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委員会会議録

質問文書

開催別議員別委員会別検索用


平成20年9月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:前沢 侑 議員
質疑・質問日:10/08/2008
会派名:自由民主党県議団


○前沢委員
 数点お伺いいたします。
 最近の経済動向ですが、この報告事項にありますように、日本経済あるいは県内経済を含めて景気がこのところ弱含みという指摘でございます。この先行きにつきまして、アメリカにおける金融不安あるいは株式、為替市場の変動などで非常に景気が後退するという指摘がありますが、ここ1週間の動きは、世界的に大混乱が起きているという状況だと思うんですね。アメリカ議会でも金融関係法案ですか、これが75兆円の公的資金を導入するということだが、その後でも株価がどんどん下がり、世界的に非常に大きな金融の混乱が起きているという状況だと思うんですね。
 当然、我が国でもそうだし、金融の世界的な不安は静岡県にも及んでいると見ていいんだと思いますが、この辺について県はどのように考えているか。要するに先行き不安がそのとおりになっているという状況だと思いますので、それをお伺いしたいと思います。

 それから、アメリカの景気低迷によりまして消費が大分落ちている。そういう中でトヨタが半年で期間従業員を2割削減すると、あるいは新規の採用を凍結すると発表しております。中国でも、アメリカ経済の冷え込みで対米輸出がだいぶ減ったとこういう記事が出ておりましたが、静岡県も輸出面ではアメリカ経済の動きに依存しているので、特に静岡県の製造面における影響が非常に大きいと思いますが、今どんなぐあいに考えているかお伺いします。

 それから、原油の高騰ですが、県も原油の高騰対策として1月、6月、8月に静岡県経済対策連絡会議を開催して、今、全庁的に取り組んでいるということはよくわかりました。ここにも9月補正でいろんな対策が講じられておりますが、特に私は中小企業に対する金融支援についてお伺いしたいと思うんですが、ここにもありますように利子補給やあるいは融資限度額の経済変動対策貸付ですね、これも3500万円から5000万円になって、あるいは融資枠の60億円拡大しているということでありますが、この60億円というのはどれぐらいの要望に対して充足しているのか、私、非常に少ないなというように感ずるんですね。
 ここにもありますように、特に経営安定資金は経済変動貸付の実績を見ますと件数が696件で90億円と、これは対前年比で185.7%と増になっているんですね。事業資金のほうは若干減ってはおりますが、総額で想定しますと、利用実績からしますと5,800件の約440億円という資金が必要とされているわけですが、全体で1660億円に拡大したということはどうも私少し少な過ぎると。

 私は要望に対して充足しているかということをお伺いしたいんですが、どう考えてみても、やっぱり銀行の貸し渋りがかなり進んでいるんじゃないかなと思うんですね。この辺についても考えをお伺いしたいと思います。

 それから施設園芸に対する重油の高騰対策です。これは先ほどからいろんな委員の方々から質問がありましたヒートポンプの導入ですが、これは県もかなり大幅にこれがふえていくだろうということで、これについて主要策を今講じていることはわかるんですが、このヒートポンプは結構高額なんですね。10アール当たり250万円か300万円くらいと聞いておりますけれども、生産コスト――今、重油も若干下がってきていますが、コストの面から見るとどうなのかお伺いしたいと思います。

 それから、17ページの肥料の価格高騰に対応した肥料コスト軽減対策、軽減化取り組みについてお伺いしたいと思いますけれども、ここで見ますと、肥料が中国やインド等の食料増産、あるいはバイオ燃料の増産の影響を受けて輸入価格がここにもありますように、19年5月に比べて1.4倍から2.4倍、それからJAの肥料もやはり19年度に比べて1.1倍から2.1倍、飼料も18年4月に比べて20年4月2.7倍、それから配合飼料の国内価格も上がって1.5倍になっているということで、農家の経営を非常に圧迫しています。
 ここにいろいろ県の取り組み状況が書いてあるんですが、ちょっと細かくて余りよく理解できないんですが、この肥料価格の大幅な上昇で今非常に影響を受けている農家への取り組みについてもう少し具体的に教えていただきたいと思います。

