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委員会会議録

委員会補足文書

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平成24年11月内陸フロンティア振興特別委員会
参考人の意見陳述 一般社団法人静岡県建設コンサルタンツ協会 副会長 藤山義修氏、一般社団法人静岡県建設コンサルタンツ協会 上村秀人氏、一般社団法人静岡県建設コンサルタンツ協会 大石勝男氏、一般社団法人静岡県建設コンサルタンツ協会 芹澤秀樹氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/28/2012 会派名:


○藤山義修氏
 静岡県建設コンサルタンツ協会の副会長を仰せつかっております藤山と申します。
 本来ですと、会長がここへ来まして参考人として意見を述べる予定でありましたが、急用がございまして、私が出席させていただいております。
 また、日ごろより県議会の皆様並びに県当局の皆様におかれましては、当協会に対して御支援・御理解を賜り、この場をおかりいたしまして、厚く御礼を申し上げます。
 このたびは、内陸のフロンティアを拓く取り組みを調査項目とする内陸フロンティア振興特別委員会の参考人としてお話をさせていただく機会を賜りまして、大変ありがとうございます。重ねて御礼申し上げます。
 意見を述べる前に、私たちから建設コンサルタンツ協会の概要、内陸フロンティアへのかかわり等につきまして御説明をさせていただきます。
 なお、本日、私のほかに当協会に加盟しております東部・中部・西部の会員の技術者及び役員が参考人として同席をさせていただいております。本来、自己紹介等をさせていただくとよろしいのですが、時間も限られておりますので、皆様のお手元にございます参考人の座席表を参考にしていただき、これを自己紹介のかわりとさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、協会の概要から若干お時間をいただいて説明をさせていただきます。
 一般社団法人静岡県建設コンサルタンツ協会は、昭和53年に発足いたしまして、現在、静岡県内の建設コンサルタント会社37会員で構成されております。
 会員各社は、行政や民間事業のパートナーとして、道路をはじめ、河川、それから区画整理、団地造成などの、社会資本整備の調査・計画・設計・施工・管理のあらゆる段階にかかわらせていただいております。
 当協会は、建設コンサルタント業界の技術と地位の向上及びその業務の進捗改善を図り、業界の健全なる発展とともに、公共福祉の増進に寄与することを目的とさせていただいております。
 厳しい経済状況を踏まえまして、社会資本整備を取り巻く社会、経済環境は大きな転機を迎えております。社会資本整備のあり方、進め方も高度化・複雑化してきております。
 こうした状況を踏まえまして、特に当協会では技術委員会のもと、まちづくり部会をはじめ、5つの研究部会を設けております。
 拡大する役割や、新しい領域に応じた技術の開発と向上に努めており、技術向上のために特に研修・研究を継続的に実施しています。当協会の概要図はごらんのような組織となっております。
 私たちと内陸フロンティア構想のかかわりですが、新時代の安全・安心で魅力ある地域づくりを実現するために、内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進に期待をしているところです。
 目標を達成するための1つである、新東名のインターチェンジ、サービスエリア、パーキングエリア周辺での新しい産業の推進のためには、開発的な土地利用がポイントではないかと考えております。
 後ほど、区画整理や工業団地造成の事例を紹介させていただきます。会員各社はこれまでに土地利用や土地活用の調査・設計・調整・申請業務等、多くの実績を有しております。また、現在でも県内の市町からの事前の相談等も受けているのが実情です。本日はこれまでの経験を生かして、内陸部の土地利用の課題や内陸フロンティア構想の推進のための提案など、意見を述べさせていただく所存です。
 私どもとしては、内陸フロンティア構想等に大変興味を持って、今後いろいろな事業を進めることに御協力をしていきたいと思っております。
 私のほうからは以上です。

○上村秀人氏
 それでは、本題に入りたいと思います。
 我々は今回、5つの項目について御説明させていただこうと思いました。
 1つは、いま、お話がありましたが、我々コンサルタンツ協会の概要についてお話させていただきました。
 2つ目として、内陸部の土地事情に関する課題です。内陸フロンティアを進めるに当たっての土地利用の課題について、現在、何が問題になっているのかを、お話していきたいと思います。
