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委員会会議録

質問文書

開催別議員別委員会別検索用


平成27年12月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:櫻町 宏毅 議員
質疑・質問日:12/14/2015
会派名:ふじのくに県民クラブ


○田形委員長
 休憩前に引き続き、委員会を再開します。
 質疑等を継続します。
 それでは、御発言を願います。

○櫻町委員
 分割質問方式でお願いします。
 まず、最初に総合計画のところですけれども、総合計画後期アクションプラン評価書案251ページの次代の産業を拓く人材育成と就業環境の整備のところで、今回の指標でCあるいは傾向がよくないといった表示がある点がございます。数値目標の県立担い手養成施設の卒業者等の就業率、これはC評価になっておりますし、その下の参考指標が成長産業分野の職業訓練受講者所属企業の満足度が年々悪い傾向にあるという表示になっております。平成24年度の企業の満足度80%が、平成25年度が77%、平成26度が62%と、せっかく県がこうやってお金をかけて事業化していろいろおやりになっているのに、企業の満足度が下がっちゃっているのは、余りよくない傾向だと思うんですが、これに対してまず所見をお伺いします。


○伊藤就業支援局長
 2点、お答えを申し上げます。
 県立担い手養成施設の卒業者の就業率につきましては、技術専門校3校と、それから、あしたか職業訓練校、農林大学校、漁業高等学園、この6つの施設の職業就業率を出しておりまして、目標としては、各年度100%としているわけでございます。
 数字の推移といたしましては、90%台、95%から100%の間で、高位に推移をしておりまして、こういう中で、就業率の表示としては、担い手養成施設でございますので、出どころの資料としてはかなりいっていると思います。今年度の至らなかった就業施設につきまして確認いたしましたところ、残った未就職者は全て就職しているということでございますので、実質的には100%達成しているということでございます。
 それから、成長産業分野の職業訓練受講者数所属企業の満足度ということで、平成23年度から開始しました事業につきまして、80%台ぐらいで推移していたのでございますけれども、新しい成長産業分野、いわゆる新しい職業訓練を次々に開発していまして、例えば最初はレーザー加工であったものが、新しい産業の動向がありまして、3Dプリンターとか、あるいは今年度、IoTとか新しいものを私どもとしてもどんどん取り入れています。そこで企業が期待しているものと若干満足度が添わなかった部分があると思いますので、これにつきましては、継続的にお聞きしながら、満足度が上がる取り組みをしていきたいと考えております。

○櫻町委員
 卒業者の就業率は、実質100%ということなので、また維持をしていただきたいと思いますが、後段のほうですね、恐らく企業のニーズと県の養成機関の技術の高さが追いついてないということじゃないでしょうかね。つまり、今までは8割ぐらいで十分、県の皆さんが教えてくださることで満足したけれども、どんどん新しい産業が出てきて、技術もどんどん新しいのに行っちゃうから、企業がここまで高いところを求めているんだけれど、県のいろんな養成施設の教えるのがちょっと追いついてないのがこの数字に出てるんじゃないかなと思うので、ここは要望といたします。ぜひ企業ニーズをしっかり把握していただいて、しっかりと満足度が上がるような取り組みをしていただければと思います。

 それでは、続いて所管事務調査をさせていただきます。まず先ほどの8番委員とちょっとかぶってしまうかもしれませんが、成長7分野の支援についてお考えを伺いたいと思います。
 今回、質問に先立ちまして、事前に資料をいただいた中で、成長7分野――先ほど来出ております次世代産業であったり、新エネルギーであったり環境であるわけですけれども、平成27年度の予算は、事業化の助成も含めまして、全体で3億9000万円――約4億円弱ということですね。これは皆さん方の部署がそれぞれ7つの分野に、限られた予算の4億円を割り当てをしようといったところの順番から行くと、1番が新エネルギー、2番が航空宇宙、3番が医療・福祉機器となっています。ところが、事業化助成というお金が約2億4000万円ほどあるんですけれど、それを企業の皆さんに御案内をして、うちはこれやりますよということで上がってきたその額の割合で見ると、1番が医療・福祉機器、2番が光、3番が航空宇宙ということですね。
 これは、後者の企業が、うちはこれをやりたいからぜひ助成してくださいというやつが、まさに生の企業のニーズだと思うんです。ところが、県が考えた助成の割合というか、どこの産業にどれくらいかけるかの率とアンマッチの部分があるんですけれども、これについてはどんなお考えをお持ちなんでしょうか。まずお聞かせください。

