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委員会会議録

質問文書

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平成27年12月定例会文化観光委員会 質疑・質問
質疑・質問者:佐野 愛子 議員
質疑・質問日:12/14/2015
会派名:ふじのくに県民クラブ


○佐野委員
 では、一問一答方式でお願いします。なるべく重ならないようにと思うんですが、多少重なりがあるかもしれません。
 まず、6番委員も質問したことで重なりますが、富士山世界遺産センターの4つの役割の「守る」、「伝える」、「交わる」、「究める」のうち、センターの役割はどれが重要だとお考えでしょうか。

○落合世界遺産センター整備課長
 世界遺産センター整備課は、昨年度に立ち上がった課でございます。私たちがコンセプトを4つ決めているのは、やはり静岡県側には富士山にまつわる建物自体がない。実際、山梨県側につきましては火山事務所とかいったものがあります。それと山梨県にはビジターセンターも実際あるということです。
 私たちがこれまでいろいろ構想を立て、計画とかをつくってきたんですけども、やはり実際一番の問題点は、当然富士山を守っていくことなんですけども、それ以上にこういった4つのコンセプトを入れまして、山梨県に負けない形でコンセプトをしっかりやって、そういったことを考えていきたいと思っております。
 どれがと言われてもあれなんですけども、研究者も来年の4月には5名配置できる形になってきましたものですから、研究をやりながら展示をやりながら富士山の研究を進化させていくことが一番のことと思っておりますので、できる限り富士山の情報を入れながら、そういったものをいろんな形でやりながらこれから富士山世界遺産センターの役割をしっかり守っていきたいと思っています。

○佐野委員
 私もこの問題に当初からかかわってきて、富士山世界遺産センターの役割を今回もう一度改めて考えてみたところ、山梨県はビジターセンターがあって世界遺産センターをつくるわけですよね。静岡県は富士山世界遺産センターと言いながら、ビジターセンターの機能と何かごっちゃにしているところがあると思うんです。そして、この世界遺産のヴィジョン・各種戦略とかを読みますと、ユネスコ等が求めている世界遺産センターとか、保存計画書に書いてある役割は包括的な保存管理の拠点とか、まずは調査研究を推進する場所、そして調査研究したものを公開活用に寄与するというか、まず調査研究ありきで、あとの皆さんへの情報公開とかは二次的な役割だと思うんです。静岡県は、そこのところを何か一緒にしてしまって、両方欲張ってビジターセンターで皆さんにインパクトを与えるようなデザインをつくれば、ユネスコもこれで世界に向かってインパクトあるメッセージを伝えることができると言っているんですが、もともとユネスコとか保存状況報告書の場合では、そのようなことは全く求めていなかったのではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○杉山文化・観光部理事(富士山担当)
 世界遺産センターにつきましては、平成22年度に総合計画がありまして、そのときに山梨県にはビジターセンターがございました。公開活用施設につきましては、静岡県が少し少ないなと感じておりまして、その意味においては、やはり包括的な保存管理の拠点という、もともと世界遺産センターが求めている研究をしたものをきちっと保存管理に生かしていく、あるいは人材の育成をしていく、あるいはそれを来訪者に伝えていくということがあります。その意味においては、この4つの機能のうち、「究める」、あるいは「守る」、「伝える」というのは非常に重要です。
 しかしながら、やはり今後富士山に関係する人たちの多様なニーズにきちっと対応するだけの拠点とすることを総合計画でいいまして、それがいわば「交わる」、これが全体として富士山世界遺産センターとしての機能だということを平成23年度の基本構想、基本計画で掲げております。そういったものを含めまして、この4つの機能は、いずれもどれがどうだということではなくて、全てが重層的に重なりながら、全方位的に機能していくということで、私どもは整備を進めております。この考え方につきましては、包括的保存管理計画の本文の中に4つの機能があることを確実に明示しておりますし、なおかつビジョン、戦略の中でこういうデザインであるということも盛り込んでありますので、こういったものにつきましてもユネスコに対して具体的に説得力があるものだと考えております。これについては、関係している構成団体の関係省庁あるいは静岡県、山梨県についてもコンセンサスを得ております。

