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委員会会議録

質問文書

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平成31年2月定例会厚生委員会 質疑・質問
質疑・質問者:天野 一 議員
質疑・質問日:02/28/2019
会派名:自民改革会議


○天野(一)委員
 3点ほど一括質問方式で質問したいと思います。
 最初に、地域包括ケアシステムの中で、かかりつけの薬局薬剤師、全ての薬剤師さんに活躍してもらうと。医師、看護師、薬剤師が地域包括ケアシステムの中で活動する具体的な事例を教えてほしい。また調剤薬局から普通のまちの薬局さんまでいろいろあるわけですけども、そういった違いについてどう考えているのか教えていただきたい。

 2点目は保育園ですけれども、10月から3歳児から5歳児は無償化するわけです。親から見れば無償化は非常にいい話でありますけれども、保育園、保育士さんに対する改善は全くないわけです。無償化によって私は大なり小なり保育園のあり方が変化せざるを得ないだろう、そのことについて全く触れないで無償化がいいように見えますけれども、無償化に伴って、ただなら働いて預けようと保育園に入る子供がふえる可能性がある。どう考えているか。待機児童ゼロを目標にしているのにもかかわらず、無償化に伴って保育園へ入る子供がふえる可能性は一段と高まるかもしれない。そういった点についてどう考えているかお伺いしたい。

 3点目は、国民健康保険は県が一括管理する。しかし、市町の保険料は状況によって変わるわけですけれども、将来にわたって国民健康保険料の格差があっていいのかどうなのか。市町の状況によって、格差は財政的な問題からやむを得ないと考えているのかお伺いしたいと思います。

○田中薬事課長
 地域包括ケアシステムにおける薬剤師の役割でございますけれども、国では患者のための薬局ビジョンを平成27年10月に策定しておりまして、その中で全ての薬局が2025年までにかかりつけ薬剤師がいるかかりつけ薬局となることを求めております。
 かかりつけの機能でございますけれども、患者の服薬情報の一元的、継続的な把握に基づく薬学的管理指導、24時間対応、在宅対応、かかりつけ医を初めとした医療機関等との連携強化という3つの機能が求められております。
 医薬分業の本旨であります服薬情報の一元化、継続的な把握等により薬物療法の有効性を確保するにとどまらず、患者が安心して相談できる身近な存在として、また医療・介護等の他職種、多機関との連携や地域活動に積極的に薬剤師がかかわることによりまして地域包括ケアシステムの一翼を担うことを推進してまいりたいと思います。
 次に、具体的な事例という御質問がありました。かかりつけ薬剤師が在宅訪問に行った具体的な事例といたしまして、視力障害があり自己判断で薬を服用していた患者さんのところに薬剤師が行ったときに、患者さんが1回に2倍量も3倍量も飲んでしまうとかいったことがあって薬剤師がそれによる副作用を聞く、あるいは適正な服薬を指導した事例がございます。

○赤堀こども未来課長
 幼児教育、保育の無償化に係る影響について御答弁させていただきます。
 今回の幼児教育、保育の無償化は、2番委員御指摘のとおり3歳から5歳の全ての児童、そして低所得の非課税世帯でありますゼロ歳から2歳児が対象となっております。
 3歳から5歳までの児童のほとんどが、現在幼稚園、保育所等のいずれかに通っていること、またゼロ歳から2歳の非課税世帯は今般無償となっておりますけれども、ゼロ歳から2歳を含む低所得者への保育料の減免制度は国及び市町において既に取り組んでいるところでございます。また幼稚園につきましても就園奨励費ということで、幼稚園の保育料につきましても何がしかの減免と言いますか、負担軽減が図られています。
 こういったことから、非常に大きな変化はないのではないかという声もあります。ただし2番委員御指摘のとおり保育におきましては、無償であるならば子供を預けて働きたいと考える保護者が今後ふえて保育所の申し込み増につながるのではないか。また幼稚園におきましても無償化を機会に、これまで2年保育としていた保護者が3歳児のうちから3年保育を利用することもふえてくるかもしれないとの検討もございます。
 こういった背景を受けまして、保育と子育て支援に責任があります市町におきましては、就学前の児童がいる保護者に対して意向調査を行いまして無償化の影響を探っております。現段階で新年度の入園申込者数は県所管においては顕著な影響は見られておりませんけれども、中長期的な影響はわからないところはございます。
 こういったこともありますので、調査結果を分析し、また保育の量の見込みを見きわめ、次なる子ども・子育て支援事業支援計画を立てていくこともございますので、こういった中においてもきちんと目途を立てていく。また短期的には施設整備において新しく受け入れがふえる部分、また幼稚園の預かり保育、さらには事業所内の保育施設などの地域で認可を進められるもの、また最近不備な点が指摘されておりますけれども、かなり関心が高くなっております企業主導型の保育事業なども含めて利用のコーディネート、コンシェルジュ機能なども高めつつ、今提供できる保育サービスについて、どんどん整備していくこと、かつ情報提供に努めていくことになります。
 県といたしましても、市町での取り組みや状況変化を注視しながら、引き続き保育の受け皿の拡大、それに合わせて必要となる保育士の確保の取り組みを講じてまいりたいと思います。

