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委員会会議録

質問文書

開催別議員別委員会別検索用


平成24年6月定例会企画文化観光委員会 質疑・質問
質疑・質問者:藤田 寛 議員
質疑・質問日:07/04/2012
会派名:民主党・ふじのくに県議団


○藤田委員
 久しぶりに下山部長とこうして委員会で御一緒させていただいて、平泉が1度目のチャレンジで粗相をした当時のことを思い出しました。したがって、世界文化遺産のことを用意していたわけですが、時間がありませんので、断腸の思いで空港問題についてのみ、質問をさせていただきたいと思います。
 私は、思い入れがございまして、富士山静岡空港を小さく産んで大きく育てようと議会の内外で主張してまいりました。先ほど来、いろいろな議論がされているわけですが、少々歴史をひもといて申し上げると、現在地に建設予定地を決定したのは1987年、昭和62年でした。JRが発足した年度と同様なものですから、私は鮮明に覚えております。したがいまして、平成21年6月の開港まで22年間、時間を要したわけです。私などよりも、天野議員のほうがよく御存じだと思いますが、さまざまな苦難の道のりでありました。試行錯誤もありました。1900億円の総事業費を投じました。その生み落とした富士山静岡空港をわずか3年という短いスパンで切り捨てるような議論には、到底私はくみすることができません。後ほど申し上げますが、社会資本である以上、その社会資本の成果等については、いま少し、地に足をつけて、生産的に科学的に建設的に議論をされてしかるべきだと痛切に感じているところです。
 もちろん成果ばかりではありません。課題もはっきりといたしました。当然ですが、課題の筆頭格は、富士山静岡空港の経営管理にかかわるキャッシュフローベースの4億円前後の赤字が出ているという論議です。それから、138万人に対しての搭乗人数の実績。これを私は別に全否定するわけではありません。社会資本といえども、経営管理、管理費の収支というのは、配意すべきだと思います。
 ただ、1つ目の質問ですが、この3カ年で立証されたこと、あるいは判明したことと申し上げてもいいようなことを3カ年の空港の歩みとしてどのように評価されているのかをまず、問いたいわけです。
 私なりの評価を申し上げます。1つは社会資本として私どもがプランニングの段階で立案、意識したことのすべてとは言いませんが、その成果は現出をしているというふうに思います。それを証明することを2つ申し上げたい。1つは、三・一一の発災後に、富士山静岡空港は、その緊急物資の輸送であるとか、さまざまな防災減災拠点としての機能を発揮しました。それから、開港の経済波及効果245億円、税収もあり、経済誘発効果もありました。この2つをとっても社会資本としての一定の空港立地の設置の効果は現出したのではないかと私はまず、1つ目に思います。
 それから2つ目。後述しますが、国では国管理空港の経営改革の議論が真っ盛りです。今月1日をもって、関西国際空港と伊丹空港が統合されました。最終的にはコンセッション方式に移行するとも聞いております。ああいう官が設置をした空港に民間活力を導入し、さらには民間企業にその運営をゆだねるという方式は、静岡県にとってみれば、国が後追いをしていると評価していいと思います。今、国がやろうとしていることは静岡県が既に先導してきました。民活空港としての先進性というのは、2つ目に評価をされてしかるべきではないかなというふうに私は思います。
 それから3点目、うれしい誤算と申し上げましょう。国際空港としてのポテンシャル、これは当初、スキームの中では想定していなかったと、反省も込めて私は思います。つまり地方管理空港の中ではトップクラスの出入国者数でございますから、富士山静岡空港というのは東アジア、アジアを中心に外国に開かれた空の玄関としては十分に、過言かもしれないけども、予想以上の機能を発揮した。この3点について異論はそうなかろうと思うのですが、ぜひ、この3点を中心に、この3年間の空港の評価として御所見を伺いたいし、もし賛同が得られるとするならば、4億円だけではなくて、こうした部分についてももっともっと県民に対して啓発するべきであるし、空港のアピールポイントとしても世間にメッセージを発していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 それから、次は課題について伺います。
 これは、予期せぬ誤算でした。FDAの現在の就航状況です。これも少し古いこと申し上げて恐縮ですが、開港4年前の平成17年、リージョナル航空研究会というものが県の主導のもとで、渡井文化・観光部理事はよく御存じだと思いますが、設置されました。その結論は、富士山静岡空港というのは静岡県の設置管理空港である。つまり地域空港として育てていかなければならない。地域空港として育てていくには、100座席以下の小型機が運航の主体を担うリージョナル航空を富士山静岡空港で中心に位置づけていくことが肝要である。
 もう一言添えます。研究会の答申をそのまま棒読みしますが、具体的には、富士山静岡空港を拠点とする航空会社を設立して県民の翼として確保していくべきだ。これが研究会の答申です。県当局もこの研究会の報告を尊重して、平成20年6月、鈴与100%出資のFDAの設立に結実したわけです。翌年、FDAは航空機を購入するに当たって、いわゆる通称ふるさと融資を介して静岡県は無利子貸し付けで支援をすることになったわけであります。この経過にプラスして申し上げづらいことですが、開港当時は、FDAは小松、熊本、鹿児島、この3路線、もくろみどおりリージョナルジェットを運航してくださいました。しかしながら、残念ながら、その後、小松、熊本は運休のやむなきに至り、現在、自社の単独運航は鹿児島線のみ、福岡と札幌はJALとのコードシェアと、これが今のFDAの富士山静岡空港を拠点空港とした上での運航実態であります。
 結論を申し上げます。静岡県が研究会の報告に基づいて、空港の機能の発揮に当たってリージョナル航空を中心軸に据え、FDAの設立に至り、FDAの機材購入に無利子融資を決定し、今日の状態に至っているわけです。私は、当初の私どもが意図していたスキームとも、あるいは目的も、現在のFDAの就航状況と対比をすると少なくない乖離が生じていると現状を認識するわけですが、執行部は、このFDAの現状についてどのように御認識をされているのか、伺いたいと思います。

