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委員会会議録

質問文書

開催別議員別委員会別検索用


平成29年6月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:鈴木 澄美 議員
質疑・質問日:07/25/2017
会派名:自民改革会議


○鈴木(澄)委員
 分割質問方式で、提出案件の概要及び報告事項に基づいて順次質問をしていきたいと思います。
 まず最初に、委員会資料2ページ、3ページの県内経済の動向ですけれども、県内主要経済指標の動向というところで目を通したときに、先ほど冒頭で説明がありました、新設住宅着工戸数以外は大体国と連動した傾向ですが、今申し上げた3番の住宅関係が国とは違う動きがあって、これをどのように分析して静岡県内の経済を見ていらっしゃるのか、まずお聞きしたいと思います。

○古屋政策監
 新設住宅着工戸数についてでございます。
 5番委員御指摘のとおり、この着工戸数につきましては、表にありますように、平成28年9月からこの4月までで同じような前年同月比の傾向を示したのは9月と12月の2カ月だけであります。また最新値であります平成29年5月も、本県が6.6%の増、対しまして全国では0.3%の減でやはりここもずれております。
 しかしながら、平成28年度という広いスパンで見た場合には、前年度比で比較しますと本県は4.3%の増、全国についても5.8%の増で同様の動きをしていますことから、傾向を見ていくためにある程度の期間を、例えば年単位で見ますと大きな差異はない傾向を示しているものと考えております。
 また、新設住宅着工の実数ですけれども、数字を見ていただくとわかりますが、本県でもおおむね月2,000戸になっております。戸数の多い賃貸アパートが一気に建ったりしますと、増減が前年比、大きく変わる場合もありますので、そういう部分が毎月の数字を見ますと、数値に影響を及ぼしていることもあるのではないかと推測をしております。

○鈴木(澄)委員
 わかりました。加重平均というか、少し長いスパンで見てどうするかという話でありました。やはりこういう数字は一喜一憂するところでありまして、しっかりと本県の経済施策の中でそこを分析しながら活用していただきたいとお願いしたいと思います。

 次の質問にいきます。
 5ページの産業成長戦略の推進であります。
 まず最初に、オープンイノベーション静岡の設置の目的と対象についてお聞きします。

○津久井産業成長戦略推進課長
 まず、設置の目的でございます。皆さん御存じのとおり、製造品出荷額等が19兆円から15兆円と疲弊する中で、本県経済を本格的な回復軌道に乗せこれまで以上に成長させていくためには、官民が一体となった取り組みが必要であるという考えのもと成長戦略会議が設置され、その中で実行部隊としてのオープンイノベーション静岡が位置づけられ、現在民間からも御指導をいただきながら一緒に活動しているところでございます。
 特に、その成長戦略会議の中で議論された内容として、これまでの中小、小規模企業への支援に加えて、中堅企業への集中的な支援が必要ではないかと。要は大手と中小をつなぐ、真ん中にいる中堅企業の皆様方に頑張っていただくことによって、中小、小規模企業の皆さんを引っ張り上げていただくという、下から押し上げ上から引っ張り上げると、両方の政策が必要ではないかということで、もちろん中小、小規模も対象としておりますが、それに加えて中堅企業を集中的に支援していくということでございます。

