本会議会議録
質問文書
平成28年2月定例会厚生委員会 質疑・質問
質疑・質問者: | 木内 満 議員 | |
質疑・質問日: | 03/08/2016 | |
会派名: | 自民改革会議 |
○木内委員
6番木内です。分割質問方式にて質問させていただきます。よろしくお願いします。
まず、発達障害者支援について幾つかお伺いいたします。
発達障害の相談件数が、東部において平成20年比で1.7倍にふえている状況があるということで、東部の県議会議員として、東部地域の市議会議員とあわせて発達障害の支援を考える議員連盟ということで、先日勉強会もさせてもらいました。
その中で、幾つか出てまいりましたけれども、まず東部地域の発達障害の早期発見体制についてです。
特に1歳6カ月健診時に異常ありと診断される割合が、一番多い市町で60%、一番少ない市町でほぼ0%という格好で、物すごいばらつきがあるという聞き取り調査の結果を見て、ちょっと驚きました。恐らく異常ありということなので、幅広く診断を出すところと、幅を狭めて出すところと差はあるんでしょうが、余りにも差があり過ぎて、これはどう捉えたらいいのかなということで困惑もしました。
平成24年6月の議会で公明党からの代表質問だったそうですけれども、発達障害の診断に関する統一的な基準をつくっていくべきだという質問もあったようですが、その後、そういった動きもないと聞いております。このあたりは、特に東部地域は極めて医療体制が厳しい中で、そういった事態が発生しているなという印象を受けました。
まず一つは、基準をつくっていくべきだと私も思っていますが、その進捗状況と今後の取り組みについて、そして東部地域で児童の発達障害を支えていく体制をどのように構築していくかということについて、認識と今後の見通しをお願いしたいと思います。
それに関連して、富士地域で特に近年児童虐待に関する相談件数が極めて多くなっているということで、今回も組織体制を2班体制にという組織改革の話もいただいております。現場から、今大変厳しい状況であると伺っておりまして、こちらぜひとも進めていってもらいたいと思っておりますが、なぜそこまで急激にふえてきているのかなという疑問がありますし、恐らく発達障害への支援等々も関連して、児童に対する包括的な支援が確実に必要になってくるんじゃないかなと思います。そのあたりの認識と今後の対応についてお伺いしたいと思います。
それと、富士宮市にありました静岡富士病院が移転するということで、重度の心身障害児をお持ちの方から、ショートステイやデイサービスが受けられなくなるということで、富士圏域に関しては市議会等に意見書も出されたり、かなり重度の心身障害児をお持ちの親御さんからは悲鳴に近い声が上がっております。今回、重度心身障害児の医療支援ということで、新規事業として医療の人材育成の予算を計上していただいておりますけれども、これがどのような効果を及ぼすのかと、そのあたりの見通し等々についてお伺いしたいと思います。まずここまで答弁をお願いします。
○鈴木こども家庭課長
まず、発達障害者支援の関係で、乳幼児の健診等についての御質問についてお答えいたします。
平成24年6月に、6番委員から御紹介がありましたとおり発達障害者の関係で乳幼児健診の御質問がありまして、そのときに県としての対応ということで、先進事例の情報提供あるいは健診に当たるスタッフの資質向上を図りながら対応していくと答弁をさせていただいております。
これも踏まえまして、平成24年、25年に発達に特徴のあるお子さんや発達障害児への支援ということで研修会を開いて、母子保健担当者、従事者も学びを深める取り組みをしております。また平成26年度も厚生労働科学研究班の研究者であるあいち小児保健医療総合センターの山崎先生をお呼びして御講義いただいて、資質の向上を図るよう取り組んでおります。
御質問のありました健診結果の差ですけれども、6番委員御指摘のとおり異常ありが多い地域は、いわゆる気になるお子さんを、経過観察をしたほうがよいと思われるお子さんも広く拾って異常ありとして計上されていると。一方で低いところは、医師による見立てで確定的に拾い上げた数字のみを計上しているというところが影響しております。
ただ、報告の率だけではなくて、見立ての仕方も影響を及ぼしてくると思いますので、今年度も市町に直接ヒアリングをして、その辺の基準も水準も合わせていったほうがいいと考えております。
これを受けまして、来年度――平成28年度につきましては、報告基準の統一もそうですけれども、児童を観察する視点やポイントなど、児童を見る目をそろえていく必要があると考えておりまして、乳幼児健診等の健診マニュアルを作成していきたいと。専門家、また事業の実施主体である市町の担当者に入っていただいて、意見交換しながらマニュアルをつくっていきたいと考えております。
それから、2番目の御質問で富士児童相談所の体制強化について御質問いただきました。
富士児童相談所は、平成22年に開設をしておりますけれども、相談件数が平成26年度の実績で300件を超えておりまして、平成22年度の135件から約2倍ということで、県全体の比率に比べても増加をしております。
