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委員会会議録

質問文書

開催別議員別委員会別検索用


平成26年9月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:三ッ谷 金秋 議員
質疑・質問日:10/09/2014
会派名:ふじのくに県議団


○三ッ谷委員
 おはようございます。分割方式で質問させてもらいます。
 昨日も産業委員会委員の質疑を聞いていまして、割と程度の高い議論をいただきながら、答弁も的確に答えていただいてよかったなと思っています。
 きのうの最後に天野委員が聞いたわけでありますけれども、花の都、茶の都を含めて何か核心をつくような厳しい議論であったなと思いますが、同じような意味で1問目の質問に入りたいなと思います。
 まず最初に聞くのは、天野委員が都づくりの件について聞きましたので、私は、今回の議案に上程されています漁業取締船「天龍」の代船建造のことにつきまして、まず冒頭にお聞きいたします。
 今の詳しい資料を取り寄せませんでしたのでわかりませんが、静岡県も近年までは、造船業が静岡市清水区を中心にそこそこのなりわいを見せていたと思うのです。それがリーマンショック前のいろいろな景気の浮き沈み、円高に鑑みて海外への輸出ができなくなった。あるいは発注をいただけなくなったということで、大変大きな労働問題になったことは承知しています。
 そこでまず、静岡県の現在の造船業の状況につきましてお伺いします。

○嶌本水産資源課長
 お答えします。
 県内の造船所の状況でございます。
 5社ばかりございまして、株式会社三保造船所、株式会社カナサシ重工、東海造船運輸株式会社、藤高造船株式会社、株式会社清港ドックがございます。
 ただ、造船可能な業者としましては株式会社三保造船所、株式会社カナサシ重工の2社となっています。ほかの3社は修繕等のドックの専門業者であると認識しております。以上でございます。

○三ッ谷委員
 今、静岡県にある造船可能な造船所の名前を列挙しましたが、その話ではなくて、現在の状況というのは果たしてどのぐらいの規模の雇用を抱えていて、往年の時代に比べてどのぐらい下がっているのか、あるいはこの近年で少しでも持ち直しているのか等を含めて現況がわかれば教えていただきたいという質疑ですので、もう一度お願いします。

○藤田水産業局長
 県内の造船所の状況につきましては、今、数字は手元に持ち合わせていないのですけれども、往年の時代に比べると数などは落ちています。
 先日、三保造船所にお邪魔しましてお話を伺いましたら、やはり東日本大震災前まではかなり落ちてきていたということです。東日本大震災後には、東北で漁船が被災しましたので、その立て直しということで少し需要が生じたという話は伺っております。
 それとともに、一方で漁業が少し衰退していることもありまして、再建造ということよりも中古船を使う需要のほうがふえているようでして、総じて言うと造船業界はなかなか明るい状況にはないと伺っております。

○三ッ谷委員
 それが今、県内の造船業の皆さんの実態だろうと思います。

 今回、この漁業取締船の請負契約の議案第157号が上程されています。私は昨日、鈴木部付主幹ともこの話をちょっとしました。そうしたら鈴木部付主幹のお話では、受けていただける造船所というのか、県内の業者では云々というお話があったものですから担当に伺います。
 先ほど列挙した会社にとって、正直言ってこの「天龍」の規模からいきますと、そんなに大きな船ではないと思います。私、浜名湖で一度この「天龍」を見ています。極端なことを言ったら、大きさからいきますと遠州灘のシラスを引く船の2倍ぐらいの大きさ、そんなものですよ。それで今回この契約内容を見ますと、東京の三菱重工業でつくるということになりましたけれども、これがいいとか悪いとかという話はしません。
 ただ、今皆さんが説明していただいた内容の中で7億円近い資金を使うわけでありますから、県内業者にどんな事前の相談を持ちかけたのかにつきまして、まず伺いたい。
 やはり花の都、茶の都のきのうの議論もそうですが、表向きの看板と実益があってないというようなことが往々にして見られるという1つの事例です。今回、地元には一切相談をかけないで、いきなり一般競争入札に持ち込んだのか。あるいは業界との横の連携という面ではどんな話をしたのか。それにつきまして伺いたい。