○鈴木(澄)委員
 わかりました。
 もともとは小規模企業を含めた中小企業の底上げという位置づけと考えてよろしいでしょうか。
 今回提供されている委員会資料を見てみますと、新たな事業展開に対するアドバイスのところでは、今お話があったように中堅企業に力を入れていますよと。
 それから中堅、大企業向け利子補給のところも中堅、大企業という話があって、産総研との共同研究も、共同研究となるとなかなか小規模企業はこのような国の機関と連携するのは難しいのかなと捉えると、小規模の企業に対する支援が逆に薄れてしまう危機感を少し持ったものですから質問をさせていただきました。
 オープンイノベーションという考え方はなかなかわかっているようでわからない。特に小規模企業は、自分たちが持っている技術力をしっかりと確保しながらも、さらに企業成長のためにいろんなところにかかわっていくという考え方だと私は捉えています。逆に、自分たちが持っている技術をオープンイノベーションの中で外に提供することに抵抗感もあるかと思っているんです。
 ということを考えると、小規模企業については、オープンイノベーションのあり方についてある特定の小規模の企業の業種だけではなくてもう少し幅広く、特に静岡県は先ほどおっしゃったような成長戦略の中でくくっている業種だけではなくて何が起きるかわからない。
 CNFみたいに新しいものがぽんと出てきて数年の間に大きく変化するわけですから、オープンイノベーションに対する考え方を小規模企業と中小企業についてはもう少ししっかりと伝えていくといいますか、理解をいただく仕組みが、皆さんにしてみれば当たり前かもしれませんが、企業側にしてみるとそこの部分は壁が厚い感じはいたします。
 後でCNFに触れたいと思いますけれども、やはりこのオープンイノベーションが、静岡県で特に中小企業にこれから頑張っていただくためのキーワードであって、ここがどう浸透しているかが一番大事かと考えております。
 県としてはどう取り組んでいくのか、再度質問します。

○津久井産業成長戦略推進課長
 産業成長戦略推進課、もっと言いますとオープンイノベーション静岡では毎年市町との連携を含めて、200社を超える企業を訪問させていただいております。
 この訪問対象は中堅、中小規模にかかわらず、基本的には製造業が中心ではございますけれども、企業訪問させていただく中で各企業の現状の取り組み、今後の事業展開、現在抱えている課題等をお聞きして、それを新たな産業戦略に落とし込んで毎年リバイスをしています。2015年、2016年、2017年と内容は皆様の声を反映して、また経済、社会状況の変化を反映してつくっています。
 こうした企業訪問をさせていただく中で、私どもが持っているその時々のいろいろな施策情報、産業支援策等も含めていろんなお話をさせていただいております。
 また、アドバイザリーボードの中でアドバイザーの皆様からいただく課題解決に向けたいろんなアドバイス等につきましても、私たちも毎回聞いておりますので、中小、小規模企業の皆様方のところを訪問させていただいた折には伝えさせていただいております。
 それで十分とはとても思ってはおりませんけれども、そうしたことを地道に積み重ねながら委員がおっしゃるような状況をつくっていきたいと考えているところでございます。

○鈴木(澄)委員
 市町とかかわりつつ、そして訪問しながらそれを広げていくという捉え方でありました。
 さっき冒頭で申し上げましたように、何かアドバルーンを上げても、小規模企業が外から見て、なかなかハードルが高いとまずは考えてしまうのです。そういう意味ではもっともっと積極的に、県だけではなくて市町ともかかわりながら地元の中小企業に対してアプローチをしてほしいと要望します。

 次の質問にいきます。
 委員会資料11ページのエネルギーの地産地消の推進ですが、ふじのくにバーチャルパワープラント構築事業について、わかる範囲内で結構ですから、どのような内容なのか、どの地域でどのような展開をしようとしているのか説明を求めます。

○黒田エネルギー政策課長
 ふじのくにバーチャルパワープラント構築事業ですが、これは小規模分散エネルギーとして導入を進めております再生可能エネルギーの発電設備と蓄電池、それから需要家側の節電等の取り組みを統合的に制御し、あたかも一つの発電所、仮想発電所のように機能させることをいいます。今年度この構築に向けまして大きく3つ事業を実施してまいります。
 まず、1つは事業の可能性、あるいはシステムの概略を検討するための調査事業、もう1つは協議会――これは有識者や関連事業者、さらに市町の方々にも参画をお願いしながら協議会を立ち上げて運営体制を構築、そして3つ目が普及セミナーとして、今後のこのシステムへの参入を促進していくためのセミナー、勉強会を開催していくと考えております。
 特定のエリアを今のところ想定しているものではなくて、再生可能エネルギーの発電設備のデータとか、いろんなタイプの需要家、工場とか公共施設とかの電気の需要量の変動、そういったデータを収集しながらシステムの構築に向けた検討を進めていきたいと考えております。