○北川商工業局技監
 現在、成長7分野ということで支援を行っているわけでありますけれども、予算的なものにつきましては、実は、特にこの分野に幾らとキャップをかぶせるようなことはしておりません。それぞれが今後、成長の可能性を含んだ分野であると認識しておりますので、企業のニーズに応じてめり張りをつけた支援を行っていると認識しております。
 ということで、最終的には4億円の予算のうち約2億4000万円が事業化助成で、助成事業のどういう分野に応募されたかによって、毎年その分野ごとの予算の配分はどうしても変わってきてしまう部分はあるんですけれども、県としましては、それぞれの分野、成熟度といいますか、企業の集積の度合いですとか、あるいは成長の度合いというものの成熟度はそれぞれ異なりますものですから、それぞれの分野ごとにニーズを踏まえた効果的なメニューを設定しまして、先ほどの繰り返しになりますけれど、めり張りをつけた支援をしていきたいと考えております。

○櫻町委員
 県として戦略的にこの分野を伸ばそうとか、あるいは、ここは手を挙げる企業が多そうだから手厚くやろうかという戦略的な配分の仕方があると思うんですね。実際に、企業が、うちはこれをやるといって手を挙げてきたやつと実態が合わないというのは、あってもいたし方ないことだと思うんですよ。
 そこでお伺いするのは、先ほど来、航空宇宙産業は非常に伸びる産業だということで、本県も大変注目をしているんですけれども、今7つあるそれぞれの新産業で全ての実力を上げる、つまり底上げでこの予算配分をされるのか、あるいは航空宇宙は例えば愛知県とかほかの県が大分先行しているから、静岡県は医療とか介護といった医療・福祉のところに手厚く重点投下するのか。産業の育成については、こういったいろんなやり方があると思うんです。これについては、今時点で県はどんなお考えなのか、お考えがあったらお聞かせください。

○岩城経済産業部理事(新産業集積担当)
 先ほども8番委員のところでお答えをいたしましたが、まず成長7分野を重点で考えております。正直申し上げて今現在具体的に、じゃあこの中で環境あるいは新エネルギーをやろうという議論までは行っておりません。これは成長戦略会議であるとか、あるいはアドバイザリーボードの皆さんの意見も聞きながらということになります。
 ただし、ことしから始めた産業技術総合研究所との共同研究に対する助成については、平成27年度は光関連事業、来年度も県内の企業が具体的に産業技術総合研究所と共同研究をやっている分野は多いという、なるべく具体的な技術の開発につながるものということで今、検討を進めております。そういう意味では、外部の皆さんの意見も聞きながらになりますが、現時点では7つを重点分野に位置づけていることになりまして、じゃあ7つの中でどれをというところまではまだ具体的に検討して結論を得るという状況には至っていないのが現状であります。

○櫻町委員
 7つが看板政策として出てきていることで、それを支援していくというお答えだったと思うんですね。それぞれどの分野にもかかわっている企業がいらっしゃって、例えばうちも応援してもらいたいのに、予算がほかのところに行っちゃったから研究開発ができなかったとか、事業化できなかったということもよくないし、一方で新産業と言われているところを自治体間の競争で勝ち抜くためには、我が県は医療が得意なので、そこに重点投下するという考え方もあると思うんですね。
 これは、いろいろ見解をお聞きになって方向づけをされるということですから、原資がいっぱいあれば幾らでもできるんですけれど、予算が限られておりますので、重点的な育成をされるのか、底上げされるのか。きょうは結論が出ませんけれども、ぜひしっかりと研究なさっていただいて、企業の支援ということで進めていただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。

 続いて、成長7分野の中の航空宇宙産業のことについてお伺いをいたしますが、私は先月――11月に愛知県に行ってきました。行った理由は、愛知県は非常に航空宇宙産業が盛んなので、本県の企業が航空宇宙産業に参入する可能性というか、どういうところを突破口にしたらいいかということで、先行している愛知県の事例を聞きにいってきたわけでありますけれども、今、私が申し上げた目的に対して、愛知県の答えは、非常に難しいですよと。つまり皆さん御存じで釈迦に説法ですが、航空機産業の部品供給体制というのは、もう完全にピラミッドができていて、次の機種、その次の機種、その次の機種まで行っても、この三角のピラミッドが次に移るだけと。たまに違うところに変わるみたいですけれど。なので、新しい企業が自分の得意分野だから売り込んで、航空機産業、特に2大メジャーのボーイングとエアバスがすぐにそこに飛びつくということは、ちょっと現実的には厳しいんじゃないでしょうかねと言われたんですね。
 ちょっと余談ですが、そこで言われたのが、静岡県さんには医療があるじゃないですかと。航空機産業を支援されることも大事だけど、医療を伸ばしたらどうですかと。逆に御指導を受けて帰ってきたんですけど。それは置いて、また戻しまして、それだけ航空機産業は新規参入が難しいというのがあります。ただ本県にも優秀な航空機産業にかかわっている企業がいらっしゃるので、そういった方々をどう支援していくかということでちょっと議論したいのですけれど、愛知県で言われたのは、やはり今後、航空機メーカーが希望してくるのは共同受注体だと。つまり単品を納品じゃなくて、モジュール化で納めてくれということが航空機産業からの希望なので、本県にもSOLAEとかがあるので、そちらがそういった対象になると思うんですが、この共同受注体育成という考え方について、現状の御認識をまずお聞かせいただきたいと思います。