現在、富士児童相談所においては、個々のケースを担当する育成課育成班がございますけれども、ここに班長が1人おりまして8人のケースワーカーを抱えているということで、ほかの児童相談所の班員体制は大体4人ぐらいの体制になっておりますけれども、これに比べまして班長の負担が大きいということもございます。平成28年度は2班体制にしまして、1人の班長が束ねるケースワーカーの人数を少なくして、よりきめ細かな助言、アドバイスを受けられるようにすることで、より迅速かつ効果的なケースワークを可能にしていきたいと考えております。
○渡辺障害福祉課長
私からは、発達障害の早期発見の支援体制について説明をいたします。
先ほど、早期発見のうち健診について説明をいたしましたけれども、それに加えて発達障害の発見については、健診のみではなくその後の保育所等集団の中での気づきが重要であります。また一番身近な支援者である家族による気づきが非常に重要であります。そのために発達障害支援では、その家族の気づきを助け、障害に対して正しい理解をしてもらうための支援が非常に重要であります。
地域で療育施設が非常にふえております。施設の職員には、障害のあるお子さんだけでなく、その家族に対してそういった視点から支援をしていくことが望まれます。職員の専門性を高めていくことによって、御家族の方また保育園の保育士たちが正しく理解し、支援に導いていけるような体制をつくっていくことが重要と考え、平成28年度には御家族の方に正しく理解していただくために、家族支援の方法を療育施設の職員の皆さんに身につけていただくための研修を実施していくこととしています。
本来、こうした早期発見の支援体制については、サービスの提供責任を負う市町が一義的に責任を負うところでありますけれども、まず県がモデル的に実施をし、その後は各市町にある療育センターであるとか、児童発達支援センターが地域の療育支援として療育施設の職員たちに対して指導していける体制をつくってもらうように、体制をこちらにつなげていきたいと考えております。
次に、重症心身障害児・者の在宅における医療支援について御説明をいたします。
在宅で支援を受けている障害児・者の方がふえております。平成26年度では約1,600人の在宅支援を受けている方がいます。そのうちの6割が成人という状況になっております。障害児、障害者を抱えている御家族の皆さんにとって、身近なところでかかれる診療所がなくて、遠くの病院まで連れて行かなければならないということが非常に負担になっているのと、いつまでも小児科、大きなこども病院などの病院の小児科で大人になっても見ていっていいのかということも問題であります。
そういった中で、今回県内約2,700の歯科を除く全ての診療科にアンケートをとり、実際に地域でどのくらいのところが受け入れてくれるかを調べたところであります。その結果をもとにしまして、来年度はそういったところに対してさらに研修をして重症心身障害者についての知識を高めてもらうことによって、御家族の方に安心して医療を受けてもらうとともに、さらにまだ今は重症心身障害者の方を受け入れできないと言われている医療機関にも広く知識をお伝えすることによって裾野を広げていきたいと考えていて、診療所を対象にした研修を実施することとしております。
○鈴木こども家庭課長
先ほどの2番目の質問で、富士地区の児童虐待の件数がふえている理由という話があったと思います。
基本的には、通報がふえている中で、やはり近隣住民の方の関心が非常に高まっていて、御連絡いただく通報の割合がふえていることが、1つ大きな要因かとは思っております。例えば関係機関、警察等も何か事案があればすぐ連絡をしていただける体制が非常に強化されておりますので、そういうことが反映しているのではないかと考えております。
○渡辺障害福祉課長
先ほどの説明につけ加えいたします。
富士病院の移転に伴って、今、圏域内の在宅で支援を受けておられる障害児・者の方々が非常に不安に思っておられることについては認識しております。実務的には富士病院側でその方々が困らないように引き継ぎ等の対応を今しているところであると認識しており、私からも強くそれを富士病院にお願いしているところであります。
今回の調査結果の中で、診療できることを公表してもいいと言っていただいているところもありますので、そういった情報を提供していくなり、また研修をすることによってそういう医療機関をふやしていくことで、富士圏域内の皆さんの不安の解消にもつながるものと考えております。
○高橋障害者支援局長
富士病院の移転統合に対しまして、在宅の患者の方々、御家族の方々が不安になっているという件についてでありますけれども、平成27年度の施設整備の中で富士地域に重症心身障害児が通う通所型の施設を新設する計画がございました。
その計画につきまして、本年度――平成27年度でございますが、全国的に国庫補助金が非常に厳しい状況にあったわけなんですが、こういった環境といいますか、困難な状況を説明するなどいたしました結果、富士地域におけます通所型の新しい施設の建設が国において認められまして、このたび国庫の内示をもらって、新しくつくる予定でございます。在宅の方々が安心して、御近所で支援できる体制を整えていこうとしているところでございます。
