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委員会会議録

質問文書

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平成27年9月定例会建設委員会 質疑・質問
質疑・質問者:江間 治人 議員
質疑・質問日:10/06/2015
会派名:自民改革会議


○江間委員
 それでは、質問に入らせていただきます。
 その前に、先月の豪雨災害によりまして、茨城県鬼怒川の堤防決壊により甚大な被害が出たこと、そして本県浜松市においても馬込川流域を中心に床上浸水等の被害が発生し大変多くの方々が被害に遭われたことに対して心よりお見舞いを申し上げ、1日も早い復旧をお祈り申し上げます。

 一問一答方式で7つ質問をさせていただきます。
 では、最初に天竜川下流農業用水の整備についてお伺いします。
 三方原農業用水について、地元からの事業同意が得られ、農林水産省直轄事業による事業着工のめどが立ったとの発言が交通基盤部長よりありました。
 一方、三方原農業用水と同様に、天竜川を水源とする天竜川下流農業用水は中遠地域の穀倉地帯を初めとする下流の磐田市ほか2市1町の農地を潤す重要な施設でありますが、築造から相当の年数が経過しています。施設の老朽化対策に加え、築造当時には想定していなかった大規模地震への備えや市場用米の導入を初めとする営農形態の変化への対応が必要となってきています。
 このような中、農業用水を安定的に供給し農業競争力を強化していくためには、三方原農業用水と同様の対策を講じることが必要と考えますが、今後の方針についてお伺いします。

○松本農地計画課長
 天竜川下流農業用水の整備についてお答えします。
 天竜川下流農業用水は、国営事業と県営事業で建設されておりまして、建設から40年以上経過している区間もございます。経年劣化によりまして施設の管理に非常に労力と費用がかかっております。
 また、南海トラフ巨大地震への早急の対応も求められていることから、このような状況を改善するために、本格的な調査を国で実施していただけるように県が申請を行いました。これを受けまして、農林水産省の平成28年度概算要求におきまして国営事業の調査地区に天竜川下流二期地区が位置づけされました。
 この調査を通じまして、水稲の新たな品種の導入や新たな栽培技術の導入、コスト縮減型の大規模経営や複合経営化などの経営形態に対応しました中長期的な展望に立った農業用水の供給について検討してまいります。
 今後3年程度をかけまして農林水産省が調査を実施する予定でありまして、県としましては、受益が複数市町にまたがりますことから地域の意見の取りまとめや国との調整の役割を担ってまいりたいと思っております。

○江間委員
 ありがとうございました。
 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 では、2つ目の質問に入らせていただきます。
 9月補正にも今回上がっておりまして、説明もいただきました清水港の振興の中のクルーズ船寄港誘致戦略――仮称――についてお伺いします。
 県が取りまとめた美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生長期人口ビジョン案及び総合戦略案では、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした誘客強化を図るために、平成28年度までにふじのくにクルーズ船寄港誘致戦略を策定し交流人口の拡大に取り組むとの説明がありました。
 本県においても、去る10月2日にクルーズ船「サファイア・プリンセス号」が清水港に初寄港し、約2,000人の乗船客が県内外でショッピングや観光を楽しんだという新聞やテレビの報道もございました。
 また、国の推計によると平成26年度は清水港にクルーズ船が13隻入港し、経済効果は8.3億円、寄港1回において6400万円ほどとされており、このクルーズ船の寄港による地域への大きな経済効果が期待されていると認識します。
 今回の総合戦略について各会派から意見などが出されているとのことですが、ふじのくにクルーズ船寄港誘致戦略――仮称――に対する自民改革会議からの提言について県はどのように対応しているのか。また平成28年度までに戦略を策定し交流人口の拡大に取り組んでいくということですが、どのような戦略を策定するのかお伺いしたいと思います。