○関こども未来局長
 ただいまのお答えについて、少し捕捉させていただきたいと思います。
 まず、3歳児以上につきましては、ほとんど既に入所、入園されているという話ですが、数字的に申し上げても4歳児以上では91.4%、3歳児は89.2%で約9割近くが既に入所、入園している状態でございます。残り1割につきましては、恐らく選択的に入園していないことが想定されますので、無償化によって急激にふえることは今のところ想定しておりません。
 ただ、2番委員御指摘のとおり今後働きたい、働こうとしている方がふえていくことがございますので、それにつきましては赤堀こども未来課長の答弁にございましたように、市町とも合わせまして調査結果、あるいはアンケート等でニーズを聞きながら定数について検討していくことになろうかと思います。また現場への影響、あり方が変化するのではないかでございますけれども、実際に入ってくる定数、定員につきましては変化がないものですから、保育の量、人員につきましては現場では大きな変化がないと考えられるわけですけれども、ただ給食費など事務的な扱いの煩雑さがどうなるか現在のところ明確になっておりませんので、今後市町ともども調査、想定しながら対策について考えていく必要があろうかと思っております。

○田中薬事課長
 先ほどの御質問の中で、調剤薬局との違いについて答えておりませんでしたので再度お答えいたします。
 調剤薬局ですけれども、患者のための薬局ビジョンでは全ての薬局が、在宅を含めたかかりつけ機能を2025年までに持つことになっておりますので、違いというよりも全ての薬局がかかりつけ薬局になっていくことになります。
 現在全国では6万弱、県内では1,800ぐらいの薬局があるんですけれども、それら全てがかかりつけ機能を持つということでございます。

○田中国民健康保険課長
 市町ごとの保険料率の格差についての御質問にお答えいたします。
 今年度から、国民健康保険財政の都道府県単位化に伴いまして、県が新たな保険者となりまして財政運営の責任主体として市町から事業費の納付金を納めていただき特別会計を運営しています。
 現在保険料率につきましては、市町ごとに異なっておりまして、県が市町に提示する事業費納付金の額と標準保険料率をもとに各市町の運営協議会等の答申を経て市町の2月か6月の議会で会計の議決が行われまして、各市町の保険料率が決定されるプロセスとなっております。
 県では、都道府県単位化に伴いまして、各市町の保険料率が急激に変動することがないよう医療費等の実績を反映させて異なる標準保険料率を市町に提示しているところでございます。
 保険料の今後のあり方につきましては、昨年度市町と協議しまして、静岡県国民健康保険運営方針を定めました。この方針に基づきまして、保険料水準も統一を目指すこととしております。保険料を決定します市町と十分に協議を行いながら、医療費適正化の取り組み等を進めまして市町間の医療費水準の差の段階的な縮小などを行い統一に向けた条件を整えてまいりたいと考えています。
 保険料水準の統一の目標時期につきましては、市町の運営状況、全国の動向等を踏まえまして運営方針の対象期限であります3年間となっておりますことから、2020年度までに十分市町と協議を行ってまいりたいと考えています。

○天野(一)委員
 かかりつけ薬局のことですけれども、具体的に患者さんとかかりつけ薬局はさっきのモデルの1つ、ケースを言ったので、普通の人はかかりつけ薬局とどういう関係になるんですか。もっと具体的に、例えば医師から出された薬なども含めて具体的に相談ができる、自分の病気のことでまちの薬局さんのように相談ができるのか。薬のことについて疑問点を率直に聞けるのか、もう一度に教えていただきたいと思います。

 保育園ですけれども、保育士も足りない、保育園の管理者も経営的にもかなり厳しい。今回は入る人たちは優遇されたけれども、その運営管理、働く人たちの処遇は改善されていないわけです。
 こういった問題について、入る人たちについても考えるべきじゃないかと思うんです。保育園の経営、保育士の確保の問題について国の無償化だけではなくて保育園のあり方について考えるかもう一度聞きたいなと思っております。