○木内委員
ありがとうございました。
まず、発達障害の健診マニュアルを作成していくということですけれども、ぜひともお願いしたいと思います。
診断を受けて、診断というか異常があるんじゃないかとか、経過観察が必要だということを言われる。ちょうど私の下の子供が4歳ですけれども、そのぐらいで言われたんだけどって不安になる親御さんたちっていっぱいいて、それが果たしてどういう基準で言われているのかは、やっぱり現場では伝え切れていないですし、理解し切れていない部分もあると思います。
健診マニュアルというか、判断の基準みたいなものを親御さんたちも知ることで、そういう意味なのかなと無用な心配をせずに済んだりとか、早目に対処できたりというところもあると思います。特に東部は相当なばらつきがあって、混乱があるように感じていますので、早期の作成をぜひともお願いしたいと思います。
重症の心身障害児の件、特に静岡富士病院の関係については、いろいろと御努力いただきましてありがとうございます。
特に、どこでサポートを受けられるのかという情報がなかなか行き渡っていない状況もあるかと思いますので、ぜひそういった御家族をお持ちの皆さんとコミュニケーションをよくとっていただいて、しっかりとした支援をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今のに関連して、予算の中でこども虐待防止体制推進事業費の中で、児童相談所に一時保護所の相談援助業務を一元化するシステムの整備を行うということで、平成28年度関係議案説明書の57ページの(5)のアの(キ)のところで予算がありますけれども、このシステムはどういったものになりますでしょうか、あわせてお教えいただければと思います。
○鈴木こども家庭課長
今回、予算を計上させていただいておりますこども虐待防止体制推進事業の関係ですけれども、現在児童相談所で受けております相談の受け付けから、措置等の援助内容の決定であるとか、それから保護者からの負担金徴収、あるいは各市の統計事務、これらの一連の相談援助関係業務を一元管理できるシステムを導入したいと考えております。
これによりまして、業務の迅速化、効率化を図っていきたいと考えております。これらに係る事務の手間がまず軽減されること、それからこれまでのデータをより早く集めることによって分析ができるということで、これらの過去の事例、過去のケースとの照合作業を迅速にやって、デスクワークに要する時間を短縮して、よりきめ細かなケースワークができる時間を確保することで、限られた人員の中で増加する虐待相談等に対応する体制を強化したいと考えております。
○木内委員
ぜひとも整備し、しっかりいいものをつくっていただきたいと思います。複数の方がかかわって相談を受けて引き継ぎが漏れたりとか、緊急のSOSが別のところであってもその連携がいかないなどは、こういったシステムをきちっと運用すれば改善されると思いますので、ぜひともしっかりしたシステムをつくっていただきたいなと思います。
それでは、続いて質問させていただきます。
まず、ドクターヘリに関して御質問させていただきます。
ドクターヘリが今年度運行事業費を増額して、さらに東部ドクターヘリの格納庫の予算も計上していただいておりますけれども、まずドクターヘリの先ほどの御説明の中で、出動に応じて加算制度も検討していく必要があるということだったんですが、現状は固定額を助成して、後は事業主体での負担もそれなりにあるんじゃないかなと思っております。そのあたりの現状の認識と、加算制度をどのような形でイメージしているのかについてお伺いしたいと思います。
また、東部ドクターヘリの格納庫の整備事業については、補助率が国が3分の1、県が3分の1、あとほかとなっていますけれども、これは具体的にどのようにほかの内訳を考えておられるのか、どのようにその財源を確保していくのかについてお伺いします。
続いて、医師確保に関連して、ふじのくにバーチャルメディカルカレッジの中で医学修学研修資金に関して質問をさせていただきましたけれども、同様に関連して浜松医科大学附属病院では修学資金の返還免除の対象にならないということで議会でも質問がありましたし、私が質問した後、順天堂大学附属静岡病院からも、当病院も返還免除の対象にならなくて困っていますというお手紙が届きました。
浜松医科大学附属病院とか順天堂大学附属静岡病院を対象から外している、対象になっていないことについては、恐らく当時の制度設計のお考えもあるかと思いますけれども、その免除の対象になっていない背景と、今後の方向性についてお伺いしたいと思います。
あわせて、新たな専門医制度への対応ということで、委員会説明資料77ページの県内で基幹施設を検討している病院数の内訳を見て驚いたんですけれども、西部が46、中部が17、東部が7ということで、もちろんこれは基幹施設なので、その後連携病院をどう構築していくかによるかなとも思ったんですが、西部は浜松医科大学附属病院が全部の科で基幹病院になるにせよ、それを除いても27が基幹病院で名乗りを上げていると。