○鈴木(澄)委員
 最後の説明ですが、ここに書いてあるモデル地区が実際どこなのかと。
 今幾つか県全体を捉えたようなお話として承りましたけれども、やはりエネルギーをある程度発生、発電していて、それを消費につなげていくというと、今の太陽光のいろいろな課題ではないですが、電気を近場でエネルギーとして共有できるような施設であるとか、そういう環境を考えると県下全部が対象になるとは思わないのです。
 モデル地域として、事業として成功させていきたいという思いがあると思いますので、例えば富士のように製紙会社があって、高エネルギーを発生して消費しているところ、あるいは西部のほうかもしれませんが、太陽光パネルをかなり広い地域でというところのエネルギーの種別とか、ある程度想定しながらモデル事業は多分考えていくと思うんですけど、そのあたりについて少し具体性がなくて、モデル事業になり得るのかと今感じたんですけど、いかがでしょうか。

○黒田エネルギー政策課長
 まず、このバーチャルパープラントの効果としては、太陽光、風力といった電力の発生量が不安定な再生可能エネルギーをどうやって蓄電池を連携させて安定化させるか、ここに一番の効果があると思っています。ですから電源の種別としてのターゲットは、太陽光、風力がメーンになります。
 各市町が単独でそういった電源を持ちながら、さらに需要家としても規模が保てる。例えば静岡市とか浜松市は、既に単独でこのバーチャルパワープラントの取り組みをやろうと始められております。
 ですから我々としましては、単独の市町では実施できないような、再生可能エネルギーの電源を持っていないけれどもこういった取り組みに参画していきたいとか、そういった市町の意向をこれから確認しながらお声がけをしていきたいと考えております。

○鈴木(澄)委員
 静岡、浜松の政令市の名前が出てきましたけれども、県がここで例えばそれをモデル事業として立ち上げて、事業化していくためのいろんなノウハウが得られると考えたときに、今お名前が出た2つの政令市といろんな技術的なものも共有していくべきだと思うんですが、県と今実際に取り組もうとしている2つの政令市との関係といいますか、どんなことを考えていらっしゃいますか。

○黒田エネルギー政策課長
 静岡市が実際にどういう内容で進めるのか、浜松市にもお話を伺っておりますし、我々がやろうとしていく中に、向こうがやっていることのノウハウ、あるいはそこで出てくる課題は共有させていただきたい、ぜひ一緒にやっていきましょうと話はさせていただいております。
 今聞いている範囲では、例えば静岡市では学校の中に蓄電池を設けて、学校の電気需要と蓄電池とをコントロールしていくことを具体的には考えていらっしゃるようです。
 我々が考えているのはさらにもう一歩進んで、先ほど言いました発電設備を安定化させる。それによってより一層再生可能エネルギーの導入を進めるとところまで持っていきたいと思っておりますので、静岡市や浜松市の取り組みも情報共有し参考にしながら、協議会への参画も含めて連携を図っていきたいと考えております。

○鈴木(澄)委員
 わかりました。この分野は非常に早急に取り組んで成果を出していかなければいけない部分だと思うんです。今までやはり太陽光エネルギー、太陽光発電もある程度目標が設定されて、非常に成績よく進んできたような気はしますが、蓄電池の話も出てきましたし、もっと実現性を高めていって、効率のよいものにしていくことが必要だと思います。
 そういう意味ではこの後のスケジュールが気がかりでありますけれども、ぜひとも現実的な事業化まで含めた対応をとっていただきたいことと、先ほどの2市との調整も図っていただきながら、それぞれのよさを発揮、協調して進めてほしいと要望します。

 次にいきます。
 本会議の一般質問でもさせていただきましたが、ふじのくにCNFプロジェクトの推進で何点か確認をします。
 まず、寄附講座の中身についてどのようなものが今想定されているのか。

 それから、ふじのくにCNFフォーラムの運営の中に国内外先進地域との連携ということで、今まで海外をターゲットにした話はなかったように思っているんですが、海外に対する具体的な取り組みについてお聞きします。

 それから、コーディネーターの配置は本会議でも御答弁いただいて、2人から3人になったんですが、2人のときにはそれぞれの役割がこういう分野でとお聞きしておりますけれども、3人になってどのような仕事の分担をされていくのかについてお聞きします。

