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委員会会議録

委員会補足文書

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平成22年10月就航地交流推進特別委員会
参考人の意見陳述 日本政府観光局海外プロモーション部 次長 長谷川保宏氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/25/2010 会派名:


○長谷川保宏氏
 ただいま御紹介にあずかりました日本政府観光局の長谷川でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 きょうは、できるだけ質問の時間を多くとるようにということでございまして、通常、私はきょうのスライドですと1時間から1時間半の時間でございますが、できるだけ短めにちょっと早口になるかもしれませんけども、その点は御容赦いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、早速でございますが、きょうのテーマは東アジアからの外客誘致策についてというテーマでお話させていただきたいと思います。
 目次としましては、まず最初に訪日外客旅行の動向についてお話させていただきます。
 そして、次に、日本政府観光局、私どもJNTOとそれからヴィジットジャパン事業について御説明したいと思います。
 そして、最近、非常に注目を浴びております中国マーケットについてお話ししたあと、最後に静岡県様としての課題を、私のほうから少し提言させていただきたいと思います。
 ではまず、訪日外客旅行の動向でございますけれども、昨年までの推移、少しここで振り返りたいと思います。お手元3ページでございますけれども、左の表、2007年、2008年、2009年というデータがございます。昨年2009年は、海外からのお客様が約679万人でございました。これは、前年2008年に比べますと、マイナス18.7%ということで、2割近く落ち込みました。その前の年2008年が835万人ということで過去最高の訪日外客の数でございました。2009年ごらんいただきますと、政府が指定しております重点12市場、12国・地域を重点市場として位置づけておりますけれども、ほとんどの市場が前年割れを起こしている中で、唯一中国だけがわずかではございますが、0.6%伸びました。そうは言いましても、中国からのお客様が100万人ぐらいでございまして、下にございます日本からそれぞれの国・地域に行ったお客様を見てみますと、日本から中国には332万人、韓国が305万人、アメリカが292万人と、日本から行った数に比べますと、まだまだ小さい数字でございますので、何とか日本と均衡ぐらいの数まで伸ばしたいというのが政府としての希望でございます。
 次、日本への訪日外客が679万人でございますが、次のページをごらんいただきますと、世界の中でどういう位置づけなのかということが示されております。日本は、訪日外客数でいきますと世界で33番目に位置づけられております。一番多いフランスが7,420万人、そして2番目がアメリカで5,488万人、3番目がスペインで5,223万人と、多いところはけた違いで訪日外客を誘致しております。日本が33番目でございますが、アジアの中でも8番目でございます。ちょっと黒っぽい線で示してございますが、中国、そしてマレーシア、香港、タイ、マカオ、韓国、シンガポールと、その次に日本が位置づけられておりますので、非常にアジアの中でも低い地位に甘んじております。
 昨年は、そういう傾向でございましたけれども、次のページをごらんいただきますと5ページでございます。8月のデータでございます。8月ことしになってかなり盛り返しておりまして、8月単月ごらんいただきますと、一番上の数字でございますが、8月は80万3,300人、前年比で18.2%の伸びでございました。そして、1月から8月までの累計をごらんいただきますと、右の表でございますが、588万4,000人ということで、前年比33.5%ということで非常にいい感じで推移しております。
 そして、単月で中国をごらんいただきますと17万1,800人、これは過去最高の人数でございました。中国として単月として、過去最高の数値でございました。そして、1月から8月の累計をごらんいただきますと、中国で104万900名でございますけれども、昨年が101万人でございましたので、既に8月の累計で中国は昨年実績を超えたということでございます。
