委員会会議録

質問文書

平成26年９月定例会文化観光委員会質疑・質問

	質疑・質問者：	山﨑　真之輔議員
	質疑・質問日：	10/09/2014
	会派名：	ふじのくに県議団

○山﨑委員
　おはようございます。
　それでは、分割質問方式にて大きく３点ほどお伺いさせていただきたいと思います。
　まず、富士山世界遺産センター（仮称）についてでございます。
　昨日も質問が出ましたが、今回、富士山の保全管理の拠点、それから情報提供の拠点として夢のあるふさわしい設計になっていると思いますし、また御提示いただいたイメージ図も非常にすばらしいものだと感じています。ただ一方で委員会説明資料に書いてありますように多額の事業費を要しています。工事予定事業費として40億円程度、うち建築費が24億円程度ということになっていますが、まずはこの規模に対する事業費としてほかの施設と比べて適正なのかどうか、御見解をいただきたいと思います。

○落合世界遺産センター整備課長
　富士山の価値を次世代に承継していくために、保全管理に携わる人材の育成を進めていくとともに、国内外から富士山への来訪者に対しまして、富士山の価値をわかりやすく展示や映像で伝えていくということを考えながら、必要な諸室等を決めたところでございます。
　建物の面積でございますけど、4,300平米程度が必要だということが検討の結果わかりました。積算の考え方としましては、ほかの公共施設の建築単価をいろいろ調べまして、当初予算を24億円としたところでございます。
　実際に積算した基本設計の金額におきましても、この金額はある程度適当な額だと言えますけども、今後、実施設計の中でも精査していきたいと考えております。以上です。

○山﨑委員
　ありがとうございました。
　もう１つは、ランニングコストの関係です。
　奇抜な建物ほど、それ以後にかかってくるさまざまな経費というものはかさんでくると思うんですが、御承知のように静岡県のみならず全国的に財政が逼迫している中で、そのように以後かかってくるコスト、これを抑えるような対応等は十分に検討されているのかどうかをお答えいただきたいと思います。

○落合世界遺産センター整備課長
　維持管理、ランニングコストということでございます。
　建築設計が全て終わった段階で平面図が最終的に確定しますので、その段階で設備などの関係につきましては業者などに提案をいただきながら、これからのメンテナンス関係を積算していきたいと思います。
　また、県立美術館も参考にしながら丁寧に積算していきたいと思っております。以上です。

○山﨑委員
　ぜひ、そのあたりを抜かりなくやっていただきたいと思っております。

　それからもう１つ。今後の工事入札時におきまして地元の業者がしっかりとかかわれる体制を組んでいただきたいと思っています。県議会でも先般、静岡県中小企業者の受注機会の増大による地域経済の活性化に関する条例を可決いたしましたし、なかなか奇抜な格好なものですから大きな業者しかできないということでは元も子もないと思っておりますので、そのようなところをぜひ対応をしていただきたいと思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。

○落合世界遺産センター整備課長
　入札につきましては、原則一般競争入札ということで考えております。それから3000万円以上の工事につきましては、原則総合評価落札方式で実施をしていく形で考えております。
　県内企業の参入ということでございますけれど、入札方式が一般競争入札ということですので、どの企業でも参入することは可能ですけれども、やはり県内企業には入札参加を一生懸命していただいて頑張っていただくということしか言えません。ただし県では「県工事の入札に参加する皆さんへ」という文書を入札時に入札参加者に対しまして配付しております。この文書の中に「静岡県が発注した工事においては、県内企業の受注機会を確保していきたいと考えておりますので、皆様が県工事を受注した場合、極力県内業者を下請に選定するようお願いします。」と記載しております。もし大手の会社が請け負った場合、下請の依頼をしているということでございますが、いずれにしましても、入札に関しましては交通基盤部とか経営管理部と相談して実施してまいりたいと考えております。以上です。

○山﨑委員
　ありがとうございます。
　もちろん富士山は全国民の共通財産でありますが、ただ表玄関として静岡県の業者に富士山世界遺産センター（仮称）にかかわっていただきたいというのが私たちの思いでもありますので、ぜひ積極的にそのあたりも検討していただきたいと思います。
　それから、いろいろ申し上げましたが、この富士山世界遺産センター（仮称）の建築に関しては、私たちも大賛成でございます。よりよいものをつくっていただきますように御要望を申し上げておきたいと思います。

　次に行きたいと思います。
　富士山に関する諸施策ということで、３点ほどお伺いをしたいと思います。
　まずは今夏の遭難者の状況についてです。
　今夏の遭難者の数と、それから傾向について教えてください。

　それから、２点目といたしましては、富士登山者動向調査ということでＧＰＳロガーを用いた調査とアンケート調査をこの夏実施していたと思いますが、その内容と、それから分析結果が出ているようでありましたら、それについても教えていただきたいと思います。