 それから最後に、ここは今後の一番大きな課題かと思っているんですけれども、中小企業への技術指導、共同研究は富士工業技術センターで一生懸命やっていただいています。
 CNFの話も、この間富士で製紙会社が実証プラント、それから研究施設もということで走りはじめましたけれども、実際に製品化していくための応用編については中小企業の動きが非常に大切だと。
 去年かおととしか忘れてしまいましたけれども、私も一般質問で毎回これを取り扱っていますので、当時の答弁の中には県内の中小企業がCNFで業績を上げていくということを常に主張されていたと思います。
 そういう意味では現状はどのように中小企業に対して成果が上がっているのか。私はなかなか見えてきていないと感じているんですが、そのあたりについてお聞きします。

○三須商工振興課長
 まず、CNFの寄附講座の関係でございます。
 これは、ことしの秋の開講に向けて今準備を進めておりますが、静岡大学の農学部系の大学院に寄附講座を開設するということでございます。この寄附講座の狙いは、研究開発と人材育成の二本立てで予定をしております。
 具体的にどういったテーマで研究をするかということですが、今考えておりますのはCNFの材料特性、そもそもCNFにはいろいろな特性、物性もございますので、こういった用途はこういったものに適しているというCNFの特性をまずは再度研究をしていくということ。もう1つは今大きな市場として期待をされております、CNF強化プラスチックをまぜ合わせていく、混練していく技術がまだまだうまく順調には育っていないと聞いておりますので、その2つを大きな課題として寄附講座を運用していきたいと考えております。

 それから、フォーラムの国内外先進地域との連携ということで、国内のほうは昨年度来いろいろお話をさせていただいておりますが、国内の先進地域でございます、京都市の産業技術研究所、四国CNFプラットホーム、本県、そして産総研、この4者が昨年12月に連携協定を締結いたしました。他の地域の企業間の連携も具体的な事例としてあがってきております。またことしの10月19日にCNFの展示会を富士市内で開催いたしますが、その際には今の四国、京都、それから産総研もそろって御出展をしていただけるということで連携も着実に進んでいると考えております。
 もう1点、国外でございますが、正直まだ具体的な形が出てきているわけではございませんが、素材産業でございますので、国内というよりも世界的なレベルでの競争でございます。
 そういった中で考えてみますと、国内だけの連携ではなくて、今現在北欧、北米、日本、中国も後ろから追いかけてきている状況でございますが、外国と連携をしていく、そしてこの競争に勝っていくことが大変重要だろうと考えております。
 これはたまたまでございますが、昨年度カナダのアルバータ州の研究者が富士工業技術支援センターの見学に来ていただきました。それでCNFのお話がございました。そういった中で、今申し上げた10月19日の展示会にも場合によっては出展の可能性があるのではないかと働きかけをしているところでございます。
 小さな静岡県でございますので、まだ外国については具体的な連携という形にはなっておりませんが、そういった考え方のもとで外国とも積極的に連携を進めていきたいと考えております。

 それから、3人目のコーディネーターのお話でございます。
 報告書にも書いておりますように、企業間のアライアンス、マッチング、それから販路開拓を進めているコーディネーターの役割は基本的には変わりません。この7月、それから秋に向けて大手製紙メーカーが富士市内に進出してくれるということでCNFの取り組みが活発になってくるということがございますので、人数をふやして体制を強化するということでございます。
 ただこのお一人につきましては、大手製紙メーカーと関係ある方をコーディネーターとして採用しましたので、アライアンスがより強固になっていくように我々としても促していきたいと考えています。

 それから、最後の中小企業の技術指導に対する課題でございますが、昨年度コーディネーターが1年間富士を中心に約100社程度を回りました。その中で技術指導や情報提供、それからいろんな技術課題についても情報収集してまいりました。
 その中でやはり大きな問題としては、コストの問題、プラスチックとCNFを混ぜる技術、それからそもそもCNFはどういったものに使えるのかという問題が大きく、中小企業の皆さんから御意見として出されたところであります。
 したがって、我々は特にこの点を中心に富士工業技術支援センターのみならず、いろいろな大学、研究機関とも連携をして技術開発、あるいは課題解決に努めていきたいと思っておりますし、その一環として静岡大学の寄附講座でも同様のテーマを掲げて取り組みを進めていきたいと考えております。