 それから漁業における燃料価格高騰の対応についてです。
 これも多くの方から質問が出ていますが、国がこの7月28日に原油高騰水産緊急対策として総額745億円を支出することが発表されましたが、先日、焼津小川漁協で皆さんと話し合いをしましたときに、「国はこういうように緊急に対策を講じてくれているが、実際には使い勝手が悪い」とこう言っていたんですね。きのうのどなたかの質問に対して、申請状況が300隻、8億9500万円ということなんですが、これはこれでよかったなと思っているんですが、焼津の小川漁協の皆さんの意見では非常にこれは活用しにくいという答えが多かったんですが、これは実際には何か見直しをされてこれだけの申請がふえているのか、この辺についてお伺いしたいと思います。

 それから食品関係で、新産業集積クラスターのフーズ・サイエンスヒルズについてお伺いしたいと思いますけれども、これは中部地域は食品、医薬品のさらなる集積をということでフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトを組まれておりまして、昨年まで文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業によって研究開発が進められて、成果も上がっているときいております。この食品関係の事業所は比較的県内の中小企業がこれを扱っているところが多いということで、私、この新製品の開発は、資金とともに人材の確保が必要だと思っておりますけれども、県内の食品関係の中小企業に産業部がどのような支援をしているのか、その辺についてお聞きしたいと思います。以上です。

○田島委員長
 ここでしばらく休憩いたします。
 再開は、12時50分といたします。
 よろしくお願いいたします。
( 休 憩 )
 休憩前に引き続きまして、委員会を再開いたします。
 質疑等を継続いたします。
 発言を願います。

○杉山産業部長
 それでは、私からは今回の、この1週間ぐらいの金融を取り巻く混乱を受けての本県経済への影響、それからアメリカの景気低迷を受けて製造業への影響、この2点につきまして御答弁申し上げたいと思います。
 株安につきましては、アメリカだけじゃなくて日本も株安になっています。きょうも午前中が昨日に比べて460円安の9,695円と、もう1万円を割ったという状況でございます。あわせまして為替につきましては1ドルが101円27銭ですか、昨日に比べて1円40銭の円高、加えてユーロにつきましても1ユーロが137円53銭ということで、これも1円70銭高ということで、株安とあわせまして円高の傾向にあるという今の状況でございます。
 株安に伴う本県の影響でございますが、いってみれば実体経済にさまざまな面で影響があるんじゃないかというふうに認識をしております。昨日も報告で申し上げましたけれども、個人消費が減少傾向にあると、あるいは生産も弱含んでいると、こういう中でさらなる消費の低迷、あるいは設備投資に対する消極感、こういったものがあって、経済全体が縮こまってくるんじゃないかと。要するに実態経済への影響というものが非常に懸念をされるわけです。
 そういったことを考えますと企業への生産活動、あるいは企業の収益そのものの悪化、さらには個人の消費の落ち込みというようなことで、これは日本経済、本県経済にとっても非常に難しい、厳しい状況であると、こんなふうに認識をしております。

 また、アメリカにつきましては、昨年のサブプライムローン問題から消費の低迷が続いているわけですけれども、本県の主な生産物であります、例えば二輪車でありますとか、楽器、こういったものは相当程度、国内向けよりも輸出向けに回っている状況を考えますと大きな市場でありますアメリカの景気の低迷というのは、本県の製造業の輸出先の市場の縮小といったことで非常に大きい問題が出てくるんじゃないかと思います。
 トヨタはアメリカでの生産を縮小するというようなことを報道されておりますけれども、関連する企業も県内にたくさんございます。そういったところの生産活動にも影響が出てくるでしょうし、そこで働いている人の雇用にもまたこれ影響が出てくるんじゃないかと、こんなふうに認識をしております。
 あわせまして、ヨーロッパ、アメリカの景気低迷の状況がアジアにどういうふうに影響を及ぼすか、これも我々関心も持って見守っていかなければいけないと思っています。本県企業の相当数が中国を中心にアジアに進出しております。それは生産の場所ということだけじゃなくて、市場として進出しているという面も多々ございます。そうしますと、アジアでの消費の低迷が、現地で生産して現地で売るというその部分についても影響が出てくるということで、中国あるいはインド、アジアの状況についても我々は注意深く見守らなきゃならないと思っております。
 ことは製造業だけじゃなく、景気が低迷いたしますと、我々の財布のひもがかたくなるということは、日常生活においてもさまざまな面で緊縮傾向が出てくるんじゃないかと。本県は全国でも有数の観光県でございます。財布のひもが締まることによって、例えば観光を手控えるとか、こういったことも懸念をされます。
 いずれにいたしましても、今回の金融不安あるいはアメリカ、ヨーロッパの景気の動向、こういったものについて注意深く我々見つめなきゃならないと思っています。
 そういったことで、きのうから御議論ありますけれども、今回の金融を取り巻く状況に県の経済がどうなるのかということについて、数字だけじゃなく現場のことも十分踏まえるということで産業部の中にウオッチングチームといいますか、調査チームを早急に立ち上げまして、商工会議所、あるいは商工会、さらには観光協会、あるいは国際経済振興会、そういうところと連携とりながら実態の把握、影響の把握に取り組んでまいりたいと思います。
 さらに、今回の原油高につきまして経済対策会議を3回開いて対応を検討いたしましたが――会議の所管は企画部でございますけれども――早急に今回の状況を受けて対策会議を開催するように私のほうからも企画部に要請するということで、今考えております。以上でございます。

