本会議会議録
質問文書
令和7年2月定例会厚生委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 伴 卓 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 03/06/2025 |
![]() | 会派名: | ふじのくに県民クラブ |
○伴委員
分割質問方式で質問します。
初めに、厚生委員会資料1で配付頂いておりますがん検診の受診促進の取組についてお伺いします。
青山健康福祉部長の御説明にありましたように、乳がん検診の受診率が全国平均を下回っているため、令和7年度は乳がん検診受診促進キャンペーンを展開すると御説明がございました。説明資料1を見ておりますと胃がんの検診率が43.2%、子宮頸がんが44%でありいずれも乳がんの検診率の45.9%より低いのが目につきます。
そこでまず、来年度乳がん検診に絞って取り組む理由を教えてください。
もう一点は、従来からいろんな啓発キャンペーン等をやっていたと思いますが、今回ブラッシュアップされた内容についてお伺いします。
○小松疾病対策課長
乳がん検診に絞って取り組むこととした理由ですが、全国値と比べて乳がんの受診率が低いことがございまして取組強化によって向上する余地が大きいのではないかとの期待がございます。
次に、がん検診の受診率につきまして分析したところ、対象者のうち自営業者の多い国保加入者や会社員の扶養に入っている配偶者などの被用者保険の被扶養者の受診率は、県民全体の平均的な受診率を下回っていることが判明いたしました。 全国値では、令和4年度乳がんでは被用者保険本人の受診率が60.9%に対して被扶養者が38.3%と低くなっております。このため令和7年度は乳がんに絞って取り組むこととしたものでございます。
次に、どのようにブラッシュアップしたかですけれども、これまでは幅広い情報発信に取り組んでまいりましたが、その情報が受け手の行動変容につながっていないのではないかといった御指摘を専門の先生方からも伺っております。
このため、新たな取組では乳がん検診対象者の40歳以上の女性や被用者保険の被扶養者にターゲットを絞り、集中的な啓発活動を行うことで情報の受け手に自分事として捉えていただく。また県が行うキャンペーン等と市町による検診の案内の発送時期を合わせるなどにより、啓発の効果を行動へと結びつけること、検診等のインセンティブを活用するなど効果的な啓発に新たに取り組む点をブラッシュアップとして考えているところでございます。
○伴委員
私は今年38歳で、妻も同級生で意識としてはまだ正直低いですし、もちろんどちらの検診も受けないので関心としてはまだ弱いと思ったんですが、ぜひ来年実際やってみていただいて、40歳以上の方が対象ですけれども、少なくてもいいと思うので、いわゆる保険証の種類によって今回何で受けたんですかとか、きちんとフィードバックできる環境も併せてやっていただきたいと思います。ブラッシュアップして告知するなら、40歳以上で受けようという方々にアンケートを展開して効果測定していかないと意味がないと思いますが、現時点で考えられているかどうかお伺いします。
○小松疾病対策課長
キャンペーンの効果の検証は大事なことだと思いますので検討してまいりたいと思います。
○伴委員
検診を受けられるのは40歳前後ぐらいから40歳以上でしょうけれども、きちんと啓蒙し効果も測定して受ける人を増やせるようお願いいたします。
がん検診全体の受診についてお伺いしますが、今年度9月定例会で子育て世代のお母さんの婦人科検診の受診率について質問しております。答弁頂いた女性特有のがんである乳がん、子宮頸がんも検査が大事です。ただ周りに聞くと特に20代、30代はプラスでお金がかかるのでなかなか受けられない方も当然いらっしゃいました。県のウェブサイトによれば全国平均で見ると横ばいですし、経年でもずっと変わっていないところも同じく上がっていけばいいかなと思いました。
まだがん検診を受けたことがないので教えてほしいのですが、一般的にがん検診を受ける際には体の部所ごとに受ける方が多いのか、それとも健康診断のように一括して受ける傾向があるのか。科目ごとばらばらに受けるのか、全体的にセットで受ける方が多いのか教えてください
