• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 交流・まちづくり > 国際交流 > 地域外交課 > 海外駐在員報告 > 北米駐在員報告

ここから本文です。


北米駐在員報告

2002年2月 駐在員レポート
駐在員 : 若梅 真樹


CA・オーシャンフロント・ビジネス
―サーフィン関連産業とまちづくり―



南カリフォルニアのサーフィング
世界のサーファーを惹きつけるサーフスポットが、ハンティントン・ビーチ 、サンクレメンテ、マリブなど、ここ南カリフォルニアに集中し、特にハンティントン・ビーチ周辺では、サーフポイントで波に乗って楽しむだけでなく、サーフィンに関連するビジネスがこの地に根づいて、製造業が多く集まり、新興のオーシャンサイドとともに今やサーフ産業の中心となっている。

(1) サーフィン・コンペ(競技会)の開催
2001年に南カリフォルニアで開催された最大のイベントは、米国内最大のサーフィング競技会であるUS OPEN for Surfing(賞金総額$13万)で、730日にハンティントン・ビーチ市で開催され、この大会中には延べ10万人を超える観客がこの町を訪れたといわれている。競技は男性に限らず、優勝賞金5,000ドルを懸けた女性の部であるUS Open of Womenや同じく5,000ドルの賞金が貰えるビルボーンのスポンサーがついたジュニア競技の部も行なわれた。2002年も727日から84日までハンティントン・ビーチ市でこのUSオープンが開催されることとなっている。

主なツアーは、The Professional Surfing Tour of America (PSTA)という団体が主催する大会で、今年開催される主な競技会は、以下のとおり。
4/23-4/27 Quicksilver Pro at Churches & Lowers Trestles, San Clemente
5/23-5/26 PSTA at Imperial Beach Pier, San Diego
5/29-6/2 PSTA at Oceanside Pier
6/13-6/16 PSTA at San Clemente Pier
7/11-7/14 FBSS at Huntington Beach
7/27-8/4 US OPEN at Huntington Beach
8/28-9/1 Rip Curl Pro at Newport Beach
9/11-15 PSTA at Newport Beach
11/6-11/10 PSTA National Champion at Ventura

(2) スポンサー企業
プロフェッショナル・ツアーのスポンサーになっている南カリフォルニアのサーフィング関連会社は、以下のとおり。スポンサー企業は、RIPCURLを除き、すべてオレンジ・カウンティーに集中している。
・ビルボーン:Billabong
117 Waterworks Way, Irvine, California 92618
 www.billabong.com
O’niel
  7 Oldfield, Irvine, California 92618
  www.oneill.com
 (サーフ・フィンやウエットスーツ、バッグのメーカー)
・クイックシルバー:Quicksilver
15202 Graham Street, Huntington Beach, California 92649
  www.quiksilver.com
(ウェアー、時計、サングラス、その他各地のアウトレットにも出店)
RIPCURL
  2105 Rutherford Road, Carlsbad, California 92008
  www.ripcurl.com
 (ウェアーやウエットスーツなどのメーカー)
・オーシャン・パシフィック:Ocean Pacific
3 Studebaker, Irvine, CA 92618
  www.opmag.com
(サーフボードとウェアーのメーカー、サングラス、フットウエアーも扱っている)
Oakley Inc.
1Icon, Foothill Ranch, California 92610
www.oalkey.com
(サングラスを中心にフットウエアー、メンズウエアー、水着などを扱っている)