○君塚文化・観光部部長代理
 先ほどの藤田委員からの御質問のうち、1点目のこの3年間で立証されたこと、またどう評価するかということで、藤田委員から御評価をいただきました。
 まず、1点目でございますけれども、社会資本としての価値が現出したということでございまして、開港1年目、245億円と試算をさせていただいております。先ほど委員御指摘の赤字という部分は確かにございます。この赤字幅というのはできる限りコスト削減努力等により、あるいは就航をふやして、着陸料をふやすことによって収支を改善していく必要があります。しかし、それに余りある経済波及効果245億円というものを試算させていただいており、またこれも昨今の状況、また新しい路線も就航する中で、また試算していきたいと思っております。どうしても赤字ということに目をとらわれがちでございますけれども、やはりトータルの社会資本としての効用として、確実に価値を生んでいると、私も委員の御指摘に同感させていただいている次第でございます。
 それから三・一一の震災後も、実は運用時間外に緊急物資を運送するということで、非常に機動性を生んだと。また今、防災拠点としての機能を整備しつつあるということでございまして、今後ますます重要になってくる防災という視点からも、空港の機能はますます現出していくと考えております。この1点目につきましては、委員の御評価どおりと考えております。
 それから2点目でございますけれども、今、国の方で民活という動きがございます。実は静岡県は、委員が先ほど来御指摘のとおり、ターミナル会社が純民間の会社として立ち上がり、小さく産んで大きく育てると、スタートのところはしっかりと経営を安定させていくという形で、民間主導という形でスタートしたところでございます。
 さらに指定管理者制度という方式で、県の業務を、全部ではございませんけれども富士山静岡空港株式会社に業務を行っていただくという形で効率化を図るという取り組みは、全国の中でも先進的な取り組みでございます。国土交通省の方の検討会でも、先進事例として県から報告をさせていただくということで、まさに全国に先陣を切って、民活の取り組みを進めたということでございます。その流れがこの国の今の民営化の動きに大きく後を押したということだと思っております。
 今まさに、国の動きも踏まえた形で、空港の経営のあり方を検討する場が設定されておりまして、これは空港局の所管でもございますが、私ども文化・観光部としては、空港利活用という視点から、航空のおかれている環境が非常に厳しく、空港間競争も激化する中で、富士山静岡空港がさらに競争力を強化して、生んだ価値をまたさらに生んでいけるような空港に脱皮していくための次のステージに進んでいると思います。そういう意味では、先ほど委員のおっしゃった、小さく産んで大きく育てるというスタートのところが非常に成功して、また次のステップに進めているというのが今の状況かと思っております。
 それから委員がおっしゃった3点目。国際空港としてのポテンシャルは開港前には全く想像もできなかったほど、国際空港としてのプレゼンスが非常に高まっています。先ほど委員から御指摘がございましたとおり、法務省の出入国管理統計の中で、外国人だけでいえば、成田、羽田、関空などすべて入れた中で、外国人だけですと第8位、日本人と外国人合わせると第10位であり、地方空港の中ではトップだということで、この3年間でトップになるということは、静岡の高いポテンシャルを示すことだと思っています。まだ3年間ですので、台北路線が就航し、上海路線が武漢に延伸をするという状況もまた加味すると、さらにその国際空港としてのプレゼンスが非常に高まっているということでございまして、この部分は、むしろ当初想定していなかった富士山静岡空港の新しい側面といいますか、非常に価値の高い側面だと思っておりまして、これは特に評価すべきところだと思っております。
 さらに、この空港の生んだ価値としては、経済波及効果ということでははかり知れないいろいろな交流が生むメリットというのがあると思います。先ほど伊藤委員から御指摘もあったような、例えば若い人が海外に足を運んで、それがまた留学につながっていくと、将来の相互交流につながっていくといったさまざまな交流を生んでいると。経済波及効果ということでははかり知れない新しい価値を生んでいるのかなと思っておりまして、そういうさまざまな空港の生む価値というものを、先ほど委員御指摘のとおり、赤字ということにクローズアップするのではなくて、その空港の生む価値を、もっと県民の皆様に理解をいただき、より空港を支援していただけるような、次のステップに進みたいと思っております。