○鈴木(澄)委員
 ありがとうございました。今お話を聞いていて、非常に連携するところが見えてきました。
 というのは、まず静岡大学の研究内容の中に強化プラスチックの話がありました。この間富士市に開設された製紙会社は、強化プラスチックに特化というか、そういうテーマで取り組んでいきたいという話がありました。
 それから、その関係者が県のコーディネーターということになると、産官学の関連が、ある具体的な製品でかかわれるのかなという少しわくわくするような話に聞こえたんですけれども、そういう戦略はすごく大事だと感じていますので、ぜひともそこの部分は強化してほしいと思っています。
 それから、海外のところで、カナダから視察に見えてという可能性があったんですが、昨年三須商工振興課長も一緒に行かれて、愛媛県のある製紙会社から、やはり素材産業で、海外と情報を共有しながらも戦略的にはここから先は越えられないというものがあるんだという話がありました。企業側が考える企業戦略の中でそういう建前があったとして、行政が、例えばそれを後押しするという取り組みは総合的にはわかるんですけれども、そこの線引きの部分が、今後企業と行政の間の信頼関係にもつながる仕組みにつながっていくところがあります。三須商工振興課長は私と一緒に行かれて、そこは十分聞かれたと思いますので、ここは慎重にやらなきゃいけない部分もあることをあえて申し上げておきたいと思います。
 それから、中小企業の関係は先ほども触れましたが、私はCNFで初めてオープンイノベーションについて本会議場で当時の篠原経済産業部長から答弁いただいたわけですけれども、地元に帰って中小企業にオープンイノベーションでCNFにかかわるところも含めて話をすると、なかなかそこの部分が受け入れていただいていないです。
 ですから、ここはひとつ具体的にCNFのテーマの中でも先ほどおっしゃったような流れの中で、オープンイノベーションの成果が出るように、ぜひとも体制を強化していただきたいとお願い申し上げます。

 次の質問にいきます。
 企業立地の関係ですけれども、先ほど説明の中で静岡県の立地動向のお話がありまして、全国第1位ということでありました。1位になったからいいんだと、まずは喜びたいと思いますが、これから先どうなのかというところであります。
 静岡県は、皆さん共有していますけれども、ものづくり県だということで、自動車産業であるとか、それを初めとした製造企業の立地が静岡県の礎になっている、かなめになっているということであります。
 しかしながら、リーマンショック以降は非常に厳しい製造品出荷額の本格的な回復のためにも何かしなきゃいけないということの中で、企業立地に対して今取り組んでいただいていると解釈をしています。
 しかしながら、地方創生とか、もう地方の競争の時代ですから、そこにかかわる静岡県だけではなくて、どこも企業誘致に対してはさまざまな支援をまぜながら、過当競争の中に入っている状況が現実ではないでしょうか。
 そういう意味で、ライバル県との競争に打ち勝つために新たな企業を誘致することも大切ですけれども、一方で地域に根差した企業の県外流出は、雇用や税収などの観点からも大きな影響があります。地域経済の核となっている中堅、中小企業の再投資を支援して県内に企業を定着させるために、企業ニーズを踏まえた支援制度の充実が不可欠かと思っています。
 委員会資料24ページには、企業立地のさまざまな支援策が書かれていますけれども、これは外からくる企業に対してであります。
 地元の企業が出ていかないように、定着していただくための支援制度も必要ではないかと思いますが、これについてどのようにお考えなのか。
 そして、やはり競争していかなきゃいけないということで、何よりもインセンティブをぜひとも検討していただきたいということで、それを含めてお聞きします。