○北川商工業局技監
 今、9番委員からお話がありましたとおり、県内で共同受注を目指すグループにSOLAEというのがありまして、昨年、熱処理とか特殊工程を専門とする企業もメンバーに入りまして、SOLANETプロジェクトということで、一貫生産体制が可能な共同受注体の法人化を目指して、今、活動しているところであります。
 こうした頑張っている企業もあるものですから、県としましても、SOLAEを念頭に置いて支援を行うということで、先ほどちょっとお話を申し上げましたけれども、生産管理、品質管理システムの導入ですとか、あるいは特殊工程――非破壊検査ですとか化学処理といった航空分野特有の工程がありますけれども、そういったところの人材育成に要する経費などを助成するための制度を本年度創設させていただきました。
 こちらの制度は、法人化後の支援になりますけれども、共同受注体が法人化された後には、その後の共同受注体の高度化を進めるためにこうした制度を活用しながら支援を行っていきたいと考えております。

○櫻町委員
 先ほどの8番委員の答弁にも、北川商工業局技監は法人化後ということをおっしゃるんですが、法人化するというのは、SOLAEが、組合が中心になっておやりになるということなので、逆に県がお手伝いするところがないんでしょうか。あるなら、どんどんそれをやってもらって、早く立ち上げてもらって、すぐに共同体をつくるほうがいいかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○北川商工業局技監
 実は、法人化前の助成メニューが国で用意されておりまして、SOLANETでは、そちらを活用して、現在法人化を進めているところです。それと差別化するために、県としては同じ助成制度をつくっても意味がないということで、実は国の制度は、法人化後、そこで支援が切れてしまうんです。ところが、法人化した後、すぐに受注がとれるわけではありませんので、やはり法人化後1年ぐらいは何らかの支援が必要だということで、県でそこの部分を手当てするメニューを用意させていただいております。

○櫻町委員
 ありがとうございました。
 ぜひ、今SOLAEが例になっていますけれど、さっき言った航空メーカーの2大メジャー以外も共同受注体が方針らしいので、ぜひ県内にも幾つかの共同受注体ができるように、県の役割を担っていただければと思います。

 先ほどの話に戻しますと、愛知県に伺って、新規参入策のもう1つの策でアドバイスをいただいたのが、航空機メーカーに直接売り込むんだと言うんですね。そんなことできるわけないでしょうと言ったら、世界で航空機ショーというのが毎年、いろんなところでやっているそうですね。平成26年度はパリでやったそうなんですけれど、愛知県は、そこに6社連れて行っているんです。それで、航空機ショーに企業が出展するブースが設けてあって、そこにボーイング社とかエアバスの企業の偉い方々が来て、おたくの企業はなかなかいいことをやってるなと。ちょっと見積もりよこせやと言って受注した機械もあるらしいです。ですので、そういう世界の航空機ショーとか、あるいは東京とかでおやりになっている航空宇宙産業のブースへ出展することに対しての補助も今後必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

 それからもう1点、実は知事がブラジルに行って、エンブラエル社を訪問してきたということで、本会議場でもとうとうとお話をされておりましたが、せっかくそれだけ関心をお持ちなので、来る、来ないは先方の判断ですから、今のところ何とも言えないのですが、先んじて、エンブラエル社が来るんだったら、静岡県の企業がどういった形でアプローチできるのか、あるいは県庁としてどんな対応ができるのか。今時点でどんなことをお考えなのか、以上2点をお聞かせください。

○北川商工業局技監
 私からは、国際的な航空ショーへの出展支援の点についてお答えさせていただきます。例年県では、首都圏で開催される国際的な航空宇宙展示商談会――例えばことしですと東京エアロスペースシンポジウムなどに県のブースを設けまして、ブースの小間代ですとか装飾代を県で負担するなど、県内企業の出展を支援させていただいております。
 ただいま9番委員からお話のありました海外の展示会への出展支援につきましては、小間代、装飾代は県で持つことは多分可能だと思うんですけれども、渡航費用ですとか展示品の輸送などに関しまして、ちょっと参加企業の御負担をいただく部分も、もしかしたら出てくるかもしれないということで、企業ニーズですとか御意見を伺いながら今後、もし必要があれば検討してまいりたいと考えております。

