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委員会会議録

委員会補足文書

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平成23年11月エネルギー有効利用推進特別委員会
参考人の意見陳述 静岡大学工学部電気電子工学科 松尾廣伸氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/28/2011 会派名:


○松尾廣伸氏
 初めまして、松尾でございます。本日はお招きありがとうございます。何分若輩者で、与えられたテーマに対して自分がやっている研究範囲というのはもう少し狭い範囲でございます。できるだけ調べてお答えしようと努力はさせていただきましたが、十分かどうかというところまでは追い切れてない面もございますので、その点ある程度御容赦いただければと思います。
 「新エネルギー導入施策の方向性と省エネルギー型社会の構築」というお題をいただきましたが、まず最初に、私がふだん研究している内容につきまして、簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 ふだんは、太陽光発電の高効率化、これは基礎的な原子レベルというか分子レベルといいましょうか、基板側のほうでありませんで、システム的にどうすべきかというようなところ。それに関連して太陽光だけではなくて、太陽熱をあわせて使う。エコキュートがすごい勢いで普及していったのですが、それはそれである問題点を持っていますので、それらを把握して解決するにはどうすればいいかというようなことをトータルで含めてやっておりまして、住宅の省エネ化と太陽エネルギーの高効率利用というようなシステムの開発を1つ行っております。
 もう1つは、メロン温室の省エネ化。静岡県は御存じのとおり、温室メロンの産地でございます。メロンというのは非常に高温性の作物ですので、重油、エネルギーを物すごく多く使うということから、それを減らすための省エネ化の研究。そして大学やキャンパスを含めまして、建築物全体としてエネルギーを減らすというような形の研究などをしております。
 メーンはこの上の部分になりますので、この上の部分をもう少しだけ説明させていただきたいと思います。
 そのためには、住宅でのエネルギー消費がどうなっているかということ。また、基本的には暖房給湯費――給湯エネルギーが半分以上占めておりますので、これをやはり減らさないと住宅においてはエネルギーを減らせませんし、快適な生活環境を保ってエネルギーを減らしていかないといけないというのが何よりもありますので、この先の高齢者化社会を迎えたときには、暖房エネルギーというのはさらにふえる方向が見込まれると。という中で何としても対策をしなければならないと考えて、全体のシステム化をして省エネ化をしていこうというようなことをしております。
 私の絵なので少しいいかげんで申しわけないですが、太陽光発電もしくは光と熱のハイブリッドの太陽電池と熱利用のパネルみたいなもので、南面には太陽熱をフルに使えるようなシステムにして、あと蓄電池が少しあると自立型へも移行ができると。そうすれば震災時とかであっても、住宅規模で最低限の生活を維持できる形をつくることができるというようなことまで込みで考えて、一応システム化というのを進めていっております。
 そのコアになる部分が――ハイブリッドソーラーヒートポンプというふうに我々は名前をつけたんですが――まず太陽熱を給湯と暖房と両方使えるように、水式の集熱と空気式の集熱と両方使うというシステム。もしくはこれが屋根に載ったときには、太陽光発電と熱が使えるというような二重のハイブリッド化したシステムを使うという格好になっておりまして、昔からある貯湯槽だけでなくて、熱が余るようなときは土壌にもためると。そして夏場といいますのは、太陽光発電にとっては温度が高くなると効率が落ちるという特徴がありますので、そのときには太陽光発電は冷やしてあげて余った熱を土壌にため込んでおいて、秋、冬に持ち越して使いたいというような形で、トータルのシステムをつくる。そのときに、熱量だけはなくて品質ですね。温度というのが重要になりますので、ヒートポンプで全体を調整するような形でトータルで制御するというようなシステムの開発というのを、ふだんは研究として一番重きを置いてさせていただいております。
 実際には、都田の大学の敷地内に、かつて荒木先生が建てられたこういう実験住宅がありまして、そこら辺でこういうシステムの開発をやって、実際に実証実験をやりながら進めていっているということでございます。
 実験だけでは中途半端でございますので、研究側としてはシミュレーションをやって、実際にこの地域がどれだけエネルギーを得られるのか、または一日の中ではどのぐらい合っているのかというようなことをやっております。青いほうが実際の実測値で、赤いほうがシミュレーションの値ですので、かなりいいところまでは合うような状態にもうなっていっているというような状態になっております。
 そのようにして計算をして、通年利用率がどうなるかということをやりますと、こんな形になります。冬場の熱量が欲しい時期に十分熱がとれて、夏は余りとれないような形で、熱需要に対してマッチしたシステムを組むということができているということでございます。一般的な太陽熱の温水器とかシステムですと、夏はいっぱい熱がとれるんですけど、欲しい冬に余りとれないということになります。そうではなくて、南側の壁面を今回のこのシステムは使っていますが、それを利用することで通年での熱需要に合わせて、なおかつ冬場の高いときには最大で66%というような変換率をもって熱回収ができるようなシステムというのを、一応我々のところでは開発をしているというような形になっております。
 このような研究をふだんはしておりまして、本日はかなり大きな範囲でのお話をさせていただきますので、時々間違ったことも含まれているかと思いますが、また御指摘いただければ幸いでございます。
 新エネルギーと再生可能エネルギーということで、2008年の法改正の中で、従来入っていたこういうもの――再生可能エネルギーじゃないものというのが新エネルギーの中から外されたという形になりました。世界的にいうリニューアブルエナジーということで、再生可能エネルギーと新エネルギーがかなり区分が同じようなところに来たというような状態になったかと思います。 
 私は、太陽エネルギーの部分を中心に研究させていただいております。まずこれがなぜかといいますと、地球上に降り注ぐ太陽エネルギーの1時間の量というのは、これはちょっと前の話ですが、世界が1年間に消費するエネルギー量に匹敵すると言われておりました。たとえ今であったとしても、2時間降り注げば1年分のエネルギーが得られるぐらいのエネルギー量が太陽からは到達しております。そのぐらい大きなエネルギー量が来ておりますので、それをきっちりうまく採用して使っていかなければならないというふうに考えて、こういう研究をさせていただいているということです。
