本会議会議録
質問文書
平成27年9月定例会厚生委員会 質疑・質問
質疑・質問者: | 木内 満 議員 | |
質疑・質問日: | 10/06/2015 | |
会派名: | 無所属 |
○木内委員
木内満です。一問一答方式で質問させていただきます。
質問に先立ちまして、ぜひ委員会で言ってほしかったと言われたことですけれども、私は4月に県議会議員選挙に初当選して議員になりました。そもそも議員を志したきっかけが、静岡県立こども病院でございます。私の長男は先天性の心臓病を持って生まれてまいりまして、私の子供を助けていただいたのが静岡県立こども病院でありました。
当時、ちょうど同時期に入院していた1,000グラムで生まれた男の子の、より難易度の高い手術の成功もあって、当時まさに世界一と言われた病院でもあり、安心して私の子供の手術もしていただくことができました。
そのことをきっかけに、そうした病院を整える行政、またそのための医療費の制度、そういったものに深く感謝をしまして、これからも守っていきたいと、そんな思いで議員を志した経緯があります。ですから、このたび厚生委員会ということで大変うれしく思っていると同時に、静岡県の医療のあり方、また特に公立病院のあり方、県立病院のあり方というものについても、ぜひ積極的に議論してまいりたいと思っております。まず皆様に感謝申し上げるとともに、今後とも全力で取り組んでいただけるようお願い申し上げます。本当にありがとうございました。
それでは質問させていただきます。
まず初めに、静岡がんセンターにおける医療事故の公表の件についてでございます。
公表された内容によりますと、4月に医療事故が発生をいたしまして、公表が9月29日と大体半年間のタイムラグがあっての公表になります。その間、公表までに約6カ月の時間がかかった経緯についてまず御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小櫻がんセンター事務局長
今回の医療事故の公表についてお答えいたします。
当センターの公表基準におきまして、公表に当たりましては患者及びその家族の同意とプライバシー配慮のもと、速やかに公表すると定められております。今回のケースにおきましては、まず事故に関する事実確認とその原因究明について、特に外部の有識者を交えてしっかり意見聴取をし、正確な情報と事実をまずは患者、御家族に対してしっかりと説明した上で、御理解をいただくことが重要であると考えたところでございます。
今回の事案はインシュリンの過剰投与により、低血糖状態になったということでございます。これが直ちに死亡原因に直結したということではございませんで、いろいろ複雑な複数の要因も絡んで、今回の事案になったということです。このあたりをしっかりと検証した上で、事実をしっかり御遺族の皆様にも説明しないと、御家族の御理解がいただけないと考えております。その結果、特にお亡くなりになられた後、複数回にわたりまして、この原因究明の結果でありますとか、検証結果について説明させていただき、さらには再発防止策についてもしっかりと御遺族に御説明させていただいた上で、おおむね御理解がいただけたと考え、公表の同意をいただいたところでございます。今回6カ月という時間は経過しておりましたけれども、最終的には御遺族のお気持ちをしっかり酌んだ上で公表させていただいたという経緯でございます。
○木内委員
医療事故等の公表基準についてお話がありましたけれども、今回がんセンターの医療事故等公表基準の定義によると、まずは過失があったということはすぐに病院内でコンセンサスが得られたと理解しておりますけれども、そのような理解でよろしいでしょうか。
○小櫻がんセンター事務局長
確かに今回はインシュリンの投与につきまして、必要以上の量が短時間に投与されたという点では医療事故であり、これは病院内の責任であると認識しております。
○木内委員
今回の医療事故の定義としては、4月に医療事故が起こってから8日間でお亡くなりになっているということで、区分としてはレベル5の死亡と。ただし公表基準の公表する事項の中で4a、4b、5に相当する過失の可能性がある医療事故であると8日後の時点で判断されたという理解でよろしいでしょうか。
○小櫻がんセンター事務局長
まず、インシュリンの過剰投与によって、患者の状況が低血糖状態になったことは事実でございます。その後8日後ということは当然予測できなかったわけなのですけれども、インシュリンの投与については、非常に慎重にやるべきであったということで、直ちに医療事故調査委員会を開催して、まずは患者の病状の回復に最大限努力することで、原因究明も含めて実施をしてきた。そうした中、残念ながら8日後にお亡くなりになったということで、死亡後は、死亡の原因についてしっかりと検証しなければならないという状況になっています。