これは、浜松医科大があるから西部が多いよという理屈だけでは説明し切れないぐらい、西部の病院のほうが積極的に基幹病院を検討している状況が生まれているのはなぜかなという単純な疑問があります。基幹病院があっても、連携病院でうまくローテーションを組んでというお話もあるかと思いますけれども、やはり西部が基幹病院で東部の連携病院となると、どうしても距離の制約は発生してくるんじゃないかなと思いますし、これを見たときに新専門医制度が始まれば、恐らくまた東西の偏重は大きくなるんじゃないかなという物すごい不安を感じました。
これは、まずなぜこのように西部は浜松医科大以外もこれだけ名乗りを上げられる状況があって、中部、東部ではこれだけ少ないのか、背景がわかれば教えていただきたいのと、これを打ち返すだけの基幹病院の体制、連携病院の体制をつくっていくためには、もう平成29年から始まるということで、今年度相当な努力をしていただかなきゃいけないと思っているんですけれども、そこに対する方向性をお教えいただきたいと思っています。4点お伺いします。
○竹内地域医療課長
まず、ドクターヘリの加算制度についてお答えいたします。
現在、ドクターヘリについては、飛ぶ回数にかかわらず補助基準限度額ということで、一定の上限を超えた場合には全て実施病院の負担という形になってございます。6番委員御指摘のとおり、東部ドクターヘリについては全国3位、西部は11位ということで非常に回数が多くなっております。
実際の数字状況になりますけれども、順天堂大学の資料によれば、まずドクターヘリの運航に関しては、補助金あるいは診療報酬を加えても支出においては183万円余の欠損、赤字が出ているということでございます。ドクターヘリの運航体制の支援事業で国の補助の対象となっている人件費は医師、看護師1人ずつの人件費にすぎません。実際にドクターヘリを運航するに当たっては、複数の医師、看護師がローテーションで勤務に入る形になりますし、救命救急センターの運用とセットでという形になってございます。
そういう点でいいますと、順天堂大学の資料で救命救急センターの運営事業費で言えば、およそ10億円の赤字ということで、ドクターヘリ単独の事業の収支だけでははかり知れないものがあると考えております。
このようなことから、県といたしましては、実態に合わせた、事業規模に合わせた補助制度について、まず国の補助金の中で十分支出をしていただきたいというのもありますし、一方で加算制度についても働きかけをしているところでございます。
それから、2点目の医師確保対策のお話の中で、大学病院が返還免除対象施設から外されている背景、それから今後の方向性でございます。
今回本会議でも答弁しているところでございますけれども、そもそも本県の医学修学研修資金制度は、平成16年の医師臨床研修の必修化に伴いまして、全国の大学において医師の引き揚げがあったということで、県内外の大学からの派遣に頼っている県内の公立病院、公的病院等が医師不足に陥って、非常に重大な状況に瀕したことから、まずは地域医療の核となる県下の公的病院等に対して医師をしっかりと確保していくという観点から、平成19年度から貸与制度の運用を始め、平成21年度から100人規模、平成26年度から120人規模という形で拡大をしていっているところでございます。
今回、現状においてもまだまだ医師確保については十分ではないと考えております。特に公的病院は医師不足の状況が続いている中で、今6番委員から御指摘のあった新専門医制度も見据えて、さらに公的病院等、特に東部地域を中心とした、まだ地域変化がある中で整合していくことも必要だと考えております。
こうしたことから、大学病院を返還免除施設に加えるかどうかについては、現在浜松医大には本会議の答弁のように投げかけているところであります。順天堂大学に対しても同様に投げかけるところでございます。
済みません、先ほどのドクターヘリの格納庫の補助制度のお話で追加をさせていただきます。
委員会資料の81ページの東部ドクターヘリ格納庫等整備事業費の補助率のところですけれども、この格納庫等整備事業費では、今回整備は2つのパーツに分けて考えてございます。
1つは、格納庫及び給油施設に関する部分、それから地面のヘリポートに関する部分と2つの補助制度を組み合わせてございまして、まず上物といいますか、格納庫と給油設備につきましては、国が3分の1、それに対して県が同額の3分の1をつける形での補助を考えております。一方、地面といいますか、ヘリポートにつきましては、国の制度が現在ありませんので、県単独の中で県が2分の1という形で補助を現在検討しているところでございます。スペースの関係でほかという形で記載をさせていただきました。漏れておりまして申しわけございませんでした。
引き続きまして、新専門医制度の中で、委員会資料でいいますと77ページになりますけれども、6番委員御指摘のとおり、現時点において県内で基幹施設を検討している病院については70病院ということで、ごらんいただいてわかりますように、西部において、特に浜松医科大学附属病院を中心として非常に多くなっているところがございます。