○村松企業立地推進課長
 県の企業立地補助金制度は大きく2つの制度で成り立っております。
 1つは工場を新設する際の設備投資への補助金、もう1つは用地取得、雇用増に対する補助制度で、こちらは市町と折半で補助している制度でございます。制度は平成7年度に創設して、これまで何度か制度改正を行っています。
 この制度創設時は、やはり県外からいかに企業を誘致するか、こういった主眼で企業誘致を進めてきたわけですけれども、補助金を交付した企業の立地が進む中では再投資の事例も多くなっています。こうした動きに対して制度的に県としてどうやって支援していくかが課題であると認識しています。
 具体的には、現行制度は補助金は原則1回限りの交付となっております。例外的に、大規模な投資につきましては複数回を認めているわけではございますが、小規模、中小企業や中堅企業など比較的投資規模が小さい企業については補助金の対象外となっております。
 一方近隣県を見てみますと、初回要件と複数回要件を分けていないところもございますので、場合によっては他県に流出する可能性も出てきます。こうしたことから、地域経済を支えるこうした企業を支援するために、現行制度の複数回要件の緩和についても検討してまいりたいと考えているところです。

○鈴木(澄)委員
 地元の企業が出ていかないための、定着という意味での支援はどうなのでしょうか。

○村松企業立地推進課長
 県内企業につきましては、やはり我々としても地域経済を支える非常に大事な企業だという認識を持っています。
 このため、市町と共同してまずは企業の要望についてきめ細かく、制度以外についても聞いております。例えば雇用の確保とか、住宅の確保とか、学校や商業施設、こうしたさまざまなインフラ設備に対しての企業のニーズも把握に努めています。これと先ほど申し上げました補助制度の現在の企業により使いやすい制度への改正を、同時に検討していきたいと思っております。

○鈴木(澄)委員
 1位になったということではなくて、やはり厳しい過当競争の中で周りの環境が変わっていくので、財政当局は大変かもしれませんが、それに柔軟に対応できるような情報をどんどん収集して、次の対応が必要かと思っていますので、ぜひともそこの部分は力を入れていただきたいと思います。

 次の質問にいきます。
 AOIプロジェクトのビジネス展開です。
 沼津に拠点ができるということですが、委員会資料31ページにどういうことをやるかについては説明があります。ただ、やはり研究施設という域でおさまってしまって、大学とか国の研究機関とか、あるいは企業もかなり先進技術を持っているところがという話ですけれども、そもそも農業は県内の農業従事者たちが生産性を高めていく、それを末端だと表現するのであれば、そこにこのAOIプロジェクトがどうやって成果をつなげていくのかが見えません。例えば大手の農業法人のようなところが、県内ではなくて県外も含めてここでやっていることのメリット、成果を受けてということはある部分では必要かもしれませんが、しかし県内の農家にここで目的としているものの成果が生かされる仕組みでなければいけないと思うんですが、そのあたりについてどうお考えでしょうか。

○平松農業戦略課先端農業推進室長
 AOIプロジェクトの成果の還元について、お答えいたします。
 AOIプロジェクト、この8月からAOI―PARCができまして本格的に稼働いたします。 これまで――平成27年度の後半からですけれども、先行して少しプロジェクトを進めております。その中でアグリインフォマティック、農業情報科学を使ったいわゆる篤農家、生産技術の高い篤農家の持っている熟練技術を目に見える形で伝承していくためにどんな仕組みがあるかといった学習システムを共同開発しているところです。
 これにつきましては今、農協、生産者のところで実証という形でモデル的なものができたものですから落とし込みをしています。そういったものが製品として出てくれば生産現場に広がっていくと期待しています。
 また、AOI―PARCが8月に本格稼働してすぐに成果は出てきませんが、何年かすればいろんな成果出てくると思います。これをいかに展開していくかを考えた場合に、やはり産官学金で連携する場が欲しくなってくると思っています。そのために今、AOIフォーラムという人が連携する場、プラットホームをつくろうと考えております。
 ここに、研究成果、情報発信ですとかさまざまな農業法人の皆さんも含めてマッチングをやって、成果の還元に努めていきたいと思っております。