○木内委員
公表基準の中では、レベル4a、4b、5に相当する過失の可能性がある医療事故に対しては、速やかに公表するということですけれども、今回は因果関係の調査云々はあるにしても、過失の可能性がある医療事故ということを早い段階で疑わなかったのではないかなというように私は感じております。1つはこの医療事故等公表基準にのっとって適切に行われたかどうかという点、もう1つは静岡がんセンター医療事故等公表基準について、ぜひこれを機に御検討いただきたいなと思っております。
まず1つは、今回お話を聞きまして静岡がんセンター医療事故等公表基準について、ホームページ等を調べましたけれども、インターネット上では公表されてないようでした。その後調べてみましたら、国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針等ざっと10以上の病院機構で公表されており、医療事故等公表基準を公開するということが一般的には行われているのかなと理解しました。それぞれの公表基準に関しては、まちまちな方向性でありますけれども、国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針の中では、患者死亡または、重篤で恒久的な障害が残存したものという場合は、医療事故等の発生後または覚知後、可及的速やかに公表すると。その後に院内事故調査委員で事故原因等を調査した後、その概要、原因及び改善策をホームページに公表するという指針になっております。
また、全ての病院の公表基準がわかっているわけではないのですけれども、大阪府立病院などは、患者、遺族の同意が得られない場合は、この項目について公表するといった基準が定められているケースもあって、医療事故が発生したという事実そのものについて公表すべきかどうかまで検討するというスタンスもありますが、私としては事故があったのであれば機械的に公表するということがまずは誠実な対応ではないかなと感じます。また6カ月の間があいたことで、例えば同様の事故があったのではないか。またはその間の病院の対応に疑義を持たれている方が、実は同様の事象だったのではないかという不用な疑念を生む期間にもなるのかなと感じています。
また、公表そのものを誰かの判断に委ねることに関しては、そのプロセスにかかわった人たちに重い責任が無用に振りかかるというような気がしてなりません。過失であったときに、公表の時期は一番大切な判断事項だと思っているのですけれども、私の意見としては公表基準そのものに関してぜひ見直しをしていただきたいと思います。事故の事実があったのであれば、それを事故と認識した瞬間に、可及的速やかにプライバシーに配慮した内容で公表するほうが、私は世界一の病院としてふさわしい対応ではないかなと思いますので、その点ぜひ御検討いただきたいと思っています。それについて何か御意見あればお願いします。
○小櫻がんセンター事務局長
他の国立病院でありますとか、他の自治体病院等の公表基準等の御紹介がございました。こういう点も今後しっかり研究した上で検討していきたいのですが、基本的原則としては、当院といたしましては患者と御家族の御理解がまず最優先ではないかなということで現在の公表基準を定めておりますし、そういうもろもろのことも含めて、この公表の判定に当たっては、医療事故調査委員会によって審議をするという判断をしてございます。今後他のいろんな病院や医療機関、また社会的な状況等もいろいろと考慮しながら、今後よりこの医療事故の公表が適正なものになるように検討してまいりたいと考えています。
○木内委員
ありがとうございました。
ぜひとも申し上げたことを考慮していただきまして、継続的な検討をお願いしたいと思います。
続きまして、美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生長期人口ビジョン案並びに総合戦略案に関する内容について御質問いたします。
人口の長期的な見通しの中で、合計特殊出生率を2020年に2.07にすると。また社会移動を2020年に均衡させるということについては、私は前回の委員会におきましても達成に対するイメージが湧かないということを申し上げたかと思います。