 次の表6ページでございます。6ページは、1月から8月までの累計で、主要5市場の過去の推移をあらわしたグラフでございますけれども、韓国、1番上の韓国が一昨年から昨年がすごく落ち込みましたけども、また文字どおりV字回復を果たしております。しかしながら、まだ2008年の水準には至っていないというところでございます。それから、台湾もV字回復をしております。中国は伸びる一方ということで、アメリカと香港がちょっと横ばいで推移しております。
 次に、7ページをごらんいただけますでしょうか。これは、国自体が観光立国として提唱している目標でございます。将来的には、訪日外客を3,000万人までもっていきたいというロードマップでございます。ことし2010年が1,000万人を目標としております。そして、3年ごとにですね、500万人ずつふやしていこうという目標でございまして、2013年に1,500万人、2016年に2,000万人、そして2019年に2,500万人、そして将来的には3,000万人までもっていきたいという目標でございます。3,000万人といいますのは、現在イギリスが昨年3,019万人で、イギリスのレベルまでもっていきたいと、そうすれば世界で10番の指に入るんじゃないかということでございます。
 それぞれ、市場ごとに特性がございまして、次の8ページをごらんいただけますでしょうか。
 市場ごとに観光目的で来る方、それからビジネス目的、あるいは公務、それから親族訪問、そういった区分けしたデータでございますけれども、これで特徴的なのはですね、台湾あるいは香港、台湾・香港をごらんいただきますと、7割8割の方が観光でいらっしゃっております。しかしながら、中国をごらんいただきますと、観光目的で来られる方はまだ42%ということで、それ以外はビジネス、あるいは親族訪問、留学、公務、そういった方々がまだ半分以上を占めております。ということで、市場ごとに訪日目的というのが非常にばらついております。
 次のページ9ページをごらんいただきますと、リピーター率でございます。これも市場ごとに非常にばらつきがございまして、中国をごらんいただきますと観光で来る方の75%が、初めて日本を訪れる方々でございます。一方、台湾・香港をごらんいただきますと、7割8割の方がもう2回目以上ということで、同じ中華圏でもこれだけばらつきがございます。
 次の10ページは、リピーター率と観光目的で来る比率をプロットした図でございますけれども、右上の、香港・台湾が圧倒的に観光目的でリピーターとして来る方々が多いように位置づけられております。片や、中国は左下にございますけれども、まだまだリピーター率、あるいは観光目的で来る方の割合が非常に少ないものですから、目指すは香港・台湾までもっていきたいなということが言えると思います。
 次に、訪日目的でございますが、11ページでございます。既にお聞き及びかと思いますけれども、昨年ですね、訪日外客の方の訪日動機、日本の食事が1番に踊り出ました。過去3年、ショッピングを目的というのが1番でございましたけども、昨年、初めて日本の食事が1番に踊り出ました。調査の仕方が少し違ってはおりますけれども、昨年は幾つでも選択可、そしておととしは3つまで選択ということで、若干調査方法は違いますけれども、日本の食事が初めて1番に踊り出たということで、非常に話題になりました。
 そして、次の12ページをごらんいただきますと、ほとんどの国・地域、ほとんどの市場におきましてですね、訪日動機が日本の食事が1番になってございますけれども、唯一中国だけが特徴的でございまして、中国2009年のところをごらんいただきます。ちょうど真ん中下ですね。温泉が1番になっております。そしてショッピングが2番、食事が3番ということで、温泉1番というのがほかの市場と比べまして特徴的でございます。ほかはすべて日本の食事が1番になっております。
 次の、13ページ、14ページにおきましては、訪日外客の方々にアンケート調査をした結果、何が不便だと感じたか、何が不満であったかという調査でございます。その結果を見てみますと、言葉の不便さを上げている方が非常に多かったというデータがございました。特に、標識、観光案内所、そういった言語の不便さを感じたというアンケートが非常に多かったです。それから、下にクレジットカードがうまく使えなかった。それから、キャッシングの仕方がわからなかった、そういった不満もアンケートとして挙げられておりました。
 そして、次の14ページも、やはり言語に言及したケースが多かったですけども、交通におきましては、言葉がわからなくて非常に乗りかえとか乗り物、交通を利用するときに不便を感じたというような声が上がっておりました。そういった傾向でございました。
 次に、私ども日本政府観光局とビジットジャパン事業ということで、どういったことをやっているかということについて少し触れておきたいと思います。
