本会議会議録
質問文書
令和2年決算特別委員会産業分科会 質疑・質問
質疑・質問者: | 加藤 元章 議員 | |
質疑・質問日: | 11/05/2020 | |
会派名: | 自民改革会議 |
○加藤委員
一問一答方式で質問します。
令和元年度主要な施策の成果及び予算の執行実績についての説明書から伺いますけれども、まず最初に説明資料19ページにあります産業成長戦略の推進についてお伺いします。
これにつきましては、主要施策の中でも中心となる政策であろうかと思いますが、産業成長戦略2020のポイントとなる点や留意した点及びコロナウイルスの戦略への影響についてお伺いします。
○齊藤産業政策課長
産業成長戦略の御質問についてお答えいたします。
まず、産業成長戦略2020のポイントとなる点でございます。具体的には産業人材の確保育成、企業誘致の推進、事業誘致の確保、中小企業の強靱化及び産業イノベーション拠点の形成の5つの戦略からなっております。いずれも重要な戦略と考えておりますけれども、特に2020の戦略におきましては、産業人材の確保育成――今後圧倒的に不足が見込まれますAI・ICT人材の確保育成でありますとか中小企業の強靱化、生産性の向上や事業承継、BCP策定の推進、産業イノベーション拠点の形成、先端産業創出プロジェクト――中心になるAI・ICTの先端技術を活用し、またオープンイノベーションの手法により次世代産業の創出を目指すプロジェクトがポイントになるかと思います。
2番目の留意した点でございます。主に2つあります。1つは戦略の策定に当たり、その前提となる経済社会を取り巻く大きな変化及び現状と課題をしっかりと把握することです。2020の戦略における具体的な課題として、少子高齢化に伴う労働力不足、第4次産業革命の進展への対応、オープンイノベーションの推進及び中小企業の強靱化といった課題認識を冒頭に列挙し戦略を提示しています。
もう1つ留意事項としましては、現場のニーズを的確に把握することと産業界の方々の御意見を踏まえて官民一体となって戦略を策定することと思っております。企業訪問等を通じて経済活動の現場の状況把握に努めるとともに、産業界、金融機関及び産業支援機関等の方々から成る産業成長戦略会議を年2回開催し、産業界等の御意見を踏まえ官民一体となり英知を結集して戦略を策定したところでございます。
3番目のコロナによる今後の戦略への影響ですが、本県経済は持ち直しの状況が見られますけれどもコロナの影響によりて依然として厳しい状況にあります。このため県におきましては、感染状況を見極めながら、資金繰り支援、雇用維持といった緊急対策を引き続き講じていくことと新型コロナで顕在化した課題を踏まえウイズコロナ、アフターコロナ時代の新たな経済戦略を展開し、経済の再生を図っていく必要がございます。
今回のコロナの感染拡大を通じて、多くの課題が顕在化しました。具体的には首都圏に依存しない新たな地域経済圏の形成、デジタル化への対応、サプライチェーンのレジデンス強化及び医療健康産業をはじめとした命を守る産業基盤強化です。こうした課題を踏まえまして、今後産業界の方々の御意見等も伺いながら次の戦略2021の策定を進めてまいりたいと考えております。
○加藤委員
今御説明がありました産業成長戦略に基づき(2)に挙げられている地域企業の集中的支援の中で技術ニーズ説明会を開催したいとありますが、これの内容、取組実績及び成果等についてお伺いいたします。
○齊藤産業政策課長
技術ニーズ説明会についてお答えいたします。
まず内容ですけれども、県内企業を支援する過程で県内の中小企業のネットワークには限界があり、高い技術力を有していてもその情報が大手企業等に周知されていないことでマッチングが進まないといった課題が浮き掘りになっておりました。このため昨年度から技術ニーズ説明会を事業化し県外の大手企業等が外部の技術を活用したいといった場合に求める技術課題について説明する場を設け、その技術と意欲を有する県内中小企業とのマッチングを図ることにしました。通常の商談会などにおきましては、売手となる中小企業側からプレゼンしますが、この技術ニーズ説明会におきましては、買手となる大企業の技術的課題を出発点としております。売手側の一方的な提案ではなく買手側のニーズを十分理解した上での実態に即した提案を行うことによりマッチングを円滑に行うことができるといった特徴を持っております。
