本会議会議録
質問文書
平成29年2月定例会企画くらし環境委員会 質疑・質問
質疑・質問者: | 諸田 洋之 議員 | |
質疑・質問日: | 03/08/2017 | |
会派名: | 無所属の会・責任世代 |
○諸田委員
それでは、一問一答方式で質問します。よろしくお願いします。
まず、委員会説明資料の14ページ、多文化共生施策の推進についてのうち、医療通訳体制整備事業についてお伺いします。
目的に、日本語能力が十分でない外国人住民が安心して医療機関を受診でき、健康に暮らすことができる環境をつくるため医療通訳体制を整備するとあります。医療通訳体制の整備には、事業内容にありますように、通訳者の能力を高めることや受け入れる側の医療機関のスタッフの能力を高めることも大切ですが、通訳者と受け入れる側である医療機関スタッフとの意思疎通や信頼関係が大切だと思います。
そのような状況の中、平成29年度医療通訳体制整備のための推進協議会――仮称――を開催するとしていますが、本事業の実施主体はどこが担うことになるのか。また推進協議会で協議する内容はどういうものか。さらに先ほど指摘しました通訳者と医療機関スタッフとの意思疎通や信頼関係の醸成をどう行うのか、協議することは可能かまずお聞かせください。
○諸星多文化共生課長
おっしゃるとおり、医療通訳者の能力向上がまず1つは重要でございますが、それだけではなくて、受け入れ側で医療通訳者を的確に使うための体制づくりが非常に重要だと思っております。そのために、医療機関においても医師あるいは医療関係スタッフが外国人とのコミュニケーションのとり方について研修したり、また医療通訳を使って実際にどうコミュニケーションをとったらいいのかを研修することも重要だと思っております。
ですから、来年度県の予算で医療通訳者の養成と医療機関への研修を行っていきます。この主体は県でございます。
推進協議会につきましては、推進に当たってさまざまな問題がございます。医療関係機関全体に広げるとか、あるいはその医療機関のさまざまな経費の負担をどうするのかとかという問題もこの協議会で検討、審議していただいて、また全県に広げていくにはどうしたらいいかを協議会で相談していくことを考えております。事業主体は県で、私どもが事務局を担いますけれども、現在も健康福祉部などが入ったワーキンググループをつくっておりますので、健康福祉部やこの協議会に加わっていただく予定の医療機関、あるいは大学関係者等と一緒になって考えていきたいなと思っています。
医療スタッフや医療通訳者との信頼関係ということで、実際にこの事業の中で医療機関への研修を行う予定であります。その中で医療通訳の候補者も入っていただいて、実際のシミュレーションをやったりとか、医療関係機関の中にはコミュニケーションの中心になるコーディネーターという役割が当然重要だと思いますので、そういう方々の研修をして、医師、通訳者、スタッフの関係がスムーズにいく関係づくりを担っていただく方の養成もしていきたいと思っています。
○諸田委員
ありがとうございます。
日本語能力が十分でない外国人住民が安心して医療機関を受診できるためには、通訳者と医療機関スタッフ双方が外国との医療制度や文化の違いを理解することも重要だと思います。外国人住民にとって医療機関の受診ハードルは高く、また医療従事者にとっても戸惑いや不安を抱えての診療を余儀なくされ、ストレスや不安を強く感じているそうです。他県でも先進事例があると聞きますので、県、市町、大学、病院関係機関のネットワーク構築に御尽力いただき、医療通訳体制の整備を推進して、日本語能力が十分でない外国人住民が安心して医療機関を受診でき、健康に暮らすことができる環境づくりをつくっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
次に、外国人の子ども教育支援基金事業についてお伺いします。
基金目標額は県拠出金1000万円のほか、3年間で民間寄附1800万円としていますけれども、1800万円の寄附を募るのは並大抵のことではないと思います。目標確保のめどはあるのでしょうか。また確保に向けてどのような方策、働きかけを考えているのかお聞かせください。
○諸星多文化共生課長
民間寄附につきまして、これができたら寄附しますと確約をいただいているところはございませんけれども、例えば多文化共生審議会でもこういう外国人の子供の教育について民間の支援を求めることも再三議論になっておりまして、そういう枠組みができれば応援したいという企業関係者の発言もございます。ですから、そういうところにも声をかけていきたいと思います。