また、県内の市や町によって受診率に開きがある要因等についても分析されているかどうか。受診率を上げるのであれば、背景もきちんと分析した上でプッシュしていくことが大事だと思いますのでお伺いします。
○小松疾病対策課長
保健センターなどの施設や、検診車で行う集団検診のケース、主に市として病院や診療所などで行う個別検診がございますけれども、自治体によりまして集団、個別のいずれか、または両方の方法で実施しております。
傾向としましては、地域医療機関が少ない自治体の場合は集団検診で実施している場合が多いですけれども、基本的には自治体が地域の医師会等と調整し実施可能な方法をそれぞれ選択しております。どの検診を受診するかは本人の任意になりますけれども、集団検診の場合は同じ会場でまとめて受診される場合が多いので、まとめて同一の場所でそれぞれのがん検診の受診ができる。一方で、個別の検診の場合には医療機関ごとで受けられる検診が限られる場合がございますので、がん種ごとにばらばらに受診せざるを得ないケースはございます。
次に、本県の市町別のがん検診の受診率の状況と、それを踏まえた取組ですけれども、おおむね集団検診では賀茂地域が比較的高く、個別の検診では三島市、裾野市、清水町、長泉町などの地域が高い結果が得られております。市町がその地域の特性に合った検診や受診勧奨を適切に実施できている結果だと考えております。
例えば、賀茂地域の場合は医療機関が少なく、受診される方も移動手段に制限がございますので検診車の受診、巡回による集団検診を実施してしていくことが考えられます。また三島市や裾野市、清水町、長泉町はお勤めの方が多い地域ですので、時間を選びやすい個別検診が利便性が高いと受け止められている可能性がございます。
地域によって、住民の特性や医療機関の状況など様々でございますけれども、事情の似た地域が高い成果を上げているケースを横展開することが有効であると考えております。昨年9月にがん検診の担当者研修会などを開催して専門家の助言を頂く研修会も開催しておりますので、新年度も好事例を横展開して底上げに取り組んでいきたいと考えております。
○伴委員
最後に要望して終わりますけれども、多分男性だと35歳を過ぎると検診のお知らせが来ると思いますが、富士市役所から黄色い封筒が来て事務所の壁にまだに貼ってあると思います。例えば無料で受けられるなどのインセンティブについて小松疾病対策課長がおっしゃっておられたので、対象者に魅力的にというと変かもしれないですけれども、受診の意識向上につながることを同年代と話していただいてもいいと思いますし、やっていただきたいと思います。
もう一点は、子育て世代のお母さんたちからすると病院によっては受診中、検診中の一時預かりといった環境整備も併せて目を配っていただけたらなと思いますので、お願いいたします。
続いて、説明資料で児童相談所の相談件数が上昇傾向にあって、ここ直近は少し下がったところでありますけれども3,000件台で横ばいになっているとあります。児童相談所も法改正がありまして保護した際や通告後48時間以内に子供の生存確認をしたり、学校や警察への連絡等の対応をしていくこと、あるいは相談ダイヤルの189がつながりにくい問題など、こども家庭庁の調査によると2023年度7月の総入電数のうち転送され児童相談所、児童相談センターまでつながらなかった接続率の割合が3割を超える。6割以上の方が途中で電話を切ってしまっていることで課題意識があるとレポートで上がっております。
本年6月から法改正によって、親権者の同意が得られない場合、一時保護の開始時には一時保護請求書を作成し裁判所、裁判官、司法審査を受ける新たな事務が発生し煩雑なことが増える中で、児童相談所のDXになると思うんですけれども、書類作成や業務負担の軽減を図っていくべきと思います。本会議の答弁でもあったかと思いますが、具体的に健康福祉部として業務効率化及びICTの利活用を考えていることがありましたら教えてください。
○村松こども家庭課長
児童相談所の業務効率化に向けては、現在措置児童に関する面談協力や一時保護情報、里親に関する情報等を一元管理しております児童相談所情報管理システムを更新する自治体で予算をお諮りしているところです。