○佐藤商工業局長
 金融機関の貸し渋りについてお答えをいたします。
 ただいま部長からも答弁ありましたが、アメリカ経済の影響あるいは原油・原材料の高騰等、大変厳しい経済環境の中で今後金融機関の融資、貸し出しの姿勢が慎重になるということが想定されるところでございます。
 県におきましては、これまで県内各地におきまして企業の皆さまとの勉強会を開催しております。こうした機会、あるいは原油・原材料高騰に伴いまして県内の商工会、商工会議所に特別相談窓口を設置しております。こうした窓口へ具体的な貸し渋りの事例について相談があったというような報告は受けてはおりませんが、新聞紙上等でも全国において貸し渋りの事例が報道されているところでございます。こうしたことから今月23日には商工企業者の方、それから商工会議所の皆さまとの間で融資動向を含めた意見交換会を開催する予定でございます。また国におきましても、全国でそうした中小企業の声を聞こうということで、来週16日、17日関東経済産業局と東海財務局が合同で静岡、浜松、三島でヒアリングというか意見交換会を開催する予定となっております。県といたしましても、こちらに参加をいたしまして金融動向の把握に努めてまいりたいと思います。
 こうした企業、あるいは金融機関の動向を注視しながら金融不況に対応した適切な対応を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。

○横山商工金融室長
 今回の補正額60億円の内容について報告します。60億円の内訳でございますが、経済変動対策貸付の今年度7月末の利用実績が前年の3倍の76億円ということになり、大きく伸びているということでありまして、4月から7月の4カ月の実績を1年間に直しました。増額が45億円ということでございます。
 また、融資限度額を3500万円から5000万円に増額、1500万円拡大するということに伴いまして、現在の利用状況から貸付件数の約1割が5000万円を借り入れるということで算定したところ15億円の不足が出るということで、先ほどのものと合わせて60億円を今回補正で要求いたしております。
 今年度、6カ月間経過の時点でございますけれども、9月末実績におきましては経済変動対策貸付、制度融資全体の融資額が9月末時点で544億円――半年経過で544億円となっております。そのままこれを年間利用額に見込みますと、1100億円程度になるということで、融資枠1660万円になりますので、なお融資枠には余裕があるというふうに考えております。ちなみに9月末時点の経済変動対策貸付の利用状況は111億5000万円でございまして、枠拡大後の見込みより若干下がっております。
 いずれにいたしましても、中小企業者の県制度融資の利用が制約されることのないよう融資枠、利用実績等につきましては引き続き注視してまいりたいと考えております。以上です。

○石戸みかん園芸室長
 重油高騰に対します施設園芸の対策のうち、ヒートポンプがコスト的にどうであるかという点にお答えいたします。
 バラにおきましてはヒートポンプが、冬場の暖房の削減効果、それと夏場の夜温の冷房ということで品質向上効果というものが確認されておりまして、周年で栽培するような施設園芸におきましてはその期待が高まっておるところです。
 このコスト的な経営面を見ますと、ヒートポンプを使う場合は、従来の重油暖房と併用して使っております。重油の削減効果についてバラ農家の実証した試験では、年間2万1000リットル使っていたものが6,000リットルですんだということがあります。
 実際の農家では導入に当たりましてリースで行っておる場合が多いものですから、耐用年数の6年で割り算しまして、大体年間40万円ぐらいのコストをかけております。これに、実際使う電気の基本料とか使用料がかかります。これを暖房と夏場の冷房の効果と2つに分けまして試算をいたしますと、冬場につきましては従来の重油のみの場合――この場合の前提条件としまして、ことし、これから導入するということを想定いたしまして――重油価格の最新数値で確認しております8月の126円で試算をいたしますと、重油暖房機だけの場合268万円ほど暖房費がかかります。これに対しまして、ヒートポンプと重油暖房の併用ですと、重油が74万円で済みます。それに電気料金とリース料の冬季の分の案分等を入れますと全体のコストが150万円ですので、差し引き118万円の効果があります。夏場の冷房に関しましては、電気料とリース料を3カ月分で35万円をここで計上させていただきますが、それと増収した分の出荷経費が10万円ほどかかります。これで経費が45万円ほどかかりますが、夏場の増収としては60万円ほど増収となりますので、ここで15万円のプラスになります。トータル冬場と夏場合わせまして年間で133万円の収益向上効果となっております。以上です。

