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委員会会議録

委員会補足文書

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平成21年10月新型インフルエンザ対策特別委員会
参考人の意見陳述 株式会社インターリスク総研 研究開発部長 本田茂樹氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/27/2009 会派名:


○本田茂樹氏  
 改めまして、おはようございます。
 ただいま御紹介いただきました、インターリスク総研の本田と申します。本日は、貴重な機会をいただきましてありがとうございます。座らせていただきます。
 本日、私がいただきましたテーマは、企業がとるべき新型インフルエンザ対策ということでございます。
 私は、勤務しておりますインターリスク総研というところで、企業の危機管理、それからリスクマネジメントという観点でお手伝いをしております。地震防災、事業継続、それからきょうお話しするような新型インフルエンザというような切り口で、企業のリスクマネジメント体制構築というようなお手伝いをしております。
 きょうお話しする内容は、私が企業の対策構築に携わられる方々に、こういうところがポイントであるとか、こういうところに御留意いただきたいというようなことをお話しするものをベースにお話をさせていただこうと思っております。前回までの委員会で、既にお話を聞いておられるようなところと一部重複するところが出てくるかと思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。
 基本的には、新型インフルエンザというものがどういうものであって、それに国や行政がどのような対策を立てて挑んでいるかということ、さらに、企業として、今、どのようなことが求められているかというようなことをお話しして、ポイントをお示ししているというのが現状でございます。
 まず、冒頭に、企業が今、新型インフルエンザ対策に対して、どういう立ち位置にいるのかということを、少し御説明したいと思います。
 これは、私どもインターリスク総研が過去3回にわたって、去年から企業に対して、新型インフルエンザ対策、どれぐらいやっておられますかということをお尋ねしたときの結果でございます。対象としましては、日本の国内全上場企業を対象に、昨年の5月、6月、ことしの1月、2月、そしてことしの7月、8月ということで3回行っております。
 ごらんになっております左側でございますけれども、このオレンジ色の部分、これが実際に、うちは企業対策、新型対策をやっているというところでございます。昨年の5月、6月は、全上場企業でも1割を切るところしか対策を行っていなかった。それが順番にふえてきて、ことしの5月、6月の豚由来新型インフルエンザの流行を経て、7月、8月の調査では、6割以上の企業が取り組みをしているというような状況でございます。ただ、これは全上場企業を対象にした調査でございますので、日本の99%を占めると言われている中小企業も含めた場合は、当然のことながら、この対策を実行しているという割合が落ちていくというふうに理解をしております。つまり、企業対策というのは、まだまだではないかなと。やはり、これからということの1つのデータかと思います。
 この図についても、前回、医療専門の方からお話がございましたけれども、豚インフルエンザ、鳥インフルエンザ、そして新型インフルエンザがどうして出てきたのかということですけれども、ポイントとしましては、豚インフルエンザ、鳥インフルエンザ、文字どおり動物同士の感染症であったわけですけれども、そのウイルスタイプが変わることによって、単に動物から人、豚から人ということだけではなくて、人から人に容易にうつるようになってしまう。人は、基本的に新しいウイルスに免疫を持っていないということで、非常に容易に、人から人に感染して、世界じゅうに広まってしまうということを示しております。
 これももう、御承知のデータでございますけれども、9月の末現在、世界保健機関――WHOが発表しているところによりますと、世界じゅうで34万人以上の人が感染し、4,000人以上の方が亡くなっているということでありますけれども、現在、世界保健機関――WHOは、各国からの報告というのを求めておりませんので、これはあくまで氷山の一角の数字ということでございます。まさに、日本でも流行、北半球で5月、6月以降、流行が広まっているということですけれども、これから気温が落ちてくる、湿度が落ちてくるという状況の中で、感染がさらに拡大するのではないか、冬に流行のピークを迎えるのではないかということで、懸念されているという状況にございます。
 単に流行の拡大ということではなく、病原性が高まる可能性もあるということを、専門家の方はおっしゃっておられまして、病原性が高まると、単に感染拡大ということではなく、重篤化する方の数がふえるということで、懸念されております。
過去、1918年のスペインインフルエンザのときには、1918年の6月に第一波ということで、波がきたわけですけれども、秋11月に流行の2つ目の波が来たときには、病原性が高まっていて、たくさんの方が亡くなった。世界じゅうで4000万人以上の方が亡くなったということで、それが繰り返されることがあってはいけないということで懸念されているということです。
 これは、豚インフルエンザ由来の新型の話ですけれども、もともと日本の政府を初めとして、世界各国が懸念していたのは、次に出てまいります鳥インフルエンザ由来でございます。これはまだ、新型にはなっておりません。このH5N1というのは、あくまで鳥インフルエンザのままではございますけれども、現在、東南アジアを中心に流行していて、鳥インフルエンザにかかった方は、6割の方が亡くなるという、非常に致死率の高い感染症ということで、恐れられています。我々というか、日本政府を初めとして、世界各国が恐れているのは、この致死率の高い鳥インフルエンザが、新型インフルエンザに変わってしまう、感染力が強いばかりでなく非常に病原性も高く、大きな健康被害が出るのではないかということが、一番の課題かと思います。
 新型インフルエンザに感染したらということですけれども、これも前回までにお話があったとおり、基本的には38度以上の高熱、そのほかせき、くしゃみ、全身の倦怠感であったり、吐き気、下痢というようなものが、症状として見られるということでございます。最新のデータでは、新規患者の9割の方が未成年者というふうに言われております。米国でも、当初は十代で流行いたしましたけれども、ほかの世代にも、その後、感染が拡大しまして、最終的には入院患者の半数以上の方が18歳以上ということが言われております。ということで、今は集団生活を送っておられる子供を中心に感染が広がっているわけですけれども、この後、流行が広がるにつれて、成人にも感染が拡大するのではないかということを、我々は企業対策の中で訴えております。
 新型インフルエンザが大流行した場合の影響ということなんですけれども、これはあくまでH5N1と言われている鳥インフルエンザ由来の新型が発生した場合、日本の政府が立てた想定ということで御理解をいただきたいと思います。2005年の12月、新型インフルエンザ対策行動計画を政府が出しておりますけれども、この想定では国民の4人に1人、25%の方ですね、総人口1億2800万人ということで仮おきして、4分の1の3200万人の方が感染し、感染した方の50人に1人、つまり2%の方が亡くなると日本政府は想定しております。あとは、そこに書いてございますように、受診者の方がこれぐらい、入院患者これぐらい、最大入院者数は10万1000人というような数字が、政府の行動計画には含まれております。
 ここで目をとめていただきたいのは、流行期間中の入院患者数が53万人から200万人ということで、書かれているわけでございますけれども、この200万人という数字は、結構インパクトが大きいんですね。今、日本の中の全病床数は、約170万でございます。ですから、これはもう非常にインパクトが大きいということですね。医療機関にとっては、厳しい数字を政府は出しているということでございます。余りにも大きい数字で、なかなか現実感が伴わないんですけれども、この政府想定をそのまま企業に当てはめて、例えば5,000人を要している企業グループ、大手の企業グループがあったとした場合、4分の1の1,250人の方が感染をして25人の方が亡くなるという、非常に大きな数字が出てきているということでございます。
 このような前提条件をもとに、企業の方が対策を立てるに当たって、私どもがコンサルティングをする場合、お話をしていることは、特徴としてこういうことをやはり押さえておかないと、企業としては足をすくわれますよということでございます。
 1つは、企業の方々、既に地震であったり、風水害というようなものについて、対策を立てておられる、事業継続計画を立てておられるんですけれども、その作戦をそのまま使われたのでは、新型インフルエンザ対策としては不十分になってしまうということがあり得るということをアドバイスしております。新型インフルエンザは世界的な影響を与えるということですね。台風であったり、ハリケーンにしても地震にしても、基本的には地域限定ということになるわけでございますけれども、新型の場合は1国、あるいは1地域ということではなくて、世界的に流行が広まってしまうということです。これを言いかえれば、地震の場合は、例えば3日、4日待てば、どこかから防災物資が来る、あるいは災害ボランティアの方、あるいは行政で連携しておられるようなところから、助けが来るわけですけれども、新型の場合は、どこもかしこも、皆被害を受けるということですので、よその地域を助けるということが非常に難しくなるということです。
 また、物資自体はやられない、人だけがやられるということですので、物は残っているわけですね。物資はあるんだけれども、運べなくなってしまうというようなこと、あるいは、海外からの輸入、発生国からの直行便を自粛してもらうというようなことが、打ち手の中に入っておりますので、運べなくなってしまうというようなこともあり得るということです。
 あとは、地震防災のときに、例えば東京が被災したときには、大阪のセンターがバックアップするというようなことがあるわけですけれども、これも今回の場合には使いにくいということです。この被害が、影響が世界的なものになるということが、対策を立てるときに非常に難しいという原因になっているかと思います。
 2つ目の特徴としては、物損はないんだけれども、人的被害が甚大になるということですね。これ、地震と違いまして、建物は壊れない、機械も大丈夫、コンピューターセンターも支障はないんだけれども、それを動かす人がいないということでございます。先ほど申し上げたように、国民の4分の1、25%が感染をするという想定ではあるんですけれども、社員の欠勤率というのは、政府の想定で最大40%と見ております。これは、御本人が感染していなくても、学校が休校になる、あるいは福祉施設関係で、デイサービスがお休みになるようなことがありますと、共働きの奥様方は家にいていただかなくてはいけないというような状況が発生するということで、政府は、感染率は25%だけれども欠勤率は40%という見方をしております。
 それから、3つ目、これは被害が長期化するということも、残念な情報ということでございます。ほかの緊急事態の場合は、もちろん地震が地域をまたいで続くというようなことは決してないことではないんですけれども、新型インフルエンザの場合は、発生してから、どんどんどんどん状況が悪くなるということです。政府の想定では、新型インフルエンザの流行が始まってから、流行期間は18カ月から24カ月、1年半から2年、その間に波がやはり2回から3回あるのではないかというふうに見込んでいるということでございます。
 こういう状況に基づいて、今から4年前になります。平成17年12月に、政府は新型インフルエンザ対策行動計画を出しております。ただ、この新型インフルエンザ対策行動計画は、冒頭申し上げました鳥インフルエンザ由来の病原性の高いインフルエンザが新型インフルエンザに変わった場合ということを想定しております。つまり、打ち手が非常に厳しいということになっております。例えば、集会主催者、興行施設の運営者に対しては、活動の自粛要請をする。あるいは、学校、通所施設、デイサービスの臨時休業、それから入学試験の延期等についても要請をする。企業に対しても、不要不急の業務の縮小要請というような形で、かなり厳しい対策、打ち手を入れております。
 ただ、今回、実際に発生した豚由来の新型インフルエンザは、流行の過程で病原性がそれほど高くない。いわゆる毒性はそれほど高くないということがわかってまいりましたので、5月16日に国内発生したわけですけれども、この対策の運用というものは、弾力的にしましょうということで、軌道修正が行われております。一番最近行われた軌道修正というのが、10月1日に厚生労働省が出しました「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(二訂版)」ということで、これが、この冬に向かって、国としてどういうふうにいこうかという方向性を示していると思います。
 今までのまとめになると思いますけれども、今回の新型インフルエンザの特徴として、感染力は非常に強い、ただし、病原性はそれほど高くないので、多くの感染者は軽症のままで回復しています。
 もう1つ、抗インフルエンザウイルス薬と言われるリレンザ、タミフルというものが有効であるということで、投与が推奨されている。つまり、季節性のインフルエンザとそれほど変わらないということが、新型インフルエンザのまとめとして出てきています。ただし、季節性インフルエンザと大きく違うことは、季節性インフルエンザの場合は、高齢者の方が重篤化するということで死亡する例が多いのに対して、今回の新型インフルエンザは、いわゆる基礎疾患、例えば糖尿病、ぜんそく等の呼吸障害、呼吸器系の疾患を持っておられる方が重篤化してお亡くなりになる。それから、これは日本でも例が出ておりますけれども、基礎疾患をお持ちでない健常な若者が亡くなられるケースが出ている。いわゆるハイリスクといわれている方々が、季節性とは違うということで、ここが1つ大きなポイントになってくるのだろうなということです。
 私どもが企業にお話をするとき、今、一番ポイントを置いているのは、この基礎疾患を持っておられる方に対する対応ですね。これは、この5月から流行する中で、新型といっても大したことないんじゃないかなというふうに思われている方が出てきておられると。確かに、多くの方が軽症のまま回復されているというのは事実ですけれども、御自分の、例えば御両親であったりとか、お子さんがぜんそくを持っておられるような形で、このハイリスクの方が身近におられると非常に注意していただかなくてはいけない。また、御本人が糖尿の症状を持っておられるということになると、感染した場合、非常に重篤化する可能性があるということを、政府はメッセージとして出しているということです。
 それから、企業としても、働く場において、安全配慮義務を負っておられるわけですから、自社の社員に対して、ハイリスクの方々が、もしかかったときには非常に重篤化する可能性があるから、皆さんすみやかに医療機関で受診してくださいね、こういう方たちは重篤化する可能性があるんですよねということを、メッセージとして、社員に出していただくことが、非常に重要であるということを今、お話をしております。
 企業の方たちが興味を持っておられる点ということで、先ほど申し上げた抗ウイルス薬、タミフル、リレンザ等もございますけれども、昨今、非常に話題になっておりますワクチンについても、どうなんだろうということで、企業の総務、人事の方からお尋ねをいただくことが多いということでございます。
 ワクチンについては、先週の月曜日から流通ということで、今、進んでいるわけですけれども、実際、流行の次の波、冬ですよね。ここまでに国民全員分に当てはまるということはなく、優先順位をつけた接種が行われるということになっております。5400万人分というようなことがよく言われているわけですけれども、これは、よく報道されておりますとおり、最優先の医療従事者、これが実は先週の月曜日から始まって、100万人分。ただ、これも、実際100万人分の中に、医療機関の中の、例えば事務職の方が入っておられない、受付の方が入っておられないということで、足りないというようなことが、実際に出てきているわけでございまして、順番に接種が少しずつおくれているような状況が見てとれるかと思います。この医療従事者に加えて、妊婦、それから持病のある方、これは先ほど申し上げた基礎疾患のある方ということで、ぜんそくであったり、糖尿であったり、こういう方が900万人。それから、1歳から小学校3年生、さらに1歳未満の方には直接打つのではなくて、両親の方に打つというようなことですね。ここまでが最優先になっています。それから、優先として、小学校4年生から6年生、中学生、高校生、さらに65歳以上の高齢者の方ということで、5400万人という数字が出ております。
 企業の方が、やはり興味を持っておられるのは、基本的に企業で働いておられる社員のほとんどの方はこの対象に入ってこないということですね。基礎疾患を持っておられれば、この持病のある方に入るんですけど、あとは、基本的には妊婦の方、あるいはお子さんの年齢層ということになります。ですから、この冬以降の流行の波については、企業はワクチンという打ち手、これが切り札にはならないということを前提にして対策を立てていただくというようなことが必要になってくるかと思います。
 企業はどうするかということなんですけれども、実際、気温も下がって、湿度も下がってということで、次の大きな波までの準備期間が非常に限られているということを理解していただいた上で、やることとやらないこと、これを明確にした上で対策を立てていただきたいというお話をしております。企業の中で、新型インフルエンザ対策をやっておられる方も、四六時中、対策をやっておられるということではなくて、総務や人事の方が、新型インフルエンザ対策も担っておられるということでございますので、あれもこれもという打ち手を全部やるということは、もう非常に難しい。人手も時間もお金も限られるという中でございますので、これはもう、限られた時間でやることとやらないことを明確にした上で取り組んでいただくことが非常に重要になってくるというお話をしております。
 対策のポイントとして、3つお示ししておりますのは、情報入手の重要性、これはさすがに新型インフルエンザということで、情報が刻々と変わっているということでございます。ワクチン政策なんかについても、この1カ月、2カ月ぐらいに新しい情報が出てくるとか、新しいことが決まりつつあるというようなことですよね。それから、ことしの、例えば5月ぐらいの状況ですと、熱を出した人はどこに行くかというと、保健所にできた発熱相談センターに行ってくださいねということで、これは我々もお願いしてましたし、行政もそういうメッセージを出しておられたと思います。ただ、これは、新型インフルエンザがそれほど重いものではない、病原性が、それほど高くないというのがわかった段階で、かかりつけ医、一般の外来でも診療しますよというメッセージに変わっております。指示が変わっているわけですね。ですから、1回立てた対策、打ち手についても、これは企業側、刻々と変わる国の指針であったり、行政の指導に基づいて、ガイドラインに基づいて、変えていく必要がある。そういう観点から、情報入手というのは、非常に重要になってくるということです。
 それから、何と言っても、先ほど、ワクチンがまだ最初の波で、企業には回らないというような状況からすると、基本のき、イロハのイの感染防止、感染予防をしっかりするということですよね。これは、手洗いであったり、うがいであったり、マスクの着用、咳エチケットといわれるような基本的な感染防止策を的確にとっていただくことが必要となります。
 ただ、怖いよね、ワクチンないよねということで皆さんが恐れるだけであると、事業が回らない。社会機能の維持を求められる事業者の方を中心に、事業継続もやりましょうということが、2本柱として出てくるということだと思います。
 それから、発生してから流行の大きな次の波が来てからでは間に合わないことがあるよねと。これは春の流行のときに、我々が経験した備蓄ということですね。マスクであったり、アルコール性のジェルであったり、こういうものが払底してしまったということがあります。これは、今の段階で速やかに整えていただく必要があります。
 それから、従業員、社員の教育ですね。感染予防に関する教育なども、流行が拡大してくるとこういう形で集合研修ということができなくなるわけですね。大きな教室に詰め込んで皆さんに研修していただくということは逆に感染拡大の可能性があるので、こういうことは今の間にやっていただくということがよろしいのかなということでございます。
 企業対策については、皆さん、何によっておられるかというと、厚生労働省が出しました「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」、これは昨年の11月に改定をされておりますけれども、これに基づいて対策を立てておられるところが多い。ここでは、先ほど申し上げました対策の2本柱、感染予防をまずしましょうということ、それから、感染予防をした上で、社会機能の維持を含めて、企業の社会的責任ということになりますけれども、事業を継続していただくこと、これが2つ目のポイントになってくるかと思います。
 感染予防策につきましては、第3回の委員会で御説明がありましたので、詳細についてはここでは触れませんけれども、基本的には、飛沫感染、それから接触感染、この2つが非常に感染ルートとして危ないということであったかと思います。感染者のせきやくしゃみから排出されるウイルスを含む飛沫を吸い込むことで感染する。これが飛沫感染。それから、ウイルスが付着したものですね、例えばドアのノブであったり、エレベーターのボタンをさわることによって出てくる接触感染。この2つを絶たないといけないということでございます。
 感染予防策として推奨されることは、飛沫感染を防ぐために人との距離は2メートル以上とりましょう、接触感染を防ぐために職場の清掃・消毒をいたしましょうというようなこと。あとは、限られたところ、狭いスペースにたくさんの方が集まらないようにということで、在宅勤務とか、フレックス、こんなことも考えましょうということですね。それから、感染のおそれのある人はまず出社してもらったら困りますよということで、出社の自粛。自粛するに当たっては、当然、それをカバーする人事のルール、休暇のルールですね。こういうようなところも必要になってくる。あとは、不要不急な会議をやめましょう。電話会議、テレビ会議でその代替といたしましょうというようなことも、推奨されております。
 その次からは、感染予防のポイントということで、例えばマスクはこういうふうにつけましょうとか、手洗いはこういうふうにしてください、あるいは、うがいはこういうふうにするのが正しいですよということなんですけれども、今申し上げたマスクであったり、手洗いであったり、うがいということは、非常に、基本的なことでありまして、難しいことは何も言っていないわけです。ただ、ポイントは、お1人の方がやっているだけではだめということなんですね。要は、感染というものは予防の堤防の低いところから入ってくるということですので、これは全員が取り組まなくてはいけない。企業でいえば、正社員の方だけが取り組んでいたのでは意味がないということです。職場で、例えば派遣の方もパートの方も非正規の方も、職場におられる皆さんが、こういう対応を同じレベルでとらないと意味がないということでございます。
 先ほど、物資のお話を少しさせていただいたんですけれども、マスクや消毒剤がなくなったというようなことが、この春にはございました。特に、新型インフルエンザ対策行動計画、政府の打ち手には、鳥インフルエンザ由来の強いものが出た場合は、感染国からの航空機の運航自粛というようなものも入っております。食料がなくなる、輸入できなくなるというようなこともシナリオ上は想定されておりますので、新型インフルエンザが流行した時期には、我々国民も、できるだけ流行の時期には外出を差し控えるということも求められることがあり得ます。ですから、食料等も備蓄をしていただくというようなことが重要になってくるかと思います。
 地震もそうなんですけれども、企業対策ということで私どもお話をしておりますけれども、企業を支えるというのは、あくまで個人、家庭対策というものが非常に重要になってくると思います。地震が必ずしも9時5時の時間帯で起こらないということからすると、自宅で家具をとめておくとか、そういうことが非常に重要になってくる。新型も全く同じでございますね。企業で会社に来ている方だけが頑張ればいいということではなくて、自宅でお子さん、あるいは奥様方の対策というものができていなければ、そこから感染が企業に持ち込まれるというようなことがあり得ます。ですから、私は、企業対策という切り口でいつもお話をしますけれども、その背景にある重要なことというのは、それを支える家庭対策というようなことになるのかなと思います。そういう意味でも、家庭における医薬品、日用品の備蓄、それから食品の備蓄というようなことも、非常に重要になってくるかと思います。
 今申し上げたところが、感染防止の部分になるわけですけれども、企業対策の2本柱、感染防止と、もう1つは事業継続ということでございました。
 どれぐらい事業継続をするのかということについては、これはもう基本的には、それぞれの事業者が決めるということでございます。ただ、社会機能を維持している、例えば電気、ガス、水道というようなインフラですね、こういうような事業については、継続を要請されるということであろうし、その一方、感染拡大を防止するために、事業活動を自粛してくださいと言われるような事業者も出てくるだろうと。これは先ほど申し上げたような不特定多数の方を集めるような事業、コンサートとか映画とか、興行ですね、それから、遊技場と言われるようなところについては、一定期間、自粛をしていただくようなことが求められる可能性があるということでございます。あと、政府から自粛の要請が出ない場合も、この春ございましたように、例えば旅行というような事業については、需要が落ちてくるというようなことが考えられるということでございます。
 それから、実際に取り組みを始めておられる企業はたくさんあるわけですけれども、どんなところに実際困っておられるかというようなことを、少し御披露しておこうと思います。例えば、たくさんの方が1つのところに集まらない、あるいは、感染が怖いから自宅で勤務をしたいというような方がおられるということで、在宅勤務というようなワークスタイルというものが、1点、考えられるわけです。ただ、実際に、じゃあ在宅勤務をやろうというようなことになっても、自宅に社員の方がパソコンを持っていればいいということでは、決してないわけですね。例えば、銀行さんを取り上げれば、これは何でもかんでも自宅でやれるかということは、決してありません。銀行法で、預金受払、融資、為替取引、こういうものは営業所内でやってくださいというものが定められているということで、これは当然のことながら、コンプライアンスの観点から、在宅勤務できません。あるいは、法的問題のほかに、自宅にパソコンがあればいいということだけではなく、セキュリティー大丈夫ですか、個人情報漏れるようなことないですかというようなことが1つ。あとは、在宅勤務ということは、どこからどこまで勤務しているというような勤怠管理の問題が出てくる。それから、非常にたくさんのデータを、自宅と会社、それ以外のところとやりとりということになると、回線の容量とか処理スピードとか、いろんな問題が出てくる。要は、在宅勤務をやろうということは、非常に美しい解決になるのかもしれないんですけれども、具体的にやろうとすると、いろいろと乗り越えなくてはいけないハードルが見えてくると。今、企業は、実際、そういうハードルを乗り越えつつ、大きな流行に備えているというのが実態かと思います。
 今、コンプライアンスということで、法律のお話を申し上げたんですけれども、法律上の問題で抑えておくべきこともございます。例えば、感染拡大だねと。うちはそれほど事業継続求められていないんじゃないかなと。製造を一時ストップしようというようなことを、例えば決められた場合ですね、これはその事業として、その事業者さんとしては、そういう決断をされるかもしれないんですけれども、じゃあそちらの企業が結ばれている契約上、どうなんですかということなんですね。
例えば、12月末までに、あるいは3月末までに、これだけのロットを納入しますというような契約を結んでおられる場合、それをそのまま、感染拡大の防止のためにやめますというわけには、なかなか難しいんだろうなと。こういうお客様に対しては、今の段階で、例えば政府からの自粛要請が出た場合、あるいは、その企業の責に帰さないような事由で、例えば感染拡大のためにやはりやめなくてはいけない、中止しなくてはいけないような場合には、契約の見直しができるというような条項を、今、入れていただくようなアドバイスもさせていただいております。これは、今であれば、関係各社さんが寄り集まって、その対策を法的に見直すというような、検討をしていただくというようなことも可能かと思うわけでございます。
 あと、労働条件ということで書かせていただいても、政府の想定では、毒性の強い新型インフルエンザが出た場合というのは、4割ぐらいの方が欠勤することも想定しておきましょうという立て方になっております。ということは、4割の方が欠勤するということは、残りの6割の方で事業を回していくということになります。もちろん、不要不急の業務についてはお休みということもあるわけですけれども、当然のことながら、限られた人員で事業を継続していただくということになると、出てきた方の労働が大変になるということですね。時間外の勤務が出てくるかもしれない。あるいは、事と次第によっては、土曜日、日曜日というような休日の出勤の問題が出てくるかもしれない。これは、当然のことながら、労働基準法の問題、あるいは組合との協議というようなことも、これは今ならお話していただくことはできるわけですね。これもう、本当に流行が拡大して、バタバタ人がお休みになるような状況になってからどうするということでは、間に合わないということではないかと思います。
 これやあれやのことをいろいろ考えていただく中で、冒頭申し上げたように、非常にお時間が限られていると。次の大きな波が冬に来るということが間違いないということでございますので、冬に向けた対策のポイントということで、我々が今、企業にお話していることを申し上げると、次のようなことかと思います。
 まず、今の病原性が高くならない、季節性のインフルエンザとそれほど変わらないというような状況の場合ですね、これはまず、第一の打ち手としては、感染した方、それから感染のおそれのある方は、まず出社しないようにしてくださいということですね。これは、基本的にはコストがかからない。我々の行動変容。なかなか行動を変えるというのは難しいわけですよね。トップの方が、新型だって大したことないんだろうというようなことを、もしおっしゃっておられると、この打ち手は使えないわけですね。やはり、これはトップから従業員のお一人お一人まで、自分が感染したときには、自分が感染の拡大のもとになってはいけないということで、ぜひ、出勤を控えていただくと、これが非常に重要になってくると思います。
特に、次の波において、基本的に企業で働いておられる方で、ワクチンの優先接種対象となる方が限られておりますので、この感染した方は会社に出てこないという打ち手が非常に有効になってくると思います。
 それから、さはさりながら、出社後、感染が明らかになるというようなケースもあります。朝、出てきたときはどうもなかったんだけれども、途中で熱が出て夕方には高熱というようなことがあり得るわけですけれども、そういう場合は、これはもう、速やかに帰宅していただくというようなことですね。こういうことが重要になってくると思います。
 それからもう1つは、咳エチケットと言われている基本のきの部分ですね。感染防止策と言われている部分。これは、くどくなりますけれども、御自分だけがやっていては意味がないということですね。周りの方、手に手を取って、こういう感染防止策をやっていただくということが非常に重要。その観点から、社内の定期的な消毒ということも重要になってまいります。
 あと、季節性のインフルエンザのワクチンの接種は、医療機関と相談してということにはなりますけれども、接種できる方については、季節性のインフルエンザと、それから新型インフルエンザが並走する、両方出てくるというような可能性も当然ございますので、季節性のインフルエンザの摂取もしていただくことが重要になってくるかと思います。
 そして最後になりますけれども、これも我々、企業の人事、総務の方にお願いしている重要なポイントの1つでございます。いわゆるハイリスク、基礎疾患を持っておられる方は、感染した場合、重篤化する可能性がある。これは、まず、その御自分がハイリスクと言われる方々に、周知徹底をしていただくということが重要です。やはり、自分で感染防止をしっかりしていただくような環境を整えていただくというのも、企業の安全配慮義務になるのではないかなということ。それから、ハイリスクの方々には、自分たちがハイリスクであるということと同時に、もし感染した場合は、ためらわずに速やかに医療機関に行っていただくことが重要というようなことも、メッセージとして伝えていただくことが重要なのかなということをお伝えしております。これは、抗インフルエンザ薬と言われているようなもの、例えばタミフルについては、48時間以内の投与が推奨されておりますので、ためらわずに医療機関に行っていただくことが重要ということをお伝えしております。
 今、申し上げたのは、病原性が高くならない前提ですけれども、例えば、スペインインフルエンザがそうであったように、これから流行の過程で病原性が高まってしまった場合、あるいは、今は地雷として埋まっておりますけれども、鳥インフルエンザ由来の新型インフルエンザが発生してしまった場合――これは非常に高い致死率というようなものが想定された場合ですね――これは、先ほど申し上げた感染者や感染のおそれのある者は出社しないということであったんですけれども、もう企業のほうとして入れないということですね。
例えば、職場の入り口で体温を測定していただくようなことも検討していただく必要が出てくるかもしれない。それから、ハイリスクの社員については――今の状況では、例えば、注意しましょうというような注意喚起であったわけですけれども――もし、非常に高い病原性のものが出てきた場合は、例えば、ハイリスクの基礎疾患を持っておられるような方、あるいは妊婦の方については、自宅で勤務していただく。在宅勤務というような、この勤務形態も考えていただく必要が出てくるかもしれないということです。
 あとは、基本的には、今、打ち手として打っている対策、2メートル以上離れましょうとか、そういうような社会的距離、それから出張の規制というようなことを強化していただくというようなことが必要になってくるのかなということでございます。
 最後に、まとめということなんですけれども、1つは、新型インフルエンザ対策ということで、気をつけようねということで終わっていたのでは、これもう非常に実効性がないということでございます。例えば、感染防止ということででも、咳エチケット、手洗い、これは基本的なことではありますけれども、着実に全員がやっていただくということがもう非常に重要になってくると思います。
在宅勤務をとってみましても、ただ在宅勤務といううたい文句だけではなく、どういうふうにやるのかということを具体的に落とし込んでいくというのが今、企業に求められていると思います。
 それから、2つ目は、これは自社のみでなく、他社も、これ繰り返しになりますけれども、感染防止は自分だけではなく、同僚から、それから家族からということが言えるかと思います。自分だけでなく、他人もということになるかと思います。
あと、繰り返しになりますけれども、正社員だけではなく、派遣スタッフ、アルバイトの方、それから社内に出入りするほかの事業者さんについても、やはり同じレベルで感染予防に取り組んでいただくということが、非常に重要になってくると思います。
3つ目は、情報開示と情報共有ということでございますけれども、我々言うところのリスクコミュニケーションということです。例えば、新型インフルエンザの様相というものも、今後の流行の中で変わってくるということが想定されます。今までの対策が十分でない、あるいは変えざるを得ないというようなことが出てきた場合は、速やかに社員、それから社員の御家族、関連する事業者の方ですね、今、サプライチェーンという中で、自社と他社の関係というのは非常に密接になっております。そういう意味で、御自分の会社で持っておられる情報を共有しつつ、周りの方と手に手をとって、対策を打っていくことが、非常に重要になるかと思います。
 いろいろ申し述べさせていただきましたけれども、私のお話しさせていただいたことが、1つでもこの委員会の御議論に資すればということを念じまして、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○大橋委員長
 ありがとうございました。
 以上で、本田様からの意見陳述は終わりました。
 それでは、これより質疑応答をしてまいりたいと思います。
 御質問、御意見等がありましたら、御発言願います。

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