本会議会議録
質問文書
平成27年12月定例会企画くらし環境委員会 質疑・質問
質疑・質問者: | 天野 一 議員 | |
質疑・質問日: | 12/15/2015 | |
会派名: | 自民改革会議 |
○天野(一)委員
一括質問方式で質問したいと思います。
リニア中央新幹線事業の件で、JR東海がいよいよ具体的な発表をしたわけですけれども、県が環境問題を含めて要請したことと、JR東海がやろうとしていることの中で、課題と問題点は何と何があるのか、どこが問題点なのか、数点あればお伺いしたいと思っております。
次に、くい打ちの件で旭化成建材の問題がありました。幸いにも静岡県は少なくて、ほかのメーカーも問題がないようですが、このくい打ちの問題は下請であります。元請と下請との責任問題。もしこれが事件の場合には、元請の責任はどこまで問われるのかと、確認申請のあり方が今のやり方でいいのかどうなのか、その点についてお伺いしたいと思います。
次に、移住・定住の問題。
何人かの委員から質問が出ました。「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」とずっとキャッチフレーズで言ってきた静岡県から何でこんなに離れていくのか。政策が間違っていたのか。キャッチフレーズに偽りがあるんじゃないかと。知事がいつも言っている「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」のところには来るはずじゃないですか。なぜ来ないのでしょうか。その点について伺いたい。そういう政策をちゃんとやっていなかったんじゃないかと思うんです。
特に、私はこの前東京へ行ったときにびっくりしたのは、人口減少ワーストツーの静岡市へ来ませんかというようなパンフレットが置いてあった。2番目に悪いところへ来ませんかというパンフレットですよ。いいところなら来てくださいと言うけど、そのパンフレットが堂々と置いてあったんです。それについて感想を池谷くらし・環境部長にお伺いしたい。
次に、牧之原市で一般廃棄物である電気製品とかの不法投棄があり、牧之原市が困った事例がありました。そのとき静岡市からの廃棄物も混じっていた。その不法投棄したものが結果としてはどうなったのか、その点について伺いたいと同時に、フロンやいろいろ環境問題で回収する、例えばアスベスト、ダイオキシンとかがあります。そういったものが静岡県では問題がないのか、現状について伺いたいと思います。
最後に、先ほど環境教育の人材の育成は、私は環境学習指導員の育成こそすごく大事で、県庁が全部やろうとしちゃいけない。県庁の職員はそんな人数はいないし、そしてやれる状況にない。だったら民間の環境学習指導員を育成する。これも当委員会で視察させてもらったんですが、遊木の森で環境教育をやっていた。そこで幼稚園、小学校の子供たちを対象にやっていた。そこを3年とか5年の限定で応援じゃなくて、10年や20年応援してもいい。なぜか、子供たちの対象がどんどん変わってくるからです。そこで実績を上げるならば、そのNPO法人に持続可能な限り僕は補助金を出してもいいと思うんですね。そのかわり新しい取り組みにチャレンジしてくれる指導員を育成することは大事じゃないかと思うんですけれども、その点についてお伺いしたい。
○市川生活環境課長
リニア中央新幹線の工事状況について回答いたします。
県から要請したことはたくさんございましたけれども、1つは大井川の水の減量についてです。これについては国土交通大臣も非常に御心配されていて、事業者に対して意見を言っていただいております。これについては前回の委員会でお話ししましたけれども、導水路トンネルという形で、今までは工事中に限ってポンプで上までアップして大井川に戻す方法だけを言っていましたが、これは多分工事が終わるとやめてしまうと思います。自分の使わない水をアップし続けることは非常に不安であるということで、何か環境保全措置を考えろと言いましたところ、自然流下で流れる導水路トンネルを提案してきました。導水路トンネルは非常にいい方法ではないかと、いろんな先生方に伺ってもおっしゃっています。ところが、ある位置から落とすものですから、出てくると想定する水が毎秒2立米減ると言っていましたけど、その分の毎秒1.3立米だけが戻り、そのほかは戻らないという疑問がありました。
これについては、JR東海は確実にやるとは言っていませんが、例えば大雨が降って要らないときは出さないけれども、必要に応じて導水路トンネルの口まで、それより低い位置のものはポンプアップして戻して、毎秒2立米を必要に応じて椹島のところへ戻すという言い方をしております。これは大井川の減水の点から考えると、水を引っ張ってしまうので、今度は地面が乾くのではないか、そこに生きている生物が大変になるのではないかという点があります。
