン産業振興プランをつくりまして、さらに進めていくという中でさらにどういった機能が必要かまだまだ議論が必要だと思っております。
 デザイン産業振興プランの策定に当たりまして、デザインの関係者等にお話を伺った際にも、やはりデザインを前面に出した施設、場所といったものが必要ではないかという意見がありまして、このプランの中にデザイン支援センターの設置を検討すると記載したところであります。
 また、このプランの作成に当たっても静岡文化芸術大学の先生に監修をしていただいてつくって、これまでも議論してきたところであります。静岡文化芸術大学に匠領域もできますし、これからも一層連携を図っていきたいと思っておりますが、デザインセンターに関しましてはさらに議論を進めていかなければならないと答弁させていただきたいと思います。

○阿部委員
 わかりました。
 ぜひ、前向きに進めていただきたいんですが、大石商工業局長にお聞きします。
 検討していくといっても、何事も物事をなすためには具体的に1つずつ可能性に当たっていくことが必要だと思います。先ほど言ったように、文芸大にはちょうどデザイン学部に匠領域が追加されたり動きがあります。ぜひ当たって、協議をしていっていただきたいと思いますが、局長としてその取り組みについてどういう姿勢でいくかお伺いをします。

○大石商工業局長
 デザインに関しましては、ものづくりにとどまらずさまざまな領域で付加価値を高めるということで本当に重要な考え方だと思っております。
 その中で、文化芸術大学は実際にデザイン力のある実務型の人材を育成していく機能を持っておりますので、今までもさまざまな知見をいただいてまいりましたけれども、これからも知見をいただきながらデザインセンターのあり方についてもしっかりと考えていかなきゃいけないと思っております。
 デザイン支援センターが、県としてどういうあり方がいいのかという点に関しまして、専門家の方々とよく協議しながら進めてまいりたいと考えております。

○阿部委員
 わかりました。
 ぜひ、前向きに検討していただきたいと思います。
 産業界ともお話をすれば、必要性が非常に高いことがわかると思いますので、強くお願いをしておきます。

 次の質問に入ります。
 おもてなし認証についてです。
 新聞報道もされましたけれども、経済産業省が創設をして静岡県で静岡銀行、静岡商工会議所が主導して実施しているものであります。私も導入に当たって経済産業省の関係で少しだけ陰ながらお手伝いをした経緯もあって注視していたんですが、報道によると全国10機関のうち地域限定型は静岡県と新潟県だけなんですが、この認証制度の中で紅認証という初期の認証が3,073件、それから金認証という上位の認証が33件で全国1位となっています。これをどう生かしていくのか。
 それから、同じ経済産業省で言うとプレミアム金曜日が全国的にしりすぼみになってきていますが、これと同じになってはいけないと思っています。
 もともと経済産業省の狙いとしたら日本のおもてなしの、サービス産業のサービスの品質をさらに向上させること、それから生産性を上げていくことが目的だったと思います。
 県としては、商工会議所、商工会、金融機関などと連携して今後この制度の定着、それからPR、何よりも成果としての実を上げる内容の充実に対して支援をしていくべきと考えますけれども、おもてなし認証についての現状認識と今後の県としてのコミットの仕方についてお伺いします。

