本会議会議録


質問文書

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平成25年9月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:伊藤 育子 議員
質疑・質問日:10/08/2013
会派名:自民改革会議


○竹内委員長
 休憩前に引き続いて委員会を再開します。
 質疑等を継続します。
 発言願います。

○伊藤委員
 お願いいたします。一問一答でいきます。
 先ほど5番委員からありました議案第129号の強い農業づくりにつきまして、私のほうも質問を用意していたんですけれども、ほぼ理解できましたので、1件だけ要望を申し上げます。これは5事業者が採択されたわけなんですが、その陰には落ちた人たちがいっぱいいるわけですよ。我が島田市だけでもかなり落とされているわけですね。
 そうしますと、もうここのところでああいうふうな落とされ方をすると、夢も希望もないというふうな状況であったんですが、ここで、白井茶業農産課長が頑張ってくれまして、何とかその次にもう1回出すチャンスをいただけたということで、本当に夢と希望を持ち直したわけです。
 ですから、県の職員っていつでも言われていることは、だめな理由を探す、落とす理由を探す、だめな理由を探して、はいだめって切るのが仕事みたいに思われているところがあるんですが、やはり今回のように生産者の立場で何とかあの国の予算を一緒にもらおうじゃないのという立場での御尽力をいただければ、本当にありがたいと思いますね。
 あのお茶の人たちは本当に喜んで喜んで躍起になっています。たったそれだけでですよ。だから、その方向でぜひともよろしくお願いいたしますということをまず要望しておきます。

 産業委員会資料の18ページの同じく茶業です。
 茶業経営体質強化を10の工場で実施というふうなことがございました。今年度、茶業経営強化のためのモデルですよね。これらの工場につきましては、各種改善策を検討しているということでありますが、これらの検討状況はどうなんでしょうか。
 来年の新茶の収穫、それから販売に生かされる見込みについて具体的な話をお伺いしたいなと思います。またその経営安定に本当につながっていく話なのか、どうなのか。ただやらなきゃならないからやるというふうになっていないのかどうか、その見通しについてお伺いいたします。

○白井茶業農産課長
 茶業経営体質強化事業についてお答えいたします。
 これはプロジェクトチームということで、県や市町、JA、専門家が入って、今年度は10工場を定めてモデル的に、ハード事業の整備とかいろいろ支援してきたところでございます。さらにソフト面で、農家の経営感覚を改善するとか、それから農地の集積やコストの低減、マーケティング、販売戦略までを含めて進めていっているところでございます。
 具体的な事例では島田市の菊翠茶農業協同組合などは、ばらばらな生産方法なものですから、いいお茶がとれないというのが一番大きな課題でした。それをみんなで共同で生産することによっていいお茶をつくろうということです。
 それから牧之原市の有限会社八太田というところは、製茶業ですが、下の組織が基本的にはばらばらで、それぞれ生産しておりますので共同化していくと。そういう中で牧之原市の高柳製茶とタイアップしている牧之原茶農協については、基本的にはお茶屋さんと組んでいいものをつくって高く売っていこうということをにらんでおりますので、ある意味では早目に成果が出やすいのではと思っております。
 ただ、この共同製茶のプロジェクトというのは、農家の意識改革とか今までの組織の経緯からいって、そう簡単に変わらないところもありますので、そこは少し時間をかけてやっていかなければいけないというところもあります。
 そこは御容赦願って、我々としては来年に向けて、また進めていきたいと考えております。

○伊藤委員
 茶業農産課長のおっしゃるとおりで、これにつきましてはもう取り組み始めてから何年になるんでしょうというふうな状況ですよね。意識改革というのが何よりも一番難しいと思うんですが、わかっているけどやめられないみたいな、そうなんですよ。こういうところに問題があるんですね。でも、何かこういう1つのきっかけがあれば変わると思いますので、ぜひ、せめて共同摘採ぐらいができるように、ここのところで頑張り続けていただきたいということをここで要望しておきますね。

 その次が世界お茶まつりです。5月に春の祭典がございました。大盛況だったわけなんですが、秋の祭典というのはどういう特色、春とどういうふうに違うのか。春やってまた秋。今度は何をやろうというふうなことなのか。それについてまず教えてください。