○杉山港湾企画課長
 まず、ふじのくにクルーズ船寄港誘致戦略の推進に関します自民改革会議からの提言についてお答えいたします。
 この戦略の推進に関しまして、にぎわい創出に関する調査等で地方創生先行型交付金を活用との提言を受けまして、清水、田子の浦、御前崎、熱海、下田、沼津の6港湾を対象にしたクルーズ船誘致促進事業費を9月補正予算案に計上し、本会議においてお諮りしているところであります。
 クルーズ船の誘客には、クルーズ船が入港することのできる港湾施設の条件に加えまして、寄港地周辺に乗客が楽しむことができる地域資源があることが必要と言われております。
 そのため、この事業では魅力的なオプショナルツアーの造成、寄港地の決定に影響力のある船会社や旅行会社等に本県の魅力をアピールするための冊子やビデオなどのプロモーションツールの作成、さらには中国のクルーズ市場に注目しまして、中国のクルーズ船を扱う旅行会社等のキーパーソンを対象としたショッピングを含むモデルコースによるファムトリップや商談会の実施などを行い、クルーズ船の誘致促進を図るものでございます。
 また、この戦略をどのように今後策定するのかでございますが、この戦略は交流人口の拡大を目的に平成27年度から31年度までの県内港湾へのクルーズ船寄港隻数の累計95隻の目標を実現するため、今回9月補正予算案にお諮りしているこのクルーズ船誘致促進事業費の成果を活用し、誘致受け入れ体制の充実、地元関係者を対象とした啓発セミナーの実施、旅行会社や船会社などを招いたファムトリップの実施、海外クルーズコンベンションへの参加など、このような戦略を関係部局や関係機関と連携しながら取りまとめていくこととしております。

○江間委員
 ありがとうございました。
 再質問をさせてもらいます。
 クルーズ船の大きさは、かなり大きなものまであると思いますが、清水港の湾岸整備の中で、どこまでのクルーズ船が入港できるのかを御確認をさせていただきたいと思います。

○杉山港湾企画課長
 清水港に入港できる最大のクルーズ船の大きさという御質問かと思いますが、現在クル−ズ船が着岸している日の出埠頭は水深12メートルで岸壁の延長が480メートルあります。現在世界で一番大きなクルーズ船が約22万トンほどあるのですが、これは船長が300メートルを超えるほどの大きな船なものですから、さすがにそれは清水港には入らないですけれども、17万トンクラスの「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」というクルーズ船がアジア域で今運航している最大規模でございます。この船は先般、境港にも着いているのですが、今清水港で入港ができる最大クラスといいますと、この17万トンクラスの「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」が寄港できると。ただし接岸時に着岸するときの速度だとかそういういろいろな運航の条件はあるのですけれども、清水港では今、17万トンクラスのクルーズ船が最大と考えております。

○江間委員
 ありがとうございます。
 整備の範囲の中で、なるべく大きなクルーズ船の誘客ができることを期待します。

 では、続いて3つ目の質問に入らせていただきます。
 社会資本長寿命化の推進についてお伺いします。
 高度経済成長期に建設された本県の社会経済を支えてきた多くのインフラが近い将来に更新時期を迎え、それらの維持管理費や費用の増大が予想されています。いろんな事業計画の中で御説明をいただいております。
 そして、県は社会資本を橋梁やトンネルなど個別に点検し、メンテナンスサイクルを構築し、計画的な維持管理をするための中長期管理計画を施設ごとに策定することとしており、平成26年度は静岡県公共施設等総合管理計画の策定を経営管理部と連携して実施し、27施設の長寿命化計画――ロードマップを策定しました。
 平成27年度は、これまでに優先的に取り組んできた12施設の全ての中長期計画が平成28年度内に策定できるように取り組むという、本県にふさわしい社会インフラのマネジメントのあり方を検討するための県全体の更新費用を把握する計画がございます。
 そこで5つ、細かい点を含めて質問させてもらいます。
 1番は、県全体の対象となる社会資本の数、そして更新しないものも含めた数をお伺いします。

 2つ目は、市町の管理下の社会資本の更新作業への県のかかわりについてお伺いします。

 3つ目は、更新費用の把握作業の現在の進捗状況をお伺いします。

 それから、経済環境の変化に伴い全国的な建設費が増大する中で、費用計算についてどのようにその増大分を盛り込むかについてお伺いします。

 5つ目は、災害対策等も踏まえ早期更新を進めるべきと考えますが、県の所見をお伺いします。

○曳田委員長
 質疑の途中ですが、ここでしばらく休憩します。
 再開は午後1時15分とします。
( 休 憩 )
 休憩前に引き続いて、委員会を再開します。
 質疑等を継続します。
 では、発言願います。