県がまず1000万円出します。目標はそれ以上の寄附を考えているんですけれども、県がまず率先して取り組むことによりまして、民間企業あるいは市民の方々に外国人の子供が置かれている状況、あるいは外国人の子供が本当にグローバル人材として活躍できる人材ということを理解していただきながら、きめ細かく企業等にお願いしていきたいと思っております。
○諸田委員
ありがとうございます。
私は土曜日に焼津市大井川利右衛門防災センターでフィリピンから来た子供たちにボランティアで日本語を教えている現場を見てきました。中には、小学5年生で先日来日したばかりの子もいました。当然その子は日本語ができません。ろくろく日本語もわからなくそのまま行ってしまいますと、中学にずるずる行って、中卒で社会に出てしまいます。当然、日本語ができなければ危険な肉体労働の現場しか就職できないでしょう。話を聞いていますけれど、去年島田市で同じような境遇の子が現場の仕事で亡くなっているそうです。これは余り日本語ができなかったことから安全対策の指導が十分に伝わっていなかったようです。
子供たちの中には優秀な子も実際います。そういう優秀な子が日本語ができないまま、能力が発揮できないことは社会にとっても大きな損失だと私は思います。まずボトムアップの施策が大切だと思います。すなわち日本の読み書きができるように支援をすることが大切です。
事業内容を見てみますと、日本語能力試験受験料助成とありますけれど、それだけできる人を助成するよりも前に、もっと日本語の読み書きができるようにしてあげることが私は大切だと思いますけれども、この外国人の子ども支援基金事業で日本語の読み書きができない子供たち、ボトムの子供たちを支援するお考えがあるのかどうなのかお聞かせください。
○諸星多文化共生課長
基金事業のほかに、外国人の子ども育成支援事業をやっておりまして、そちらの支援事業では主に公立学校で日本語能力がゼロで入ってきた子供に対する日本語指導を行う支援員の養成等を行っております。ですから、学校におきましてそういう方々を活用していただくことができると思うんですが、学校の外でもやはりいろんな支援体制が必要だと思っております。
例えば、放課後教室をNPOが開催したりとか、さまざまな地域の日本語教室などで子供を受け入れて親子一緒に日本語を教えるとか、そのようなことが行われております。そういうさまざまな日本語を学ぶ機会があることが非常に重要で、まさに地域総ぐるみの支援体制をつくることを目指しまして、1つは支援事業、人材養成等の育成支援事業を行っております。そこで賄えない部分につきまして民間等の支援も入れながら基金事業で手当てをしていこうということです。ですから、例えば今申し上げましたように日本語がわからない子を教えるための教室を開くと、そのようなものにも使っていただけるかと思います。
日本語能力試験の受験料につきましては、外国人学校は日本語の授業が非常に少なくそこで十分学べないものですから、日本語学習の意欲を持ってもらうインセンティブとして検定の助成をしようかなと思っております。
○諸田委員
ありがとうございます。
要するに、今回の外国人の子ども教育支援基金事業でそのようなボトムアップのための施策、事業にもお金を使ってもらえるということでよろしいんですね。ありがとうございます。
先ほど、土曜日にボランティアで日本語教育を行っている現場を見てきたと述べさせていただきましたが、それを行っているのは市民団体いちごの代表で谷沢勉さんという方です。その方が言うには、浜松市は外国にルーツを持つ子供に対するボランティアの歴史もあり仕組みもしっかりできている。焼津市はまだ歴史も浅く、まさに今試行錯誤しながら仕組みづくりを行っている。この仕組みづくりが完成したら、自分たち以外のボランティアをやろうとする人たちの手本となれる。今後同様の問題を抱える地域は近隣でも藤枝市、吉田町と数多くある。そのような地域でも活動が成り立つよう、この試みを成功させなければならないと語っていました。
この試みを成功させるために力になれるのは、まさに教育行政を担える県にほかなりません。私は谷沢さんの試みが成功することにより、今までネガティブに見られていた外国にルーツを持つ子供たちが地域を支える人材として地方創生のモデルになると思います。地方創生といえば経済産業部が関係してきますし、また教育と捉えれば教育委員会が関係します。またこの問題を福祉と捉えれば健康福祉部が関係してきます。この問題解決は県が主体となってさらに関係する複数の部局と連携をとらないとできない事業です。
そこで、藤原地域外交局長に伺います。局長が主体となって他部局と連携しながらこの市民団体いちごが行っている日本語の読み書きといったボトムアップのための活動を支援し、モデルを成功事例として普及させていく試みを行ってみてはいかがと思いますけれども、お考えをお聞かせください。
○藤原地域外交局長