○白井茶業農産課長
 秋のお茶まつりについてお答えします。
 春のお茶まつりにつきまして、春の美しい茶畑に、消費者に来ていただいて、お茶のよさをわかっていただく、それでまたそういう中で新茶を楽しんでいただく、実際2万8500人の方がいらっしゃって、天候に恵まれたこともありまして、成功に終わったということでございます。
 またその中で各産地のお茶を集めさせていただきまして、どういうお茶が実際好まれて売れるのか、実際に売ってみて、売れるのかどうかというのがわかりましたので、それをまた産地のほうにフィードバックして返したいと思っております。
 秋の祭典については、今回のテーマはお茶を楽しむということで、これまで以上に消費者に緑茶の魅力、お茶の魅力を伝えるということでございます。
 特にこれはグランシップで行うということもありますが、その中で一番大きなテーマとして、新しいお茶の文化を提案してお茶を飲む層を広げていこうということであります。産業委員会資料21ページのところにも書いてありますが、一番大きなものはお茶を売り込むためのワールドO―CHAメッセということで、お茶やお茶の関連商品で既に今、160ほどのブース申し込みが集まっておりまして、お茶関係だけでも120ほど出展していただけるということになっております。
 またジェトロとタイアップして海外のバイヤーも来てもらいますので、そこでお茶を売り込むというのがあります。
 それからお茶の文化のプログラムでは、先ほど申し上げたとおり、現代社会の中でお茶を楽しんでもらう、文化をここから発信して提案するために多くの方にお茶を飲んでいただくということが必要であろうということで、ここを中心にやっていきます。
 それから学術のプログラムでは、お茶の機能性、効用が注目されている中で、世界の最新の情報を集めて発信し、お茶のよさを伝えていく。春の祭典につきましては茶畑のよさをアピールして消費者に来てもらって、静岡の魅力を伝えるということを主にしましたが、秋はより国際化、またお茶の文化性を高めて、お茶の魅力を静岡から発信することに力を入れていきたいということでございます。以上でございます。

○伊藤委員
 確かに春の祭典はあの茶畑の中で、それも一番きれいな時期ということもあったんですが、秋の祭典の盛りだくさんの内容についてもわかりました。しかしながら、いずれにせよ、このイベントが一過性のものであってはならないと思うわけですね。
 というのは、生産者の声というのは、一体あのお茶まつりというのが我々にどういうふうに影響があったのかと。第5回になるわけなんですが、このお茶まつりをやることで生産者にどういう利益があったのか、実際数字で何がどう変わってきたというふうな成果を説明することができるんでしょうか。お願いします。

○白井茶業農産課長
 世界お茶まつりは5回目を数えるわけでございますが、1つの大きな目的としまして、ここではお茶の新商品がデビューするということがあります。今まで静岡のお茶は深蒸し、「やぶきた」が主力でございましたが、新しい商品が出てきております。
 各産地の持っている地域ブランドがそこで紹介されたり、最近では発酵茶、また後発酵茶みたいな微生物の発酵茶も入ったり、新しい商品、静岡型の粉末茶が出てきたり、そういう新たな分野のデビュー、またそれが商品として出ていくということがあります。
 それから、お茶の新しい文化の提案については、生産者にどれだけフィードバックするか、ちょっと難しいところがありますが、やっぱりお茶の消費をつくらないといけないということで、お茶を楽しむ文化で飲んでもらう方を多くつくることが最終的に生産者にはフィードバックされるだろうと思っております。
 あと、機能性、効用も同じように間接的な要因でございますが、最終的には生産者に恩恵ができるように、お茶の魅力を伝えるということでございます。以上でございます。

○伊藤委員
 はい、ありがとうございました。
 確かにおっしゃるとおり、一番茶だけでは勝負ができないと。二番茶、三番茶で一番茶と同じような収益を上げるということを目的として、発酵茶のラインですね、茶業研究センターにつくられたということは確かにあります。これはお茶の文化の層を広げるということも、また考えられるわけなんですが、こうやって5回のお茶まつりを経て、消費量というのはどれだけふえているんでしょう。