 3番目に、現在、特区として申請されている状況について、県・11市町の土地利用に関する規制緩和への期待。どういったところを期待されているのか、実情としてどういったことがあるのかといったところを御説明させていただきたいと思います。
 4番目に浜松市の未来創造「新・ものづくり」特区での協議結果等ということで、浜松市は、県・市・町に先行いたしまして特区申請をしております。その協議の結果について、少しお伝えしたいと思います。
 最後に、内陸のフロンティアを拓く取り組みを推進するための提案ということで、我々コンサルタンツ協会としての提案事項を整理しました。
 では、初めに、我々コンサルタンツ協会は、いろいろな会員が仕事をしていますが、どういった仕事をしてきたのか、しているのかといったことで、事例を先に紹介させていただきます。
 まず、インターチェンジ周辺の開発的な土地利用の実績ですが、西部地域においては、遠州豊田パーキングエリア周辺の土地区画整理事業を御紹介します。東名浜松インターから天竜川を挟んで約5キロのところにある遠州豊田パーキングエリアに隣接したところで、平成16年6月に地域再生計画の認証を受けました。今で言う特区のようなものですが、パーキングエリアを生かした地域経済の活性化と雇用の創出を大きな目標に掲げて推進してきた事業です。
 パーキングエリアにスマートインターが接続して、パーキングエリアから開発した土地に直接入れることが大きな特徴です。面積は42ヘクタール、事業費は47億円、区画整理の施行期間は平成17年9月から23年3月までと約5年間で事業を進めてきました。
 この事業は、パーキングエリアに隣接した土地の優位性を生かして、商業地域を誘致して地域産業と雇用の促進を図るという目的で進められた事業です。事業期間は、平成16年から24年までの期間で進められてきました。
 効果ですが、平成20年度のデータになりますが、静岡県は企業立地件数、面積ともに前年度比で伸びておりまして、全国でナンバーワンになっています。そのうち、企業立地件数は144件でしたが、平成19年度比でおよそ16%増、中でも遠州豊田パーキングエリア周辺地域は43件と、多数の企業立地があったという結果になりました。このパーキングエリアが寄与したことはなかなか詳しく見えないところがありますが、進出を予定している企業18社のうち、約9割が立地済みですし、予定創出雇用の2,700人も、約8割が達成済みとなっています。
 こういった状況を踏まえると、交通インフラを利用した土地利用、土地開発ができたことが、この事業における大きな利点ではないかと考えています。
 しかし、やはり事業を進めるに当たっての課題がありまして、1つはこのような大きな事業になりますと、都市計画関連部署と農地利用関連部署との協議が必要になります。時間がかかることが予想されたため、関係部署、この事業では県農林水産部の農地利用室、都市住宅部の都市住宅室、都市計画室、袋井土木事務所が同席して、一緒になっての調整、言ってみれば、実質的なワンストップサービスを実施して、事業の円滑化を図りました。また、企業誘致についても、土地の空き情報を発信するだけではなく、積極的にコンペティションを実施して、進出企業を決めてきました。三井不動産のららぽーと磐田を誘致し、大きなにぎわいを見せているということを、1つの事例として紹介させていただきます。
 次に、中部地域の焼津市の事例について御紹介します。

○大石勝男氏
 それでは、2番目の事例としまして、焼津市の八楠土地区画整理事業の概要について説明させていただきます。
 まず位置ですが、これは地区の東側から撮影した写真です。下側が焼津港並びに焼津の中心市街地、右側が静岡市方面になります。
 事業の概要ですが、施行者は焼津市、地区面積は67.7ヘクタールです。事業費が118億円で、施行には昭和56年度から平成7年度までの14年間を要しております。
 続きまして、事業の目的ですが、写真を見ておわかりのとおり、もともとこの地域は農業を中心としていましたが、昭和44年に東名高速道路の焼津インターが開設されると、急速に住宅、業務施設等が進出し、土地利用の混在が目立つようになりました。また、幹線道路は、東西に通っている県道と、静岡市方面へ連絡する国道150号バイパスの2路線しかないため、渋滞が慢性的に生じていました。それから、二級河川4本がちょうど地区の東側で合流していて、慢性的な浸水被害を抱えていました。これらの問題を総合的に解決するために、焼津市では主要幹線道路の整備、浸水被害の防止、地域産業の振興、それから土地利用の純化、この4点を主な目的として、区画整理事業をスタートしています。
 事業の効果ですが、二級河川の梅田川は、県により激甚災害の指定を受け、改修されています。また、地域の主要幹線道路の整備では、150号バイパス、東名インター取りつけ道路の4車線化、南北方面では鰯ヶ島八楠線という幹線道路の整備により、交通渋滞が大幅に緩和されています。