 本日のお話の中は、主には2つの報告書が中心になっております。1つは、NEDOの「再生可能エネルギー技術白書」という、昨年の7月に出されたものです。ここにありますように、エネルギー安全保障、地球温暖化対策、経済成長、この3つの視点からというか、これをなし遂げるためにということで書かれております。私もやはり、まさにこれを3つ同時になし遂げられるような方向性で話を持っていかないと、やっぱりだれもついてきてくれないし、みんなが幸せになれないと思いますので、これを何とかなし遂げる方向で考えようということで、いろいろ考えさせていただいております。
 主には、ここに少し太字で書かせていただいた、――ちょっと海洋温度差はちょっと違う面もあるんですが――このあたりのところを主にお話をさせていただければと思っております。
 もう1つは「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」というもので、ことしの3月に出されたものです。ちょっと内容自体は少し絞られて報告がなされているんですが、ここら辺の2つの報告書をバックグラウンドにいろいろなことをまとめて今回お話させていただこうと。あと私の個人的な考えが少し入っておりますが。そういう形になってございます。
 まず、目指すべき方向なんですが、今までというのは集中型の電源でありました。大きな電源――発電所を持ってきて、そこから大量に供給するという格好になっていました。今、世間一般では、小規模型の分散型の電源に移行しようということが言われているかと思います。これは、私はこれと同じなのかなというふうに思っておりますが、今までのマスメディアでテレビとかラジオが一方向から伝搬させる情報を流していたというのが、インターネットというものができて、ツイッターだのSNSだのフェイスブックだの、いろんな形でメデイアが双方向になって、双方向で個人の間の連携をとって伝搬していく形になったと。これと同じことをエネルギーでも――全く同じことはできないんですが――同じ考えのようにして、双方向でのエネルギーの授受という形への移行というのを図っていくと。大規模なところは、それらをバックアップする形で使う。今までみたいに大きいところがメーンで供給をして、そこにちょっとぐらいは入れてもいいよという考え方ではなく、可能な限り小規模分散型の再生可能エネルギーで供給をして、それが安定供給できるような形で大規模の発電所が上手くバックアップをしていくという形をつくっていくというのがあるべき姿ではないかなというふうに考えております。そのためには「地産地消」という言葉や、「知産知消」という知恵を使ってつくって賢く消費しましょうというような言葉などがキーワードになってくると思いますし、掘削や採掘しているエネルギーではなくて、やはり再生可能な持続可能なエネルギーを使っていくということが重要かと思います。
 考え方としてはやはりここだと思うんですが、そのため自分のところで可能な限りエネルギーをつくって、自分のところで消費すると。そのときに余剰分は系統に対して戻すし、足りない分は系統から買うという形で、一方向だけで受け取るということではなくて、双方向にしていくということが重要かと思っております。ただ、そのためには、ハードだけでなくてソフトの部分――ICTの部分が必要になってくるという意味で少々難しい面もあるということは思っております。
 それらを目指すべき方向性に持っていくときに、やはりエネルギー自給率というのが一番の指標になるというふうには考えております。そのためには分母である消費エネルギー量に対して、分子のエネルギー生成量とあったときに、これら両方をしっかりコントロールしてあげる。エネルギー生成量をふやすということと同時に、消費エネルギー量を下げるということをきっちりしてあげないとなりませんと。そのために、やはり新エネの導入と省エネと両方から攻めないといけないと。その際に、ともすると、新エネの導入のときには、経済性が若干、今まで後に置かれていたと言いましょうか、とにかくやらなきゃというところから入っていた面もあるんですが、そうではなくて、やはりそれですと、世の中というかお金が回っていかなくなってしまいますので、経済性を考えた上でしっかりやるということ。それとエネルギーペイバックタイム、例えば生産設備をつくるのにどれだけのエネルギーが使われたか、それを取り返すのにはどれだけの期間で取り返せるかというところをしっかり押さえた上で進めていかないと、おかしくなってしまうというふうに思っております。
 そうしたときに、効率がどうかという面と、CO2排出量がどうかというのがまず1つのキーワードになると思います。このデータは新エネルギー大事典のほうからの出典ですけど、そうしたときには水力のエネルギー変換効率が高いということと、CO2排出量も低いということから、一般的には水力がかなり優秀と言われます。ただ水力は水力でいろいろ問題がございますので、単純に大きなダムをつくってというのはなかなか難しいというのはよく承知しております。
 ただこうして見ていただくと、こんな感じで効率的には下がってしまいますが、この辺は至るところにあるエネルギーですので、うまく使っていただいて効率よくということを少し考えて配置できれば、もう少しうまい形に使っていくようになるのかなというようには思っております。
 よく出てくるのがこちらのお話でして、太陽光発電で40円〜50円/キロワットアワーということで非常に高いよというお話がありました。でも本当にそうなんだろうかというのを、ちょっとここで考えてみたいと思います。
 これはエネルギー白書2010と原子力発電四季報から持ってきた価格で、原子力発電とか、LNG火力、その他というのも示されてますけど、法定耐用年数運転の場合すると上の3つ――原子力、石炭火力、LNG火力というのは7円前後、石油火力、水力で12円とか10円という、大体このぐらいの価格と言われております。今いろんな人が試算をして、いろいろ発表がなされております。その中にあって原子力発電については、東京電力が設置許可申請書に書いた金額というのは、10円から17円、19円という形で10円台の価格が記されています。したがいまして、東京電力さんの申請価格ですら、もうこれとかなり違った金額になっておりますということと、ちょっと前の静岡新聞に掲載された価格でも大分違うような価格が示されているというような実態があります。