 16ページをごらんいただけますでしょうか。現在、私ども日本政府観光局は、海外に13カ所、事務所を持っております。地図上に書いてございますところでございます。そして、台湾におきましては、中国との国交の問題がございますので、日本観光協会に事業を委託をしております。したがいまして、台湾においても、ほかの事務所と同様の機能を一応持っております。そして、昨年、中国の広州におきまして事務所ではございませんけれども、プロモーション拠点ということで連絡事務所を、連絡箇所を設置いたしました。
 次の、17ページをごらんいただけますでしょうか。私ども日本政府観光局としての機能一覧でございます。1番目が市場分析マーケティングということで、いろんな各種の調査、あるいは観光白書を出版したり、調査資料を発行したりですね、そういった機能がございます。
 そして2番目に、訪日ツアーの造成・販売支援ということで、日本の売りたい地域をですね、プロモーションをかけて販売につなげていくということをやっております。そして、その2番目の、下にちょっと字が細かいんですけれども、オンライン研修による訪日旅行専門家育成事業ということで書いてございますが、eラーニングという通信教育ですね、インターネットを使った通信教育により世界各所で専門家の育成をしております。ちなみに、ことし中国におきましては、3,000人の旅行会社のスタッフに対してeラーニングで教育をしておりまして、そのうちの優秀な方1割、300人を日本に招請して実際自分たちが売っている場所の視察をしております。
 それから3番目に訪日観光宣伝、海外での宣伝プロモーションでございます。この中で特徴的なのは、海外メディアの記者を日本に招待をいたしまして、そして日本として売りたいところを取材してもらって、そして本国に帰ってからその記事を書いてもらって露出してもらうと、そういった事業を行っております。
 それから4番目でございますが、ウェブサイトを設けて世界じゅうに発信をしております。現在11言語で日本の案内をインターネットで発信をしております。そして、アクセス数が昨年は1億ページビューを超えました。今、世界じゅうから、200カ国以上からアクセスが来ております。
 それから、5番目に外客向け観光案内所の運営ということで、観光情報センターを直営で東京に1カ所構えております。昨年は約3万7000人の外国人の方が訪れました。日にして1日約100人の外国人の方が、いろんな情報を求めてこの観光案内所を訪れました。そして、この東京の観光案内所は、全国にございますV案内所、各自治体さん、企業さんが運営されております案内所の統括指導をしておりまして、全国300カ所のV案内所のいろんな相談に乗ったりアドバイスをしたりしております。
 そして6番目に、国際会議の誘致、MICE、MICEはミーティング・インセンティブ・コンファレンス・イベント、そういった大会、インセンティブ旅行、そういったものの誘致で、私どもコンベンション誘致部というところが管轄しておりますけども、そういった国際会議等の誘致を手がけておる部署もございます。以上、これが主だった私ども日本政府観光局としての機能でございます。
 そして、ウェブサイトについてちょっと特徴だけお話しておきますと、ページ数が間違っておりまして失礼しました。36というページが出ておりますが、ちょっとこれ間違いでございます。言語別に見てみますとですね、繁体字、左から3番目の繁体字、これの伸びが非常に多くなっております。それから、隣の簡体字も、まだまだ実数は少ないんですけども、伸びとしては非常に高い伸びを示しております。この繁体字の伸びは、繁体字を使用しております香港、それから台湾においてのアクセスでございますけれども、先ほど申しましたように香港マーケット、台湾マーケットと言いますのは、もう日本に2回以上、しかも観光目的で来る方が多いものですから、このウェブを通じて情報を得ようとする傾向が非常に高くなっております。したがいまして、この繁体字のアクセス数が非常に多くなっております。
 次の、19ページでございますけれども、1つの事例として御紹介しておきたいと思います。御承知のように、ことし北海道が中国マーケットにおいてブレイクをいたしました。この原因といいますのは、一昨年、中国で封切られました「フェイチェンウーラオ」という映画でございます。日本語のタイトルは「ねらった恋の落とし方」と、ちょっと意味深なタイトルではございますけども、これが、一昨年の12月に中国で封切られまして、ロケが北海道の道東を舞台にしたロケ地でございます。この映画が、中国で1億人以上が見たと言われておりますが、この映画のヒットのおかげで映画の舞台を見てみたいという中国人が北海道の道東に押し寄せました。この映画のプロモーションをするに当たってやった事業でございます。細かくは御説明しませんけれども、いろいろあの手この手でこの映画のプロモーションをいたしまして、またその映画を舞台に何とか中国の方を持ってこようというようなプロモーションをしまして、北海道が中国人マーケットにおいてはかなり知名度が上がったということでございます。
