• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 委員会会議録 > 質問文書

ここから本文です。

委員会会議録

質問文書

開催別議員別委員会別検索用


令和2年9月定例会危機管理くらし環境委員会 質疑・質問
質疑・質問者:阿部 卓也 議員
質疑・質問日:10/05/2020
会派名:ふじのくに県民クラブ


○阿部委員
 一問一答方式でお願いします。
 各委員からリニア問題についての質問が出ましたが、このところの静岡県とJR東海のやりとりが分かりづらいとか川勝知事が駄々をこねているだけではなどと、果ては様々な立場の方々が好き勝手にいろんなことをおっしゃって、静岡県はリニア工事を取引材料にして様々なバーターを狙っているのだといったかまびすしい話がいろいろありますので、私の今回の質問の趣旨としては、このリニア問題についてもう一度原点に返って整理をしたい、まずそこから入りたいと思います。
 そもそも分かりづらいのは、トンネル工事、トンネル工学についていろいろな本を読みあさって勉強させてもらったんですが、確かに専門的用語とか、専門的な分析などとても難解なのは事実です。またJRの言う掘ってみなければ分からないといったことも、ああこれは一理あるんだなと理解できました。
 ただ、分かりづらい、掘ってみなきゃ分からないからそれでいいやといった問題ではないのが静岡県の立場だと思っています。もう1回整理をしますと、JR東海はリニアの工事をしたい、静岡県は水を守りたい。双方こういう純粋な目的だけなので、静岡県で工事をしたいJRが、静岡県が問いかけている疑問に対して率直に――今回私が選択をしている一問一答方式のように――シンプルに答えていただいて、疑義が残るものだけは継続審議をしていけば分かりづらさが消えていくんだと思います。
 この点について、確認の意味を込めて念押しで申し上げますが、静岡県はリニア中央新幹線が通ってくれと誘致活動をしてこなかったわけですから、あくまで答えるべき義務があるのは静岡県を通りたいJR東海であるはずです。そもそもこのリニアのルートに当たらなければ、大井川流域の皆さんも、我々もこんな苦悩をしなくてよかったはずですから、これが大前提だと思いますが、この解釈で良いかまずは確認します。

○難波副知事
 この解釈のとおりだと思います。

○阿部委員
 これは大切なことなので、大前提として答えるべきはJR東海なのだということで確認します。

 次に、川勝知事が駄々をこねているという件に関しては、学者川勝平太氏としては、かつて国交省の各種委員などをされて、リニア中央新幹線構想については世界に誇る日本のトンネルの技術力、また磁力を利用した高速移動装置の開発などの進展に期待して賛成してきた。これは知事自身がお話しされているとおりであると思います。
 その後、静岡県知事川勝平太として、大井川流域の水問題の歴史や水不足の現状、南アルプスの世界自然遺産級の自然環境の存在などを知って、静岡県知事の責務としてこのかけがえのない財産や利水者の皆様の思いを背負ってJR東海と粘り強い交渉をしなければならないという揺るがぬ姿勢の表れが、いろいろなところで外の皆さんから見ると駄々をこねていると言われる、頑固過ぎると言われることだと思っています。
 ただ、先ほど7番委員もおっしゃったように、もしかしたら旧来型の力任せに物事を解決してきた方々がいるのだとしたら、この知事の姿勢に困惑して黙らせたいと思っているのかもしれません。静岡県としてはそうしたいろんな疑念やいろんな雑念が入らないようにオープンに議論をしていくこと、これが一番いい方法だとして会議やもろもろの資料の公開を求めていると理解していますが、この理解でよろしいでしょうか。

○難波副知事
 科学的、工学的根拠に基づいてしっかり議論をすることが極めて大事でありますので、その点でそこに出てきた結論が信頼性がある、腑に落ちることが大事だと思いますけれども、そのためにはそこでの議論がオープンにやられている、しかもオープンの中で中立性があるなと。あるいは科学的根拠の難しいところは分からないけれども、それを解説してくれたところで言うと、ああなるほど分かるなと。それだったら腑に落ちるというか、腹に落ちるといいますか、そうしたところがあるのは極めて大事ですので、特に国の有識者会議において全面公開については終始お願いしております。

