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中国駐在員報告

2013年6月 社会・時事
駐在員 : 野村芳一


     中国の旅行業界では、東日本大震災の後、激減した訪日ツアーを回復させるため、超激安ツアー商品の販売が行われた。東京・大阪間をバスで移動するゴールデンルートと呼ばれる定番コースが、5泊6日で3,000元という価格のものまであった。当時のレートだと4万円位だろうか。現在でも安いツアーでは、5,000元(85,000円)程度のものが販売されている。
    もちろん、航空券、ホテル、バス、食事、ガイド代全て込みである。日本側の中国客受け入れは、ランドオペレーターと呼ばれる中小旅行社が行うことがほとんどで、その経営に中国人が関わっていることが多い。全ての料金込みで4万円という価格設定では、どう考えても赤字である。
    この赤字をなんとかするために、ガイドは、行く必要のない土産店を回って、旅行客に無理やり土産を買わせ、店側から売上代金のキックバックを受けたり、半ば強制的にオプショナルツアーの参加を勧めたりする。ひどい場合には、経費節減のため日本語が話せないガイドが案内し、運転手とは筆談で意思疎通を行うような例もあるという。
    安い料金設定から、実態を理解してくれる参加者もいるようだが、全般的に、このような行為が訪日ツアーの評判を落とし、商品を販売した旅行社へのクレームを呼び、もう日本には行きたくないという人も出てくるという。訪日ツアーを販売する中国側の旅行社も、実態について、当然よく承知しており、会社の評判に関わるから、うちは安売りはやらない、と明言するところもある。
    最近、ある旅行会社から、本年10月1日から安売りツアーはできなくなるという話を聞いたので、調べてみると、10月1日から中華人民共和国旅遊法が施行され、旅行会社及び旅行商品への規制が、概ね以下のとおり行われる。(旅遊法第34条、34条、36条、38条)

      1 旅行業者は、企画旅行を実施するとき、資格を具備した旅行代理業者から旅行商品とサービスを購入しなければならない。
      2 旅行業者は、異常に低い価格で企画旅行を実施し、旅行参加者を騙してはならない。ショッピングあるいは有料項目を強制的に参加させることを通じてリベートを獲得してはならない。
        旅行業者が企画旅行を実施するときは、ショッピングの場所を強制的に指定してはならない。事前企画に含まれない有料項目に参加させてはならない。両者が相談の上、結果が一致した場合、或いは参加者が自発的に要求する場合、かつ他の参加者の日程に影響を及ぼさないときは、この限りでない。
        上記に違反する行動をとる旅行業者に対して、旅行参加者は企画旅行が完了した30日以内に、旅行業者に商品の返品を要求する権利がある。旅行業者は、返品によって生じる費用を立て替えて、参加者に支払う義務がある。事前企画外の有料項目の費用も同様である。
      3 旅行業者は団体の海外企画旅行を実施するとき、或いは海外団体の国内企画旅行を実施するときは、規定によりガイド或いは引率者を全ての日程に同行させるよう手配しなければならない。
      4 旅行業者はガイド法の規定により雇うガイドと労働契約を締結し、労働報酬と社会保険費用を支払わなければならない。
     
      現実として、10月1日からどこまで変わるかは分からないが、旅行商品の価格の構造が大きく変わり、価格が適正なものになる可能性があることは事実である。旅行社も認めていることから、少なくとも激安商品は姿を消すに違いない。したがって、旅行商品の価格が上がることにより、安さを追求する人が多いと言われる中国人旅行者に、どのような影響が出るのか見極めなければならないと思う。ただ、ことによると今般の円安傾向により、元での表示価格にそれほど影響を与えない可能性もあるかもしれない。
      また、うちは安売りはやらない、という旅行社のように適正なサービスには、適正な価格をつけるべきだ、という考えが中国人全体に定着することは、旅行社にとっても、中国人旅行者にとっても、また、ランドオペレーターやガイドにとっても、よい状況が生まれるといってよいだろう。
      高品質の宿泊施設が多い静岡県にとっても、状況は同様であり、これから更に本県の有する質の高いサービスや施設を売り物にできる可能性があると思う。


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