この基幹施設になれるかどうかというのは、まずそれぞれの学会あるいは診療領域の中での基準がございます。症例数であるとか、あるいは指導医の数、あるいは学会等の発表の数、さまざまな面から基幹施設になれる基準がございまして、その基準を満たした上でさらに手挙げをするかどうかという形になっております。
今回の新専門医制度は、基幹施設において専門医をとるための期間、専攻医といいますけれども、その専攻医の全てを管理しなければならないということで、例えば複数の病院にローテーションする場合には、その症例数を全て把握した上で、必要な研修についてもフォローして、専門医がとれるような体制まで持っていかなければいけないという、ほかの病院の研修の分まで管理をしていく必要がございます。そういう点で、全国的にいいましても、基幹施設となる基準を満たしていながらも、非常に事務量が多い、大変だということで手挙げを控えている病院もあると聞いております。
その中で県としては、ふじのくに地域医療支援センターとしても、できるだけ多く基幹病院として手を挙げていただきたいということで、支援センターから県内の各病院に対してもぜひ基幹となれる場合には基幹となってほしいということで、昨年、既に通知を出して、あるいは集まる機会を通じて呼びかけをしているところでございます。そのような中で、現状このような状況になっております。
あと、東部の病院で、現状でこのまま行くと非常に心配であるという御指摘につきましては、まず県内の基幹としてなる場合は今お示ししたとおりですが、一方、東部の病院は首都圏を中心とした関東の大学から多く医師派遣を受けている病院もございます。したがいまして、現在、先ほど申し上げたふじのくに地域医療支援センターにおきましても、県内の病院に対してアンケート調査を行っておりまして、県内の新しい専門医のプログラムの参加状況のみならず、県外の大学等を基幹施設としたプログラムについてもどのような参加状況かを現在把握しております。
そのような中で、県内のみならず県外も含めた新しい新専門医制度の中のプログラムの参加状況を、今年度末を目途に調査をしているところでございます。その結果を受けまして、また改めて県内の状況が明らかになってくると思いますし、その中で改めて必要な呼びかけあるいは働きかけなどをしていきたいと考えております。
また、この新しい専門医制度の地域偏在の心配については、全国レベルでも既に大きく取り上げられておりまして、知事会ですとか衛生部長会、あるいは自治体病院協議会等々、全国レベルでも今回の新専門医制度によって、より地域医療の偏在が進むのではないかという危惧が、懸念が示されていることも伺っておりますので、そのような全国的な状況も注視をしながら、県としても必要な対応を図ってまいりたいと考えております。
○北詰医療健康局長
先ほどのドクターヘリの格納庫の整備について、また補足をさせていただきます。
こちらの補助整備でございますけど、国の補助制度を使うのでしたら、そのときは3分の1が国で、県が3分の1、残りの3分の1について事業者負担ということになるんですが、ただ、ここにつきましてドクターヘリが運航しております東部21の市町につきまして御協力をいただくということで、今、調整を進めているところでございます。
○山口健康福祉部長
医師確保につきまして、少し追加で答えさせていただきます。
まず、浜松医科大学附属病院、順天堂大学附属静岡病院について、対象とならなかった背景と今後の理由、ちょっとダブるかもしれませんが、もともと医師不足が始まった1つの大きな理由としまして、各大学が新しい研修医制度が始まった時点で医師を自分たちのところへ引き揚げたという経緯があります。
静岡県は、もともと公立病院中心でしっかりやっていたところ、医師の引き揚げによりまして公立病院の医師の確保が非常に難しくなったと。その結果、今回の新しい奨学金制度をつくりまして、公立病院を中心に配置しているところでございます。ですので、そのときの大学病院の引き揚げによって、大学のほうは十分医師がいるだろうということで、対象から外したところでございます。
それと、基幹施設の偏在についてでございますが、西部はもちろん浜松医科大学附属病院が基幹施設として19科ございます。残りも27と非常に多いんですが、それは個人名を申してあれなんですけど、聖隷とか中東遠の病院等しっかりした基幹病院があるのが大きな理由になっております。一方、中部地区は総合病院がほとんどでございます。それと県立総合病院、こども病院と、あとこころの医療センターがありますが、東部のほうは、そういった公立の基幹施設になるようなしっかりした病院がないというのはちょっと語弊があるかもしれませんけど、そういう状況でございます。この偏在をなくすのは、静岡県もしっかり頑張りますが、静岡県の医療は公立病院を中心に動いていますので、ぜひそれぞれの地元の市町におきましても、病院をしっかりするためのいろんな支援等をやっていただければと思っているところでございます。
○木内委員
御答弁ありがとうございました。
ドクターヘリに関しては、先ほど格納庫部分は国、県が3分の1ずつで、21市町でもう3分の1を負担する方向で調整していると理解しましたけれども、御説明にあったヘリポート分の県費負担の2分の1に対して、残りの2分の1は事業者負担になるのか、こちらも21市町で分担していくのかについて再質問させてください。