○佐野委員
 私もこれをもう一度見ますと、富士山世界遺産センターの整備の趣旨・基本方針としては、山梨県も静岡県も富士山の顕著な普遍的価値を守り、後世に確実に継承する。また自然遺産の保護とか、人材の養成、学術調査を推進するといったことが趣旨・基本方針として書かれていますよね。それで富士山世界遺産センターを整備するという保存管理計画をユネスコにも提出をしないと、完成時期が長期に入ってしまうと、大変な信頼を損ねることになる。静岡県としても日本の国全体の信頼を損ねることになると言うのですが、それはあくまでも調査研究を推進する今の目的に合った富士山世界遺産センターをつくれば、そういう信頼を損ねることもなかったわけです。それを静岡県がビジターセンターという役割に余りにも重きを置いて、そこで経済効果を狙おうだとか、人を呼ぼうとか、インパクトを与えようとか、そもそもの趣旨を欲張り過ぎたために、このような結果になってしまったのではないかと今になって私は思います。
 だから本当にユネスコに提出する報告書には、世界遺産センターとしての調査研究、「守る」、「究める」の部分をしっかりと保全するものだったら文句なしに通るわけですよね。ですので、その見誤った部分とこのデザインを通さないと県の信頼を損ねるとかと一緒にするのは――方向性が違うわけではないのですが――もともとの目的を整理しなかったのではないかと、私は今になって思いますが、その辺はいかがでしょうか。

○杉山文化・観光部理事(富士山担当)
 富士山に恥じないという意味で、基本構想と基本計画を立てておりました。その中にはやはりたくさんの人のニーズというのはさまざまございます。そういったものに答えていくことを求められたということがありまして、確かに「交わる」機能についてはビジターセンターという機能もありますけれども、この中では学術的な交流も含めて交わっていくと。単にそこが地域の拠点であり、情報提供戦略の拠点というだけではなくて、それが世界に対して発信していくというような強いメッセージがあって富士山世界遺産センターを整備したということでございます。
 山梨県においては、既にビジターセンターがございまして、来訪者に対するさまざまなサービスを提供しておりますので、こういったものも含めまして、山梨県においては別棟で世界遺産センターを整備することによって、いわば静岡県の4つの機能と同じような機能を有する形で世界遺産センターを両県につくっていくということでございますので、決してセンターの求められる役割というものが4つの機能を包含することによって、センターに対する、あるいはユネスコに対する明確な主張については十分説得力があるものだと私は考えております。

○佐野委員
 説得力があってもおくれてしまっては何もならないわけです。
 そうしますと、勉強不足で山梨県に視察に行っていないので残念なんですが、山梨県はビジターセンターが既にあって、今度の富士山の世界遺産登録に当たって、世界遺産センターの部分だけを新たに増築するということでしょうか。

○落合世界遺産センター整備課長
 今、富士ビジターセンターということで、2階建てで約1,670平米あります。今回、富士山世界遺産センター棟ということで、1,500平米程度の2階建てで、トータルしますと3,200余の平米数になりまして、今まで建っていたものの北側に建てるということであります。

○佐野委員
 わかりました。
 山梨県と静岡県の両方に世界遺産センターがあって、富士山の登録につながっていくものと思うので、山梨県とも連携をとっていただきたいと思います。

 そして、保全の機能を担っている部分を考えますと、バックヤードの部分の研究室とか、展示準備室等の面積を減らしたことはリスクになると思うんですが、その辺はどうでしょうか。

