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委員会会議録

質問文書

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平成21年2月定例会文教警察委員会 質疑・質問
質疑・質問者:小野 登志子 議員
質疑・質問日:03/02/2009
会派名:自由民主党県議団


○中澤(通)委員長
 次に移ります。

○小野委員
 幾つか質問させていただきます。
 まず、ニュートン・プロジェクトから質問させていただきます。
 説明資料の4ページでございます。11、ニュートン・プロジェクト新規事業で、国際的に活躍できる科学技術者や研究者等を養成するため、一流科学者による講演、高校生の大学派遣及び理科設備の充実等を行う。こういうものを聞きましたら、やったね、いいねと言う方と、そういうものでこういう科学に寄せる好奇心が培われるものかどうかと、両方の意見があると思います。私は後者のほうですけれども、この事業に関しましては、英才教育をここでやるというふうにもとれるわけでございます。この事業によりまして生徒たちの中に埋もれている科学に対する好奇心、そういうものをはぐくんでいくことができるものかどうか、目覚めさせることができるものかどうかというのは、甚だ疑問な点がございます。
 そして、このニュートン・プロジェクト推進事業が事業化されるまでの経過というものを教えていただきたいということと、例えばこの事業はどこでどんな形で行うのかということも教えていただきたいと思います。

 6ページのふじの翼グローバルリーダー養成事業ですけれども、これをちょっと勘違いして済みませんでした。これは新規事業とありますので、新たに富士山静岡空港ができるから慌ててやったのかと思いましたけれども、これは平成20年度におしまいになった事業を継続していくものと受けとめてよろしいでしょうか。そうしましたら、平成20年度までの事業がどれだけの成果をおさめているかということをちょっと御説明願いたいと思います。

 次は、議案説明書の143ページの(4)県立学校等施設整備事業費、これは、中伊豆地区新構想高校――仮称――ほか4校で、伊豆総合高校と名前がついたようですけれども、大仁高校という1つの大きな歴史を終わりにして新たな歴史を生み出すということにおきましては、相当な覚悟と重責を担うものと私は思っておりますけれども、ここにおきまして幾つかの期待される点もございます。ここはある程度専門教員が必要なことと思いますけれども、その配置というのは可能なのか、既にそれは用意できているのか、そしてまたそういう方たちはどのような資格で参加することが可能なのかということをお聞きします。どのような資格でというのは大変難しいかと思いますけれども、修善寺工業高校の後の伊豆総合高校ですけれども、やはりあそこには匠の技とも言える寺社大工ですか、そういう者を育てていく使命があると思います。それを育てていくために専門教員というのは配置できるものなのかどうか、また外部から例えば宮大工の棟梁さんとか、そういう者をお招きする場合には、どういう資格でもってそれができるのかということでございます。

 158ページ、(2)文化遺産保存活用費ということで質問させていただきます。
 県は、富士山の世界文化遺産登録を目指した活動を盛り上げていくためのシンボルマークとキャッチフレーズ、「富士山の心を日本へ、世界へ」を発表しました。そしてこのシンボルマークは、県立美術館が所蔵する江戸時代の南画家、谷文晁作、富士山図屏風の富士山を基準にしております。あわせてスタンプも作成され、県庁初の郵便物や封筒に押印し、県内外にPRしているわけです。これが採択されたことを私は本当にうれしく思います。さすが県の職員の皆さんだなと思いました。
 この谷文晁という江戸時代の南画家は、我が郷土の韮山の江川邸に36代江川太郎左衛門――江川太郎左衛門というのはおくり名でございます――英龍さん、この方に大変かわいがられて江川邸にいました。そして、この方のことですけれども、「白河楽翁、谷文晁をして富士を描かしむ」と江川邸の裏門に札が出ております。この谷文晁が描いた富士山が世界文化遺産登録へのシンボルマークとなっております。この白河楽翁というのは老中松平定信公のことです。その老中松平定信公もこの江川邸を訪れて、江川邸から見た富士の美しさを谷文晁をして描かしめたというわけでございます。このように大変な文化を持つのが我が韮山であり、そして江川文庫でございます。
 県内には、江戸幕府の旧蔵書を引き継いだ葵文庫や、初代県知事関口隆吉の収集による久能文庫など歴史に名を刻む貴重な資料がございます。
 ところで昨年12月、NHK大河ドラマ「篤姫」が終了しないうちに篤姫ともゆかりのある関口隆吉初代県知事の足跡を訪ねようと文化芸術議員連盟で研修をいたしました。掛川市にある総合教育センターあすなろで県立中央図書館の所蔵する関口隆吉の収集による久能文庫に触れたときの私の気持ちは大変複雑なものでございました。そこに展示された資料の多くは、我が郷土韮山の誇りとする江川文庫に関連するものばかりだったのです。私どもはふだん江川文庫と気軽に呼んでおりますが、その文庫というものの意味するところの重さを思い知らされたのです。
 平成15年6月最初の一般質問に立ったとき文化財を取り上げましたが、そのとき当局では、文化財を取り上げたことはかつてなかったのではとか、一度しかなかったのではということでしたが、改めてこの江川文庫を中心に文化財とは何かという質問をさせていただきます。
 そこで、現在、何々文庫と称されるものは県内幾つくらいあるのでしょうか。
 そして、県がこのような文化財に果たす役割ということを教えていただきたいと思います。