 また、CO2排出量ということを考えなければ、これらの数字を比べていきますと、どう見ても火力発電といいましょうか、LNGのコンバインドサイクルのほうが金額的には既に安そうであるということ。また、今回のような事故が起こってしまいますと、それらの処理費を考えると、どちらが安いかというだけの話ですと、もうちょっと明らかなのかなというように考えております。
 一方の再生可能エネルギーはどうかということで、これはワールドエナジーアウトルック2009からの出典ですが、この時点ではもう水力、風力、バイオマス、地熱というのは10円前後の値――潮力はちょっと高いですが――まで来てます。太陽光発電はこの時点で40円から70円ぐらいで非常に高くて、太陽熱のほうも15円から35円ぐらいですのでまだ高い金額でした。しかしながらこれは2008年の値で、2030年の値としては、もう15円から30円とか、8円から22円ぐらいの値が示されているというような状態になっております。
 もう1個、環境省の資料のほうから持ってきた値です。こちらを見ますと、風力発電は2010年の段階でもう7.8円、小水力は12円、地熱発電も11.5円、バイオマスは32円というような値が示されておりまして、ここら辺を見るともうかなりいいところまで、というか同じぐらいのレベルまで来ていると。バイオマスを除いては、発電としては同じぐらいのところまで来ていると言っていいかというような状態になっているかと思います。
 一方で、今現在というのは住宅用の太陽光発電が非常に普及していっておりますので、それで実際に幾らぐらいになるかというのを試算したのがこちらの値です。現在もう50万円を切って40万円に近いところとかも出てきておりますが、50万円ぐらいであるとして仮定すると4キロワットで200万円です。メーカーによって安いところでは10キロワットで322万円という価格で、もう定価販売というか価格を明示して販売されている会社さんもございますので、その2つを一応試算してみました。
 私が浜松にいるために、発電量が県全体の平均値から見ると少し多目かもしれませんが、浜松ぐらいの日射量の多い地域でということでの計算値です。4キロワットを導入しますと、年間5000キロワットアワーぐらい発電します。太陽光発電システムというのは減価償却期間が17年とされておりますので、その17年で考えることとします。そうすると8万5000キロワットアワー発電をします。それを導入費用の200万円と322万円で同じように考えまして計算しますと、4キロワット200万円で導入すると1キロワット当たり23.5円、10キロワットのほうですと15.2円というような価格にもう既になっています。ただし、ここの金額には金利や保守費を含んでおりませんので、一般的な3%金利と保守費1%というのを考えますと31円と20円という価格になるということでございます。この20円という価格は、我々が住宅で買っている電気代よりも既にもう安い価格になっておりますので、一般に言われている40円から50円というものとはちょっともう違う価格が既に住宅用としては到達しているということが言えるというふうに思っております。したがいまして、住宅用の太陽電池はもう既にほとんど自立しようとしている状況にありまして、ぜひぜひうまく普及していっていただけるとありがたいなと思っております。
 太陽光発電のいいところといいますのは、効率が規模にほとんど依存しないということですね。余り小さ過ぎると効率が落ちてしまうんですけど、例えば3キロワットぐらいよりも大きくなれば、ほとんどメガソーラーであっても住宅用であってもそんなに大きな効率の差がない。これは非常にすぐれているところだと思います。なおかつばらばらに置くことで、1カ所の系統をすごく強化するという必要もなくなりますので、そういう意味でも分散設置というのはぜひ進めていただけるといいのかなというふうに思っております。
 いろいろな発電がある中で、ちょっと太陽光発電にいきなり話を振り過ぎてしまったんですが、幾つかの発電システムを順番にちょっと見ていただきたいなと思います。
 一番最初は、中小水力とマイクロ水力です。先ほど示させていただいた2つの文献をもとに基本的には調べさせていただいて、県内にとってどうかということを考えさせていただいております。県内のポテンシャル分布としては、こういうあたりにポテンシャルがあるよというのがまず示されておりまして、そのうち採算性がありそうなのがこの辺ですよというような図が出てきます。この中にシナリオの1−1、1−2、1−3とありまして、赤、黄色、緑の順で、赤のほうが採算性が高いということになりますので、したがいまして、そこら辺から考えますと、浜松市の天竜区とか、裾野市、三島市、長泉市、この辺のところが中小水力の導入という意味ではポテンシャルの高いところだと。まずそういう採算性の高いところから進めなければ、先にはやはり進まないと思いますので、そういうところからお進めいただけるような形になるといいなというように思っております。
 こちらの表になってしまうと少々見にくい点もあると思いますが、これを表にすると実際どうかというものです。200キロワット未満ですと発電設備では各種の手続が相当簡素化されております。ここに100キロワット未満という形でカウントされているんですが、それ以下の超マイクロ水力とかそういう部分では、小さいところで簡単に設置ができて、そしてなおかつ安いというものも出てきておりますので、キロワットオーダーが見込めるところでは簡易に使っていっていただけるとありがたいなというように思っております。
 なかなかこれを具体的にどこ、どこ、どこというのを示すのはちょっと難しいかと思いますが、住民の皆さんが自分たちの目で見ていただいて、常に水が流れているところ、落ちているところ、というようなところに簡易に設置できるものを簡単に使っていっていただくというのが、皆さんの意識を高めるという意味でも大事なのかなというように思っております。
 中小水力発電の利点と問題点として私が思ったのは、利点側はこんなことでいいのですが、やはり問題は水利権のところが一番大きいと言われておりますし、そうなのかなというふうに思います。大型ほどではないのですが――マイクロ水力はほとんど影響を及ぼさないのでいいと思いますが――中小水力ですとある程度生態系への影響もありますので、その辺をうまくバランスをとっていただく必要があるのかなというように思っております。
 県としては中小水力のところにちょっと視点を持ってきてもらって、企業としては個人やマイクロ水力のところに視点を持っていっていただけるような形でお進めいただけるといいのかなというように思っております。
 続きまして、風力発電です。風力発電は風況分布、ポテンシャル、利点・問題点等として挙げさせてもらいました。ちょっと切れていて見にくいかと思いますけど、静岡県がこうあって、少しそれを切るような形でつながさせていただいております。色が濃いところが強いところです。ちょっと南アルプスは難しいと思いますので、そこは置いとかせていただくと、このようなあたりが適地ということになるかと思っております。