○鈴木(澄)委員
 期待はしています。先ほども6次産業の話が出ましたけれども、農家の意識がビジネス経営体としてどうするかという部分もやはり大事だと思います。私は今定例会の本会議の一般質問の中で土地改良法の話に触れましたけれども、いろんな意味で集約化、集積化が進むだろうと考えると、ハードとしての整備ができても、それをソフトの面でフォローして実際のビジネス経営体として成果が上がらないと、また土地改良ってあんなもんかという形になりかねないので、ぜひともここでの研究の成果が農業の現場に生かされるように。
 先ほどの話を聞いたら、もともとは篤農家のさまざまなノウハウを見える化していくところからスタートしているので、それを共有できるようにお力添えいただきたいと思います。

 次の質問にいきます。
 委員会資料36ページ、GAPであります。
 GAPの種類が、委員会資料の3番でいきますと、しずおか農林水産物認証制度とJGAP、グローバルGAPの3つありますが、森林認証のときも認証する制度が2つ、複数あって、去年でしたか新しくそれがお互いに使えるといいますか、国際規格に準拠できてみたいな話があったんです。
 この資料を見ていると、農家の皆さんが農業の、自分たちの付加価値を上げていくために、あるいは品質管理のことも含めて取り組まなければいけない新しいテーマではあるんですが、一番負担に感じるものの一つは、資格を取っていくとかそういう基準に合わせていくことだと思うんですね。
 ところがここを見ていると、県が農林水産物認証制度をつくってくれたのは運営主体として   はいいんですけれども、この3つの関係がよくわからない。
 将来的に、例えばお茶を海外に輸出しましょうという話になったときに県のこの制度だけでは恐らく通らない。対象品目もそれぞれ違うわけですけれども、もうちょっと全体を包含した、農家の人たちが何回も取り直さなくてもいいような仕組みが必要なんじゃないでしょうか。そのあたりについて、お聞きします。

○遠藤地域農業課長
 GAPの基本的な3本柱としまして、食品の安全、それは食べる人の安全ということです。2つ目として労働安全、つくる人の安全。3つ目として環境保全、地球環境の保全があります。 我々が今運営しておりますしずおか農林水産物認証制度は、この3つを基本としております。
 それに加えてJGAP、グローバルGAPは国際認証と考えておりまして、3本柱にさらに人権の保護とか、ほかもあるんですけれども、そういうものがつけ加わってくると。ピラミッドで言いますと、ベースにあるものが我々が運用しています、しずおか農林水産物認証制度、その上にあるのがJGAP、一番上に乗ってくるのがグローバルGAPと考えています。
 我々としては、しずおか認証につきましては初めてGAPに取り組む方にまず取り組んでいただきたい。次に取引先から求められるようになってくればJGAP、輸出を目指す方につきましては、先ほど委員からもありましたとおり、しずおか認証では効果ありません。そういう方についてはグローバルGAPをとっていただくと考えております。

○鈴木(澄)委員
 どこを目指すかというのは、最初にとってそこで何となくほっとしている状態だと先が見えてこないと思うんですね。
 ですから、最初に静岡の認証を受ける際にも、できればJGAP、グローバルGAPにつながるような、農家にもその辺の知識といいますかノウハウがしっかりと残る形で次のステップにいくような仕組みでないと、先ほど申し上げましたけれど、例えば静岡の認証をとるためにそこで終わってしまって何となく辟易とするようじゃ困るわけです。そこから先が描けるようなものを、この仕組みの中では最初は今よりもハードルは高くてもいいのかもしれません。グローバルGAPでなくてもJGAPに近いものでもいいのかもしれない。
 ただ、対象品目が違ったりするものですから、農家からすると非常にわかりにくい。資格を1つ取ったらいろんなところへ使えるという感覚になりがちなので、そこの部分をぜひともこれから御検討いただければありがたいと思っています。
 環境規格もそうですけれども、物をつくって海外にも売っていくときも例えばISO12000とか、とったはいいけれどもその後のフォローが大変だとか、何のためにとったというのが後から出てくる課題として結構あるわけです。
 ですから、しっかりと最初のところで皆さんの意識づけとして、今後資格取得を考えている農家が何を目指すかというところまで含めてその資格の話をしてほしいと思いますのでよろしくお願いします。