○嶌本水産資源課長
 まず、事前に県内の業者と何らかの相談のようなものがあったのかという御質問です。私は承知しておりません。これが正直な答えでございます。
 それと、今回建造する「天龍」ですけれども、まず漁業取締船として高速航行が必要なため、一般的な漁船のようにグラスファイバー製や鋼鉄製ではなくて、船体を軽量化できるアルミ合金製としたところでございます。アルミ合金製の高速艇は、例えば取締船や自衛隊のミサイル艇などのように量産されない特殊な船でございます。
 建造にはかなりの知見が必要でありますし、かつ熟練したアルミ溶接技術者が必要でございます。また、さらにアルミ合金溶接作業は特殊なガスを吹きつけながら行わなければならないということで、その際、風でガスが飛散しないように屋内で溶接をする必要があります。それで屋内で作業ができる環境が整っていないといけないことになっています。
 このため、今回の入札につきましては、まず過去10年間にアルミ軽合金製船舶の建造実績があること。それからアルミ溶接技術者の確保ができること。屋内施設で建造作業が可能であること等の要件を設定しております。このような中で、県内の造船業者は鋼鉄製の漁船や貨物船の建造技術は高いと思われますけれども、必要な作業員や設備等の面が整わず、これまでにアルミ合金製船舶の建造実績もなかったことから、今回の「天龍」の建造入札に参加できなかったと思われます。

○三ッ谷委員
 私は旧福田町の出身ですから、アルミの船はたくさんありますよ。おっしゃるようにアルミはぶつかりに弱いのです。普通のプラスチックは塗ればいいのですよ、ガラス繊維が入った強化プラスチックは、繊維を塗り固めていけば修復できる。アルミはおっしゃるように、特殊な溶接機械を持ってきて修理をやっていますよ。ひび割れに弱い、衝撃に弱いからです。一番いい例は、関門海峡でイージス艦が自動車輸送船とぶつかって、向こうは無傷に近い状態なのに、イージス艦のへさきがあれだけへっこんで火災を起こしたのです。あれはアルミ艦ですよ。

 それから、もう1つ、反論するという意味ではないのですが、今説明を受けましたので伺います。
 取締船を高速船にしなければいけない理由がよくわからない。確かに、例えば違反操業しているとか、他国の漁船団が来て領海で云々とか、あるいは密漁をしているとか、いろいろな通報があると思うのですよね。だから高速で飛ばして行って現場に着きたいということはある。あるいは、もし事故があれば漁業取締船といえども海難救助にもお手伝いに行かないといけないということがあって今回のような仕様になったと思うのですが、その点についてはいかがですか。

○嶌本水産資源課長
 実は、今、三ッ谷委員からお話がありましたように、かつて愛知県の違反船ですとか、どこかわかりませんけれども密漁をやっていたのではないかという船に逃げられたことも何回かございました。やはり、高速で走るということが取締船としては必須の条件であるという認識をしてございます。

○三ッ谷委員
 何か日本海のどこかの船と追いかけっこをしているようなお話ですけれども、今、答弁をいただきましたからお聞きします。
 例えば、追跡している場合にこの取締船では追いつけないかもしれないというときは県警に要請をしないのですか。ヘリに要請をしないのですか。今の答弁からいくと、そういう疑念があるからちょっとお聞きしますが、いかがですか。

○嶌本水産資源課長
 今までの「天龍」は、老朽化に伴いスピードがかなり落ち込んでいて逃げられることになったわけです。今回建造する船は40ノットで走行できるようになっておりますので、追いつけるという想定をしております。

○藤田水産業局長
 そういう違反事例が発生した場合には、まず、その船の名前や誰が乗っているかということを、しっかり捉えなければいけませんので、それをまずやります。夜間ですとか、かなりの距離がある場合は、なかなかそれがわからないことが結構あります。それから必要に応じて、もちろん周辺の警察や海上保安庁といったところに通報して、一緒に協力しながら取り締まりをしております。