 それから、国民健康保険はあと3年たつと、できるだけ格差がないように県内で統一の保険料になるのかについてもう一度確認したいと思います。

○田中薬事課長
 薬の相談ですけれども、現在でも薬局に処方箋を持っていって薬を出してもらうときにいろいろな薬についての相談、健康面の相談はできるようになっていますけれども、そのことが余り県民に知られていないところがありますので、そのような点を今後もPRしていきたいと思います。

○関こども未来局長
 2番委員御指摘のとおり働く側、園、保護者ではなく保育士につきましては、国におきましても保育士確保という点で、ことしから始まりました処遇改善の1つであるキャリアアップ、来年度から県が行おうとしております働き方改革、そして国でもICT導入に向けての補助といった支援も制度的には少しずつではございますけれども、手当されてきております。
 なかなかすぐに確保できる状態にはなっていないんですけれども、そういった形で少しずつではございますけれども、園の処遇改善とともに、今回無償化になることで認可外保育所も対象になってくるものですから保育の質という点におきましても保育の子供たちの環境についてもより目を光らせながら整備していかなくてはいけないと考えております。徐々にではございますけれども、できることから少しずつ進めていきたいと思っております。御協力をお願い申し上げます。

○田中国民健康保険課長
 保険料水準の統一の目標時期についてお答えいたします。
 こちらについては、目標時期を2020年度までに市町と協議して決めるということでございます。

○天野(一)委員
 どうも答弁ありがとうございました。

 もう1点、池田健康福祉部長にお聞きしたいんです。先ほど、ほかの委員からも大学院大学の話が出ましたね。新しい大学院大学をつくるときに構想だけ先に出るわけですね。しかし本当は、こういう計画については、当初でどのくらいお金がかかって将来どのくらいかかるかを明示すべきなんです。やることについて反対はできないわけですよ。だけれども財政のことや将来のいろんなことを考えたときに、どんなにいいことであってもそれだけの投資は少し待ったほうがいいんじゃないかということだってあり得るんですね。
 ところが、いつも県が構想を出すときは、いい話だけ出てきてお金が幾らかかるかについては今検討中ですと言うけれども、私は検討した上で諮るべきだと思うんですね。ですから大学院大学についても、こういうメリットがあって、これだけの投資をしても県民にそれに見合うだけの見返りもある、投資する意義もあると堂々と、当然想定外のこともあるかもしれませんけれども、今想定する金額、それから毎年どのぐらいかかるかやっぱり示すべきだと思うんですけれども、その点についてお伺いしたいです。

○池田健康福祉部長
 確かに、概算でもというお話でございます。
 きのうの答弁にありましたけれども、2021年の4月に開学するとすれば今年の10月に文部科学省に申請を上げなければならないことになります。
 それまでに教員組織、授業の科目数を詰めていきまして概算が出てくるかと思います。早々にそれを出しまして、その間には6月議会、9月議会がございますので、また議会にランニングコスト、イニシャルコスト、それぞれ大体概算が出てくるかと思います。実際には文部科学省への申請の後に、これを追加しろ、あれを追加しろということでふえる可能性もありますので、慎重にならざるを得ませんけれども、幅を持たせて概算を出したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○天野(一)委員
 ありがとうございました。
 質問はそれで終わりたいと思います。

 今年3月末日で退職する方がおりますので、その3人の方を御紹介させていただいて感謝と敬意を表したいと思っています。
 鈴木紀美代健康福祉部理事、土屋厚子健康福祉部理事及び池谷洋一がんセンター事務局長が本年度をもって県を退職されます。
 退職される3人の方は、これまで本県行政の発展のために、本当に多大な貢献をされましたことに心から感謝と敬意を表します。
 今後も、退職された後も健康に留意されるとともに、これまで培った豊かな経験と見識を生かして、地域社会においても御活躍されることを御祈念申し上げたいと思います。
 3人の方の略歴を若干紹介したいと思います。
 鈴木紀美代健康福祉部理事は、昭和52年の4月に県の職員になりました。勤続42年、主な役職として、後半から平成24年の4月くらし・環境部男女共同参画課長、平成27年4月健康福祉部こども未来課長、平成29年4月健康福祉部こども未来局長となっております。
 それから、土屋厚子健康福祉部理事は、県庁に入りましたのが昭和56年5月、勤続38年、平成26年4月には健康福祉部健康増進課長、平成29年4月健康福祉部理事になりました。
 池谷洋一がんセンター事務局長は、県庁に入ったのが昭和56年4月、勤続38年、平成26年4月東部健康福祉センター所長、平成29年から現職にあります。
 3人の方には退職に当たり、これまで長年にわたって県行政のさまざまな分野にかかわって来られた中で培った経験を踏まえて、県行政に対する御所見や後輩に贈る言葉を時間はたっぷりありますので、ぜひゆっくりお話していただければありがたいと思っております。よろしくお願いします。