2 サーフ関連ビジネスの現状
(1) サーフ関連産業の歴史
レドンド・ビーチでサーフショップ“CHP Sur”を経営するTak Kawahara氏にお話を伺う機会があった。店の周辺には、サーフ関連レストランが軒を連ね、ちょっとしたスポットとなっている。
南カリフォルニアでのサーフィングは、レドンド・ビーチ、ハモサ・ビーチから始まったといわれ、当初は、16フィートもある長くて重いボードが中心だったという。その後、サンジエゴ・ラホヤで、グレッグ・ノール仕様のバルサ種を使ったサーフボードがティーンエージャーを中心に流行っていった。1958年には、ボードもバルサ種からウレタンに代わり軽量化が進み、さらに、最初の女性サーファーであるキャシー・コーネルのニックネームが題名となった映画“GIGET”の公開後、女性サーファーも増えていったという。
65年からは、USオープンも始まり、波の条件が良かったことから初期の中心地はマリブだった。しかし、狭いスポットにたくさんのサーファーが集まるので、サーファー達は自分の住んでいる近くの海でスポットを見つけるようになり、次第にハンティントン・ビーチ やニューポート・ビーチなど南に広がっていった。
当時のボードは、ガレージで作製する手造りのもので、またウェアーは水着用のトランクスしかなかったため、自身もサーフィングをするハングテンの社長が横縞のサーフブランドを出し、サーフショップへ売り歩いたという。やがて、ケニングトン、ライティング・ボルト、ビルボーン、オーシャン・パシフィック、クイックシルバー、女性もののロキシーなどのブランドへ引き継がれ、ウエットスーツなども含め、フィン、リーシ、ボードカバー、ワックスなどの関連産業も周辺に集積していった。さらに、これらの産業が一度に出展するアクション・スポーツ・リテーラーショー(ASR)も毎年開催されている。ちなみに、“波の無い時は何をしようか”という発想で、板切れにホイールを付けてスケートボードが始まったとのこと。
Tak氏は、サーフショップ関連の仕事に就いて40年。日系三世で、60歳の現役サーファー。これから、幾つになってもサーフィングとショップは、続けていくとのことだった。
CHP Sur”を経営するTak        

隣にあるSurfレストラン

(2) 業界の規模

 サンディエゴ・ユニオン・トレビューン紙によると、世界のサーファー人口は、400万人、その内で実際にプレーを楽しんでいるアクテイブなサーファーは、アメリカで180万人いるだろうといわれている。サーファーの増加に伴って、サーフ用品、例えばウエットスーツやサーフボードなどのサーフィン・グッズ産業の成長が促され、オーシャン・パシフィックやクイックシルバーなどのブランドが若者に受け入れられて、今やサーフウエアーがファッションの定番として定着するにまで至っている。

2001年のサーフボードの売上げ高は、全米で約$19,600万ドル。その内の約60%にあたる約$11,550万ドルが南カリフォルニアとハワイで売られたと見られている。また、サーフボードの数では、全米で242万枚が売られ、その内の20%から30%がカスタムメードの販売と見られている。

サーフィンのシーズンは春から夏にかけての間。シーズンが終わる秋にはボードの販売がガクッと落ち込むものの、11月に入るやクリスマスのギフトシーズンが近づき、カスタムメードのサーフボードをこの時期に注文するため、毎年前月比で10%から15%の注文増が見られるよう。このようにサーフボード産業は、地域経済に寄与するCottage industries(小屋産業、小規模工場産業)の一つとなっている。

 

(3) サーフショップの実態

オレンジ・カウンティーにあるサーフショップは、ダナポイント市にあるKiller Dana Surf Shopに代表されるように小規模なプライベート・オーナーの経営する店が多く、サーフボードの大半がこのようなショップで売られている。このタイプの店が、オレンジ・カウンティー内に約100軒程度ある。

特にカスタムメードを注文する人は、いつもの波乗りを楽しむスポットや自分の身体、ライディングの癖に合った仕様のボードを、各ビーチの波の特徴を熟知したその土地のサーフボード・ショップで作ってもらう傾向が強い。なぜこだわりを持つのかというと、サーフィンを楽しむ人にとって、自分に合ったボードを選ぶのは、技術の上達に直接繋がるだけでなく、波に合わせていろいろな技を使って楽しめるようにするためだと、専門家は説明している。こうしたカスタムメードのボードの値段は、注文する側が指定するボードの大きさや使う塗料の違いによって差があるものの概ね$300から$1,000位が一般的。

小規模なカスタムメードのサーフボード製作会社を一例として取り上げてみると、例えばKiller Dana Surf Shopが、カスタムメードのサーフボードの注文を客から受けると、6人程の製作スタッフを抱える個人経営の製作工場に製作を依頼する。製作に必要なインフォーメーション、具体的には、背丈、体重、技術レベル、どこのビーチでどのくらいの頻度でサーフィングをやるのか、どのプロ・サーファーの乗り方に似ているのかなどを聞く。注文から納品までは約1ヶ月を要するという。