 同じようにグラフとして採算性を見ると、陸上ですと、最終的に採算性が高いという答えが出るのがこことここになります。浜松市の天竜区と松崎町のあたりというような結論です。洋上風力自体は採算性で考えるとなかなかということで、実はシナリオ2にならないと色がつかないような状態で、シナリオ1でつくところがありませんので、これはもう先に手を出すところではないと。既にこの辺には大分風力発電が建っておりますけど、あのように陸上で設置できる範囲でまずはやるという格好で、洋上にというのはちょっとまだ早いのかなというような状態かと思います。
 それで、洋上風力には浮床式という浮いているものと、着床式というのがあるのですが、洋上風力をやる際には、基本的には着床式で下に基礎をとる格好でやらないと、現時点では採算性が全くないというような状況でございます。
 利点は、効率・採算性とか問わなければどこにでも設置ができるということと、小型風力では非常に静音なものも最近出てきておりますので――これはなかなか言いにくいんですが――住宅地も導入可能になりつつあるのかなというような状況になりつつあると思います。ただ、問題点は非常に大きくありまして、そういう現況側からの問題点と、今特に問題になっている高周波騒音、低周波振動、これは非常に指摘されていますが、実は日照変動で影が映るのがすごい問題だという指摘が最近出始めております。ちょっとこれは私は全然自分の頭にはなかったことで、そういう話を聞きましてなるほどなと思った次第でございます。
 あと、風力発電は出力変動が非常に大きいですので、その辺での電気側から見たときの制御というもののコントロールが必要ということかなと思います。ただ、先ほど見ていただいたように、風力発電は採算性が高いものですので、好適地には大型風力を入れていただきまして、企業や個人というのは静音型の小型風力というのを補助的にやってもらえるといいのかなというようには思っております。
 やはり静岡県は、一番はこの太陽光発電と太陽熱利用だと――自分の研究内容から見てもそうなのですが――考えておりまして、何といっても日照時間が長く日射量の多い地域ですので、これを使わない手はないと思っております。日照時間の平均値で見ていただいても、この静岡県の南部の部分というのは非常に高い値を示しております。そして全天日射量で見ていただいても、近くでいうと、長野から山梨にかけて、狭い範囲では非常に高いところもありますけど、それを除けば非常に高い地域でございます。
 年間最適傾斜角での日射量というのを見ていただきますと、それを見ていただいても御前崎が非常に高くて、それについで南部の部分というのは非常に高くなっているということで、全国的に見ても太陽光発電、太陽熱利用には本当にこんな適地はないと言っていいぐらい適地かと思っております。
 発電量の実際の実測結果の集計値を見させていただきましても、静岡県は高知と山梨とこの3県だけが1100キロワットを超えるということで、明らかに発電量の多い地域という格好になっておりまして、太陽光発電はぜひとも進めていきたいと思っております。その中で据え置き式――定置式に対して3割から3割5分ぐらい発電量の多い追尾式が世界的には非常に多く使われておりますので、特に追尾式部分に対してぜひうまく回していければというような考えを持っております。
 先ほど言いましたように、太陽光発電というのはメガソーラーであっても戸建の住宅であってもそんなに大きな発電効率の差がないと。しかし、メガソーラーについて、実は発電した量に対して、どこでどれだけロスして、実際にどれだけ出力されるかということで、稚内のメガソーラーの事例が絵として出ていましたのでここを見ていただきたいのですが、実は所内電力のところで十数%内部消費してしまっているというような、実際の報告があります。これが住宅とか工場であれば内部消費は自分のところで使う分で、当然本来だったら買う分が減りますからいいのですが、メガソーラーですと、本来そこでは電力を使う予定がなかった部分ですね。そこにメガソーラーを持ち込んだことによって、所内電力として中で使わなきゃいけないのが出たということは、これは損失分でありまして、メガソーラーでなければ要らない部分ということになりますので、そういう意味でもメガソーラーが積極的にいいかというと、そんなに積極的にはいいものではない――ちょっとここまで言うと語弊があるかもしれませんが――というふうに考えております。ただ、それでも太陽光発電でメガソーラーというのは注目も引きますし、そういう意味ではいいものだと思いますけど、ただ2メガワットを超えますと特高送電線の引き込みとかが必要になりますので、その辺まで考えますと2メガワットを超えない範囲でうまく適地に適切に分散して配置していただいたほうが効率的なのかなと、そんなふうに考えております。
 今まで利点、問題点は大体述べさせていただいたと思いますが、まだ言ってない面があります。屋上とか使いますので、その点では新たに土地を設けなくてもそのまま設置ができると。工事費はかかりますが、そういう利点もあると思います。屋上設置しますと、冷暖房エネルギーが大幅に低減されますので、そういう意味でもプラスになります。負荷平準化に役立ちますということですね。
 問題点のほうとしては、これは再生可能エネルギー全体に言えることなのですが、設備利用率が低いと。太陽光発電は一般的には12から13%、よくても20%ぐらいと言われております。という面からいいますと、本当に設備利用率というのは問題なのかなと思います。
 我々がやっているとこら辺のお話をさせていただきますと、部分故障がわかりにくいと。例えば、4キロワットの発電能力があって、戸建のお宅で3キロワットで発電しているときに、それが正常な状態なのか、それとも一部故障してそういう状態になっているのかというのが基本的に判断しにくい。一般の方だと区別がつかないというところがこれは問題で、こういうのを見ていくためにはしっかり監視してあげる。メンテナンスはしなくていいのですが、監視してあげるということは非常に重要だと思います。
 あとは出力変動が大きいとか、陰の影響が大きいですね。あと温度が上がると効率が低下するというような問題がありますが、先に申しましたように静岡県は非常に適地ですので、ぜひあらゆるレベルで推進策を御検討いただければというように考えております。
 太陽光発電だけではなくて、特に住宅レベルにおいては同時にぜひ太陽熱を一緒に使っていただきたいと思っております。そんな研究をさせていただいております。特に給湯よりも暖房に使ったほうが効率がいいです。今まで太陽熱といいますと、屋根の上にぼんと乗っけてお湯が沸くよという使い方がメーンだったと思うんですけど、これから屋根の上というのは太陽光発電が占めますので、そこで給湯に使っていただくように場所をあけるよりは、併用して暖房に使えるシステムという形でぜひ使っていっていただけるのがいいのかなというふうに思います。
