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委員会会議録

質問文書

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平成27年2月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:天野 一 議員
質疑・質問日:03/03/2015
会派名:自民改革会議


○天野(一)委員
 一括質問方式で3点ほど質問したいと思います。
 1つはお茶のことについて伺います。
 私は、今回上程された島田市お茶の郷の5億円の予算について、本当は疑問に思っております。なぜ今それだけの巨額の金額を島田市お茶の郷のために使うのかと。今お茶は生産と流通が瀕死の状態にあって、それだけのお金があるならば生産と流通に使うべきではないかと私は考えるわけです。その危機意識がお茶の関係者にあるのかどうなのかということであります。
 お茶の都しずおか構想も私は本当にこれでいいのかと思います。静岡県は茶どころという名前が今まで使われて、都なんて言ってないんです。日本人は茶の都というと宇治のお茶をイメージするわけです。その宇治のお茶を払拭して静岡県を戦略的に茶の都として考えようとしているのか。その点についてまず伺いたい。

 それから、お茶の販売促進を一生懸命やっているわけですけども、リーフ茶にこだわり過ぎて、今静岡県のお茶は販売がだめになってきたんじゃないですか。きのうも質問があったが伊藤園はリーフ茶にこだわっているのか。こだわっていないんです。ペットボトルや粉末、いろいろなものをやっているんです。今静岡県は古色蒼然とリーフ茶だけにこだわっていいのか。リーフ茶はどのくらいのシェアがあるのか、その点をお伺いしたい。

 そして、今私たちの前にお茶はどういう戦略でやるのかと。もちろん私はお茶の文化を否定するわけではありませんから、リーフ茶を否定するわけではないんです。それはお茶の生産流通の日本一の静岡県はお茶の文化を大事にしなければいけないということはわかるんです。
 しかし、今お茶の文化よりも生産現場で放棄茶園がふえ、流通は茶市場がピーク時180億円あったのが去年65億円と3分の1になった現状を見ると、生産と流通の問題について真正面から向き合わなければお茶の再生はないのではないかと思うんです。今、知事を初めとして文化を論じているときではないじゃないかと。業界団体を挙げてJAも含めてこの生産と流通の問題について取り組まなければ、静岡県はお茶どころ日本一の座を引きずりおろされて、しかも日本一どころじゃなくてさらに低迷を続ける可能性もあるのではないかなと思うんです。その点についてお伺いしたいと思います。

 また、一歩譲って島田市お茶の郷はどんな情報センターにするのか。過去に斉藤知事のときにお茶の文化センター構想がありました。それは立ち消えになって基金も取り崩されました。今その二番煎じの島田市お茶の郷を何でつくるのか。それは流通と生産にどんな影響を与えるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

 次に、森林・林業の問題であります。
 私は、株式会社ノダとか中国木材株式会社を否定するわけではありませんけれども、県内の製材業者が死ぬか生きるかという非常に厳しい状況の中で、それを無視して大手の株式会社ノダや中国木材株式会社が進出することによって、今まで一生懸命努力してきた県内の製材業者の将来についてどう考えるのか。今回の予算で共同受注の体制とかそういった話が出ておりますけれども、地元の中小の製材業者がこの森林・林業の中でどう生き残っていくのか指針があるのかどうなのか。私は、大手企業だけが育って年間木材生産量50万立米の計画を達成しても、県内の木材業者が全部潰れてしまったならば何のための50万立米なのかと思うんですけども、その点についてお伺いしたいと思います。

 また、新しく草薙総合運動場新体育館ができました。県産材を使ってくれて大変うれしく思います。しかし県産材の強度など、今のままでは建築資材としての強度とかいろんな問題があるわけです。そのことについて真正面からもう一度、総力を挙げてやらないと単に使っただけで終わってしまうんです。
 私は、今回心配するのは当初3,500席の固定席でしたが、木材でつくった今度の新体育館では固定席が2,700席に少なくなっているんです。体育館が大きくなって全国的な試合や国際的な試合ができる、そういった体育館であれば誇れる。しかもアリーナという名称をつくった。普通はアリーナという名称は、固定席のある体育館で1万席から2万席のものを総称するわけです。2,700席ですと普通そういう名称はつくりません。それを静岡県民はアリーナと言うのかということを全国の人から問われたときにどう答えるだろうかと。せっかく木造でつくったこの体育館が、私はある意味ではこの名称によって本当に評価されるかどうかということも起こると思う。
 そういった点について、これはほかの部局の所管ですので感想でいいですからお願いします。できなければできないと言ってくれていいです。