この長期人口ビジョンにつきましては、国の長期人口ビジョンを示されたものから、今、各県、各市町で検討が進められているものと認識しています。静岡県内の各市町の検討状況についてお伺いしてみました。本会議の中でも質問があったかと思いますけれども、例えば静岡市では2040年に2.07を目指すと。またよく知事が例として1.8を既に達成している市町として挙げられる裾野市に関しては、2020年に2.07を達成して以降維持すると。私の出身の富士宮市におきましては、2040年に2.07を達成すると。私の調べた限りでは、2020年までに2.07を目指すと公表している自治体は裾野市だけだと思っています。他の市町についてはそれよりも遅いスケジュールか、まだ公表できない段階であるというように回答をもらっています。
まず、県の示した2.07という計画と各市町の足並みのずれについてお考えを伺いたいと思います。
○福島政策監
2020年に2.07を目指す市町の計画に関しましては、県内4つの市町で、裾野市のほか函南町、長泉町、吉田町が2020年に2.07を達成するという設定状況でございます。そのほか2030年に2.07を設定するのは5市町、2035年が5市、2040年が8市町、2060年が1市という形で、6番委員御指摘のとおり、各市町におきまして、この2.07の達成時期について多少のずれがございます。
各市町の地域において合計特殊出生率とか、それぞれの状況が異なるということで、このような設定になったかと思われますが、県としましては、一律に県と同じく2.07に設定することを強制するわけにはいきません。県としては、市町が同じように合計特殊出生率2.07の人口ビジョンを達成して人口を均等させることを目標に進んでいくために、オール静岡でやっていくという姿勢で、旗振り役として高い目標を掲げざるを得ないと思っています。
○木内委員
高い目標を掲げるというお話がありました。
この長期人口ビジョンはこのようなビジョンを持って、そのビジョンを達成するため、またはそのビジョンに基づく戦略を施策として打っていくという考え方だと私は理解しておりますが、2.07を前提としたこの長期人口ビジョンに基づき、今後の戦略を打っていくとした場合、静岡県内での新生児の出生数は5年後で恐らく現状比1万人程度の増になるのではないかなと、私の適当な計算ですけれども考えております。
戦略の中に幾つか新生児に関する項目が挙げられております。例えば新生児訪問実施率95%以上を維持とか、周産期死亡率3未満等々、2.07になるのだという前提であれば、当然そこに対しては先手を打って、新生児が1万人増をした場合の公的な受け皿を計画的に用意していく前提があって初めて2.07というのが達成されるのではないかと思っております。2.07に至るためには、新生児の数が現状比1.4倍となると。そこに関係する部署、部局の負荷、負担、費用も当然ながら1.4倍をしっかり吸収できる体制を構築していかなければならないのではないかと理解しております。ビジョンと戦略というものであれば、そのように私は理解をしておりますけれども、その点について私の考えは間違っていないか確認させていただきたいと思います。お願いします。
○福島政策監
非常に具体的な御提案でございまして、おっしゃるとおりこの人口ビジョンの目標を実現するためには、健康福祉部のみならずオール静岡で、各部局でいろんな取り組みがあって初めて出生数の増加になるかと思います。健康福祉部の取り組みだけでは、この2.07の人口ビジョンの水準を達することは到底できない話でございまして、それぞれの人口移動、社会移動があって、例えば若い女性がたくさん静岡県に流入するとか、もしくは人口が流出しない、もしくはこの静岡県が住みやすい社会環境、医療、健康、介護、いろいろ住みやすい環境を踏まえて初めて達成できる形の目標となっています。
実際、各個別の新生児の数、それから周産期死亡率3未満という数字は、それぞれ県の総合計画に基づく形を前提として、この地域創生総合戦略のビジョンで目標値KPIを定めております。御指摘のとおりもしその状態となれば、体制も1.4倍になるということも確かにあるかもしれませんが、それは今後のこの戦略の具体的な政策を展開するに当たって随時、予算もしくは組織体制を見直しして、この戦略の実現に向けて取り組んでいくという形になろうかと思います。
○東堂委員長
審査の途中ですが、ここでしばらく休憩とします。
再開は13時15分といたします。
( 休 憩 )
休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。