それから、もう1つは、椹島までの上の区間の大井川の水はやはり減ります。そこに対する影響はあると考えられております。これについては、おおむねJR東海は進めたいと言っておりますので、問題点を監視して、また意見を述べていきたいと思っています。
もう1つの大きな問題点としましては、発生土置き場についてです。発生土は、普通であれば再利用していただければ一番いいんですけれども、現状の場所では再利用する場所がなく、その敷地内にあるエリア内に積まなければいけないということで今まで7カ所の候補地を示していました。ところが、JR東海は今回そのうちの1カ所を重点的に検討しているという言い方をしております。その場所はどこかというと、燕沢という発生土をおおむね全量置くことができる場所と言っています。しかし、そこは地元の井川の方々が、土石が流れてしまう危険な場所で、昔から見ていても非常に危険だと考えると言っています。それにつきましてJR東海は、本当に落ちるかどうかのシミュレーションを今調査にかけているので、2月をめどに報告したいと言っています。またその結果を見て、どこに置くのが一番いいのかについて意見を申し上げていきたいと考えております。
○柳建築住宅局長
くいの不祥事についての、元請施工者と下請施工者の役割の責任分担でございますけれども、建設法上、役割分担が今明確にはなっていないと聞いております。それで、元請の施工管理者にくい打ち時、全て立ち会いをさせるべきだという声も出ております。そういうことで、国で建設業法の見直しを今行っていると聞いているところでありますので、その点については県としては注視していきたいと思っています。
次に、建築確認申請の手続上よいのか、悪いのかということですけれども、これはくらし・環境部が所管している部分ですけれども、建物を建てるときに、まず書類で確認申請を出して、それでお墨つきをもらって着工し、その後工事で中間検査をやっているものもあります。その後、完了をいたしましたら完成検査をし、検査済証をもらって建物を使用することになります。ということで、その中でどこか検討すべきところがあるかについて今、国で検討しているところですけれども、その工事をしている途中でどういうことができるかでございます。静岡県の場合は中間検査の工程で、木造住宅でお話ししますと、棟が上がった段階で中間検査を実施している状況です。要はくいは工事が終わったときに検査をやる仕組みにはなっていませんので、その辺で十分それをすることによって、今回の事件が解決するとは思えないところもありますけれども、そういう面も建築確認制度上、検討すべきところはあると思っております。
○池谷くらし・環境部長
移住・定住の関係でございますけれども、「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」というキャッチフレーズで、政策が間違っていたんではないかという御意見でございます。私自身は間違ってるというよりも、政策がなかったんではないかなと思います。例えば静岡県の場合は、ほんの数年前まで人口もふえていた時代がございました。そうした中では、殊さら人口減少対策をやらなくてもよかったんではないかなと、皆さん安心されていたんじゃないかと思います。ただ、その中でやはり問題点としてあったのは、18歳の人口が大学進学で県外に出ることで大きく減少していることで、いかに大学をふやしていくかという政策がかつてあったのだと思うんですが、それ以降はほとんどそうした視点での政策がなかったんじゃないかと思います。
例えば、中山間地の移住も含めてですけれども、静岡県として各県がかなり取り組んでいる中で、平成22年にようやく始まり専門の課ができました。そのときが初めてでございますけれど、その課すら途中でなくなってしまう状況で、いわゆる人口減少も含めた、移住・定住を含めた政策に直視していなかったんじゃないかと思います。
その中で、やはり私は一番大きな問題は、これは他部の批判になりますけれども、やはり産業政策がなかった。人口減少の一番の大きな要因はやっぱり働く場所がないことだと思うし、働く場所が減っていったことだと思うんですね。その中で、じゃあその原因は何だと言ったときに、静岡県にある企業が海外展開しているからなくなっていくんだという言葉で恐らく濁していたんですね。でもその中で、例えば東部では大きな自動車関係の工場が宮城県に移ったりということで、確実に減少はわかっていたのに、そこの政策がほとんどとられていなかったのがやっぱり一番大きいんではないかと思います。
