本会議会議録


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平成28年6月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:小野 達也 議員
質疑・質問日:07/11/2016
会派名:自民改革会議


○小野委員
 端的に一括質問で3項目伺います。
 初めに工業用水道事業の関係でありますが、委員会資料2ページの上の表を見ますと、柿田川のように契約率は100%となっているのと、西遠のように25.4%というところもあります。平均が51.5%ということでありますが、これはもともと契約が100%に近かったのが減ったのか、もしくはふえることを見込んで設定したのかをお伺いしたいと思います。

 同じページに課題と対応という点がありますが、ユーザー数、契約水量の減少に伴う収益減少への対応として、経営改善や新規開拓とあります。
 これはぜひ頑張っていただきたいと思っておりますが、累積赤字を抱える工水における料金改定協議、またはユーザー等と連携した国に対する政策提案をしていくということでありますが、料金改定の協議についてどのような状況であるのか、この国に対する政策提案はどのような内容でユーザーと具体的に取り組んでいくのか伺います。

 また、契約水量と実使用水量の乖離の対応であります。
 そもそもの契約水量、企業の受水計画量を踏まえた設備投資や維持管理に係る経費を回収するために設定されているということであります。実際に使っていないところの減量を認めるわけにはいかないと思いますが、この問題の対応、ユーザー協力会などとの連携調整、工水利用と地下水利用の最適化に向けた関係機関との協議調整と書かれていますが、具体的に何をすれば乖離が解消できるのかお伺いいたします。

 2点目は委員会資料4ページ、地域振興整備事業の関係であります。
 3つの工業団地、工業用地の整備について説明がありますが、これらは工業用水のエリアではないわけでありまして、この工業用水の経営を改善するためには、現在のエリアに企業を誘致するようなことを考えていかなければならないと思いますが、所見を伺いたいと思います。

 もう1点は、工業用水のエリアに誘致することができた場合、企業の管路の整備費用。
 これは企業が負担することになっていると思いますが、大きな負担になると思いますから、企業立地を推進していって、新規の利用企業をふやすために負担の軽減ができるかどうかお考えを伺いたいと思います。

 最後に水の利用について伺います。
 委員会資料2ページ目、3ページ目にございますが、工業用水事業や水道事業の給水状況が載っている。それを見ますと、給水能力に余裕があるようですが、これは有効利用していただきたいと思っております。
 そこでこの事業拡大策をどのように考えておられるのか、事業化の見込みがあるのかお答えいただきたいと思います。

 もう1点ありまして、委員会資料9ページで地震対策の説明をいただきました。
 熊本地震を踏まえて、ユーザーと連携して防災訓練を行うとのことでありますが、これは大変よいことであろうと思います。ぜひお願いしたいと思っておりますが、企業局が実施している耐震対策はどんな内容なのか、また進捗状況を伺います。

 また、熊本で地震が起きましてからいろんな教訓を受けたことと思いますが、ハード・ソフト両面でどのような対策に生かしていくのかあわせて伺います。以上です。

○跡見経営課長
 工業用水道事業の現状と課題についての御質問について、まずお答えをいたします。
 契約率についてでございますけれども、工水の施設自体はもともと需要見込みに基づいて施設整備を行っております。一番後発の中遠工水ができまして以降、平成14年度までは全体の契約率が80%を超えるという状況でございました。その後、産業構造の変化であるとか、企業の規模の縮小であるとか、水の合理化であるとかということで、使用契約水量は徐々に減少しております。
 中でも西遠工水については、地場産業であります繊維、染色の産業の衰退に伴って大幅に減少しております。
 さらに近年では、東部地域の主要産業であります製紙業も大口の企業が撤退するということで大きく減少しているのが現状であります。
 実際ここ15年くらい、今手元にある資料で平成13年、ユーザー自体が450社近くあったものが、今350社を切るという状況になっております。