○中田農業振興室長
 肥料価格高騰に対応した具体的な取り組みについてお答えいたします。
 3点ございまして、1点目は生産者による肥料コストの低減を可能とする施肥体系への転換並びに畜産堆肥の資源を活用するために、肥料高騰に伴う施肥技術対策指針を策定することとしております。
 現在、策定作業に入っておりまして、今月中に生産者あるいは関係する機関に配付できるよう今準備をしております。作成部数は1万部でございます。この技術につきましてはJAグループとしっかりすり合わせをして、この指針を現場におろすときにはJAグループと連携して取り組むことにしております。
 今回の指針の特徴を簡単に申し上げますと、まず土壌診断に基づく適正な施肥をしてくださいというのが1点目でございます。
 2点目は、堆肥を利用した元肥量の削減でございます。およそ3割ぐらいを堆肥で補っていこうという新しい技術でございます。
 そして、3点目は施肥技術の関係で、植物の根にすぐに無駄なく吸収できるようにかん水同時施肥技術とか局所施肥技術、こういった技術も紹介しております。
 特に、畜産堆肥の利用につきましては、本会議においても須藤副委員長から畜産堆肥の利用促進について御質問をいただきまして、杉山産業部長から畜産堆肥と耕種農家がより広域で連携できるよう、畜産堆肥の情報を広く耕種農家に提供する旨お答えをしたわけでございますけど、その1つといたしまして、堆肥は特殊肥料でございますので流通する場合は肥料取締法に基づく届け出が必要になってまいります。その中から252件のリスト、個人情報でございますけれど、氏名とか住所とか電話番号、あるいは牛の堆肥か、豚の堆肥か、そういった内容も含めてこのリストを公開をすることにいたしました。これはすべて酪農家の皆さま方の確認をとってございますけど、その中に含めて情報を開示して、耕種農家と畜産農家の堆肥の広域的な流通に取り組むことにしております。
 対策の2点目でございますけど、こうした肥料を削減する環境保全型技術の展示圃に取り組んでおります。これにつきましては2種類ございまして、肥料成分はゆっくり、例えば6カ月間ぐらいかけてじわじわ効く特殊な肥料がございますけど、そうした肥料の展示圃を県内に30カ所、あるいはお茶につきましても茶園施肥軽減技術の実証展示圃、今現在は10アール当たり窒素54キロでございますけどこれを40キロの展示圃を県内に21カ所設置いたしまして、適正施肥、あるいは効率的な施肥について技術実証にも現場で取り組んでいるところでございます。
 あと、3点目でございます。今現在、国が20年度の補正予算の審議中ですが、この中で農業における燃油とか飼料、肥料の対策費といたしまして790億円計上していると伺っております。この中に土壌分析の経費とか、あるいは機器整備を支援する予算も含まれていると伺っておりますので、この予算成立後におきましては速やかに生産者に情報を提供いたしまして積極的な活用啓発に取り組むことにしております。以上でございます。