そうした中で、今回人口減少対策、あるいは地方創生という環境で、各県が取り組んでいる中で、静岡県もおくればせながら移住・定住という看板を掲げております。そもそも5番委員からも厳しい御指摘がございましたけれども、静岡県の人口が減少した分を全て移住政策で賄うのは本来あり得ない話で、やはりそこは雇用をきちっと供給する、あるいは住まいを供給することがまずあってしかるべきだと思うんです。
ただ、移住の場合には、もう1つの観点がございまして、やはり先ほど県内、県外という話がございましたけれども、静岡県の中でもやはり中山間地など極端に人口が減少しているところがございます。そこについてはやはりまた別の方法としてやらなきゃいけない。だから今移住の関係は、人口減少に対応するということと、やはり地域のコミュニティーを活性化するという2つの観点でやるわけですけれども、これも当然のことながら、くらし・環境部だけでできる話ではなくて、やはり全庁でやっていかなければいけない。本来であれば、そうしたものについて本部を持ってやるのは、企画広報部ではないかと私は個人的には思いますが、残念ながらそういう動きがなかったので、くらし・環境部で引き取ったというと変なんですけれども、ただそうした中で、やはり今までの観点とは違う施策をやっていかなきゃいけない。いわゆる中山間地だけのものではなくて、1つには住まいを供給していくこともありますし、またもちろん経済産業部については、Uターン就職のいろんなプロジェクトもやっていますので、そうしたことをミックスしてやっていくこと。
もう1つ重要なことは、やはり地域の中に雇用を確保するための機会をもっとつくっていく。それが1つには、企業誘致でも例えばIT系の企業を誘致していく。例えば伊豆半島の別荘地帯にはもう腐るほど余っている別荘がございます。そことITとを組み合わせる動きも可能性がありまして、それについては先ほど8番委員から御質問がありましたが、実は今金融機関にそういう動きをしていただいています。
ですから、そういう意味でのものも全部含めてやっていくことが一番これから県としてやっていかなければいけないだろうと。そのときの調整役といったらおこがましいかもしれませんが、そうした個々の動きをやはり情報発信していくのが、当面くらし・環境部としてできることではないかと思います。
先ほどの人口減少ワーストツーということですが、私は個人的にはそのキャッチフレーズ結構好きなんです。というのは、実は静岡県は人気度では3位か4位なんですね。人気度3、4位の静岡県に来ませんかよりは、多少自虐的ですけれども、人口減少ワースト2の静岡県のほうがインパクトはあるのかなと。ただ申しわけございません、私そのパンフレットを拝見していないので、これは推測でしか話ができませんけれど、もし私がつくったら、意外にそのフレーズを使ってもいいかなと思っています。
○増田廃棄物リサイクル課長
牧之原市で起きました廃冷蔵庫等の一般廃棄物の無許可収集のその後について御質問いただきました。
牧之原市で、9月16日付で原因者に対して、違法に収集した一般廃棄物の全量撤去をしなさいと措置命令をかけております。実際に処理をする場合に、じゃあどう処理をすればいいんだということも、なかなか市もノウハウがなかったものですから、もともと冷蔵庫は家電リサイクル法の対象になっているので、適法な家電リサイクルルートに今からでも入れられないかということで、環境省ですとか経済産業省、あと家電業界にも働きかけをしまして、近々破砕試験で、家電リサイクルの正規なルートでの処理を試験的に行うことになっております。
3番委員からフロンの回収という危惧もいただいたんですけど、正規な回収ルートですので、フロンもきちんと回収できる形で処理が進むと考えております。
県といたしましては、市で原因者に対して全量撤去を求めていきますので、引き続きそこに対して技術的な助言やサポートをきちっとして、一日も早い全量撤去に努めていきたいと思います。
○織部環境政策課長
初めに、フロンの回収の件でございます。
今の増田廃棄物リサイクル課長の答弁の補足ですが、業務用冷凍機器等はフロン回収法に基づいて回収しておりますけれども、この回収率が、全国的な数字ですけれども、3割程度と低迷している状況にあります。そのため今回法が改正されまして、実際はもう廃棄する前に管理しているときに漏れている状況がわかりましたので、今回の法改正でそこら辺の管理を徹底する形になりましたので、業界団体等と連携して周知徹底をしていきたいと考えています。
もう1つは、人材育成でございます。