○阿部委員
 長くなりましたが、前提が確認できたので、その上で質問に入ります。
 先ほどほかの委員からもありましたが、9月10日の静岡新聞の報道で広く明らかになった工事予定地に高圧大量湧水があるとの調査資料が県に貸し出されていたことについて確認していきますが、まずそもそもこの大量の資料はなぜこの時期に、しかも期限付きで貸し出されたのか確認します。

○難波副知事
 それについては、公開が十分でないとの意見がありました。知事の発言だったと思います。正確な言葉は後でほかの方から説明があるかも分かりませんが、十分公開されていない、資料も公開されていないとの知事の発言があって、あれば全部貸し出しますよと段ボール箱に詰め込んだものが来たということです。
 ただ、それは公開のための資料ではなくて、あくまで資料が足りないといったことで出してこられたものだと認識しております。したがって将来にわたって全部公開しようといったことではなくて、見たいんだったらどうぞといった形で来たと認識しております。

○阿部委員
 分かりました。見たいんだったらどうぞといった資料ですね。
 この記事によると、資料を見たいんだったらどうぞのこの資料には、JRからの強い申入れで県議会、マスコミに公表するな、第三者に公表するなとの一文がついていたとのことだったんですが、具体的にはどのような申入れであって、県としてなぜこれを了解したのか確認します。

○織部くらし・環境部理事(南アルプス環境保全担当)
 あくまでもJRが環境アセスメントの中で毎秒2トン流量が減ると試算しておりまして、それを検証するために資料をお借りしたものであります。
 これはJRの持ち物でありますので、この借用した資料につきましては県の職員、専門部会の委員、業務委託を受けた事業者に限るという限定付きでお借りしたものであります。

○阿部委員
 毎秒2トンを検証するためであったわけですけれども、この資料を見て私もちょっと疑義を持っていますが、毎秒2トンではちょっと少ないのではないか。この資料によるともっと量が多いのではないかと感じていますが、それについての見解を伺います。

○難波副知事
 毎秒2トンについては、実はその資料を見ただけでは検証できないということです。現時点でも実際のところ検証できていないわけで、国土交通省もずっと検討していますが、結果的に2トンであるとか、あるいはトンネルの中の湧水は別ですけれども、トンネル内湧水が2.67トンだとかについては検証できておりません。
 大体こんなものかなといったところでは使えるけれども、詳細に検討すること、推定するのは無理だということです。現時点でもそうですから、その時点で私どもがその値がどのくらい確からしいのかを検証することは不可能なのが実際のところです。

○阿部委員
 その時点と現時点では大分状況が変わってきている。いろいろ新たな資料も出て変わってきていると思いますが、毎秒2トンでいいのかどうなのかについては、私の個人的見解で言うと、JRは2トンにこだわるのではなくて――というのは今までの鉄道トンネルの工事を検証しても、例えば新潟県にあるほくほく線の鍋立山トンネル、それから静岡県内でいえば丹那トンネル、それから宇津ノ谷峠、こういう工事を見ると必ず後で地質が予測したものより悪かった、また水が予想より多く出たという事実がよくありますので、――ここはJRに本当に2トンでいいんですか、大丈夫ですかと静岡県としても問うてあげるべきかなと感じますが、見解を伺います。

○難波副知事
 まさにそこもいまだに問いかけているところですけれども、やはり計算値ですね。あくまで水収支解析という計算をした結果そうなっているとのことですので、それを調べるためには水収支解析モデルが一体どんなもので、その中にどういったデータが使われているのか、あるいは境界条件だとか入力条件だとかいいますけれども、そういったものを一つ一つ検証していかないと、その値が正しいかどうか、どのくらい精度があるのかは分からない状況です。
 何度も何度も問いかけたんですけれども、自分たちの計算は正しいとのことで前提条件が出てこなかったんですが、さすがに国土交通省の有識者会議で国の委員から言われて、いろんな境界条件、入力条件が出てまいりました。
 それで、我々もやっとなるほどと分かってきて、特にこれは精度に大変問題があると改めて認識している状況であります。