 さて、葵文庫や久能文庫は県立中央図書館に保管されておりますが、これらはかつては個人の所有のものだったわけです。そして、その所有者個人から図書館に移管されたのかと思いますが、そのいきさつを教えていただきたいと思います。

 江川家の史料には、代官役所の公文書と江川家の私文書などからなる古文書類等多くの典籍、書画、工芸類、洋書、古写真、銃砲鋳造関連資料、さらに国の重要文化財に指定されている母屋を中心とする建造物、代官役所跡を含む1万平米を超える敷地、江川くるわと言われている裏山などまでさまざまなものがあります。これを財団法人江川文庫が管理運営に当たっているわけでございます。これらのうち膨大な量が保存されてきた代官役所文庫は出色の存在で、昭和40年代に整理された3,000点余りを江川文庫として公開が始まりました。整理が進められて現在では6,000点ほどの古文書が公開されています。
 今までに多くの研究者の方々が展覧会への出展並びに県、市、町、村史の出版に協力してきました。これらが今、文化庁の後援を得まして10年間計画で調査に入っているわけでございますけれども、その調査は3万5000点とも、現在では4万点とも言われているわけでございます。
 これに対しまして、当主、江川滉二先生は、これらの大変大きな、それこそ日本の歴史がすべてわかるというこの江川文庫をどのようにしていくかということで日々悩まれておられます。
 文化財の保存活用には相応の経費がかかると思いますが、文化遺産保存活用費2億619万3000円は適切な額と言えますでしょうか。
 文化財所有者は、指定された文化財の保存活用のために経費的にも大きな負担をしていると考えられます。例えば、先ほどお話ししましたけれども、県教育委員会が現在調査を進めています総数4万点の江川文庫所蔵史料につきましても、将来の保存活用を考えると、所有者の経済的負担ははかり知れないものがございます。しかしながら、ここに日本の歴史がある分におきましては、ほっておけないことではないでしょうか。こういった場合、どのような行政の支援が可能なのかお伺いいたします。とりあえず以上です。

○鳥居高校教育課長
 1番目の質問のニュートン・プロジェクトの経緯と、どんな形で実施されるのかという質問ですが、理数教育の充実につきましては、今回初めてこういうプロジェクトを上げるのではなくて、これまでも平成18年度からですが、科学技術教育研究開発推進事業、これは小学校から高校の教員まで含めた幅広い活動を行っていました。内容的には、高校生が小学校、中学校に出向きまして理科の実験を行ってみたり、また高校生による研究コンクールを実施したり、さらには教員の大学、民間企業等へ行きまして先端の技術を学ぶというような、そういう事業を平成18年度から3年間行いました。
 このような実践の中で、小学校、中学校の学習指導要領の変更が出てまいりました。そして、高等学校におきましても、昨年12月ですけれども改正案が出されまして、その中でさらに理数教育の充実ということがうたわれております。これを受けまして今までの推進事業が本当に要るのかどうか検討させてもらいました。
 また同時に、教育委員会が持っています理想の学校教育具現化委員会におきましても、理数教育について提言が出されました。その中では、特に理数科設置校において国が実施しているスーパーサイエンスハイスクール事業――これは磐田南高等学校と清水東高等学校が行っていますけれども――こういう新しい国の事業を県でも行うことができないかと、こういう提言もなされております。
 このような学習指導要領の変更、さらには理想の学校教育具現化委員会から出された意見をもとにしまして、もう1つ小学校、中学校におきましては、理科の専科教員の配置というようなことも出ていたものですから、今度は高等学校単独で少し考えてみようと方向性を変えました。そういう中で我々は具現化委員会の意見を尊重しまして、理数科の生徒を中心に科学者の卵を育てるような教育をしてみたいと思ったわけです。
 事業の内容ですけども、理数科設置校の清水東高等学校と磐田南高等学校は既に国の指定を受けておりますので、ここを除いた7校に対して予算をおろしまして、理数科の生徒たちが大学等へ行きまして研究室を見学したり、さらには課題研究等でその中身を深めるために必要な図書を購入したりとか、そういう計画を考えております。
 また、学校独自ではなく県主催の事業ですけれども、理数科の生徒を中心に科学に興味のある生徒を何人か募集しまして、その生徒たちをあすなろ等の施設を使って科学漬けにするような合宿を考えております。
 また、これは国のスーパーサイエンスハイスクール事業で成果が出ています何人かの生徒を大学の研究室に預けまして、ここで1週間ぐらい研究とはどんなものか、どんな方法でやるのか、そういう科学に対する姿勢を学ばせるようなことも考えております。
 また、平成基礎科学財団という財団ですけれども、ここには一流の科学者がいらっしゃるということで、そこから講師をお呼びしまして一般の方に対する講話等も考えております。
 経緯ですけども、学習指導要領の変更、そして理想の具現化委員会の提言を受けまして、今回こういう事業を我々は考えたわけです。