 次に、フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの問題です。
 フーズ・サイエンスを中部地区で育てると言うけれども、5年先、10年先、この中部地区のフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトが達成されたとき、どんな産業でどのくらいの経済規模になるのか。そしてどんな形になるのかと。ファルマバレー構想のときには1兆円産業だった。中部地区のフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトが成功していったときにはどういった産業として育っていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。

○岡茶業農産課長
 まず、茶の都についてでございます。
 おっしゃるとおり、本県は茶の生産県というイメージが非常に強いわけですけれども、実際には聖一国師以来の長いお茶の歴史もありますし、各地にはお茶に関する記念碑というのも非常にあります。
 それから、江戸時代の終わりぐらいからですが、明治時代以降のお茶の輸出の歴史もありまして、そういった産業遺産的なものも非常に多くあり、単なる生産県としてだけでなくそういった面があること。それから富士山を背景にした茶園の美しい景観というのもあります。それから総務省の調査によれば、静岡市や浜松市は非常にお茶の消費量も多い、つまりお茶を楽しんでいるところだと思います。そういったことも発信することによって、それを産業に生かしていけないのか、観光とか、生活文化全てのものをトータルで発信することで、これを産業に生かしていけないだろうかということがお茶の都の考え方だと思います。

 島田のお茶の郷ですけれども、本会議でのお話もあったように庭園ですとか、茶室そういった優れたものや所蔵品もあります。そういった中で、お茶の歴史や文化それから産業とか機能性のことについても訪れた人に知ってもらう。それからさらに産業としては、あそこをお茶の生産に携わる人、流通に携わる人の新商品の提案の場ですとか、そういった産業面の使い方について考えていきたいと考えております。

 それから、その次にリーフ茶にこだわり過ぎではないかというお話がありました。
 総務省の調査結果を見ますと、平成19年ごろに既に金額ですと飲料のほうが上回っているという状況です。そういう中でもちろんリーフを否定するわけではないし、高級なものというのはやっぱりリーフかなと思いますが、今回販路拡大の事業の中でもJAグループと一緒になって新たな商品開発をやっていこうということを打ち出しております。そういった中では今の生活に合った、あるいは都市の生活に合ったお茶のあり方、消費のあり方を実際に商品化へ結びつけていきたいと考えております。

 それから、生産現場が非常に疲弊しているという話で、もちろんそこは一番重要なところですので認識しております。
 昨年度から地域で核となる共同工場を中心に生産体制をどうしようかということで、モデル事業を設定しまして、支援チームによる支援を行ってまいりました。昨年、平成26年産の一番茶、二番茶が低価格であったということで、9月補正予算でそこを補足的に推進するべきだということで、モデル工場を50工場にふやしましてその中で管理の共同化や茶園の集積、将来的な再編ということも含めて今年度検討してまいりました。
 平成27年度からはそれを実際にするということで、農林事務所を中心とします普及指導の中で対応して、今後とも生産が継続できる仕組みづくりというところをやっていきたいと考えております。以上でございます。

○吉田農林業局長
 私からは、草薙総合体育館の運動場の新体育館につきましてお答えさせていただきます。
 草薙総合運動場新体育館につきましては、天竜地域の林業、木材関係者が一丸となってあれだけのものに対する県産材を納めることができて、高品質かつ大量の県産材を期限内に納めたということで高い評価をいただいているものと考えてございます。できればこの評価を2020年の東京オリンピック等の施設の建設にもおつなぎしたいと考えるところでありまして、そういう意味では県産材を使った大型の施設ということで評価をいただいたと思っているところであります。
 ただ、この施設について3,500席から2,700席に固定席数が減って、それをアリーナと呼べるかどうかにつきましては申しわけございません。ここで回答を控えさせていただければと思います。評価は高いものだと考えてございます。以上でございます。

○長谷川林業振興課長
 最初の質問につきましてお答えします。
 50万立米と言っていますが、その内訳としまして地元の製材工場では27万立米、今回できました株式会社ノダの合板工場で13万立米、さらにチップ、バイオマス燃料といったものが10万立米、合計50万立米について生産された丸太を使おうと考えています。
 あくまでも、地元の製材工場で27万立米使っていくということで、それが1階であってその上に2階、3階の13万立米、10万立米というものが消費されていくと考えています。
 地域の製材工場が今後どうすればいいかということにつきましては、一昨年220社を対象にアンケートを行ったんですが、後継者がいて、今後県産材の製品化の作業に頑張りたいという工場が約60社ほどあったりします。ですから、やはり将来的にはこういったところが中心となりまして県産材の生産量27万立米を担っていく形になっていくのかと思っています。
 そういったものを支援するものとして、きのうも説明させていただきましたが製材工場を中心にネットワーク化を組んだりして、供給力をつけてアピールできるような体制を整えていきたいと考えて進めているところです。以上であります。