○阿部委員
 その水収支解析の問題点については、本会議で東堂議員の質問に対しての御答弁でも幾つか事例を述べられておられましたが、解析の目的とモデルの解析方法が合っていない、地質の複雑な南アルプスにおいて湧水量の推定に重要な断層の広がりが考慮されていないなど、いわゆる現時点で県の認識している問題点、私は県民並びに外部の皆様にこの問題をより分かりやすく御理解頂くために、この問題点を一覧表にまとめて開示をしたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○難波副知事
 いろいろ話をしていても、ああなるほどとその場では分かるわけでありますけれども、本当のところがよく分からないといったことがありますので、御指摘のとおりしっかりとまとめて、何が問題か明らかにするべきだと思います。あまり専門的にならずに、県民の皆様がああなるほど、そういうことかと分かる形でまとめたいと思います。

○阿部委員
 ぜひそうしていただきたいと思います。冒頭申し上げたようにJRに対しても、純粋に水を守る立場の静岡県としては1つずつお答えを頂いて、それに対して疑義が生じたらさらに詰めていく形、またもしこの予測が変わった場合どうするのかも考えていくこと、話し合っていくこと、これが重要だと思いますので、そうしたスタンスでぜひお願いしたいと思います。

 それからもう1点。
 これ率直な疑問でありますが、大井川直下の断層で工事をする予定でいますね。ここで工事をすると、川の表流水が地下の断層に吸い込まれることはないのか。もしそうならJRがおっしゃる水をポンプアップして大井川に戻しますとなっても、戻した水がまた吸い込まれる。この繰り返しになってしまっては何もならないわけでありますが、このあたりの話合いはJRとしているのかどうか、お伺いします。

○難波副知事
 リニア中央新幹線建設の環境影響評価に係る県とJR東海の対話の状況の34ページと35ページを見ていただくと、上側はJR東海が解析したもので地下水がどう減少するかですけれども、真ん中辺りに水色とか黄緑色がありますが、これが地下水が変化するところです。この水色、青色のところが300メートル以上地下水が低下するところです。
 その下に――これは静岡市が解析したものですけれども――同じように地下水がどう低下するか予測しております。見ていただくと全然違っていて、静岡市のものは縦に線がずっと入っていると思いますけれども、トンネルを掘ったときに水が断層に当たり、その断層に沿って水が流れていくので、断層沿いの水を全部トンネルの中に引っ張ってしまうのでこうした予測になっています。
 したがって、8番委員がおっしゃったように断層があれば必ずこうやって水を引っ張るわけじゃないですけれども、そこの断層がどういった状況になっていて、それが水がつながって持っていかれやすいような断層、割れ目になっているとこういった状況になります。断層の評価は極めて大事で、JR東海のモデルは断層の評価が極めて甘い、実際上は断層の評価ができていないモデルと考えられます。

○阿部委員
 副知事がお答えになったことは非常に重要なことだと思いますので、しっかりこれからJR東海にこの事実また疑義を御理解頂いて、話合いをしていただきたいと思います。
 余分なことですが、先ほど例示したほくほく線の鍋立山トンネルも副知事は御承知かと思いますが、僅か654メートルかな、それだけの区間を19年間もかかってようやく掘り抜いたところであります。そこはいわゆる断層、それからまた地山の圧力がかかって非常に難しい地質で、トンネルを掘る機械が地圧で押し出されてしまうような大変な難工事であったと聞いています。
 そうした事例もあるので、静岡県のトンネルのエリアは中央構造線と糸魚川−静岡構造線に近接する非常に難しい地質、しゅう曲した難しい地質のところだと思いますので、副知事が先ほどおっしゃったようにほかのところと違うのだと、もっときちんと調査をやってくれというのは、まさにその史実が物語っていると思いますので、そういうことも引合いに出しながらしっかりとこれからの話合いに、交渉に臨んでいただきたいと思います。