　３つ目は、危機管理戦略でございます。
　先般、富士山世界文化遺産学術委員会が行われました。専ら来訪者管理戦略が議論の中心だったと思うんですが、先日の御嶽山の噴火の影響によりまして、今特に注目が高まっているのが危機管理戦略だと思っております。したがいまして、このあたりの戦略をどのように進めていくのか。危機管理そのものは部署が違うかもしれませんが、文化・観光部としてお答えできる範囲でお答えを頂戴したいと思います。

○小坂富士山世界遺産課長
　富士山に関する３点の御質問にお答えさせていただきます。
　まず、遭難者対策としての遭難者の現状と課題等でございますけれども、今年度の富士山の夏山の遭難事故の発生状況ということで県警が公表した数字がございます。昨年の平成25年度は80件の発生がありましたが、ことしの夏は54件ということで26件ほど下回る結果になっております。これは資料でも配付いたしましたけれども、開山のおくれや天候の関係等がございまして、登山者数そのものが大きく減少したというところが原因だと考えております。
　また、その傾向でございますけれども例年と余り変わっておりません。やはり高山病でありますとか低体温症の発病の方が多いところです。次いで転倒ということなっておりまして、これらの原因としましては、やはり弾丸登山や軽装で登山をしたこと、また睡眠不足からくる疲労等が考えられるところでございます。
　これまでもホームページや旅行業者に対するガイダンスなどいろいろなところで軽装備や弾丸登山等の自粛を呼びかけてまいりました。今後も引き続き山梨県と連携をいたしまして周知啓発に努めるとともに、現地でもそれぞれ登山道の５合目でナビゲーターが服装等のチェックをしておりますが、今後もそういうことをやっていきたいと思っております。

　次に、登山者動向調査の関係でございますけれども、ＧＰＳロガーという調査をさせていただきました。
　これは８月に３回にわたって行いまして、合計で798人の方に御協力をいただいたところでございます。
　このＧＰＳロガーというのは、時間と距離の関係が記録できるようになっておりまして、調査の中では各登山道を100メートルごとに区間を切りまして、登山者の歩行速度でありますとか密度などの計算をしております。これにより週末の山頂での混雑状況、週末等の御来光時の混雑状況、歩行速度がだんだん遅くなって混雑していき、密度が増加するということは、これまではアンケートや聞き取りでそういう状況が見られると聞いておりましたけれども、客観的なデータで把握することができるようになったところでございます。
　また、ロガー調査に合わせましてアンケートを実施させてもらっておりまして、例えば約４割の方が山小屋に宿泊されているとか、混雑に不満を感じている登山者の方が17％ぐらいいらっしゃること。また混雑に危険を感じているという方も９％ほどいらっしゃったということ。あと御来光が見られたことに対し80％の方が満足されたというようなことを個別の設問として今まとめているところでございます。これらロガーの定量的データとアンケート等の定性的データを組み合わせて分析をさせていただいておりまして、混雑状況でありますとか、登山者の満足度等の評価の相関関係が分析できれば、今後の登山者の平準化等の対策にも生かしていけるんじゃないかと思っているところでございます。

　３点目の危機管理対策ということで、御嶽山の噴火がございました。静岡・山梨両県で噴火や火災等の災害から来訪者の方や住民の生命、世界遺産の構成資産を保護することを目的として危機管理戦略を立てるという準備をしておりました。しかし今回、御嶽山の噴火を受けまして、そこの部分もまた記述を厚くしていかなければいけないと思っているところでございます。
　御嶽山は富士山同様、信仰登山が盛んな山でございまして、また登山者の方もたくさんいらっしゃると。単独の活火山であるというところが非常に似ているところでございます。また今回の水蒸気爆発と言われている爆発は予知が非常に難しく、突然発生すると。
　今まで富士山の噴火は、マグマの活動である程度予知できるんではないかということで準備をしておりましたけれども、今回のような突発の事態も起こり得るということが言われておりますので、今回の災害を十分検証して得られた課題、教訓を整理いたしまして、噴火対策、安全対策に生かしていくということで危機管理部とも連携を図りながら、また山梨県とも足並みをそろえて対応していきたいと思っております。以上です。

○山﨑委員
　御答弁ありがとうございました。
　最後の危機管理戦略のところですが、もし今回の御嶽山の噴火が夏前に起こっていたとしたら、今夏の富士山登山者数は激減していたと思うんです。世界遺産センターに保全状況報告書を提出するのは2016年２月ですが、そういったことを踏まえると来年の夏までにその辺の危機管理戦略をしっかりと打ち立てていかないと、多分来年ぐっと下がってくると思うし、そうなれば観光業者等への影響も多大なものになってこようかと思いますので、基本条例も来年の夏までにということになっていましたから、ぜひスピードアップをしていただいて、万全の体制を構築してくださいますようお願いいたします。