地域外交局が事務局となって全庁の関係課で幹事会をつくって情報共有しておりますし、先ほどの学校の関係もそうでしたけれども皆さんで知恵を出し合ってやっております。その中で今回、外国人の支援員を拡充しようとか、あるいは外国人学校の関係、あるいは放課後学校みたいなところでなかなか支援が行き届いていないことがわかって、皆さんに意見を聞きながらやっております。その国の文化も踏まえて日本語も覚えていただいて、それぞれの文化をもったグローバルな人材を育てていきたいなと思っておりますので、皆さんと協力してやっていきたいと思っております。
○諸田委員
ありがとうございます。
ぜひ、県庁のいろんな部局と力を合わせてやってください。これが本当に成功して事例として出ていたら「ガイアの夜明け」に採用されてもおかしくない案件だと思いますので、ぜひ成功させていただきたいと思います。
次に、委員会説明資料30ページ、ふじのくに権限移譲推進計画の策定についてお伺いします。
6月議会の常任委員会で権限移譲はネタ切れではないかと聞いた際、本県で移譲できるものも含め、移譲事務候補の掘り起こしを進め、市町の意向を十分に踏まえながら権限移譲に取り組んでいくとの答弁がありました。また委員会説明資料30ページに権限移譲推進計画策定に当たって全市町が参画する権限移譲推進協議会や行政経営研究会課題検討会での協議を行ったとの記載があります。市町はさまざまな課題を抱えていると認識していますが、どのような意見が出たのかお聞かせください。
○吉良地域計画課長
市町の御意見についてでございますが、市町の現状といたしまして、やはり事務処理件数が少ないためにノウハウの蓄積が困難ですとか、人員不足等による事務負担の増加、専門知識を備えた人材の確保が困難など、職員の負担の増加、受け入れ体制の整備を課題として上げる市町が多数ございました。こういった市町が抱える課題を解決する意味で、市町が望む権限移譲の推進に必要な県の取り組み、また権限移譲後の県の支援措置に対する意向を伺ったところ、研修会、意見交換会といったものの定期的な開催ですとか、より詳細なマニュアルの提供、随時相談体制の整備など、県の指針によりまして職員のスキルアップの声を望む声があったところであります。
また、権限移譲を進めていく上で市町間連携による事務の共同処理の導入が効果的であるとの意見も頂戴しています。また、このほかにも権限移譲交付金の増額など、県の財政支援を望む声、また事務の返上を望む複数の声があったところでございます。
○諸田委員
ありがとうございます。
地域が栄えるためには、そこにいい人材がいることが私は大切だと思います。いかにいい人材を育てるかは、住民自治が発揮される現場において自由な発想のもとに力を発揮できる環境があるかが大切です。そのためにも、地方分権の推進は大切であります。6月の常任委員会でも述べさせていただきましたが、地方創生に目がいって、地方分権の取り組みが下火になってはいけません。
阿部卓也委員長のもと行われた地方分権特別委員会が平成28年3月に出した提言書において、事務処理の執行支援に加え、市町に対する適切な財政支援について検討すべきと提言されていますが、どのように取り組んだのかお聞かせください。
○吉良地域計画課長
5月に市町に交付金の増額等の御意見を頂戴いたしましたが、具体的事例はないけれど十分な措置を求めたいという御意見もございましたことから、改めて全市町に対して具体的事案の調査を行いました。こちらにつきましては、各市町から一般旅券の受付ですとか交付事務、犬・猫の死体の収容事務、森林組合の検査事務等交付金の改善を求める声があったところでございます。
県といたしましては、市町からいただいた事務だけではなくて、全権限移譲事務について他県の実態も把握しながら権限移譲に応じた額の交付がされているか検証を行いました。こちらにつきましては、全市町に私どもの検証結果を御提示して御了解を得た上で、今回4法令の事務について権限移譲交付金の見直しを行ったところでございます。こちらを盛り込んだ予算案を御審議お願いしております。移譲事務に見合った財源を交付することは制度の大前提であると考えています。
県といたしましては、今後とも市町と連携しながら、移譲後の状況の変化により交付金の精査がまた必要であるということでしたら、実態とかけ離れていないか等について、毎年度全市町に参加していただいてPDCAサイクルを回す中で、継続的に検証してまいりたいと考えています。
○諸田委員
ありがとうございます。
移譲法令が多いことを誇ることは権限移譲の目的ではありません。権限移譲の質の向上を目指すのであれば、事務の返上も認めるべきだと私は思います。この点についてどうお考えなのかお聞かせください。
○吉良地域計画課長