 それから、この事業の完了を待ちまして、南側に接する大覚寺・八楠地区、こちらも地方公共団体の区画整理事業によって、約49ヘクタールになりますが、完成しています。これら隣接する2つの地区の土地区画整理事業の完成により、交通ネットワークが大幅に整備されました。
 それから、排水問題に関しましては、先ほどの梅田川の改修とあわせて、地区の南部・東部に非常に低い部分があったので、河川しゅんせつの土砂を利用して、1メートル程度のかさ上げを行っています。事業完了から10数年たちますが、水害は一切生じておりません。
 また、区画整理の直接の目的ではありませんが、もともとこの地域には卸売センターがあったのですが、地域産業を活性化しようということで、さかなセンターなどを誘致しています。焼津さかなセンターは昭和61年に開設されて、焼津の地場産品の振興に大いに役立っています。
 土地利用に関しては、八楠地区は、焼津市が適切な土地利用誘導のために定めている特別業務地区に指定されていて、地区の主な土地利用を、住宅・商業・近隣商業・工業の4つに分けて、適切な土地利用を誘導しています。
 また、この事業は、権利者が500人ほどいらっしゃる、非常に大きな土地区画整理事業でした。区画整理事業は地権者の合意がなかなか難しく、事業が始まっても、市の資金面だけではなくて、地権者の合意を得るのに非常に苦労したということを市の方から聞いています。それらをまとめるための、施行者としての並々ならぬ努力が求められると言えると思います。以上でございます。

○芹澤秀樹氏
 それでは、3番目の事例ということで、東部地域として、新富士裾野工業団地の整備事業について御説明したいと思います。
 副題にもありますように、当工業団地は、レディ・メイド方式、いわゆる分譲型の4つの区画をつくって企業立地を図ったところです。
 位置について、裾野駅はこちらですが、直近の駅である岩波駅がこちらで、事業地は岩波駅から北西方向、約7キロの地点になります。それから、赤く囲った点線部分が当該地になりますが、北東に東富士演習場があります。事業主体は、裾野市、それから静岡県企業局です。内容は裾野市が土地買収・企業誘致を、企業局が工事を行うという組み合わせで事業を行っています。面積は約16.6ヘクタール。事業費は約23億円ですが、それ以外に周辺整備で約3億円がかかっていますので、関連も入れると約26億円になります。施行期間は平成18年4月から平成21年6月まで、3カ年を費やしています。
 位置の補足で、交通アクセスですが、三島駅から車で30分ぐらいです。裾野インターから車で7分から10分くらいとなっております。
 裾野市は昔から交通アクセスがよく、豊かな自然、そして水が豊富な場所ということで、昭和38年に三菱アルミが大規模な工場を建てるなど、写真にあるような工場が立地されています。このような、利便性や眺望などの立地環境を生かして新しい産業拠点をつくることを目的に、当工業団地が整備されました。
 工業団地の設計図面で、黄色く囲ったところが、工業用地として確保した4区画です。一番大きい区画はCで、広さは4.8ヘクタールほどです。4つの区画、それから真ん中に道路、上に公園、右側に調整池が整備されています。
 概要は分譲募集時に作成した内容で、現状は若干違います。既に全て分譲し終わっていますので、省略させてください。
 周辺環境ですが、東富士演習場の南西のエリアになります。ここに私たちは通称で南外周道路と呼んでいますが、インターから行って、現在はイエティという名前でしょうか、日本ランドへ続く道になります。それのこちらの区域になります。隣接するのは、これも昭和の時代に整備された、富士裾野工業団地という7、8区画の工業団地になります。
 下の左の写真は幹線道路で、こちらのほうに敷設している道路です。それから右の写真は準幹線道路で、先ほどもお話しましたが、この真ん中を貫いている道路、いずれも2車線、それから片側歩道、両側歩道の道路を整備しています。
 最後のページになりますが、効果ということで、繰り返しになりますが、4区画全てで企業立地が行われています。総従業員数は600人を超えていて、地元雇用が50人あったという報告を市から承っています。将来的には、総従業員数は800人ぐらいになるという話がありますので、直接・間接も含めて市の経済活動等々に効果があるのではと考えております。また、当然のことですが、地域の知名度が上がったことや、従業員の増加などで活性化が図られたという効果があったのではないかと思います。
 最後の項目、課題と解決策になりますが、冒頭でもお話しましたように、裾野市、それから県企業局が事業を行いました。都市計画法が改正される前は、面積の一定要件もなく、開発協議によって造成が可能でしたので、そのような手法がとられたのではないかと思います。