 それから、3点目の質問の中伊豆総合高等学校に対する覚悟と重責を自覚してもらいたいという質問の中で、専門教員の配置、例えば大工さんのような技を持った方をどういう資格で任用できるのかという御質問ですが、どういう学習内容を総合学科として企画するのかということは、準備委員会がありまして、その中において検討しております。そこで固まってきたものを高校教育課のほうへ出していただいて人事異動の中で必要な教員を配置していきたいと考えております。
 ただ、特殊な技術を持っている者の任用ですけども、免許状を持たない非常勤講師という制度があります。例えばスペイン語をある学校で教えたいというときには、専門学校勤務のスペイン語の教員を免許を持たない非常勤講師として学校が任用して、その授業のために週2時間、3時間雇うことができる。また中国語などを開講している学校でも柔軟な方法をとっております。
 したがいまして、委員の御質問にあったような資格につきましては、必要によっては教員と同じように生徒を教える力がある方を、免許状を持たない特別な非常勤講師として任用し、生徒への指導を行っていきたいと考えております。以上です。

○河合青少年課長
 ふじのくにユースリーダーの養成事業についての成果ということですが、まず初めにふじの翼グローバルリーダー養成事業ですけれども、本年度まで行っておりますユースリーダー養成事業との継続性が大変あって、国内と海外講座をやるわけですけれども、来年度初めて中国から青年を招いて相互交流をするということが新しく加わりましたので、ふじの翼グローバルリーダー養成事業ということで名前を変更し、新しく新規事業ということにさせていただきました。
 ふじのくにユースリーダー養成事業の成果ですけれども、本年度を含めて3年間やってきました。本年度につきましても年間8講座を行いまして、9月から5カ月間、国内においてはNPOや地域おこし、ボランティア、社会福祉に関する国内研修を7講座、中国浙江省や上海での社会福祉企業研修、ホームステイシンポジウム等、海外講座を実施してまいりました。国内講座につきましては、地域の中で自分たちができるボランティアにも参加をさせていただきました。その中で地域活動の基礎づくりをすることができたということ、海外講座の青年シンポジウムにおいては、お互いにそれぞれの国の青年の悩みでありますとか、これからやっていきたいことですとか、静岡県の考え方等をアピールしてまいりました。参加者からは大変よかったという声を聞いております。
 また、ユースリーダーの報告会を今週の土曜日に2会場で開催をさせていただきました。その報告会には、市町の行政の方、さらには一般の方にも参加をいただきまして報告会をさせていただき、その折にも成果を報告させていただきました。
 また、ユースリーダーの修了生には、今後いろんなところで活動をしていくわけですけれども、昨年までにつきましては、例えばわんぱく遊び塾ですとか、井川少年自然の家のリーダーを一緒に体験するですとか、NPO法人の中に自分が入って一緒に1年間継続して活動している等もありまして、地域の中核的なリーダーとして活動をしていることが報告されています。以上です。