○渡井文化・観光部理事
 2点目のFDAについてでございます。
 国際線とあわせて国内線の富士山静岡空港の柱となるべく、さらに大きく発展してもらいたいFDAについてでありますけれども、先ほど藤田委員のお話のとおり、当時、富士山静岡空港を活性化させる方策の1つとして民活だとか、リージョナル航空の拠点基地というのも考えられたものであります。
 それを受けまして、鈴与がFDAを設立しまして、ちょうどこの今月の23日で3年経過いたしました。設立に際しましては、その資金の一部としまして地域総合整備資金、いわゆるふるさと融資も活用して、2年間の計12億円、2機購入をしたところであります。
 当初は、管制は大手航空会社、地方間の活性化のために資するということで、小松、熊本、鹿児島ということでスタートしたわけです。その後、JALの路線を引き継いで福岡、札幌と運航しまして、わずか3年の中で路線便数も大きく変わっていますし、6機あるうちの5機が小松中心に展開されるというふうな事態になっておるわけです。 
 大手のJAL、ANAと違いまして、初めて生まれた航空会社ということでありますので、静岡からの行きはいいわけですけども、残念ながら帰りの便が就航先には知られていないと。地名度を浸透させるのに一定期間がかかっているという中で毎日飛ばし、非常に大きなコストがかかってまいります。特に昨年の三・一一以降は大幅な搭乗客の減少にも見舞われておりまして、立て直しを図るという中で、現状でいきますと、FDAは3路線ということで、一日3往復という運航に至っているわけです。ふるさと融資は2機を前提としまして、私たちもダイヤ改正の都度、頑張ってまず飛ばしてもらいたいと働きかけをしております。
 とはいうものの経営という観点からいきますと、機材の最大効率的な運航、あるいはコストの削減という中で、現時点では静岡は一日3往復とならざるを得ないという説明を受けております。
 こうした中で震災以降、少ない運航回数でもありながら、少しずつ搭乗率上がってきておりまして、福岡路線については、ほぼビジネスが定着しつつありますし、鹿児島路線についてもだんだん地名度が上がってきまして、ビジネス、あるいは観光面でも利用されてきているところであります。 
 航空会社を育てていくというには一定の期間がかかると、その今過程にあるものというふうに私たちも考えております。経営の状況、あるいは運航の状況を見ながら、改めて静岡発の便がさらにふえていって、文字どおりの静岡発の空港となるように県もいろいろな支援をしながら、引き続き取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。