 そして、次の20ページをごらんいただきますと、これは北陸地域が台湾に向けて誘客推進事業をした成功例でございます。やはりいろんなタイミングでプロモーションをかけまして、現在は万単位で訪れるようになっております。とりわけ、立山黒部アルペンルートですね。それから、乗鞍の雪の壁ですね。そういった富山あるいは小松空港に入って、立山黒部アルペンルートを行くというようなルートが台湾人マーケットに非常に人気を博した例でございます。
 次以降は、具体的なプロモーション、こういったプロモーションの仕方をしていますという事例でございます。21ページでございますけども、まずこれは新聞・雑誌を使った広告事例でございます。世界各国で新聞・雑誌を使った広告というのは一番の基本でございますけども、これもマーケットの成熟度に応じていろいろ使い分けが必要でございます。左上の中国をごらんいただきますと、中国は先ほども申し上げましたようにほとんどの方が初めてで、しかも観光目的で来る人も余り多くないですから、まず日本の定番の広告を出すのがまだまだ主流でございます。その右の香港につきましては、もう成熟市場でございますので、あるジャンルにフォーカスした広告で、これは例えばショッピングの広告を出したりしております。それから、左下の欧米マーケットにつきましては、日本の伝統文化に対する興味が非常に高いがゆえにですね、日本の文化伝統をモチーフにした広告を出す例が非常に多くなっております。そして、右はシンガポール・マレーシア市場に対して昨年行った事例でございますけども、さくら、花見を全面に打ち出して広告展開をいたしました。
 次、22ページは動画それ以外の広告の事例でございます。中国におきましても、テレビ番組、あるいはコマーシャル、動画を使った宣伝をしたり、あるいは交通広告と言いまして、地下鉄、バスの乗り物、あるいは壁に広告を打ち出す、そういった展開もしております。あるいは、ビルの壁の液晶モニターを使った宣伝、あるいはビルの中のエレベーターの踊り場にあります液晶画面を使った広告宣伝、そういったこともやっております。こういった動画を使った宣伝事例でございます。
 それから、次のページは、世界各国で旅行見本市、旅行フェアがなされておりますが、そういったところに出展をいたしまして、そしてまた現地において商談会を実施すると、そういったプロモーション事業も行っております。
 次の、24ページは、今度はマーケット・セグメントごとの商談会でございまして、これは日本に招請をして商談会を行うという事例でございます。1つが教育旅行に特化した商談会、そしてもう1つは昨年からスノーレジャーというような名称でスキーはちょっと専門的過ぎますので、あくまで雪と戯れる、スノーレジャーという名称で商談会の実施をいたしました。つい先々週も、去年は韓国・台湾・香港、3つの市場において行いましたけども、ことしはさらにシンガポールと中国マーケットを加えまして5市場において先々週、スノーレジャー商談会の実施をしたばかりでございます。
 次は、中国マーケットについて少し触れておきたいと思います。26ページをごらんいただけますでしょうか。左の表は2009年に中国人が海外、出京ですね。出かけたという人数が4,766万人という数値が出ております。しかしながら、これは、出京ということで、香港・マカオも含まれておりますので、香港・マカオが約7割を占めております。それ以外の3割、下にございますが1,386万人、この数字が実際の海外旅行者の数でございます。そのうちの100万人が、昨年、日本に来たということでございます。中国のこのマーケットの伸びをごらんいただける右の表でございますけれども、中国人の海外旅行者数、2000年をベースに比較してみますと、中国人は何と3倍以上に膨れ上がっております。それ以外に、日本・韓国・台湾・香港、日本はもう既に2000年に比べましたら数が少なくなっておりますし、韓国・台湾・香港も1倍から2倍ということで、横ばいであるにもかかわらず、中国においては3倍に膨れ上がっているということでございます。