○三須商工振興課長
 おもてなし企画認証につきましては、9番委員から御指摘のとおり日本国内のいわゆるサービス産業の生産性向上ですとか、あるいはサービスの質の向上を図るために経済産業省が一定の品質をクリアしたものを認証するという制度で立ち上げたものでございまして、現在はサービスデザイン推進協議会という民間組織が認証機関となって、実際の実務については全国で10団体が認証を担っているということで、その1つが静岡県の静岡商工会議所になっております。
 このおもてなし企画認証を応援しようと思っている一番のポイントは、サービスはその場限り、あるいはその人限りということでサービスの品質がなかなか目に見えない。結果的に高いサービスを行ったとしても付加価値として認められずに、それを価格に反映できないと。結果的に価格競争に陥っているのがサービス業の現状であろうと認識しております。そういった中で、高いサービスを提供しつつ生産性の向上とサービスの品質を見える化していくことで、サービス産業の皆様の振興を図っていきたいとこの取り組みを進めています。
 9番委員から御指摘のありましたとおり、個々の企業のサービスの質の向上というよりもサービス産業全体の底上げにつながっていくということで、静岡商工会議所を中心に県内の全ての商工会議所、商工会、金融機関、それから行政も一緒になってコンソーシアムを立ち上げて普及に努めているところであります。
 具体的には、この認証を受けるためには30の項目があって、その一定部分をクリアすると紅認証、金認証という形でランクが上がっていくということですので、多くの認証をとることによって客観的にサービスの質をクリアできるような、いろいろな業務オペレーションの改善、人材教育といったものがクリアできますので、そういった方向で進めていきたいと考えております。
 特に、サービスの質の向上には、やはりITの導入は不可欠でございます。国では昨年度からIT導入補助金を設置いたしまして、導入補助金の採択を受けるためにはこのおもてなし企画認証をとっていることが優先採択のポイントになります。また県でも来年度予算でお諮りしておりますが、計画支援補助金ですとか、あるいは小規模補助金向けにもIT枠、あるいはITの取り組みを誘導するといった補助金制度もでき上がるので、そういった補助制度も使っておもてなし企画認証の普及に努めていきたいと考えております。

○阿部委員
 丁寧に御説明いただいてありがとうございます。
 経済産業省のもともとのおもてなし企画認証のスキームを見ると、三須商工振興課長がおっしゃるようにサービス業の生産性を上げていく、就労環境の整備などにつなげていくスキームになっています。そのための補助金が国から入りやすいスキームになっています。ここはよくよく経済産業省とも相談をしながら連動して、県としての連動型の支援制度をつくるとかに努めていただければなと思います。
 それから、あわせて商工会議所や商工会の経営指導です。静岡県内は個人経営のサービス業の方もいらっしゃったりするので、これを受けることによっていろいろな補助金を受けやすくなるとか、支援を受けやすくなることにつながっていくのが一番実のある形だと思いますので、そういう形での充実をお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。
 お茶についてお伺いします。
 何人かの委員が質問をしていますが、私はお茶の文化と価値を引き出すための見せ方についてお伺いをしたいと思います。
 当委員会の県外視察で、福岡県八女市に行きました。あそこで八女茶のブランディング戦略を見て、茶葉を単に売るだけではなくてお茶の持つ歴史とか文化もしっかり前に出して、本来のお茶の味、お茶の持つ深い意義とか価値を知ってもらうことがとても大切だなと改めて痛感しました。
 お茶にどう高付加価値をつけるかを考えたときに、1つの例として社団法人茶方會という団体があります。茶方會はお茶の茶に方向の方、會は會津藩の會うという字でさぼえと読みます。ここは緒方慎一郎という方を中心にして、東京にある八雲茶寮、HIGASHIYA、櫻井培茶研究所、そして福岡県にある万という店舗で社団法人を形成してお茶の意義やお茶の新しい飲み方を提唱しているんです。
 さきの県外視察で、福岡県へ行ったときの夜に畑管理局長につき合っていただいて万に行ってきましたが、非常にすばらしい。冷茶から出るんですが、そこに和菓子が出てきたり、バーのような形のところで雰囲気も非常によくて、お茶のこういう飲ませ方があるのかと。それに対して4,000円ぐらい払いましたが、その4,000円が安く感じる。一煎、二煎、三煎と飲んだり最後の締めのお茶も出てきたりして、お茶っていろんな種類があっていろんな飲み方があるなと。そのときにお茶を入れながら歴史とか、お茶のいわれとかをバーで言うバーテンダーは御主人の徳淵さんという方でしたが語ってくれるんです。お茶の魅力って深いんだなと、もっとお茶のこと知りたいと私は思いました。畑管理局長はどう感じたかわかりませんが、多分感じていただいているだろうと。
 とにかく茶葉を売るにはどうしたらいいかじゃなくて、いろんな売り方があります。山に登るにもいろんな登山道があるように、そういうことを探っていくべきではないかなと思います。
 なので、この社団法人について御承知であればぜひ一緒になってこういう取り組みを参考にして、お茶についての戦略を練ってみたらいいかなと思うんですが、そんな新しいお茶の売り方についてどのような取り組み、また御所見をお持ちかお聞きします。