実績と成果ですけれども、令和元年度につきましては2回説明会を開催しました。10月には食品会社、12月にはガス会社による説明会を開催し、2回の説明会で県内企業約30社が参加してこのうち10社が個別商談に進んでおります。そして現在2社が引き続き交渉を進めている状況でございます。
○加藤委員
今御説明頂きました技術ニーズ説明会ですけれども非常に期待を持てる取組だと思います。令和元年度は大手企業2社に説明を頂き大変いいと思うんですけれども、逆にもっと対象となる大手企業を広げる可能性がある。その見通しについてどのように感じられているのか教えてください。
○齊藤産業政策課長
ただいまの御質問にお答えいたします。令和元年度につきましては、2社の大手企業から説明を頂きました。令和2年度になりまして2社のうち1社のガス会社については、引き続き今回も説明会に参加頂いております。昨年度を上回る28社の中小企業の参加があり、昨年参加していただいたガス会社もいろいろやってみた中でこれは非常にいい取組で今回も御参加頂いたと認識しておりますし、また昨年度から始めたことで県内企業の取組がだんだん浸透し始めていると思いますので、こういった取組をまたつなげてマッチングを円滑に進めていきたいと考えております。
○加藤委員
ありがとうございます。
先ほどの答弁にもありましたけれども、コロナの状況の中で中小企業はどこも製造業を中心に厳しい状況にあろうかと思いますので、ぜひこの間口を広げる取組はこれからもしっかりやっていただきたいと思いますし、先ほどスキームの中でおっしゃっていただきました企業に訪問する現場主義により、今一番困っている中小企業のニーズを積極的かつ的確につかんでいただきたいと思います。
続きまして、説明資料27ページにあります美しく豊かな静岡の海を未来につなぐ会についてお伺いしたいと思います。会の設立の目的、狙いや具体的な成果の見通しについて、まずお伺いいたします。
○山田産業イノベーション推進課長
美しく豊かな静岡の海を未来につなぐ会につきましてお答えします。
まず設立の目的でございます。目的は大きく2つあります。1つは静岡の海に対する県民の意識の醸成、それから2つ目が海洋に関する多様な活動の連携の促進です。
設立に至った狙い、背景ですけれども、近年サクラエビの漁獲量の減少や海洋プラスチックごみ問題といった様々な海に関する社会的課題が顕在化しております。一方で本県では多様な分野で多くの方々が海に関する活動をしております。より大きな効果と発信力を上げるためには、こうした活動を束ねて連携して促進することが必要だという問題意識から会の設立に至ったものでございます。
具体的な成果の見通しですけれども、令和元年度は、設立に向けた準備が中心であり、令和2年2月14日、100人以上の発起人が参加して設立総会を開催しました。具体的な活動は令和2年度からになりますけれども、新型コロナの影響もあり前半は活動を控えておりましたが、現在静岡の海に関する活動の担い手となるパートナーあるいは活動を応援する会員の募集を開始しまして実践活動を展開しています。具体的には自主プロジェクトとして水技研や漁協と連携して、子供たちに海藻の大切さを教える海の森づくり体験教室を10月24日に開催しました。定員40名を大きく超える100名の応募がありました。
また、海洋に関わる実践活動を発信するホームページの開設あるいは今後パートナーや会員双方の交流と連携を促進する交流会の開催も予定しております。こうした取組を通じ海を守る活動の動きが全県に具体的に拡大していくよう目指してまいります。
○加藤委員
ありがとうございます。