○白井茶業農産課長
 お茶の普通のリーフの消費量というのは御存じのとおり余りふえていない、逆に減っているということです。新たな商品として出てきたのがペットボトルですが、それはかなり伸び、一定レベルまできたということです。実際、リーフで飲む、急須で飲むお茶というのは飲まれる年齢層も50歳以上ということで、若い人は飲まない。しかし、ペットボトルは若い人から年配の方まで飲まれて、新たな商品ができたということがあると思います。
 お茶の需要全体についてリーフのお茶は減少傾向でございますが、お茶の持っている可能性とかほかの商品をつくればまだまだ伸びる余地はあるというふうにも考えておりますので、その辺の可能性を探りながら進めていきたいと考えております。

○伊藤委員
 はい、ありがとうございました。
 何せ頑張っていただくしかないと。ミカンが追い越され、シイタケが追い越され、それでイチゴはやられてというふうな状況では、もうお茶しかないと。お茶で1番をとるしかないというふうな状況ですので、何とか頑張り続けていただいて、特に二番茶、三番茶からできる、今言う香りを主としたお茶なんていうのは、見かけが違わないとは言えると思うんですね。
 例えば、中国のお茶を見てみますと、600種類のお茶の全部形が違うじゃありませんか。長いのから短いのから、丸いのから三角形のから。ああいうふうに味が違うのであれば見かけも違うと。
 特に二番茶、三番茶からできる発酵茶なんていうのは、それは確かに色も違います。だけど見かけを変えて、これは何って思うような、そこら辺まで頑張っていただいて、ぜひ二番茶、三番茶も一番茶と同じように収益が上がるような御尽力をお願いしたいと思います。以上要望です。

 次にいきます。今度はお酒です。日本酒にいきます。
 あの「誉富士」ですか。これは栽培面積がどんどん拡大していって、それで生産量、醸造量ともに伸びていって、消費者の人気が高いということなんですが、実際日本酒を飲む人が減ってるじゃありませんか。飲み会をやっても、日本酒って言う方は、あまりいないでしょう。
 昔はみんな日本酒だったのに、ということですよね。そうしますと、その「誉富士」がどんなにすぐれていようとも、こういう状況の中で、本県で生産されるこの日本酒の振興を図るのは大変困難な状況であると思うわけです。
 それで、PR活動を行っているとここに書いてありますが、静岡県誉富士の普及推進協議会、これについては、今後県としてどういうふうな振興の方法を支援していくというおつもりなのか、それについてまず伺います。

○白井茶業農産課長
 「誉富士」の振興方法でございます。静岡のお酒というのは非常に水がいいこと、それから静岡の酵母ができたこと、それから今回の「誉富士」という地域に適した品種をつくったこと、この3つの要因で非常にいいお酒ができました。それからこの「誉富士」というのは4合瓶で1,300円ほどということで非常にリーズナブル、味の割に安価だということで、今は24蔵ほどつくっていただいているところでございます。
 これらのPRの方法の考え方でございますが、今、委員がおっしゃったとおり、酒造会社、県生産組合、生産者、流通会社、みんなが入って普及協議会をつくり、統一のブランド――ブランドといいますか、商標をつくって売っていきましょうということで、初めて静岡でできた仕組みだというふうに思っております。こういうことで、1つのものを持って県外にもPRできるということです。
 また、お酒のPRについては、年配の方はよく飲まれるのは存じ上げているわけですが、若い人、特に若い女性に飲んでもらおうということで、我々の取り組みとして「誉富士」の地酒で女子会とか、それから日本酒の魅力をお茶とともに蔵をめぐって伝えようということをこれまでしてきておりまして、非常に好評だということでございます。
 また本県の農産物や水産物も豊富でございますので、そういうお酒と地元の食材を合わせて和食を楽しむということも提案しながら、「誉富士」の需要拡大に努めたいということで、特に若い人たちをターゲットに進めていきたいというように思っております。以上です。