 それから、平成19年11月に都市計画法にかかわる開発行為許可の制度が変わりました。この事業は制度が変わる寸前のもので、現在このような事業は行われていないと思います。
 そして、私どもは企業局による事業の大きなメリットの1つと理解していますが、企業局による公共事業扱いになるので、農地転用の許可が不要でした。当該地では現況もそうですが、農地があるので、開発行為では農地転用が必要になります。大規模になると、いろいろな手続が必要になりますが、これを簡略化できたということが課題解決の1つのポイントだったかなと考えています。以上でございます。

○上村秀人氏
 続きまして、今のような状況を踏まえて、市街化調整区域にもかかわらず、なぜこのような大規模開発が可能であったかということを、まず少しお話します。先ほどお話しましたように、このような開発事項には、都市計画法が絡んできます。34条に、市街化調整区域に立地できるものの案件が規定されていて、平成19年11月に、開発許可制度に係る部分の改正が施行されました。改正前には、市街化調整区域における開発行為を例外的に容認する基準があり、許可基準に基づいて大規模開発ができたという状況でした。
 この許可の基準のポイントですが、開発の面積が一定面積を下らない開発行為であれば、市街化調整区域においても計画的な市街化を図る上で支障がないといった事項を踏まえた中で、開発を許可することができるという事項でした。
 しかし、都市計画法の改正で、開発許可制度に係る部分が平成19年11月に施行され、大規模開発の許可が厳しくなっているのが現在の状況です。改正の背景には、このような開発がされて、大規模集客施設、公共施設が郊外に林立し、都市の無秩序な拡散が見られるようになったことがあります。そのために、環境負荷が増大したことや、インフラ、公共サービスがだんだんと効率的に運用されなくなったことから、抑制のため、都市計画法が改正されて今に至りました。現在、コンパクトシティという言葉をよく聞くと思いますが、機能を集約して、コンパクトな町の中で、これからの少子化・高齢化に備えるまちづくりといったものが主流になってきている状況があります。
 では、次の話題として、なぜ内陸部で土地利用に関する課題が必要になってくるのかということについて少しお話していきたいと思います。
 背景には、内陸のフロンティアを拓く取り組みがあります。簡単におさらいしますが、これは、東日本大震災の後、静岡県でも南海トラフ大地震、津波に備えるために、新東名を1つの契機として、内陸部の地域づくりを考えていきましょうという取り組みです。基本的な理念として、安全・安心・魅力ある県土「ふじのくに」の実現を掲げて、企業の成長、6次産業、エネルギーの分散利用、物流拠点をつくり上げることで地域づくりをしていこうという動きです。そのための戦略として、内陸部のイノベーション、都市部のリノベーション、多層的な地域連携軸の形成といったものを挙げていますが、今回、我々が注目している内陸部のイノベーションでは、新東名周辺のインター、サービスエリア、パーキング周辺での新しい産業を育成していくといったところが、大きな特徴として挙げられると思います。
 内陸部のイノベーションで、何が課題かというと、新しい企業の誘致を進めて地域を活性化していくことが、1つの大きなポイントにあると考えています。
 しかし、内陸部では農地や森林が多く、基本的には市街化調整区域など、既存の土地利用を保全する位置づけであり、なかなか開発ができません。開発しようとしても、先ほどの法改正のようなことで、手続が難しいという状況が出てきています。
 このような状況を生んだ関連する法律の改正について、もう一度申しますが、平成18年の都市計画法の改正によって、市街化調整区域の大規模開発事項が廃止されて、5ヘクタール以上の面的な開発は実質できなくなっているという状況があります。それに加えて、平成21年の農業振興地域の整備に関する法律や農地法の改正により、農地を保全していく流れにあります。大規模集団農地や農業事業で投資された農地は、農用地区域の除外や農地転用ができなくなっていますので、このような農地がある内陸部は、実質的になかなか開発しづらくなってきているという状況が、まず課題として挙げられます。
 今の状況を簡単にお示しすると、19ページの図のようになるのですが、東名高速道路は昭和44年に開通して以来、日本の高度成長期を支えるような都市の基軸として発展し、その周りには市街化区域という形で都市が発展してきています。その時期に内陸のフロンティアを拓く取り組みのような大きなビジョンがあったかは定かではないですが、今後は、新東名付近のインター、サービスエリア、パーキング周辺を、ビジョンに基づき活性化していくことが大きな特徴になるということが挙げられます。
 そのような中でも、市街化調整区域、農用地といった問題をクリアしていかなければいけませんが、開発で新しい産業を育成していきたい、誘致していきたいということで、大規模開発を可能とする手法を考えてみました。