本県は海に囲まれ本年度当初、施政方針でも知事が触れており非常に大事な活動だと思います。ちなみに県内各所で例えば環境問題について言えば私も先週もやりましたが、ごみのボランティア清掃とか盛んに行われている部分もあることも踏まえて取り組んでいかなきゃいけないわけですけれども、山田産業イノベーション推進課長は何かそういうボランティアはやられていますか。言いたいことは、特に今おっしゃった海洋プラスチックごみがすごく深刻で、流木が沼津に流れ着くのはいいし、ごみもあるんですけど、拾えるものは拾ってボランティアできるんですよね。だけど海に行くとすぐ分かりますが砕けたプラスチックがすごくあって取ることは非常に難しいし、効率も悪いという状況を目の当たりにしています。
申し上げたいのはこの事業自体非常に大事なんですけれども、経済産業部だけでは成し遂げられないものだと思っていて、県庁内だと例えばくらし・環境部と横通しをし、冒頭の会の設立目的趣旨にある全庁的な広がりをもった取組にしていかないとセクショナリズムで成果は生まれないと思うんですが、その点は設立に際してどのように考えられたのかお答えください。
○山田産業イノベーション推進課長
5番委員の御指摘はごもっともと考えておりまして、つなぐ会という名前にも出ているとおり連携していくことが一番のキーポイントになっていると考えております。庁内の連携につきましても、今5番委員からお話がありましたプラスチックごみ問題につきましては、くらし・環境部と密接な連携をしながら取り組んでいます。
○加藤委員
ありがとうございます。
こういう大きな課題に対しては、県庁組織的にはきちんとプロジェクトチーム化してチームメンバーを組織して動かしていく。何となく事務的な連携はもちろん当たり前にあるとは思うんですけれども責任の所在がはっきりしなかったり、議員の立場で感じるのはどうしてもセクショナリズムが強いという意識があります。そういう意味では御苦労もされるんじゃないかと思うんですけれども、何かうまいやり方、バックアップ策みたいなものはできているんでしょうか。
○山田産業イノベーション推進課長
具体的に今組織化はされていませんが、先日もくらし・環境部で9月補正予算を計上した中に、ごみ清掃の関係予算がありました。そういった部分でもくらし・環境部と連携し執行しております。組織的にはありませんが、常時協議しながらやっています。
○加藤委員
セクショナリズムにめげずにしっかり取り組むよう期待したいと思います。よろしくお願いします。
次に移ります。
説明資料27ページのウ新成長戦略研究費について大学、民間と連携して取り組んだ16の新成長戦略研究の特徴的なものや具体的成果についてお伺いします。
○山田産業イノベーション推進課長
新成長戦略研究についてお答えいたします。
令和元年度新成長戦略研究は16課題ありましたけれども、分野別では農林水産分野が10件、工業分野が6件でございます。それぞれの分野で1点ずつ特徴的なものを御紹介したいと思います。
まず、主に農林水産分野でございます。移動及び運搬作業を無人化する農業用自立走行ロボットの開発に取り組みました。狙いは高齢化の進行や慢性的な労働力不足に対応して重労働を解消するために移動運搬をする自立走行ロボットを開発しようというものです。具体的な成果としては、作業者を追従し傾斜地や悪路に強い200キログラム積載可能な自立走行ロボットを開発しました。現在JAみっかびの生産者3者が圃場で実証実験を行っています。
工業分野につきましては、IoT導入支援のための技術拠点と先進事例モデルの構築に取り組んでおります。この狙いは製造現場の生産性を向上するIoT導入を促進しようというものです。そのためIoT導入初心者の企業を対象とした先進導入モデルを構築しようということです。具体的な成果ですが、1つは製造現場に導入可能なポータブルIoT導入パックを開発しました。これは現在特許申請を予定しております。また現在県内企業2社で実証試験を行っています。2番目として県内企業3社をモデル工場としてIoT実装の共同研究等を実施しています。さらにIoTの導入拠点――これは静岡県工業技術研究所でございますが――IoT推進ラボにおいて技術検証を行っています。
○加藤委員