○藤田委員
 この3年間の空港の評価については、大筋認識を一致することができたと思います。空港経営の今後のあり方については、後ほど別立てで御見解を伺いたいと思っていますので、お断りをしておきます。
 少し、渡井理事らしからぬまとまりの欠くお答えでありまして、いま少し焦点を絞りましょう。
 FDAの現在の就航状況をどう認識するか、このことが判然としないと、再構築という段階に具体的にアプローチということは、困難だと私は思います。したがって、少々耳が痛いお話をさせていただくわけですが、まず、ふるさと融資制度、静岡県民の翼として確保していくための支援策であったと承知しています。そこで、改めてそのスキームをお教えいただきたい。とりわけ県の負担分はいかほどなのか。

 それから2つ目の質問。このふるさと融資の関係書類をひもといていきますと、ポイントとなる言葉があります。それは拠点という言葉です。少々朗読をさせてもらいますが、ふるさと融資を実行する地域振興整備財団に対して、県がふるさと融資の適用をお願いしたいという文書が平成21年の6月に提出されています。その中にこのような一文がございます。富士山静岡空港において、多路線化、多便化を実現するためには、リージョナル航空運送事業が本空港を拠点に展開されることで、多路線化、多便化が実現するから、当該事業者の機材の購入に当たって、ふるさと融資をぜひ適用していただきたいという論旨、趣旨であります。
 しからば、FDAにとって富士山静岡空港は現在、現状、拠点空港と言えるかどうか、これが大きな私は論点、これはもう好むと好まずにかかわらず、ふるさと融資のスキームを見てもポイントだというふうに思います。そこで思案をめぐらして、拠点空港か否かの物差し、判断基準、判断項目とはどういうものがあるかなと考えた末に、今、渡井さんがおっしゃったように機材の配備はどうだろう。名古屋飛行場に5機、富士山静岡空港に1機です。それから社員の配置状況はどうだろう。7割強は名古屋、残りが静岡です。それから路線数。FDAはコードシェア便を含めて静岡は3路線、名古屋は5路線。それから空港利用者数。FDA便に限定して平成23年度ですが、静岡は14万人、名古屋飛行場は、旅客の定期はFDAのみですが、32万人です。この周辺データから推しはかると、富士山静岡空港が果たしてFDAの拠点空港と現実なっているのだろうか、大いなる疑問を感ぜざるを得ません。
 さらに加えますが、FDAの今年の夏のダイヤを見てみました。もう御存じだと思いますが、1年限定の東北便。震災復興に少しでも資するようにということで、国交省が許可した東北便が引き続いて運航されることになりました。それから内山副社長の談話というものが日本商業新聞でありました。内山副社長はこういうふうにおっしゃっている。FDAを名古屋の翼として御支援をお願いしたい。それから渡井さんにはまことに恐縮なんですが、申しわけないが、このようにもおっしゃっている。富士山静岡空港での増便や新規路線の開拓は検討していません。これは日本商業新聞の報道です。こういう事柄を総合的に勘案すると、商圏としたらば、間違いなく名古屋のほうがボリュームはあると思います。
 民間企業ですから、営利を追及するのは当然です。それはそうとしても、フジドリームエアラインズと言っているぐらいで、フジと冠しているし、ちびまるこちゃんも何か使っているようであるし、そういうことを考え合わせると、大変残念で悲しい思いがします。少なくともFDAの拠点空港は富士山静岡空港のみではない。FDAの拠点空港は富士山静岡空港と名古屋空港と認識するのが百歩譲って最も客観的な認識として正当ではなかろうかなと、私には思えてならないわけですが、もろもろ申し上げましたけども、そのことも含めて、2つ目として問うておきたいのは、そういう現状にあるFDAを富士山静岡空港におけるリージョナル航空の進展の上で、今後どのように位置づけて関係の再構築を図っていかれるおつもりなのか。