 次の27ページをごらんいただきますと、数は全体には伸びて、訪日客の数は伸びておりますけれども、商用、ビジネス、それから観光以外も割と横ばいでございますが、この下の棒が観光客の数字でございます。中国人に対する訪日が解禁されましたのが2000年の9月でございます。2001年の通年のデータを見てみますと、観光客が2001年は7万2000人でございました。昨年は48万人でございましたので、7倍近い伸びでございます。観光客の数はまだまだここから伸びていくんじゃないかということで期待されております。
 次の、28ページをごらんいただきますと、年齢別・男女別のセグメントでございまして、ちょっと図がわかりづらいかもしれませんが、左2本の棒が中国人の男性・女性、そして真ん中の2本の棒が香港人の男性・女性、そして右の2本が台湾の男性・女性でございます。これをごらんいただきますと、中国人に関しましては、20代30代の数が飛び抜けて多くなっております。片や、台湾人マーケットにおきましては全世代大体押しなべております。ここら辺から今後強化すべきは、中国人の20代30代をさらに伸ばしてかつほかの世代にもまだビジネスチャンスがあるんじゃないかなというふうに見ております。一方、台湾人マーケットにおきましては、全世代においてまだまだ伸ばすチャンスがあるんじゃないかというふうに見ております。
 次の、29ページをごらんいただけますでしょうか。東南アジアの4大マーケットと、それから各日本の地域別の訪問者の率でございます。これをごらんいただきますと、中国人マーケットが飛び抜けて関東・中部・関西が高くなってございますが、これはいわゆるゴールデンルートという中国人に特化した人気の行程がございまして、まず大阪に関空に入りまして、そこから京都まで新幹線体験をして、そして京都を見学したあと、バスで一路東海道から東京に抜けるというゴールデンルートというのが中国人の定番ルートでございます。そういった関係もございまして、ほかの市場に比べまして中国人は関東・中部・関西、この3地域に特化しているということでございます。そして、私どもJNTOの調査では、静岡県様が昨年、海外旅行者数の訪日外客の訪問した都道府県として10番目に位置づけられてございます。
 次は、中国人、中華圏の人々のですね、買い物動向でございます。ちょっとデータ自体は2007年のデータで古いですけれども、観光客一人当たりのお土産に費やす費用でございます。これをごらんいただきますと、中国人の観光客のところをごらんいただきますと11万7,000円。中国人の観光客が一人当たり11万7,000円を使ったという調査結果でございます。最近、ことしに入って4月から6月にかけて観光庁が同様の調査をいたしました。3カ月と期間は短いんですけども、その結果を見ても、やはり中国人が12万円前後の消費額という、消費したというデータがございましたので、やはり中国人の買い物意欲というのは非常に高いものがございます。この買い物に付随してどうしても一緒に語らないといけないのが、次の31ページに書いてございます銀聯カードでございます。中国人は、この銀聯カードで買い物をする率が非常に高くなっております。この銀聯カードは2007年に導入されましたけれども、当初は40億円の取り扱いだったものが、昨年は何と6倍の240億円まで伸び、そしてことしは何と500億円、10倍以上に膨れ上がるというふうに言われております。中国人が海外旅行をするに当たって持ち出せる現金が2万元、日本円で約26万円が限度でございますので、どうしてもそれ以上買い物をするには、クレジットカードあるいはこの銀聯カードで買い物をしないと希望が達せられないということになります。そういうことで、この銀聯カードの割合が非常に高くなっております。
 それから、あと今話題になっております個人観光ビザでございます。次のページでございますけども、個人観光ビザは昨年7月に個人観光ビザが初めて解禁されまして、1年経過してことしの7月1日に要件がさらに緩和されました。昨年7月からことしの6月までは、経済的にかなり高い方を対象としておりましたけども、ことしの7月1日の緩和におきましてそのハードルがかなり下げられまして、なおかつ申請できる在外公館もそれまでの3公館から全公館の7公館まで広げられました。そして、個人観光ビザの取り扱いできる旅行会社が、それまで48社だったものが290社まで広げられました。そういうことで非常に個人観光ビザも申請がしやすくなりました。しかしながら、実態はと言いますと、下に数字が書いてございますけれども、昨年の7月からことしの6月までの累計が、約2万4000件でございました。そして、個人観光ビザ要件緩和後の7月8月、ことしの7月8月見てみますと、1カ月当たり平均約8000件でございます。先ほどごらんいただきましたように、中国人約15万人前後が毎月、ことしは来ておりますので、その15万人からしますと、まだまだ個人観光ビザの割合は低いということが言えます。よくマスコミなんか見ておりますと、個人観光ビザの緩和で中国人が随分ふえたような報道がなされておりますけども、実態はこういったことでございますので、マスコミに踊らされて先行投資しちゃいますと、あとでちょっと痛い目にあう、そういった感じもいたします。