今御説明ありました特にこの16課題の抽出が事業で非常に重要だと思うんですけれども、産業側のシーズをどのように発掘したり、探求されてこういう形になっているのか教えてください。
○山田産業イノベーション推進課長
研究テーマにつきましては、毎年度各試験研究機関から提案があります。ただ提案するときの考え方としましては、新成長は社会課題の解決に直結するものと貢献するものというテーマで選定しております。各試験研究機関が提案してきたものにつきましては、外部の有識者の評価も踏まえ試験研究調整会議で審査して決定しています。
○加藤委員
ありがとうございました。
引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。
続いて説明資料35ページです。
上段のEV・自動運転化等技術革新への対応についてお伺いしたいと思います。
まず、県は県内企業が次世代自動車の開発、製造に参入することを支援しているわけですけれども、その支援プラットフォームの中心となる次世代自動車センター浜松のこれまでの取組と成果についてお伺いします。
○櫻川産業革新局技監
次世代自動車センター浜松のこれまでの取組と成果についてお答えいたします。
次世代自動車センター浜松は、平成30年4月に設置されて以来、自動車メーカーのOBなど技術の目利きができるコーディネーターをそろえ、技術面での支援を中心に次世代自動車分野への参入や事業拡大を目指す企業に伴走した支援を行っております。具体的には固有技術の探索による中小企業ごとの自社の強みの把握や講座や実習による技術の研鑽、大手メーカーのニーズを踏まえた個別企業ごとのマッチングなどの実施により各企業が自社の技術をどのように活用して次世代自動車のどの部分に参入するのがベストなのかを企業とともに考えて実施しております。昨年度は固有技術探索活動基礎講座を5回、モーター及び電気自動車基礎講座など自動車工学関連の講座を10回行い、さらにはEV自動車分解活動、8社のマッチング商談なども実施いたしました。これらの取組の結果、会員数は340社に上り、今年2月に次世代自動車センター浜松が会員企業に対して行ったアンケート調査では、EV化に対する取組状況について関連部品の量産や開発を進めている企業の割合がこの1年でおよそ16.3ポイント上昇し、54.3%となっております。センターの活動により県内中小企業の次世代自動車への参入が着実に進んでおります。今年度は固有技術探索に取り組む企業へのフォロー、部品の試作実習活動を拡充しており、企業の伴走支援を一層強化しています。
○加藤委員
進捗について、そのうち特にこの希望企業の54%ぐらいがEV向けの部品開発の推進をしているとの御答弁でした。単純にEV化により部品定数が大きく減るという認識が素人的にはあるわけなんですけれども、逆にEVに対して新たな部品を開発すること自体が非常に領域が狭いので難しいんではないかと単純に思うわけです。先ほど取組状況を伺う中では非常に高いパーセンテージで実際に動き出しているとのことですけれども、具体的にどんな可能性のある部品があるのかお伺いしたいと思います。
○櫻川産業革新局技監
昨年度次世代自動車センターがマッチングにより製作した主な試作部品としましては、超抗力鋼――いわゆるハイテン材なんですが、それを用いた車両用の部品であるとか、電気自動車用のモーターシャフトや360度のドライブレコーダーとのマッチングにより試作を行っているとお伺いしております。
○加藤委員
難しくてあまりよく分からなかったんですけれども、総合的に見て今自動車部品メーカーが県内にいっぱいありますが、その中でエンジン部品の生産が少なくなってますね。それにリプレイスメントさせるためにこういう取組をやられて、新しい部品を開発していくとのことなんですが、俯瞰して見たときにそのリプレイスメントでやっている取組が変わって企業として1つの安定的な経済活動というか製造ができていく見通しがあるのかどうなのか、まだ早いかもしれないけれども認識をお伺いしたいと思います。
○櫻川産業革新局技監