 1つは、市街化区域にするという考え方です。この手続はとても大変ですが、都市計画法上の調整を行ったうえで市街化区域に編入し、先ほど御紹介したような土地区画整理事業等を入れて、大規模に開発を行っていくという手法が1つ考えられます。
 もう1つ、市街化調整区域のまま開発を行うということですが、現時点では、市街化調整区域で認められた建物は用途が決まっているので、建築はできてもそれ以外はできないという状況です。そのような中で、これも都市計画の制度ですが、地区計画を策定して開発計画をつくれば、開発は可能です。しかし、市街化調整区域の中の地区計画というのは事例がなかなか少なく、あまり運用されていないという状況です。
 しかし、今回、内陸のフロンティアを拓く取り組みの中で、高速道路のインターから5キロ以内については、物流施設の開発が可能になる見通しですので、用途によっては、物流施設を開発できる可能性もあります。
 このような2つの手法が考えられるのですが、我々としては、大規模な開発で活力ある地域にしていくということでは、やはり市街化区域に編入する手法をとって、開発を可能にしていくことが必要ではないかと考えています。したがって、内陸のフロンティアを拓く取り組みにおいて、内陸部では、比較的難しい事項ではありますが、市街化区域に編入していくことが1つの手法として考えられます。
 では、市街化区域編入のポイントですが、幾つか前提と条件があります。前提としてはまず、上位計画の位置づけがあるということで、例えば都市計画マスタープランという、まちづくりに関するマスタープランに位置づけがあることが挙げられます。また、先ほど言ったように、農業・林業サイドとの調整が図られる地域であること、地権者の方々などと開発に対する合意が取れること、それから、基本的に保全される地域なので、保全の事項や防災面の事項で調整がとれるといったことがあります。条件としては、市街化区域への編入を検討する区域は50ヘクタール以上で、条件を満たせば最低で20ヘクタールくらいをめどとして設定できます。また、市街化していく中で、事業の着手が確実であること、これは事業の確実性と言われますが、必ずそこは市街化していき、進出していく企業も決まっているというような確実性が求められます。また、地権者の全員が合意している、近隣市町村との調整も済んでいる、それから先ほど言いましたように、単発で計画を行うと調整がつかず、秩序もつかなくなるので、上位関連計画で明確に位置づけされていて、方針がしっかりしていないと、市街化区域に編入することはなかなか難しいという状況です。
 どのようなことを調整していくかですが、一番大きな課題として、やはり農業調整があります。農振除外や農地転用、農業事業とのかかわりなどを調整していかなければいけませんし、そのほかにも下流河川への影響ということで、治水の協議、あと環境の協議ということで、廃棄物、公害、生活環境への影響の問題、また、林業調整ということで、保安林、民有林等があれば、その解除もあります。さまざまな法規制の中で、調整をしながら事業を進めていかなければいけないということで、実務をしている我々としては、とても難しく、多くの時間を費やしても、結果としてなかなか調整がつかず、先に進まないという状況もあるという実情を、まず知っていただきたいと思います。
 では、具体的にどのような調整事項があるかと言うと、都市計画法の中での調整、農振法の中での調整、国土法の中での調整というのがあります。この特徴として、都市計画法の中での調整はその中だけで行われるのではなくて、例えば、都市計画法の中での調整結果をもとに国土法の中での調整、農振法の中の調整をするというように、横断的に調整していかなければいけないことがあり、大変時間がかかります。市街化区域の編入は、県決定、国同意なので、県の中でも横断的に進めていただけると、事業が進めやすいと思います。
 あとは、手続には大体1年ぐらいかかるので、そういったところを見越していきたいということも思っています。
 このような事業をクリアするポイントとしては、やはり事業の確実性で、進出企業、規模、スケジュールといったものをしっかり押さえることや、事業者、それも企業だけではなくて、県・市町の後押しが重要になってくると考えています。
 3番の、県・11市町の土地利用に関する規制緩和への期待というところですが、この内陸のフロンティアを拓く取り組みで要望する特例措置として、申請の中にどういう事項が挙げられているかというと、全25件のうち、土地利用に関するものが6件です。また、11市町のうち7市町が土地利用に関する規制緩和を要望として出しています。市街化調整区域における開発許可の特例、農用地区域の変更に関する要件の緩和といった、土地利用に関する要請・要望事項が多いというのが、申請書を見て感じたことです。