○伊藤委員
 はい、ありがとうございました。
 確かに難しい状況の中で、地元の農産品との組み合わせというのは、我が島田市の大村屋がやっている、もう何年か続けている方法なんですが、それにしても需要の拡大というのはまこと難しいんだろうな思います。若い人をターゲットにというのはいいかもしれないし、女子をターゲットにというのもいいかもしれません。
 試飲をできることならお願いしたいような声もございますけれども、そんなにおいしいものであっても、私はやはり地産地消だけじゃもう広がらないと思っているんですよ。
 日本酒は結構海外で人気があるじゃないですか。韓国のジンロを安くてうまいというのでかなり飲んでらっしゃる方がいらっしゃるようなんですが、逆に海外を狙って出せないかなと思います。
 またFDAあたりに頼んだり、JALとかANAとかの機内でもまず飲んでいただいてというふうな方向もぜひ考えていただいて、せっかく静岡県がつくったものですので、うまくこの販路を開拓して成功してほしいと思います。
 また、静岡県が開発したもので成功したという事例が今までありますか。だって、「紅ほっぺ」だって失敗でしょう。「章姫」だってだめだったでしょう。うまくいったケースってないじゃありませんか。あったらまた後でこっそり教えていただきたいのですが。今のは、ぜひ成功させていただきたいという祈りを込めての質問だったんです。ありがとうございました。次にいきます。

 総合計画評価書案を見せていただきまして、この気になるのはCの5つですよね。今後の展開も見せていただいているんですが、このCの項目については、誰もが活躍できる就業環境の実現という柱なんです。この柱について今後どういうふうに取り組んでいってこのCを克服する見通しを持ってらっしゃるんでしょうか。それについてお伺いいたします。

○石川就業支援局長
 委員御指摘のとおり、私どものところが全部Cというのも、経済産業部の評価を下げているようで、非常に肩身が狭い思いをしております。
 この総合計画評価書案131ページにも書かせていただいたとおりなんですけれども、この5番目の誰もが活躍できる就業環境の実現というのは柱が3つございまして、1つは雇用の創出と就業支援、それから仕事と生活の調和、やはりワーク・ライフ・バランスの実現、それからものづくりとものづかいを支える人材の育成の3本柱でやっておりますけれども、その全ての項目の数値目標にCが入っておるものですから、一層これからも一生懸命取り組んでいかなければならないなと感じております。
 1番目の雇用の創出と就業支援につきましては、指標の1つである新卒者の就職内定率は回復傾向にあります。しかし、障害者の雇用率が少しずつ上がってきてはいるんですけれども、まだまだ低く、ことしは障害者法定雇用率が2%に上がったということもございまして、非常に厳しいということでC評価になりました。
 これはやはり企業の方がその気になっていただかないと始まらないもんですから、やはり企業への取り組みを強化するということと同時に、障害がある方に対して働く機会をつくったり、職場に定着したりしていくこと、これを支援するということで、ことしもいろいろ事業を拡大しております。
 そういったことを今後とも、企業とそれから障害のある方両面の支援によりまして、取り組んでいきたいという方向で考えております。
 それから2番目のワーク・ライフ・バランスの実現、これもずっとやっております。指標に掲げておりますのが、残業時間、年間の所定外労働時間、それから育児休業制度を就業規則に規定している企業の割合等ですが、これも目標に達していないものですからC評価ということになっています。
 これも、なかなか企業の方、あるいは従業員の方に理解が進んでいないということがあると思いますので、指標も含めて何ができるかということを検討していくところでございまして、引き続き今後とも、次期の基本計画にも1つの大きな柱ということで掲げさせていただきたいと思っております。
 それから、人材の育成でございますけれども、企業の海外展開や、技能者数そのものが減っております。これからの静岡県のものづくり産業を支える人材の育成ということからいうと、一定のレベルを持った指導者がいていただかないと困るものですから、取り組んでおります成長産業分野の訓練などについて――これは電気自動車関連などいろいろやっているんですけれども――そうした技術専門校で各種の講座の充実をしています。また工業高校へ熟練技能者を派遣して、若い技能者を育てようというような取り組みもしておりますので、こうした形で技能者のレベルアップにも積極的に取り組んでいきたいということで、またこれからも一生懸命やっていきたいと思います。以上です。

