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委員会会議録

質問文書

開催別議員別委員会別検索用


平成27年9月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:田口 章 議員
質疑・質問日:10/06/2015
会派名:ふじのくに県議団


○田口委員
 分割質問方式でお願いしたいと思うんですが、限りなく一問一答方式に近いような格好でやりたいと思います。
 まず、議案にもあるんですけれども、補正予算の主要事業概要のほうがわかりやすいかなと思って、これの1ページから質問をさせてもらいたいと思っています。
 「農・食・健」連携型「健康・長寿の産業化・地域ブランド化」推進事業ということであります。
 これが経済産業部関係で2億5820万円ということで予算がついているんですが、確かに食と農というのは静岡県の大きな特徴でありますし、それに健康長寿日本一が世界一になったみたいですけれども、そういう県の特色を生かした事業だと認識をしています。
 しかし、提出案件の概要及び報告事項を見てもちょっとよくわからないというのが正直なところで、難しいなという気がするんです。自分なりに事前に少しお話は伺っているんですけれども、こういう理解でよいのかどうかということと、あとは成果指標等について、まず少し御意見をいただいておきたいなと思っておりますのでよろしくお願いします。
 2ページへ参りますと、機能性作物の次世代栽培システム開発事業費というのがあります。
 これは事前に伺ったところだと光技術などを使った植物工場ですとか、こういったものを考えていると受けとめております。
 アウトカムとして新規参入企業の数を5つと書いてあるんですけれども、これは企業を生かした植物工場をそれぐらい開設するという理解でよいのかどうかというのが1点。
 それから、アウトプット指標がほとんどないものですから、例えばもし植物工場だとすると、アウトプットとしてどれくらいの企業に声をかけて関心を持ってもらって発展していくのかというのを追うべきではないかなと思うんですけれども、その点を伺いたいと思います。

 ちょっと続けます。3ページはアグリ・インフォマティクスシステムを核とした農芸品の栽培技術開発・継承事業費というのが6500万円であります。
 これもイチゴやミカンの熟練農業者の技術を可視化するというふうに伺ったと思うんですけれども、これも具体的な成果指標が58億円増加と書いてあるんですが、それのみで多分58億円増加ということじゃないと思うんですよね。
 やっぱりこの事業をやることによって、例えばミカンとイチゴで合っているとしたらですが、その栽培農家数がどれぐらいそのレシピを適用した農家がふえるのかとか、そういった中でどのくらい価値が上がったのかとか、そういう検証が必要じゃないかと思いますけれども、その点についても伺いたいと思います。

 それから、その次の4ページなんですけれども、これは高機能型食品・飲料等素材創出事業費助成ということで、難しいですね。テアフラビンというのが、私はよくわからないんですけれども、これも成果指標が21億円となっているんですけれども、これは多分高機能型食品や飲料の売り上げということなんでしょうけれども、テアフラビンの商品化数や売り上げのチェックがわからないと、この事業効果というのは把握できないと思うんですけれども、受けとめが間違っていたら修正をしていただけるといいんですが、簡単に御説明をいただければと思います。

○三須研究調整課長
 私からは機能性作物の次世代栽培システム開発事業について御説明を申し上げます。
 この事業は今8番委員から御指摘がございましたように、イメージとしては植物工場のようなものを念頭に置いております。具体的には今回のこの研究におきまして、室内のどちらかというと閉鎖空間の中で実験用の装置を製作いたします。その中で市場が求めるような機能性の高い農作物の栽培をするための栽培条件を探していくと。
 具体的には温度、湿度、それから光の透過量ですとか光の波長、そういったもろもろの栽培に影響するような条件をいろいろ変えていきながら、一番機能性の高い作物ができる条件を探索して、それを我々は栽培レシピと呼ぼうと考えておりますが、いわゆる栽培の手順書をつくり上げていくと。
 それを県内で、この栽培事業に取り組む企業に提供いたしまして、植物工場といいますか、こういった機能性作物の栽培事業に取り組む企業数をふやしていきたいと考えているところであります。
 そういった企業数が今回交付金事業を使っておりますので、5年後という形になりますが、でき得れば5つの企業の新規参入があれば大変いいのではないかと期待をしているところであります。
 2つ目のアウトプットでございますが、これはまさに8番委員から御指摘を受けたように、当初の段階では、なるべく多くの企業の方に、この新しい研究ビジネスについて関心を持っていただくことが重要だと考えております。
 まだ具体的にどのぐらいの数ということではありませんが、我々といたしましては、でき得れば研究会のようなものを立ち上げて、より多くの企業に参加を呼びかけていくことで、この事業をより実効性の高いものにしていこうと考えております。

○塚本みかん園芸課長
 私からはAIシステムを核とした農芸品の栽培技術開発・継承事業について御説明をさせていただきます。
 AIシステムについてでございますが非常に聞きなれない言葉で、これは平成21年に農林水産省が研究会を設置しまして、そこで提示されました非常に新しい概念でございます。定義としましては、今後急速に失われていく可能性のある篤農家のたくみの技術、ベテラン農家が何げなくやっている高い技術、これをIT技術を用いて形式化して、ほかの農業者や新規参入者等に継承していくという考え方でございます。
 背景としまして、日本の農産物は非常に高品質なものが生産されているわけでございますが、それを支えているのはやはりこういうたくみのわざを持つベテラン農家、篤農家でございまして、今、農家の高齢化、あるいは後継者の減少の中で、そういう高い技術を持った篤農家が次世代に継承されないまま消滅してしまう懸念が非常に大きいと。そこの部分を最新の情報化等に基づく技術を活用して、きちっと次世代あるいは新規就農の人等に伝えていこうという考えでございます。
 具体的に今回の補正予算の中で何をやるかということでございますが、8番委員からお話がありましたように、静岡県を代表し、しかも県内全域で栽培されておりますミカンとイチゴの2品目について取り組む予定でございます。
 具体的な方法でございますが、ミカンとイチゴについて、主要な作業、例えばミカンでしたら摘果とか剪定、イチゴでしたら養液管理とかハウスの温度管理等について、篤農家がどういう視線で、どういう判断をして作業をやっているかと、そういうものを画像データ、動画あるいは生産者へのインタビュー等さまざまな方法で情報を集積します。また、それとあわせまして、栽培に伴う環境データ、こういうものも含めて集積いたします。
 そういう作業に関するデータと環境に関するデータの2つを合わせて解析いたしまして、後継者とかニューファーマーとかの新しく栽培に入る方の技術習得を支援するような学習支援システムをつくり上げていくというのが、基本的な考え方でございます。
 この事業は5年間を予定しているわけでございますが、最初の3年間で、このイチゴとミカンについて、基本的な学習システムを構築しまして、残り2年でこれをベースにいたしまして、県内の他の産地にも普及させていくという流れを考えております。
 そういう中で、この主要事業概要の3ページにございますアウトカムでございますが、トータルでは平成31年度の目標で58億円の増加ということで、この内訳でございますが、イチゴを現状の108億円を115億円、ミカンを236億円から287億円という形でふやしていく予定でございますが、いずれもここで組み立てていく学習支援システムの技術というのは、非常にベースラインとなる技術でございまして、これによって新規就農者だけじゃなくて、産地生産者全体の技術の底上げにつながるものでございますので、それによって、この58億円の増加というのにつなげていきたいと考えております。

○水口新産業集積課長
 高機能型食品・飲料等素材創出事業費助成についての説明をさせていただきます。
 テアフラビンにつきましては、紅茶に含まれる赤色の色素、お茶のポリフェノールの1種になります。平成21年度から平成25年度までの5年間におきまして、国の機関である科学技術振興機構の事業である地域結集型研究開発プログラムを活用して、研究開発された素材となっております。
 そのテアフラビンを人における健康の維持増進への効果を評価し、科学的根拠を確立するものでございまして、フーズ・サイエンスセンターを通じまして、静岡県立大学に評価試験を委託し、テアフラビンの持つ口内環境の改善効果、そういうものを実証していくという事業でございます。
 その実証された科学的根拠をもとにしまして、その素材の付加価値を高めまして、県内の食品・飲料等製造企業に、そのテアフラビンをより多く活用していただいて、製品開発、食品の開発というものを加速させていただいて、本県における稼ぐ力、そういうものを創出しようというところを狙いどころとしているところでございます。
 KPI指標としましては、21億円の売り上げの増加というものを計上させていただいてございますけども、基本的にその考え方といたしましては、テアフラビンそのものの素材の売り上げ、それ自体がおおむね1億円ぐらい、それとそのテアフラビンを活用して2次展開した、いろいろな商品開発、食品の開発、そういうものが20億円程度というふうに見込みまして、21億円を計上させていただいているところでございます。

○田口委員
 ありがとうございました。
 少し理解が深まりましたが、ちょっと難しいなと個人的には思っております。
 いずれにしても、ちょっと今、アウトカム指標のお話を聞いたんですが、少し漠としているところがあるのかなと思います。やっぱり日ごろの事業進捗をしっかり管理していくためには、もう少し皆さん自身でコントロールできる成果指標を、活動目標というか、それも設定すべきかなと思いますので、それをぜひやっていただければなと要望しておきます。
 そうしないと、せっかくここで2億5000万円ぐらいのお金を投資する投資対効果というのは、我々にとって非常に見えにくいものになるもんですから、ぜひそのあたり、進めていただければなと思っています。これは要望です。

 もう1つ、再質問なんですが、今、一番最後のテアフラビンのところはわかりやすいかなと思ったんですが、要は、そういう商品開発をした後に、出口が割と明確になっていないと、研究開発というのが無駄な投資とは申しませんけれども、うまくいかない可能性があると私は思っているんです。
 その出口戦略のところが、今お話があった、例えば一番最初のところあたりが一番難しいのかなと思うんですが、次世代栽培システムのところでは、実に出口戦略をブランド化を含めて考えられているか。そこまで考えていなければ、これからぜひ御検討いただきたいと思うんですけれども、あればお聞かせ願いたいと思います。

○三須研究調整課長
 ただいまの御質問でございますが、今、市場にはいろいろな形で、いわゆる機能性の農作物ですとか、あるいは機能性の食品というのは多く出回っております。
 もう1点は、今年度から新しく機能性表示制度というものが生産品のほうにも適用されるという動きになっておりまして、特に生産品ですと、機能性成分が安定して供給されるということが非常に重要な課題でありまして、そういった意味では、今回の我々の事業が非常に理にかなっているものかなと考えております。
 しかしながら、現実的には非常にレベルの高い研究あるいは技術開発でございますので、まだ我々も十分に出口のイメージが100%とれているものではございませんが、そういったある程度市場の需要あるいはニーズというものを念頭に置いて、この項目の研究計画を組み立てていきたいと考えております。

○田口委員
 ありがとうございました。
 じゃあ、ちょっと次の質問に移りますけれども、先ほど5番と6番委員からもファルマバレーの質問があったんで、私はしませんけれども、今回ファルマバレーの話があって、それからフーズ・サイエンスヒルズの話があって、もう1個、県の柱であるフォトンバレーの話が少しまだ弱いのかなとも思うもんですから、ちょっとお話を聞きたいです。
 今回、企画広報部で出されている資料の中に、政府関係機関の地方移転に関する本県からの提案というのがあって、その中に理化学研究所の光量子工学研究領域を浜松市へ移転を提案するという話がありました。これは浜松市を中心としたフォトンバレーの取り組みでは、非常にありがたい動きかなと思います。
 なおかつ、提出案件の概要及び報告事項の26ページのところには、国立研究開発法人産業技術総合研究所と連携した先端企業育成プロジェクトの推進というのもあるもんですから、フォトンバレーもぼつぼつと進捗はしてもらっているんでしょうけれども、少しまだファルマバレーやフーズ・サイエンスヒルズに比べて、見えてこないかなという気がしています。
 そこで質問なんですけれども、さっき言った理化学研究所の移転なんかも含めて、フォトンバレー構想そのものの推進ビジョンをもう少しきちっと組み立ててはどうかなと私は思うんですけれども、そのあたりの位置づけについて、少しお考えがあれば伺っておきたいなと思います。

○岩城経済産業部理事(新産業集積担当)
 フォトンバレープロジェクトについての御質問でございます。
 フォトンバレープロジェクトにつきましては、平成14年に国の事業である知的クラスター創生事業が開始したところから始まっておりまして、もう10年以上推進してきております。御案内のとおり光電子部門といいますのが、さまざまな部品、製品に使われる要素技術でありまして、これが成果として見にくいということは事実であろうかと思います。
 例えば、浜松ホトニクスがつくりました光電子倍増管などは、これはヒッグス粒子の発見に至る非常に大きな装置ではありますが、それそのものが我々の生活の中で使われるということではないということで、なかなか表に出てくるような成果が見えにくいということは事実であろうかと思います。
 ただ、これまでやってくる中で、24件の製品化、193件の試作品の開発がなされているなど、我々としては着実な成果が出ているのではないかと考えております。直近の具体的な例で申し上げますと、例えば平成26年度の事業化ですと、県内の企業が開発しました、極めて弱い光の粒を一つ一つ検出する装置――高感度カメラがありまして、それは植物に傷がつくと光を出すということがわかっていまして、それを観測してストレスに強い植物の開発につなげるといった、そんな事例も出ているようですが、ただ、まだたくさん売れるところまでは至っていないと。そんな中で、いろいろな成果も出てきているというのが、実態であると思います。
 今、御質問がありました政府機関の移転の要望を挙げたところでありますけれど、浜松地域におきましては、先ほど申し上げました世界的にリードする光技術を持って、浜松ホトニクスなど光電子関連の企業、それから静岡大学工学部、光産業創成大学大学院、浜松医科大学などたくさんの研究機関も集積しておりまして、光についての高度な研究、それから製品開発ができる地域だと。これは場のポテンシャルであろうということと理化学研究所の光量子工学研究領域が、もしこちらに移転してきていただけるということであれば、その最先端の技術を持つ研究機関と地域の大学、企業のネットワークがより緊密になって、研究開発はもとより一層の製品化も進むのではないかということで、これは地方創生に資すると考えられる政府関係機関の地方移転に関する提案ということで、政府の手を挙げたらどうかという御要望に応えて、ぜひ静岡県の地方創生に資するものだという観点で、御提案を申し上げているところであります。
 フォトンバレーのプロジェクトについて、先ほども申し上げましたとおり、かれこれ10年やっておりまして、中核的な支援機関である浜松地域イノベーション推進機構が中心になって、文部科学省や科学技術振興機構の国の競争的資金を獲得しながらやってまいりました。
 さらに、ここで理化学研究所の光量子工学研究領域が移転して、そこでより高度な共同研究が行われることを、我々も地域の皆さんも期待をしています。理化学研究所が持つすぐれた研究シーズを地域の企業が持っている技術力を活用することによって、実際の製品あるいはその技術を活用した検査機器とか、あるいはシステムが具体的に製品として組み込まれると、それで現実に光技術が活用されるということが一層進むことが期待されると。こういうことが、このフォトンバレーにおいての大きな1つのブレークスルーにつながるのではないかと考えております。

○田口委員
 ありがとうございます。
 浜松市選出議員としても非常に期待が大きくて、今、岩城経済産業部理事におっしゃっていただきましたけれども、技術の集積としては恐らく日本一の地域だと思うんですよね。ここに理化学研究所が来るというのは、非常に意義があるお話だと思いますので、本当に次世代産業のメッカとしての期待が持てるところでありますから、ぜひ県としてもしっかりと働きかけをしていただきたいのと、実際に浜松市でもいろんなビジョンをお持ちでしょうから、いろんな動きをウオッチして、進めていただければとお願いしておきたいと思います。

 それでは次に移りますが、総合戦略案から1問だけ質問させていただきます。
 37ページに目標数値、県外からの企業立地件数を設定していただきました。これは、うちの会派からのリクエストもあったわけなんですけれども、転入超過を目標にしているんだったら、ぜひ県外からの誘致をやるべきではないかと言いましたけれども、ここで5年間で100件という目標を設定されました。
 私は、その意気は非常によしと思っています。しかし実施体制が本当に十分かどうかというのをちょっと質問したいと思うんですけれども、私は民間企業の出身でありまして、やっぱり企業立地って、結構営業に近いところがあると思うんですよね。そうするとベンチマークというのをしっかり設定して、ほかがどんなことをやっているかというのを見ることも大事なことではないかと思います。
 今、企業誘致で、ここ10年ぐらいの件数を拝見しておりますと、電気業を除く件数で、静岡県は10年間では745件ということで、静岡県はトップなんですね。ところが実は県外企業の誘致となると、静岡県は134件ということのようです。
 一番はどこかというと、茨城県が10年間で311件を県外から企業誘致しているというんです。茨城県は10年間での企業立地件数は550件なんですけれども、ほとんど県外から誘致をしてきている。これは人口はほぼ純増に近い格好で、相当転入をしているんだろうなと思うわけです。
 今回、5年で100件、6月定例会で私が質問したところ、1企業で大体22人ぐらいは雇用が生まれるんだろうというお話がありましたんで、2,000人以上は雇用創出にはつながると。しかもそれが県外から来るという可能性も大いにあると期待はしているんですけれども、やはり県外から、いかに企業を誘致するかというのが、私はまだまだ静岡県はノウハウが少ないのかなと思っています。
 茨城県の誘致体制を少し勉強してまいりました。まず、びっくりしたのが、知事直轄でやっているんですね。経済産業部とか、そういう部局じゃなくて、知事が直轄でやっていると、平成18年度からやっていると言っていました。
 本庁には職員が7人いて、東京本部というのが、東京事務所なんかと別に大手町にありまして、そこに12人営業マンがいるということでした。大阪事務所にも、嘱託ですけれども1人いるという話でした。さらに、さっき言った東京本部には、地元の地銀2行から2人が常駐していて、さらにゼネコンのOBの嘱託の人もいると、こんな体制でやっているんですね。
 訪問件数も、今回は、年間、本県では約1,250件という目標数値を掲げてもらっているんですけれども、茨城県あたりへ行きますと、1,500件を超える訪問をやっておりまして、さらに今言ったとおり平成18年度からの継続した営業のルートがあるわけですよね。
 それくらいやらないと、やっぱり企業誘致の5年間で100件というのは難しい数字だと、私は思っているんですよね。それをやるに当たっての、経済産業部としての所感をお伺いしたいと思います。

○長谷川企業立地推進課長
 今まで県外からの誘致ということでは、やはり首都圏をターゲットということで、東京事務所を中心に働きかけを行ってまいりました。ここ数年、企業の投資意欲が上向いているという状況もございますので、タイムリーな対応をしなきゃいけないだろうということで、首都圏だけじゃなくて中京地域、甲信越地域、それから北関東地域というところの企業訪問を強化しようという戦略を立てまして、実は今年度からなんですけれども、企業立地推進課の企業立地班を1名増員し、それで課長の私まで11名体制になりました。
 首都圏と北関東地域への働きかけを強めるために、東京事務所も1名増員いたしまして、所長、次長のマネジメントも入れますと、非常勤職員、特別非常勤職員を入れて7名の体制をつくりまして、誘致活動に取り組んでいるというところでございまして、今年度につきましては、昨年度に比べると2名増員し、誘致体制を強化したところでございます。
 茨城県に比べますと、まだまだ人数も少ないことはもちろんですけれども、まずはこの2名増員した体制で、現状の体制も検証しながら、とにかく頑張って誘致をやっていって、その後につなげていきたいと考えている次第でございます。

○田口委員
 長谷川企業立地推進課長は、非常に前向きに頑張るということだと思うんですが、今、静岡県の職員の数についても御報告をもらいましたけども、私も先般、東京事務所でお話を伺ってまいりましたけれども、実質的には5人、しかもそのうちの2人は市町から派遣をもらっているということで、県職員は実質的には3人ぐらいでやっているのかなと思うわけですよね。
 そうしますと、やはりノウハウも残らないし、市町からの派遣ですと恐らく1年交代ですよね、多分。
 私が営業活動と言ったのは、営業活動というのはやっぱり長い時間がかかってこそ信頼関係というのはできるんですよ。担当者がころころ変わっても、そんなにすぐ簡単に話ってかからないものですから、そこら辺の企業誘致の体制というのを、私はこの際、県外からの立地件数の目標を大きく掲げてくれたもんですから、思い切って見直すべきだと思います。
 ですから、私がそこで申し上げたいのは、思い切って人を補充すべきだと思うんですけれども、これは課長にはちょっと答えられないと思うんで、どなたかお答えいただける方がいらっしゃったらお願いしようと思うんですが。

○望月静岡県理事(産業戦略担当)
 昨年度、産業創出戦略の中でも、県内企業の定着と県外からの企業の誘致というのを大きな柱に立てて議論をいただきました。そういう中で人事異動もやったわけです。
 我々が企業誘致をしていて1つ留意しなければいけないのは、やはり誘致をするには適地がちゃんと確保されていないと、誘致活動はできないものですから、そういう意味で茨城県では、かなり遊休地というか、売れ残りの工業用地がたくさんあるという状況の中で、一生懸命やっていらっしゃると思っています。
 我々も、内陸のフロンティアを拓く取り組みの中で、県内の10市町40地域を県版の特区に指定をして、市町と連携をして一生懸命新たな用地の開発もやっておりまして、こういったものが目に見えてくれば、市町も一緒になって動くと思いますし、我々もその辺の体制を整えて、県外も含めて、鋭意攻めていきたいということです。
 ことしは去年に比べれば、首都圏もかなり広域的な形で、周辺部も含めて、また関東、中京圏についても訪問活動を強化していますので、そういった形で強化の充実をしていきたいと考えております。

○田口委員
 望月理事、そうお答えをいただくのはいいんですけれども、私は本当に5年間で100件の誘致ができるのかということを言いたいわけであって、今の体制でできるとお考えですか。

○望月静岡県理事(産業戦略担当)
 昨年度から、私も首都圏の企業にも御訪問させていただいて、実際に可能性の高い企業には、直接、県の幹部また副知事にも行っていただいて、誘致活動をやっておりまして、そういったところで実効性を高めていくという形の対応を強化したいと考えております。

○田口委員
 私は心配して言っているんですよ。やっぱり今の体制だと、多分、相当無理があると思っています。今の副知事の話もありましたけれども、企業訪問を積極的にされていた副知事は帰任されまして、今、3人体制とはいうものの、職務分掌の中で、本当にトップセールスができているのかなという心配もあります。
 ですから、何度も言いますけれども、やっぱり選択と集中が私は必要だと思っていまして、いろんなところで言っていますけれども、二重行政的な部分を排除して、こういう営業、将来、静岡県に投資を呼び込めるような事業に、もっともっと注力すべきだと思うんです。
 そこで、ちょっと言いにくい質問をしますが、例えば今回、セルロースナノファイバーの事業なんかは経済産業部でもありますけれども企業局でもやっている。あした出てくるんですが、企業局の報告を見ていると、BCPなんかもやっているわけです。
 そういうのは、経済産業部でやればいい話だと思っているんですけれども、こういうのって、私はやっぱり経済産業部と企業局の二重行政的な部分だと思っているんですよ。このあたりの見直しをして、やはり企業誘致をもっとランクを上げて、仕事の優先順位を上げて取り組むべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○篠原経済産業部長
 今の御指摘の企業局のBCP、あるいはCNFの話は、私は去年は企業局長をやっていまして、そこで始めようということで始めて、ことし実際にいろいろ動いていると理解しておるんですけども、去年、なぜそういうことを始めるかというときに、企業局のビジネスの中で、ユーザーとの接点が余りにもそれまで少なくて、料金の値上げだけを頼みに行っていたみたいな状況になっていて、ユーザーの方々との意思疎通が十分でないと。そういう中で、ユーザーの方を回っていって、ユーザーが抱えているいろんな経営課題の問題について一緒に考えようということを企業局の経営としてやりだしたと。
 その中で、経済産業部との連携という問題もいろいろ出てくる中で、当然、私が今度はこっちに来たわけですので、経済産業部としてもそういう問題についてはやっていくと。企業局とも連携をして進んでいくということで、県の中では一応そういう形で進めていくという、業務の執行としてはそういう話になると思っております。
 ただ、企業局の経営体といいますか、あり方は当然、料金をいただいて、それで運営をしていくという公営企業という位置づけがあるわけで、それについては確かにいろいろ問題が出ておりますけども、やはりその企業体、公営企業という意味が生かされる部分がまだあると私は思っておりまして、経済産業部も企業局が行っているユーザー支援については、一緒になってやっていく必要があるところはやるということで進めていくことが重要かなと思います。

○田口委員
 篠原経済産業部長は両方経験されているので、少し御理解があるのかと思いますけれども、やはり両方でやるのもそうかもしれませんが、企業局があるからそういう仕事をつくっているんだと、私はそう思っちゃうんですよね。客観的に見て、別に1つの部門でやればいいと私は思っているんですよ。
 なおかつ、企業局が工業用水ユーザー、いろんなところのユーザーを回る、これは営業活動を当然やってもらいたいし、私も湖西工業用水道に関連して回ってくださいというお願いをしてましたんで、それはそれでいいんですが、経済産業部も県内企業を回っているわけじゃないですか。ですから、やっぱりやっていることが一緒なんですよね。
 そこら辺を私は工業用水ユーザーを回らないというわけじゃないと思いますので、そういうわかりにくい仕事の区分をするんじゃなくて、もう一度ドラスティックな見直しをしたほうが、さっき言った県外からの企業誘致100件につながるんじゃないかなと御提案を申し上げているわけです。ぜひ検討してもらいたいと思います。

 ちょっと企業局の話になったんで、もう1問企業局の関連で聞きたいんですけれども、私は6月定例会で企業局の話もしたんですけれども、今の独立採算制というのが、もう高度成長期の右肩上がりのビジネスモデルでしかあり得ないと思っているんです。篠原経済産業部長はよく御存じでしょうけれども、例えば西遠工業用水道の例を出したんですが、ピーク時に126社あった受水企業は今88社にまで減っているわけですよ。減った企業の分を残った88社、私たちにとってありがたい法人税をいただいている受水企業、頑張って残っている皆さんに負担をしていただいているというのが、今のこの独立採算制の仕組みなんですね。
 これは私やっぱりぜひ県が一体となって、国に対して公営企業会計のあり方の見直しをすべきということをぶち上げてほしいなと思うんですよ。一般会計からの操り出し基準というのは極めて高いハードルで設定されていまして、なかなかできないんですけれども、そういうのを含めて、公営企業会計の仕組み自体がおかしいというのを、企業局にもぜひ言ってくれと言ってあるんですが、県として、トータルで産業政策として国に上げてほしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○長谷川企業立地推進課長
 前段で私から、企業局と連携をしているということで御説明だけさせていただきたいんですが、今の工業用水の関係で現在、工業用水が非常に厳しい状況にあるということは承知しておりまして、企業局でやっております工業用水道事業のあり方検討会というのがございまして、そちらに経済産業部も知事部局として参加してほしいという要請がありまして、企業立地推進課で私がその検討会に参加させていただいて、課題を共有して、今、8番議員から御指摘のありました内容につきましては十分把握しているところでございます。
 今、現状の中で、根本的な解決策としては、そういう企業会計の見直し等があるんですが、我々でできることとしまして、先ほど8番議員からございましたが、我々は定着に関しては企業訪問をしていることがございますので、それから新規の誘致の場合も企業を回りますので、県外の企業も回っておりますので、その中で工業用水の供給可能な地域、そういった情報も我々は持っておりますので、そちらにぜひ投資をしていただきたいということで活動をしているところであります。
 そういった形で、今現在は連携しているということがございます。

○田口委員
 これ以上、きょうは質問をやめますが、総合戦略案の中に5年間で100件というのを位置づけたと。これは非常に重たい意味を持っていると思いまして、私はそれを実施できる体制をとってほしいというお願いをしているわけです。
 それに対して、どうやったらその人員配置ができるのかというところまでを含めて、私は御提案を申し上げたつもりです。それぐらいの覚悟を持って、ぜひ来年度の組織を経済産業部として考えて、つくっていただきたいというのを最後に要望しておきたいと思います。

 次の質問に移りますけれども、この間、食の都づくり推進事業というのが、先月行われた士民協働事業レビューでとり上げられまして、これについて私も傍聴に行っていたんですけれども、なかなかおもしろい話があるなと思ったので、ちょっと質問させてもらいたいのですけれども。
 食の都づくり推進事業、これは細かい話はしませんが、評価者からは結構いろんな指摘がありまして、多彩で高品質な農芸品や加工品の販路拡大を図るのが上位の目標であって、仕事人をふやすのがこの事業の目標じゃありませんねという指摘があったわけなんですね。
 まさに私もそのとおりだと思って、やっぱり県産品の拡販をするというのが大事なんだろうと思っています。士民協働事業レビューの資料を見て、おもしろいなと思ったのが、実は、総合物産展への期待というのがありまして、静岡展をやってほしいというアンケート結果がありまして、北海道、沖縄県、京都府、鹿児島県に続く全国第5位と、何か静岡県に対する期待があるらしいんですよね。
 こういうデータがもしあるとしたら、大静岡展というのが実は聞いたことがないもんですから、外から見た視点というのは、結構、地方創生に役に立つんだろうなと思っているので、何かそういったことを県として検討されたらどうかなと思うんですけれども、いかがでしょうかね。県の物産フェアみたいな、そういうことをやったらどうかということについてお願いいたします。

○黒柳マーケティング推進課長
 8番委員からの総合物産展の関係でお答えいたします。
 今、御紹介いただきました首都圏での総合物産展の期待につきましては、平成26年8月に民間企業が調査したものでございまして、大変私どもとしてもうれしい評価をいただいたということで受けとめております。
 首都圏の百貨店では、今、8番委員がおっしゃられましたように、総合物産展の開催実績というものはございませんけれども、小規模のものとしましては、昨年度の5月に伊勢丹新宿店の本館の地下1階で、フードコレクションという場所をお借りして、本県事業者が12社出展をいたしまして、小規模な静岡フェアを開催しております。
 開催に当たりましては、バイヤーの商談会を行ったりとか、ブラッシュアップの御指導も受けながらやったというところで、1300万円ぐらいの売り上げがあったというところでございます。
 この実績をもとに、同じ百貨店に総合物産展の開催について、少し打診というような、どんな形でできるんでしょうかというようなお話をしたところでございますが、非常に興味はいただいたところですが、物産展の計画自体が、いろんなフェアもございまして、1年以上ずっと埋まっているということで、かなり後ろになるという話と、それから、もう少し判断材料として、小規模でもいいからフェアのようなものを積み重ねてというようなお話もいただいているところでございます。
 本年度につきましては、名産品の消費喚起の事業もございまして、企画のほうをいただきました事業者の方が、首都圏を初めとして、ほかの地域でも年間20回くらい静岡フェアというようなものを開催するということで、実際、7月の後半から少し始めてくださっておりまして、そういうような実績もつくりながら、また総合物産展としては経費も少しかかりますものですから、そういったところの負担を出展者の皆さんにしていただくということで、少し準備をしながら取り組まなければいけないものであると考えております。
 それから、県内では毎年1月に、総合食品開発展ということで、これは消費者の方ではなくて、バイヤーの皆さんを対象にしました展示会というようなものを行っておりまして、大体それに200社ぐらい県内事業者の方に出ていただいております。そういったところでいいものにつきましては採用いただきながら、首都圏でも販売するという仕組みもつくっておるところでございます。

○田口委員
 前向きにやっていらっしゃるようなので、少し安心しましたが、やっぱり外から見た印象というのは、結構、当たっているところもあるんでしょうから、うまく活用されたらどうかなと思います。
 それとあわせてなんですけれども、県では秋葉原に「おいしず」って持っていますよね。アンテナコーナーということらしいですけれども、伺うと、年間たしか660万円ぐらいということで、大変リーズナブルな運営をしていらっしゃいますようですけれども、今、東京でアンテナショップというのが結構はやっているんですよね。
 お金も相当かかっているところもあるようなんですけれども、先般、銀座NAGANOを黒柳マーケティング推進課長に紹介してもらったんで、ちょっと行ってまいりましたけれども、年間8500万円ぐらいかかっているらしいんですが、やっぱり私は物産展だけじゃなくて、観光ももちろんセットだし、ほかに移住・定住なんかもやっていましたし、県としてのプロモーション全体を、ブランド推進全体をやっているなという感じがしたんです。
 ですから、もしかすると経済産業部で話をするのは、それこそ場違いって怒られちゃうかもしれませんが、そういう物産品と絡めて県のプロモーション全体を推進する仕組みというのをもう少し考えたらどうかなと。「おいしず」を今やっているということに絡めて、お答えできる範囲で少しお考えがあればお聞かせ願えればと思いますが、いかがでしょうか。

○黒柳マーケティング推進課長
 今お話をいただきました「おいしず」でございますが、常時、今280点くらいの商品を取り扱っておりまして、これまで開設以来ですけれども、月平均で約220万円くらいの売り上げを上げておりますが、特に今年度に入りましてから、少し売り上げが上向きになってきております。それで、食品館において、床面積が3.8%ではありますけれども、売り上げに占める割合としては7.3%ということで、頑張っているというような状態ではございます。
 開業から今2年を過ぎたというところで、今年度については、出展事業者の皆さんから効果であるとか、課題であるとかということも少しお聞きしたいということで、今、検証作業を進めているところでございます。
 今、8番委員から御指摘をいただきましたけれども、物産と観光をセットにしてPRしていくというのは、非常にインパクトがあるものでございますので、首都圏のアンテナショップということだけではなくて、さまざまな場面でそういう連携をとってやっていくことが非常に重要だと思っておりますので、今後取り組んでいきたいと思います。

○田口委員
 ありがとうございます。
 ぜひ、ほかの部門とも、これも関係するもんですから、県の中で連絡をとり合ってやってもらいたいと思います。

 最後の質問にします。
 前回もやりましたが、しつこいと言われるかもしれませんが、ちょっとRESASについて伺います。
 6月定例会の段階では、産業マップというのは、実はオープンにされていませんでして、なかなか使い勝手がよくないなと思ったんです。もちろん県では、オープンイノベーション静岡で、しっかりと活用してくださっているというのは伺っています。ぜひそれは頑張ってもらいたいです。
 9月中旬に、産業マップに海外との取引とか、特許ですとか、それから農業マップというのも追加をされているんですね。この辺が多分、経済産業部のマターになってくるのだろうと思うのですけれども、追加されたデータはオープンデータなんです。ですから、せっかくのオープンデータなので、これはもうちょっと、県庁の中だけではなく、幅広くアイデアを募るようなことをしてはどうかなと思っています。
 例えば、内閣府では実際に、政策アイデアコンテストも実施しているんです。これは、県独自でも何かこういうのを仕掛けていったら、県民の中からいろいろな地方創生のアイデアが出てくるような気がするのですけれども、そういった使い方についてお考えがないか、伺いたいと思います。

○杉本政策監付産業成長戦略推進室長
 RESASのオープンデータについてお答えいたします。
 8番委員御指摘のとおり、当初の産業マップにつきましてはオープンにされていなかったということで、我々オープンイノベーション静岡の中においては、コネクターハブ企業を探すという目的で活用を図ってまいりました。
 このたびオープンにされた情報が一部入ってきたということで、早速我々も調整をしているところで、今ありました先進事例等につきましても、内閣府から情報を集めているというのが実態でございます。
 RESASそのものはビッグデータということで、人口問題から発生したというようなことで、県においては、今、企画広報部を中心に全体が動いていて、我々はその中の産業部門を担っているということで取り組んでおるわけなのですけれども、8番委員御指摘のそういった部分の一般県民も含めた意見の募集等についても、また企画広報部とも調整をしながら、このオープンになったデータがどのように活用されるのかというところを検討してまいりたいと考えております。
 しかしながら、今のデータが少なくとも産業部門においては、平成23年、平成25年のデータであったり、例えば企業等のいろいろな海外展開の話もあるのですけれども、本社機能を中心に展開がされているということがございまして、県内に本社がないところについてはリサーチができないところも一部ではございます。そういったところも踏まえまして、企画広報部とも話をしながら検討してまいりたいと考えております。

○田形委員長
 ここでしばらく休憩します。
 再開は、15時10分とします。

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