○三ッ谷委員
 ここで時間をかけているとほかの質問に行けません。確かに静岡県の船籍を持ったアルミニウム製の船はたくさん県内の港に泊まっていますよ。それは港の中で修理もしているのです。おっしゃるように、特殊溶接でないと船の修理はできませんから大変かもしれません。お金もかかるのです。ただ今回、7億円も県民の税金を使ってつくるのですから、この船が静岡市清水区なり浜名湖周辺の造船所でできるチャンスがあるなら、やっぱりやらせるべきだったのではないかなという気がするのです。
 建設土木の話を事例に出しますが、建設土木では自分たちが許可とか責任者を持っていなくても、ジョイントで交通基盤部が勉強をすると。近い将来、自力でもできるような工事ができるようにということで、ジョイントを認めているのですよね。だから本来でいくと責任者も技術者もいないのだけれども、ジョイントで2社をあわせて請負オーケーだとやっているわけです。
 ですから今回の事例も、地場産業である造船業のためには7億円が生きない。代替船の仕様はおっしゃるようにこれでオーケーですよ。そういうことにも気を遣っていかないと、県内の造船業の発展はあり得ないと思っていますから、そういう質疑をいたしました。

 それから、もう1点、廃船になりましたが、TSL「希望」の弱点を御存じですか。

○嶌本水産資源課長
 ウオータージェット方式ということでございますでしょうか。

○三ッ谷委員
 高速で走らせるために、推進方式をスクリュー式からウオータージェットポンプを使って吐き出して前に進む方式にしたわけですよね。それはやはり回転翼を使いませんから抵抗も少ないだろうし、ある程度早く走る。しかし、「希望」が清水港を出られないことが何回もあったのです。それは水の取り入れ口に木の葉やごみが挟まって出られなかったということなのですよ。本来は伊豆半島に向かう日に出られなかったのです。だから、今回の取締船も高速化というのはよくわかりますが、静岡県はあれだけの金を使って失敗をしたわけですから、そういう点を考慮しなかったかなという点を今聞いたわけですが、その点はいかがですか。

○嶌本水産資源課長
 一応、その辺も考慮しております。今回の「天龍」でございますけれども、ごみを粉砕できるのでそういうことはなさそうだということを聞いて承知しております。

○三ッ谷委員
 私は設計図を見ていないので、粉砕できるかできないか、「希望」と比較した能力的なことがわかりませんから、それに反論する意味はありません。でも過去にあれだけ大きな「希望」でさえ、船の大きさから言っても、中に入っている三菱重工業のエンジンだって桁が違いますよ。それでさえも出られなかったのですから、そういうこともひょっとしたらあるのだろうなということも考慮する必要がある。

 もう既に契約していますから、これ以上質問は進めませんが、土屋経済産業部長、せっかくのこういう機会を県の業者にも少しでも広げるという意味では、これからもし何かあれば、そういうことも考えていただくというのはいかがですか。

○土屋経済産業部長
 まず、「希望」の話でございます。
 「希望」については、当時の状況を承知しておりまして、まず課題は燃費がリッター8メートルということでございました。あのときは単純にエアージェットで後ろに流すようになって、下も流したということがあって、えらく燃費が悪かったというのがまず一番の課題です。
 三ッ谷委員が先ほどおっしゃったように、「希望」もアルミ製だったということで、二、三度岸壁にぶつかりましてへこんだということ。それから、もともとはカーフェリーではなかったものですから、甲板を鉄板でつくって重くなって遅くなってしまったという課題がたくさんあったのは承知しております。
 私が相談されて一番課題だと思ったのは、スピードの問題についてです。先ほどからスピードの話をしていますけれども、その中で、まずウオータージェット方式が採用不可かどうかという議論はさせていただきました。実は、前回の取締船である「天龍」の前の「あまぎ」のときもウオータージェット方式の議論がございました。当時、私は財政課にいて、先ほどおっしゃったように、ウオータージェット方式が波浪時にいろいろな物が飛んできて大丈夫かという話がございまして、それを議論させていただきました。
 今回のウオータージェット方式については、入り口のところでごみがとめられるということで、過去にほかにも実績があるということで、今回採用させていただきました。
 アルミに関しましても、本当にこれでいいのかという議論をさせていただきましたが、かなり荒れている海を飛ばす船だということで、一体成型をしないと将来長く持たないだろうということがございまして、一体成型できる会社はどこかということで限定させていただいたということです。