○落合世界遺産センター整備課長
 確かにバックヤードといいますと、事務室を初めとして職員が働くところが当然あります。実際、ほかのシアターだとか、いろんな研修室等々を小さくさせていただきましたが、先ほど出ました調査研究なんですけれども、研究員が5名常駐する形で部屋もとってあります。当然そこの部分の研究がこれから企画展示室の主体的なものになります。
 今、県立美術館でも大体年5回か6回、企画展ということでやっているのは、学芸員がいろいろな研究をやって初めてああいう形でやっているものですから、富士山世界遺産センターにつきましても同じように研究者が1年に一遍――5人ということですから1年に一遍ぐらいですけれども企画展示をやりまして、それで実際の展示を、調査研究した内容をこれから見せていくということで、実際研究の機能を強化した形で、先ほど言いましたように企画展示室の平米数を余り落とさないような形で、やはりそこが本筋の研究の発表の機会だと考えていまして、私たちとしてはそれに十分対応した形で整備の見直しをさせていただいたところです。

○佐野委員
 ぜひ、その研究機能をおろそかにしないようにしていただきたいと思います。

 今、研究員が5名ということなんですが、それは今、もういらっしゃっている方もいるんですよね。開館したときに5名になるのか、それ以外の事務で働く方、またもしかしたら派遣とかボランティアの人もいるかもしれませんが、この富士山世界遺産センターができたときの働く人数の内訳等を教えてください。
 そして、研究員は山梨県と比較してどうなんでしょうか。

○落合世界遺産センター整備課長
 まず、研究員でございますけれども、平成26年7月から日本史が1名、そして平成27年4月から2名――美術史関連と考古学関連がそれぞれ1名ずつ。10月に選考が終わりまして、平成28年4月から民俗学文化人類学の関連の分野が1人、それと国文学と比較文学で1名ということで計5名が最終的に富士山世界遺産センターの職員として、研究者として働きます。
 そして、職員の数なんですけれども、恐らく館長になられる人をどうするかは今決めていないんですけれども、副館長などは当然事務方、そして事務員が五、六名かなと思っています。ですから、あと研究員の5名を足しますと大体10人から12人程度かなと今考えております。
 そして、山梨県との比較なんですけれども、ちょっと手元に資料を持っていないのですけれども、前に一度やったときには、火山の関係のハード的な方々がかなり多い関係で、そういった方々との連携を私たちはしたいと思っていますし、それこそ来年の3月にふじのくに地球環境史ミュージアムにもそういった理系の方々もいらっしゃいますので、そういった方々と連携しながらこれからやっていきたいと思っております。

○佐野委員
 委員会説明資料の13ページにメリット、デメリットとありますよね。それで現行のデザインを維持したときのメリットしか書いていなくて、その部分のデメリットもあると思うんです。そしてやり直す場合のデメリット、メリットは裏表になるのかもしれませんが、この表記の仕方が腑に落ちないと思いました。それについては後から質問すると思います。とりあえず現行のデザインを維持したときのメリットの丸が3つありますが、それの優先順位はどのようにお考えでしょうか。上から優先順位が1、2、3とお考えでしょうか。

○落合世界遺産センター整備課長
 優先順位というのはなかなか難しいんですけれども、実際、いろいろな形で検討していく中で、完成時期の内容を見たりとか、ユネスコの関係の提出を見たりとかという形が少し先に出てきてしまったということがありまして、ですから一概に言えないのですけれども、どうしても完成時期はタイムラインに沿った形でやれないかというのと、それと設計をやり直す中で金額的にもとか、そういったものを議会の案件を通していかなければいけないこともあったものですから、そこら辺がどうしてもいろんな形で平行線になって検討したものですから優先順位はなかなか難しいと思います。

○佐野委員
 わかりました。
 というか、やはり富士山の世界遺産登録の承認が第一、来年の世界遺産委員会の審査が一番大事だと私的には思うので、世界遺産委員会からの理解を得るために期限を守るのが一番の順位ではないかと思います。
 そして、完成時期のおくれを最小限にとどめることができて、世界遺産センターをユネスコの審査にしっかりと通すことが第一ではないかと思います。

 しかし、皆さんの答弁を聞いていると、デザインを実現するのが第一の目的のように聞こえてしまって、それはインパクトのある大事なことかもしれませんが、やはり目的は何かをしっかりと文化・観光部の中でも意識を統一する必要があるのではないかと思いました。それについて、西田文化・観光部長か後藤部長代理か、いかがでしょうか。