 そして、最後に静岡県としての課題について少し触れておきたいと思います。
 34ページをごらんいただけますでしょうか。今回、この講演に当たりましてデータを拾ってみました。静岡県と周辺の山梨県、神奈川県、愛知県、長野県、岐阜県のデータも拾って比較してみました。まず、左の表でございますけども、静岡県につきましては、ほかの県と比べまして中国人マーケットはゴールデンルートの中に入っているということもございまして、割と来ておりますけれども、香港人マーケット、それから台湾人マーケットが一番低くなっているのが気になります。この香港人マーケット・台湾人マーケットはまだまだ伸ばす余地があると思いますし、私どもよく言っていますのが台湾人・香港人マーケットを伸ばして、その延長線上に中国人マーケットがあるという言い方をしております。と言いますのは、中国人マーケット、まだまだゴールデンルートの人気度が非常に高い関係で、それを外すことはかなり難しいと言えます。その先鞭をつけるのが台湾人マーケット・香港人マーケットと言えます。そして、中国においてはまだまだ日本のガイドブックが少なくて、せいぜい東京・大阪ぐらいしかございません。結局、今後、中国人マーケットがガイドブックを取り寄せるとなると、どうしても香港、あるいは台湾を模範にすると言いますか、あるいはコピーを持ってきたり、そういったことをやると思いますので、そういったことを考えますと、やはり台湾マーケット・香港マーケットにおいて、まず静岡県というのを売り出し、そしてそれが将来的に中国に広がっていくというような流れが理想的じゃないかなと思っております。
 それから、後で述べますけども、ゴールデンルートでのつかみをどうやっていくのか、それも1つ課題になると思います。これは、後で触れたいと思います。
 次の、35ページをごらんいただきますと、東南アジア4大市場におけます観光客と、それからそれ以外の比率、そして赤い点線で囲ってあるのが個人観光客の推計規模でございます。2009年一番右の表をごらんいただきますと、韓国・台湾、それから香港に関しましては、観光客の比率が非常に高くなっております。しかしながら、中国はまだまだ42%が観光客の比率でございますので、観光客だけとらえた場合にはですね、残念ながら台湾の半分近く、そして香港とほぼ同じ規模でございます。しかも、この中で個人観光客を見てみますと、中国は本当にまだまだほんの一部でございまして、香港・台湾に比べましてまだまだおぼつかないのが実情でございます。こういったところを見ましても、まずはやはり台湾・香港のリピーター観光客をどうやってつかまえるのか、そしてその香港・台湾でのリピーターの成功事例をもとに中国人マーケットをいかに拾っていくか、こういった戦略が必要ではないかなと思います。
 次の、36ページをごらんいただけますでしょうか。これは、昨年訪日外客が落ち込んだのを取り返すために、昨年の冬に特別なキャンペーンを張りました。そのキャンペーンの一部としまして、在日外国人に対してアプローチしようという取り組みが初めてなされました。1番下に書いてございますが、今日本には在日外国人が220万人住んでおります。その中で一番多いのが中国人で68万人、韓国人が58万人、そして3番目にブラジル人が27万人と。今回、データで調べてみましたら、静岡県は、住んでいるブラジル人の数としては愛知県に次いで2番目に多いというような情報を得ました。したがいまして、在日外国人をターゲットにして何らかのプロモーションをすれば、本国から親戚・家族・友人、そういった方々を呼び寄せるチャンスにもなりますし、あるいは在日外国人に自分のところの県内を観光してもらうと、そういった取り組みもできるのではないかなというふうに思いましたので、あえてこのページをつけさせていただきました。
 次に37ページでございますが、教育旅行でございます。教育旅行というのは、余り他県と競合しなくても、その目的とする県に呼び寄せる非常にやりやすい方法でございます。これは中国からの訪日旅行のデータでございますけれども、左の表で2010年1月から7月までの累計で1万7,485名ということで、しかも上の数字を見ますと7月単月で1万1,736名の青少年が日本に来ております。この7月単月で、既に2008年の年間の数字を超えました。まだまだこの数字は伸びると思いますけれども、今中国におきましても、教育旅行が非常に盛んになっております。中国における教育旅行の利点といいますのは、ビザが必要ないんですね。教育旅行ということで申請をすればビザ免除になります。そういった特典もございます。そして、交流する学校さえ提案できれば、割と呼び寄せやすいマーケットでございますので、教育旅行に関しても1つ取り組みが必要じゃないかなというふうに思っております。