 中でも、特に南面を使った空気集熱というのは、屋根の太陽電池ともバッティングしませんし、しかも非常にいい効率がとれますので、ぜひここら辺をうまくミックスして使っていただければ、よい状態に持っていけるかなと思っております。
 問題点はやはり同じように設備利用率が低いということと、太陽が出ているときばかりではありませんので、必ず補機――補助の熱源機が必要になるというところで、その点がエネルギー価格を押し上げるというか、高価にしてしまうという点があるかと思います。それと、普通に考えますと、季節、天候による熱余りや熱不足というものが存在しますので、この辺を長期的には制御できるような仕組みをつくっていくと。ためられる、取り出せるという仕組みがうまくできるようにしなければならないと思っております。
 そんな形で暖房利用をぜひお考えいただきたいということと、光と熱の複合利用をお考えいただけるとありがたいと思っております。
 続きまして、地熱発電・温泉発電でございます。
これは専門ではありませんけど、静岡県は調べると清水のところにこんな非常に色がついておりまして、これがなぜかというのがちょっとわかりませんでしたが、このようなデータが出てきました。あと、実際に噴き出しているというか、掘削なしで使えるというところですと、やはり東部の温泉地帯が非常にエネルギーを持っているということで、見ていただくとわかりますように、既に72メガワット、60メガワット、34メガワットとかいうような数字が書いてあります。この「t」というのはサーマルですので、熱量です。発電量ではございませんが、ここから例えば10%の発電効率で取り出したとしても、数メガワットというような発電はできるということで、メガワットのポテンシャルを持ってますので、ぜひ温泉発電と産業観光をミックスしていただいて、うまく利用できるような状態をつくっていただけるといいのかなというふうに思っております。
 そのためにということで、つい最近発表になったマイクロバイナリー発電の例で、今までのものと比べると安価でかつ効率が高いものが出ておりましたので、ちょっとそれを御紹介させていただこうと思います。会社としてはコベルコの製品で、マイクロバイナリーMB−70Hというものです。最大発電端出力70キロワット、最大送電端出力としては60キロワットの能力を持っていて、単体の価格で2500万円と示されております。日経の記事だったと思うんですが、もう発電コストは10円/キロワットアワー以下にできるというような表現もございましたので、こういう状況になれば採算性が十分に合うような状況になってくるというふうに考えております。それで、温泉で使う部分だけではなくて、工場の排熱や太陽熱やバイオマスからも使えますので、非常におもしろい機器だと思いますので、ぜひいろんなところでうまくこういうものが使えていくといいなというふうに考えております。
 そんな形で温泉を使ってというのは非常にいいと思います。ほかの再生可能エネルギーである太陽光、風力とかと違いまして、温泉ですので、ずっと安定的に発電できるというのは非常に魅力だと思います。そのために、高計画性で採算性も高いということが言えますし、先ほどの清水の熱源が本当だとすると、LNG――液化天然ガスを気化させる際に発生する冷熱や、駿河湾での低温の冷熱というところとうまく合わせて使うと温度差がとれますので、さらに効率よく発電ができるというように考えられます。その辺を静岡の特徴として出していくと、おもしろいのではないかなと思っております。
 さらに、静岡県というのは、静岡、清水、富士にヒートポンプを製造している会社がたくさんあります。冷媒の技術を非常に持っておりますので、そこら辺がもう少し発電側の部分まで踏み込んでいただけると、県内の産業のさらなる活性化という面でも寄与するものと思っております。ただ、問題点として一番大きいのは、スケールの付着と腐食の部分でして、これによってつまってしまって熱量が回収できなくなるので、ある程度定期的に交換するというようなことが必要なのかなというような状態かと思っております。
 その他、いろいろな発電を――発電じゃないものもありますが――簡単に述べさせていただきます。
 まず波力発電です。外洋に面しておりまして、全国的に見ると波の力というのがある、ポテンシャルはあるというような状態です。残念ながら、コストと信頼性等の面で、この機器を使えば、こうやれば十分にというところを示せるようなデータを見つけられませんでしたので、現時点では実証試験等を行うのがせいぜいなのかなと。実際に具体化していくのには、まだ時期尚早なのかなというふうに思っております。
 よく、注目されて引き合いに出されるバイオマスエネルギーについてです。バイオマスタウン構想も県内のこういう4市が名乗りを挙げて、実際に動いているという中にはあるのですが、バイオガスの部分はちょっと別とさせていただいて、木材系のバイオマスで考えますと、やはり安価な原料の確保が非常に困難であるということと、実際に回そうとしますと採算性というのが非常に今の段階ではまだ難しいというのがちょっと正直なところだと思います。実際に実施しようと思いますと、直接燃焼がその中では可能性があるほうだと思います。バイオマス単体でというよりは、林業の再生、森林保全とともにということで、社会的な中でうまい仕組みをつくっていく必要が今の段階ではあるのかなというように思っております。
 話が少し外れて、スマートコミュニティの社会実証ということで、全国4カ所で社会実証試験が行われているという状況にあります。先ほど見ていただいたように、電気を買うだけではなくて、逆潮流をかける、お互いの中でバランスをとるというところを見ていこうとすると、ある程度どうしてもこれが必要になってくるというのが見えるかと思います。ただ直接的にどこかの機器を制御するとかそういうことまで考えていきますと、実は非常にリスクを負う形になりますので、すぐにやはりここに行くというのはなかなか難しくて、スマートグリッドはスマートグリッドの中で基本的には閉じてエネルギーコントロールをする。その1つ外のスマートコミュニティはスマートコミュニティでもってコントロールするというような、多段階の仕組みをつくっていくというのが非常に必要なことだというふうに思っております。
 各社それぞれの場所でそれぞれの試験をされているということで、注目は非常に浴びていると思いますが、実際に社会の中に導入していく、動かしていくというふうになったときには、まだまだ課題の大きいものかなと思っております。