 地元の企業のことも一応考えはしたのですが、今回の目的に合わせまして三菱重工業にさせていただきましたので、そこは御承知いただきたいと思います。
 今後、何らかの技術を習得できるよう御協力いただければ、そこについては検討させていただきたいと思います。以上です。

○三ッ谷委員
 やっぱり、ふじのくにを標榜する静岡県として少しでも前に行くには、皆さんが積算した予算が県下にくまなく行くということを考えながら、施策をこれからも進めてほしいなと思います。

 次に、景気について伺います。もちろん産業成長戦略を含めてです。
 今回の委員会説明資料の11ページにあります産業戦略の推進について、今、国会でも予算委員会等が開かれていまして、いろいろな議論を承っていますし、新聞でも読んでいます。確かにアベノミクスの効果で、経済がデフレから少し脱却しようとしている。そういう効果もございますし、円安になって輸出がもっと伸びて往年のような景気を取り戻すという考えが国にはあったようでありますが、残念ながら円安になっても輸出額が全然伸びていないのです。
 それで今回、6月17日の産業成長戦略会議で決定した4つの戦略の中に、地域企業の海外輸出の促進による販路拡大と書いてあるわけですよ。国があれだけの巨額な予算を使いながらやってきたアベノミクスでも、円安の影響でいいかと思ったらだめだったと。いろいろな理由がありますよ。企業が海外へ行ってしまって、別にもう円安でなくても海外で売れるという理由もあるでしょう。それから円安によって輸入するパーツや油や原材料が高騰していますから、なかなか円安のメリットが出てこないとか、いろいろな理由があります。
 そこで伺うのですが、この第2回の産業成長戦略会議で決定した戦略3の(2)地域企業の海外輸出の促進による販路拡大の目的、またどういうことをやっているのかにつきまして伺いたいなと思います。

○望月県理事(産業戦略担当)
 委員会説明資料14ページの戦略3の(2)地域企業の海外輸出の促進による販路拡大についてお答えをいたします。
 国内市場が縮小する中で海外に販路を求めていかざるを得ないということは、やはり必要だと思います。そのために、昨日もお話をしましたが楽天と連携をして、まずシンガポールで静岡県モールをつくってアンテナショップ的にやってみようという取り組みを、年末商戦というかクリスマス商戦に間に合うように今、準備を進めております。
 また、県内にはすぐれた技術や製品を持っている企業がたくさんいます。今そういった企業を調査しておりまして、やはり国内で生産して海外に積極的に売っていくことをやっていかないと、なかなか県内の生産が伸びていかないので、そこを強化したいということで今、そういった調査もかけているところでございます。
 そういった企業をある程度ピックアップしましたら、その中で絞り込みをかけまして、またジェトロやSIBAなどとも連携をして、積極的に海外に継続的に出て行けるようにしていきたいという方向で検討しております。以上です。

○三ッ谷委員
 確かに広義では、インターネットの楽天市場に登録するのも1つの輸出ですよね。でもここに書かれている輸出というのは、産業成長戦略会議で書かれた意味とは違うのではないかと思うのです。だから、やるべきことはやるという意味でいけば、県下のいろいろな中小零細企業が楽天に登録をして買っていただくことはいいことです。それはぜひやってください。
 でも反面、輸出という活字が躍ると、我々としてはもっと大きなことを県当局で考えていただいているのかなという気がしたものですから伺ったわけです。ただ、今調査をして、どういうものができるかということを調べてもらっているところですから、それ以上は聞きません。
 きのうは、きょう質問しなければいけないから、帰ってから夕方テレビを見ていたのですよ、いつも私が好きな番組をやっているものですから。そうしたら函館市でも同じように海外への輸出を考えているという特集を30分やっていました。それは、函館でとれたイカをタイやその周辺にいかに運ぶかということで、随分函館市の企業が苦労されたという話なのですよ。氷のパックというのがあるじゃないですか。凍らせてあって、よく子供の熱さましなどにいろいろ使うものですが、それを発泡スチロールの中に入れて、紙や新聞紙を敷いて魚を入れて、それを二重、三重に囲って送っていたと。そうすると函館市から東京、東京からバンコクへ飛ぶわけですが38時間かかるそうです。魚を入れたときの温度とタイに荷が着いて開封したときの温度を比べると、今まではタイへ着いたときは3度から8度だそうです。生鮮食料品ですから許容範囲の中ではありますけれども鮮度は落ちていると。
 今回、函館市の漁業者が何をやったかというと、氷に海水をまぜて、我々もたまにいただきますが、ジェラートという少し解けた氷、シャーベット状のものを開発したのです。これは融点が低い関係か解けないのですよ。そうしたら38時間前に送ったイカが向こうでは生きている。食べていただいた皆さんは大変おいしかったという話が、きのうテレビでやっていました。
 今回なぜそんな話をするかというと、産業成長戦略会議の中では、ものづくりも頑張ってやらないといけないし、お金も用意してあげなければいけないし、こういう大きな輸出も考えないといけない。そうすると各都道府県が今、そういう血眼の努力をしているということが見えましたので、ぜひ産業成長戦略会議の諸先輩と一緒にできるだけの努力をしていただくよう、今の事例をお話ししてお願いいたします。