○江間文化課長
 先ほどの質問で文化財の保存活用について、文化遺産保存活用費2億619万3000円は適切な額か、それから将来の保存活用について、所有者の経済的負担ははかり知れない。そこでどのような行政の支援が可能なのか、その質問にお答えをさせていただきます。
 文化遺産保存活用費のうち、国、県指定文化財所有者が行う保存修理等に対する補助金が1億8000万円余り、県内の文化財保護を目指す県が行う調査事業費が1600万円余りとなっております。
 補助金につきましては、関係教育委員会を通じて文化財所有者の希望を聴取した上で要求を行っております。県外では、この辺の予算が削られているところも出てきているというふうに聞いておりますが、本県の場合はほぼ要求どおりの額になっております。
 次に、指定文化財の保存活用に対する行政支援についてでありますが、文化財保護法では、所有者は文化財を適切に管理しなければならないとなっております。そのため国や地方公共団体は、指定文化財の管理、修理、公開等に関して所有者への補助を行っております。また補助金を得て行う場合でも、所有者個人が負担する部分があるため、民間の助成制度があり、県内では伊豆屋伝八文化振興財団等が行っております。県外にも幾つかそういう助成制度がありますので、そういったものの活用を呼びかけております。
 委員御指摘の江川文庫史料につきましては、幕末代官史料としては鎌倉から明治までの約900年に及ぶものであり、量、質ともに日本屈指の史料群であります。資料の性格上、耐震耐火構造はもとより高温高湿の条件下での保存が求められます。
 江川文庫史料の保存活用につきましては、先ほど委員も御指摘のように、現在平成14年から延べ9年間をかけて調査を実施中であります。1期目は、平成14年から平成18年まで主に東蔵を中心に調査をしました。第2期は、平成19年から平成22年までの4年間を予定して調査を実施しているところでございます。今後、文化財所有者の意向を尊重しながら、国、市と具体的な協議を進めてまいりたいと考えております。
 それから、県内の文庫は幾つぐらいあるかということですけども、今県のほうで保管しているのが、先ほどありました葵文庫、それから関口隆吉氏にかかわる久能文庫、それから小杉文庫、それからあと数はかなりあるということで、今正式な数字は出ないんですけど、寄贈されたものはすべて文庫という形で図書館のほうで整理してくれているようです。そのような形になっています。
 それから実際には、整理につきましては、今申し上げましたように図書館のほうで整理をして保管をしてくれているということです。一部あすなろのほうでも扱っている部分もあります。以上です。

○釋社会教育課長
 葵文庫と久能文庫が図書館に移管されましたいきさつについてお答えいたします。
 江戸幕府旧蔵書の葵文庫につきましては、明治5年の8月に静岡学問所が廃止されましたときに、これらの蔵書が静岡師範学校の静岡県立葵文庫へ移管されました。その後、静岡県立中央図書館へと順次移管されてまいりまして、昭和45年に葵文庫というふうに名づけられております。
 初代静岡県知事関口隆吉氏が収集いたしました蔵書であります久能文庫につきましては、隆吉氏がお亡くなりになりましてから、県立中央図書館設立に際しまして、大正10年に久能文庫といたしまして関口家御遺族様より寄贈されました。その後、大正13年、それから昭和4年、昭和56年、昭和59年と追加寄贈されてまいりました。以上です。