 利点のほうは、便利さ、見える化、エネルギー効率の向上で、問題点のほうとしては、個人情報と外部攻撃のリスクですね。サイバーテロがもう少しひどくなったときに、例えばそういう全体システムができていたとすると、まさにアタックの対象になって、変なことをして崩壊させるということが可能になってしまう可能性もあるというようなこともありますので、そこら辺は段階的にゲート、ゲートを設けてアタックできないような仕組みをつくっていく必要があると思います。
 あと、倫理的な面で、例えばそこの家で使おうと思って、キープできるような仕組みがうまくできていればいいのですけど、例えば使おうと思ってたのだけど、何かスイッチを切りかえ忘れて、そうしたときにほかが足りなくなってそこから電気をぱっと持っていかれたと。そうなったときに、後で使おうと思っていたのに使えなかったみたいなことが起こりかねないので、その辺のバランスをどうとるのかなというようなところも少し難しいところかなというようなことを思って見ております。
 この辺からちょっと羅列になってしまって申しわけないのですが、最近、SOFC型エネファームというものが発売になりました。HHVというのは高発熱量ベースなんですが、一般的にはメーカーさんは数字をよく言いたいので、LHVという低発熱量ベースで言います。エネルギー的には、本当はHHVという高発熱量で物事を考えるべきです。これは1割変わります。もう単純に1割違うと思っていただいて結構です。
 それで、HHVベースですると発電効率では40%となります。これは現在の火力発電の平均値と同じですので、住宅にもしこのエネファームが入ったとすると、発電所でつくって引っ張ってくる電気以外に熱がそのまま住宅で使えるという格好になりますので、その分丸々エネルギー効率が上がると言っていいのかなと思います。そういう意味でいい製品なのですが、一方で火力発電の最新型でMCCA火力のLNGコンバインドというのがあるのですが、それだと53%でHHVです。この13%の差というのは非常に大きくて、例えばエコキュートの最新のモデルでCOP4ぐらいのものでお湯を沸かしたとします。そうすると10%違っていると、40%分のお湯がとれるんですね。そう考えてあげると、エネファームが電気40%+熱38%、MCCA火力が43%+40%となります。したがって、このSOFC型のエネファームと最新の火力というのは、そんなに大きな差はなくて、若干最新火力のほうがまだ上回っているというような状況と言っていいかと思います。なので積極的に使われたいというのを否定するわけではないのですが、やはり採掘系のエネルギーを持ち込むというよりは、基本的には自然エネルギー、再生可能エネルギーをメーンにしていただいて、それの補助のために火力発電所等が機能するという仕組みをうまくつくっていけるといいなと、そんなふうに考えております。
 話がどんどん変わってしまって申しわけないのですが、蓄電池ですね。やはり震災以降、最近非常にこれが注目を浴びております。本当に何かあったときに、明かりも何もない、情報を得るものもない、何もないという状態に本当になってしまいますので、そういう意味では非常に役に立つものですし、昼間と夜とでは負荷の量が違いますので、それをうまくコントロールするという意味では負荷の平準化に非常に役立つものです。
 でも一方では、電気をためて使ってとやりますのでよくても2割ぐらいは損失になります。なので、必ず損失を生じるものだというところが難しいところなのかなと思います。現状では、まだ太陽電池と十分に連携したきちっとしたシステムというのが発売されていませんので、そういうところですね。かつて鉛のときには発売されていたのですけど、鉛ですとこれは2割で済まなくて3割ぐらい損失になってしまいますので、リチウムイオンやさらに新しい効率のいい蓄電池でうまくやれるという格好にしていっていただければと思っております。
 特に公共施設や避難所になっているところというのは、スクールニューディールとかで一部には太陽光発電というのが導入されましたけど、自立運転機能がついてないのがほとんどです。ということは、震災が起こって電気が遮断されたときに、太陽光発電が屋根に載っていて発電する能力はあるのですが、電気は供給されません。そういうことが起こりますので、ぜひそういうところには蓄電池を併設していただいて、最低限の情報が得られるとか、そういう仕組みをきちっとつくっていくということをやっていっていただけるとありがたいなと思っております。その際には、ぜひ損失分以上の新エネ導入をセットでやっていただいて、トータルのエネルギー使用量は減る格好できちっとやっていけるといいかなと思っております。
 次に、エネルギー消費と省エネということで、基本的には住宅を中心として、いろいろ私がふだんやっていることのバックグラウンドから少しだけ説明をさらに加えさせてください。
 「最終エネルギー消費とGDPの推移」とあります。GDPは置いておきまして、最終エネルギー消費がどのぐらいふえているかという数字です。産業部門は0.8倍、家庭部門は2.1倍、業務部門は2.7倍、運輸部門は1.9倍ということで、一般的に言われていることですが、民生部門と運輸部門の伸びを抑えないとどうしようもないと。というか、ここの部分の削減が必要になるということが言われています。その中にあって、やはりここら辺は低温の熱利用ですね。運輸部門は正直言いまして、電気自動車にシフトしていくしかないかなと思いますが、民生家庭部門と民生業務部門においては、熱需要の部分が大きいのでそれの制御ということから考えますと、やはり太陽熱、ヒートポンプの利用というところでうまく削減していく必要があるというふうに思っております。
 その中でまず民生家庭の住宅のほうのお話なのですが、これは2004年に十数軒御協力いただきまして、オール電化のお宅の消費電力の実態というのを少し調べさせていただきました。結論を単純に言いますと、どんな機器を入れているかでエネルギー消費量がほぼ決まってしまっているということ。特にやはりエネルギー消費量が多い機器というのを、いかに負荷平準化のためという名目であっても、余りにも無駄遣いしているような機器を入れるのは問題であろうというのが、ここから得た私の結論です。蓄熱暖房機――ストレージヒーターですね。れんがに熱をためて使うやつです。一晩じゅうためておいて、昼間ぽかぽか暖かいというやつですね。これはもう最悪と言っていいぐらいエネルギー消費量が多いです。同じぐらい使うのが電気ヒーターですね。これは通年でふえております。電気ヒーターとストレージヒーターを使っているこのお宅は、確かに最高に使っているお宅となっております。使う側からいうと、深夜電力の割引がすごくきくので、安く使えて電気がいっぱい使えるという格好でいいのですが、エネルギー消費量で見ると明らかに非常に大きいという格好になります。
こちらも電気温水器を使われているお宅です。