 それから、これに付随して3つ目です。FDAに別に限定しなくてもいいのじゃないかと。別に静岡生まれじゃなくても、ほかのリージョナル航空会社にアプローチをしていいじゃないかと。そういう見地から、リージョナル航空の富士山静岡空港での活用をどのようにお考えなのか。リージョナル航空というのは、ローコストキャリアとはまた違いますよね。以上3つ見解をお示しいただきたいと思います。

○君塚文化・観光部部長代理
 まず、ふるさと融資の制度でございます。
 これは先ほど渡井理事からも若干申し上げましたが、地域総合整備財団の地域総合整備資金貸付制度、いわゆるふるさと融資制度でございますが、航空機購入経費等の一部の12億円を無利子で貸し付けるという制度でございます。機材で言いますと2機分の購入費に充てるという形で、無利子貸し付けをするということで、12億円のうち平成20年度分が8億円ですね、平成21年度分4億円で、5年以内据え置きの15年以内償還という形での  制度となっています。FDAが静岡を拠点するという前提の中で、先ほど渡井からも申し上げたとおり、県民の翼としてのリージョナル航空の展開という私どもの期待と認識のもとで、そういった支援をさせていただいたところでございます。

 これに伴って、先ほど委員からの御指摘で、実際に拠点といえるのかというところでございます。 
 確かに、名古屋にシフトしているという現状があるのは事実でございます。すべての面において名古屋のほうが数字的には高いという状況も事実でございますが、私どもとしては県民の翼、鈴与の100%子会社としての地元資本として、地元のために航空経営をしていただいていると思っております。
 ただ、いかんせん、このFDAは本当に厳しい経営状況に今おかれております。景気後退の状況、あるいは震災後の影響も当然受けておりますけれども経営が厳しい中で、かつ経営を維持していくためのいろいろ試行錯誤繰り返しているという状況でございます。そういう中で、JALが撤退した路線を引き継いで、JALにコードシェアを張っていただいて共同運航していくという形のパターンを、富士山静岡空港においては福岡路線、札幌路線がそうですし、また名古屋空港もJALが撤退した後の便を張ったという状況でございます。
 そういう意味で、今経営立て直しに試行錯誤しているという状況でございまして、私どもとしては、FDAには経営改善をしっかりしていただいて、当初の本来の目的である県民の翼としての地元資本として、静岡を中心とする活動というものを期待して、そういった目で見ているという状況でございます。福岡路線、鹿児島路線にかなり搭乗率がふえてきていて、特に福岡はビジネス路線として定着していると。やはり新幹線との競合はございますけれども、距離分担率でいえば、もっとポテンシャルがあると思っております。鹿児島との交流も今かなりふえている状況でございまして、九州新幹線のプラスの影響もございまして、周遊の利用者も非常にふえているという状況でございます。これをさらに推し進めていき、経営改善にも資すると思っておりますので、静岡で張っている路線については搭乗率のさらなる向上、路線収支の改善に向けた努力を進めていただき、私どもとしては、ほかのエアラインと平等な支援をさせていただきながら育てていくという形と考えております。