○内田技術管理課長
 では、社会資本長寿命化の推進についての御質問のうち、1つ目の県全体の社会資本の数についてお答えをいたします。
 交通基盤部が所管する橋梁やトンネル、港湾、漁港の係留施設、空港、公園、農業水利施設など、44種類のインフラ資産の全てを対象とすることを基本としております。
 例えば、道路では県が管理する240路線で2,741キロメートルの延長に及び、この中には橋梁が3,306橋、トンネルが145カ所のほか、舗装も2,685キロメートルが対象となっております。
 また、河川においては519河川で総延長が2,576キロメートルに及び、護岸が1,454キロメートル、ダム3基、水門、陸閘等も47基などが対象となっております。
 さらに、14ある港湾施設においては外郭施設361施設、係留施設276施設、荷さばき施設122施設などが対象となっております。
 これは例示でございますが、これらの施設の中には、大きく予防保全管理を進める性格のものと、対症療法的な維持管理手法である事後保全によって管理するものに分類されます。さらに廃止や統合など今後検討すべき施設も含まれております。

 次に、2つ目の市町の社会資本の更新作業への県のかかわりについてですが、本県では市町の社会資本長寿命化の円滑な実施を支援するために、平成25年度に市町職員を対象に支援ニーズを把握するためのアンケート調査を実施いたしました。市町からは維持管理に関する研修、講習の要望が多く上げられたことから、県では昨年度、長寿命化にかかわる研修といたしまして、社会資本の維持管理技術研修、下水道の維持管理技術研修の2つの研修コースを新たに加え、職員の技術力の向上を図ってきたところであり、延べ6日間の研修で県職員が50名、市町職員が81名で合わせて131名の参加があったところでございます。
 また、建設技術監理センター内に社会資本長寿命化市町サポート窓口を開設して各種相談に答えるとともに、今年度新たに市町連携担当を各土木事務所に位置づけるなど市町を支援し、また連携が図られる体制づくりを進めています。
 今後も、市町とのコミュニケーションをしっかりととり、市町におけるニーズをしっかり把握しながら必要となる支援を検討してまいります。

 3つ目の更新費用の把握作業の進捗状況についてお答えします。
 平成27年3月に策定いたしました静岡県公共施設等総合管理計画の中における概算では、インフラ資産の維持管理更新費用は近年の年平均投資額が約253億円であったのに対しまして、今後30年間に想定される年平均投資額は約500億円と約2倍に膨らむ推計となっています。
 ただし、この推計は対象施設を限定していることや長寿命化対策による延命化を考慮していないため、現在推計の精度を高めるために各施設において個別の中長期管理計画の策定作業を進めているところでございます。
 なお、国土交通省において更新率といった概念を用いた、より実態に近い維持管理更新費の推計を可能にする推計システムの構築を検討していると聞いているところから、国土交通省の動向を注視いたしまして、本県でも必要に応じてこのシステムを活用してまいります。

 4つ目の経済環境の変化をどのように費用計算に反映させるかについてお答えをいたします。
 建設費用の将来予測は非常に困難でありますが、建設費用の算出に当たっては最新の労務単価や資材価格等によって算出をしております。
 今後も、東京オリンピックなどの大規模プロジェクトや東日本大震災のような大災害など建設市場の実態により変動することが考えられますので、市場の実態を把握しながら最新の労務単価や資材の実勢価格を反映させて適宜建設費用を見直してまいります。

 最後に、5つ目の社会資本の早期更新についてお答えをいたします。
 インフラ資産の機能停止は県民生活や産業活動に与える影響が大きいことから、橋梁やトンネルなど防災上重要な12種類の施設を優先して取り組んでいるところでございます。
 また、限られた予算の中で予防保全に基づく効率的、効果的な維持更新を行うため、施設の長寿命化を進め、予算の平準化やトータルコストの低減を図ることを主といたしました静岡県公共施設等総合管理計画を着実に進めることで県民の安心・安全な生活の確保に努めてまいります。