今の御質問は、次世代自動車部品の可能性や見通しだと思うんですが、中小企業や中小自動車メーカーが次世代自動車部品の開発、製造に参入していくためには提案力の向上が極めて重要となります。例えばEVでは走行距離を伸ばすために軽量化が最も課題であり、部品メーカーにとっては部品の軽量化を提案できれば、新たな受注の獲得や新車開発参入のチャンスが出てくることになります。このため次世代自動車センター浜松では、まず中小の部品メーカーが保有する技術を棚卸しして自社の強みとなる固有技術を認識するところから始め、次のステップで中小の固有技術とアセンブリメーカーなど次世代自動車の開発で必要となる技術ニーズのマッチングを行っています。これらにより中小部品メーカーが次世代自動車の部品製作に取り組むチャンスを創出しておりまして、この取組がますます進んでいけば、中小企業の次世代自動車の開発、製造の参入が増えていくと見込んでいます。
○加藤委員
ありがとうございます。
そうした中で、次世代自動車センターが県内の中小部品製造企業とマッチングを図っていくとのことでありましたが、その大本の国内を中心とした大手自動車メーカーの技術ニーズとのマッチングが一番ポイントだと思うんですけれども、そこはどうなっているのかお伺いします。
○櫻川産業革新局技監
次世代自動車センターには大手自動車メーカーのOBのコーディネーターが6名所在しております。そうしたコーディネーターが自動車メーカーとのニーズを詳しく探り出していて、ニーズと中小企業のシーズをマッチングさせる極めてピンポイントでの部品開発を行っています。
○加藤委員
ありがとうございました。
引き続きよろしくお願いします。
続きまして、説明資料90ページの地域を支える商業の振興のうち地域における商店街についての認識と県の取組スタンスについてまずお伺いします。
○山下地域産業課長
地域における商店街についての認識と県の取組スタンスについて御答弁いたします。
少子高齢化や郊外大型店舗の進出等により、商店街の商機能が低下しており空き店舗が増加しております。数値的に見ますと県の把握している範囲で商店街数につきましては、平成28年度に358店、今年度は331店と減少しております。また空き店舗につきましても349件程度あると認識しております。一方で商店街につきましては単に買物としての場から地域コミュニティーの核としての機能が求められている状況にあります。そうした中で商業振興対策はもとよりまちづくりの観点からどのような特色あるまちを目指すか市町が主体となってやっていくことが非常に重要だと考えております。このため県といたしましては、商店街の支援につきましてはまず地域の特性を生かした上で市町が対応すべきものと考えており、一例として県は市町に対する助成事業で魅力ある商店街が行う魅力ある買物づくり環境について支援しています。
○加藤委員
そうした中で魅力ある個店登録制度をおやりになられているわけですけれども、これによる成果と効果についてお伺いします。
○山下地域産業課長
魅力ある個店登録制度について御説明いたします。
この制度自体につきましては、平成23年度からスタートしており、目的としては安心・安全な商品の提供やサービスに取り組む登録個店が一般消費者や商業者に対し情報発信やPRを行うことにより活性化を図ることを目的としております。
件数は、昨年度457件の登録がございますけれども、今年度につきましては539件と増えております。これまではどちらかというと、商工団体や市町を通じてお願いしていたんですけれども、今年度からはいわゆる金融機関の皆様に御協力頂く形で取り組んでおります。定型的な形で行っているものではありませんけれども、コロナの影響もございまして、今年度10月アンケート調査を行いました。登録の効果としましては、情報の発信強化や新規顧客の開拓や集客、新たな取組につながったとの御回答を頂いております。このほか県の事業をやっているということで、実はバイ・シズオカについてもやっていきましょうとPRもしておりますけれども、そういったところでのサポートもしておりまして、小売店に対し県の後押しを感じられるとの御回答を頂いております。