○梅藤新産業集積課長
 フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの将来像をどう考えているかという御質問にお答えします。
 現在、社会的背景としまして日常生活の中で健康の維持増進に貢献する食品といたしまして、機能性食品に対する需要が非常に高まっていると認識しております。
 また、アジア諸国が経済発展をする中で食の安全・安心を求めると言われておりまして、日本の食品に対する評価が高くなっているんじゃないかと思います。
 さらに、昨日ラグビーワールドカップの静岡開催が決まりましたが、ラグビーワールドカップでありますとか東京オリンピック・パラリンピック等、これから外国の方が日本に入ってきて訪日外国人がふえるだろうということで、新たな市場も生まれてくる可能性があるのではないかと、こんなことを今、認識しているわけでございます。
 この認識を踏まえまして、やはり機能性にすぐれた商品づくりということで、最近特に科学的根拠を非常に求められるものですから、科学的根拠に基づきました機能性の商品づくり、それから機能性ということをしっかり消費者の方に見えるようにして、それを武器に国内外の市場開拓をしていきたいと考えています。
 将来的に、今回の委員会説明資料60ページに県民意見募集ということで県民の方からも意見があったんですけれども、やはり機能性といえば静岡県だというような評価をしっかり定着させていただきたいということで、機能性のところをまずしっかりと追及するような施策をこの5年間やっていきたいと思っています。それによりましてしっかり商品の差別化を図り、食品産業、機能性ということをしっかり売り込めるような形の構造にしていきたいと考えております。
 ちなみに、達成目標をこれまで食品医療等の製造品出荷額等、要するに出荷額のほうを指標にしていたんですけれども、今回食料品と飲料等の付加価値額ということで、この付加価値額は現在8000億円から9000億円の間ぐらいですが、しっかり高めていきたいということで、これを1兆円に引き上げたいという目標設定もしてございまして、しっかりと付加価値の高い商品をつくるということをしていきたいと考えております。以上です。

○天野(一)委員
 ありがとうございました。
 今、お茶のこと、フーズ・サイエンスプロジェクトから森林について質問しましたが、私は基本的に県庁――官が主導的に過ぎると思うんです。もっと業界団体が自主的に自分たちの考え方をして、それを後押しするという仕組みが、僕は静岡県はすごく足りないんじゃないのかなと思います。経済産業部は逆に自分たちが先頭に立つのではなくて、業界の人たちが先頭に立って動けるような形にできるよう指導をしてほしいなということを要望をしておきます。
 これ以上、質問しませんけれども、例えば世界お茶まつりも世界緑茶協会の官が中心で業界団体のお茶まつりじゃないんです。ですから業界の人たちは誰がやっているのって感じになっちゃっているんです。だから業界団体が自分たちのためにやってもらっているという意識を持たないと、世界お茶まつりをやっても、お茶で新しく発展するのは地元じゃなくて大手企業だけが利するという形になる可能性があります。できれば県内の業界の人たちが中心となって参画できる仕組みをつくってほしい。そのことを要望しておきます。質問はこれで終わります。