○江間委員
 ありがとうございました。
 今、膨大な数字を伺いましたけれども、本当にこれを全部一つ一つやる責務が我々にはありますので、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。

 では、続きまして次の質問に入らせていただきます。
 三遠南信自動車道についてお伺いします。
 浜松市北区引佐町から長野県飯田市に続く約100キロメートルの自動車道、うち県内が41キロメートルで、この建設の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
 三遠南信自動車道は磐田市内とは直接かかわるところはございませんが、磐田市民の経済活動や観光においては非常に大きな期待が持てる道路でもあります。
 私は、スキーに行ったりとか、長野県には皆さんも行ったことが何度もあると思いますが、西部地区から行くと、まだ中央自動車道がないころは、たしか国道52号線を運転して行った気がします。
 そして、中央自動車道ができてからも小牧経由で、そのあと東海環状自動車道もできましたが、かなり近くなったと思いましたがそれでも松本市ぐらいまで行きますとやっぱり5時間程度かかるので、それがこの道路が完成すると恐らく3時間程度で行くのではないかなと推測されます。
 また、岡崎市周辺の渋滞にも巻き込まれないので、先ほども申し上げましたけれども磐田市民にとっても夢の自動車道のように思われます。
 道路基盤整備はやはり経済効果の大きな事業でもあることから、計画どおりの確実な実施をお願いしたいと考えます。
 先ほども説明の中で順調に進んでいるという御説明もありましたが、やはり山岳地帯ということもございますので、現在の建設にかかわる課題そして実施の見通しについてもう一度お伺いしたいと思います。

○戸塚道路企画課長
 三遠南信自動車道の県内41キロメートル区間の整備状況や課題、見通しについてお答えをいたします。
 説明資料の44ページで中段の2現状に41キロメートル区間の整備状況等を記載させていただいております。
 表の一番上の仮称水窪北インターチェンジから仮称佐久間インターチェンジまでの間、約20キロメートルにつきましては平成25年度に道路の位置がルート帯として決定されまして、現在環境影響評価の手続が進められております。
 今後、環境影響評価書の作成など条例に基づく手続を進め、手続が完了した後に事業化を判断する新規事業採択時評価を受ける見通しであります。
 その下に事業中の3区間の状況を掲載してございますけれども、まず長野県とつながる青崩峠道路につきましては、県境の峠を越える区間が延長約5キロメートルのトンネルとなっておりまして、そのうち県内分が約2.6キロメートルございます。
 現在、調査坑の掘削工事を進めておりまして8月末時点で約34%の進捗となっております。
 その下、浜松市天竜区佐久間町から愛知県の東栄町に至る佐久間道路につきましては県内分が5.6キロメートルありまして、平成30年度の完成に向けて、現在佐久間第1、第2トンネルの本坑掘削工事を進めているところであります。第1トンネルの進捗率は9月1日現在で65%、第2トンネルは2%となっております。
 愛知県の東栄町から浜松市北区引佐町までの三遠道路につきましては、現在愛知県内の用地買収や橋梁工事が進められておりますが、静岡県内区間につきましては既に完成して供用しているところでございます。
 課題といたしましては、調査中区間の早期事業化を図ることと、5番委員からも御指摘がありましたとおり山間地を通る道路であるということで、ほとんどがトンネル構造でありますので、事業の着手から完成までに長期間を要することが課題であると考えております。
 県といたしましては、早期全線開通に向けまして愛知県あるいは長野県等と連携しながら、国に対し調査中区間の早期事業化と事業中区間の事業促進を働きかけてまいりたいと考えております。

○江間委員
 ありがとうございました。
 続いて、次の質問に入らせていただきます。
 遠州灘海岸の侵食対策についてお伺いしたいと思います。
 遠州灘海岸の侵食対策に関し、説明資料の69ページのうち福田漁港海岸それから浅羽海岸の港口埋没対策と浅羽海岸侵食対策についてお伺いします。
 県では福田漁港・浅羽海岸サンドバイパス事業を進めており、本年1月に設置した福田漁港・浅羽海岸サンドバイパス検証委員会において現在実施中の試運転の効果や周辺環境に与える影響等について検討し、平成28年度の本格稼働を目指しています。
 これについて3つ質問させていただきます。
 このサンドバイパスが福田漁港の港口埋没への解消に役立つ効果がどれほど期待できるかを1つ質問します。