○土屋畜産振興室長
 飼料価格高騰に対する取り組みの具体的な内容についてお答えいたします。
 まず1点目に水田を活用した飼料用稲ということでございますが、飼料用稲は乳酸発酵させて牛に与えるものでございます。これの栽培につきましては、中遠地域では掛川市、袋井市、森町で90ヘクタールを栽培しております。
 それから飼料用米――これは米を利用して豚や鶏に与えるものですが――中遠地域が31ヘクタール、これは掛川市、菊川市、磐田市でございます。志太榛原地域は藤枝市でございますが、0.1ヘクタール、東部地域は御殿場市でございますが、0.7ヘクタールで栽培しております。
 飼料米の栽培品種でございますが、中遠地域におきましては、食用品種の「あさひの夢」、それから「あいちのかおり」というものでございます。それから志太榛原、東部地域におきましては、飼料用の「ホシアオバ」、それから「リーフスター」という品種を栽培しております。
 それから、2点目の耕作放棄地を活用した飼料作物の栽培ということでございますが、浜名酪農業協同組合では浜松市や御前崎市の耕作放棄地等を活用いたしまして110ヘクタールに飼料用トウモロコシを栽培しております。それを活用して農協で混合飼料等を製造しまして、組合員43戸の乳牛1,785頭に供給することとしております。この供給価格はトン当たり4万4000円と平成18年の飼料価格高騰前の価格とほぼ同額となっております。これによりまして同農協組合員の飼料自給率は3%から12%に上昇しております。
 県はこれに対しまして、飼料用のトウモロコシの栽培収穫機械や混合施設の整備につきまして強い農業づくり交付金2億5000万円余を助成しております。以上でございます。

○影山水産振興室長
 漁業における国の燃油価格高騰への対策の内容が改善されているのかどうかという御質問にお答えいたします。
 漁業者は既に数年前から燃油価格の高騰に対応するため、それぞれが省エネ操業に取り組んできており、さらなる燃油消費量の削減が事業実施へのハードルとなっている面があるものと思われます。
 国が本年7月に打ち出しました省燃油操業実証事業は省エネ操業を促進するための事業であることから、燃油使用量を前年に比べ10%以上削減する省エネ操業を行うこととともに、1年間の支援対象期間を過ぎても省エネ操業を維持することなどが求められております。
 国が既に19年度補正予算によって打ち出しておりました省エネ推進協業体活動支援事業というのがございますが、これはあらかじめ輪番制による休漁協定を締結した漁業者グループが省エネ活動計画を策定し、休業中の漁業者が行う干潟の整備や漁場の清掃などの漁場生産力向上への取り組みに対してその経費を助成する仕組みであります。対象漁業は限られ間接的な支援にとどまる内容となっておりました。
 一方、本年打ち出されました今回の省燃油操業実証事業は燃油使用料を前年に比べ10%以上削減する省エネ操業を行う漁業者グループに対して前年をベースにした燃油費の増加分の9割を支援するものであります。
 19年度補正予算による事業に比べ、操業への直接的な支援となるとともに、幅広い漁業者が対象となっております。省燃油操業実証事業につきましては、制度の公表から申請締め切りまで短期間ではありましたが、本県では6漁協から12件の申請が行われており内容の改善が利用の促進につながったものと考えております。
 県といたしましては、今後も希望する漁業者が着実に支援を受けることができるよう関係団体と協力し適切に対応していきたいと考えております。以上です。

○吉林産業部理事(新産業集積担当)
 県内中小食品企業への支援について、フーズ・サイエンスヒルズの推進も含めてお答えいたします。
 フーズ・サイエンスヒルズにつきましては、委員御指摘のように、都市エリア産学官連携促進事業を平成14年度から平成19年度まで6年間実施いたしまして、この結果、研究成果といたしましては特許出願とか論文、製品開発など273件の成果が生まれております。
 実はこの研究成果をどういうふうに地元の中小企業食品関係に結びつけていくかというのが大きな課題であると認識しておりまして、特にそのために機能性食品の新製品の開発を目指します中小企業に対しまして、やはり人材育成が大事だと考えておりまして、平成19年度から国の経済産業省の人材育成事業でございます産学連携人材育成事業をしずおか産業創造機構を中心として実施しておるところでございます。
 それから、実際にフーズ・サイエンスヒルズの研究成果も出ておりますので、これを国内外にPRしなきゃいけないということで、今月15日から17日まで東京ビックサイトで国内最大級の食品関連イベント食品開発展2008というのが開かれまして、来場者がおおむね4万5000人程度を見込んでおります。これに今回初めてフーズ・サイエンスヒルズのパビリオンを設けまして、焼津市それから県内企業の皆さまと共同で出展をしたいというふうに考えております。
 それから、県内での取り組みでございますけれども、静岡県の食料産業クラスター協議会、それから静岡市、藤枝市、焼津市それから県立大学等大学の関係機関の方と連携いたしましてフーズサイエンスセミナーというのも開催しております。7月30日に清水で開催いたしまして、11月28日には焼津市、それから1月には藤枝市で開催をいたします。
 この中では、今、いろんな研究成果を地元企業の皆さまにお知らせするということが大事ですので、その情報提供、それから大学の方にも来ていただきまして技術指導、そういったものをしまして、マッチングを図ってできるだけ研究成果を地元の方に還元していくということに取り組んでいきたいと思っております。
 それからもう1つ、今年度からしずおか産業創造機構に事業化のコーディネーターを置きましたので、その方々にも市町村と連携して出前出張などを行いまして、できるだけ企業のほうにお伺いして、その事業化について相談なり実施指導を行うということにも取り組みまして、県内の中小関連の食品メーカーの振興に努めていきたいと考えております。