 それから、委員会資料47ページの森林景観整備推進ですが、冒頭の要旨で触れていますように、富士山が世界遺産であるとか、オリンピック・パラリンピックでインバウンドで来られる方たちに対しての景観をしっかり守っていこうという考え方だと思います。
 もちろん、もともとは森林をどうするかというところからスタートしていますが、私は富士に住んでいまして、私の住まいから北に、国道469号まで上がっていく県道沿いは両脇に森林があるわけですけれども、これが例えばこの資料で事業実績及び計画でいくと、平成32年の大きなイベントに合わせた予定で組まれています。
 景観に重きを置いてこの事業は推進されると考えると、必要なところはこの期限の中で、この整備面積で、この事業費で全部賄えると想定されているのかお聞きしたいと思います。

○菅沼森林整備課長
 森林景観の事業でございます。
 この事業は、伊豆地域と富士地域の両地域で、伊豆地域につきましては平成32年の東京オリンピックに間に合うように会場であります伊豆ベロドロームであるとか、また世界文化遺産の韮山反射炉周辺のアクセス道路につきまして整備をいたします。これにつきましては、既に昨年の補正予算で整備の調査を実施いたしまして、ある程度場所を絞り込んで、現在伊豆市、伊豆の国市と緊密に連携をとって場所を絞り込んで効果のあるところを実施していくと考えております。
 また、富士地域におきましても、富士山世界文化遺産の構成資産であります白糸の滝であったり、また人穴冨士請遺跡、須山浅間神社といった構成資産周辺のアクセス場所に絞り込みまして森林の整備をやっていくつもりでおります。

○鈴木(澄)委員
 今のお話ですと、景観には支障がない、事前に調査を全部やってそこは全て網羅するということで了解してよろしいでしょうか。わかりました。よろしくお願いします。

 最後にお茶のことについて少し触れたいと思います。
 1つはお茶の条例ですが、条例の中ではお茶の消費、お茶の効能、お茶の文化、委員会資料37ページの県民会議委員からの主な意見を見ると、お茶の消費にかかわる部分で学校でどう提供するかが主題ですが、要旨の中には先ほどから出ていますように食育が重要だと書かれていますので、この食育の部分がまだまだ取り組みとしてはぼけていてわかりにくいと思っております。
 これを教育委員会でどうするのか、あるいはこちらの経済産業部でどういう後押しをするのかについてお聞きしたいと思います。

 それから、お茶の指導取締条例については7月28日までがパブリックコメントの期間ということですけれども、もう既に新聞でいろんなことが書かれて県民の皆さんも共有しています。
 先ほど生産者という話が出ていましたが、実は生産者だけじゃなくて消費者、消費者団体からもいろんなことを投げかけられています。
 そういう意味でそこも包含して、ぜひとも丁寧な説明を、議論をしていただけるようにお願いしたいと思います。
 先ほどの1点だけ答弁をお願いします。

○望月お茶振興課長
 まず、愛飲条例の関係でございます。
 茶の食育の関係の取り組みが薄いのではないかという御指摘かと思いますけれども、経済産業部では今年度から小中学校の児童生徒を対象としたお茶の入れ方講座を開催しております。
 この中でお茶の文化ですとか、機能性、効能について普及をしていきたいと考えております。現在の予定としましては、インストラクター協会にお願いしまして夏休みこどもお茶講座ということで静岡、富士、磐田の3カ所で実施する予定でございます。
 また、今月の29日でございますが、清水において全国子ども観光大使大会が開催されます。全国の子供たちに対して静岡茶をPRするということで、大会に参加する県内の小中学生に事前にレクチャーをしまして、お茶の講座を開催するなどしております。
 愛飲の促進とあわせまして、こういう取り組みを広げていくことでお茶の食育の分野も力を入れていきたいと考えております。

 それと、2つ目ですが、製茶指導取締条例の関係でございます。
 まさにパブリックコメントをしておりまして、いろんな御意見をいただいておりますので、私どもとしましてはもう少し皆さんの意見を聞いて議論を深めてまいりたいと考えておりますので、パブリックコメントを取りまとめまして今後慎重に、時間をかけて方針を決めていきたいと思います。

○野崎委員長
 ここでしばらく休憩をします。再開は午後3時5分にします。

( 休 憩 )

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