このバーチャルメディカルカレッジ事業の医学修学資金貸与制度で、大学病院を当初の制度設計上外したというのは、制度の趣旨を考えれば当然だと思います。その点については、先ほどの御答弁だと結局その方向で動くのか、いや、あくまで本来の趣旨にのっとって、公立病院勤務のみで行くのかというところの方向性が、ちょっと私は理解できなかったんですが、制度の趣旨を考えれば、大学病院は別にほっておいても人が集まるんだからいいだろうということで、その勤務期間は免除期間に充てないというのが筋なのかなと思うんですけれども、そこって今どういう方向性か、ごめんなさい、正直今の御答弁だとよくわからなかったので再度御説明をお願いします。
基幹施設を検討している病院数の数字については、要は基幹施設になれる病院だけど手を挙げないということと、そもそもなれないというところの理解でいうと、なれるけれども手を挙げていない病院は東部ではほとんどない、基本的にはなれない病院しかないからという理解なのかなと思ったんですが、中部も県立病院機構なんかは基本的にはなれるものについては手を挙げているのかどうかというような状況等々、実際になれる病院がどれだけあって、手を挙げている率、挙げてない率がどんな状況なのかなというところも教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○竹内地域医療課長
お答えいたします。
まず、ドクターヘリのヘリポート部分の順天堂大学附属静岡病院の負担があるかないかにつきましては、ヘリポート部分につきましては県が2分の1で、順天堂――事業者負担が2分の1で考えてございます。
それから2つ目、まず大学病院について今後の考え方はどうかというところですけれども、基本的な趣旨としては、6番委員御指摘のとおり地域の公的病院等に医師を十分に確保するという観点から大学については対象施設としないというのは本来の制度の趣旨になっております。
しかしながら、現在医学修学研修資金の貸与者が今年度末で770名までふえてまいりました。そういう中で、いかに奨学金貸与者に医師不足の地域の病院に働いていただくかという観点から、大学に対して医学修学研修資金の貸与者に対する研修プログラムをつくっていただく中で、まず東部地域など医師が足りないような病院にも回ってもらうプログラムをつくってもらうとともに、東部地域などの医師が不足した病院に回った場合について、大学での勤務期間をどのように考えていくのか。今までは全く猶予期間ということで考えていたわけですけれども、今後どういうふうに考えていくか、大学と協議を行っている状況でございます。それについて今検討しているところになります。
それから、基幹施設として条件を満たしていながら手を挙げていない病院がどれぐらいあるかということに関して言いますと、東部に関しても、現実、今回の新しい専門医制度の中で、基幹施設となる基準を満たすのは非常に厳しい状況でございます。
中部に関しましても、ほとんど基幹施設としての基準を満たす病院については手を挙げていただいているものと思っております。ただ、総合診療科では、まだ実際に標準的なプログラムがはっきりしていなかったり、申請期間が未定というところもありますので、若干のそこの余地はあるかもしれませんけど、基本的には手を挙げていただけるところはほとんど手を挙げていただいているものと理解をしております。
○木内委員
ありがとうございます。
大学病院について私の理解で、例えば大学病院の勤務だけれども、研修のローテーションの中で対象の公立病院に行った分については日割りで期間を計上するとか、例えばそんなもうちょっと今までよりも細かい制度をつくっていって対応するというイメージなのかなと理解したんですけれども、ともかく当初の制度の趣旨は守りながらも、柔軟に対応できるようなものをしっかりつくっていってほしいなと思いました。よくよく大学病院と話し合いを進めていただいて、制度をよりよいものにしていってもらいたいなと思っております。
ドクターヘリの格納庫の件については、承知しました。
基幹施設になれる病院は、もうこれで手を挙げていないところはほぼないということなものですから、いかに東部地域の病院体制が厳しいかが、改めてこれでよくわかったかなと思います。できる限りの偏在解消に向けた引き続きの配慮、努力をお願いしたいなと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、質問を続けさせてもらいます。
第3期静岡県地域福祉支援計画。
委員会資料25ページに、多様化する福祉ニーズに対応するため新たな基本方向として新たな支え合いの地域づくりを加えたということですけれども、この新たな支え合いの新たなというのは、具体的にはどういうものなのかちょっとわかりませんでしたので教えていただければと思います。
委員会資料の61ページ、障害のある人への就労支援事業ということで、事業概要に新規で農福連携とか、しずおか授産品ブランド化推進事業、就労移行促進事業が挙がっていますけれど、理解としては、昨年度の予算を見ると、障害のある方への就労支援事業の総額は余り変わっていなくて、内訳を細かく分けて事業として別出ししたのかなという印象があります。引き続き、やっぱり一番大きな予算として5200万円を障害者働く幸せ創出センターを拠点としてということですけれども、これだけの予算をかけて貸し会議室等々を含めてセンターとして事業をやっていくのは、果たして本当に効果的なのかなという疑問があります。