県議会の地方分権推進特別委員会でも御提言いただきましたように、市町から御希望があれば返上も可能とすべきと御指摘いただいているところでございます。こうしたことも踏まえまして、計画に位置づけた基礎自治体の自主性、自立性を高めて住民サービスの向上、地域課題の解決に主体的に取り組むといった趣旨に反することが明らかである事務については、返上も可能とすべきと考えていまして、計画にも著しく非効率な事務の返上などを位置づけ、計画の弾力的な推進を図っていきたいと考えてございます。
また、先ほど申し上げましたように、毎年度市町から権限移譲の効果、課題を伺いながらPDCAサイクルを回していきたいと考えています。その中で返還の意向が示された場合、市町と丁寧に協議を行いながら事務を進めてまいりたいと考えてございます。
○諸田委員
ありがとうございます。
もっと大きな視点から質問をさせていただきます。権限移譲は地方分権改革の大きな部分でありますけれども、それだけではないはずです。例えば道州制の議論もありますし、知事は4つの州を提唱しています。そうした中で、地方分権改革全体としてはこれからどういう方向に向かっていくと県は考えているのでしょうか。地方分権・大都市制度担当の山梨県理事、よろしくお願いします。
○山梨静岡県理事(地方分権・大都市制度担当)
御指名でございますし、お答えを申し上げます。
地方分権の推進に向けたアクションの中で最も重要なポイントは3つあろうかと思います。まず事務権限を相当量持つこと。そして、それに見合う財源をきちっと有すること。もう1つは、それを実際に実行していく人材の確保でございます。この3点がやはり今後の分権に向けたアクションにおいて非常に重要な要素になります。
今、7番委員のお話にもございました道州制につきましては、御案内のとおり必ずしも国で豊かな進捗状況をもって議論されているわけではないわけです。ただ、今申し上げた3つの要素を考えますと、この道州制導入に当たってのポイントは単に府県の合併ではなくて、少なくとも広い所轄を持っていきいきと、道州も自治体でありますので、これが活躍できるためには少なくとも今よりも多くの権限、具体的には少なくとも国の出先機関相当分の権限――それは財源とセットでございますが――もう1つはそれを実行できる豊かな人材、このあたりを国からお引き受けして進めていくことが前提であろうかと思います。それが今、我が国の多くの方々の主たる説と理解しています。
連邦制ということになるわけですが、これは先進国の中ではドイツあるいは合衆国が先例であります。この自治体に権限とか財源をどんどん移譲していくべきだという考え方は今や世界的な潮流でございまして、東南アジアの諸国におきましても開発途上の国も含めてこの議論を熱心にされております。
そうした中で、この基礎自治体が最初の御指摘のとおり自分で考え、自分で意思を決める。誰かよその役所に聞いて決めるのではなくて、自分の考え、自分の権限でもって物事を決めていく。そのことで、きめの細かい政策がますます実行できるようになりますので、それがまさに住民の満足度を上げていくということでここがまさに分権の真骨頂でございます。
分権の推進の旗振り役を誰が一番進めていくべきかを考えますと、やはり県ではないかと思います。その理由は明快でございまして、県というのは市や町とも常時深いつき合いがございますし、霞が関とも常時行き来をしてつき合いが深うございます。つまり両方に顔がきくわけでございます。これがやはり我々として最も分権活動を進めやすい環境ではないかと思っております。こうした担当職務をいただきましたので、まず当面は国に対して、特別自治市も含めた大都市へと、国に積極的にその議論、検討を進めていただけるようにお願いしていくのと同時に、新年度からは特に市町が分権の窓口の主役でございますので、この方々が本当にいい仕事をしていただけるように、もっと市町と懇切丁寧におつき合いをする、これが大変重要ではないかと考えます。
○諸田委員
ありがとうございます。
ぜひ、そのように進めていただきたいと思います。
それでは、次に行きます。
委員会説明資料27ページ、第30号議案「静岡県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」についてお伺いします。今回の権限移譲により想定される静岡、浜松両政令市のメリット、デメリットは何でしょうか。
○宮ア統計調査課長
今回権限移譲するのは国の統計調査における統計調査員の設置事務等についてですけれども、この統計調査員につきましては調査の都度任命されまして、任命期間中は非常勤の公務員としての身分を有することになります。御質問がありました移譲のメリット、デメリットでございますけれども、メリットにつきましては、統計調査員の任命は国勢調査を除き各市町から調査員候補者を御推薦いただきまして、知事が任命しております。これが市長任命となることによりまして、推薦手続がなくなり、また調査員の交代などについてより迅速に対応できる。より効率的な調査を執行できることがメリットと考えております。