○小野委員
 ありがとうございます。
 まず、ニュートン・プロジェクトでございます。
 私の家の近くに順天堂静岡病院がございます。毎日元気にドクターヘリが飛び回っております。このドクターヘリのおかげかどうか、またテレビドラマ「ER緊急救命室」の影響かどうかわかりませんけれども、伊豆長岡にございます順天堂静岡病院には、ただいま研修医が46名を数えるほどの人気があるわけです。そういうことが医学に、またお医者さんになることに興味を持たせるものの一要因とも言えます。
 したがって、ニュートン・プロジェクトをすべて否定するわけではございませんけれども、ただいまのお答えというのは、教育委員会のお答えとして私はちょっと寂しいものではないかと思います。理想の学校教育、あるいは国のほうで理数科の指導をしなければならない、日本は理数科において大変おくれているのではないかということで検討され、導入されたというお話でございます。
 この中に、またいっときは生徒たちを科学漬けにするような合宿も考えております。研究室に預けることもどうでしょうかというお話で、それはまたこの順天堂のドクターヘリを望む青年たちの心情とも一致するのではないかとも思いますけれども、それを高校教育でやるのはどうでしょうかと私は思います。
 すなわちニュートン・プロジェクトのニュートンというのは、リンゴの実がおっこって何で下に落ちたのかという素朴な疑問を発したニュートンだということは有名なわけですけれども、最も大切なのは、やはり好奇心を育てる、やわらかい心を育てる、何でもやってみようという気持ちを育てる、ここが基本なのではないかと思うんです。
 本当にすばらしい「Eジャーナルしずおか」第17号、ここの「ぷりずむ」というところで静岡県教育委員会委員長の鍋倉伸子さんが「教室の片隅で」というエッセーを載せておられます。これは教育委員会の皆さんはもうお読みになったことと思いますけれども、虐殺されたモーツァルトというところをちょっと読ませていただきます。「感性と教育を考えるとき、『星の王子さま』で有名なサン・テグジュペリの『人間の大地』の一節が思い浮かびます。夜汽車で眠る一組の夫婦と幼い子に出会った作者は『これこそ音楽家の顔だ、これこそ少年モーツァルトだ、いつくしんで育てられたなら、彼は何にだってなれるはずだ!新種のばらができると、庭師たちはみんな心をときめかせる。だが人間のための庭師はいない。少年モーツァルトも、他の子供たちと同様に、型打ち機械の刻印を受けることになるだろう。自分を苦しめるものは、いわば、人びとひとりひとりのなかにある虐殺されたモーツァルトなのだ』とひとり考えます。子供たちは、好奇心いっぱいで、先入観のない素直な目で物事をとらえます。一人一人がはかり知れない能力を秘めています。豊かな感性を損なわずにどうしたら学力や社会性を身につけさせることができるでしょうか」
 ここで鍋倉伸子さんはこれに答えております。「私はまず、教える教員の感性が磨耗しないことを考えなければならないと思います。自分の感性がすり切れそうな人に子供たちの生き生きした感性にこたえることは難しいでしょう。教員が時間に追われず、仲間とよい関係を持ち、工夫した授業を子供とともに楽しむことができたら、『わかるまでしっかり教えてほしい』という児童生徒の要望――県教育委員会、学校を取り巻く実態状況調査、平成19年――にこたえることになると思います」とあります。
 このニュートン・プロジェクトすべては否定いたしません。科学技術教育研究ということを進めていきたいというのは、それもいいとは思いますけれども、ここにあるように、そのニュートン・プロジェクトにかかわる予算、こういうものはまず教える教員の感性が磨耗しないことを考えなければいけない。教員が時間に追われず、仲間とよい関係を保ち、工夫した授業を子供とともに楽しむことができる、これが基本ではないかと私は思うんです。こちらのほうをしっかり整えることのほうが大切なのではないかと私は思っております。
 これは意見ということになりますけれども、理数科教育を考えるときには、数字を追いかけるというものではない。こういう心を育てるということをまず基本に置いていただきたいなと思っております。

 次に、ふじの翼グローバルリーダー養成事業とユースリーダー養成事業ということです。ふじの翼と名前がつきますと、私は富士山静岡空港に寄せてのこれは1つのアピールかなと思うんですけれども、この相互交流が主体という場合には、相手の国の主催はあるのでしょうかどうかということです。こちらがお呼びして、そして来てもらって交流をします。これだけの事業かどうか、こういうことでいろんな静岡県を知っていただくのはとてもいいと思いますし、交流が今のようにユースリーダーが行われた成果ということは認めます。でも逆に相手国主催はあるかということです。ここにちょっと感じるのは、富士山静岡空港ができます、それは決して反対ではございませんけれども、ふじの翼グローバルリーダーというお名前には、それに迎合したにおいというか、響きがあるのではないかと思います。教育委員会は決してそういうようなものに迎合したりしてほしくないと思うから、この質問を出したわけでございます。
 飛行機を利用して世界各国へ行くのは、それは実にすばらしいことですけれども、やっぱり基本は何かということを見失わないで、ぶれないでやっていただきたいと思っております。

 3番目です。伊豆総合高校の関係ですけれども、講師として任用するということで、それは今準備中ということです。しかし例えば、県内には総合教育、あるいは芸術教育、そういうものが生まれてきつつあります。そういうことで生徒さんたちが学校へ行きたい、そして仲間づくりをしたい、そういうものを側面から引っ張っていくということは、これはこれで悪いことではないと思いますけれども、必ず芸術教育、それから技術教育にはしっかりした専門家が基礎をやってくださらなければ困ると思うんです。そちらを卒業しまして大学の専門課程へ進み、そして大学の専門課程で基礎を学ぶということはどういうものかなと思うんですけれども、高校の時代に講師としていろんな方を任用したりするときに必ず基礎をきちんと教えていただけるようなということを失わないでいただきたいと思います。