○前沢委員
 部長から、最近の経済動向についての説明がありましたが、私、大変心配しておりますのは、輸出の問題です。10月7日の新聞によりますと、清水港の輸出が10カ月連続して減少しているんです。名古屋税関清水支所によりますと、清水港の輸出が前年同月比で8.8%減の1586億円で10カ月連続して減少しているということなんです。
 その中で特に二輪自動車類が6.7%減で202億円と、それから鉱山用機械がやっぱり47.8%、55.1%、大幅に減少していると数字で出ているんですね。ですから、これは対米輸出に関係してかなり大きな影響が地元に出ているのかなと、これだけ減っていますから地元の皆さんの仕事が相当減っているなというのがわかるんです。
 それから、ちょっと前まではいろいろ自動車関係会社の下請が仕事はあるけれども安いといっていたんです。最近は設備はしたけれど、今度は仕事がなくなっちゃったというふうにちょっと変わってきているんですね。ですから、この輸出の減から見ても非常にアメリカの景気に対する影響が出ています。
 先ほどちょっと申し上げましたけれども、中国の対米輸出関係が大分減ってきたと。中国に対してかなり仕事をしている方々が静岡県でもいるようですから、こういうように現実に非常に輸出が減っているということで、県内企業がさらに構造的にマイナスになっていくという見方をしていいのかというふうにちょっと考えるんですが、その辺についてもう一度部長にお聞きしたいと思います。

 それから、この原油高騰対策ですが、きのうも森委員からも発言がありましたけれども、9月補正――わずかというとしかられますけど2400万円と非常に少ないんですね。私も取り組む姿勢が、金額だけからすると非常に弱いというふうに受け取られやすいんですね。そういう面でこれもどんなふうに理解すべきかと思います。これ7日の新聞ですが、ここのところ県内の企業倒産件数が4月から9月までの上半期9.1%増と非常にふえている。これは恐らくさらに続いていくだろうという見方をしていますが、この辺についても部長はどんなふうに考えているのでしょうか。

 それから施設園芸、今、ヒートポンプを導入することによるメリットについてお話をお聞きして、ヒートポンプの導入の成果というのはわかったんですが、今の説明はA重油がリットル126円を想定しての計算ですが、今また大分下がりつつあります。このヒートポンプを導入する際の基準では、リットルどのぐらいまで下がったときはこれはやってもしようがないとか、こういう基準があるのかどうか。
 今126円からもっとずっと下がってきていますので、その辺についてはどんな考えを持っているのかお聞かせください。

 それから、肥料、飼料についてもそれぞれお答えいただきましたが、ちょっと理解しにくいんですが、いずれにしても国も肥料に対してはそれなりの予算措置を講じているし、飼料についても県のほうで予算措置を講じているということでありますが、肥料や飼料の高どまりで農家も苦戦していますので、何とかその辺についてさらなる努力をお願いしたいと思います。

 それから漁業の燃油価格の高騰に対しては、確かに今いろいろ話を聞いていますとかなり改善はされているのかなということを感じました。それで、これ計算しますと300隻で約8億9500万円、9億円ということになりますと、1隻当たり300万円ぐらいを助成するということになるようですが、そういう理解でよろしいかどうかお伺いします。

 それから、県が平成17年度から関係団体と燃油に対する検討会、省エネ型の経営についての研究会を開いているのに、これに加えてさらに省エネ対策を講ずると、こういったところには助成するということです。もう精いっぱいやったところへ国がそういうものをやっても実際には使い勝手が悪いんじゃないかと、これは困ったものだという理解をしていたんですが、どういう点を改善して、こういうように多くの方が省燃油実証事業に申請をしてきたかについてお伺いしたいと思います。