 経済産業部と労働委員会事務局の退職予定者が3人おります。川嶋尚正さん、経済産業部水産業局水産振興課長。橋本知之さん、労働委員会事務局長。鈴木秀治さん、労働委員会事務局調整審査課長。年度末を迎えて産業委員会説明者のうちでこの3人の方が県を退職されると伺っております。
 長きにわたり、県行政の推進に多大な御貢献をされましたことに心から敬意と感謝を申し上げます。
 川嶋水産振興課長におかれましては、昭和55年4月に奉職されて以来、35年間の長きにわたり水産技術職員として県行政の推進に多大な御尽力をされました。
 この間水産技術研究所、富士養鰻場長、水産技術研究所研究統括監などの要職を歴任され、平成24年4月からは経済産業部の水産業局水産振興課長として本県水産業における6次産業化の推進や漁業就業者の確保、育成、県産水産物の消費拡大などに積極的に取り組まれ、本県水産業の振興に御尽力されました。本当にありがとうございました。
 また、橋本労働委員会事務局長におかれましては、昭和53年4月に奉職され、以来37年間の長きにわたり一般行政職員として県行政の推進に多大な御尽力をされました。
 この間、交通基盤部建設支援局長、経営管理部財務局長、交通基盤部部長代理などの要職を歴任され、平成26年4月からは労働委員会事務局の事務局長として強いリーダーシップを発揮、労使紛争の解決に積極的に取り組まれ労使関係の正常化や安定に御尽力されました。本当にありがとうございました。
 また、鈴木調整審査課長におかれましては、昭和55年4月に奉職されて以来、35年間の長きにわたり一般行政職員として県行政の推進に多大な御尽力をされました。
 この間、都市計画専門監、県都市行政係長、調整審査室専門監、道路保全課参事兼課長代理などの要職を歴任され、平成24年4月からは労働委員会事務局の調整審査課長として不当労働行為の審査や救済、労働争議の調整を適切に行い労使関係の正常化や安定化に御尽力されました。本当にありがとうございました。
 退職される皆様には、今後は健康に留意されるとともに、これまで養われた豊かな経験と見識を生かし、地域社会においても御活躍されることを御祈念申し上げます。
 御退任に当たりまして、これまでかかわってこられた県行政を振り返り後輩の皆さんにアドバイスがありましたら、ぜひ3人の方に一言ずつお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○川嶋水産振興課長
 この1年間、本当にどうもいろいろとありがとうございました。そして35年間という長い間にわたりまして県の行政にかかわらせていただきまして、本当にどうもありがとうございました。
 私は、昭和55年度に県に入りまして35年ですけれども、そのうちこういう本庁で行政的な仕事をさせていただきましたのは昭和のときに3年間、そしてこの最後の平成24年度から3年間と計6年間だけでございます。残りの約30年間――29年間は水産試験場――今の水産技術研究所、そして栽培漁業センターということでもろに現場を、水産一筋の現場だけでやってまいりました。
 水産試験場というのは研究機関でございますけども、圃場はあくまでもやはり海でございます。畑とは違いまして研究課題をつくるにしても何にしても、とにかく海へ行く漁業者の人と会って話をしないことにはデータすらとれない。まず海にも入らせてもらえないということで、とにかく私は漁業者の方のつき合いというのを一番重要にして、仕事をさせていただきました。おかげでこの3年間はその積み上げたものが非常に役に立ったという感想を持っております。
 先ほど、この貴重な時間をいただきまして、私の過去、感想を述べていいという時間をいただきましたので、簡単に感想というか状況を御説明させていただきたいと思います。
 現在の静岡県の漁獲量は約20万トン。それ以外にもいろいろありますが約20万トンございます。昭和60年ごろというのは、戦後の静岡県での漁獲量のピークでございました。そのときには43万トンちょっとというのがピークでございまして、今大体その半分くらいになっております。漁業就業者数も、現在6,000人ちょっとおりますけれども、やはりその昭和60年ごろはピークで、あのときはたしか漁業就業者が1万2000人ぐらいと倍いたんです。静岡県の漁獲量というのは、きのうもちょっと話があったと思うんですけども、3分の1はカツオです。残りの3分の1はサバなんです。半分になってしまったというのはその2種類が半分だということになってしまうんじゃないかと感じるんですけども、ほかの魚種はどうだったかということを考えますと、私の初任地が水産試験場の富士養鱒場、ニジマスの業界でございました。