○岩城経済産業部理事(新産業集積担当)
 11月に知事がブラジルへ参りました際、エンブラエル社の創業社長オジーレス氏と、それからサンジョゼ・ドス・カンポスにありますエンブラエル社の本社に私も同行してまいりました。
 本会議等で知事も述べているとおり、県内在住のブラジル人が誇りを持って暮らせるように、何かエンブラエル社との関連あるいはブラジルの航空大学校のようなものと連携できないかということをおっしゃっております。
 それとは別に、今の御質問は新規参入が可能かどうかということで、私が同行した中で、その創業社長との面談を取り次いでいただいた方が、ブラジルの航空大学を卒業した日系の方で、エンブラエル社ともある程度コネクションを持ってらっしゃる方だったものですから、いきなりエンブラエル社本社との部品供給等のお話というのはなかなか難しいと思います。もちろん、9番委員が先ほどおっしゃいましたとおり、供給体制ががっちり固まっている中で、そこへ食い込むのは非常に難しいお話だと思いますけれど、今申し上げた仲立ちをしていただいた方にエンブラエル社の動向であるとか、あるいは県の企業の情報提供であるとか、そういうことをやりとりをしながら、何か県内企業がエンブラエル社へ食い込める可能性があるのかどうか、探っていきたいと考えております。

○櫻町委員
 せっかく静岡県とエンブラエル社がうまくつながりがとれそうな状況なので、やっぱり縁というのは大事で、これを機に、じゃあ何社か採用してみようかみたいなことになって、どんどん広がってくれれば大変ありがたいことなので、ぜひいい機会だと思って取り組みを進めていただきたいと思います。
 今、宇宙航空の議論をすると、やはり予算の割り振りというと、またなかなか難しくなるのかなと思いまして、北川商工業局技監とか岩城経済産業部理事がおっしゃったようなことをどんどんやろうとすると、当然、限られた原資をそっちに回さなきゃいけなくなるので、医療のほうは手落ちになっちゃうんじゃないかとか、不安が出てきますけれど、そこは皆さん方はプロなので、しっかり配分について御協力いただければと思います。要望といたします。

 続きまして、中小企業の支援について、若干伺いたいと思います。
 まず、9月定例会の委員会でもお話をさせていただいたように、県に今、企業を熱心に訪問していただいておりまして、ここでいろんなアンケートをされていることを事前に伺いました。事業規模もそうですけれども、近年の経営状況とか雇用状況、海外進出の可能性があるかどうかとか、あるいは新規産業進出の可能性等といろいろアンケートをされております。これはアンケートを聞きに行くのが恐らく目的じゃないので、いろんな会話をしてくると思うんですけれども、実際訪問される企業と県とで具体的にどんな話をされているのか。アンケートを聞くこと以外でどんな話をされているのか。まず概要をお聞かせいただきたいと思います。

○杉本産業成長戦略推進室長
 9番委員の企業訪問の件につきましてお答えいたします。
 企業訪問につきましては、今私どもで進めている成長戦略の推進という意味合いがあったり、それぞれの各課が持っている事業、施策を効果的に実施する目的等、さまざまな目的を持って実施しております。昨年度から継続しておりますけれども、商工業局、就業支援局、管理局の幹部職員を中心に、部を挙げて取り組んでいるところでございます。
 私どもの産業成長戦略の推進に関係する企業訪問につきましては、市町とも連携いたしまして、企業のいわゆる御用聞き的な意味合いを含めて、企業訪問をさせていただいております。そのような声を聞きながら、県や市町の産業施策に反映していくということで考えております。我々産業成長戦略という中においてこれまでに延べ190社程度を訪問しているところでございますけれども、その中におきましては、今9番委員の御指摘のあったとおり、現在の会社の経営状況、景況感であったり、雇用の状況であったり、今後の見通し、それから新しい分野、特にそれぞれの企業がお持ちの基礎技術や要素技術をどういった分野に伸ばしていくかというところなどを聞いたり、規模拡大の中でお困りになっている点があるかとか、今後の事業展開等についてもお聞きしているところでございます。それから研究開発や海外への進出意向も含めまして、人材の確保、育成という分野につきましても聞いております。
 これらのことを、なるべく企業の経営者とざっくばらんに話をする形でやってきているところでございます。そのような話を通じながら、場合によっては企業のサプライチェーンの状況なども伺いながら、お話をしているところでございます。
 このような企業訪問を継続的に行うことで、企業が持っている課題等を把握しながら、今後の産業施策に結びつけていきたいと考えております。