○加藤委員
商店街振興については、最初の答弁にありましたように、基本的に市町が主体となってやるべきであるというスタンスにのっとっていることは分かりました。私も沼津市で全県的にどこもそうだと思うんですけれども、駅を中心にした中心市街地の商店街が再生が利かないくらい疲弊しまくっているのが現状です。大手の郊外の大規模商業施設の立地によることが大きいとは思いますけれども、一方で産業政策的に商業は大事な中で商業戦略が弱いという認識でいます。おっしゃるとおり市町が主体性を持ってやるのは大事なんですけれども、何か抜本的に新たなスキームで取り組むことが全県的にできないのか問題意識が必要だと思っていまして、そういう意味では国の様々な政策、もしくはそういうネタを使って新たな切り口で全県的に展開できるようなことがないのか引き続き御検討頂ければと思います。
次に行きます。説明資料100ページの荒廃農地対策の推進と農地利用集積対策の推進について併せてお伺いしたいと思いますが、まず最初に荒廃農地、耕作放棄地の状況認識についてお伺いします。
○勝部農業局技監
荒廃農地、耕作放棄地の状況認識についてですけれども、市町と農業委員会が実施した荒廃農地の現地調査によりますと、令和元年11月末時点における荒廃農地面積は6,268ヘクタールあるとされております。この内訳としまして、再生可能な荒廃農地は3,831ヘクタール、再生不可能な荒廃農地は2,437ヘクタールとなっております。荒廃農地は再生と発生が拮抗する中で全体では微増傾向にあり、そのうち再生可能な荒廃農地は横ばいで推移し、再生不可能な荒廃農地が増えている傾向がその中でも見られるのが近年の状況です。県は静岡県経済産業ビジョン農業農村編の中で荒廃農地の再生について年間で300ヘクタールを目標に掲げて取り組んでおりますけれども、令和元年度は192ヘクタール再生と目標を下回っております。これは中山間地などの急傾斜地や登記簿不整形な土地、耕作条件のより厳しい荒廃農地の再生が鈍化していることが近年の傾向ではないかと思われます。農産物価格の低迷や土地持ち非農家の増加などにより、荒廃農地の発生が見込まれる中ではございますが、高収益作物の導入や担い手への集積集約により生産コストを低減して条件のよい農地として活用していく発生防止と併せて荒廃農地の再生を図っていくことが重要であると認識しております。
○加藤委員
ありがとうございます。
冒頭説明がありました再生可能か、再生不可能かという判断の基準は物理的なこととかいろいろあると思いますが教えてください。
○勝部農業局技監
再生可能な農地といいますのは、荒廃農地が発生してまだ数年とか、発生したてで草を刈ればすぐに農地に再生できるというものがありますけれども、残念ながら中山間地、特に山間地に昔開拓された農地につきましては、もう既に森林の様相を呈しているといった農地がございます。そういったものが再生不可能な農地と判断させていただいております。
○加藤委員
分かりました。そうしたことに対して重要であると思いますが、農地利用集積対策としての農地バンク事業の取組状況についてお伺いします。
○勝部農業局技監
農地バンク事業の取組状況についてお答えいたします。
令和元年度に農地バンク事業を活用した農地集積面積の実績は610ヘクタールありました。年間1,200ヘクタールを目標にしておりますので下回っています。県において農地バンクの貸付状況を作物別に見ますと、水稲が52%、茶が17%、野菜が13%、果樹が8%、その他作物が11%という状況であり、水稲に比べ茶や果樹において農地バンク事業の取組が遅れている状況です。これは県の基幹的な作物である茶や果樹が永年作物であること、それから平地ではなくて耕作条件の厳しい傾斜地に多く分布していることもありますことから、貸し借りが進みにくい原因となっていると分析しております。