 先ほど委員御指摘の東北便でございますけれども、これは国交省のほうで、本来はすみ分けの例外として、名古屋、小牧での就航を例外的に認めているという状況でございますが、まだやはり震災復興が完全になってないという中で、恐らく延長したのではないかと思います。これは永続的なものではございませんけれども、FDAの経営改善に資するということであれば、それはしっかり進めていただくということだと思っております。したがって、拠点という意味につきましては、確かに名古屋との数字的な比較においては少なくなっていると、静岡が相対的に減っているものの、静岡に先ほど御説明のとおり、ステイをして、実際に運航している機材もございますので、そういったことをベースに、本社もこちらにある中で、拠点としての位置づけは引き続きあると。
 経営が改善して、将来的にまたさらなる機材をふやすことができれば、いろいろな可能性もあります。増便ないし新規就航というのは、国内路線では今どこでも難しい状況でございます。特にリージョナル航空というのは非常に厳しい経営状況に置かれることは間違いございませんので、ただ、そういった当初の目的については経営が安定する中で戻っていただくことを県としても志向していきたいと思っております。そういう意味では、会社としての位置づけとしては、当初の考え方は、今時点ではなかなか厳しいですけれども、将来その機材もふえて静岡に配備する中で実現ができるものということを私どもは信じて、所要の支援なども行っていきたいと思っております。
 
 FDAに限定しなくてもアプローチをすればいいではないかという御指摘につきましても、今申し上げたとおり、国内路線というのは非常に厳しく、リージョナル航空の経営も本当に厳しい状況に置かれるという中で、FDAが回帰できるかということもございますけれども、私どもとしては新しい路線を誘致していく中で、そういった可能性があれば、もちろんアプローチをしていきます。そのための空港コスト削減のための支援策も用意しております。また、FDAにつきましても、当初の目的に回帰をしていくということも将来的にはあると考えて、取り組みを行っていきたいと思っております。

○藤田委員
 ちょっと数字の確認だけ、答弁で言及いただけませんでしたので、お願いしたいわけですが、ふるさと融資にかかわって、県が負担する利子分というのは4600万円で間違いないですか。後ほど御返事ください。

 以下、要望で結構ですが、日航との訴訟にまで至ってしまったあの教訓は何だったのかというと、私はこの1点に尽きると思います。エアラインと空港設置者との連携協力関係というのは片務的ではだめだということだと思うんです。両者の連携というのは双方向でないと成立しないということが、あの一件の教訓だというふうに、私は肝に銘じています。しからばFDAと空港並びに静岡県との提携状況はいかがかといえば、少々、かつての轍を踏みかねない片務的な道をたどりかねない現状には少なくともあるなと私は思います。みずからの認識を押しつけるつもりはありませんが、杞憂に終わるように、そういうことのないように、FDAとの連携関係の再構築に今後ぜひ努めていただきたい。そのことは要望で結構です。利子負担分だけ、後ほど数字をください。
 
 時間がありませんから、空港絡みの最後ですが、先ほど君塚文化・観光部長代理が言及した経営体制の問題です。前置きはもう代理のほうから示されましたので、簡潔に申し上げますが、国の現在の方向づけは、国管理空港を最終的には、あるいは理想的にはと申し上げてもいいでしょう、コンセッション方式にしていきましょうということのようです。静岡県の当時の岩ア理事もヒアリングに出席して、富士山静岡空港の先進的な取り組みについて御意見をお述べになったようです。
 そこで伺いたいわけですが、国の報告書を拝見すると、空港経営改革の目的、方向性、それから手順、実行スケジュール等々を網羅した国としての実施方針を策定して公表すると報告書にございます。ちょうど1年前の期日が、来年の夏ということですから、この夏ですね。この実施方針の策定や公表の状況というのは現状どうなっているんでしょうか。これ1つ目。

 それから、先ほど関西国際空港と伊丹空港のお話は申し上げました。それ以外も含めて、国管理空港の運営権を民間に売却可能とするための民活空港運営法案と私は称していますが、関連法案の上程、審議の状況というのは現状どのようになっているのでしょうか。これ2つ目、教えていただきたい。

 それから3つ目です。ここが最も答えが見つからないわけですが、国管理空港というのは、ある種ドル箱空港もあります。そうすると、民間会社が運営権を買収して、コンセッション方式は大体20年から30年とか、長ければ50年という説もあるわけですが、投資対象として魅力のある空港という位置づけと、それから先ほど私が冒頭に力説したように、やっぱり公共性、公益性という社会資本としての宿命も空港は負っていると思います。この両者の調和というか、バランスというのはどう考えたらいいのでしょうか。