 さて、江川邸のことですけれども、先ほどお答えにありました。ありがとうございます。今までも埋蔵文化財の予算というのはかなり韮山の部分に使っているということは私も知っているわけでございますけれども、900年間の歴史を持つ江川文庫には、日本屈指の史料群があるということ、これはもう本当に日本中にアピールしていただきたいなと思っております。韮山に行けば、日本の歴史がすべてわかる、こういうものでございます。
 そして、ここにおきましては、この研究を進めることによって恐らくおびただしい研究者が伊豆半島に押し寄せてくるということは期待できるわけでございます。こういう研究所、そして資料館、それから埋蔵文化財の博物館、これらは県としてお考えいただけるものかどうかということをちょっとお答え願います。すべてそれはできますとは言えないことですけれども、どういう形で努力をしていけばそれができるかというところまでは、お答え願いたいと思っております。とりあえずお願いします。

○河合青少年課長
 ふじの翼グローバルリーダー養成事業のことで、相手国主催はあるかということの御質問にお答えします。
 具体的な日程につきましては、今後、詳細は調整をしながらやっていくということになりますが、お互いに相手の国を訪問するというのが今度新しく加わりましたので、中国に行ったときには、向こうが主催をしていただけるというふうに現在のところは思っております。そして静岡に来たときにつきましては、こちらのほうで主催をしていくということになります。ただお互いに費用につきましては各自負担をするということですので、相互にいい主催の交流ができたらいいというふうには思っております。
 また、空港利用につきましても、せっかく富士山静岡空港ができますので、あそこを利用して行くということを考えております。以上です。

○江間文化課長
 先ほどの資料館、それから博物館につきまして、どう努力したらいいかということですけど、まず資料館につきましては、現在、先ほど申し上げましたように調査をしている最中ということで、まずはこの史料について調査を終えるということが必要かと思います。その中で今現在も調査には文化庁からも参加してくれておりますので、その重要性については、国のほうも十分認識しているところです。その結果によって、また重要文化財の指定につきましては、所有者も含めて伊豆の国市とも調整を図りながら検討を進めていきたいと思っております。
 それから、博物館につきましては、今現在静岡県には博物館というものはないわけですけど、今後、教育委員会だけで考えるというわけにもいかないものですから、我々はそういう必要性等を前々から意見をいただいているところですけど、事務局との調整もあると思いますので、そういったところでの進め方、あるいはどういった形での整備が必要なのか、いろんな意見もまた寄せていただければと思います。よろしくお願いします。

○小野委員
 フジテレビがございます東京のお台場を皆さん御存じだと思いますけれど、あのお台場も36代江川太郎左衛門英龍公がつくったものです。当初7基の砲台をつくるつもりでしたが、都合によって5基しかできなかったというところはございますけれども、このお台場だけではなくて、この伊豆や静岡周辺におきまして、江川太郎左衛門英龍公の足跡というのはものすごいものでございます。これをもっともっと広めていかなければならない、知っていただかなければならないということがございまして、きょうあえて長々と質問をさせていただきました。
 例えば、お台場とのタイアップでこれらの予算の何割かをとか、あらゆることを考えますと、パン協会、あるいは砲術、そういうものでタイアップもできますし、長崎とのタイアップもできます。日本中とのタイアップができていく。そしてロシアの「ディアナ号」難破の後、ロシアの帆船「戸田号」をつくったことによるロシアとの交流をも含めまして伊豆の中央に本当に世界に発信できる歴史のとりでをつくらなければならないと思うわけでございます。江川家の4万点の史料の中には、国宝級、そして1,500点は重要文化財が含まれているというお話がございますので、ぜひともこれからお願いする次第でございます。
 最後に、江川滉二江川文庫理事長のごあいさつというのがございましたので、これを読ませていただきます。「江川一族と、それを取り巻く人々は、900年の長きにわたってこの土地に住み続けてきました。この歴史とそれを支えてきた文化遺産、そしてその中で行われてきた事々の記録を後世に向かって伝え守っていくのが、財団法人江川文庫の責務です。そのためには、多くの方々にこの歴史遺産をごらんいただき、その価値を認識していただくことが重要です。江川文庫は文化庁、静岡県、並びに伊豆の国市の御協力のもとにそのための事業を行っています。ぜひ皆様方に御関心をお持ちいただくよう、希望しております」ということです。どうかよろしくお願いいたします。以上で終わりといたします。

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