中国駐在員報告
2018年2月 社会・時事 駐在員 : 石井亘
中国環境保護部はこの1月18日に、2017年の大気汚染状況(中国全土、各地域、直轄市及び各省都など)を発表した。
これによると、2017年の中国全土の「優良天気」(大気汚染の程度が人体に悪影響を及ぼさない天気)日数の割合は78.0%で、前年比で0.8%の減少となったが、大気汚染の主要指標となっているPM2.5(微小粒子状物質)の平均濃度は1㎥当たり43マイクログラムとなり、前年から6.5%減少した。年間を通じて大気の質が優良だった都市は、海口市(海南省)、拉薩市(チベット自治区)、舟山市(浙江省)、厦門市(福建省)などであった。
また、同時に発表された直近(2017年12月)のデータでは、北京市の大気の質が、優良な都市ランキングで全国第9位と改善され、話題となっている。北京市は大気汚染改善のために多くの施策を実施しており、2017年一年間で老朽化した自動車約30万台を強制処分したほか、農村地域700か所で暖房用エネルギーを石炭から天然ガスに転換し、無石炭化を図っている。10月から12月にかけては周辺の天津市、河北省を含めた大気汚染改善事業として、汚染源である工場閉鎖等を実施しており、これら施策が大気汚染改善に繋がったと市関係者は評価している。但し、北京市のPM2.5年間平均濃度は1㎥当たり58マイクログラムであり、環境保護部が設定している基準(1㎥当たり35マイクログラム以下)には届いていない。
中国政府は、2018年1月から汚染物質を排出する企業、事業者等から徴収する環境保護税を導入するなど、環境保護政策に重点を置いている。しかし、上述した無石炭化を全国的に急ぎ過ぎた結果、一部地域で天然ガスの不足と価格高騰を招き、工場の操業停止や火力発電所での石炭使用再開なども発生しており、環境汚染対策は今後も難航すると見られている。
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