一方、サーフボードを大量に扱う大型店では、上記のような各ビーチにある土地の波を考慮したボードは置いていない代わりに、幅広いタイプのボード・セレクションを豊富に並べているとうい利点がある。しかし、値段が安い分、肝心のボードが自分に合うかどうか分からないというリスクもある訳で、ビーチごとの小規模なサーフショップの経営が持続出来るのも、やはりそれなりに理由があるようだ。

Killer Dana Surf Shop

3 まちづくりでの視点

(1) サーフ博物館を開設し、サーフィンのメッカを目指すまちづくり

マリーンスポーツに関心を持つ人にとって、サーフィンのメッカというとハンティントン・ビーチ、オーシャンサイドなどが即座に浮かぶ背景には、それらが、かつて映画のサーフ・シーンで使われたり、大きなサーフ・イベントが開催されたりといった実績があり、テレビや新聞などのニュースを通して何度も紹介されている実態がある。そして、地場の産業振興、観光振興という視点でも、まちそのものを売込もうという姿勢が見られる。そこには、サーフィング博物館の存在があり、ハンティントン・ビーチ市には、International Surf Museumが、そしてハンティントン・ビーチ、オーシャンサイド市には、規模は未だ小さいがCalifornia Surf Museumがそれぞれ開設されている。

 

International Surf Museum

  411 Olive Avenue, Huntington Beach, California 92648

www.surfingmuseum.org

世界40ヶ国のサーフィンやサーファーに関する展示をしている。そこにはサーフィンの歴史を留めた記念品が展示され、往年の名プレーヤーのサーフボードなどは勿論のこと、映像や音楽まで保存されている。

International Surf Museum

The California Surf Museum
The California Surf Museum

  223 North Coast Highway, Oceanside, California 92054

www.surfmuseum.org

主にサーフィングのボードなどの用具や写真が展示され、カリフォルニアのサーフィンの歴史が分かるよう解説されている。年間の訪問者は約2万人を数える。

 

(2) 世界のサーフ都市として発展を目論むハンティントン・ビーチ市の苦悩

ハンティントン・ビーチ市は、気候に恵まれ、砂浜が続く長い海岸線を持ち知名度も高いので、世界のサーファーを引きつけて止むことは無いが、都市化の素早い動きに応じて、モダンな地中海様式のショッピング・センターや大型ホテルが建設されるなど、ビーチ沿いの開発が、約20年前から進められている。

この開発は、より多くの観光客や買い物客を取り込もうとした市の開発計画によるもだが、隣接し、風光明媚なヨットハーバーを持つニューポート・ビーチ市や、同じく有名な海岸線で知られるロサンゼルス郡サンタモニカ市の中心街The Third Street Promenadeの再開発などの成功例とは対象に、ビーチ・カルチャー(海辺の文化)を楽しんでいたサーファーにとっても気掛かりだったこの開発で、自分達の集まる場所に今まであった馴染みのサーフショップ、家族で営むレストラン、パンクロックのナイトクラブなどが突然取り壊されて、すっかり様変わりしてしまったという。

そこで市は、新たなダウンタウンの再開発計画を立案し、4,700万ドルを投じる計画を発表したが、もっと基本的な開発コンセプトの練り直しと検討が必要だと賛否両論が入り混じり議論が現在も続けられている状態にあり、その対応に苦慮しているという。どうやら開発する地域のローカル色、性格、質といった要素を見極める必要があるのではないかと、UCLAで都市計画を専門に研究するDana Cuff教授がアドバイスしている記事が新聞で紹介されていた。

サーフィンを中核とした21世紀の都市計画には、一体何が大切なのか、雄大な海を抱える特徴ある都市にとっては、その開発のコンセプトをどこに求めるのかは大変難しい問題になっている。また、それだけに関心ある人にとっては大いに興味をそそるテーマでもあるようだ。

 