○櫻町委員
 中小企業支援について伺いますと言って、あえて企業訪問の中身について伺ったのは、実は平成26年に議員発議で、静岡県中小企業者の受注機会の増大による地域経済の活性化に関する条例ができました。約1年半たっているんですけれども、この中の8条に「県内において事業活動を行う者の協力」という項があって、事業活動を行うに当たって、この条例の趣旨を尊重し物品及び役務の調達、工事の発注に当たっては中小企業者の受注機会の増大に努めるものとすると。つまり、県が訪問する企業が、例えば大手であったりすると、その大手の企業に対して、できるだけおたくの製品に際しては、地元の中小企業のものを使ってあげてくださいねと言わなきゃいけない義務をお持ちだと思うんです。それを受けた企業側は、この趣旨にのっとって、そのように努めますという話になると思うんですけれども、そういった中小企業を支援するためのお願い事というか、特に大手企業を訪問するに当たっては、そのようなことをされているかお伺いします。

○松下商工振興課長
 受注拡大の精神にのっとって、我々は訪問する際にリーフレット等を持ったり、あるいは成長戦略の絡みで商工業局が当然訪問したりすることがありますので、そういったときにサプライチェーンの話題が出れば、その際にそうした要請も同時に行う形で、いろんな事業の際に、すきあらば宣伝したいと頑張っております。

○櫻町委員
 企業訪問も段階を追うべきだと思っていて、今までは、ちょっと言葉は悪かったですけれど、9月定例会で私が発したのは、県は県庁にいつも職員がいて、企業が相談があるなら受けますよという姿勢だったのが、ここ数年みずから出向いていって、何かありますかという姿勢になっていると。これは大きな転換です。さらにもう一歩行くと、せっかく県とつながりができて、例えば設備投資に補助金を出したりとか、何らかのお手伝いをしているんだったら、ちょっと県の言うことを聞いてくれませんかと言うことも必要だと思うんですね。
 その際に私が言ってほしいのが、今言ったサプライヤー企業。ぜひ県内企業を使ってくださいというのと、もう1つは若者の雇用拡大。特に新入社員を地元枠で何人かとるというのはあるんですけれど、企業は生き残っていかなきゃいけないから、県外から優秀な学生をとったりするんだけれど、これだけ静岡県と御縁があって人口減少で苦しんでるんだから、せっかく縁があるんだったらお願いしますよということも言う必要があると思うんですね。
 だから、そのうちまた企業が方向転換して、じゃあ結構ですなんて言われたら困っちゃうから、それはうまくやらなきゃいけないんでしょうけれども、ぜひそういった御縁をいただいた企業さんに対しては、県からもお願い事をすることもこれから必要になってくると思うので、ぜひ訪問のテーマとして加えていただきますようにお願いをしたいと思います。これは要望とさせていただきます。

 続いて、若者の県内定着についてお伺いをいたします。
 今もちょっと触れましたが、今、静岡県の若者がどんどん県外に出ていっているのがトレンドとしてあるわけですけども、9月定例会で私は県内に就学している学生さんに対して静岡県として奨学金制度を設けて、県内企業に就職すればそれを減免することについて、その可能性はどうでしょうかと質問いたしました。
 そのときに、尾上雇用推進課長からは、大変難しいですといったお答えがあった。それは私が医学生への奨学金を例えに出したものだから、医学生は将来的にはお医者さんになる道が決まっているんだけれど、一般の学生さんはどこに行っちゃうかわからない可能性もあるので、これはちょっと医学生に対する奨学金とは毛色が違いますといったお答えだったと思います。
 そうなんだと思って、その後いろいろと調べると、実は毎日新聞の10月の記事ですけれども、「奨学生の地元就職後押し」という新聞記事を見つけて、既に返還の減免を6県がやって、13県も検討している話なんですね。
 非常に難しいということだったんですけれども、実際これだけ他県でおやりになっている実例もありますし、この記事を読み込む限り、今年度からだから平成27年度だと思いますけれども、総務省と文部科学省が、福井県と香川県の取り組みを参考にして、地元企業と一緒になって基金を創設すれば、それに一定のお金を補助するといった文面になってるんですね。これは恐らく天下の朝日新聞の記事だから間違いないと思うんですけれども。
 ということは、国もフレームをつくっているということですね。ですので、他県でも今言ったように6県、13県もやっているということであれば、静岡県もこれをやることは可能じゃないかと思うんですけれども。たびたびで申しわけないんですが、この若者の県内企業の就職に対して奨学金の減免の可能性についてお伺いいたします。