 それから、2つ目が他の地区でサンドバイパス事業の成功例があるかどうか、あったらその事例を教えていただきたいと思います。

 それから、3つ目がシラス漁船の魚群探知機を利用した地形測量や光技術を用いた漂砂調査など、産官学連携による新たな解析方法も活用する遠州灘プロジェクトは現在どのような形で実施されているのかをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○宮崎漁港整備課長
 遠州灘沿岸の侵食対策についてのうち、サンドバイパスシステムの港口の埋没への効果それから成功例についてお答えいたします。
 最初に、港口埋没への効果でございますが、福田漁港におきましては、沿岸漂砂が西防波堤に遮られることによりまして港口周辺に土砂が堆積し、航路や泊地を埋没させてきておりました。
 そこで、従来では年平均約2万立方米の土砂をしゅんせつ船によりしゅんせつし、ダンプトラック等により福田漁港東側の浅羽海岸へ投入してきておりましたが、従来の方式から港口付近の堆積土砂をポンプで吸い上げてパイプラインにて浅羽海岸へ圧送する固定式ジェットポンプによるパイプライン輸送方式で行うことを計画いたしまして、平成26年3月に工事が完了しており、現在試験運転を実施しているところでございます。
 サンドバイパスシステムの効果を確認するために、港口部周辺において平成25年2月から平成27年5月までに計7回の地形測量を行いましたが、港口周辺における変動は特に見られておりません。
 また、地元の漁協からも港口周辺における砂の堆積についての報告も受けていないことから、サンドバイパスシステムによる港口部周辺の埋没対策としての効果は期待できるものと考えております。
 今後、サンドバイパスシステムの運転前、試験運転時における福田漁港周辺の地形変化のデータ、それから試験運転実績などについて取りまとめを行い、福田漁港・浅羽海岸サンドバイパス検証委員会において試験運転の効果について検討してまいります。

 次に、サンドバイパス事業の成功例についてお答えします。
 日本におきましては、従来からしゅんせつ船やダンプトラック等の建設機械を使用して土砂の掘削、運搬を行う方式が一般的に採用されております。
 今回、福田漁港におきましては海上に固定したジェットポンプで福田漁港周辺に堆積した砂を採取し、パイプラインを使って約2.2キロメートル先の浅羽海岸へ移送する方式を採用して、現在試験運転を実施しているところでございます。これは国内初の施設となります。
 海外におきましては、オーストラリアやアメリカ等でパイプライン移送方式の実績がございます。オーストラリアでは桟橋に固定したジェットポンプにより砂を採取し年間50万立方米の砂を運搬しており、30年近い実績がございます。またアメリカにおきましても移動式の砂の採取装置により砂を採取し運搬しておりまして、70年以上の実績もございます。