富士養鱒場でやっていましたいろいろな試験研究があるんですけれども、ニジマスの生産量が現在大体1,500トンでございます。たしか昭和62年にそうだったと思うんですけれども、3,200トン、現在の倍はございました。ニジマスというのは1ドル350円の固定レートから変動レートに変わったときに、アメリカ、カナダへの輸出をやめまして内配に切りかえていって、頑張れ、頑張れということでどんどん生産量を伸ばしていった時期でございます。そのときには3,200トンぐらいありましたけれども、現在はその半分になっていると。つくっている池の数も大体半分になっているということでカツオだけではないと。
 さらに、もうちょっとコアな話なんですけども、例えば下田市にある伊豆分場には白浜という地区がございます。白浜にある漁場というのは非常に有名なところだったものですから、いっぱいとれていたんですけども、今現在は多分1トンもとれてないです。下田市全体でたしか今5トンぐらいのはずなんですが、当時白浜地区だけで9トンぐらいとれていたはずなんです。ここは半分以下に落ちちゃっているということで、海の状況、漁業の状況がかなり変わってきているということが言えると思います。
 さらに、今度は消費側に目を向けますと、例えば厚生労働省のホームページを見てみますと、平成18年だったと思いますが、日本人がお肉を食べますか、魚を食べますかというと平成18年を境に実は魚が負けまして、現在お肉のほうが多く食べられているということです。私たちは非常に悔しい思いをして、何とかしなければということを常々考えているわけですが、そういうふうに日本人の食事内容も変わってきているということです。
 例えば、私もついこの間までそうだったんですが、皆さん多分そうだと思いますが、食べたい魚は何ですかと聞かれると、大概マグロのお刺身というのが昔、私の時代もそうだと思います。たしかおととしの新聞記事を見てみますと、サーモンがマグロを抜いたというんです。サーモンは日本でとれるかといいますと、あれは全部北欧や南米からの養殖もので輸入なんです。100%輸入です。
 日本の漁業は一体どこへ行ってしまうのかということもあったんですけども、生産するほうも総変わり。消費するほうも総変わり。私がいました35年という間にそんな時代になっていると感じます。昭和60年ぐらいから今までがらっと大きく変わったと思うんです。
 それに対して県の施策はどうだったかということなんですけれども、簡単に言いますが、当時はとにかく多くとれ、多くもうけるには多くとれ、そのために資源をふやせ、そういうのが当時の施策の中心だったように思います。例えば栽培漁業ですとか資源管理ですとか、そういうものは中心にあります。ところが、ここ10年ぐらいの間にそれよりもどれだけ高く売るか。農業の方は随分早いようなんですけれども、水産業ではそうなったのは最近でございます。とにかく高くということで、そのために現在も私たちは、価値を磨くということで、漁業者のとったものをどれだけ高価値にしてそれを売るかとか、6次産業化などの施策を一生懸命出しているわけです。
 そのように漁業の流れを見ながら、今どんどんそういうふうなものが変わってきております。例えば栽培漁業基本計画。今回の委員会説明資料にもありますが、第7次の栽培漁業基本計画でございます。私は実は平成6年の第3次栽培漁業基本計画をつくったときの担当者でございます。
 その当時の栽培漁業基本計画の前文にこの計画は何であるかというものが一言書かれるんですけれども、第3次栽培漁業基本計画では過去最大の漁獲量を達成するための放流量を考えますということで、戦後一番多かったとき――そのときは減っていたものですから、多かったときを想定してどのくらいふやさなきゃいけない、だからこれだけきちっと放流しなきゃいけないという観点で決めていきました。
 約20年たった今回の第7次栽培漁業基本計画では、今の漁獲量を維持するために必要な放流を考えます。
 資源が、例えばマダイなんかはある程度ふえました。ふえた、元金ができた、その利息をどう食べよう、それを維持するにはどうしよう、そういう計画です。同じ基本計画でも考え方がかなり変わってきているんです。それはいっぱいとれという話から、それをどう維持するか、また高く売れというところへの政策の転換の中の1つのあらわれだと感じます。