○西田文化・観光部長
 私も今回の件で一番大切なものは、ユネスコ世界遺産センターに提出する保全状況報告書が必ずや理解していただいて、信頼を得るものになるというのが一番だと思っております。
 確かに、デザインの維持も我々としては大切なものと思っておりますけれども、まずは世界遺産として認定をいただいた富士山をぜひ世界の中でそのまま守り続けることになりますと、世界遺産委員会での審査が重要になってきますので、そこを通るような形で我々としては準備を進めていきたいと思っております。

○佐野委員
 そちらの目的を見失わないことを私としても県としても第一として、そしてコストの関係は最大限の努力をしていただいて完成を目指すべきだと思います。

 その論点での質問はいいにしますが、あと地元の皆さんもこの完成については、富士宮市、また地元への経済波及効果等もあると思うんですけれども、地元も早くつくっていただきたいと期待しているのか。このような地元との調整は進んでいるのでしょうか。

○落合世界遺産センター整備課長
 地元ということなんですけれども、富士宮市にとっては世界遺産のまちづくりという構想をつくっておりまして、現在、富士山世界遺産センターの敷地のちょうど南側に市営の駐車場をつくって、今のせせらぎ広場の駐車場の代替措置として富士宮市が整備しておりまして、今月にはある程度めどがついた形で駐車場ができるということであります。富士宮市としてもあそこに来るバスの駐車場がすごく少ないものですから、そういったことをやりながら、地元としては、やはり順調に一歩一歩富士山の世界遺産のまちづくりを富士宮市を挙げてやっていただいている形でございます。
 ですので、富士宮市としても私たちと一緒になって、あの地域なり町の中のまちづくりを一生懸命やっていきたいという声を聞いていますので、それに沿った形でやっていきたいと思っております。
 あと、経済波及効果なんですけれども、今現在の富士宮市全体の観光入り込み客が大体600万人ぐらいで、観光協会からもデータが出ております。ただ富士山本宮浅間大社の近くに来る方が先ほどからも言っているように150万人。ただ元旦を除きますと、100万人ちょっとの方々があそこで滞在していただけるように、できるだけ地域に寄っていただけるような形でやっていきますと、かなり金額的に上がっていくと思っております。
 そして、実際のところ富士山世界遺産センターの近くにも商業施設もありまして、そういったところの人の部分の入り込みとかいった形で私たちも一生懸命あそこの地域のためにやっていくには、そういったいろんな形で皆さんが協力し合ってやることが経済効果にもつながってくるのかなと思っております。

○佐野委員
 それをなかなか数字であらわすのは難しいと思うんですが、私の意見としては、地元も待ち望んで理解を得た施設ですので、早く建設するのも県の役割だと思います。

 あと、主なことは大体聞いたんですが、先ほどプロポーザルの件で、坂茂建築設計のデザインが差し戻された場合、もう一度プロポーザルをやり直すとか、2位だった人に回すとか、そのような考えはなかったのか再度お伺いします。

○落合世界遺産センター整備課長
 募集要項の最後にございますけれども、実際に選定委員会で選定されたものに関しましては、一切の申し出ができないことになっておりまして、県としても1位の最優秀だった坂氏を使うのが通例になっておりますので、その形でやっていこうかなと思っています。

○佐野委員
 さまざまな問題は、これから県職員の皆さんが総力を挙げてクリアしていただいて、やはりまずは富士山の保存管理の冊子を出して、世界遺産センターも役割を担う大きなセンターになりますので、その一環として足を引っ張らないように進めていくべきだと思います。
 そして、その役割をしっかりと目的を見誤ることなく、県民や多くの皆さんにさまざまな波及効果があるようなものに――それは二次的というと言い方があれかもしれませんが――これからの後世に伝えるセンターとしての役割をしっかり果たしていっていただきたいと思います。ありがとうございました。

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