今回の改修で考えているところは、まず児童福祉法の改正で令和7年6月から本格的な運用開始がされる一時保護に係る司法審査に対して関係書類の作成が便利になる機能、国の要保護児童に関する情報が今まで以上にスムーズに接続できることによって業務の負荷が減る機能を付加します。加えて、現在庁舎内での使用に限定しているシステムを庁舎外においても活用できるようにし、庁舎外において面談の間に記録を入力できることで業務、事務の効率化が図られる機能を付加できるよう更新したいと考えており、関係予算をお諮りさせていただいています。
○伴委員
児童相談所に限らず健康福祉行政全般に思うことですけれども、例えばコロナウイルス発生初期の2020年頃の業務はカルテを書いてファクスしていたじゃないですか。きちんと情報保護しなきければいけない、クリアランスも守らなければいけないとなると仕事も増えてしまうかもしれませんが、効率化してひいては子供たちの保護がより進むのが理想だと思います。新年度中に取り組まれていくとのことですので、また委員会や会議等を通じて進捗は確認していければと思います。よろしくお願いします。
続いて、保育対策等促進事業費助成について今回2月定例会で県の財政状況が非常に厳しいことが度々取り上げられました。私ども会派といたしましても昨年11月に財政健全化に向けた要望書を知事に提出しております。
こういった中で、資料3−1、17ページ、イ保育サービス推進費(イ)保育対策促進事業費助成の予算についてお伺いします。
所管が移管していますので、決算書上は前年比ゼロとなっていますけれども令和6年度予算額は9億2000万円で今年度は約2億円減額されておりますので予算規模としては大きく減った印象があります。不用残もあったかと思いますが、経年の執行状況なども勘案して今回の予算策定の背景等についてお伺いします。
○松本こども未来課長
保育対策促進事業費助成につきましては、当初予算に対する決算乖離が年々大きくなっておりまして、令和7年度当初予算計上に当たりましては採用する決算乖離率を直近年度のものとすることで実態に即した計上の適正化を図っております。
○伴委員
去年の執行額は幾らだったか今出ますか。
○松本こども未来課長
令和5年度決算額になりますけども、5億3830万円余でございます。
○伴委員
令和6年度の執行状況や見込みを踏まえた上で令和7年度の7億3660万円は適正で補正予算を組まなくてもやっていけそうなのか確認させてください。
○松本こども未来課長
各市町の見込みに対して、直近の決算乖離率を掛けた段階では、執行に当たって適正な額として計上しております。
ただ、今後の市町の事業執行状況について定期的に調査いたしまして、万が一ですけれども不足が生じた場合は2月補正予算も検討してまいりたいと思っております。
○伴委員
我々も予算の適正化を要望しておいて、最後に子供関係の予算が足りなくなってしまっても本末転倒になってしまうので、確認の意味で質問させていただきました。
もう一点は、保育士確保に対する予算も9月定例会で執行状況について質問しましたが、年度途中の入所サポート事業費助成であります。
こども園などを経営している友人からは、非常にありがたい予算であるとのお言葉を頂いております。今回の予算を見ますと令和6年度が5690万円であったのに対して来年度予算案は5500万円となっております。先ほどの保育対策促進事業費助成の減額割合と比べると、前年同水準で予算規模は取れていると思いますが、今回の予算策定の背景等について教えてください。
○松本こども未来課長
年度途中入所サポート事業費助成につきましても、市町からの積上げをベースとしておりますが、実績と比べて乖離がある場合は積算方法を再確認し、また決算乖離率を反映して予算計上しております。例年執行実績がほぼ当初予算に近い金額で執行しているため予算的には同水準となっております。
○伴委員
健康福祉部に限らず全ての部局に言えることですけれども、予算が計画どおり本当に僅差で執行できれば望ましいと思いますので、引き続き適正な執行に努めていただければと思います。
もし足りなくなってしまったときは、この事業は補正が組める対象かお伺いします。
○松本こども未来課長
この事業に限らず、必要に応じましてしっかり財政当局とも協議してまいりたいと思います。