 例えば、今は浜の将来を語っていただくということで、浜の活力再生プランということを私たちは一生懸命やっております。現在県内で13の浜、地域で自分たちの将来をこうしますというプランをつくっていただきます。それは国にも承認していただくんですけれども、今13個できる予定で動いております。当時は何があったかといいますと、ここにいらっしゃいます土屋経済産業部長が当時、水産課にいらっしゃって担当していたと聞いております地域営漁計画――漁を営むで営漁ですが、今と同じようなことを当時もやっておりました。
 そのころ、私は富士養鱒場におりましたので、直接それには携わっていなかったんですけども、その内容をいろいろ内部で話し合いをするときに聞いてみましたら、例えばそのときはこうでした。これはどこかの地域なので、全部そうだったわけじゃないんですけども、前浜のアワビですとか、たしか伊豆地区だと思うんですが、イセエビが減ってきたときに収入は落ちてくる。どうしたらいいか。それは沖にいるイカだとかサバだとか、そういう魚をとってこい。要は量をとれ、それが将来の漁村を活性化していくプランだというのが当時のある地区――1カ所だけですけども、その地域営漁計画でございました。
 今の浜の活力再生プランでつくっていますプランを読んでいきますと、13個あるわけですが、その多くが6次産業化や食堂経営、ブランド化をこれからやっていきたいんだという内容に変わってきております。これはまさに、とってもうけようという話から、高く売ってもうけようということへ移ってきたあらわれじゃないかなと感じております。
 それでは、今後どうしようかということですけれども、いろいろな社会情勢がありますので、これから多分漁業はどんどん変わっていくと思います。
 ただ、人間の手ではどうしようもないものも幾つかあると思うんです。例えば人口減。人が減ってきてしまうのは今さらどうしようもない。これからはまだありますけれども、この現状はしばらくは少なくとも20年、30年は変わらないとすると、魚は食料ですので、それを誰が食べるのかという問題はどうにもならない。
 それから、もう1つは地球温暖化。きのうもお話をしたんですけども、世界的に地球温暖化が問題になっていると言われます。静岡県の海はどうかということですけれども、水産試験場、水産技術研究所で水温をずっと調べてきました。私も伊豆の白浜、沼津の内浦湾のデータを全部調べてみました。そうしたら、やはり私が調べた、たかが三、四十年の間でも水温が若干上がっているんです。非常に見づらいんですが、夏の水温というのが気候によってすごく動くのでばらつきが消えてしまうんですが、冬場のこの時期の水温だけを取り出してみますと、確実に30年で0.5度ぐらいは上がってきておりますので、間違いなく静岡県沿岸の海でも温暖化が起きています。これによって多分魚の生態も少し変わっているんじゃないかなと感じております。そういう問題は人間がなかなか手をつけられない問題です。
 もう1つ、これは水産関係の人間だけがいつも言う話なんですが、レジームシフトという単語がございます。これはどういうことかといいますと魚種交代です。例えば明治のころから昭和にかけては、ニシンが日本中でとれました。とれないところはとれないんですが、北のほうでとれました。それがいつの間にかいなくなってしまって今度はマイワシがとれました。それがまた今度マイワシが高級魚になる。全くいなくなってしまってサバがとれているということで、天変地異ではないんですが、魚種がころころと変わっていく状態がレジームシフトと言われているんです。その中で現在は静岡県もそうであるように、30%がサバの水揚げです。そのサバの中にも2種類おりまして、マサバとゴマサバといるんですが、昔はマサバばかりでした。ところが今はゴマサバばかりなんです。これはなぜかわかりません。原因は多分乱獲というのもあるとは思うんですが、そういう魚種交代が起こったことも実はよく原因がわからない。何が起こるかわからないというのが魚種交代です。
 こういうことを考えますと、そういう人間の手ではどうしようもならないことプラスいろいろな社会情勢がある。輸入漁獲率についても中国ですとか、今は東南アジアが非常に食べるようになってきている。日本では右下がりの産業と言われております漁業が、ヨーロッパ等々では右上がりの産業であると言われるくらい外国でも食べられるようになっている。
 そういう問題もいろいろ含んだ形で、ここから先の静岡県の漁業も考えなければいけないということで、私はこの先いろいろやっていきたいなと思うことも実はあります。ですけれども残念ながらそれはできないんですが、これからはいろいろな状況を見ながら先を読んだ、多分30年スパンで変わっていくであろう漁業を見込んだいろいろな施策をやっていかなければいけないんじゃないかなと考えております。これが感想でございます。長い間どうもありがとうございました。(拍手)