○君塚文化・観光部部長代理
 まず国の動きでございますけれども、今まさにPFI方式で民活化という流れの中で、空港のあり方については、国土交通省の中でも検討委員会が設けられて検討されているという状況と認識しております。1番目と2番目の質問に対してセットでございますが、法案審議そのものが、国会全体の動きもございまして、先送りされている中で、実施方針についてもまだ具体のところは見えておりませんが、空港局の方でもそこは状況把握しつつ、それを踏まえた形で県の方でも検討を進めていくという形になろうかと思っております。

 それから3点目でございますけれども、コンセッション方式――民間活力による空港の活性化という一方で公共性を確保していくという意味では、例えば着陸料というような収入をどうしていくのか。例えば、もし民間がその収入を得ることができる形でインセンティブを与えるという形になると、最悪のケースを考えれば、高く着陸料を設定して、エアラインが路線の維持、その採算性の確保に困窮するというような状況が、例えばですが、あり得るということだと思いますけれども、一方で県のほうでは、やはりエアラインがしっかり就航して採算性がとれるような形にするというような形の支援策もいろいろ行っているという状況でございます。そういった空港を育てていくということと民間がもうけていくといいますか、民間のインセンティブを与えていくということは、場合によっては背反する形になろうかと思います。ターミナルビルの使用料一つとっても、民間がもうけるという視点と、空港そのものの路線をふやして経済波及効果を高めていくというところが相反するところは出てくる可能性がございます。
 そういった視点は、今後の検討の中で必要かと思っておりまして、羽田のようなもうかる空港と、富士山静岡空港のような地方空港とは考え方がおのずと変わってきてしかるべきだと思いますし、そういった視点から、富士山静岡空港はどういうあり方が一番民間活力も維持できて、かつ公共性、本来の県としての政策目的が実現できるのかという視点で、有識者の方からいろいろ御意見をいただき、その答申を得た上で、県として、その政策の方向性を決めていくということで、6月に検討会議が空港局に設置されました。
 今後そういった議論、また御意見を有識者からいただきながら方向性を考えていきたい。これは空港局と連携してということでございますけれども、進めていきたいと思っております。

○植田観光振興課長
 FDAに対する貸付金の県の負担額ですけれども、利子補給が1億8460万円です。そのうち4分の3が交付税措置されますので、残りの4分の1である4615万円が実際の県の負担になります。以上です。