○伊藤委員
 わかりました。一生懸命やれば上がればいいんですけど一生懸命やってもやってもというところがあるんじゃないかと思うんですね、この分野というのは。
 ただ、今、お話を伺っていて気になったのが、雇用推進課長が一生懸命答えてらっしゃった雇用の問題ですよね。その雇用の問題も確かにさることながら、有効求人倍率が全国27位で順位が上がらないというふうな問題もあるんですね。
 逆に意識の改革が難しいということであれば、先ほどの話じゃないんですが、意識改革をするきっかけをこちらがとにかく打っていくというふうな必要があるんじゃないか。
 そうしますと、例えば前回私が指摘させていただきました赤字企業率の問題です。2年連続で赤字企業率が全国1位だということですね。
 全国一を何とかして模索していく静岡県としては、それはうれしいと言えばうれしいのかもしれない。3番、4番というよりはこれだってもう1番のほうがいいじゃないかというふうなお考えもあろうかと思うんですが、私は推移、トレンドを調べてみたんですね。
 赤字企業率の推移を調べてみたところ、確かにリーマンショックがありました。それで先ほどから御説明がありましたように、静岡県の産業というのは特色があるからだっていうふうなことで納得いかないわけではないです。
 ただ、同じような産業のタイプである愛知県がリーマンショックに一緒に沈み込んだにもかかわらず、愛知県は浮き上がってきたじゃありませんか。
 だとすると、静岡県の中小企業に対する支援、静岡県独自の、国ばっかり頼りにすることはできない静岡県独自の手当が必要なんじゃないかなと思いますよ。だってこの5年です。この2年はワーストワンです。だけど、どんどん赤字企業がふえてきているというのか、この5年ですよね。
 そうしますと、もう既に愛知県はここのところを克服して、それで有効求人倍率も全国2位になっているじゃないですか。うちは27位のまんまだと。とすると、この違いは一体何だというふうにまず分析してらっしゃるのか、それについてお伺いいたします。

○望月商工業局長
 6月定例会の産業委員会でも、この点についてのお話がありました。やはり赤字企業が多いということは県税収入も入ってこないということで、赤字経営を黒字転換するということが非常に重要だと考えております。
 そのため、成長分野への進出支援だとか、また経営革新によって新事業、新製品開発、また新サービスの提供、こういった売り上げを伸ばす取り組みを進めることと、やはり収益を生めるような企業体質になっていただくということで、経営改善計画の策定などを通じ、企業がもうかる体質になっていただくと、こういったことを進めております。
 愛知県との比較でございますが、確かに愛知県もトヨタを中心とした自動車産業が大きな産業でございます。ただ、名古屋市を中心にかなり都市的な産業も多いですし、多彩な産業群がございます。それに比べて、本県はやはり製造業に依存する割合がやはり愛知県よりも高うございます。
 最近の数字を見ますと、円安に伴って、大企業のほうは大分収益が上がってきているわけですけど、まだそれがやっぱり下請企業に届いていないということでありますので、我々としては景気の変動の影響を受けにくいような産業構造に転換していくということが重要だと考えています。
 ただ、それについてはやはりなかなか一朝一夕にはできないということですので、そういった努力を引き続きやっていきたいと考えております。以上でございます。

○伊藤委員
 今、お伺いした、例えば経営革新計画の承認件数が静岡県は全国1位です。これが全国1位で、この成果が出るというのは、まだ少し先だということですね。だから多分期待して待てということです。
 しかし、静岡県の産業のタイプに合った支援というもののあり方があるじゃないかというふうに思うんですね。例えばこの新成長戦略を見てみましても、研究開発に関する支援というのは非常に手厚いという感じは受けます。
 しかし、実行の段階では中小企業の場合は研究は研究、ラインはラインというわけにいかないのが現状です。中小企業というのは、みんな一緒なんですよ、どうせ人はいない、金はないという中でやるわけですから。ですけれども、実際彼らの声を聞きますと、研究開発はわかったと。じゃあいよいよ設備投資をやろうじゃないかということで、設備を整えようとすると、それに関する補助金はまるっきりないということです。
 中小企業がこんなに弱い、赤字企業がこんなに多いというこの静岡県の体質であれば、そこら辺の中小企業のニーズにきちんと答える支援というのが必要じゃないかと思います。
 特に彼らが求めているのは、その設備投資への助成ということなんですが、これについてはどうなんでしょうか。

○望月商工業局長
 設備投資につきましては、県の制度融資の中で低利の融資を行っているとともに、設備貸与、無利子、こういった制度もございます。
 また、企業立地の補助金の中におきましては、一定の額以上の設備投資についても対象としております。
 そういった形で企業が設備投資がしやすいような環境整備に努めているということでございます。以上です。

○伊藤委員
 ちょっと弱いんじゃないかと私、思うんですね。例えば京都府の場合なんかは、京都企業設備投資支援事業といって、設備投資への助成をしているんですね。融資ですとこれは返さなきゃならないですね。でも、助成という事業を展開して、そして中小企業を支援しているわけですね。
 赤字企業が全国1位を誇るような静岡県で、そこのところに徹底してやったということはできないですか。経営革新計画は全国1位ですから、あと何年後には必ず赤字企業がどどーんって減っていくということは期待します。でも注射をばんばん打つっていうのか、そういうふうな事業が必要なんじゃないかなと思うんですが、これについては無理ですか。

○望月商工業局長
 以前から、非常に本県の経済が厳しい時期について、そういった議論があったことは確かでございます。また、今、伊藤委員のほうからそういった御提案もございました。設備投資に対する補助というのが、企業の資産形成に対する補助という形になるもんですから、その辺がどこまでやれるのかということは検討する必要があるものですから、また検討させていただきたいと思います。以上です。

○伊藤委員
 ぜひ検討をお願いしたいんですね。中小企業に対して例えば京都府のさっきの事業の場合は、100万円から上限1億円までということでやっているようです。もしそれがだめだということであれば、せめて今度は工業技術研究所というのがあるじゃないですか。あそこでいろんな設備を貸してくれるっていう事業をやっています。一体どういう機械が借りられるのか、その情報がまるっきり来ていない。
 京都府の場合は、起業するその機械設備ですね。それを県がそろえるという事業もやっています。そしてそれを貸与するというふうな事業もやっているんです。
 あるものを使えというのではなくて、この時代に必要な設備を県が整えて、それを貸与するというふうな事業もやっているわけです。やはりこれだけワーストワンだなんていうのが2年も続きますと、中小企業を何とか盛り上げるようなきめ細かな彼らのニーズに合った支援をしていく必要があるんじゃないかなと思うんですね。

 それからもう1つ、知的資産経営報告書というのについては、静岡県はどうなっているんでしょうか。

○三須経営支援課長
 知的資産経営報告書の件でございますが、この報告書につきましては、各事業者が独自に経済産業省のほうに提出をするというものでございまして、本県の状況については、ちょっと私どものほうでは把握はできていない状況でございます。

○望月商工業局長
 工業技術研究所における設備についてですが、例えば工業技術研究所に食品関係のパイロットプラント、これは試作品をつくれるような機械がいろいろ置いてあるんですけれども、そういったものを開放して利用していただいております。また、共同研究という形で工業技術研究所が企業と一緒になって、ものづくりについて研究するとか、また設備の開放について、工業技術研究所のほうも積極的に努めているところでございます。
 我々としてもより多くの企業が使いやすいような形の対応を工業技術研究所のほうにも要請しているところでございます。以上です。

○渡辺商工振興課長
 知的資産経営という言葉は国のほうで推奨しておりまして、会社の経営方針と知的資産を明らかにして、オープンにして報告書をつくると、つくって経営を明らかにして企業がもうかるということを勧めているというのが今の実情であります。
 京都府では中小企業応援条例をつくって、県独自で推奨しているということでありますが、本県においては元気な企業実態調査を実施して、県がみずから、職員が非常に経営的にすぐれている企業経営者を毎年50社ぐらい訪問して、それを冊子にしてPRしています。本県の企業がすぐれているということを県が実質的にPRの部分を担っているということでありまして、京都のやり方もありますけれども、それは義務ではなく、うちはうちのやり方で中小企業の経営のPRを積極的に進めておりますので、そういう意味では決して遜色のないことはやっております。以上であります。

○田中商工業局技監
 先ほどの商工業局長の答弁に補足させていただきます。
 工業技術研究所が所有する機器については、全てホームページ上で公開しているほかに、ふだん御利用いただいている企業を登録して、年に3回か4回ぐらい、新しい機器が入るたびに、こういう機器が入りましたというお知らせを郵送で送らせていただいております。以上でございます。

○伊藤委員
 今、御答弁を伺いますと、知らないほうがばかだと、何で知らないんだ、みたいなね、これだけやってるじゃないかというふうな御答弁でした。
 しかしながら、鉄鋼組合の組合長が知らないということでありますので、やっぱりその周知を図ったということにはならないんじゃないかと思うんですね。
 もう少し何か情報提供というその方法について御検討いただけたらありがたいというふうに思います。

 それから、知的資産経営報告書についてなんですが、遜色がないっておっしゃったんですが、成果が上がるんでしょうね。問題は成果です。
 赤字経営の赤字企業がどれほど少なくなるのか。静岡県は今から5年前までは一切ワーストテンに入ってないじゃないですか。入り始めたのはこの5年ですよ。
 8位になり、それで7位になり、いまや1位。そして1位が2年も続いています。
 そんな中で、その知的資産経営報告書というのも、これまた非常に有効だと思うんですね。ですから、これを制作した企業については何らかのメリットがあるということはあるんですか。

○渡辺商工振興課長
 京都府のほうでは、知的資産経営報告書をつくって、つくった企業に対しての表彰とか、それからそれに対しての支援策ということはやっていると伺っています。
 本県は先ほど答弁しました元気な企業訪問調査ということで職員がみずから行って、元気な企業を訪問しているということです。
 また企業に対しての経営革新の補助金は用意してありますし、新しい商品、サービスをつくったところに対しての補助金も用意してあります。
 産業振興財団のほうでも、先ほど委員がおっしゃったように、研究開発が中心かもしれませんけれども、それ以外にも中小企業が新たに業務拡大をするときの設備貸与事業、設備資金貸与となども用意してございます。
 そういうものを紹介しながら、企業を支援していくという仕組みは、京都府の方式はもちろん1つのやり方でございますけれども、本県は県がみずからPRをしながら、その事業を使っていただくという意味で、十分な対応ができているというふうに自負をしております。

○伊藤委員
 こちらにとっては十分でも、あちらにとっては十分じゃないということだってあるわけですよね。何かをやってくださらなければ、ただ来られただけではどうということはないんですよ。
 元気な会社を訪問したからって本当に元気が出るものでもないし、県なんて来られたらかえってうるさいくらいで、何かそれでああ来てもらってよかった、みたいなものがなければ、ただ来るだけじゃしょうがないんです。

○渡辺商工振興課長
 我々もその元気な中小企業を訪問するときに、お忙しい時間をとっていただいて、まことに申しわけないということで、そういうときには県のいわゆる施策とか公益財団法人静岡県産業振興財団が持っている支援策をPRして活用してもらうような形でやっておるつもりでございます。お時間をとらせてもらって、それを、その企業への例えば就職などの支援にもつなげていきたいと思います。
 我々の調査は何のためにやっているかというと、その企業の皆さんが発展するためにやっていると繰り返していきたいと思います。以上であります。

○伊藤委員
 ありがとうございました。
 まさか赤字企業をつくるためにあなた行かないでしょうよということですよね。頑張っていただきたいと思います。

 もう1件、この新成長戦略的育成事業の中に販路開拓アドバイザーの派遣という事業がありますよね。この実績はどのぐらいなんですか。

○梅藤新産業集積課長
 販路開拓アドバイザーですけれども、商品開発やデザインなどの製品企画ですとか、技術相談等、中小企業に対応するために派遣しているわけでございますけれども、平成24年度は申し込みが12社からございまして、計21回対応いたしました。今年度は8月末までに5社から申し込みがございました。以上でございます。

○伊藤委員
 はい、ありがとうございました。
 先ほどから商工振興課長が京都府のことをおっしゃるので、私も京都府の例を出すんですが、新製品を開発したら、それを京都府の場合は県がまずとにかく引き取って、その販路の開拓に県みずからが関与するというふうな事業があります。
 我が静岡県の場合は、このアドバイザーというのは、アドバイスをするために行くだけの話なんでしょうか。販路の開拓にどういうふうにこれが貢献している事業なのか、ちょっと教えてください。

○梅藤新産業集積課長
 少なくとも技術開発と販路開拓、全て専門の者が行って、企業の要望に沿ったアドバイザーを派遣して、それに要望に応えるという形で対応してございます。以上でございます。

○伊藤委員
 はい、ありがとうございました。
 とにかく中小企業を何とかしなくちゃいけないというのが、我々の静岡県の最大の課題であろうと思いますので、それぞれの立場で頑張っていただきまして、来年はとにかくワーストワン脱出というふうなことでよろしくお願いしたいと思います。