○鈴木労働委員会調整審査課長
 まずはこのような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
 私は昭和55年度に採用されまして35年間勤めましたけれども、振り返ってみますとそのうち29年間は本庁にずっといまして、出先事務所にいたのが最初の6年ということでちょっと偏ったキャリアになっております。
 部局といたしましては、公共土木系が12年、税務関係が8年、情報公開が7年、労働関係が現在も含めてですが5年、福祉関係が3年と、県は私に何を求めているのかわからないくらいいろいろなところを回ってきたわけでございますけれども、思い出が深いのは平成6年度から7年間連続で勤めました情報公開関係でございます。
 この当時は、宮城県に端を発しました食糧費の開示請求という問題が全国の都道府県に波及したという時代でございます。約20年前でございますがその開示請求をしたというのが自称市民オンブズマンという人たちだったわけでございますけれども、この人たちというのがこれまで我々が常識だと思っていた役所のルールであるとか仕事の進め方に疑問を感じ、さらには行政への県民参加というのを主張したというものでございます。
 その効果かどうかというのは、直接的な因果関係はわからないんですけれども、現在行われております施策展開表による行政評価であるとか、パブリックコメント制度であるとか、あるいはコンプライアンスを重視した行政運営などというものの根っこがそこにあるのかなと感じております。
 そこで考えたことについて一言、二言述べたいのですが、1つは県の職員の立ち位置ということを非常に痛切に考えました。県の職員を例えば住宅の建築に置きかえてみますと、県の職員というのは設計者の立場であって、じゃあ施主は誰かというと県民の皆様方ということになるわけなんです。当然住宅を建てるときにお客さんから注文を聞いて、それで設計上のいろいろな課題を検討しながら、かつ予算の範囲というのもあるわけですから、その予算の範囲内で最もそれに適した住宅を設計して施主の人に示して、よろしいですねという形で住宅建築に進むわけです。これを一方的に建築会社が住宅をつくって、一方的に請求書を送りつけるということをやれば、これはどういうことになるかというのは想像にかたくないわけでつぶれてしまうわけなんです。
 県の施策というのもそれに類似したところがあるのかなと考えておりまして、県の職員はプロですからそれぞれの行政分野において知識、経験を持っておりますし、そのことは誇りに思ってもいいと思うんです。ただ我々の立場というのは設計者であって施主ではないわけですから、一方的にこの施策がいいんだよってことを押しつけるようなことというのは、これはちょっと心得違いなのかなと感じております。
 ですから、施策を提案するに当たってもその目的や効果、費用が幾らかかるのかということを全てパッケージで提示して、場合によっては代替案を示しながら県民の皆様に選んでいただくという作業が欠かせないのかなと痛切に感じた次第であります。
 県というのは、ここで私が申し上げるというのはまさに釈迦に説法でございますけれども、代表民主制をとっておりますので、県民の理解を得るということは、言ってみればここにいらっしゃいます県議会の先生方に説明責任を果たすということにほかならないわけですので、そのことは今後も肝に銘じていかなければならないなと考えております。
 オンブズマンとの関係でいいますと、オンブズマンの人たちというのは弁護士出身の方が多いものですから、物事を白か黒かで決着をつけるという傾向が非常に多々あったと思われます。そうすると、世の中のことには善か悪かという二項対立で問われれば、それは悪いことでしょうということがいっぱいあるわけなんですが、ただいいか悪いかということについても、やっぱり程度問題ということはございまして、何事にも許容範囲というものがあるんじゃないかなとその当時感じました。
 例えば最近ですと、子供の声を騒音として規制すべきかどうかということが一部自治体で問題になっているようでございますけれども、確かに非常に難しい問題ではございます。許容範囲というものを一切認めずに、ささいな誤りというのをとがめて糾弾するような風潮がいろんな場面で見られますけれども、そういうことが人の心を荒廃させたり、場合によってはメンタルにつながるというようなこともあるんじゃないかなと感じております。
 そこで、残された方には思いやりの心を持っていただきたいということでございます。ただ気の毒な人を見て気の毒だなっていうのは、これは別に私は思いやりとは特に感じていなくて、自然な感情でございます。そんな自然な感情も持ってない人がふえてきたということはそれはそれで問題ではあるんですが、県の職員は少なくとも気の毒な人を見て気の毒だと感じる感性は備えていると思うんです。
 そこで求めたい、私が言うのも難しいと思うんですが、思いやりというのは自分が思いやりたくない人に対する思いやりが持てるかどうかという問題です。例えばテレビを見ていますと、よく会社が不祥事を起こして幹部が謝っている場面が出ますと、私もとんでもないことだなとは思うんですが、でもその人も多分ぐっとこらえているんです。言いたいことは山ほどあると思いますし、いろいろな事情もあるでしょうし、場合によっては非常に不幸な事件だったかもわからないんですが、そういうこともやっぱり思いやってあげる。思いやりたくない人に対する思いやりというような気持ちを持っていただくことが大切なのかなと思います。
 そうすれば相手の気持ちもわかるでしょうし、よく考えればそれほど大騒ぎする問題じゃないということもあるかもわからないわけなんです。そういう意味で思いやりの心を持っていただければなということが1つ。
 それから、情報公開の仕事を通して、これは県の仕事を通して全てなんですが、常識にとらわれた発想をしてはいけないということを痛切に感じております。
 ちょっと小道具を用意しました。ここに百円玉がございます。昔読んだ本でこの百円玉の形はどういう形をしているかという、ある意味でちょっとぽかんとするような問いかけがありました。百円玉というのはよく見ると丸がぎざぎざしていますから、数学的には厳密ではないんですが、円形――丸い形をしてるわけなんです。ところがそれを丸い形だと思い込んでいるのは、これは世の中の常識というものだと思います。でも見方を変えるということはこういうことなんですが、こうして見ますと長方形になっているわけなんですね。だから百円玉は四角いという考え方もできるわけなんです。それで百円玉は丸いと思い込んでいるのは、これは常識にとらわれた考え方ですし、逆に丸じゃなくて四角だよっていうのはこれは非常識な考え方というか、ちょっと不真面目な考え方ということになるわけなんですね。
 じゃあどういう形になっているかといったら、これはよくよく立体的に眺めてみれば、ちょっと平べったいけれども円柱をしてるわけなんです。ですから、百円玉はどんな形をしているかと言われたら、円柱であって見ようによっては四角くも丸くも見えますよと言ったら、多分正解だろうと思うんです。そのために我々職員、実は私のことなんですが思い込んでしまって、百円玉は四角いという人に対して、もうはなからおまえの言っていることは理解できないという形ではねつけてしまうということは私もよくやってきました。オンブズマンの人といろいろ議論しながら、そういうような議論をよくやったことがあるんですが、やっぱり物事の本質というのが丸であると同時に四角であるんだなってことを、本質を見きわめる力を持つことがすごく大切なんだなと思います。いろんな場面におきましても、そういうのが出てきます。
 現在の仕事の卑近な例で言いますと、労働問題を扱っていますが、1個の事象があるわけですね。例えばある日突然解雇を言い渡されたということがありまして、その受けとめ方も労働者側と使用者側では全く別の評価をするわけなんです。つまりこの百円玉が仮に労働問題だとしますと、使用者側は丸いと言って、労働者側は四角いと言って、どっちなんだみたいな形でうちのところへ来るわけですが、そのときに両方とも偏った見方をしないで、本質は円柱だから、見方によっては丸とも四角とも見えるんだから、そういうお互いの立場を理解してくださいという形でだんだん問題を解きほぐしていくような作業を日々やっているわけでございます。
 ということでしたので、3点ほど申し上げましたけれども、1つは職員は設計者であって施主ではないという立場を、毎日じゃなくてもいいですけれども思い出して仕事をしていただきたいということです。それから思いやりたくない人への思いやりを持っていただきたいということと、物事を考えるに当たっては本質を見抜くようなことをしていただければ、よりすばらしい県政になるんじゃないかなと思います。
 さらに議会と執行部が切磋琢磨して、よりよい県政になりますことを、一県民になります身としてお願い申し上げまして一言にかえさせていただきます。どうもいろいろ長い間、御指導、御鞭撻ありがとうございました。(拍手)