○鈴木健康福祉部理事(少子化対策担当)
 ただいま、2番委員から過分な御紹介とこのような発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 私は、平成9年から3年間子育て支援の仕事につきました。1年目は、当時まだ努力義務だった市町の子育て支援計画の策定が未策定の首長さんたちを上司と2人で伺いまして、策定のお願いにまいりました。
 首長さんから、直に未策定の理由を伺いまして、子供を大切に思う気持ちはどちらも同じはずなのに、私たちの思いを理解していただく点がなかなか難しいとそのとき感じました。
 2年目からは、保育係に席が異動になりまして、乳幼児保育や障害児保育といった特別保育で国が助成対象としないすき間の部分を県単独で助成する事業などを担当いたしました。
 そして、16年ぶりに再び子供の部署に戻ってまいりまして、その当時財政の査定会場から戻る、日付が変わって寒々とした暗い廊下を歩きながら、経理の主幹と一緒に考えた多様な保育推進事業費助成という事業名がいまだに残っていることに少しびっくりしたんですけれども、それよりもこの16年の間に県議の皆様を初めとして、国の動きやいろんな方の御尽力によりまして、保育環境の整備は格段に進んだことを実感いたしました。
 今は、そのスピードを緩めることなく原点に立ち返り、子供の目線に立った保育の質を注視しながら、きめ細かな対応を心がけております。
 最後の年は、こども医療費助成が県内35市町全ておきまして、高校生世代まで対象が拡大する道筋をつけることができたことは、退職後も長く印象にと言いますか、記憶に残る出来事になったと思っております。
 平成最後の卒業生ということで感慨深いものがございますが、これまで私を教え導いてくださった多くの方々、そして私を助けてくださった全ての皆様に感謝をしたいと思います。本当に皆さん、どうもありがとうございました。(拍手)

○土屋健康福祉部理事(健康経営推進担当)
 2番委員、佐地委員長におかれましては、このような機会をいただきお礼申し上げます。
 私は、昭和56年に保健師として県の職員となりました。下田保健所を振り出しに磐田、天竜の保健所に勤務しまして平成17年から疾病対策課、健康増進課など県庁での勤務になりました。
 県の職員として38年間を振り返りますと、本当によき上司、よき同僚、よき後輩に恵まれ本当にいろんな仕事をやってきたと思っております。当委員会の皆様にも、さまざまな気づきをたくさんいただきましてありがとうございます。
 私が保健師になろうと考えたきっかけは、看護学生のころ、実習でかかわった子宮がんの患者さんがおりました。元気だから健康診断なんて行かなくてもいいなと思っていたら、このような病気になり、病気と闘いながら多くの人に健康診断の必要性をわかってほしい。病気と闘う苦しさ、つらさ、家族への思いを病気になって初めて気がついた。もう私の命は長くないので、学生さん、予防や健診がどんなに大切か皆さんに伝えてほしいという言葉でした。私がこの保健師の勤務の中で、この患者さんの気持ちにどれだけ応えられたか、まだまだかなと思っていますが、38年間本当にいろんなことがありました。
 発達のおくれを持つ子供のお母さんの支援や精神障害者のある方と家族と一緒に作業所をつくったりもしました。一番印象に残っていることは、平成21年に秋篠宮紀子様から結核予防の功労賞をいただきました。そのときの紀子様のお言葉が、いつも国民の生活に寄り添って活動している保健師さんの仕事はすばらしいですね。これからも保健師さん、国民のためにいろいろ活動してくださいというお言葉をいただき、保健師の代表としてとても、とてもありがたく感じました。また平成24年、厚生労働省が初めて創設した健康寿命を延ばそうアワードでは、最優秀賞になり本県の健康づくりの地道な取り組みが認められてとてもうれしかったです。
 今年度をもって、本県を退職します。これからも、県民の健康寿命のお手伝いと後輩の保健師の現任教育を少しやっていきたいと思っております。そして私の体力、気力、学力が可能な限り予防的な医学、社会健康医学を学んでみたいなと思っております。
 この40年間でとても医療は物すごく進みました。でも予防的な医学、例えばなぜ東部地域の健康度が悪いのか、なぜ栄養と運動と社会参加をしていれば健康寿命が延びるかなど、まだまだ予防的な医学は未知の分野だと思っております。今後きちんと学んでいきたいなと思っております。本当に長い間ありがとうございました。(拍手)