 それから、これはさっきの質問で落としたんですが、今、食品関係についてせっかくいろんな成果が上がって、各地でセミナーを開いたり、あるいは出前出張等もやって、成果を各地区に発表しているということで大変結構だと思います。これを今後継続してやっていく場合に、人材育成についてもう少し何か考え方を聞かせていただきたいと思います。

 それからここにも出ておりますが、この新産業集積クラスターのファルマバレーの関係ですが、外国人研修生や研究者に対する入国申請手続にかかる優先処理事業という、この支援措置が今度講じられるようになったんですが、こういう研究者を具体的にはどういうふうにして集めているのか。また優秀な外国人研究者と日本の研究者と待遇面で違いがあるのか。あるいはそういう優秀者については特別な待遇を与えて受け入れようとしているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。以上です。

○杉山産業部長
 私から何点かお答えを申し上げます。
 輸出の関係でございますけれども、3番委員から御紹介ありましたとおり清水港では10カ月連続減少しているということでございます。そういうのはここ1年ぐらいアメリカ、ヨーロッパの景気が徐々に悪化しているとかというようなことで、特に清水港については二輪車の輸出が相当ウエイトを占めており、二輪車についてはなかなか苦戦をしている状況で、そういったことを反映して輸出の減につながっているんじゃないかと考えております。
 そういう状況ではございますが、我々、今、非常に気にしているのは、1つは委員からも御紹介がありましたけれども、アメリカ、ヨーロッパの景気の低迷、かてて加えて円高に今振れているということになりますと、価格面での競争で少し大変じゃないかと。そういうことで景気の低迷と為替の問題の両面から輸出関連企業にとっては厳しい状況を想定しています。
 10月の初めに日銀の短観が発表されて、状況判断が非常に厳しくなっているわけですけれども、そのときの状況判断はリーマンブラザーズの問題を踏まえての時点で、多分9月中旬ぐらいまでの時点での状況判断となっております。その後、ここ1週間ぐらいの間に株安の問題が相当出ていますから、そういったものを加味しますと、3月についての状況判断はもっと厳しいというのが実態じゃないかと思っております。
 本県の製造業は輸出型の産業といいますか、輸送用機械、電機、相当程度、輸出をする製品のウエイトが大変高うございますので、そこについてはこれからも注意をしていかなきゃならないし、関連業者も多いということで、とりあえず注意深く見守らなきゃいかんと思っております。

 それから、倒産の関係でございますけれども、これまでの倒産は原油高、材料高、これがなかなか価格転嫁できないというようなことが大きな要因になったと思います。今後、そういった問題と景気低迷による消費の減退、そういったことと連動してそれぞれの企業活動なり企業収益にどのように影響が出ているか。必ずしもいい方向になるというのは現時点では想定しにくいということになりますれば、企業の倒産についても、これは我々、注意深く見守らなければならないと思いますし、万が一倒産という企業が発生した場合には連鎖して倒産しないように、ここは県の制度融資でもいろんな資金ございます。倒産企業がないようにいろんなこともしなければならんと思いますけれども、連鎖して倒産をすると、こういうことのないような対応もしなきゃならないと思っております。

 それから、予算の関係でございます。今回、国の対策、それから県がこれまで進めてきた対策、そうしたものを十分しんしゃくし、それから関係団体ともいろいろお話を伺いながら、補正予算編成時において想定されるものについて計上をしてございますので、今回の補正につきましてはそういう観点で編成したということでぜひ御理解をいただきたいと存じます。

○石戸みかん園芸室長
 先ほどのヒートポンプのコスト面ですが、先ほどは126円を想定いたしました。これが100円の場合ですと94万円の増、85円ですと70万円の増、これをどんどん下げていきまして、損益分岐点が幾らぐらいだということになりますと、40円で大体とんとんになります。以上です。