一方、デメリットでございますけれども、統計調査員の身分が市の非常勤職員となりますことから、調査員が万が一調査業務中にけが等した場合公務災害となる場合がございます。この公務災害の認定、あるいは療養費の補償事務を市が担当することになりまして、その業務量が増加するところがデメリットではないかと思います。
○諸田委員
権限移譲の対象となる基幹統計調査がなぜ住宅・土地統計調査と就業構造基本調査、全国消費実態調査の3調査なのかお聞かせください。
○宮ア統計調査課長
この国の統計調査につきましては、全国一斉に、またかつ大規模に行われることから、統計法第16条におきまして、政令で定めるところによりその事務の一部を地方公共団体が行うことができると規定されております。この法の規定を受けまして、統計法施行令第4条別表において、その統計調査ごとに都道府県の行う事務、それから市町村が行う事務が具体的に規定されております。今回移譲する3つの調査の該当事務についてだけ、この統計法施行令において、都道府県から市町村への権限移譲を規定する規定が設けられておりまして、これを受けてこの3調査の移譲となっております。
○諸田委員
ありがとうございます。
次に、委員会説明資料37ページ、マイナンバー情報連携に向けた情報セキュリティー対策の強化についてお伺いします。
平成29年7月より国及び地方自治体間でマイナンバーの情報連携が開始されますが、それに向けた情報セキュリティーに対する取り組みとして、どのような点が強化され、さらにそれによりどのような効果が期待できるのかお聞かせください。
○大石電子県庁課長
情報セキュリティーにつきましては、マイナンバー制度の導入によりまして一層の対応の強化が求められているところでございます。本県でもマイナンバー関連の技術的対策、それ以外のウイルスですとか不正アクセス対策、それから人的な対策など複数の視点から組織全体のセキュリティー強化を図っております。
まず、具体的にマイナンバー関連の技術的対策としまして、税や社会保障関連の番号利用事務については外部から侵入できない専用のネットワークを構築しました。接続は専用の端末で行います。それから、専用端末におきましてはログインなどの認証においてID、パスワードのほかに、生体認証など複数の認証機能を設けます。それから、基本的にUSBメモリ等の外部記憶媒体と端末からの情報の持ち出しを不可と設定いたします。
効果ですが、まずは閉じたネットワークにより外部からの侵入が防止できる点。それから複数の認証機能により不正使用の抑制が期待できる点。それから情報の外部流出の防止が効果として上げられます。ウイルス対策、不正アクセス対策につきましては、庁内業務のネットワークとインターネットを分割いたしました。さらにウイルスつきメールを除去する最新式の仕組みを導入いたしました。効果といたしましては、インターネットからの攻撃に対する庁内ネットワークの保護を徹底的に図ります。それからメールの最新式の仕組みを導入し――メールの無害化というんですが――ウイルス感染による被害を防止します。
最後に自治体情報セキュリティークラウドの運用がありまして、今年度それを構築いたしました。これは全県的な取り組みとして国の助成を受けて県が構築したものなのですが、県及び市町合わせて36あるインターネット接続口を1カ所に集約、そして集中管理します。それから、外部からの不正侵入検知、迷惑メール対策など高度セキュリティー対策を施しまして、特に専門家による24時間監視などを実施いたします。
効果としましては、1カ所での集中監視によりまして全県的な監視が可能になり、効率的でよりセキュアな体制が維持できて、各市町のセキュリティーレベルが均一化できること。それから共同で実施することによるコスト効果が上げられます。
最後に人的な対策ですが、毎年やっているコンプライアンス推進月間に全庁的なセキュリティー自主点検を実施しまして、職員各自でチェックを行っています。それから職員研修ですとか、全庁掲示板における啓発活動を継続的に実施しまして、組織全体のセキュリティー意識の向上を図っております。今年度からはセキュリティーの集合研修を実施しております。効果といたしましては、セキュリティー意識の醸成、向上による被害の未然防止が上げられると思います。
○諸田委員
マイナンバーというと情報漏えいばかりが注目を浴びていて、不安ばかりが先行してメリットの話題が広がっていません。ぜひ、セキュリティー強化によるメリットも世間にPRしていただきたいと思います。以上で終わります。
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