質疑等を継続します。
発言を願います。
○木内委員
先ほどまで、美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略案について御質問させていただいておりました。
この件についてはあと2点だけ要望させてもらって終わりにしたいと思います。
1つは戦略全体を通して、合計特殊出生率2.07を達成するものと、2.07を達成した社会を前提にした社会のあり方というところについて、戦略がどちらを志向しているものなのか、どちらの前提に立っているものなのかが極めてわかりにくいなというのが私の印象です。その点について可能であれば整理を続けていただきたいと思います。
もう1点は、出生率を0.57引き上げるということは、言いかえれば出生者数を1万人程度ふやすと同時にふえるということであると思います。特に当委員会、当部局の管轄においては、ふえる前提の対応も必要ですし、ふやすための政策両方ともに相当に深く絡む内容となっていると思います。ふえた場合の受け皿なくしてふやすということは事実上難しいのではないかなと。子供を産んだとしても預けられる見込みがなければ、健康も危ぶまれるような状況であればふえるということはない。そのためには体制も整えなければいけないということで、それを5年で行うということは、何度も言いますけれども極めて難しい内容になると思います。0.57という抽象的な数字を引き上げるという意識ではなくて、絶対数が1万人ふえるのだという認識を持って、引き続き戦略の策定と、実行に取り組んでいただきたいと思っております。
美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生長期人口ビジョン案については質問を終わりたいと思います。
続きまして、今回付託されました議案の中から補正予算について関連することでお伺いいたします。
まず、地域包括ケアシステム広域モデル推進事業費ということで370万円を計上してありまして、賀茂地域1市5町を対象に、地域包括ケアシステムの構築を行うということです。
総合計画における位置づけは安心の健康福祉の実現、いきいき長寿社会の実現、健康でいきいきと暮らせる長寿県づくり、地域の実情に合った長寿社会対策の推進ということです。いわゆる長寿社会または介護の充実といったところが目的の主眼のように受け取られますが、そもそも地域包括ケアシステムは、高齢者のみならず子供、または障害のある方、生活困窮されている方、それらをワンストップで支援をする窓口になるということが理念であったかと私は理解しております。
私の出身地の富士宮市においては早くから包括ケアシステムに積極的に取り組みまして、実際に児童、障害者など、ともかく困れば包括ケアセンターに行けばいいという常識が相当に確立されてきているなという感があります。
例えば、子供の貧困については、その原因が親の生活困窮にある場合や、さらにたどるとその親自身の障害に起因する部分もあれば、さらにその親の介護負担によるものが原因である場合も往々にしてあります。1人の子供の貧困を解消しようと思えば、就労支援から周辺で使える福祉の支援までを含めた包括的な、まさに地域包括ケアシステムが必要になると思っています。
これから賀茂地域担当副知事を迎えて、その指揮のもと賀茂地域で地域包括ケアシステムを構築しようという意欲的な事業であると認識はしております。その際には、ぜひとも我が県の中でも特に先進的な取り組みであると思います富士宮市をモデルにして、いわゆる介護を介護医療の連携や介護の充実といったレベルではなく、児童、障害者を含めた、重度障害者就労支援、生活困窮者支援も含めた本来的な意味での地域包括ケアのモデルケースをつくっていっていただきたいと思っておりますが、この事業についてどの程度までそのようなビジョンをお持ちか、お答えいただきたいと思います。
○桑原長寿政策課長
地域包括ケアシステムの構築に係る賀茂地域への推進事業費について御説明いたします。
地域包括ケアシステムにつきましては、6番委員から御指摘がありましたとおり、委員会資料38ページに地域包括ケアシステムの構築ということで、国としては団塊の世代が75歳以上となる2025年を迎える10年先を見据えまして、高齢者のみならず児童から大人、全世代にわたっての方々が住みなれた地域で、みとりに至るまで安心して暮らしていける地域づくりをしていこうというものでございます。