4 最後に

 前述のTak氏に静岡県への提言を頂いた。

 静岡県には、ウォーター・スポーツに関する環境資源がたくさんある。サーフィング以外にも、ヨット、ジェットスキー、ダイビング、シーカヤック、フィッシングと並べ挙げたらきりが無いほど。

 ローカル資源を活用した活性化には、一つは、国際大会などのイベントの開催。話題づくりが重要。そして、もう一つは専門的な若者だけをターゲットとするのではなく、例えば、スポンサーにお願いし、あらゆるビギナーへの無料レッスンの場を設けるなど、その底辺拡大をすることで老若男女が楽しめるような工夫が必要。仕事、勉強に疲れたらリラックス、エキサイティングできるものを、という発想が大事だということ。

静岡の波は非常に良いので、サーフィングをたくさんやってもらいたい。そうすると、ビジネスもちゃんと付いてくるということだった。

 The California Surf Museum

  223 North Coast Highway, Oceanside, California 92054
www.surfmuseum.org
主にサーフィングのボードなどの用具や写真が展示され、カリフォルニアのサーフィンの歴史が分かるよう解説されている。年間の訪問者は約2万人を数える。

(2) 世界のサーフ都市として発展を目論むハンティントン・ビーチ市の苦悩
ハンティントン・ビーチ市は、気候に恵まれ、砂浜が続く長い海岸線を持ち知名度も高いので、世界のサーファーを引きつけて止むことは無いが、都市化の素早い動きに応じて、モダンな地中海様式のショッピング・センターや大型ホテルが建設されるなど、ビーチ沿いの開発が、約20年前から進められている。
この開発は、より多くの観光客や買い物客を取り込もうとした市の開発計画によるもだが、隣接し、風光明媚なヨットハーバーを持つニューポート・ビーチ市や、同じく有名な海岸線で知られるロサンゼルス郡サンタモニカ市の中心街The Third Street Promenadeの再開発などの成功例とは対象に、ビーチ・カルチャー(海辺の文化)を楽しんでいたサーファーにとっても気掛かりだったこの開発で、自分達の集まる場所に今まであった馴染みのサーフショップ、家族で営むレストラン、パンクロックのナイトクラブなどが突然取り壊されて、すっかり様変わりしてしまったという。
そこで市は、新たなダウンタウンの再開発計画を立案し、4,700万ドルを投じる計画を発表したが、もっと基本的な開発コンセプトの練り直しと検討が必要だと賛否両論が入り混じり議論が現在も続けられている状態にあり、その対応に苦慮しているという。どうやら開発する地域のローカル色、性格、質といった要素を見極める必要があるのではないかと、UCLAで都市計画を専門に研究するDana Cuff教授がアドバイスしている記事が新聞で紹介されていた。
サーフィンを中核とした21世紀の都市計画には、一体何が大切なのか、雄大な海を抱える特徴ある都市にとっては、その開発のコンセプトをどこに求めるのかは大変難しい問題になっている。また、それだけに関心ある人にとっては大いに興味をそそるテーマでもあるようだ。

4 最後に
 前述のTak氏に静岡県への提言を頂いた。
 静岡県には、ウォーター・スポーツに関する環境資源がたくさんある。サーフィング以外にも、ヨット、ジェットスキー、ダイビング、シーカヤック、フィッシングと並べ挙げたらきりが無いほど。
 ローカル資源を活用した活性化には、一つは、国際大会などのイベントの開催。話題づくりが重要。そして、もう一つは専門的な若者だけをターゲットとするのではなく、例えば、スポンサーにお願いし、あらゆるビギナーへの無料レッスンの場を設けるなど、その底辺拡大をすることで老若男女が楽しめるような工夫が必要。仕事、勉強に疲れたらリラックス、エキサイティングできるものを、という発想が大事だということ。
静岡の波は非常に良いので、サーフィングをたくさんやってもらいたい。そうすると、ビジネスもちゃんと付いてくるということだった。

−参考文献等−
Surfrider Foundation資料
Orange County Register


日付別一覧  地域別一覧  分野別一覧

お問い合わせ

知事直轄組織地域外交局地域外交課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3066

ファックス番号:054-254-2542

メール:kokusai@pref.shizuoka.lg.jp