 それから2点目の御質問の課題と対応のうち、料金改定の件でございます。
 工水会計7事業行っておりますけれども、その
うち累積赤字を抱えておりますのは、静清から西――静清、中遠、西遠、湖西の4工水でございます。
 このうち中遠工水と湖西工水につきましては、平成26年度と平成27年度、料金改定の御了解をいただきまして、平成30年度からは単年度黒字に転換する見込みでございます。
 残ります静清工水と西遠工水につきましてですが、静清工水につきましては、平成22年度に大規模な漏水事故が起こりまして、現在10年間かけて40億円程度の大規模な更新事業を行っております。そのための費用が増しますことから、ユーザーの皆様に説明して、今年度、既に料金改定をすることについては御了解をいただいておりますので、今年度、料金幅、改定幅についての協議をさせていただくということになっております。
 それから西遠工水につきましても、三方原用水施設の改築工事が控えておりまして、これも多額な工事費がかかります。費用が増しますことから、料金改定について今年度から協議を開始する予定でおります。
 それから国への政策提案についてでございます。
 今申し上げましたように、工水の事業経営は非常に厳しくなっております。企業会計はユーザーの皆様からいただく料金収入で事業を賄う独立採算でございますけれども、ユーザーが大幅に減少している中で、企業の皆様の料金だけで事業を運営していくのが非常に、極めて厳しい状況になりつつあります。
 これに対して、ユーザーの料金以外の収入を充て込む。例えば一般会計から投入するであるとか、国庫からさらに負担を求めるとかを期待したいわけですけれども、現状、一般会計から企業会計に繰り出す、繰り出し基準があるんですけれども、非常に限定的なものであります。また国庫補助につきましても、水道事業に比べると手薄といいますか、水道事業よりも補助率が低いという課題がございます。
 県では、これまでも国に対して、これらの改善の提案等をしてまいりました。また県が属しております地方公営企業連絡協議会とか、関係団体であります日本工業用水道協会の要望の中でも、改善について要請してきたところです。ただ、なかなか実現が伴いませんので、今回ユーザーの皆様に御説明して、ともに声を上げていきましょうという取り組みをしております。
 具体的には、例えば繰り出し基準につきましても、ユーザーだけが使うんじゃなくて、公共事業であるという観点で繰り出しができないかとか、国庫補助につきましても、産業競争力の強化や地域産業振興の貢献という点に着目をした新たな産業施策にのっとったような補助制度ができないかという提案を、ユーザーの皆様とともに声を上げていきたいというものでございます。

 それから3点目の乖離の解消の中で、ユーザー協力会との連携調整という点でございます。
 乖離の解消をするという、なかなか6番委員御指摘のとおり難しいところでございます。
 企業局の料金は、これまで投資したもの、それから現在運営しているものですので、イニシャルコストとランニングコストの総額を、ユーザーの皆様方の料金として回収する仕組みとなっております。総経費を、例えば契約水量で除して単価を算定して、それに見合った料金をいただいている仕組みでございます。
 ですので、単純に契約水量を減量することになりますと、投資した額が満額回収できないということになります。減量を認める。かわりに単価を上げればいいんじゃないかと思われるかもしれませんが、仮にそうした場合に実際、ユーザーによっては水の使用料が微妙に違います。乖離の幅が違います。減量して単価を上げると、単価を上げても減量したもので、吸収される企業の皆様にとっては負担が減ることになりますけれども、ほぼ契約どおりの水量を使われている事業者の皆様には、単純に料金アップという影響が出てきます。
 そういうことも踏まえまして、減量するとすれば、ユーザーの皆様が参画している協力会とも調整して、具体的な方策ができるかどうか、調整が必要かと考えております。
 それから、関係機関との協議調整という部分でございます。
 工業用水道事業は、そもそも地下水の塩水化であるとか、地盤沈下のために整備されたものであります。言ってみれば地下水の保全という観点もございますので、その地下水をどう利用するのかという観点からも関係機関等と協議して、工水利用が促進できればということで、現在水利用課と調整を始めたところでございます。

 それから、大きな2つ目の地域振興整備事業に絡んで、管路整備、企業負担の軽減についてお答えいたします。
 新規ユーザーに対する配水管の延長ですが、本管がありまして、企業の皆様に給水するための管路を新設する場合には、局独自の負担制度も持っております。基本的には管路を延長する際には、企業の皆様の負担になるわけでして、全国的にもそれが主流でございます。
 本県の場合には受水の促進の観点から、経費の一部を助成するということで、基本料金の10年分に相当する金額を上限としまして助成する仕組みを持っております。事業ごとに単価が異なりますので、大体立米当たり2万5000円から10万4000円という補助基準額を持っております。現在この制度しかございませんで、新たにこれを軽減するための仕組みは産業施策の観点から新しい企業の誘致、あるいはそういう観点から検討ができないかということで、経済産業部の企業立地推進課と新しい助成の仕組みができないかという検討を始めたところでございます。