○尾上雇用推進課長
 国でつくっている奨学金の制度でございます。
 9番委員の御指摘のとおり、地元企業と県とかが連携して基金を設置することになっておりますが、ただ企業が出損した場合、その出損企業に必ずしも就職するわけではないので、企業の理解が得られるかという大きな課題があると考えます。また助成ということで、その記事にも最大1億円の助成と書いてありますが、これは特別交付税として措置の対象となっているもので、確約されたものではないと考えます。
 その新聞報道によれば、香川県等6県で奨学金の返還免除によるUターン就職の支援を行っているということで、国の制度とは別に先行して行っている神奈川県では、奨学金を今まで受け取った方が475人、ことしの春までに卒業した99人のうち、県内で就職し減免の対象となったのが33人と報道されております。このように、大学進学時に奨学金の貸与を決定しても、本人の職業観の変更等により、本県の企業に就職しない場合があり、効果については慎重に考える必要があると考えます。
 県としましては、奨学金を活用したUターン施策ではなく、まず企業情報誌の発行やしずおか就職netによる情報発信や企業見学会などによって県内企業のよさを知ってもらう。そして、学生に身近な大学のキャリアセンターと連携していろいろな取り組みをしていく。また県内だけでなく、首都圏等でも企業説明会を開催して、県内企業の認知度を向上させて、しっかりと学生とのマッチングを支援していくといったことを総合的に取り組んで、Uターンを進めていきたいと考えております。

○櫻町委員
 9月の委員会も言って、12月の委員会も言って、撃沈じゃちょっと悲しいものがあるので、尾上雇用推進課長のところでいろいろ御検討されているとなるとそんな状況かもしれませんが、やっぱりさっき神奈川県の例を出されましたけれどもね、30人もの人が県内に定着してくれるわけですよ。皆さん御存じだと思うんですけど、今奨学金で話題になっているのは、学生時代に奨学金を借りる人がふえてきていて、その借りてきた奨学金を就職後に返済をしなきゃいけないと。奨学金地獄が始まっているというのは、新聞で話題になっていますよね。
 例えば、県内に就職した人が、もし県としてこういう減免措置があって、その負担が少しでも軽くなれば、やっぱり静岡県に定着してよかったと思ってもらえるわけです。実際この新聞記事にも、香川県の学生さんが、地元に戻ってくる1つの選択肢として、奨学金として香川県が支援してくれたというのがあるわけですね。
 感情論に訴えるわけじゃないんですけれど、これは例えば、U・Iターン就職支援センターを一生懸命おやりになってるのもわかります。それから大学に行って、そこの大学と提携して、ぜひ県内に就職をという訴えかけをしているのもわかります。でも他県がこういうことを先行しておやりになっているのに、静岡県が今、尾上雇用推進課長がおっしゃったような理由でやれないというのはないと思うんですね。
 実際のところ、この企業が、自分がお金を出したところに来ないからやらないという可能性があるとおっしゃるんだけど、じゃあ企業にアプローチされていますか。経営団体にお話しされていますか。実際やってみてできないということだったら、それはやむを得ないんだけれども、国がこうやってフレームをつくっていて、さあやろうと言ったときに、だめだめと言ってやらないんじゃなくて、これはどうか、あれはどうかということも考える必要があると思うんです。ちょっと尾上雇用推進課長さんではかわいそうなんで、伊藤就業支援局長か篠原経済産業部長に答弁いただきたいんですけれど、いかがでしょうか。

○石川経済産業部理事(雇用推進担当)
 9月に御質問がありまして、それから団体からの要望もあって、我々も中でいろいろ検討しているんですけれども、やっぱり課題がすごくいろいろあるかなということと、今答弁したように、出した方の3分の1しか帰ってこないことも1つのネックかなと思っております。ただ9番委員がおっしゃった、まだ企業とか団体には話をしてないものですから、もうちょっと広く意見を聞く必要があるかなと思っております。
 今我々がいろんな情報を担って、プラスの部分ももちろんあると思います。ただ管理が大変だったり企業の協力が要るとかいろいろあると、今の我々が収集している情報ではちょっと戦うのは厳しいというのが今の段階でございますので、今申し上げたとおり、少し企業とかその辺の団体に御意見を聞いてみて、また検討したいと思いますので、よろしくお願いします。

○櫻町委員
 企業は今、人材不足なんですよ。優秀な人が足りないと言っていて、もしこれで制度ができて、これは確かにうちのところに来ないかもしれないけれども、趣旨は賛同するからと言ってもらえれば踏み切れるということですよね。ですから、できないかもしれないけれども、そこはちょっとぜひ動いてみてください。これでうまく企業の人材不足も解消でき、若者も静岡県に戻ってくることになれば、これはもう大変ありがたい結果になるので。ぜひ前向きな行動をとっていただきますようにお願いいたします。

