東南アジア駐在員報告
2022年3月 政治 駐在員 : 福田 渉
2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が発生し、東南アジア諸国でも原油価格の高騰やそれに伴う原材料の値上げ、世界的なサプライチェーンの混乱などが懸念されている。
シンガポール国内では連日、トップニュースで現地の状況が報道されており、日本と同様に関心が高いことが窺われる。ロシアによる軍事的侵攻の激化と人道的な状況の悪化から国際的な非難が高まっているが、現在までのところ、ロシアと東南アジア各国との二国間関係などを反映して、侵攻の停止を働きかける足並みは乱れている。
3月2日、国連総会の緊急特別会合におけるロシア非難決議案の採決において、中国やインドに加えて、歴史的にロシアとの関係が深いベトナムや、中国の影響力に配慮したラオスも棄権した。ASEANの外相共同声明でも自制と対話、即時停戦を求める内容を発表したが、ロシアを名指しすることはなかった。
東南アジア諸国の中では唯一シンガポールが経済制裁の実施を発表した。ロシア系銀行4行との取引停止と武器や電子製品など軍事転用可能な民生品のロシアへの輸出を禁止する内容だ。東南アジア各国の最大の関心は、今回の侵攻によって被る経済的影響だが、侵攻を抑止するための協調的イニシアチブを取ることができなければ、先行きの不透明感は増すばかりだ。
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