○杉山新プロジェクト推進室長
 地域振興整備事業のうち、工業用水道が整備されている地域に企業を誘致する考えがないのかについてお答えいたします。
 工業用水道エリアに食品製造業等の用水型企業が立地した場合、工業用水道の需要が見込まれ、工業用水道事業の経営改善に資することは当然でございます。
 しかしながら、工業用水道エリアは市街化が進んでいたりとか、津波浸水区域内であったりと、なかなか工業用地としての適地がないのが現状でございます。
 今回、企業局が手がけた小山湯船原工業団地や清水町久米田工業用地は、工業用水道のエリアではございませんけれども、県が推進している内陸フロンティア推進区域でありまして、企業局が開発事業者として地域の振興に貢献しているものでございます。
 今後、市町の総合計画などにより、工業用水道エリアが工業用地としての開発に位置づけられた場合には、積極的に用地造成の受注に努め、工業用水道の利用を図ってまいりたいと考えております。

 次に、水の活用についてお答えいたします。
 工業用水につきましては、水を多く利用する用水型企業と工業用水ユーザーの事業拡大を促進し、工業用水の需要拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
 例えば、新素材としての活用が期待されるセルロースナノファイバーは、製造の各工程で水を使用いたしますことから、将来の用水型産業として期待しており、現在経済産業部と連携して、サンプル企業展示会の開催等により工業用水ユーザーの事業化を支援しているところでございます。
 上水道につきましては、民間のホテルやレストランなどで名水や天然水を使用していることをアピールしている例がございますことから、それらも参考にしながら、名水100選や天然記念物である柿田川などの高いブランド力を生かし、上水道で供給している水が良質な水であることをPRすることにより、需要拡大が図れないかを検討していきたいと考えております。なお現時点では、いずれも事業化の見込みと言えるまでは至ってございません。

○佐藤事業課長
 企業局の耐震対策についての進捗状況についてお答えいたします。
 企業局の施設は、浄水施設と管路施設という形で水を配給しておりますので、まず浄水施設等の施設の耐震化につきましては、耐震診断に基づきまして、平成26年度から10年間を第3期耐震計画として耐震化を進めております。重要度、緊急度の高い施設は、基幹施設として優先順位を高め、例えば中央監視装置等の施設の中枢がある管理本管等の耐震化は、既に耐震化済みです。
 耐震化の進捗状況につきましては、工業用水道事業で63.3%、水道で81.3%、全体で72.8%という耐震化率になっております。また管路につきましては、新設する管路は耐震性の高い管――ダクタイル鋳鉄管を使用して耐震性の向上を図っております。
 平成27年度末の管路の耐震化につきましては、工業用水道事業で34.8%、水道で61.8%、全体で47.5%という進捗状況になっております。

 続きまして、熊本地震から教訓を得られたハード・ソフト面での対応をどう生かしていくかということです。
 まず、ハード面につきましては、先ほども申しました耐震化計画に基づき、着実に進めていくということと、もう1点、アセットマネジメントに基づいた計画的な更新をしていくための水道施設更新マスタープランを現在策定している段階でございます。
 ソフト面につきましては、従来から相互の応援協定を各所と結んでおります。また従来から、協定に基づきまして毎年の防災訓練などでは関係機関との情報伝達訓練を行っておりますが、今回新たに熊本地震の教訓といたしまして、企業局は用水供給事業者でありますので、企業局の給水基地に市町の方々が給水車を持ち込んで受水するという体制があるんですけれども、熊本地震の際、給水体制における混乱が出ていることをお聞きしておりますので、昨年度も一部のところではやっておりますが、今回、新たに全体としては初めて合同給水訓練を行うということで、具体的に今、受水市町と訓練の内容を詰めている段階でございます。

○小野委員
 丁寧な御答弁をありがとうございました。
 御意見だけ申しますが、企業局の事業は、目先の黒字とか赤字とかもありますけれども、やはりユーザーあってのものでありますし、公共がやっている収益事業でありますから、やはり長期的に見たり、あと先ほどもお話がありましたけれど、企業立地推進課等と連携をとりながら新しいユーザーを探していくこと、また投資を行うことをぜひ積極的に、民間ではできないことを探し出して、ぜひ積極的にお願いしたいと思います。以上です。

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