特に、受発注のコーディネートとか企業訪問とかそういうことをするのであれば、各地域の社会福祉協議会や商工会議所にそういうコーディネーターを育成していくので十分ではないかなと思っているんですけれども、果たして本当にセンターがセンターとしてあることで意味がある成果が出ているのかなという点が疑問にあります。今まで総額をセンターに回していた分を今回こうやって事業で外出ししたのもその背景があるんじゃないかなと思っていますけれども、そのあたりについて認識とお考えを伺いたいと思います。
吉原林間学園の改築整備ということで、委員会資料47ページ、児童精神科外来診療所の附置ということで、新たな施設では児童精神科外来診療所をつくるということですけれども、先ほど申し上げました東部の発達障害児童の支援は、医療施設も相当手薄で、吉原林間学園の児童精神科外来がそういったことの助けにもなればと思っているんですけれども、そういう役割は果たせるのかどうかについて伺いたいと思います。
最後に、ふじのくに少子化突破戦略の羅針盤の内容と今後の活用ということで、拝見しましたけれども、すごくわかりやすいんです。すごくわかりやすいだけに、これを今後下敷きとして――羅針盤としてということですが――一応よくよく読んでみたら、羅針盤の8ページ、「なお、特筆すべき事項としては、結婚要因の影響が大きく、合計特殊出生率の地域差の大部分が結婚要因で説明できる」と。言いかえれば、合計特殊出生率が低い市町において、夫婦の出生力は必ずしも低いわけではないことが示されているという分析結果がありますが、要は出産に関する支援云々よりも、結婚するかどうか。もっと言えば、結婚して子供を産む適齢期の人が住んでいるかどうかが、ほぼ全てだよと言っているんじゃないかなと思うんです。
そこに対して羅針盤の12ページに、重回帰分析による中間要因と地域力との関係性の検証に、結婚要因のモデルでは0.182であり、結婚要因のうち、わずか18.2%しか説明できていないと書いてあります。結婚している人が住んでいるかどうかがほとんどだけれども、その要因は今回のいろんな要因の分析では18.2%しか説明できていませんよと、今の話を要約するとそうなります。
資料がよくできているだけに、これがひとり歩きして、このチャートを見ればうちはこれが低いからこうだという単純な発想で少子化対策の支援をしても意味がないのかなと。しっかりとした統計分析をしてもらっているだけに、ちゃんと統計分析的にはこうなので、ここに書いてあることが全てではないというか、もっと別の要素がたくさんあるということもきちんと伝えていただきながら、生かしていただきたいなと思うんですけれども、そのあたりの認識とお考えを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○勝山地域福祉課長
ただいまの、地域福祉支援計画にあります新たな支え合いの御質問についてお答えいたします。
今、6番委員も御承知のとおり、地域では雇用状況の変化あるいは地域のきずなの希薄化により、家庭の中で複数分野での課題が生じたり、生活困窮に至るリスクも増大をしております。
こうした多様化するニーズに対応しまして、これまでの公助、つまり自治体が提供するサービス、あるいは自身や家族による対応の自助だけでなく、地域において共助――ボランティアなどの支援とか地域住民の取り組みの強化が求められていると思います。
こうしたことから、今回新たな支え合いの地域づくりという柱を据えたものですけれども、具体的な内容を御説明いたします。例えばひとり暮らしの高齢者の支え合いということでは、行政とか福祉関連団体、あるいは事業者団体等から構成されます地域における支え合い体制づくりを支援する、ふじのくに安心地域支え合い体制づくり県民会議というものがございますけれども、こうしたいろんな行政関連団体、民間の方々が一緒になって協力を得ながら、社会全体で、住みなれた地域の中で高齢者、障害のある人たちを見守り支え合うという、これまでにない新たな、みんなでやっていきましょうという形の支え合いを構築しております。
また、もう1つ事例を申し上げますと、生活困窮者の早期把握ということで、生活困窮者自立支援制度が平成27年4月から実施されておりますけれども、こうした生活困窮者の働く場あるいは社会参加の場を拡大することによりまして、生活困窮者等の状況によった早期の自立につなげることができる、地域でそうした生活困窮者を見守って自立を助けていく体制づくりを行うということです。こうした意味で、新たな支え合いということでポイントを置いたものでございます。
○山口障害者政策課長
私からは、委員会資料の61ページになりますが、障害のある人の就労支援事業についての御質問にお答えします。