ただし、今回賀茂地域のこの補正事業を組んだ目的は、県内の高齢化率が平均で26.8%ですけれども、賀茂地域の現状として既に高齢化率が40%を超えております。それから全体の人口が減少傾向の中で、75歳以上の高齢者、高齢者の中でも高齢化が進んでいるということで、いわば少子高齢化の一番の最先端の地域となっているのが賀茂圏域でございます。本来地域包括ケアシステムというものは、各市町が担当する地域の特性に応じてシステムを構築していくのですけれども、なかなか単独の市町ではその取り組みが進まないというのが現状でございます。
具体的に言いますと、委員会資料38ページ(3)イの介護保険制度が平成27年4月から改正されまして、その中で各市町が実施する地域支援事業というもので在宅医療・介護連携でございますとか、認知症施策推進あるいは生活支援体制の整備が取り組まれることになっておりますが、賀茂圏域にあっては市町単独では取り組みを進めることがなかなか困難な状況にあるという現状がございます。
そこで、今回賀茂圏域では広域連携会議を開催しまして、1市5町が広域的に連携して、お互いに補完しながら人材の養成でありますとか地域支援事業の体制を構築していこうと、10年先を見据えて当面こういった事業を展開して、6番委員がおっしゃるような全世代が安心して暮らせる、あるいは富士宮地域も参考にしながら、相談についてもワンストップで応じられるような体制づくりをつくっていこうという検討を始めたところでございます。
その検討を始めるに当たりまして、県としてももろもろの事業の推進を支援していこうということが、今回の地域包括ケアシステム広域モデル推進事業でございます。
○木内委員
ぜひとも、長期的に児童、障害者、生活困窮者も含めた枠組みをつくるという理念を含めた形での立ち上げを行っていただきたいと強く要請します。
入り口の段階でこの包括ケアシステムのゴール、または目的を高齢者の介護の充実という1点に絞ってしまえば、当然そこへの参加者、参加自治体の考え方も固定されがちになると思います。土屋副知事を置いて志高く賀茂圏域を力強く推進していこうという中で、ぜひとも長期的に本当にすばらしいシステムをつくるんだということを、すぐには行えなくともメンバーの中に子供や青少年、障害者の視点を持った方を入れていただくことや、長期的なビジョンを毎度毎度しっかり強く共有していただくと。賀茂振興局を中心に長期的なビジョンを持っていただきたいということを強く要請します。
まちまちではありますけれども、特に賀茂地域は県の中でも極めて出生率の低い1.27とかの自治体も含まれています。その原因として適切な福祉が受けられるかどうかという不安にもつながっているかと思います。広域連携をして副知事を置いて、今までにないものをつくるのであれば、この点に関して高い志だけは持っていただきたいということを強く要請させていただきます。よろしくお願いいたします。
続きまして、在宅医療推進事業費に関してです。
こちらは、在宅医療推進員を新たに郡市医師会に置く場合に補助をするという事業と認識しております。こちらは活動指標として人工4人を新規でそれぞれ希望する、手を挙げる郡市医師会に対して雇用支援するという事業と捉えてよろしいか、まず確認させてください。
○竹内地域医療課長
在宅医療推進費についてお答えいたします。
御指摘のとおり、今回補正予算において在宅医療を推進するために、訪問治療をやっていただくための診療所をふやす方策として、郡市医師会に補助をする形で在宅医療推進員の配置を進めてまいりたいと考えております。人工につきましては4人でありますけれども、1医師会に必ずしも常時1人を配置するということではなく、近隣であれば広域的な対応も考え、複数の医師会に配置することも考えられます。この点について地域の実情を医師会初め関係の方々にもお伺いしながら、より効果的な配置ができるように進めてまいりたいと考えております。
○木内委員
総合戦略案の中で、2年間で28カ所の訪問看護ステーションを立ち上げるという戦略とリンクしたものだと捉えておりますけれども、例えば静岡市においては訪問看護ステーションの撤退なども近年あるような状況だと聞いています。医院に訪問看護や訪問診療の部署を置くというやり方と、別の民間の訪問看護ステーションに任せるというやり方があると思いますけれども、一つは静岡がんセンターの件でもあるように、看護師の確保が極めて難しいことから、事業継続が困難な状況ですとか、そもそも経営的に難しい側面があるように聞いています。ぜひともこの点、しっかりとした経営助言が正しくできるように推進していただきたいなと思っています。