○池谷がんセンター事務局長
 今回が最後の委員会ということで、このような席を頂戴しましてありがとうございます。
 昨日、役人人生の前半部をお話しましたものですから後半だけ話させていただきます。
 38年間やってきましたけれども、後半の19年間は厚生委員会の所管する健康福祉部、もしくはがんセンター局におりました。うち、がんセンター局12年、健康福祉部7年ですけれども、やはり私の人生の中ではがんセンターという大きな病院をつくることにかかわったことが非常に経験としては大きかったと思っております。
 21世紀になって大きな病院をゼロからつくるのはほとんどないんですね。そういう中で、がんセンターができ上がったわけですけれども、これはひとえに県議会の皆さん方の御協力と言いますか、御支援があったことだと思っております。
 私の役人人生の中でもがんセンターをつくるということが、すごく違和感があったのが、皆さんもちょっとあるでしょうけれども、役人は公平、平等を非常に大切にするわけですけれども、非常にすばらしい高度な医療を行うがんセンターを東部のしかも端っこにつくるのはなかなか難しいことだなと思います。
 ただ、やっていってわかったことがあるんですけれども、行政あるいは公がお金を使うのは、政治的な決定をすることだとよくわかりました。今615床でやっていますけれども、これが最初の計画である300床とか400床だったら今のようなことはなかったと思います。
 一定の規模があるものですからお医者さんも集まる、特に専門家の方々ですので、自分の専門領域がありまして、一人親方でやるとなると続かないんですね。300床、400床の病院だと一人親方が多くなりますので、お医者さんが続かないということになってしまうんです。グループでやりますので、その人数を確保できる大きさが非常に重要だったんだなというのがあります。その分お金がかかりますけれども。
 私は18年前に病院局がんセンター準備室に行ったわけですけれども、今でも覚えていますけども、その段階でもまだあの場所は、寒風吹きすさぶ中、土ぼこりが上がっている荒れ野でした。そこにあんなものができるというのは全然想像もつかなかったわけですけれども、皆さんの協力のもとつくっていったということです。
 特に、開院の準備のときには何百という一家言をもった人間が、昨日までと違うところに集まって何かをやろうとするものですから喧々諤々と言えば聞こえがいいですけども、怒号が飛び交うと言いますか、どうやってやろうかという話が半年以上も続きましたので、それはそれは大変でした。
 ですが、コンセプトがよかったのか、みんなの意向が一緒になって、私どもみんなが思っているんですけれども、基本理念として患者さんの視点の重視がありまして、これ1本でいこうと統一されて今もそれは行っております。
 今となっては、全くゼロのところから専門医が200人いる、しかも年間の新患の患者数は7,000人以上、毎日がんセンターには4,000人の人間が集う規模になっております。
 全国のがん専門病院の中でもトップ3に入ると言われております。20年もたたないうちにそこまでできたのは、医療者の努力もありますけれども、ここにいらっしゃる県議会議員の皆様、いろいろなことに携わった人間が頑張った成果だと思っております。
 このプロジェクトを通じて、人を動かすのはお金とかではなくて、思いが共通することだなとすごく感じております。今、総長になっていらっしゃる山口建先生は、まだ当時国立がんセンターの人間だったものですから、決して5時15分になるまでは部屋に入れてくれないんですね。研究所の待合のところで待って、時間が来てから入ると、夜の最終の電車を気にしながらやった後、我々はもう疲れ切って帰ってきて、翌朝メールを開いてみたら2時、3時になってメールが入ってきて、そんな毎週をやっておりましたけれども、思いは非常に大事だなと感じております。
 それからもう1つ、自分の思い出の中に残っている公務員の人生の中での話は、東京事務所に行ったときに、一緒になった当時の上司、あのときは産業振興部長と言っていましたけど、出先の課長、役職のある方でした。その課長さんが、私は東京事務所のときには、朝8時35分ごろ出勤したんですね、1本遅い電車で行って。夜も遅いものですから甘えていたところ、その上司は決して怒ることはないんですけれども、せっかくあんた、そうやって能力あるのに、こんなことで人から後ろ指を指されるとばからしいじゃんという言い方でいさめてくれました。そのいさめ方といい、考え方といい、非常に理にかなった感じがしまして、即言うことを聞くことにいたしましたけど、当時は結構鼻が高くなった状態だったものですから、へし折られた感じがありまして、タイミングってあるんだなってことをそのときに感じました。
 自分がそういう言い方ができるかどうかわかりませんけども、ソフトな語り口でもちゃんとしたことを言うと通じるんだなとそのとき感じました。やり方はいろいろあるんだなと感じたことを何となく覚えております。以上でお話を終了しますけど、ありがとうございました。(拍手)

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