 最後ですが、先ほど補償の話が出ました。補償の話などはまだ先のことだと思っていますけれども、ただ補償の話の時期が来たときにばたばたしてはいけないので確認しておきたいと思うんですが、JRは他県での事例を見ると、いわゆる因果関係の分からないものは補償していないようなんですが、大井川の水についても、この部分が減りました、ここの水がかれましたといったときに、これは因果関係が分からないので補償できませんと、今までの事例を見ると言われかねない。これは話になりません。
 年数の問題などについて30年以上といった言及はあったようですが、静岡県が純粋に求める水を守るため、環境を守るため、まずは水が減ったものについて全て補償するといった前提で話合いに臨まなければ、利水者の皆様は不安しか残らないと思うんです。まだ先のこととしても、時期が来たときに県として交渉に当たる姿勢としてどういった姿勢で臨まれるのか、確認をしておきます。

○難波副知事
 御指摘のとおり補償の問題で一番鍵になるのは、その因果関係が白、黒、灰色とあるとして、それを誰がどういった方法で立証するのか、証明するのかが問題になります。通常であれば黒のときに補償するのが基本だと思います。つまり影響があるから補償するので、影響があるか分からないけれども、何となく自分のせいかもしれないから補償するなんてことはないということです。
 そうすると、明らかに因果関係があるときに補償するわけですが、この因果関係を誰が証明なり、立証するかですけれども、これはこの件に限らず通常は影響を受けた側が立証するのが基本になっていると思います。したがって今回のケースでいえば影響を受けた利水者なり県民側が立証しないと補償されないのが通常であります。
 これはとても認められないというか、心の問題としてそうですかというわけにはいかないので、とりわけ因果関係の証明がしにくいものですから、家の隣で何かやられるのなら因果関係が立証しやすいですけれども、離れたところでやった場合に因果関係があるかどうかを立証する、しかもそれを黒であると決めるには相当な困難があります。
 どうすべきかというと、あらかじめお互いにその証明方法はこういうことですよねと決めておかないと、いやいやそんな立証方法は認められませんといった話で終わってしまう可能性があります。したがって単に影響があれば補償するといった補償ではなくて、因果関係をどうやって立証するかまで含めた形での補償、ある種システム、補償制度みたいなものをこの場合はきっちりつくっておかないと、後々に大変な問題が生じることになると思っております。

○阿部委員
 副知事の御答弁のとおりだと思います。ぜひJR東海にお分かり頂きたいのは、立証するのは影響を受けた側が基本であるならば、静岡県側が影響を受けるわけですから、逆にリニアの工事をするがために使わなくてもいい莫大な立証のための経費を使わなきゃいけないとか、今まで守ってきた財産を失わなきゃいけない、そうした静岡県にとって理不尽なことがあり得るのがこのリニアの工事です。冒頭にわざわざ私が確認したように静岡県は純粋に水を守りたい、この立場をしっかりとJR東海には認識を頂き、また国交省にも認識頂き、決して何かバーターでやっているわけじゃなくて純粋にそこなんだと。先ほど7番委員もおっしゃったように、また流域の5番委員、6番委員もおっしゃったように流域の皆さんの心配はそこだと思いますので、その部分を決して妥協することなくしっかりと交渉を続けていただきたいと思います。
 意見として申し上げますが、トンネルを計画するときのイロハのイは、後から出てきた資料で報告されているような高圧湧水層、それからまた複雑な断層、こういったところにトンネルを造らないことだそうであります。JR東海はこの工事が難しいと思われるのであれば、また水を守れないのであれば、ここではなくて違うところも今のうちに調査しておくことがよろしいのではないかと。日頃から生活の足としてJR東海にお世話になっている静岡県の議員の一人としては、こんなリニアの難工事をやっていたらJR東海は破算しちゃうんじゃないですかと逆に心配もしている、そういったことを考えている県民や県議会議員もいるんだとここに表明をして、意見として終わります。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp