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委員会会議録

委員会補足文書

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平成23年10月富士山静岡空港活性化特別委員会
参考人の意見陳述 静岡経済研究所 調査部特任部長 内野孝宏氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/26/2011 会派名:


○内野孝宏氏
 御紹介いただきました静岡経済研究所の内野と申します。本日はよろしくお願いします。
 静岡経済研究所は、静岡銀行を母体としております調査研究機関でございまして、主に静岡県内の中小企業の皆様、会員制を取っておりますけれども、約1万6000名の会員の皆様に、情報提供を行っている機関でございます。そうした立場から、きょうは私から空港活性化に関しまして、一体どんなテーマで話をしたらいいのかと考えたんですが、これまでの私どもの自主研究でありますとか、受託調査の経験でありますとか、あるいは、静岡経済同友会、ここで、航空貨物利用促進協議会の設立提言ということについても、若干お手伝いさせていただいたこともございますものですから、きょうは、航空物流から見た富士山静岡空港の利活用についてということで、お話させていただくことにしました。
 内容につきましては、ここにありますように、富士山静岡空港の産業面での活用、航空貨物の流れ・仕組み、富士山静岡空港の航空貨物取扱の現状、富士山静岡空港を取り巻く環境と課題、それから、富士山静岡空港の利用に関する荷主の見方とフォワーダーの見方、さらには、航空物流から見た富士山静岡空港の利活用の方向性といった6本の柱について、説明させていただきたいと思っていますけれども、私の仕事は、いろいろと現場の生の声を、つまり足で稼いだ情報を得まして、それを整理して、自分なりに解釈、加工して、皆様に情報提供して伝えるという仕事でございます。それで、どうもこの後、参考人という形で私に質問がいろいろと用意されているようでございますけれども、私自身、航空物流の実務に携わっている者でもございませんし、それから、必ずしも航空物流の専門に調査している人間でもございませんものですから、実務に関する詳しい質問でありますとか、あるいは、最新情報ということを求められても、必ずしも、皆様に御満足いただけるような回答ができないかもしれないということをあらかじめ御理解いただければありがたいと思っております。
 それでは、早速説明に入らせていただきます。
 2ページをごらんいただきたいと思います。
 ここに、富士山静岡空港の産業面での活用と、この図表1にございますように、大きくはこういった空港業務関連分野とそれから空港機能活用分野という形で分かれるかと思います。
 この空港業務関連分野というのは、空港機能本来の業務やそれをサポートする業務、空港機能活用分野というのは、飛行機を利用する人々に提案して、ビジネス展開したり、出張やゴルフの利用で、高付加価値化あるいは活性化を図るというような業務でございまして、具体的には、空港業務関連分野については、航空事業でありますとか、航空機整備業、あるいは燃料エネルギーを供給するところでありますとか、警備あるいは機内食製造とか、航空機部品製造などが挙げられるかと思います。このうち、航空事業につきましては、非常に幸いしまして、静岡空港の場合、地元企業であります鈴与さんが、フジドリームエアラインズという形で、乗り出してくれたということで、非常に特色のある地方空港ということでスタートができましたし、航空機部品製造業というのは、例えば、浜松商工会議所の音頭で、SAT研――宇宙航空技術利活用研究会――というものを立ち上げて、地元中小の機械加工メーカーが、航空機のエンジン関連部品について、受注するなどの取り組み事例が見られているところでございます。
 一方、空港機能活用分野につきましては、既存産業での活用、あるいはレンタカー、ビジネスホテル、物販、飲食業、もろもろのアミューズメント産業といったものが挙げられるかと思いますが、この利活用についての圧倒的なボリュームを占めるのは、空港機能活用分野ということで、これが特に既存産業での活用というのが最重要課題で、恐らくこの富士山静岡空港の利活用の推進のかぎを握るということだと思います。
 この既存産業の活用ということについて考えますと、恐らくビジネス事業と観光事業というものが考えられると思いますが、現状を見ますと、まだ活用の余地が残っていると言いますか、あるのは、観光事業については、インバウンドの観光、それから、ビジネス事業については、航空貨物の輸送に関するものではないかなというふうに考えられます。ただ、この2つのうち、インバウンド観光につきましては、この特別委員会で、既にいろんな方にテーマとして取り上げられたようでございますし、私は先ほど申し上げましたように、航空貨物関連の企画調査等もやらせていただいたこともございますものですから、きょうは、航空物流の話をさせていただくということでございます。
 次に、図表2でございますけれども、ここに、企業活動のプロセスから見た空港活用場面と効果というようにありますように、ここにある「モノ」を動かすということで、航空貨物をいわゆる活発化させることで、研究・開発であるとか、マーケティングであるとか、仕入れ・調達であるとか生産、それから販売・配送、こういったあらゆる業務分野におきまして、いろんな効果が、新たな販売先・調達先の増加、開発時間の短縮であるとか、ビジネス界損失の減少とその削減、こういうもろもろの効果が考えられるということでございます。すなわち、静岡県の経済・産業の活性化に貢献していくということでございます。
 具体的な事例につきましては、後ほど、少し説明させていただきたいと思っております。
 それから、次に、航空貨物の流れ・仕組みということでございます。
 こういった話は、皆さん既に御存じのことだと思いますけれども、ここで改めて整備してお話させていただきます。
 まず、図にありますように、航空貨物というのは、輸出者と輸入者の間に航空会社だけではなくて、航空貨物代理店であるとか、通関業者であるとか、配送業者であるとか、こういった方々の仲介、特にフォワーダーでございますけれども、フォワーダーの存在がございます。
 それから、次に、航空貨物の種類でございますけれども、ここに書いてありますように、荷物の大きさ等によって、取り扱いの物流業者、あるいは通関システム、あるいは搭載可能な機材等が異なるということでございます。
 代表的な物として、いわゆるEMS――国際スピード郵便と言われる、郵便局が取り扱っている郵便小包の国際版というふうに考えていただいてよいかと思いますけれども――通関としては、簡易通関という形になっております。
 2番目は、いわゆる緊急小口貨物、国際宅配便と言われているようなものでございまして、これが、エクスプレスで、これはいわゆる自社の専用貨物機を持っているインテグレーター、例えば、フェデックスであるとか、DHLとか、そうしたところが取り扱ってございます。名前のとおり、比較的小口の貨物でこれも簡易通関ということでございます。
 それから3番目が、エアー、これが一般貨物と言われているもの、比較的大きな荷物を取り扱うものでございまして、これは、フォワーダーが取り扱う、日通さんであるとか、ヤマトさんであるとか、郵政さんであるとか、そうしたところが、いわゆる業務通関、これはいろんな多法令、法令に照らし合わせて、貨物をチェックして、荷物を運ぶためのいろんな書類作成をしているということで、こういったところがもろもろの手続を行うのがエアーと、大きくはこの3つに分かれるのかなということでございます。
 それから、ではフォワーダーの役割は一体何なんだと言ったときに、フォワーダーというのは、複数の荷主から集めた貨物をまとめて、混載貨物として航空会社に運送を委託する混載業者であるということでございまして、航空会社の貨物スペースを利用していると、そして、運送しているということでございます。それで、荷主に対しましては、運送責任を第一義的に負うということでございまして、航空会社とは、あらかじめ過去の実績に応じた輸送配分スペース、アロットメントを確保しており、これに積みきれない場合には、航空会社とスポットスペースの交渉を行うというようなことでございます。
 それから、エアウェービルの荷主への発行、こういったもの、いろんなもろもろの書類の発行を行う、あるいは通関業務を行う、あるいは傭車を含めて集荷を行う、代金の決済を行う、荷づくり包装を行う、倉庫に保管を行うといったような業務をこなして、フォワーダーというのは、この航空貨物運送については、非常に大きなかぎを握っております。
 それから、次でございますけれども、輸送のプロセスもだんだん変わってきたといったことが挙げられると思います。荷主とフォワーダーと航空会社、この関係の役割分担が、だんだんと変化してきているといったのが、この図でございます。
 まず、基本形でございますけれども、荷主が出荷、あるいはこの物流業者が集荷に行って、そこで、物流業者、フォワーダーが通関を代行して、それから航空会社のところで、ULD化して、フライトして載せるというのがオーソドックスな形でございます。
 このULDという言葉、なかなか聞きなれないんですけども、ユニットロードディバイスという略で、貨物をパレットの上に載せて、ロープで固定させ、貨物が一塊になった状態をいい、この形を崩さずにそのまま輸送できれば、輸送リードタイム、全体の輸送時間の短縮につながるというようなものでございます。
 パレットというのは、一般的にクンロクのパレットというのが、よく言われていまして、これが、2メートル43センチ掛ける3メートル17センチということで、大体五、六トンぐらい載せられるというものでございます。トランジットの場合、さっき言ったようにこの形をユニットのディバイスのまま、崩さずに輸送を継続できれば、輸送時間のリードタイム、短縮につながるというものでございます。
 それから、先ほど申し上げた国際郵便とエアの一般貨物でございますけれども、これはほとんどこの基本形になりますけれども、このエクスプレスについては、先ほど申し上げましたように、インテグレーターという存在もございまして、こちらが航空機を保有しておりますので、荷物の検収から飛行機の搭載までをこのインテグレーターが一貫作業として取り扱います。これに対して、最近インタクトというものの輸送形態が出てきております。これは、いわゆるULD化というものを必ずしも空港施設内でやるのではなくて、自分のところ、フォワーダーの自社施設内で行って、それをそのままの形で、飛行機に搭載すると。特に輸入の場合は、自社施設内でULD化したものを今度はばらすという作業も行うことがありますものですから、要するに、フォワーダーにとっては、航空貨物というものを自社のコントロール下に置くことができるので、非常に荷さばきの時間管理がしやすいというメリットがあります。
 それから、さらに、めったにないんですけれども、荷主通関というのもございまして、これはいわゆる荷主が通関とULD化を全部やってしまうということで、特にこれはコンプライアンスにすぐれた大口荷主さんに認められているようで、荷主がフォワーダーの役割を正すということでございます。
 いろいろこういった多様化してきておりますものですから、これから空港施設内に航空貨物に関する施設というものを整備するときのあり方にも影響が出てくるのかなということでございます。
 それから3番目が、今のところの航空貨物の取り扱いの現状ということでございます。これは、県からいただいた資料でございますので、皆さん既に御存じと思いますけれども、やはり、ざっと説明させていただきますと、まず、航空貨物についての取り扱いで重要な点は、飛行機のおなか、ベリー部にコンテナを搭載できる機材であるかどうか、それから、貨物は夜動くと言われていますので、フライト時間が一体何時だろうかといったものが非常に大きいことになります。表にありますように、就航機材としてコンテナが搭載可能なのは、アシアナ便ということでございまして、全日空とかいわゆる中国東方航空は、不可という形になっております。
 それから、フライト時刻のほうでございますけれども、大体ほとんど昼ごろのフライト時間ですので、貨物の締め切り時間というものを考慮しますと、必ずしも航空貨物に適した時間とは今のところ言えません。
 それから、次が静岡県を発着地とする航空貨物量でございますけれども、一体どのくらいあるかということでございますけれども、これは、財務省の統計でございます。これは1週間の調査を1カ月に引き延ばすものですから、7分の365という形で、推計した数字なんですけれども、直近の2008年においては6万3000トンというふうになっています。恐らくこの後リーマンショック以降、減少基調にあると思いますけれども、それでも、この6万3000トンというのは、かなり高いポテンシャルがあると見ています。ここに品目は書いてございませんけれども、主な品目としては、輸出は、一般機械、電気機械、電気機器、輸送用機器、それから、輸入については、電気機器、魚介類及び同調製品、一般機械というものが主な品目として、挙げられてございます。
 そうした中での富士山静岡空港の貨物の実績を見ますと、今、先ほど言ったようにこのばら積みにもかかわらず、かなり健闘しているなと、平成21年度は6月に開港しましてから、国内が札幌便が大体50トン、沖縄便が36トンということで、合計86トン、それから平成22年度になりますと、国内便の合計で167トン、それから国際便がここから貨物の取り扱いを始めまして33トン、合計しまして201トンと、それから、平成23年度、ことしに入りまして、4月に全部の合計で44トン、それから5月だと34トンということで、この時点では、大体月平均に直しますと10トンから20トンであったのが、ここからは30トンから40トンぐらいに及ぶということで、順調に増加していることがわかりました。
 それで、主な品目としますと、国内便は、札幌へは自動車部品でありますとか、医療機械であります。それから、沖縄へは家電販促品、それから、国際便については、上海からは衣類、雑貨、機械部品についてなど、それから、ソウルへは電子部品、自動車部品ということでございます。ただ、量的には、増加傾向にございますけれども、先ほども申しましたこのポテンシャルに比べては、全体量としては、まだまだ利活用を進めていく必要があるのではないかというふうに考えられます。
 それから、こちらは、一般的に見て、航空貨物を取り扱う上で、不足しているのかなと思われる貨物用施設、あるいは機材というものを挙げておいた表でございます。いわゆる、空港施設でこんなものがあれば、GSE、地上機材でこんなものがということでございます。
 それから、次は、航空物流から見た富士山静岡空港を取り巻く環境と課題ということで、挙げてみました。これは、SWOT分析というような形で、強み、それから弱み、機会、脅威ということで、そのような形でマトリックス表としてまとめてみたものでございます。
 まず、強みでございますが、これは世界的なハブ空港の仁川へ毎日就航していると、それも静岡空港の場合、地方空港には珍しくアシアナと大韓のダブルトラッキングという形で、乗り入れてございます。
 それから、全日空が推進しております沖縄貨物ハブ空港、沖縄への貨物基地へ毎日就航していると、この沖縄貨物基地については、皆さん御存じだと思いますけれども、成田、羽田、関空、仁川、香港、上海、台北を発着としまして、お互いの荷物を沖縄で交換するというもので、それぞれの空港を夜9時から12時ぐらいに出発して、沖縄の深夜2時から3時ぐらいにそれぞれの仕向け地別に、荷物を積みかえて、またそれぞれの空港に翌朝の7時ぐらいに到着するというもので、沖縄というものを東アジアの貨物ハブ基地にしようとするものでございます。
 それから、次が、静岡空港は成田のような大きな空港と違いまして、非常にコンパクトな空港ということで、荷物の搬出入の時間がスピーディーなことです。特に、最近、富士山静岡空港におりてきた輸入貨物としまして、荷主は、静岡県の企業ではなくて、首都圏の企業と聞いておりますけれども、静岡空港が東名に近いということや、先ほど言ったコンパクトで荷物の搬出がスムーズであるということに目をつけまして、中国のフォワーダーらしき会社が静岡空港を利用したいということで、そういった荷物としては、かつらみたいなものを取り扱ったという実績がございます。
 それから、設備稼働に余裕があると、つまり、今申しましたように、まだまだ利用可能時間が多くあるということもある意味強みではないかと考えます。
 次に、弱みでございますけれども、これはやはり成田・羽田、西にはセントレアといったことで、両サイドに物流の強豪の空港があること。それから、1日の便数が1本でリカバリー便がないこと。それから、就航路線も限られていること。夜間のフライトスケジュールに合っていないこと。アシアナを除きまして、ばら積みが基本であるということで、航空貨物取り扱いについては、かなり厳しい条件になっているのかなということです。
 一方、この外部環境の機会というふうなことを考えますと、静岡県は何と言っても、やはり工業製品だとか、農産物であるとか、水産物、これが質・量ともに非常に豊富で、非常に航空貨物取り扱いには潜在ポテンシャルが大きいと、それから、次が、アジア経済を何とか取り込めないかなということ、さらには、来年度からになりますけど、新東名、それから、行く行くは中部横断道、三遠南信道といった高速交通ネットワークが、他地域に比べて確実に格段に充実していくということ、それから、そういった意味でも時間配送サービスなど、高速輸送サービスが増加している中で、そういったものも高速というものが注目されると、それから、オープンスカイ政策によりファワーダー、チャーター便等の規制緩和が進んでいくと、それから、ローコストキャリア(LCC)の会社が台頭し、供給側にも競争原理が出始めていること、それから、旅客機の貨物機への用途変更といったような状況も伺えるということでございます。
 一方、脅威としましては、フォワーダーが拠点空港へと集約化の動きを進めているということです。確かにフォワーダーにとっては、収益を上げていくためには、荷主と荷主の間を幾つもの空港を使って、網の目のように張りめぐらして結ぶよりも、ハブに集中集約するということで効率化し、収益を確保していくということです。
 それから、旅客機の動きで見ていきますと、だんだん機材がダウンサイジング化している、小型化しているということで、これまでのように一度に大量輸送といった時代から、機材を小型し、多便化していくという動きが見られます。つまり、ベリー部でコンテナを使って運ぶという状況は、少し厳しくなっているなということが見られてくるのでございます。
 それから、成田、羽田の滑走路の拡張、それから、企業の海外進出によって、日本を経由しない、いわゆる三国間輸送、こういったもの、つまり、中国から日本に経由せずに直接アメリカへと運んでしまう、あるいは、地球環境問題によるモーダルシフトの展開、飛行機から船、鉄道へのモーダルシフトというのも、一部動きがみられる、それから、国内においては、リニア新幹線との競合もこれから脅威になってくるなということでございます。
 それから、次が、7ページでございますが、これが荷主とフォワーダーが富士山静岡空港について、どう見ているかということでございます。
 平成20年にヒアリング調査をした、受託調査の1つとして実施したものでございまして、ちょっと時間がたってございますけれども、荷主については、県内企業を中心に、幅広く航空貨物を取り扱っているのではないかなというところにアンケートをしまして、その結果として、大口荷主というものを20社ほどピックアップして、ヒアリングした中から、ここでは、主な、代表的な意見としまして、8社ほどを掲載してみました。恐らく、リーマンショックと比べると、貨物のボリューム量というのは、かなり落ち込んでいるとは思いますが、こうした考え方、基本的な考え方、あるいはスタンスについては、そんなに大きくは変わっていないのではないかなと思います。
 具体的な会社名は伏せますけれども、まず、通信機器メーカーというのがございまして、これはエアの利用理由としましては、中国、台湾等に組み立て工場、すべて、組立工場は海外にあって、末端ユーザーの注文を受けたNTT、顧客への納入期限が極めて短期間であるということで、海外組み立て工場への部品供給をエアで輸送しないと間に合わないということで、生産日数の短縮ということで利用しております。富士山静岡空港の利用条件としましては、この企業は、やはりグループの物流会社といったものが存在して、そこが統括してございまして、特に部品の出し入れの指定倉庫は成田になっているということですけれども、一方で実際、自分の目で在庫管理、品質管理をしていきたいという要望がございますので、できれば近場のそういうような空港がいいということで、そうしたグループ全体のシステムにマッチできる体制であるならば、ぜひ利用したいということでございます。輸送コストよりも主に全体の輸送時間、リードタイム、あるいは製品の管理が重要であるといったことを言われていました。
 次は、機械部品、これはベアリングをつくっている会社でございますけれども、基本は船便です。ですけれども、海外拠点の手配ミスであるとか、不良品などが発生した場合、やむを得ず、エアを利用するというものです。不良率としては、かなり少ないんですけど、つくっている全体の生産量というのは、物すごく多いものですから、エアによる輸送は定常的なものになっているということでございます。この会社も、物流の司令塔は大阪にございまして、そこですべての物の流れを決定する体制を取っております。ただし、ここは精密部品なものですから、トランジットよりもダイレクト便がいいということでございまして、それから、さらには、ローカルよりもハブがいいというような考え方になっています。
 次は、自動車部品メーカーでございますけれども、こちらも基本は海上輸送でございます。完成車メーカーの現地組み立て工場も、ジャストインタイム体制ということになってございまして、欠損品への対応、あるいは設計変更、あるいは緊急品、こういったものになることがありますものですから、エアで輸送しており、やはりこの会社もつくっている種類が多いのと、利用も多いものですから、こういった欠損品とか、緊急品といっても、結果的には定常的にエアで運んでいるというような状況になっております。特に、杭州に空輸している事例ですと、本日集荷で翌日成田フライトの現地通関で、翌々日仕向け地に到着の合計3日でリードタイムと今なっていますけれども、これを2日にできれば、理想的であるというような話をしておりました。
 それから、次は、機械刃物でございますけれども、こちらは、リョービとかそういったところの中国の現地工場の納入先の納入期限が非常に厳しく、エアでチップソーのような部品を自社の海外工場に空輸しているということでございます。こちらも精密部品ということでございまして、コンテナのない便は利用しないということや、便としては、金曜日にすれば、自社のアイドル時間が少なくなるということで理想的ということでございます。
 次が、缶容器を製造しているメーカーでございますが、こちらは、香港とかあるいは北京等にギフト用の高級な缶、これを製造しております。ギフト需要のため、非常に短期決戦型、集中型でございまして、そのときのためのサンプル、これを見てもらうにはどうしてもエアが必要であるということをおっしゃっていました。利用空港はフォワーダーにお任せだということで、リードタイムが短くなるなら、静岡空港をぜひ利用したいということでございました。
 次は、産業用ロボットの会社でございますけれども、こちらは、オーダーメードでつくっている産業用ロボットの会社でございまして、いわゆる受注生産という形で、特に海外の現地工場などへの納入は、短納期が要請されるために、こちらは定常的にエアを利用しているということです。こちらも、精密品でございますので、例えば仁川トランジットについては、粗悪で過去に破損の経験があるために直行便を望むという話が出ていました。
 次は、食品の製造・卸でございますけれども、こちらは、台湾、あるいは北海道への活鰻の輸送には、エアが欠かせないということです。この会社は、静岡の工場で一たんシャワーを浴びせまして、ウナギを賦活させるということで、できれば近接する静岡空港が通関、検疫などの面でスピード対応してくれれば、非常に使いたいと、あるいは土日の臨時開庁等していただければ、ぜひ利用したいという話でした。
 最後は、自動車部品でございますけれども、こちらは、海外に開発部門を持たないと、新車の立ち上げ時期には、短期で試作品、こういったものを現地の完成車メーカーに送らなければならないと、それでエアを利用しているということでございます。こちら、広州とかタイとかインドネシアに航路があれば利用したいし、この会社は、別にトランジットでも構いませんよという話でございました。
 以上、8社を説明しましたけれども、こういった中から、荷主とフォワーダーとの関係をまとめてみたのがこの下の表でございます。
 まず、荷主の物流体制、組織につきましては、大きく自社裁量型とグループ本社統括型になるのかなということです。
 自社裁量型というのは、静岡県内の会社・工場みずからが物流業者の手配をしたり、フォワーダー等々の決定をしている。
 それに対して、グループ本社統括型というのは、このとおりでございまして、静岡県内の会社・工場については、自主裁量権がなくて、本社の物流担当組織がすべて握っているといったものでございます。
 それから、航空貨物の利用の考え方でございますけれども、これは、需要期集中対応とそれから定常的利用型ともう1つは緊急対応型、基本は海上輸送が基本形といった形に分けられるのかなと。例えば、クリスマス商戦、ギフトシーズンなど需要期が集中したり、本格生産前のサンプル品の出荷、あるいはどんどんどんどん製品が陳腐化してしまうというような商品については、こういったものを定常的に空輸で運んでおります。
 一方、海上輸送基本型というのは、手配ミスとか品質不良品の発生、欠損品の発生など、緊急事態に限って空輸を行っている。ただし、大手企業を見ますと、つくっているものも多いし、生産量が多いので、緊急という割にはほぼ毎日定常的なことになっている場合があるということでございます。
 最後に、荷主とフォワーダーとの関係でございますけれども、荷主主導型とファワーダー依存型というのがございまして、例えば、荷主主導型というのは、年1回、運賃等の条件につきまして、委託契約の見直し、1回ごとに数社から見積もりを取る、荷主の本社物流部署にフォワーダーの営業員を常駐させるといったようなこともやっております。
 フォワーダー依存型というのは、フォワーダー2社程度の中から、これまでで一番使い勝手のよかった先に定期的に見直しもなく、簡単な見積書を提示してもらうだけで、ほとんどフォワーダー任せにしているということでございます。
 それで、ヒアリングの結果の範囲では、荷主主導型とフォワーダー依存型、大体半分くらいかなと、それから業種別に見ますと、需要期集中型、定常型は主に電子、精密機器、缶類、それから緊急対応型というのは、自動車部品関連ということの利用パターンが多いということでございます。
 次に、フォワーダーのほうでございますけれども、これはやはり、平成20年にやったものでございます。フォワーダーについて、静岡空港はどう見ていますかということでございますけれども、浜松市のあるフォワーダーの荷物量の感覚としては、かなりの取り扱いがあるよということで、感覚的には自動車部品、電気機器部品、機械部品、仕向け地別には、アジア、北米、欧州、このような順になっているのではないかなと。それから、現在の利用空港としては、フォワーダーによって違いますけれども、静岡以西はセントレア、静岡以東は成田、または静岡県のものはほとんど成田というふうに分かれているということでございます。
 ただ、セントレアにつきましては、減便、貨物スペースの減少、セントレアでの荷物減少、減便という悪循環に陥っておりまして、貨物は成田にシフトしているといったような状況でございました。
 それから、現状の昼過ぎのフライト時間では、通関を考慮すると、朝はタイト過ぎて、これを前日の通関扱いで、荷物を翌日に回してしまうと、セントレアと競合するねという話もございます。
 それから、機材が小さいので、緊急小口対応になるのではないかなと、ただし、ばら積みについては、壊れやすい、出すのに時間がかかるという欠点だらけで、本来は緊急用にはならないのではないのというよう話もありました。
 それから、小口・緊急であるから、インテグレーターの動きに注目すると、エクスプレスに対する静岡県内企業のニーズは多くて、インテグレーターが静岡空港に機材を持ってくることで、例えば、夕方5時までのピックアップで、明朝の9時にアメリカ配送というようなサービスが可能となれば、我々フォワーダーにとっては脅威だと、ただし、本当にこんなことができるかというのは別問題だけどねと、いう話でございます。これは、恐らく設備の環境ということで。
 それから、仁川トランジットについて、富士山静岡空港から夜遅く載せて、翌朝、仁川から欧米等にフライトできる便があれば、非常に魅力だねと、直行便よりも時間はかかるけれども、運賃は安く、仁川での要する時間が、早ければ2時間の接続もあるよと、中には1日くらい伸びてもいい荷主もいるよと、ただし、積みかえによる荷物のダメージが問題であって、トランジットを嫌う顧客もかなりいると、そのようなことも言いました。
 あと、結局はフォワーダーにとっての利用空港の条件でございますけれども、フォワーダーにとって、空港の選び方というのは、荷主の要求する時間までに送付先に到着するということが大前提で、そのための最適ポジショニングとしては、確実な貨物スペースの確保、集荷から送付先までの陸送、それから通関時間を含めたリードタイムの設定、積み残しなどによるリカバリーフライトの状況、リカバリーにこんなものがあります。それから、エアラインとの輸送実績、それからトランジットを含めた混載の可能性と、特に確実なスペース確保とリカバリーフライトを優先する必要があり、また、荷物が集まれば集まるほど、混載によって、コストを下げることができるので、必然的に便数、就航先数、大型機材の多い成田を選んでいるのが現状であると、したがって、荷物の運搬システム、貨物の空港別フライト便の振り分け司令部署、検査機器などは、成田、羽田、セントレアに――今、羽田も苦労しているみたいですけれども――集約しており、静岡県内からの貨物であっても、そこに集約される仕組みというふうになっているようでございます。
 最後に、航空物流から見た富士山静岡空港の利活用の方向性といったことについて、考えてみたいと思います。
 フォワーダーの立場から見てしまいますと、今、申し上げましたように、既にフォワーダーの物流システムそのものが成田、あるいは羽田、セントレア、関空と中心になっておりまして、富士山静岡空港に持ってくるのは、かなり難しい状況になりますし、富士山静岡空港に就航している機材もコンテナを積む機材はアシアナなどに限られていますので、厳しい条件にあるのは確かなんですけれども、航空貨物利用促進の目的は、最初に申し上げましたように、新たな販売先でありますとか、調達先の増加、あるいは開発時間の短縮、ビジネス機会の拡大と高付加価値化による静岡県産業の活発化ということでございますし、荷主の皆さんもできれば、静岡空港を、条件さえ整えば地元の空港を使いたい、利用したいという声も多く聞かれますので、そこを原点としまして、いかに利用してもらえるような方策を検討しなければならないなと思っております。
 それで、またいつも出てくる議論としまして、鶏が先か卵が先かと、つまり需要をつくるのが先か、そのための供給体制を整えることが先かということで、なかなか議論が進まないというような状況も見られるようでございますけれども、特に供給体制については、これは、金も人もかかる話でございますので、拙速に進めることができない、慎重にやらなければならないということでございますけれども、鶏も卵もやはり同時並行的に検討を進めなければ、いつまでたっても進まない、航空貨物必要ないよという話でございましたら、また別でございますけれども、そんなことを感じております。
 それで、その卵と鶏ということで、卵についてはこの2つ、それから、鶏についてはこの1つということで、この表に挙げてございます。
 まず、卵でございますけれども、1つは既存大口荷主の掘り起こしということです。それからもう1つは航空貨物を新規に創造していくといったことだと思います。
 それから、鶏については、航空物流サービスの機能を強化していくということが重要かなと考えます。
 まず、既存大口荷主の掘り起こしでございますけれども、これは、輸出入両面におきまして、集荷時間、運賃、リードタイム、荷物の保管、ピックアップのよさなど、何か1点でもいいですから、他空港と比べた優位性、セールスポイントを確保しまして、荷主の利便性を高めるための体制を整備していくといったことが、必要かなと思います。
 特にこの中で、これは、個人的な意見でございますが、荷主さんからもそういう話があったものですから、集荷時間を夕方5時以降にして、翌朝海外向けにフライトすることができれば、特に地元の空港でございますので、近場の空港でございますので、そういうことができれば、荷主のメリットが大きくて、ほかの空港に比べてのセールスポイントができるのではないかなと思います。
 そういうことを前提としまして、県内のみならず首都圏、長野県、山梨県、上海等、国内外の荷主・フォワーダーへのポートセールスを行う、ただ単にお願いベースでお願いします、お願いしますと言うのではなくて、具体的なセールスポイントを確保していくということが必要だなと思います。
 それから、できれば、これはちょっとできるかどうかはまた別ですけれども、これからの新東名であるとか、中部横断道、こういったことを利用して、航空貨物を利用していただくということであれば、そういったところでのインセンティブも検討していく必要があるのかなということだと思います。
 それから2番目は、航空貨物の新規創造ということでございますけれども、これは、静岡県の支援のもとで、幅広い業種、業態のモデルケースを数多く企画して、実績を積み重ねていく中で、航空貨物取り扱いのすそ野を広げていくといったことが必要ではないかなということです。これは、輸出だけではなくて、輸入も入ります。航空貨物に適する要件としましては、緊急品、試作品、サンプル品の輸送、鮮度、産地性、ブランド力、季節性、即時性、希少性、あるいはマーケットの違いが価格に反映される農水産物、運賃負担力の高い高級品、高温・高湿、塩害など、船便に適さない精密品、それから小ロット、これをトラックで輸送するのではかえって割高になってしまうというようなものについては、航空貨物に対しての適性があるのかなということでございます。こうした事例を国内外から広く集めて、販路開拓、高付加価値化のビジネスチャンス事例集、パンフ等の作成、啓蒙活動を展開していくといったことも必要かなと思います。
 それから、特に、販路開拓でございますけれども、これについては、いろいろと専門情報、マーケティング情報、そういったものが非常に必要でございますし、あるいはリスクも伴いますものですから、小規模事業者のための販売マーケティングを支援するような機関の設立なんかも考えてみたらどうかなと、これは、例えば、福岡県八幡ですと、輸出公社みたいなものをやって、農産物の輸出を一生懸命やっているというような――ただし、細かい、内部事情よくわからないんですけれども――そういった事例も見られるのでございます。
 さらに、例えば、小口スポット航空貨物の発生・集荷・配送に関する情報一元化システムみたいなもの構築を研究して、ここで情報をいろいろ集約化していくと、どこがそれはやるかというのはいろいろ問題があると思いますけれども、そういったことも必要ではないかなというように思います。
 航空物流サービスの機能強化ということで、機材、例えば大型化、貨物チャーター便、貨物専用機を就航させる就航先、あるいは就航頻度、フライト時間、施設・サービス、必要最低限の貨物ターミナル施設、荷さばきスペース、蔵置場、フォワーダー事務所、こういったものを充実させていくといったようなことですし、国際航空ネットワークを活用していくといったことが必要になってくるのではないかなと思っております。
 以上で、私の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○伊藤委員長
 ありがとうございました。以上で、内野様からの意見陳述は終わりました。
 それでは、これから質疑応答に入ります。御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

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