 次に、皆さんが頑張っているのに、制度融資が伸びない原因について伺いたいと思うのです。
 今の産業成長戦略会議の中では、資金の強化ということもうたわれています。ただ、資金別利用実績の平成26年8月末累計は、前年同期比で見ると事業資金は件数で17.9%減、金額で15.8%減、特別政策資金は件数で21.8%減、金額で11.8%減となっています。
 きのうも説明がありましたが、なぜ制度融資が伸びていかないのかについて実態調査をしましたか。今の産業成長戦略にもこういうものが関連していると思いますので、制度融資の利用実績の結果を表示するに当たりまして、その内容についてまず承りたいなと思います。

○内藤商工金融課長
 制度融資についてお答えいたします。
 本年8月末の制度融資の利用状況は、委員会説明資料にございますとおり2,769件、181億円となっており、いずれも前年同期比で減少しております。その要因としてまず考えられますのは、リーマンショック後に景気が低迷し、その際に県としても積極的に中小企業の資金の調達の円滑化を図るため、経済変動対策貸し付けを中心とした県制度融資の利用を積極的に中小企業、金融機関にお願いした結果、経済変動対策貸し付けが年間で2000億円相当という大きな貸し出しにつながっております。
 その結果、平成19年度末で融資残高が2142億円であったものが、減ってきているとはいえ本年8月末でもなお3703億円と、平成19年度末に比べて1.7倍となっています。基本的には平常ベースの融資残高と比べて本当に多い金額になっておりますので、一定程度の資金はもう中小企業に貸し出されているのではないかということです。
 もう1つ、私自身も金融機関に訪問調査で聞き取り調査をさせていただきました。4地方銀行、12信用金庫を全て回りまして、融資の担当の方からいろいろお伺いした中で、制度融資が新しいものでなかなか伸びないのはなぜかというところを聞きました。
 通常99%近くは保証協会の保証がつきますが、その保証料率を合わせた利率が高いという意見と、あと県制度融資が長期固定で貸し出されているために、経済変動が激しいこの時代に10年間固定というのは、なかなか金融機関にとって使いづらいという意見が寄せられております。こうしたことがこの中小企業制度融資がなかなか伸びていない原因ではないかなと考えております。

○三ッ谷委員
 やっぱり、今言ったような何で伸びないかという話を委員会説明資料へ書くべきですよ。私は商工会のこういう金融政策にも携わってきましたから、よく内容はわかっていますよ。わかっているから質問しているのですが、借りたくても借りられない人が多いのです、正直言って。借りたくない人のところには銀行は借りてくれ借りてくれと行くのですよ。制度融資というのは本来、力のない弱い人たちが金融機関だけの力ではやりくりができないから、国も県も応援しましょうという制度ですよ。そのためにバックフォローとして、信用保証協会へ静岡県は支援金を出しているでしょう。
 しかし銀行へ行けば、信用保証協会がオーケーなら貸すよと言います。信用保証協会に相談に行ったら、銀行がいいと言ったら貸してあげますよと、こう言ってたらい回ししているのです。あるいは前の残高があって、お金が余っていて融資枠はあるのに、おたくは貸せませんと銀行が断っているのですよ。これはその数字ですよ。
 しかし、制度融資は先ほど説明したとおり、皆さんが考えたことですよ。業界からも中小企業、零細企業でもいろいろな陳情があってここまできたのです。もっと銀行とか信用保証協会とやり合うべきですよ。でなかったら制度融資の意味がないではないですか。借りたくても借りられない。