先ほど山梨くらし・環境部長代理からの説明もありましたけれども、人材育成の面につきましては、もう少しレベルアップした人材の育成を今検討しております。これまではどちらかというと、ゼロから1というランクになる当初のところの人材を育てていたんですけれども、もう少し1から2とか3とか、上のレベルに行く人材を養成していきたいと考えております。やはりそのときにポイントとなるのは、自主的に活動できるかという点かと思います。その点で積極的にフィールド等を提供して対応していきたいと考えております。
○市川生活環境課長
アスベストについてもお問い合せがありましたので、現在の状況についてお知らせします。
アスベスト自体は、まだ建物の有効期限が切れていないものがいっぱいありますので、まだ実際には存在していると思います。ただそれを除去する作業については、全部届け出を出さなければいけないので、それについては、行ける限り全て現場に立ち入って検査をしております。基本的にビニールで囲って不圧になっていれば外には漏れないことで検査をするわけなんですけれども、今まではそれを下請――作業する人間が届け出を出す形だったんですけれども、今度はその持ち主が出さなければいけないと徹底されていると思います。
それから、もう1点は環境調査をしております。環境調査ではほとんど出ていない状態ですので、すごく危険な状態が一般環境にあると考えております。
○天野(一)委員
リニア中央新幹線の件、よくわかりました。また県民も、このリニアの問題については関心を持っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っています。
それから、くい打ちの件ですけれども、国の法律改正とかいろんなことで、その責任の所在がはっきりしないと、やはりこういった問題がまた再発する可能性はありますので、ぜひしっかりやられる形にしてほしいと思います。
それから、池谷くらし・環境部長には県庁の前向きな現状の県庁の体制についてお話ししてくれてありがとうございました。私はやっぱりこれはくらし・環境部だけの問題ではない、全庁を挙げてやらなきゃならないですから、ぜひ全庁を挙げる組織をつくって機能的に情報が共有できる体制をつくらないとだめだと思うんですね。ですから、そういった意味で、できれば来年は、移住・定住と小さい枠じゃなくて、本当に住んでいいとこだよ、黙っていたって静岡県へ行きたいよ、働くところもあるよという形になれば、そんな移住しませんかなんて言わなくたって静岡県へ来るはずですよ。来ないのは、やっぱり無策であったということではないかなと。そういう意味で、ぜひ来年新しい仕組み、取り組む形が出てくることを期待します。
それから、さっきの家電リサイクル法のことですけれども、これたまたま牧之原市の例だけですけれども、ほかのところでもまた出る可能性があります。そういった意味で、こういった問題を曖昧模糊にしないで、こんなことはできないという形の情報を発信してもらいたい。今のような形でいくと、またほかの人が同じことをする可能性がありますので、できたらこの問題については、その当事者が処罰されるとか、それからこれは大きな問題だという情報提供をしてもらいたいと思いますが、その点についてもう一遍お伺いしたいと思っております。
それから、アスベストとか、そういった私たち一人一人がわからない環境問題についても、時々情報発信をしてもらえると大変ありがたいなと、要望しておきます。
○増田廃棄物リサイクル課長
牧之原市の廃冷蔵庫の事案につきましては、実は関係する市が牧之原市だけではなくて、袋井市、掛川市の3市にまたがる事案でございました。市域をまたがる広域的な課題ということで、県も積極的にこちらの事案については関与させていただいております。
あわせて、3市と合同で立入調査なども行いまして、そこである程度尻尾をつかめたところがありましたので、3市と県の連名で警察に告発状を出して原因者が逮捕される事案となっております。残念ながら今は処分保留という形になっているんです。警察ともいろいろ情報交換しまして、原状回復をきちんと本人にさせることで、連携して、原因者に対して指導を行っておるところでございます。
このような事案でございましたので、逮捕した直後ですが、全市町を集めた連絡会がございましたので、そこでこの事案について説明するとともに、今目標では、今年度中に無許可の不用品回収業者に対する立入調査マニュアルを県で作成しまして、市町でそれを活用していただいて、きちんと立入調査等で指導していただきたいと今準備を進めているところでございます。
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