○望月お茶振興課長
 お茶の見せ方についてでございますけれども、多くのホテルや旅館でコーヒーや紅茶が有料で提供されているのに対しまして、お茶は無料が多いということで、茶業界におきましてもしかるべき品質のお茶はお金を払って飲んでいただくような習慣、あるいは仕組みが必要だろうとは言われております。
 そういう課題意識を持っていたところ、9番委員から御紹介のありました社団法人茶方會がおもしろい取り組みをやっているという情報を知りましたので、昨年に私ども茶方會の事務局と関係する店舗を訪れましてお話を伺ってまいりました。
 会員の皆さんそれぞれが、日本の緑茶の文化を大事にしつつも今の時代の生活スタイルに変換して非日常的な空間でお茶を楽しんでいただく。それを通じて次世代にお茶をつなげていきたいという思いでやっていました。道具ですとか店構え、内装にいろんなこだわりを持っておりまして、本当にしっかり経営されているなという印象を受けたところでございます。本県の今後の茶業振興につながる部分もございますので、ぜひ参考にして今後の施策に反映できるよう努めていきたいと考えております。

○阿部委員
 わかりました。
 ここと必ず組みなさいということじゃないんですが、必ず参考にはなると思いますし、それによってお茶の多様性、お茶の持つ多様な魅力に気づけるし、気づいていただける新しいユーザーも掘り出せると思いますので、ぜひ研究していただきたいと思います。

 それから、お茶関連でもう1点です。
 長い目で申し上げたように、これはぜひお茶担当の白井経済産業部理事にお答えをいただきたいなと思うんですが、お茶はそれだけ深い魅力があって静岡県にとってはまさに文化であり、静岡県の歴史であると思います。
 完成間近のお茶ミュージアムは楽しみにしていますけれど、2020年に静岡県でオリンピックをやる、その静岡県のオリンピックレガシーとして何らかの形で、オリンピックに行ったらおいしかった、静岡県のお茶がすばらしかったというようなものをつくるべきだと思います。
 例えば、ソフト面ももちろんですが、場合によっては伊豆エリアの古民家や日本家屋をリニューアルして先ほど紹介したような施設としてお茶を提供するのも1つですし、全く違うさまざまな文化プログラムとして紹介していくのも1つでありますが、どちらにしろ2020年のオリンピックレガシーとしての文化プログラムの代表として経済産業部を挙げてお茶を送り込んでいくべきと私は思いますが、それに対する見解と白井経済産業部理事からお茶の文化と歴史を含めたお茶の価値について、総括を含めての答弁をいただきたいと思います。

○白井経済産業部理事(茶と食の振興担当)
 9番委員、質問ありがとうございます。
 私も、櫻井培茶研究所とか行ってまいりまして1杯2,200円の玉露を飲んだりしました。さすがやるなという思いはしております。
 静岡県の参考になるところがありまして、静岡県はどっちかというとリーズナブルな大衆的な産業県として今まで来たところでありますが、そういう売り方もあるだろうと、これから研究する価値があると思っております。
 最近、静岡県においてもおしゃれなカフェ文化ができつつありまして、少し例を挙げますと菊川市のサングラムカフェ、掛川市のきみくら、静岡でも最近ではチャガマとかティーロースタリーとかおしゃれなカフェができつつあって脱却しつつあると考えております。
 そういう新たなお茶文化もつくりつつ、3月24日に開館しますふじのくに茶の都ミュージアムで今までの歴史的な静岡県のすごさも伝えつつ、新たなお茶の体験文化をそこで発信しながら学芸員とかエデュケーターの方が丁寧に教えつつ、お茶の魅力を伝えていくことが非常に重要かと思っています。
 そういうことをしつつ、産業県でありながらお茶の消費文化をここから提案することによってより強固なものになっていくと思っています。
 今後のデスティネーションキャンペーンやオリンピックなどにおいて多くの海外の方が見学にいらっしゃる中、静岡らしいおもてなしができるような拠点となる、また新しいお茶文化の提案をしながら楽しんでいただけるようなことを進めてまいりたいと思っております。