○藤田委員
 冒頭に申し上げればよかったわけですが、富士山静岡空港の先導的な経営体制の具体化を図る検討会議の庶務は交通基盤部空港局であることは承知しております。これは我が会派の本会議でも言及いただいたわけですが、ハードとソフトと所掌事務を分けているわけでもなく、経営の骨格というのは利用政策だと私は思うわけですが、そういう組織編成上、少々改良の余地があるものだから、文化・観光部の君塚部長代理にもこうしてお聞きしているわけです。これはもう双方が押しのけてでもお互いにリーダーシップを発揮して、先導的な富士山静岡空港の経営体制のあるべき姿を導き出していくべきだと、まず、私は意見として申し上げておきます。
 その上で、そろそろ終わりにいたしますけれども、最も危惧されることはどういうことかというと、例えば、富士山静岡空港株式会社の提言によれば、1株5万円ほどの株式会社の全株式を県が買収をしていただきたい。その工程を経た後に富士山静岡空港の先導的な経営体制に移行するのがよかろう。そのベースになっているのは、間違いなく国の動きでしょう。つまりコンセッション方式の導入ということだと私は推察をしています。それを平成26年度以降と知事は検討会議に諮問したわけです。なぜ平成26年度なのかといえば、平成25年度が指定管理期間の終了年度だからです。平成26年度から先導的なという、まだ姿形もさっぱりわからないような経営体制に移行するというのは、いささか性急にすぎるし、現実的でないと私は思います。もちろん検討会議の答申をそのままうのみにして静岡県として実行に移すとは書いてありませんから、答申は答申として尊重するだろうけれども、そこに加筆修正等もあるのでしょう。にしても、平成26年度といえば、来年一、二年度、1カ年しか助走期間がなくなるわけでして、当然ですが、財産の所有、取得ということですので、10億円相当の株式を買収するには議会の議決を要することになるでしょう。それからコンセッション方式を導入するということになれば、公募期間を設けなければならない。公募要項を策定する必要がある。当然その指定管理者制度の制度を準用することになるであろうから、買収する企業の指定を議会も議決するということになるんじゃないでしょうか。
 それだけの工程を平成25年度1カ年で消化するというのは私はいささか現実的でないと思います。年度末に出される答申もまだ出されてない段階からいろんなこと申し上げて恐縮ですけれども、ぜひ考慮していただきたいと思うのは、かつて民活空港で、デッドロックに乗り上げたのは航空法の制約でした。ずばり申し上げれば、利用料金制の導入でした。警備とか清掃は指定管理業務に入れていいけれども、空港設置者が着陸料の設定から収受を全部やらなければいかんと、つまり利用料金制の導入はまかりならんというふうに法の規制があったわけです。利用料金制というのは、他の指定管理者制度では入れているところを見ると、主体的な努力の及ぶ範囲がぐっと広がるわけです。なぜなれば、プラスアルファの部分は懐に入れていいわけですから。だから、私は平成26年度以降どんな形になるか予見もつきませんが、選択肢の1つとして、法改正を伴いますが、利用料金制の導入を前提とした指定管理者制度の継続も考慮の範疇に入れておく必要もあるのではないかなと思います。国はちなみに、平成32年が国管理空港の民活化の最終年度と報告書には書いてあります。トップランナーで来たからといって、そんなにリスクを伴う必要も本空港においてないわけですので、国の動き、それからこの検討会議の答申の内容、それから、今までの積み上げ、蓄積、こういうものを総合的にぜひ今年度末答申をいただいた後の検討の俎上にのせた上で賢明な御判断をいただきたいと思いますが、それについてお答えを求めておきたいと思います。

○君塚文化・観光部部長代理
 利用料金制ということにつきましては、創意工夫をして収入を確保する、インセンティブを民間に与えるということで、空港の活性化につながっていくというような効果もあろうかと思っておりますけれども、運営権の付与を受けた民間事業者がみずから営業して収入を確保していくということになります。そういった中で、空港のあり方、本来の行政としての目的をどう達成していくかというところも考えていかなければいけないということです。今まで指定管理者制度を行ってきた中で、すべては指定管理業務として委託できないと。着陸料の設定などは、やはり航空法の制約上できないという流れで来ておりました。1つの選択肢としてはそれを変えると。指定管理者制度の延長として、今までできなかったことをやっていくという形もございますし、あるいはPFI方式という形で、指定管理者制度ではなくて、委託した上で民間にゆだねるなど、いろんな手法が考えられるわけです。
 私どもはどうしても限られた行政の中での経験しかございませんので、幅広く見てきた有識者から、それぞれのメリット・デメリットをこれからより広い視点から、何が一番空港の発展にとっていいのか御意見をいただき、また大事なことはタイムリミットですね。平成25年度までは指定管理者制度の契約があり、これが1つの境目だと思います。その次のステップは平成26年度ということで、本当に平成26年度からスタートするとなると、確かに時間はないわけでございます。今時点からそこまでのどういう工程を描くか、これはきょうの委員の御指摘や空港局とも認識を共有した上で議会に諮る。もし株を購入するような話になれば議会の御承認はもちろん必要ですし、まずは答申を受けて、その答申をうのみにせずに、行政の中でしっかり検討して、県議の皆様とも御相談しながら、スケジュールをしっかり管理をした上で進めていくということが、空港局と連携してできることかなと思っておりますので、それを肝に銘じて進めていきたいと思っています。

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