 これでおさめていいかちょっとわかりませんけども、続いて幾つか伺いますが、温暖化に伴います農水作物の影響について伺います。
 今、地球温暖化が話題になっておりますけれども、例えば今まで南のほうでしかとれなかった作物が北でとれるようになるということで、一例を挙げると、米なんかそうですよね。産業委員会でも話題になっていますけれども。そうすると、今まで静岡県が栽培してきた農産物が温暖化によってだんだん少しずつ影響が出てきていると思うんですね。ですからその影響についてどのような御認識をお持ちなのかを伺いたいのが1つと、逆に今までとれなかったものがとれるようになるわけですね。例えば南にあるマンゴーとかパパイヤとか、南国でとれるものが本県でとれるようになれば、これは戦略的にうまく使えるんじゃないかと思うわけですけれども、今後、温暖化に向けて農産物と水産業、両方、どんな取り組みをされるのかお聞かせください。

○細谷農業振興課長
 温暖化に伴う農産物への影響と、そのメリットをどうやって生かしていくかについてお答えします。
 農林水産省がことしの8月に気候変動適応計画を作成いたしました。この中に、既に影響が出ていて社会的にも経済的にも影響が大きいとされているものに水稲――米の品質低下とミカン等の品質低下があります。実際に本県でも米の一部の品種では、中身が白く濁る白未熟粒という症状なんですが、でん粉の蓄積が不十分で米が白く濁っているケースが見られる、あるいは温州ミカンでは、浮き皮が見られるといった症状が出ているところもあると伺っています。いずれにしても、これは長期的な気候の温暖化ということもありますし、その年の異常気象もあって、さまざまな影響が考えられていますが、水稲では、対策としまして高温に強い品種への切りかえ、あるいはミカンでは、植物成長調整剤を使って浮き皮を防止するとか、そういったものは既に現場で取り入れられてきています。それからもう1つ、温暖化の影響として集中豪雨とか大型台風とかも言われておりまして、こちらにつきましても、ビニールハウスの補強対策のマニュアルをつくって、現地の実証などを行って周知をしているところでございます。
 それから、メリットですが、今9番委員から御指摘のありましたように、農林水産省でも熱帯果樹あるいは亜熱帯果樹の適地が広がっていくだろうという予測のもとに、導入実証を来年度からやると、先ほどの適応計画の中で挙げています。
 県としましても、こういった取り組みの実証結果をよく吟味してやっていかなければいけないと思っていますが、気象変動の影響は、1年で毎年一定ではないということがありますので、寒かったり暑かったりぶり返したりして、一概に拙速に作物の切りかえとかをやっていくことはなかなか難しいと思っています。国の試験結果等を注視しながら、慎重に対応していきたいと思っています。

○瀬水産振興課長
 温暖化に伴います水産物への影響についてお答えいたします。
 まず、現状認識ですけれども、私どもは日々、海の状況につきましては、漁業者から情報を収集しております。これは温暖化の影響か断定はできませんが、例えば漁獲物の変化については、とれる魚のシーズンのずれ、それから海気温も――これは水温ですけれども、そういうものの変動については、漁業者から私ども聞き及んでおるところでございます。そして水産技術研究所が県内複数箇所での水温の測定を継続的に実施しております。一部の観測点では、海水温の上昇傾向が見込まれておりますけれども、漁業者の言うところ、漁獲物の変化との因果関係の解明には今のところ至っておりません。今後も水温測定や漁獲物調査を継続いたしまして、温暖化の影響等について調査をしてまいります。
 それから、逆手にとった部分でございますけれども、新しい漁獲対象が出現すれば、漁法の普及、開発ですとか、活用の方法、他の漁業との調整などを図っていく所存でございます。

○櫻町委員
 すぐに傾向がわかるわけじゃないでしょうから、これからいろいろ研究なさると思いますけれども、間違いなく温暖化ですよね。その中でどういった対応ができるか。既存産業を維持しなきゃいけないことと、新しいビジネスチャンスということでやっていただきたいと思います。

 あと2問やりたいんで、もう1つ。今度は畜産業について伺いたいんですが、冬になってくると鳥インフルエンザの可能性が高まってくるんですけれども、私は富士宮市の畜産をやってらっしゃる方と意見交換する場面があって伺ったら、鳥というのは、もし鳥インフルエンザにかかった鳥がおりて、それで感染が見つかると、何かえらい広範囲で出荷停止になっちゃうということで、経営にとってはとんでもないことだと心配されています。
 まず、お伺いしたいのは2点あって、1つは鳥インフルエンザだとか――牛で言うと口蹄疫ですね――こういった感染症にかかったときに、感染予防は、現状どのようなことをおやりになってるかということ。万が一、事象が発生した場合に、すぐにやらないと感染が広がっちゃうので、初動体制はどんな考えをお持ちなのかお伺いします。