○阿部委員
 ありがとうございます。
 1つだけ最後にお伺いします。
 さっきお茶ミュージアムでエデュケーターが説明するとありました。それもいいんですけれど実際に味わってみることによってお茶だけじゃなくお茶に合う和菓子とか、お茶に合う県産品がセットになります。例えばお茶と一緒に、その場所は庭がすばらしいと。その庭をつくっている木は静岡県で生産された植木であり、また静岡県の職人がつくっている。
 だから、オリンピックの折に伊豆に議長迎賓館、議長や知事が外の方をおもてなしするのにホテルの一室じゃなくて、古い建物だけれども日本のお茶というのはここにわびさびがあるんですよというのをいろいろ感じてもらえるようなものができていくといいなと思います。
 それによって、静岡県のいろんなところに行ったけれども、静岡県は議員もいろいろ来られると思うんですが、静岡県議会のもてなしはすごかったし、そのベースにお茶が全てあると。あそこのお茶は特別だというものをつくるような野望を持って、オリンピックレガシーづくりに取り組んでいただきたいと思います。
 それについて、もし一言あればお願いします。

○白井経済産業部理事(茶と食の振興担当)
 引き続きありがとうございます。
 レガシーということでございますので、1つの売りとしてミュージアムを取り上げますと、小堀遠州のゆかりの茶室と庭園を正確に再現したもの、そこでお茶とお菓子が楽しめる施設は日本中でほかにはありません。
 それと、そのための器も当然用意しますしそれなりのお菓子も用意する。そういうしつらえと環境の中で、まさに日本らしい、お茶を通じたおもてなしができることも披露しながら、周辺の空港の施設とか富士山世界遺産センターとも連携しながら拠点として進めていきたいと考えています。

○阿部委員
 ありがとうございました。
 それでは、最後に農業でまとめます。
 最後、ぜひ吉田農林水産戦略監にお聞きしたいんですが、県の農業の将来を考えた時に、平成30年度の人事を見ますと農林事務所の職員数が減員されています。現場感覚で農業を考えたときに未来志向でないんじゃないかなと。現場を忘れてしまっては農業はないと思っているんですが、その現場から農業を考えるという原点でこの減員に対する所見と静岡県の農業の未来をどう考えているのかお伺いしたいと思います。

○吉田農林水産戦略監
 農林事務所が減員になって、現場を大事にしてないんじゃないかというお話でございます。
 このたび組織改正をしましたので、人数が動きました。体制として、課の数が3つ減りましたので課長は3人そのまま減ったということでございます。それから班が5つ減りましたので、班長の数も減った形でございます。
 そのような中で、実質4人減にとどまったのは現場を回る人間の数だけは確保したいと思ったところでございます。
 回り方も、これまで私どもは各農林事務所に特技担当を置いてましたが、農林事務所ごとに置くとどうしても入ったばかりの1年生が一人でその特技を担当するところが出てきましたので、今度1年間のモデルを経て広域に動けるチームをつくろうということにしました。
 今度の体制によって、さらに現場を大事にした組織改編ができたのではないかと思ってございます。そのようにして農業全体が伸びていくように期待しているところでございます。

○阿部委員
 ありがとうございました。
 安心しました。先端技術が農業にもかなり導入されていますが、農業をするのはやはり人でございますので、その現場の人の思い、感覚、こういうものをぜひ大切にする静岡県の農業部局であっていきたいなと思います。それだけお願いして質問を終わります。

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