 こちらは、ホットカーペットを使われているお宅なのですが、ホットカーペットを補助暖房ではなくて主暖房としてほぼ使ってしまっているというお宅でして、そういうような場合にはやはりほかよりも消費量がふえるというような状況が生まれてしまっておりました。
 こんな形で電気を熱にとにかく直接変換するようなものというのはすごい消費電力が大きいので、そういうのは可能な限り避けていただきたいと。電気を生み出すときというのは、頑張って熱を電気にやっとのことで変えておりますので、それをそのまま熱に戻してしまっては、やっぱりそんなにもったいないことはありませんので、そういう機器はできるだけ控えていただくといいかなと思います。
 これを示すのに、具体的な事例として白熱電球で計算をしました。白熱電球は、ちょっと前に生産中止で使用をやめなさいみたいなお話があったかと思います。白熱電球60ワットの電球を4個1年間つけっ放しにしておくと。ちょっとこんなのは想定できないと思いますし、一般の家庭でこんなことないと思うんですけど、こういうことをもしやったとすると2000キロワットアワーぐらいですと。実は暖房機器というのはもっと使ってまして、地中蓄熱といって、土の中にヒーターを入れて土も蓄熱材として使って、一日じゅうとにかく家が暖かいよという仕組みをつくるのがあるのですが、それを使いますと約9000キロワットアワーぐらいをひと冬で使います。非常に大きいです。蓄熱暖房機も同じようにしたら6000キロワットアワー、電気温水器でも年間で6000キロワットアワーぐらい使いますので、非常に大きいと。これに対して、エコキュートは電気温水器の約3分の1ぐらいで済みます。こういう形でヒートポンプ等を使っている機器はいいのですが、電気をとにかく熱にそのまま変換するというのは、極所的とか、非常に高温が必要とかそういう場所は別としまして使わないと。そうでない場所は、ヒートポンプをぜひ御活用いただきたいと思っております。
ですから、白熱電球より前に電熱機器というのはもっと規制を考えていただきたいですし、電力会社は今までは原子力優先ということで、深夜電力にとにかくシフトさせたいという思いがあって過度な割引がなされてきたと思うのですが、これからの時代というのを考えたときに、もう少し適切な蓄熱の割引というのを考えていただけるといいのかなというように思っております。
 次からの3ページほどは、一般住宅でのそのままのお話ですので少し飛ばさせていただきます。
 次は、民生業務・運輸です。民生業務部門につきましては、空調エネルギーの増加というのが圧倒的にふえておりますので、そのときに諸外国に対して日本は明らかにおくれているのが、実は土壌熱ヒートポンプです。地中熱と言っていいかもしれません。地中熱ヒートポンプと言います。または下水排熱を利用する場合もございます。これをきちっとやはり国内においても活用することで、夏の暑い時期に土の冷たいところに熱を放出させる、または冷熱をいただくということができますので、通年効率が上がります。そういう格好でエネルギー――しかもヒートアイランド化を防ぐ格好になりますので――そういうところでうまく使っていただけるといいと思います。
 先ほどのは、電気から熱でそのままってやってましたけど、それをぜひ蓄熱型のヒートポンプに変えていただいて――エコアイス、エコキュートとかそういうタイプのものですね――うまく使っていければ、負荷平準化とバランスということで見ていけるのかなと思います。
 太陽熱の冷房機器というのを、県内の矢崎総業さんが生産されて発売されております。こういう機器は、高くてなかなか効率もでなくて使いにくいのですが――使いにくいというと語弊がありますが――費用対効果がちょっとやっぱり劣ってしまうんですが、そこら辺をうまく使っていけるようになるといいなと思います。
 あとは、夏はやはり夜と昼の電力の需要の差が非常に大きいので、こういうときは蓄電で負荷平準化を図る。多少損失はしますけど、それでも発電量が限られた中にあっては、こういう形で回していかざるを得ないというように考えております。
 一方で問題になっているもう1個のことが、ICTがふえてきてベース電力が増加しているという面があります。この辺はクラウド化とか見える化によって削減を図っていくということが必要と考えております。
 もう1個の柱である運輸部門です。運輸部門の中でも、自家用車の消費エネルギー量の増加と業務用の貨物という話があると思います。業務用貨物の部分は、これといった案を正直思いつかなかったのですが、自家用車の部分というのは、常に乗っている人数というのはやはり相当少ないものですから、パーソナルビークル――二人乗りの電気自動車みたいなのが各所で実験がなされているかと思いますが、これをぜひ推進していただけるといいのかなというふうに個人的には思っております。あとはハイブリッド自動車や、電気自動車ということで、負荷平準化と効率というものを両立できる機械というのが進んでいっていただけるといいなと思っております。
 ざっと流してきてしまったので、いろいろつかみどころがなかったかと思うのですが、今までのところを少しまとめさせていただきたいと思います。
 本県で推進すべき新エネと思って調べた中でやはり考えさせていただいたのは、北遠と東部における中小水力発電というのが1つ。それ以外に各地の上下水道や農業・工業用水におけるマイクロ水力発電というのが十分検討に値するものであると。能力があると思います。
 県の南部――半分より南側のところでは、住宅・工場等の屋根へぜひ太陽光発電を徹底的に載せていただければと思っております。先ほど言いましたように、2キロワットを超えてしまいますと特高受電になりますので、それ未満で済むような太陽光発電をたくさんつくったほうが、雲が一遍に全部かかるときはかかり放しになりますけど、雲が流れていたときには、こういう変動が抑えられるというような利点もありますので、1カ所に集中し過ぎるよりはうまく分散化させたほうがいいのではないかなと思っております。
 あとは住宅における太陽熱利用。非常に下火になっておりますが、ぜひこれを復活させていただきたいなと思っております。
あと北遠、伊豆における――あと御前崎等もそうですが――風力発電。ただ御前崎は、人がやはり近くにおりますので、そういう意味ではなかなか難しいかなと思います。うまく場所があればですが、北遠や伊豆で余り人に近くないところがあればそういうところでうまく風力発電ができるといいのかなと思います。あとは東部、伊豆、清水――清水が本当かどうか裏がとれておりませんが――の温泉発電という格好で、静岡県というイメージにも非常に合うと思いますので、ぜひその辺でしていただけるとおもしろいと思っております。
