東南アジア駐在員報告
2014年4月 経済 駐在員 : 吉住 理恵子
3月4日から6日にかけ、前駐在員との引継ぎでジャカルタを訪問した。
インドネシアは、首都ジャカルタのあるジャワ島を始めとして1万3000以上の島嶼からなり、アメリカ合衆国本土より長い5,110kmの東西幅をもつ東南アジア最大の国家である。人口は現在でも2億3000万人以上と世界第4位の大国であるが、それに加えて、2040年頃まで続く人口ボーナス(生産年齢人口が、従属人口の2倍以上ある状態)が大きな魅力となり、海外からの投資をひきつけている。本県関連でも、県が把握しているだけでも93社が112の拠点を構えており、現地の関係者からは実態的にはさらに多いのではとの声もある。
今回の訪尼では、そうした進出企業の駐在員を中心に、金融機関関係者等と面談したが、彼らが異口同音に指摘していたのは、最近の日本を含む海外からの投資の一服感と経済成長の減速、そして選挙を前にしたナショナリズムの高まりへの懸念である。
成長の減速とはいっても、経済成長率が6%を超えることがなくなったというレベルの話であり、本県関係では、スズキがインドネシアで2箇所目の車両工場をブカシ県の工業団地「GIIC」内に2015年を目処に建設すると報じられるなど、進出事案はまだまだあり、工業団地造成もジャカルタ市を中心に外延化する形で現在もなお進行している。
むしろ企業関係者の懸念は選挙を前にしての経済ナショナリズムである。圧倒的に親日の同国では、日本企業を追い出すようなことはまず考えられないとはいうものの、外国投資法改正の原案ベースで、これまでネガティブリストの出資規制業種に該当しなければ上限規制はない(100%外資可能)とされていた外国資本比率を引き下げる動きもあるとの情報もある。
また、現場レベルでは、大学卒・大学院卒の管理者クラスはともかく、高卒学歴の技能者等を日本から呼び寄せたい場合でもビザが下りないケースが出てきているという話も伺った。
大統領の3選が禁止されているインドネシアでは、2004年に就任し、投資環境改善により経済成長を導いたユドヨノ大統領は必ず退陣しなければならない。選挙の結果によって、今後の海外からの投資環境がどのようになるかは、本県関係企業にとっても関心が高いところであり、動向を注視したい。
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