 そして、最後38ページでございますが、今まで申し上げた中で、私としての幾つかの提言でございます。
 まず1つ目は、ゴールデンルート、せっかくゴールデンルートの中に入ってございますので、いかに静岡県で滞在してもらうか。こういった戦略を考える必要があると思います。お話を聞いていますと、今、浜松ではなくて豊橋にほとんどの中国人が泊まっているということでございますので、それを何とか静岡県に持ってくる。それを何とか持ってきたいなというふうに思います。
 それから、後、どうしても富士山周辺ですと、宿泊が山梨に行くケースが多いように聞いておりますので、それを静岡県側に誘致することも何とかしていきたいなというふうに思います。
 それから、伊豆半島を起点としたルート開発、ツアー造成ということで、先ほど中国人というのは温泉が1番訪日目的で高いということでございました。伊豆半島の温泉を起爆剤にして、何とか首都圏、富士山静岡空港に入って伊豆半島の温泉を起点として関東をめぐると、そういったルート開発ができないかなというふうに思っております。
 それから、富士山静岡空港の過去のデータを見てみましたけども、結構、中国の内陸部からチャーター便の実績がございます。これをさらに継続をして、どんどん広げていってもらいたいなというふうに思います。と言いますのは、今沿海部、あるいは北京・上海の都心部からの日本行の定期便が、ほとんど満席で取れない状態でございます。席自体は空いてますが、いわゆる観光客用の席がほとんど取れずに、ツアーをあきらめたというケースも出てございます。ましてや、内陸から日本へ来るためには、まず沿海部を経由しますので、そういった沿海部からの路線がいっぱいで、そうした場合には、やはり今後はチャーターが主流になってくるんではないかと、私どもは見ております。そして、JNTOとしましても、チャーター便を使う旅行会社に対して広告支援を実際やっておりますので、今後はまたチャーター便にも傾注していければというふうに思います。それから、先ほど申し上げましたように台湾・香港市場へもさらに注力をして、静岡県の魅力を台湾・香港マーケットにもどんどんアピールしていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
 それから、今回静岡県のウェブサイトを拝見して気づいたんですけども、静岡県のウェブサイトには中国語の繁体字が出ておりませんでした。私どもJNTOに静岡県さんから出向している職員に聞きましたら、ハローナビ静岡には繁体字がありますというようなことで言われましたけども、実際まず静岡県から入った場合に、繁体字がないので、そこで香港人・台湾人は出ちゃう可能性がありますので、ぜひとも静岡県のウェブサイトに繁体字もこれ加えていただきたいなというふうに思います。そして、ポルトガルはありましたので、在日ブラジル人に対しては非常に親切じゃないかなと思いました。しかしながら、一方でハローナビ静岡にはポルトガル語はございませんでしたので、ハローナビ静岡にもポルトガル語を加えていただきたいなと。そうすれば、在日ポルトガル人が静岡県を旅行する際に非常にいい指標になるんじゃないかなというふうに思いました。
 それから、静岡県としての強みを生かしたプロモーションということで、産業観光、あるいはスポーツ観光ですね、こういったものも1つのテーマになるんじゃないかなというふうに思いました。
 それから、今回、来る前に私どもJNTOのOB職員で静岡県さんのアドバイザーになっております谷口さんから聞きましたら、富士山静岡空港で両替機能がまだまだ十分でないということで、日曜日、祝日に両替窓口が閉まってたり、あるいは夕方早目に閉まったりということで、両替できずに町中に来て不便を感じるというような外国人も多いように聞いておりますので、この両替機能の不便さを何とか解消する手段を考えられないかなというふうに思いました。私、海外で17年駐在しておりまして、特に東南アジアでよくやっていましたのが、日本から要請を受けて1万円の両替のパックを用意して、ガイドに持たせてバスの中で両替をさせると。それはどうも両替のライセンスにひっかからなかった方法でしたので、そういったやり方でやっておりました。ちょっと日本の両替ライセンスの規定はよくわかりませんけども、何らかの形でそういう不便さを解消していければなというふうに思います。