○長縄河川企画課長
 遠州灘沿岸の侵食対策についてのうち、遠州灘プロジェクトの現状についてお答えいたします。
 遠州灘プロジェクトは、平成18年度からの5カ年間で文部科学省の科学技術振興調整費を活用いたしまして、先端技術を用いた動的土砂管理と沿岸防災をテーマに遠州灘をフィールドとして関係研究機関あるいは地元企業などが参画して行われた研究プロジェクトでございます。
 参加者は、豊橋技術科学大学が責任機関でございまして、このほか東京大学、土木研究センター、それから民間としては浜松ホトニクス株式会社、本多電子株式会社、こういった企業が参画しております。
 このプロジェクトにおきます研究の成果につきましては、新たな研究をし、その研究の成果を使った調査も行われております。
 現在は、シラス漁船の魚群探知機を利用し、これにGPSのデータを組み合わせることによって海底の地形の測量を行う技術が現在でも遠州灘で使われておりまして、これは福田漁港や舞阪漁港のシラス漁船にGPSの機械を積むことによってシラス漁の間に通過する航路の下の地形を測量するものでございまして、豊橋技術科学大学の研究活動の一環として現在でも行われております。その研究成果につきましては県が設置しました遠州灘沿岸侵食対策検討委員会におけます検討の基礎資料という形で活用させていただいているところでございます。
 そのほか、このプロジェクトの中で開発されました光技術を用いた漂砂調査としましては、波打ち際に着色した砂を投入しまして、それが波や潮流によってどのように動くかを投入場所から離れた場所で砂を取って、その中から着色した砂を選別し分布を調べる手法があるのですが、この膨大な量の砂の中から色のついた砂粒を選別するのが非常に労力のかかるところでございまして、その作業を光技術を用いて短時間で効率よく色のついた砂を検知する技術が開発されました。
 その技術につきましては、平成23年度に浜松五島海岸や篠原海岸におきまして調査として実施し、そこで得られた知見につきましても現在の海岸侵食の保全に活用している状況でございます。

○江間委員
 ありがとうございました。
 サンドバイパスの移動の砂の量について再質問させていただきますが、説明資料によりますと年間8万立米の移動目標と記載されていますが、現場の水産業者や漁師に伺いますと、やはり自然環境や生態系等の問題で本当にフル稼働できるのかと。フル稼働で8万立米なのかと私も思いましたので、その辺の移動量と稼働の日数や期間がわかれば教えていただきたいと思います。

○宮崎漁港整備課長
 砂の移動量ですけれども、これは8万立米で予定しております。この量につきましてはモニタリングしながら、適当かどうかは検証委員会に諮って決めていくことになります。
 現状の稼働の状況でございますけれども、現時点では8万立米までは移動させておりません。休止期間もありますし、点検をやりながら、それから改良等をやりながらやっておりますので、今大体6万立米ぐらいを移動させております。
 ただ、平均的な量でいきますと、年間を通して運転日数等を調整すれば十分8万立米動かせる状況になっておりますので、それは可能であると考えております。

○江間委員
 ありがとうございました。
 せっかく大きな費用をかけてつくったサンドバイパスですので、有効活用を地元の方々も期待していると思います。よろしくお願いします。

 それでは、6つ目の質問をさせていただきます。
 豪雨対策緊急整備事業についてお伺いしたいと思います。
 冒頭申し上げました茨城県の鬼怒川堤防決壊の災害状況をテレビで見ておりますと、当然茨城県でも相当な豪雨災害対策、護岸整備などをやっていたとは思いますが、あのような堤防が決壊してしまったのではと私も浅い知識の中で感じました。そう考えるとやはり記録的な豪雨は毎年その記録を更新していく現状の中で、本県も豪雨による浸水被害、土砂災害は我々の想定をはるかに超えてくる可能性がやはり大きいと思います。
 そこで、1つ目の質問ですが、県管理下の河川堤防の護岸整備における緊急性の高いところの把握状況と対策についてお伺いします。
 先ほど、社会資本の護岸のところも数多く御案内していただきましたけれども、特に緊急性の高いところがもしあればお願いしたいと思います。

 それから、それだけではなくやはり流下能力の低い河川のしゅんせつ工事も非常に重要になってくる。特に磐田市の河川は市内での流下能力が低いところが多く、しゅんせつ工事を緊急に要する河川だと私は考えています。
 そして、2つ目には磐田市内の県管理下の河川で久保川、ぼう僧川、太田川のしゅんせつ計画についてありましたら伺いたいと思います。

○石垣河川海岸整備課長
 まず、河川堤防の護岸整備における緊急性の高いところの把握状況と対策についてお答えいたします。
 河川パトロールや日常業務におけます河川巡視、あるいは地元からの報告や要望によりまして確認をしております。治水安全上、増水した場合に破堤などの要因となる箇所につきましては緊急性が高いものと判断し、すぐに対応しているところでございます。
 豪雨対策緊急整備事業では、局地的な狭小部の拡幅などの緊急性の高い箇所を実施しているところでございます。また対応策の1つとしまして平成26年度から小規模修繕業務委託を導入し、対策工事の時間を短縮する工夫などをしております。