 土屋経済産業部長にお伺いしますが、本来の制度融資を考えたら、我々一般の事業者が金融機関から借りるお金と、お金に違いはないから分けるのは大変ですけれども、制度融資ということを考えたら、やっぱり分けるべきだと思うのですよね。銀行の貸出窓口というのは、銀行と企業との対でやっていますけれども、借りられる余裕枠はここの枠まで全部入れてなんですよ。そうすると、そこそこ銀行融資を使っている人は、この制度を使えないのですよ。それが今の自由経済の原理原則だとは言われますが、しかし、それでは制度融資をする意味がないと私は思います。
 だから少しでも前に出るには金融機関との調整をするべきだと思いますが、土屋経済産業部長、いかがですか。

○土屋経済産業部長
 三ッ谷委員がおっしゃるとおりの現状だと思います。というのは銀行は今、預貸率の問題もございまして、なるべくお金を貸したがっている。金利ももう一番下まで来ている。制度融資を下げても下げても、なかなかそこへ追いつきません。もともとであれば、中小企業になかなかお貸しできなかった金融機関が制度融資という保証を持ってやっていたところが、金融機関もそういう条件がなくなってしまっていることがあって、今、金融機関で持っているプロパー資金と、この制度融資資金との競争になっているのかなという気はします。
 今、三ッ谷委員がおっしゃったことをもう1回確認しますと、保証の限度額もおのおのが持って、言いかえれば保証限度額をどこで使うかという話になってきますので、信用保証協会はそれを超えていれば、もうお貸しできないという状況になっているかと思います。それも含めて、先ほど内藤商工金融課長から各金融機関と相談をするという説明がありましたが、実は私どもは去年から懇談会を始めていまして、ことしになって今伸び悩みのもとは何かというのを内藤商工金融課長に回ってもらったという状況にあります。
 金融機関との話の中では、今の資金の形だけではなかなか無理があるのではないかと、これをどうしようかということを今、議論させていただいています。特に中小企業の方から、今度は中小を超えて中堅企業になったときの扱いもどうするかと。それについて制度融資は場違いかと。そうなっていくと、急に金融機関だけのプロパー資金だけになってしまうと、どこまでを県が支援すべきなのかというところも今、議論させていただいています。
 来年度に向けて今、11月に予定している経済成長戦略会議の中でも、どういう金融制度を出そうかというのは議論中であります。
 今、三ッ谷委員がおっしゃったとおり、本来であればこの制度というのはセーフティーネットの副産物の制度であるはずです。ただ、それがもうフルに資産をも超えた債務残高になっていて貸せないという状況になっていますので、そこについては中小企業の方々とも、あるいは商工会連合会とも相談させていただいて、どうするかというのはまた今後の検討とさせていただきたいと思っています。
 ただ、公がお金を出すものですから、全く返る見込みがない案件に単純にお貸しすることはできません。将来の話でいいますと、先ほど内藤商工金融課長も申し上げたのは経済変動対策資金をずっとお貸ししていまして、それは経済状況がすごく悪くなったときに大量にお貸ししております。その金額がそろそろ返ってくるかと思いますので、中小企業も今度は借りる余力も出てくるだろうと思います。そのときの保証をどうするかというのは、信用保証協会も実は保証の分がかなり厳しくなっていまして、ここ1年でそれが少しずつ改善していくのかなと思います。それに当たって全体をどうするかというのを、金融機関と相談をして対応させていただきたいと思います。以上であります。