 県はこのような特区申請を出していますが、浜松市は、未来創造「新・ものづくり」特区ということで、先行して特区申請を行っています。浜松市の特区申請は、市街化調整区域における農業と工業のバランスある土地利用を実現していくため、農地を集約して、農業を高度化していくという話とは裏腹に、農地を潰して工場立地をしていくという特区が想像されましたが、実際には、農業振興に資する施設の農用地区域の除外要件の拡大や、市の土地利用政策に沿った農用地区域の除外といった、土地利用に関する5つの提案事項を出しています。内閣府からは、農地転用等、農業に関する事項について、国・県・市による調整の場を設けるということ、それから、農水省は、このような除外や農地転用などについて、柔軟な運用を講ずること、という回答が既に出ています。しかし、特区になっても、規制自体の緩和には至っていません。協議の場を持てたので、皆さんが集まって協議をしているという状況です。そのような中で、現行法令の手続内で進めていくことになるというのが、同じように特区を申請している浜松市の状況です。
 これは参考ですが、ほかにも、行政等が行う農地の基盤整備に対する財政支援ということで、財政的な支援に対する特区を申請していますが、規制改革のほうが大きいという状況です。経過としましては、平成23年12月に国の特区の指定を受けて、規制の協議を平成24年7月、財政上の協議を平成24年10月にそれぞれ終えていまして、今後、協議を取りまとめて特区の整備計画を作成し、認定を受けて事業を開始する流れになっていますが、協議はしていかなければいけないというのが実情のようです。
 では、最後になりますが、5番として、内陸のフロンティアを拓く取り組みを推進するための提案ということで、2点挙げさせていただきました。
 先ほどから申し上げてきましたが、内陸部に企業を誘致するため、土地利用を変えていかなければならないというとき、いろいろな調整事項が絡むなかで、さまざまな方がかかわります。その中で、事業の確実性の担保、スピード感をもって進めていくことが大事と、実務を通じて認識しております。
 では、まず事業の確実性のために何をすればいいかということがありますが、やはり、企業誘致をするための情報発信になると思います。事業の確実性は、開発の許可をとる上での1つの要件にもなり、場合によっては、申請の際に企業進出の具体的な内容まで求められます。これは一企業、一事業者では難しいところもあるので、県・市町が協力して、優良企業誘致のために情報発信に努めることが重要になってくると思います。そのような情報をもって、市街化区域に編入する作業を進めていくことが必要になります。そのためには、企業訪問、起業家の育成、シティプロモーション、各種優遇措置といったものを充実させて、企業誘致に努めるということが考えられます。先ほど、遠州豊田パーキングエリアの話にもありましたが、例えば、積極的にプロモーションをして、コンペティションを行うといった方法も必要になると考えています。
 もう1つはスピード感ということですが、事業の速効性ということで、ワンストップサービス体制の整備を挙げました。土地利用に関する法規制は、いろいろなところとさまざまなことを調整しなければいけません。都市計画法、農地法など、複数の許可手続が必要になってきます。これを担当部署が一括で扱うことになれば、事業の迅速化も図れますし、一連の手続がスムーズになって、行政側も業務の効率化が図られ、Win-Winの仕組みができるのではないかと思います。例えば、プロジェクト室の設置といった、迅速で横断的な対応ができる組織体制が一層重要になると思います。相互に関連する法制度上の手続や、技術的対応といったものを横断的に進められ、ワンストップサービスが可能となります。
 最後になりますが、ワンストップサービスが実際に行われている事例として、東北地方では、東日本大震災後の被災地の復興を加速する仕組みとして、復興特区制度というものがあります。この地域でも同様に、事業実施のためには開発許可、農地転用の許可といった複数の許可が必要であるという課題があります。この特例では、許可はもちろんワンストップで進めるのですが、関連する都市計画、農地利用計画といった上位の関連計画についても、決定、策定、変更をワンストップで行い、計画レベルの話、許可の手続上の話についても、ワンストップサービスで事業が実施されているという事例がありますので、最後に御紹介させていただいて、終わりたいと思います。

○林委員長
 ありがとうございました。
 それぞれの専門のお立場の中で御意見をいただきましたし、また事例等、それから御提言ということも含めてお話がございまして、大変ありがとうございました。
 それでは、これより質疑応答に入りたいと思いますので、委員の方々お願いします。

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