 続きまして、磐田市内の県管理河川のしゅんせつ計画についてお答えいたします。
 豪雨対策緊急整備事業では、緊急性の高い拡幅工事とともに、事前防災対策として堆積した土砂により流下能力が低下している河川のしゅんせつ工事も実施しております。磐田市内の河川につきましても豪雨対策緊急整備事業や河川維持修繕事業などで主要8河川7カ所の河床掘削、しゅんせつを実施しているところでございます。
 太田川につきましては、雨季前に国道1号のすぐ下流を実施いたしております。今後、豊浜地先で約3万立米ほど掘削する予定でございます。
 ぼう僧川につきましては、福田地先で11月ごろから実施を予定しております。
 久保川につきましては、豪雨対策アクションプログラムに位置づけられました排水ポンプの整備を行う予定でございますが、現在のところ河床掘削につきましては予定はございません。
 ただ、状況等を巡視する中で必要があれば実施していきたいと考えております。

○江間委員
 ありがとうございます。
 要望でございますが、2つ目のしゅんせつ計画については予算あっての計画になっているようでございますが、やはりこの豪雨災害を見ますと、その辺の限られた予算ではあると思いますが、ぜひ見直しと早期実施をお願いしたいと思います。

 最後の質問に入らせていただきます。
 自然を生かす森の防潮堤づくりの推進についてお伺いします。
 磐田市、遠州地方に安心して住むためには本当に早急に進めていただきたいのが遠州灘防潮堤でございます。
 浜松市は平成29年度を目指して防潮堤の建設が進められていますが、磐田市ではその辺がまだ進みぐあいが遅くなっています。
 静岡モデルの津波対策として、平成26年度から太田川右岸、竜洋地区、天竜川左岸で防潮堤工事が始まりました。
 平成28年度からは市が民間の開発行為に伴う発生土を流用した防災林のかさ上げを計画しており、平成29年度から県が治山事業により海岸防災林の再整備を実施していく計画と聞いています。
 内陸フロンティア事業認定のいわた農業経営塾、福田漁港周辺の食の拠点の建設など海岸近くでも積極的に施策に取り組んでいる磐田市を初め、中東遠地域では沿岸地域の安心・安全のための早期の津波対策が望まれています。
 県では、静岡モデルの整備と連携、そして防災林を再整備するふじのくに森の防潮堤づくりを推進することとしていますが、そのためには防災林のかさ上げに必要となる多量の土砂を引き続き確保していく必要がある中で、今後中東遠地域の海岸防災林における津波対策にどのように取り組んでいくのかを最後にお伺いします。よろしくお願いします。

○藪崎森林保全課長
 中東遠地域の海岸防災林における津波対策についてお答えいたします。
 塩害等によって機能が低下した防災林におきまして静岡モデルにより市がかさ上げや補強を行った後、県が治山事業により多重防御の一翼となるふじのくに森の防潮堤づくりを推進していくことを基本としております。
 実施に当たりましては、海岸防災林を管理する中遠農林事務所と関係各市が覚書を締結することとしておりまして、覚書の内容につきましてはそれぞれの役割分担を明確にしたり、実施場所あるいは実施の形状それから樹種について協定の中で調整をしていくこととしているところでございます。
 磐田市におきましても、平成28年度事業着手に向けてこの覚書の調整を現在行っているところでございます。今後中東遠地域の関係市におきましては海岸防災林のかさ上げの取り組みを加速化させていくとお聞きしております。
 これに必要なものは当然土砂ということになってまいりますので、県で行っております静岡モデルの推進検討会などの場をかりて国や県の公共事業等で発生する土砂の情報等を提供しながら、かさ上げが完了したところから治山事業によって順次森の防潮堤づくりを推進してまいりたいと考えております。

○江間委員
 ありがとうございます。
 最後に要望を1つお願いします。
 防災、防潮堤それから森の防潮堤づくりの事業については短い期間でやれるものではもちろんありません。また土砂の調達も市単独ではなかなか厳しい部分がございますので、またその辺の御理解と御協力をぜひよろしくお願いして私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

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