○三ッ谷委員
 ぜひお願いします。民間の金融機関というのは我々と違って、もっと利口なのですよ。貸したいお金はこんなに余っている。何社という会社が借りに来たとき、本来だったら銀行手持ちの融資をしてもいいのだけれども、制度融資のほうから回して貸してやりなよと、はっきり言えばこうやっているのですよ。だからどんどん苦しくなってしまう。制度融資で借りてしまうから、お金は銀行の金ですから、いや、おたくには次は貸せませんよと、こういう状況ですよ。そうすると、今土屋経済産業部長が言ったような状況にはあっても、苦しいところから抜けられないということがありますから、ぜひ今後のこういう利用状況を含めて、しっかりした議論をして新しい制度ができますように要望をいたします。

 時間がなくなってきましたので手短にします。私はこの前、若手農業者の集いにお招きをいただきまして、土屋経済産業部長ともお会いしました。それで、あのとき川勝知事が御挨拶の中で、青年農業士会や若手で大型の圃場を持って頑張っている諸君に対して、静岡県としても徹底して応援しますよという意味の祝辞を述べていました。
 そこで伺いたいのですが、これは土屋経済産業部長にも直接、当日お話をいたしました。磐田農業高等学校の天竜農場用地を云々は、私たちの委員会の所管ではありませんから、質疑はありませんし、決めたことですからいい悪いは言いません。ただ磐田農業高等学校が抱えている土地そのものは、学校の敷地内にある田んぼではありません。一般の地主さんが持っている営農地域の中に、磐田農業高等学校の田んぼがあったとこういうお話ですが、私も地元ですので、場所がどこにあるかもよくわかっていますし、周りがどういう状況かもわかっています。でも農業の振興のために皆さんがこれだけ汗を流しているのに、教育委員会からこの実習農地についての扱いについて、経済産業部当局にどんな説明があったのですか。それを聞きたいなと思って、まず質問させてください。

○大谷経済産業部部長代理
 磐田農業高校の天竜農場の関係については、最初に磐田市から話がございました。もう1年ぐらい前ですけれども、磐田市は非常に農業従事者の高齢化が進んでいます。水田は担い手がかなり集中をしているのですが、畑がたしか1,300ヘクタールはあったと思うのですけれども、これについてはどんどんやる人がいなくなって困っているということでした。
 その際、市としても農業の人材育成、後継者の育成事業という個々の農家を育てることをやっているのですけれども、とてもそれだけでは1,300ヘクタールの畑を管理できないということでした。今、農業に企業参入――農外からの参入を考えていて、企業に農業を教える場として磐田農業高校の土地を使って、しっかりとそこで学んでもらって、そのあと外へ出てもらって市内で畑を使って農業をやってもらいたいという話が私どものほうにございました。

○三ッ谷委員
 磐田市から売り渡しをお願いしたいというときに、そういう説明があってもいいのです。そうではなくて私が聞いたのは、本来、農地の所管は経済産業部ですよ。教育委員会が持っているのは学校の敷地としての、それは田んぼかもしれないけれども、その田んぼをああだこうだと変えるときに、専門の皆さんに相談がなかったのですかと、そういう話を今質問しました。

○大谷経済産業部部長代理
 転用の話とか、例えばそれを農業振興地域にするという話になりますと、多分、交通基盤部には話があったかと思いますけれども、経済産業部には直接はございませんでした。