　１点だけ遭難者対策のところで、よく新聞等に出ていましたが、須走ルート下山道８合目の分岐位置の変更という対策がありましたが、あれの効果等はどうだったのでしょうか。教えてください。

○小坂富士山世界遺産課長
　須走ルートの富士吉田口と須走口への８合目分岐点の見直しということです。
　これまではルートの地形上、どうしても須走口に行きがちだという分岐点を若干富士吉田口のほうに変えることによって、基本的には富士吉田口のほうに真っすぐ進む下山道になりました。須走口へは右折するように分岐点を50メートルほど移動したわけですけれども、結果といたしましては――須走口５合目のナビゲーターさんの把握でございますけれども――前年までは1,000人程度富士吉田口におりようと思った方が誤って須走口におりてくるということがございました。
　今夏は若干減ったんですけれども、間違えておりられた方がまだ800人ほどいらっしゃるということで一定の効果はあると確信しているんですけれども、思ったほど数は落ちていないというところです。
　その辺の聞き取りをいたしますと、どうしても下山者の方は分岐の表示よりも自分の前にいる下山者にくっついた形でおりてしまうことがあるということでした。グループで行動されていればいいんですけれども、はぐれたりした場合に全然別の下山者にくっついていった場合にたまたまその下山者が須走口のほうに右に曲がると、本来は真っすぐ行かなければいけないのにくっついたままおりてしまうことが見受けられるということです。それからそもそも事前の情報として、８合目のところにそういうルートの分岐があるということを知らなかったという外国人の方が多いということも聞いております。その辺もまた山梨県とも連絡調整をとりまして、事前に８合目の分岐点では十分注意をしていただきたいということをもっと周知徹底していただいて、そういう道迷いが減るように対応していきたいと思っております。

○山﨑委員
　ありがとうございました。
　おっしゃることはよくわかりまして、私たちの会派でもことし７人で現状調査も含めて富士登山をしてきたんです。やっぱり体力差もありまして、おくれていく方はどうしても下ばっかり見て前の人の背中を追いかける形になっているものですから、本当に注目を集めるような標識等をやらないとそういう形になってしまうんだろうなというのを、新たに実感をいたしました。原因はわかっているものですから、ぜひ抜本的な対策や周知徹底等も含めて、遭難者が出ないようにやっていただきたいと思います。

　最後の質問に移りたいと思います。
　観光客の関係ですが、平成25年度の観光交流客数が過去最高ということで非常に好ましい数字が出ております。ただこれを来年以降にも同様に生かしていくためには、本県にお越しいただいた皆様がどういった評価をしていて、どういったことを要望されているかということをしっかりと把握することが大事になってくると思うんですが、県としてはそのようなお客様の声をどのような形で把握されていらっしゃるのか、そこについて御見解をお伺いしたいと思います。

○神山観光振興課長
　県では、３年に一遍ですけれども流動実態調査ということで、県内各所においてお客様の声を対面で聞き取る調査をやっております。
　それから、観光協会の案内所の方と意見交換をしておりますので、こういうお客様と直接対面する方からも情報収集をしております。それからもう１つは旅行会社の方がやはりお客様の声をちゃんと把握しておりますので、商談会あるいはファムトリップ――県内視察等の際に御意見を伺うことでお客様の声を拾うということにしております。

○山﨑委員
　ありがとうございます。
　実際に対面で調査したり、アンケートをしたりということは本当の生の声になるとは思うんですけれども、やっぱり人工もかかりますし、なかなか限界もあるという中で、今いろいろと注目されているのが、例えばビッグデータであるとかソーシャルメディアを使ったデータの解析ということになろうかと思います。
　情報政策サイドとの連携が必要になってくると思うんですが、例えば浜松市では先般、総合計画をつくったのですが、その際にソーシャルメディア等を使って、ツイッターでつぶやいたこととかフェイスブックでつぶやいたことを拾って、解析をして傾向を打ち出した上でそれを戦略計画にのせるということをやられました。
　アンケートとか直接電話で聞いたり対面で聞いたりするというのも大事です。ただ１から10ある中で意見を言ってくれる人というのは１とか２の人とか、あるいは９から10といったようなクレームだとか、そういった両極端の声が大きいと思うんです。それに対してソーシャルメディア等を使うと３から７ぐらいの意見が適度にばらばらと出てくるということで、より実態に近い形の声が聴取できてくると思うんです。そういったところは昔と違って解析は簡単になってきていますので、ぜひやっていただきたいです。そういった方向性で検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○神山観光振興課長
　観光庁でもスマートフォンを活用して、どういうルートを通るのかということを実証で研究しております。今度富士山周辺でやるということも聞いております。そういうデータをいただくことも考えておりますし、ソーシャルメディア等も活用して、どんな形で意見聴取ができるのか研究していきたいと思っております。

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