県では、平成22年5月、静岡市葵区呉服町に障害者働く幸せ創出センターを設置し、障害のある方の就労支援、また企業と授産施設等とのつなぎ事業等を行ってまいりました。これまでに平成22年度から、障害者働く幸せ創出センター事業の運営の中で、授産製品の販売も静岡市と沼津市で行っております。
また、6番委員から質問がございましたが、企業と地域の福祉施設をつなぐということで、連絡員が各企業へ行き、授産製品の販売をお願いしたり、また下請をもらってくる、それを授産施設につなぐ事業をやってまいりました。
その実績が、平成22年度ですと6300万円ほどでございまして、平成23年度では7900万円となっております。それが平成26年度には1億円を超えました。ということで私どもは、授産施設の販売また企業と授産施設をつなぐ事業というのは、かなりの効果を上げてきているという認識を持っております。
ただ、平成22年度から始め本年度まで6年間、この事業を進めてまいりました。過去には障害の施設の全体的な底上げをするために、各施設での授産製品の品質の向上とか、また販売のノウハウの研修を行ってまいりました。しかしながら、それがかなりの施設に浸透してまいりましたので、来年度からこの障害者働く幸せ創出事業については大きく見直しをしたものでございます。
具体的には、予算の組みかえという御指摘もございましたが、働く幸せ創出事業については7600万円を5200万円に減らしたということでございます。これは具体的には、それまで企業を訪問しているスタッフが東部、中部、西部にそれぞれいたわけですが、ある程度そのネットワークもできてきましたので、この辺のスタッフはほぼ半減するといったことも考えております。
また、研修も総花的なものよりも、今回新しく挙げましたが、農福の連携とかブランド化、そういったものをある程度特化したものにしていきたいと考えております。
いずれにしましても、6年間のこの事業については成果が随分出ていると思いますが、やはり限られた予算でございますので、随時見直しをしたいと考えております。そのために、来年度その働く幸せ創出事業を減らし、新しい事業とするものでございます。
また、あわせまして、この障害者働く幸せ創出センターについては、これまで独立行政法人に単独随契で行ってまいりましたが、次年度からは公募型の企画提案で、その委託先を公募したいと考えております。
○鈴木こども家庭課長
吉原林間学園における外来診療についてお答えいたします。
吉原林間学園で行います外来診療ですけれども、念頭に置いておりますのは、発達障害の関係ですと、発達障害を起因といたしまして二次的障害として精神症状を発症したお子さんについての専門的な治療が必要になるということで、児童精神科医を配置して、専門的治療に対応していきたいと思っております。
精神疾患を抱えて治療が必要なお子さんを、地域の医療機関や関係機関からの紹介を受けて対応していきたいと考えておりまして、この面におきましては大きく貢献できるものと考えております。
○鈴木こども未来課長
ふじのくに少子化突破戦略の羅針盤の今後の活用についてお答えいたします。
今回は、この分析をするに当たりまして、とてもたくさんのさまざまな項目についての分析を過程の中ではしてきたんですけれども、その中で各市町で比べることが可能な30の項目で、今回分析をいたしました。ですので6番委員御指摘のとおり、説明ができない部分も、これが全てではないというところも確かにございます。
この羅針盤の活用につきましては、今月市町の担当者会議を開催いたしまして、羅針盤の読み取り方でありますとか活用方法につきまして丁寧に説明をいたしまして、各市町がこの情報をもとに、現在市町が懸命に取り組んでいます施策が真に必要で効果的な施策になっているのか、検証するように働きかけてまいりたいと思っております。
○木内委員
ありがとうございました。
コメントだけして終わります。
新たな支え合いというところについては、すごく漠然としたもので、先ほどお話ししていただいた内容は、本当に新たな支え合いなのかなと思うところではあります。新たなと入れておけば新たな感じになるような雰囲気を感じたものですから、計画である以上、きちんと具体的に示していただいたほうが、伝わるものも伝わるんじゃないかなということを思いましたので、よろしくお願いします。
吉原林間学園については、いわゆる幅広く発達障害を扱うというよりは、より専門的に特化したものになるのかなという印象を受けましたが、特に東部は今、先ほども言いましたけど、極めてできる医療施設が少ない状況ですので、そういった役割も念頭の1つに入れていただければと思っております。
ふじのくに少子化突破戦略の羅針盤も、結局、比較できる項目だけでやった気になられても困るなと思っています。比較できる項目だけでは18.2%しか説明できなかったというのは、1つの大きな知見だと思いますので、より実践的なものになるように活用していただければと思います。以上です。ありがとうございました。
○東堂委員長
ここでしばらく休憩といたします。
再開は午後3時15分といたします。
( 休 憩 )
では、休憩前に引き続いて委員会を再開します。
質疑等を継続します。
では、発言願います。
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