○三ッ谷委員
 確かに交通基盤部がやっていますよ。でも経済産業部が農業を所管して、これだけ職員の皆さんが並んでいるのですから、やっぱり問題にしないといけない。知事が号令をかけるような祝辞をしておいて、片方で農地を減らしていくようなことを県が同時進行していいのですか。だから、そういう話を知っているのであれば、何で皆さんはいろいろな議論の場で、おかしくないかという話を他の部に言わなかったかというのを、あえて私は聞いたのです。相談がなかったかという意味はそういうことです。
 もし未利用地であれば、県議会に売却を諮って一般財源化するというのは知事の公約でもありますし、皆さんもそのとおりに動いてもらっているのは承知をしています。しかし、あの学校は設立から100年以上の伝統校ですよ。県からいただいた土地で先輩の諸兄が幾多の汗を流して今の美田に変えたのです。学校側の意向を聞いたら、津波が来れば生徒の命が危ないので、なるべくなら内陸のほうに田んぼを入れかえたいと、いろいろな意向はあるようです。それも全部承知しています。
 ただ、2万坪余の土地は美田ですよ。生徒が実習する農地の土砂をとってしまって、下の砂利を掘って、砂利を売って、そして太田川から出る土砂で埋め戻して、また農地にして、今おっしゃるような市民農園に開放したいという構想だそうです。でも、農地で2万坪の真っ平らな圃場なんてなかなかありませんよ。まして農機具置き場がついていて管理棟があって、本当にあんなにいいところはないですよ。だから、そういう圃場について若手農業者を応援する経済産業部として、意見を申し上げるべきだったのではないかなという話です。
 売却するしないは向こうがやることですから、私がここで言う話ではありません。当日、ホテルで天野委員にも相談したら、ちょっとこれはきな臭いなと天野委員もおっしゃいました。片方で農業を振興しながら、もう一方で2万坪の農地から砂利をとって農地を1回潰すということに、静岡県としてゴーサインを出すというのがおかしいと、私は今でも思っています。
 ましてや自分の住んでいる磐田市の中にありますから、それについて交通基盤部からも相談がなかったのかと言ったら、今も相談はないということです。でも相談がない割には農林業あるいは農業振興、それからいろいろ関連部署があるじゃないですか。何で相談がないのですか。

○大谷経済産業部部長代理
 もともと聞いておりましたのは、その農地で砂利をとることが目的ではなくて、そのほとんど全てを農業の研修の用地として、23ヘクタールあったと思いますけれども、農業の人材育成のために使うということです。そのためには圃場整備が必要で、その圃場整備の経費を捻出するために砂利をとって、その経費を使ってきちんとした研修用地にするということです。もともとの農地を農地として使うという条件であったと聞いておりますので、特に問題はなかったかなと考えております。

○三ッ谷委員
 私は詳しい書類を持っていますが、ここは教育委員会の審査の場ではないから言わないだけですよ。でも何回も言っていますが、農業を振興する施策を経済産業部がやるのであれば、当然これだけの人が集まっていて、磐田市から提出された文書の中にも書いてありますので、知らなかったでは済まされないでしょう。所管ではないからそんな追求はしませんが、1回田んぼの土砂を全部とってしまって、下から砂利を掘って泥を入れて、元の美田に戻るのに何年かかると思っていますか。それを最後に聞きたいなと思います。

○大谷経済産業部部長代理
 天竜川の川沿いでは、業者の方が砂利をとって、そのあと埋め戻して農作物を植えているという話は、かなり数多く聞いております。やはり一番問題になるのが排水不良になる――水はけが悪くなるということだと私どもは承知をしております。その際に、やはりきちんと埋め戻すことと、あと排水対策をどうするかで、その土地の使い方が全く変わります。
 私がこの天竜の農場のことについて、基盤整備をする場合についてということもお聞きしたところ、磐田市から、たしかフォアス――地下水調整システムを入れるということです。地下水を調整することによって畑の状態も可能になるという新しい技術が県内でもまだ新しく始まったばかりで、20ヘクタールぐらいのところでだんだん広がっているところでございます。今までの暗渠の排水ではなくてフォアスを入れることによって、排水対策は大丈夫ですという話もお聞きしております。これから入ってくる研修として用地を使うわけですけれども、かなりフォアスを導入すること、あるいは土づくりをしっかりすることによって、何年もかかるという話ではないかなと考えております。本当に二、三年で何とかなるということです。
 また、農業生産法人が指導するということを聞いておりますけれども、その法人も長野県などで耕作放棄地をかなり解消して、すばらしい畑にしている方が指導されるということでございますので、割と早く農地として活用できるような状態になると思っております。

○三ッ谷委員
 やっぱりそれは違いますよ、根本が違う。磐田市は5年間で手放すのですから、ただ磐田市は間に入っているだけですよ。あとは民間の会社に売るのですよ。大谷部長代理が言っているみたいに、民間の会社が20ヘクタールでそんなことがやれるわけがないではないですか。砂利をとるような会社が所有者になるのですから。5年間ですよ、静岡県が注文を出したのは。そういうことをよく理解をして、こういう案件を出すのであれば静岡県の自分たちの足元もしっかりやってほしいということを最後にお願いして、この件は終わります。

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