続いて、介護人材の確保対策のうち、ふじのくにケアフェスタ2015の中で、私も参加し介護ロボットの体験をさせていただきました。今回の展示を拝見した中で、介護ロボットに関するブースが拡充され、デモンストレーションも行われて、介護ロボットに対する県の取り組みが前向きであるなという印象を受けましたが、展示されたものの価格を聞いたところ、まだまだ各事業所で導入するにはそれなりの勇気が要る金額のものが多いように感じられました。
今後、介護ロボットの普及に向けて、静岡県として何か方策ですとか方針をお持ちであれば教えてください。
○杉山介護保険課長
介護ロボットの導入につきまして、今回ふじのくにケアフェスタ2015の中で介護ロボットの展示説明会、体験会をやっていただきました。今年はあと西部と東部でも同じようなことをやっていただくことになっています。介護ロボットの展示説明会や体験コーナーは、施設の人たちを主な対象にしております。自分たちが同じような機器を使いまして、自分の現場にロボットがどれくらい役に立つとか、自分たちがこれを必要とするのかというのを感じていただかないと、なかなか購入には結びつかないと思っております。今後そういうものを積み重ねて、介護ロボットが事業所に普及されるように進めていきたいと考えております。
○山口健康福祉部長
介護ロボットは、介護現場の環境をかなりよくする1つの手法だと認識しております。そういった面から考えまして、今、介護の方々は非常に離職率も高いと聞いています。それは非常に厳しい環境の中でやっていることもありますので、環境をよくするという意味の手法としても、ぜひ介護ロボットの導入等につきましては、それぞれの現場の法人等にも説明に行きつつ、また先駆的に導入している県もありますので、参考にしながら取り組んでいきたいと考えております。
○木内委員
介護ロボットに関しては、私も展示のときに事業者の方とお話をしまして、量産化が進めばすぐに半額くらいにはなるよという見解ももらっています。一つは、とにかく介護ロボットの市場を構築することの後押しが私は先決だと思っています。部局をまたぐ格好にはなるかと思いますけれども、ファルマバレープロジェクトの中でもこうした生産者、またそれを供給する側、利用者全てにとって益のある市場創出というものに、健康福祉部としても積極的に取り組んでいただけたらと思っておりますので、引き続いての推進をよろしくお願いいたします。
続きまして、静岡県子どもの貧困対策計画の策定の中でお伺いしたいと思っています。
子どもの貧困対策計画の体系の中で、特に生活の支援というところで、地域社会での孤立に陥らないよう生活支援を展開、生活困窮者世帯やひとり親家庭への包括的な自立相談支援、住宅支援等を実施ということが掲げられております。特に就学齢期の児童生徒を抱える親御さん、またはひとり親世帯においては、子供が学校で生活保護世帯であることを理由にいじめられることや、周囲の目が怖くて生活保護申請をできないことから、場合によっては性風俗産業に身をやつすというケースもあるように聞いております。
生活保護に関しては、特に子供がいる世帯については子供に手のかかる時期や、子供の成長に応じて要因が大きく変動するものですから、一時的に生活保護を受けることは決して恥ずかしくないこと、社会的にも問題があることではないという点をぜひとも啓発していただきたいという思いがございますが、御見解があればお伺いしたいと思います。
○勝山地域福祉課長
将来的に子供に貧困の連鎖が拡大しないように、特に子供のための学習支援ということで力を入れてきました。今年度は郡部の東部地域を対象にいたしまして、地域でこうしたお子さんの学習支援、それから健全育成支援員が各生活保護世帯を回りまして、いろんな悩み事があるものですから、そうした方に対し相談に応じております。なかなか積極的なPRということではないのですけれども、生活困窮世帯、生活保護世帯の方につきましては、ケースワーカーの方が熟知していますので、そうした方が回ることによって、支援を推進していけるように考えています。
○木内委員
ぜひとも、先ほど申し上げました包括ケアシステムの中に、この項目を含んでいただきたいなと思うお答えだったように私は感じます。
そういった世帯を支えるためには、周囲のさまざまな支援組織や地域の社会福祉協議会や民生児童委員やいろんな方との連携があって、初めて一時的に支援を受ける決断ですとか、その後適切に自立に向かうための支援というものができるのではないかと思います。