 もう1つは省エネ化です。省エネ化は先ほど来申しておりますが、COP2未満ということで、エネルギー効率が2より悪いような、かつ1.5キロワットを超えるような暖房機とか給湯機というのは――これをここまで言うと語弊があるかもしれませんが――禁止というか控えていただけるような方策があるのだったらそのほうがよいと思います。もちろん、非常に高温に上げるから電気じゃないと無理だという機器も当然ありますので、そういうのはもちろん別なんですが、暖房機、給湯機である範囲であれば、基本的にはヒートポンプの活用で済むと思いますので、そういう格好にぜひ持っていっていただければというように思います。
 住宅向けは、今、断熱気密の強化が非常に図られてきております。ただ、これは一方で留守のときに実は温度が上がり過ぎてしまって、冷房の増加というのが一方で既に起こってしまっております。それを考えますと、留守のときに窓を開けておけると。窓は人がいるときは開けておけるのですけど、そうじゃなくて留守のときであっても開けておけるようなつくりというのを何らかの形で進めないと、冷房需要のほうの増加をとめられないというように思っております。
 そして、民生部門における太陽光発電と太陽熱の両方の利用と。これをまずやった上で燃料電池等のコジェネを次の段階で検討すべきというように考えております。
あと、民生業務部門への先ほど示しましたような太陽熱冷房や地中熱ヒートポンプというものや、災害対策も兼ねた形での蓄電池導入と負荷平準化をうまく利用するような仕組みというようなものを考えていければいいのかなと思います。
 あと、農工業等でおくれているのですが、ボイラーのところをヒートポンプへ置換しても十分熱量が足りるケースというのは多々ありますので、そういうところではぜひヒートポンプへの転換を図っていただきたいなと思います。
 あとは個人とか住宅等では、ハイブリッドカーや電気自動車へうまく切りかえていけるといいかなと思います。
 次に、御検討いただきたい具体的な施策です。1つは蓄電池の設置と災害時の無償供与を条件にして、公共施設や工場の屋根・壁等を太陽光発電設置者に無償で貸すような仕組みができるといいなと思います。これは、太陽光発電の逆潮流で設置者は採算をとるということです。設置させる側は災害時等のバックアップ体制がとれるということと、ピーク電力のカットの部分はこちら側のメリットとして多分得られますので、その2つを得る格好になるということで、両方が得するような仕組みをつくれればというようなことでございます。
 2番として、一番問題になっているのは、だれに聞いても残念ながら初期投資がかかってしまうというところですので、例えば、県が中心となって初期投資が不要なESCO事業――新エネでも省エネでも両方がやれるような形のことをワンストップのサービスとして提供できるというようなことができると、おもしろいのではないかなと思っております。
 もう1つは、今もう既に太陽光発電は補助金が出されておりますが、補助金を出すと県から持ち出す一方に今なってしまっていますので、そうではなくて、その際にセットでグリーン電力証書や国内クレジットを活用して、補助金を出して設置者は楽になった分後々県のほうにも少しは収入として入ってくるような仕組みを同時につくり出すというような形で組んでいけると、おもしろいのかなというふうに思っております。
 ここの仕組みのところで、具体的に動いている事例としては、神奈川のソーラーバンクシステムというのが1つあげられるかと思います。これは今の段階では太陽光発電だけですし、先ほど示しましたようなクレジットとか、グリーン電力証書のところまでやりたいと思っているというふうには聞いてますけど、まだ、うまくきちっと組めてないというようなお話も聞いております。そこら辺がきちっと組めて、実施者にとってはイニシャルコストが減って収入になるし、県にとっても長期的にそれがインカムになるような仕組みというのがうまくできるといいなと思います。
そのときに、太陽光発電というのは設置量が決していいわけではなくて発電量がメリットですので、発電量をきちっと把握していくという仕組みをつくっていただきたいと。そのときに1つの事例としては、こういう「エコめがね」みたいなのが民間のNTTスマートエナジーとかでもう実施されています。そういう仕組みを例えば県が導入をして、または委託をしてやっていくことで、発電量を把握して太陽電池がしっかり発電しているかどうかで、そこの住宅での消費量を国内クレジットとして買い上げて、それは県にとってプラスになるよというような仕組みができて、関係者みんながプラスになるような仕組みというのができていくといいなと思います。
 ちょっとむちゃも書いてあるのですが、本県がチャレンジするならこういうことかなと思っております。先ほど少し述べさせていただきましたけど、温泉発電も、温泉発電だけではなくて駿河湾の冷熱と組み合わせるとか、清水もLNGの冷熱と組み合わせるというようなこと。また、県内の冷凍サイクルの経験を生かしてぜひ発電機はつくっていただけるといいなと思っております。あと、太陽光発電、太陽熱のハイブリッドの利用、そして将来的にはやはり追尾式太陽光発電へ移行すべきだと思います。追尾式にして一本足で浮かせることで下の部分というところにも日が当たるようになりますので、うまくするとそこで農作業もできるということで、農地と太陽光発電設備というのは基本的には光のとり合いになってしまうんですが、うまくやると両立ができる可能性があるというような仕組みができるといいと思います。
 今まで見てきていただいた中で、浜松市天竜区というのは、風力、小水力、バイオマスを持っていて――太陽光発電は若干弱いのですが――そういう意味では総合的に電力プラントとして実証実験やシステムを組むという意味では非常におもしろい地域だと思いますので、そこで何らかの形で実験とか集客できるような仕組みができたらおもしろいのではないかなと思っております。
 最後のこれは全くむちゃを書いておりますけど、浜名湖の今切口の底に潮流発電を沈めたらおもしろいんじゃないかなと思います。浜名湖は塩水化が進んでおりますので、流れが滞ることで少し塩水化の緩和ができるということと、産業観光と海中水族館みたいなものがセットでできるとおもしろいかなと。これは、裏をとらずに全く思いつきで書いておりますが、そんなようなことを思いながらいろいろ調べさせていただいてまとめさせていただきました。
以上でございます。ありがとうございました。

○三ッ谷委員長
 ありがとうございました。以上で松尾先生からの意見陳述は終わりました。
 それでは、これより質疑応答に入ります。
 委員の皆様にお願いをいたします。質問はまとめてするのではなくて一問一答方式で結構でございます。各委員の御質問、御意見がありましたら御発言を願います。それでは、お願いします。

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