この対応としまして国は、令和元年5月に農地中間管理事業の推進に係る法律を改正して地域の将来の農地利用の設計図である人・農地プランを地域の話合いに基づいた実行性の高いプランにすることで、農地集積を強力に推進する方針、つまり設計図をつくることを打ち出しております。県はこれを受け市町ごとに推進チームを設置し推進するとともに、農林事務所がこれを指導、助言する体制で人・農地プランの実質化も図っています。
この地域の話合いを通じて、農地バンク事業による農地利用集積を強力に進めることとしていますけれども、地域内で将来的に耕作を継続していける担い手が確保できない課題が徐々に見受けられるようになってきております。このため今年度からは人・農地プランの話合いで担い手が不在であることが分かった農地、それから他地域であっても広域的な規模拡大を希望する担い手をマッチングする必要があることから、人・農地調整員を設置し農地バンク事業による農地集積を推進しています。
○加藤委員
ありがとうございました。
この問題については国全体として非常に大きな課題を持っているわけなんです。御答弁の中にもありましたが再生可能な荒廃農地の再生実績や農地バンク事業の目標値に対して未達成であることなどの課題があったり難しい部分があると思うんですけれども、ぜひこれからクリアして、新たなスキームも含めて考えていただいて、着実に成果を生むようにお願いしたいと思います。
次に、説明資料160ページの水産業に関し、水産業振興総合推進費の中で静岡県の沿海地区漁業協同組合を4漁協に再編する構想の実現に向けての取組状況と今後の課題についてお伺いします。
○青木水産振興課長
沿海漁協の合併の状況と今後の課題についてお答えいたします。
平成18年当時は29漁協ございましたが、沿海地区漁協4漁協の再編構想に基づいて段階的な合併が進められ、平成25年1月までに18漁協へ集約が進んでおります。その間に誕生した合併漁協はいとう漁協、伊豆漁協、南駿河湾漁協になります。現在では沼津地区において合併に向けた取組が進んでおります。平成27年に合併勉強会が立ち上がり翌年合併研究会に移行し、平成29年に合併協議準備会が立ち上がりました。さらに平成31年3月に沼津地区4漁協が各組合の総会にて合併協議会の参加を決議しました。その結果を受けて平成31年4月16日に第1回沼津地区漁協合併協議会を開催し、これまで2回の協議会を開催するなど協議を進めてまいりました。しかし令和2年4月に戸田漁協が合併協議会から離脱したため、今後は3漁協、沼津我入道漁協、静浦漁協、内浦漁協で合併実現に向けた協議を進めていくこととなっております。本日の午後に第3回の合併協議会を開催する予定となっております。
課題ですけれども、合併の推進に当たっては大きく2つバックグラウンドがありまして、1つは組合員の減少。漁協を維持するためには最低20人の組合員が法律上必要になりますが、その維持。あと財務状況が悪い漁協があり水産庁でも全国の約7割の漁協が赤字になっていると言っております。ただ今合併を進めている沼津地区におきましては、どこの漁協も赤字を抱えていなくて財務状況が健全であることから比較的合併する上での問題は少ないと考えております。
○加藤委員
県内漁協はどこも資源の減少など課題が非常に大きいと認識しております。そういった中にあって、今御説明頂いた中にもありましたが、現時点において漁協の役割をどう捉えていらっしゃるのかと今後の漁協自体のありようをどう見ていらっしゃるのか、お答え頂きたいと思います。
○青木水産振興課長
漁協は、漁業活動の核となるもので非常に重要なものであると認識しております。特に経済的な面でいえば、例えば産地市場や製氷といった共同で使う施設を運営しておりまして、それが運営できなくなりますと各漁業者の活動もストップしてしまうことになりますので、漁業活動の中核的な存在であると認識しております。そのため漁協が今後存続していくように様々な支援をしていきたいと思っております。
○加藤委員
ぜひ水産業をこれ以上落ち込ませることがないように、しっかりと県が主体性を持って支援をしていただきたいとお願いして質問を終わります。
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