子供の貧困については、決して子供の貧困が原因ではないと思っています。子供の貧困は最終的な結果であって、そこには親の経済的状況や経済的状況を生み出した障害の存在、それを生み出した介護の負担などさまざまな要因が積み重なっていると思います。この1点だけの計画では、私はやはり弱々しいような気がしてなりません。ぜひとも包括的な支援システムの構築を広域的な目線から行うことが県の仕事として最もとうといものだと思っていますので、ぜひとも御検討をよろしくお願いします。
続きまして、自殺総合対策の中の統計数字についてお伺いしたいと思います。
自殺者数が平成25年から平成26年で大幅に減少しています。特筆すべき大幅な減少だなという印象を受けましたが、この点について何か要因や原因として考えられるものがあれば、現在の仮説でも構わないので教えていただければと思います。
○土屋精神保健福祉室長
自殺に至る問題としましては、経済問題、家族問題などさまざまな要因が考えられるところです。近年失業率の改善など経済動向も上向きになっているという状況も1つの要因かと思います。また近年自殺対策の基金や交付金を使いまして、県を含めまして市や町の地域で地道に自殺対策に取り組んでいることも1つの要因かと考えております。
○木内委員
ぜひとも、下がった要因を分析していただいて、より効果的な支援につなげていくような結果にしていただきたいと思います。大きく効果が出たことは何らかのいい要因もあったと思われますので、そこも見つけていただければより力強い政策の展開になるかなと思っております。
最後の質問にいたします。
ふじのくにバーチャルメディカルカレッジについてお伺いします。
前回の委員会の中でも、ふじのくにバーチャルメディカルカレッジのその後の東・中・西部の勤労状況の内訳に関しては、なかなか東部地域に行っていただけない現状が明らかになった点があったかと思いますが、今回ここに新たに載せていただいたふじのくに次世代医師リクルーターという取り組みの中で、県内外の医学生等に対して本県の地域医療の魅力を伝えることによりという内容がございます。
東部地域の医師不足は、依然現場の声として大変厳しいものがあるという声が寄せられておりますけれども、特に、逆に東部地域にお医者様を呼び込む本県の地域医療の魅力とは何であると捉えておられるか、教えていただければと思っております。
○酒井医療人材室長
医療という面で東部地域の魅力と申しますと、西部地域に比べ数のバランスでいくと、ドクター数あるいは病院の数が少ないというような環境がある中、患者のいろんな理解も含めまして、機能分担という意味では、例えば救急の分野では救命救急センター、2次救急、初期救急でありますとか役割分担せざるを得ないといいましょうか、進んでいると。そういった中で少数精鋭といったら言葉が悪いかもしれませんけれども、厳しい環境でお医者さんとしての使命を果たされていくと、そういった魅力があると思われます。
実際に今回、初期臨床研修に関しましてマッチングの中間発表がございましたけれども、中でも東部地域を初期臨床研修病院として今選択されている方々のお話をお聞きしますと、世代の近い方から実際に自分の歩む道のお話を聞いた結果、選ばれたということも言われております。
そんな中で、次世代医師リクルーターというのは、いわば今後医師免許を取得して、地域で多く活躍されていこうという1歩2歩先を歩いている先輩方と直接いろんなお話ができるといったことで、今自分が置かれている医療現場でのやりがいとかをお伝えできるものと期待しているところでございます。
○木内委員
医師数が少ないので使命感があるというのは、魅力としてはさすがに無理があるのかなというように受け取りました。1つは魅力そのものを創出するということ、もう1つは魅力が何であるかについてもっと掘り下げて考えていただいて、発信していただくべき魅力そのものをしっかりリクルーターとして活動していただく方に伝えていただかないと。ただやみくもに人間関係だけでおいでよという形では、住居を移して重大な責任を負うという決断には至らないのではないかなと思います。単純な魅力といった中で捉えられないかもしれないですけれども、支援制度や支援のあり方、指導医の雇用助成などというものもありましたけれども、少しでもいいからプライスレスなものでも構わないので魅力をつくっていくという姿勢で、リクルーターをうまく機能させていただくことを期待して質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
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