 次にファルマバレーについてちょっとお伺いしたいのですが、このファルマバレーについては、特区ということでさまざまな優遇策があるんだろうと思います。
 まず何よりも気になっているのは、研究分野とか商品開発とか、そういうものならいいんですが、生産拠点となるとかなりの面積を必要とするわけなんですね。
 ところが、実際にはファルマバレーに進出しようとする企業が結局は土地が確保できなくて、それで山梨県に行ったとか、もう1つは長野県に行ってしまったとかいうふうな事例があるわけですね。この土地の確保について、どのような取り組みをしてらっしゃるのか、まず1点。

 それから、さっきから人材育成ということが出ているんですが、ちょうどここに産学官連携担当の理事がいらっしゃいますのでお伺いするんですが、産学官連携づくりのファルマバレーでの実績をお伺いしたいと思います。

 それから、総合計画評価書案を見せていただいたんですが、かなり努力をしているということが書いてございます。製品の売り込みも課題かなというふうに思っているんですが、これについてはどういう取り組みをしてらっしゃるのか、この3点についてお伺いします。

○山口企業立地推進課長
 ファルマバレー関連の企業が立地する際の土地の確保についてお答えしたいと思います。
 県内の工業団地は景気の回復もありまして、今現在、在庫が減りつつあるところでございます。そういったことを受けまして、私どもは今後の工業団地の開発の支援についても、市町と連携しながらその開発計画を進めているところでございます。具体的には現在、東部のほうでは三島市、長泉町、また西部では磐田市等で工業用地の開発計画が進んでおります。これは内陸フロンティアの構想ともタイアップしたものでございます。
 こういったものについて、私どもは今後、その開発を支援していきたいというふうに考えております。
 一方、工業団地のストックは今までになく減っております。このため、金融、不動産、建設関係者等と情報交換しながら、急いで県内の工業用地の遊休地情報を収集しております。この情報につきましては、県のホームページの企業立地ガイドというページに出しており、9月現在では125件、180ヘクタールを掲載しております。ちなみに東部地区では38件の59ヘクタールです。
 そういったかたちでの情報の提供をするとともに、不動産関係者、他県関係者との情報の共有、また新たな情報があればもらいたいということで、我々は常日ごろから連携しております。その情報については随時更新し、提供しているところでございます。
 工業団地の開発とあわせ、遊休地の情報の提供を続け、企業への工業用地の提供や確保、そういったことに対応していきたいと考えております。以上でございます。

○増井経済産業部理事(新産業集積担当)兼文化・観光部理事(産学連携担当)
 人材育成についての産学官連携の状況についてお答えをいたします。
 この地区に非常に多くの中小企業がございまして、医療機器の開発に参入したいという意見も多くございます。文部科学省はF−metと呼んでおりますけれども、そういった企業を対象として、沼津高等工業専門学校と県とで一緒になって進める医療機器開発人材の養成プログラムの申請が認められ、平成21年度から実施をしているところでございます。隔週の土曜日に各企業のエンジニアの方が沼津高専に通って授業を受けるということでございまして、これを卒業されますと、医療機器分野に必要な知識を得られるという事業を進めているところでございます。
 また、この地域には理工系の大学がないということもございますので、また首都圏の東京工業大学、東京農工大学、早稲田大学、慶応義塾大学と連携協定を結びまして、がんセンターの研究所での共同研究実施や、任期付の研究員受け入れなどを行いながら人材育成に努めているというところでございます。

 次に、製品の売り込みの取り組みの状況でございますけれども、これは大きく分けて2つございます。まず、首都圏で多く開かれる医療関係の展示会に出展をいたしまして、そこで販路拡大を図っているということがございます。
 それから最近始めた取り組みといたしましては、病院に対しましてファルマバレーの成果としての製品を持ち込みまして、実際にその病院で使うであろう医師、あるいは看護師の方に直接説明を行い、そこで採用してもらうというような取り組みを行っているところでございます。以上です。

○伊藤委員
 ありがとうございました。
 特に沼津工業高等専門学校との連携を伺って安心しました。あそこにはかなり優秀な子供たちを送り込んでるものですから、沼津高専の売りになるようなそういうような連携の仕方をぜひお願いしたいと思います。ありがとうございました。

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