○橋本労働委員会事務局長
 先ほど過分なお言葉いただきまして、本当にありがとうございます。
 私は昭和53年に県庁に入ったわけですけれども、最初は職員厚生課で、それ以来いろんな分野で経験をさせてもらいましたが、主としては今の組織でいいますと交通基盤部関係や経済産業部関係の仕事が多かったんじゃないかなと思っております。
 そういう中で印象に残っている勤務場所というのは、私の20歳代から30歳代くらいにかけて、今よりよっぽど感受性もあったんじゃないかなっていう時代ですけれども、そのときに中小企業総合指導センターというところと県立総合病院に勤務したことがあります。
 中小企業総合指導センターでは、もう今は組織はございませんけれども、経営診断なんかで中小企業の現場を拝見させていただく機会が多々ございまして、主に製造系の事業所ですが、そういう中で従業員の方々が一心不乱に一生懸命加工とかそういった業務をやっておりまして、本当に無駄口もたたかないし大変だなと思いました。こういった方々が県の産業を支えていらっしゃるんだなということを大変強く思いました。
 それから、県立総合病院では医療設備の購入とか診療材料の購入などをやっていましたけれども、その中で医師と看護婦、今は看護師と言っていますが、薬剤師、検査技師の方々といろいろ交流があったわけですけれども、いつ職場に出向きましても本当に忙しそうで昼夜分かたず仕事をしておりました。こういった方々がいてこそ、この県の医療が支えられてるんだなと本当にそう思いました。
 そういう中で、自分としては特にこうしようと思ったわけではないんですけれども、こういった方々に恥じないようにいつでも仕事につきましては全力で取り組むということが大事だなということを、仕事に対する考え方といいますか、仕事観というのか、あるいは教訓といったらいいでしょうか、そういったことを強く感じた次第でございます。
 以来30年くらいたつんですけれども、その中でそういうことを多少頭に置きながら仕事をしてきました。必ずそういった仕事観どおりに仕事をしていたかと言われますと、必ずしもそうばかりではないんですが、時々周りからあいつは細かいなとか四角四面で融通がきかないなとか時々ちらちらっと言われたことも思い出しますけれども、そういう意味で周囲の皆さんにちょっと迷惑をおかけしたのかなという気持ちがありまして、少々反省しているところでございます。ただ何と言うんでしょうか、反省はすれども後悔はしないということですね。それはそれで自分としてはよかったかなと思っているわけでございます。
 今後、県政を引き続き担われていく皆様には、やはりその現場で自分が感じたこととか、経験したことなどを通じまして仕事に対する考え方といったことを昇華させていただきまして、常にそういったことを念頭に置いて仕事をやっていただければ、すばらしい仕事ができるかどうかはわかりませんけれども、後悔しないような仕事ができるんじゃないかなと思っております。
 あと、忘れてはいけないのが今の私が在籍しています労働委員会でございます。これは本当に小さな組織でございまして、委員会室に説明者が何十人もいる中で、わずか私と鈴木調整審査課長の2人しかいないということで非常に小さな組織ではありますが、労使紛争を円満に解決するという非常に重要な使命を持っていると感じておりますので、今後一層PRをして労働委員会の存在を広く周知していく必要があると感じております。
 最後ですけれども、皆さんは非常に長くお話になられましたが、私は特にしゃべることがありませんのでこの辺で終わりにしたいと思いますが、平成14年度、平成15年度に部付主幹として議会の皆様方といろいろお話しさせていただきました。当時はともかくとしまして、今はよき思い出だとそのように感じております。
 行政を離れますけれども、一県民として県の応援をしていきたいとそのように考えております。本当に長い間お世話になりまして、ありがとうございました。以上です。(拍手)

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