○浅倉畜産課長
 鳥インフルエンザとか口蹄疫など、家畜伝染病の発生予防対策でございます。9番委員御指摘のとおり今、鳥インフルエンザと口蹄疫が、日本の近隣諸国で継続発生しておりまして、国内へのウイルスの侵入リスクはかなり高い状況でございます。この中で、発生予防に一番重要なことは、国境防疫である水際対策と、県レベルでいきますと、農場にウイルスを侵入させないこと、これに尽きるわけでございます。
 そこで、県といたしましては、家畜伝染病予防法に基づきます飼養衛生管理基準がございます。例えば野鳥が鶏舎の中に入ってこないように防鳥ネットを張る、ネズミ等を定期的に駆除する、それから畜舎消毒を徹底することが基準に定められております。県といたしましては、毎年最低1回以上、全農家に立ち入りいたしまして、この基準の遵守の指導をしてございます。
 2つ目といたしまして、万が一発生した際の初動体制でございます。9番委員御指摘のとおり早目の対応をしないと周りへの感染が広がるということで、例えば鳥インフルエンザの場合ですが、農家から異常な鶏がいるという通報があると、すぐに家畜保健衛生所の職員が農場に直行します。農場に行きまして、臨床検査と簡易キットなどの検査をします。ここでキットが陽性の場合は、島田市にあります中部家畜保健衛生所に検体を持ち込んで精密検査をすると同時に、危機管理部と連携いたしまして、危機管理連絡調整会議を開催します。
 現地におきましては、発生が確定することを想定いたしまして、防疫資材でありますとか、防疫作業員の出動準備を開始いたします。精密検査の結果、陽性が確認されたとほぼ同時に、殺処分等の防疫措置を開始いたします。
 なお、鳥インフルエンザ等の伝染病の場合は、24時間以内の殺処分、72時間以内の焼埋却処分が基本とされております。これに向けて体制を組んでおります。

○櫻町委員
 ありがとうございました。
 やはり、農家が心配されているのは初動体制なんですね。夜見つけたときに、県の職員が飛んできてくれるのかどうかとか、そういうことも含めて大変心配をされておりますので、あってはいけないことですけれども、万が一あったときには、経営に影響が出ないような初動体制の充実をお願いします。

 最後、労働委員会にお伺いをいたします。
 今回いただいた資料で、個別的労使紛争のあっせんが計6件、審議が5件ということですけれども、基礎的な知識がないので申しわけないのですが、今、学生がブラックバイトで大変苦労されている報道が多数あるんですけれども、そもそもこの個別的労使紛争のあっせんには、ブラックバイトで苦労されている学生も相談を受けられるのかどうかというのが1つ。
 あと、もし学生さんがそういうことで苦労されているんだったらこれで受けて、あっせんをやるんですけれども、そもそも周知活動の中に、実は大学が入っていないんですね。コンビニとか労働団体とかは入っているんですけど、いろんなコマーシャルをする先として学生がいらっしゃる大学キャンパスに周知するというのが入っていないので、もし対象になるんだったら、その大学等への周知も大事だと思うんですが、この点いかがでしょうか。

○田労働委員会調整審査課長
 9番委員にお答えいたします。
 大学生に限定せず、若年者のアルバイトなどにおける労働紛争の解決についてお答えしたいと思います。9番委員がおっしゃった個別的労使紛争のあっせんというのは、まさにこの紛争を解決するのに非常に適した制度だと考えております。
 ことしはケースがなかったんですけれど、昨年は、この個別的労使紛争を23件取り扱いましたが、その中で2件、このような事例がありました。1件は、20代の女性が、コンビニエンスストアで副業したことで解雇された事例がございます。それとか、19歳の男性ですけれど、高卒で就労1年たたずして職場のパワハラやいじめで困った事例がございまして、いずれも労働委員会が中に入ってあっせんを行い、和解を成立させて解決したという事例がございます。
 こういう形で制度を利用していただきたいと考えておりますので、産業委員会報告事項の3ページの広報の中には記載してございませんでしたが、アルバイトなどの求人誌にこの個別的労使紛争のあっせんや県が行う労働相談の周知記事を掲載したりしていただいております。
 いずれにしても、まず大学生や若い方々に、何か困ったら労働相談窓口に来ていただくことが重要だと考えておりますので、今後労働相談を所管する労働政策課と連携を密にして、より一層PRをしていきたいと考えております。

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