 それから、最後は、教育旅行の誘致。先ほど申し上げましたように、教育旅行っていうのは呼び込むためには非常にやりやすい方法でございます。特に、教育旅行に関しましては長崎県、それから愛知県、長野県が非常に力を入れております。お隣の長野県、愛知県と提携をしながらですね、何とか静岡県にもその教育旅行のトレンドを持って来れないかなと思います。私からは以上。
 あと最後につけ加えでございます。医療観光とスポーツ観光について、簡単にお話しておきたいと思います。
 今、ニュー・ツーリズムということで、これからの取り組みとして注目されておりますけども、ちょっともう時間がございませんのでスライドは省略しまして、お手元にいっております紙を参照しながら御説明したいと思います。観光連携コンソーシアムの概要というページでございます。まず、この左上に、ニュー・ツーリズムとしてのいろんなことが書かれてございます。エコ・ツーリズム。グリーン・ツーリズム、文化観光、産業観光、ヘルス・ツーリズムと。そして、右にスポーツ観光、医療観光というのと、それからファッション、映画、スクリーン・ツーリズム、アニメ観光、そういったものが書いてございます。
 まず、医療観光に関する取り組みでございますが、3ページでございますが、世界において今、医療観光が非常に注目されております。この右の表をごらんいただきますと、世界各国からアジアに対して、非常に医療観光で流れております。アジアの中心には次のページ、4ページをごらんいただきますと、各国における医療観光の取り組みの実績が書いてございます。特に、タイ、ことしは200万人を目標にしているということでございます。それからシンガポールは、2012年に100万人を目標にしているということでございます。韓国はまだまだ少ないんですけども、実際私もインドネシア、それからベトナムに駐在しておりまして、重病なケースはほとんどシンガポール、あるいはバンコクに移送するケースがほとんどで、そういった仕組みができておりました。そういったことからいきますと、日本という地の利が、どこまで今後議論されていくのか、ちょっとわかりませんけども、日本としてもですね、2020年に何とかアジアトップの水準にもっていきたいということが国としての期待でございます。
 ちょっと飛びまして、5ページ目が新成長戦略に掲げられた医療観光の位置づけでございます。
 それから、次6ページ目が、本格的には、2012年から取り組みしていこうと。そしてことし、来年は、まずそのための実証事業を先にやって2012年から本格的に取り組もうという流れでございます。
 それから次の、7ページ目8ページ目は、医療観光におけます各省庁との連携でございます。観光庁とそれから経済産業省、厚生労働省の横串のそれぞれの機能分担がこっちに書いてございます。
 それから9ページ目に、ことし取り組む全体像でございまして、医療観光に関する研究会、これは実際去年発足しまして既に4回会議がなされておりますが、この研究会を母体にいろんな取り組みを予定しております。
 そして10ページ目に書いてございますが、ことし海外における先進国事例を調査をして、その中でベストプラクティスを見ていこうという先進国事例の調査、それから海外におけるニーズも調査していこうという調査事業も入ってございます。
 そして11ページ目が、自治体での取り組み事例がこちらに紹介してございます。ただ、今、自治体の取り組みで、もうそれぞれ個々にやってございますけども、一番大変なのは現地における取り扱い旅行会社、あるいはそのファシリテーターと称する仲介をする人をいかに見つけるか、これが一番大変なところでございまして、これは各自治体も苦労しているところでございます。あとで質疑応答の中でまた少しふれたいと思います。
 それから、スポーツ観光につきましてですが、13ページ。見るスポーツ、するスポーツ、支えるスポーツ、この三つのカテゴリーをもとに、今後スポーツ観光に取り組んでいこうという流れでございます。やはり、推進連絡会議を設けまして、実証事業を海外でのニーズ調査、あるいは先進国事例を調査していく流れでございます。
 ざっと早口でお話申し上げましたけども、私からの説明は以上でございます。
 あとは質疑応答に移りたいと思います。よろしくお願いします。

○赤堀委員長
 ありがとうございました。以上で、長谷川様の意見陳述、短時間で本当に申しわけなかったんですけれども終わりました。
 それでは、これより質疑応答をしてまいりたいと思います。御質問、御意見がありましたら御発言願います。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

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