○影山水産振興室長
 燃油対策の事業の内容についてお答えいたします。
 委員から御質問のありました申請事業費について、それが各船への直接の助成になるのかという御質問でございますが、少し制度を詳しく説明しないと御理解いただけないのかなと思いますが、今回の制度では、国が造成した基金から漁連、漁協等、実際に漁船が所属します漁協へ資金が流れてきます。それを元に漁協が燃油代を支払います。それに基づいて各漁船へ燃油が積み込まれ供給されます。それに必要な金額がこの申請額でありまして、最終的にはその燃油で操業して水揚げをした水揚げ金額等と最終調整といいますか、あと前年の燃油使用量と比べて増加した分、それを最終計算しまして精算をするということがございます。そういう意味で、実際にこの額が漁業者に直接渡るんではなくて、燃油価格の上昇分についてはこのうちの一部に限られるということになります。また価格上昇等によりまして、水揚げ物も魚価の上昇等によりまして燃油価格の転嫁ができましたらば、その場合には精算の中で帳消しになる場合もございます。そういうような制度であります。
 また、申請等についての改善点でございますが、これは先ほど前年度の対策について御説明申し上げましたが、かなり申請について手続的に煩雑なところがございました。計画の策定等、それから認定、またそれに必要なデータ等も煩雑でございましたが、今回の事業につきましては、前年に支払いました燃油代の実績、水揚げの実績、そして今後の計画の燃油代、水揚げの計画、将来的にはその最終実績を出していただきまして精算をするということになりますが、当面は水揚げ金額、使用した燃油代、これを正確に各漁業所から出していただくということで、漁業者の煩雑さはかなり改善されたものと考えております。以上です。

○望月技術振興室長
 食品関係の人材育成についてお答えいたします。
 先ほど理事からも答弁しましたけれど、産学連携人材育成事業により、総合食品学講座を現在実施しているところでございます。本講座につきましては、昨年度テキストをつくりまして、本年度はその実証講義をやっております。
 内容的に言いますと、非常に多岐にわたりますが、商品企画、マーケティングの講座から始まりまして、食品の伝統的な製造技術から最新の製造技術、また食品の機能性素材の特性の勉強、また食品のパッケージの効果的な活用だとか、さらには工業技術研究所の機能性食品パイロットプラントを使っての実習、こういった内容になっております。本講座につきましては、来年度以降も引き続き実施をしていくこととしております。
 また、この事業でつくったテキストをさまざまな場面で活用しまして、幅広い事業者に対して活用を図っていきたいと考えております。
 また、先ほど言いましたように、工業技術研究所では機能性食品パイロットプラントで製品開発の試作についての支援をしておりますけれど、また技術指導等、地域の企業と連携しながら密着した指導をやっております。
 また、食品技術研究会、またはバイオテクノロジー研究会、こういった研究会を通じて食品関係の事業者に対しての情報提供、また指導をしているところでございまして、静岡県立大学や静岡大学農学部、こういった大学とも連携して今後とも引き続き人材育成について強力に進めていきたいと考えております。以上です。

○篠原新産業集積室長
 先端健康産業の振興による地域再生計画、ファルマバレープロジェクトにおける外国人研究者の受け入れの関係について回答いたします。
 一般的にファルマバレープロジェクトの機関にはいろんな機関が参加して進めております。そういう中で外国人の研究者につきましては、例えば東京工業大学等ががん研究所で研究室を設けて研究をしておりますけれども、その中にもバングラディシュの人が研究をしております。さらに地元の企業等にも相当数の外国人の研究者がいるんじゃないかと思いますけれども、その辺については県としては把握しておりません。
 今回の先端健康産業の振興にかかわる地域再生計画の対象は、県のがんセンター研究所及び国立遺伝学研究所に来る外国人研究生の受け入れについて法務省で入国の手続を優先的に処理していただくということで決められているものです。
 ちなみに、これにつきましては平成15年のときに構造改革特区で外国人研究生を受け入れるということで認定を受けておりまして、そのときの計画の実績としては、がんセンターに中国人1名、それから国立遺伝学研究所に中国人とボリビアの研究員が共同研究をしてきております。それが17年に全国展開になりまして、全国で一律そういうものを、外国人の研究生を受け入れようということでやってきております。そういう中で、今回優先的な処理というのはまだ残ったものですから、それをやってほしいということで国に申請をいたしまして認められたところでございます。
 外国人の研究員をどういうふうにスカウトしてくるかということになりますと、今、ファルマバレーについては外国でも認知が高まっておりまして、我々としてもいろいろな外国からのクラスターとの交流等を通して研究者同士で、例えば新しい細胞の研究をしようとか、がんの研究をしようとかということで来ていただけるものというふうに考えています。
 待遇については、各機関で任期つきの研究員というふうになると思いますけれども、それぞれの待遇でやっていくということになっております。以上です。

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