○伴委員
保育士確保は非常に大事なことだと思いますし、先ほど8番委員からも保育士の魅力向上の質問等が出ましたけれども、働く場所の環境整備や処遇も大事だと思いますので、引き続き取り組んでいただければと思います。
続いて、昨今いろいろ国会でも取り上げられております内密出産についてお伺いします。
県議会のホームページで過去の本会議予算、委員会質問を見ても内密出産という言葉が使われた形跡がないので重たい話にはなってしまうのですが、今から18年前に我が会派の先輩の池谷晴一元県議が熊本県で取り組まれているいわゆる赤ちゃんポストを取り上げていました。
本当に心苦しい話でありますが、昨年12月29日に静岡市内の複合ビルのトイレで赤ちゃんを産み、そのまま遺棄した疑いで25歳の女性が逮捕される事案が発生しております。また記憶に新しいところでは、2023年5月に沼津市内の海岸で焼かれた状態の赤ちゃんの御遺体が発見され、当時25歳のお母さんに当たる方は地裁沼津支部の公判で母親になれず自分のつらさを優先してしまった、申し訳ないと法廷で述べられています。
平成19年度に池谷晴一元県議が、当時できたばかりの熊本県が始めた赤ちゃんポストの──熊本県でなくて熊本市の病院が取り組まれたことに質問されていて、赤ちゃんの命を守ることは分かるけれども、一方で子育ての放棄を助長するとの世論があることを前提に質問されていました。当時の牧田福祉こども局長が答弁されていて、赤ちゃんの命を守るのは最優先であり命に罪はない一方で社会の理解がなかなか追いつかない。この両極端に対して県としては今議論していますとの答弁が残ってます。これは会議録を見ていただければと思います。
その結果どうなったかを聞くつもりはないですけれども、一昨年の状況を踏まえた上で、赤ちゃんに対するセーフティネット策にどのようなものがあるのか確認しておきます。
○村松こども家庭課長
本県における思いがけない妊娠につきましては、県の助産師会に委託しているしずおか妊娠SOSで、困っている方の相談を受け付けております。
子供を自分で育てられない事情がある方がいましたら、妊娠SOSの窓口から各市町の福祉部門もしくは女性相談支援センターに連絡をつないでいただきます。例えば出産までに生活の拠点の場がない場合でしたら、女性相談支援センターがその方を一時保護いたしまして、女性自立支援施設に入所して生活の確保を行う道筋がございます。また出産した後子供と一緒に生活していきたいのでしたら、母子生活支援施設につなぐこともございますし、どうしても自分ではお子さんを育てることができない場合は児童相談所が介入して、例えば乳児院への措置や特別養子縁組で手続を進めていく流れとなっております。
○伴委員
なかなか難しい質問に対して、御答弁ありがとうございます。
当時の牧田福祉こども局長からもおおむね同じ御答弁を頂いております。十何年たって変わっているもの、変わらないものがあると思いますし、国でようやく少し病院に対して通達が出始めたところではあります。
実は、事前のヒアリングで静岡県内で年間5件の特別養子やサポートした事例があると聞きましたけれども、全国各地で見ていくと本当に数多くのお子さんが出生後ゼロ日、ゼロ時間、ゼロ秒で亡くなっている事態が起きてしまっているんですね。これを助長することはあってはならないのですが、生まれてくるお子さんに罪はないし守るべき命だと思います。一方で、お父さんお母さん、はっきり言っていいかげんな人も中にいると思うんですよね。
でも、きちんとセーフティネットとして救っていく、両親を犯罪者にさせない、お子さんの命を守るところは行政の出番ではないかと思っています。まだ時代が追いついてないところはあると思いますが、ぜひ静岡県でこういった事件が起きないようにしたいと思いますし、そのためには各方面、皆さんの御協力が必要だと思いますのでお願いして質問を終わりたいと思います。
このページに関するお問い合わせ
静岡県議会事務局議事課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3482
ファクス番号:054-221-3179
gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp